JP3648576B2 - 非連結多連式気化器における 絞り弁軸の連結同調装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関に供給される混合気の濃度及び量を調整、制御する気化器に関し、そのうち特に気化器の吸気路を開閉する絞り弁が絞り弁軸によって操作され、この気化器が側方に複数配列された多連式気化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
多連式気化器は、隣接する気化器の連装ピッチが、気化器間を連結する連結ステーによって予め固定される連結式のものと、気化器の製造時において、隣接する気化器の連装ピッチが固定されない非連結式のものとがある。
この非連結多連式気化器は、気化器の連装ピッチがその製造時において一定に固定されないので不特定の機関へ多連式気化器を装着するのに好適である。
本発明は非連結多連式気化器に関するもので、これによると多連式気化器を構成する各気化器は、搭載される各機関の各取付け部位(例えば吸気管の端部、等)にそれぞれ単独で装着される。
以上によると各気化器の取付け精度は、各機関の取付け部位の精度に完全に依存するもので、機関の取付け部位の精度は正確に形成されなければならない。又、二輪車にあって、よく気化器はゴムマウントを介して機関へ装着されるもので、これによると各気化器の取付け精度を高精度に維持することが困難である。
更に、不特定多数の機関を想定した際において、この機関の取付け部位を高精度に形成、維持することは極めて困難なことである。
以上のことから、各気化器を機関の取付け部位にそれぞれ装着するとともに各気化器の絞り弁を開閉操作する独立した絞り弁軸に、それぞれアクセルワイヤーを連結し、この複数のアクセルワイヤーをまとめて単一のアクセル(二輪車にあってはアクセルグリップ、四輪車にあってはアクセルペダルに相当)によって操作する方法がとられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の非連結多連式気化器によると、複数のアクセルワイヤーが必要となるもので、これによるとアクセルワイヤーの装着作業に多くの作業工数を必要とする。
アクセルワイヤーの車輌に対するワイヤリングが複雑となり設計的自由度が阻害される。
又、各気化器の絞り弁の開度を合わせる同調作業が非常に面倒である。
という不具合を有するものである。
【0004】
本発明は、上記不具合に鑑み成されたもので、単一のアクセルワイヤーによって各気化器の絞り弁軸を操作でき、且つ絞り弁の同調作業を極めて簡単に行なうことのできる非連結多連式気化器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的達成の為に気化器本体を貫通する吸気路を、
絞り弁軸によって操作される絞り弁にて開閉される気化器が、側方に複数個配置されるとともに各気化器の絞り弁軸の長手軸心線が同一直線上に配置される非連結多連式気化器において、
隣接する気化器の互いに対向する絞り弁軸の各対向端部に、
絞り弁軸の長手軸心線に直交する絞り弁レバーが固定配置され、
各絞り弁レバーには、絞り弁軸の長手軸心線に平行に沿い、
その基部が絞り弁レバーに取着され、
その先端に設けた球面凹部内には、挿通孔が貫通して穿設された球形ジャーナルが回転自在に嵌合されたロッドが配置され、
一端に係止鍔部が形成され、他端にオネジが刻設されたボルトは、絞り弁軸の長手軸心線に略直交するとともに一側の球形ジャーナルの挿通孔を通って他側の球形ジャーナルの挿通孔を貫通して配置され、
該ボルトの係止鍔部は一側の球形ジャーナルの外側端面に当接するとともにオネジに螺着されるナットは他側の球形ジャーナルの外側端面に当接し、
更に一側の球形ジャーナルの内側端面と他側の球形ジャーナルの内側端面との間にスプリングを縮設したことを第1の特徴とする。
【0006】
又、本発明は前記ロッドの基部を絞り弁レバーに螺着したことを第2の特徴とする。
【0007】
【作用】
第1の特徴によると、各気化器を機関の取付け部位に装着した際において、各気化器の絞り弁軸の同芯がズレた場合、そのズレはロッドの球面凹部が球形ジャーナルの外周において回転することによって許容される。
従って、気化器の絞り弁軸を機械的に連結することによって絞り弁軸の良好な操作が可能となり、又、各気化器の絞り弁軸を単一のアクセルワイヤーによって操作することができる。
一方、隣接する気化器の絞り弁の同調作業はナットを螺動することによって極めて簡単に行なうことができる。
【0008】
又、第2の特徴によると、隣接する気化器の連装ピッチが変わった際において、ロッドを螺動して、ロッドの絞り弁レバーからの突出高さを変えることによって極めて容易に対応することが可能となったものである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明になる非連結多連式気化器における絞り弁軸の連結同調装置の一実施例について説明する。
図1には、非連結多連式気化器を構成する気化器Cが示される。
1は内部を吸気路2が貫通するとともに吸気路2から上方に向かって絞り弁案内筒3が連設された気化器本体であり、気化器本体1と気化器本体1の下方に配置された浮子室本体4とによって内部に一定なる燃料液面が形成される。
この燃料液面は、フロート5と図示されぬバルブシート、フロートバルブの協同作用によって形成される。
又、吸気路2には、ニードルジェット6が開口するもので、このニードルジェット6は、主燃料ジェット7、主空気ジェット8、等によって形成される主燃料系統Mに連絡される。
【0010】
9は絞り弁案内筒3内に移動自在に配置され、吸気路2を開閉する絞り弁であり、絞り弁9には、ニードルジェット6内に挿入され、その開口面積を制御するジェットニードル10が一体的に装着される。
11は、その両端が気化器本体1に回転自在に支持された絞り弁軸であり、絞り弁案内筒3内にあって吸気路2を水平方向に横断する位置にある。
そして、絞り弁軸11と絞り弁9とは、絞り弁案内筒3内において、連結レバー12A及び連結リンク12Bによって連結される。
本例では絞り弁軸11が時計方向に回転することによって絞り弁9が吸気路2を開放する。
【0011】
以上の構成よりなる気化器Cは多連式気化器を構成する為に側方に複数個配置されるものである。
本例にあっては側方に2個配置され、この状態で両気化器の各絞り弁軸11の長手軸心線B−Bは同一直線上に配置される。
この状態は図2に示される。
尚、図2において、便宜上下側の気化器を一側の気化器CAと呼び、上側の気化器を他側の気化器CBと呼ぶ。
そして、一側の気化器CAの一側の絞り弁軸11Aと、他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bの、対向する端部には連結同調装置が設けられる。
【0012】
連結同調装置について、拡大された図3により説明する。
一側の絞り弁軸11Aの対向端部11Cには一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bに直交して一側の絞り弁レバー13Aが固定的に配置されるもので、本例ではナットによって螺着固定された。
この一側の絞り弁レバー13Aの外周端には、一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bに沿って、一側のロッド14Aが取着される。
この一側のロッド14Aの基部Kは一側の絞り弁レバー13Aに螺着されて固定され、その先端に設けた一側の球面凹部14B内にはソロバン球状の一側の球形ジャーナル15Aが回転自在に嵌合配置される。
この一側の球形ジャーナル15Aの中心には、外側端面15Bから内側端面15Cに向けて挿通孔15Dが貫通して穿設される。
【0013】
他側の絞り弁軸11Bの対向端部11Dには他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bに直交して他側の絞り弁レバー13Bが固定的に配置されるもので、本例ではナットによって螺着固定された。
この他側の絞り弁レバー13Bの外周端には、他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bに沿って、他側のロッド14Cが取着される。
この他側のロッド14Cの基部Kは他側の絞り弁レバー13Bに螺着されて固定され、その先端に設けた他側の球面凹部14D内には他側の球形ジャーナル15Eが回転自在に嵌合配置される。
この他側の球形ジャーナル15Eの中心には、外側端面15Fから内側端面15Gに向けて挿通孔15Hが貫通して穿設される。
【0014】
16は、ボルトであり、一端にその径が拡大された係止鍔部16Aが形成され、他端にオネジ16Bが刻設される。
このボルト16は、一側の球形ジャーナル15Aの挿通孔15Dから他側の球形ジャーナル15Eの挿通孔15Hを貫通して配置されるものであり、このときボルト16の係止鍔部16Aは環状のワッシャーWを介して一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15Bに当接し、
一方、他側の球形ジャーナル15Eの挿通孔15Hを貫通して外側方に突出するオネジ16BにはナットNが螺着されるもので、このナットNはワッシャーWを介して他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15Fに当接する。
【0015】
一方、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15Cと、他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gとの間に位置するボルト16の外周にはスプリング17が縮設されるもので、スプリング17の一端はワッシャーWを介して一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15Cに当接され、スプリング17の他端は、ワッシャーWを介して他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gに当接する。
【0016】
以上によると、ボルト16は絞り弁軸11A,11Bの長手軸心線B−Bに略直交して一側の球形ジャーナル15Aの挿通孔15Dと他側の球形ジャーナル15Eの挿通孔15H内を挿通して配置される。
この状態において、ボルト16の係止鍔部16A、ワッシャーW、一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15B、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15C、ワッシャーW、がスプリング17によって弾性的に当接され、一方、ナットN、ワッシャーW、他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15F、他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15G、ワッシャーW、がスプリング17によって弾性的に当接される。
【0017】
そして、係止鍔部16Aと一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15Bとの間に配置されたワッシャーWと、該ワッシャーに対向する一側のロッド14Aの先端の外側端面14Eとの間には間隙Sが形成される。
又、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15Cに当接して配置されるワッシャーWと、該ワッシャーに対向する一側のロッド14Aの先端の内側端面14Fとの間には間隙Sが形成される。
又、他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gに当接して配置されるワッシャーWと、該ワッシャーに対向する他側のロッド14Cの先端の内側端面14Gとの間には間隙Sが形成される。
更に又、ナットNと他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15Fとの間に配置されるワッシャーWと、該ワッシャーに対向する他側のロッド14Cの先端の外側端面14Hとの間には間隙Sが形成される。
【0018】
尚、18は、一側の気化器CAの一側の絞り弁軸11Aの他端に一体的に設けた操作レバーであり、この操作レバー18は図示されないアクセルにアクセルワイヤー19によって連絡される。
20は一側の絞り弁軸11Aに、反時計方向のバネ力を付与し、絞り弁9に閉方向の力を与える絞り弁リターンスプリングである。これらは図2に示される。
【0019】
以上述べた絞り弁軸の連結同調装置によって一側の気化器CAと他側の気化器CBとが連結されて多連式気化器が構成され、この状態において、気化器CA,CBは連結ステー等によって機械的に連結されないもので、非連結状態であるという。
この多連式気化器が図示されぬ機関へ装着される。
そして絞り弁9の開閉は以下の如く行なわれる。
図4は図2において、F側よりみた連結同調装置の要部側面図である。
【0020】
絞り弁9の開放は以下によって行なわれる。
アクセルワイヤー19を運転者が牽引すると、操作レバー18は図4において時計方向に回転し、一側の絞り弁軸11Aも同期して時計方向に回転する。
一側の気化器CAにあっては、一側の絞り弁軸11Aと同期的に連結レバー12Aが時計方向に回転するもので、この回転は連結リンク12Bを介して絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の時計方向の回転に応じて吸気路2を開放する。
【0021】
一方、この一側の絞り弁軸11Aの時計方向の回転によると、一側の絞り弁レバー13A、一側のロッド14A、一側の球形ジャーナル15Aもまた一側の絞り弁軸11Aと同期して時計方向に回転する。
そして、一側の球形ジャーナル15Aの時計方向の回転は、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15C−ワッシャーW−スプリング17−ワッシャーW−他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15G−他側の球形ジャーナル15E−他側のロッド14Cへと伝達され、他側の絞り弁レバー13Bを介して他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bを操作レバー18の回転に応じて時計方向へ回転させる。
以上によると、他側の絞り弁軸11Bの回転は、他側の気化器CBの連結リンク12Bを介して他側の絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の時計方向の回転に応じて吸気路2を開放する。
【0022】
そして、絞り弁9の閉塞は、以下によって行なわれる。
アクセルワイヤー19を運転者が戻すと、操作レバー18は絞り弁リターンスプリング20のバネ力により図4において反時計方向に回転し、一側の絞り弁軸11Aも同期して反時計方向に回転する。
一側の気化器CAにあっては、一側の絞り弁軸11Aと同期的に連結レバー12Aが反時計方向に回転するもので、この回転は連結リンク12Bを介して絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の反時計方向の回転に応じて吸気路2を閉塞する。
【0023】
一方、この一側の絞り弁軸11Aの反時計方向の回転によると、一側の絞り弁レバー13A、一側のロッド14A、一側の球形ジャーナル15Aもまた一側の絞り弁軸11Aと同期して反時計方向に回転する。
そして、一側の球形ジャーナル15Aの反時計方向の回転は、一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15B−ワッシャーW−ボルト16の係止鍔部16A−ボルト16−ナットN−ワッシャーW−他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15F−他側の球形ジャーナル15E−他側のロッド14Cへと伝達され、他側の絞り弁レバー13Bを介して他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bを操作レバー18の回転に応じて反時計方向へ回転させる。
以上によると、他側の絞り弁軸11Bの回転は、他側の気化器CBの連結リンク12Bを介して他側の絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の反時計方向の回転に応じて吸気路2を閉塞する。
以上をもって多連式気化器を構成する一側の気化器CAと、他側の気化器CBのそれぞれの絞り弁9は操作レバー18の回転に応じてそれぞれの気化器CA,CBの吸気路2を同期的に開閉するものである。
【0024】
そして、各気化器の絞り弁9の同調(絞り弁開度を合わせること)は以下の如く行なわれる。
すなわち、一側の気化器CAの絞り弁開度を基準とした状態で、ナットNをユルメると、スプリング17はワッシャーWを介して他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gを外方に向かって押圧するもので、これによると、他側のロッド14C、他側の絞り弁レバー13Bは、ナットNのユルメ代に相当して時計方向に回転する。
そして、この他側の絞り弁レバー13Bの時計方向の回転によると、他側の気化器CBの絞り弁9は、前述した通り他側の気化器CBの吸気路2を開放する。
【0025】
一方、一側の気化器CAの絞り弁開度を基準とした状態で、ナットを締め込むと、ナットNの締め付け力はワッシャーW−他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15F−他側の球形ジャーナル15E−他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15G−ワッシャーWを介してスプリング17に伝達されてスプリング17を圧縮させて移動させる。
これによると、他側のロッド14C、他側の絞り弁レバー13Bは、ナットNの締め代に相当して反時計方向に回転する。
この他側の絞り弁レバー13Bの反時計方向回転によると、他側の気化器CBの絞り弁9は、前述した通り、他側の気化器CBの吸気路2を閉塞する。
【0026】
従って、ナットNをユルメる、あるいは締め込むことによって他側の気化器CBの絞り弁9の開度を自在に開放側あるいは閉塞側に調整できるので、絞り弁の開度を極めて容易にして且つ正確に同調することができる。
【0027】
次に、一側の気化器CAの一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bに対して、他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bがθ度ズレて機関に装着された状態について説明する。
この状態は図5に示される。
かかる状態において、他側のロッド14Cは、他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bに沿って平行状態に、他側の絞り弁レバー13Bに取着されたことにより、他側の絞り弁軸11Bのズレと同様にθ度ズレて配置されることになる。
【0028】
一方、この他側のロッド14Cの先端部分は、他側の球面凹部14Dが他側の球形ジャーナル15Eに回転自在に嵌合配置されていること、及び正常時(他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bと一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bとの同芯が保持されることを言う)において、他側のロッド14Cの先端の内側端面14Gとそれに対向するワッシャーWとの間、及び他側のロッド14Cの先端の外側端面14Hとそれに対向するワッシャーWとの間に、それぞれ間隙Sが形成されていること、から
かかる他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bがズレを生じた際にあっても、他側のロッド14Cは、他側の球形ジャーナル15Eを基準に回転するにとどまり、この他側のロッド14Cの回転によって他側の気化器CBの芯ズレ(θ度)は吸収される。
この芯ズレが許容される範囲は、それぞれのワッシャーWとそれに対向するロッドの端面との間に形成される間隙Sによって決定される。
すなわちロッドの先端部分が球面凹部内を回転し、ロッドの端面がそれに対向するワッシャーWに当接する迄許容される。
尚、この間隙は適宜決定されるものである。
【0029】
又、図5に示した実施例は、他側の気化器CBがθ度ズレたものであるが、両側の気化器CA,CBが共にV型にズレた際、あるいは、そのズレが上下方向にズレた際にあっても、そのズレは吸収される。
そして、かかるズレが生じた際における各絞り弁軸の連結機能及び絞り弁の同調機能は依然として保持される。
【0030】
そして、各ロッド14A,14Cの基部Kを各絞り弁レバー13A,13Bに螺着し、各ロッド14A,14Cを螺動調整することによると、各ロッド14A,14Cの各絞り弁レバー13A,13Bからの突出高さを可変調整することが可能となるもので、これによると、互いに隣接する気化器CA,CB間の連装ピッチPが異なった際において格別に部品を設けることなく、極めて容易に対応することができ、汎用性の高い非連結多連式気化器を提供できる。
【0031】
尚、本実施例における絞り弁は、摺動絞り弁を用いたものであるが、バタフライ型の絞り弁が取着される絞り弁軸に採用したものでもよい。
又、二連式気化器の実施例が示されるが、三連式、四連式の多連気化器であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上の如く、本発明になる非連結多連式気化器における絞り弁軸の連結同調装置によると、非連結多連式気化器を構成する各気化器の絞り弁軸の長手軸心線がズレた際において、そのズレはロッドの球面凹部と球形のジャーナルが回動することによって吸収されるので絞り弁の連結を良好に維持することができる。
又、上記によって単一のアクセルワイヤーをもって各気化器の絞り弁軸を操作することができて、アクセルワイヤーの装着作業が簡素化され、更に車輌のワイヤリングの自由度を高めることができる。
又、絞り弁の同調は、単にナットを回動操作することによって行なうことができるもので、正確な絞り弁の同調を極めて簡単に行なうことができる。
更に又、ロッドの基部を絞り弁レバーに螺着したことによると、隣接する気化器のピッチ変更に対して極めて簡単に対応することが可能であって汎用性の高い非連結多連式気化器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非連結多連式気化器を構成する単一の気化器の縦断面図。
【図2】本発明になる非連結多連式気化器の一実施例を示す上部平面図。
【図3】図2の連結同調装置部分を示す要部拡大平面図。
【図4】図2において、F側よりみた要部側面図。
【図5】図3の連結同調装置部分において、一側の絞り弁軸に対し、他側の絞り弁軸がθ度ズレた状態を示す要部拡大平面図。
【符号の説明】
11A 一側の絞り弁軸
11B 他側の絞り弁軸
13A 一側の絞り弁レバー
13B 他側の絞り弁レバー
14A 一側のロッド
14B 一側の球面凹部
14C 他側のロッド
14D 他側の球面凹部
15A 一側の球形ジャーナル
15D,15H 挿通孔
15E 他側の球形ジャーナル
16 ボルト
16A 係止鍔部
16B オネジ
N ナット
W ワッシャー
S 間隙
17 スプリング
CA 一側の気化器
CB 他側の気化器
K ロッドの基部
【産業上の利用分野】
本発明は、内燃機関に供給される混合気の濃度及び量を調整、制御する気化器に関し、そのうち特に気化器の吸気路を開閉する絞り弁が絞り弁軸によって操作され、この気化器が側方に複数配列された多連式気化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
多連式気化器は、隣接する気化器の連装ピッチが、気化器間を連結する連結ステーによって予め固定される連結式のものと、気化器の製造時において、隣接する気化器の連装ピッチが固定されない非連結式のものとがある。
この非連結多連式気化器は、気化器の連装ピッチがその製造時において一定に固定されないので不特定の機関へ多連式気化器を装着するのに好適である。
本発明は非連結多連式気化器に関するもので、これによると多連式気化器を構成する各気化器は、搭載される各機関の各取付け部位(例えば吸気管の端部、等)にそれぞれ単独で装着される。
以上によると各気化器の取付け精度は、各機関の取付け部位の精度に完全に依存するもので、機関の取付け部位の精度は正確に形成されなければならない。又、二輪車にあって、よく気化器はゴムマウントを介して機関へ装着されるもので、これによると各気化器の取付け精度を高精度に維持することが困難である。
更に、不特定多数の機関を想定した際において、この機関の取付け部位を高精度に形成、維持することは極めて困難なことである。
以上のことから、各気化器を機関の取付け部位にそれぞれ装着するとともに各気化器の絞り弁を開閉操作する独立した絞り弁軸に、それぞれアクセルワイヤーを連結し、この複数のアクセルワイヤーをまとめて単一のアクセル(二輪車にあってはアクセルグリップ、四輪車にあってはアクセルペダルに相当)によって操作する方法がとられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の非連結多連式気化器によると、複数のアクセルワイヤーが必要となるもので、これによるとアクセルワイヤーの装着作業に多くの作業工数を必要とする。
アクセルワイヤーの車輌に対するワイヤリングが複雑となり設計的自由度が阻害される。
又、各気化器の絞り弁の開度を合わせる同調作業が非常に面倒である。
という不具合を有するものである。
【0004】
本発明は、上記不具合に鑑み成されたもので、単一のアクセルワイヤーによって各気化器の絞り弁軸を操作でき、且つ絞り弁の同調作業を極めて簡単に行なうことのできる非連結多連式気化器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的達成の為に気化器本体を貫通する吸気路を、
絞り弁軸によって操作される絞り弁にて開閉される気化器が、側方に複数個配置されるとともに各気化器の絞り弁軸の長手軸心線が同一直線上に配置される非連結多連式気化器において、
隣接する気化器の互いに対向する絞り弁軸の各対向端部に、
絞り弁軸の長手軸心線に直交する絞り弁レバーが固定配置され、
各絞り弁レバーには、絞り弁軸の長手軸心線に平行に沿い、
その基部が絞り弁レバーに取着され、
その先端に設けた球面凹部内には、挿通孔が貫通して穿設された球形ジャーナルが回転自在に嵌合されたロッドが配置され、
一端に係止鍔部が形成され、他端にオネジが刻設されたボルトは、絞り弁軸の長手軸心線に略直交するとともに一側の球形ジャーナルの挿通孔を通って他側の球形ジャーナルの挿通孔を貫通して配置され、
該ボルトの係止鍔部は一側の球形ジャーナルの外側端面に当接するとともにオネジに螺着されるナットは他側の球形ジャーナルの外側端面に当接し、
更に一側の球形ジャーナルの内側端面と他側の球形ジャーナルの内側端面との間にスプリングを縮設したことを第1の特徴とする。
【0006】
又、本発明は前記ロッドの基部を絞り弁レバーに螺着したことを第2の特徴とする。
【0007】
【作用】
第1の特徴によると、各気化器を機関の取付け部位に装着した際において、各気化器の絞り弁軸の同芯がズレた場合、そのズレはロッドの球面凹部が球形ジャーナルの外周において回転することによって許容される。
従って、気化器の絞り弁軸を機械的に連結することによって絞り弁軸の良好な操作が可能となり、又、各気化器の絞り弁軸を単一のアクセルワイヤーによって操作することができる。
一方、隣接する気化器の絞り弁の同調作業はナットを螺動することによって極めて簡単に行なうことができる。
【0008】
又、第2の特徴によると、隣接する気化器の連装ピッチが変わった際において、ロッドを螺動して、ロッドの絞り弁レバーからの突出高さを変えることによって極めて容易に対応することが可能となったものである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明になる非連結多連式気化器における絞り弁軸の連結同調装置の一実施例について説明する。
図1には、非連結多連式気化器を構成する気化器Cが示される。
1は内部を吸気路2が貫通するとともに吸気路2から上方に向かって絞り弁案内筒3が連設された気化器本体であり、気化器本体1と気化器本体1の下方に配置された浮子室本体4とによって内部に一定なる燃料液面が形成される。
この燃料液面は、フロート5と図示されぬバルブシート、フロートバルブの協同作用によって形成される。
又、吸気路2には、ニードルジェット6が開口するもので、このニードルジェット6は、主燃料ジェット7、主空気ジェット8、等によって形成される主燃料系統Mに連絡される。
【0010】
9は絞り弁案内筒3内に移動自在に配置され、吸気路2を開閉する絞り弁であり、絞り弁9には、ニードルジェット6内に挿入され、その開口面積を制御するジェットニードル10が一体的に装着される。
11は、その両端が気化器本体1に回転自在に支持された絞り弁軸であり、絞り弁案内筒3内にあって吸気路2を水平方向に横断する位置にある。
そして、絞り弁軸11と絞り弁9とは、絞り弁案内筒3内において、連結レバー12A及び連結リンク12Bによって連結される。
本例では絞り弁軸11が時計方向に回転することによって絞り弁9が吸気路2を開放する。
【0011】
以上の構成よりなる気化器Cは多連式気化器を構成する為に側方に複数個配置されるものである。
本例にあっては側方に2個配置され、この状態で両気化器の各絞り弁軸11の長手軸心線B−Bは同一直線上に配置される。
この状態は図2に示される。
尚、図2において、便宜上下側の気化器を一側の気化器CAと呼び、上側の気化器を他側の気化器CBと呼ぶ。
そして、一側の気化器CAの一側の絞り弁軸11Aと、他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bの、対向する端部には連結同調装置が設けられる。
【0012】
連結同調装置について、拡大された図3により説明する。
一側の絞り弁軸11Aの対向端部11Cには一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bに直交して一側の絞り弁レバー13Aが固定的に配置されるもので、本例ではナットによって螺着固定された。
この一側の絞り弁レバー13Aの外周端には、一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bに沿って、一側のロッド14Aが取着される。
この一側のロッド14Aの基部Kは一側の絞り弁レバー13Aに螺着されて固定され、その先端に設けた一側の球面凹部14B内にはソロバン球状の一側の球形ジャーナル15Aが回転自在に嵌合配置される。
この一側の球形ジャーナル15Aの中心には、外側端面15Bから内側端面15Cに向けて挿通孔15Dが貫通して穿設される。
【0013】
他側の絞り弁軸11Bの対向端部11Dには他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bに直交して他側の絞り弁レバー13Bが固定的に配置されるもので、本例ではナットによって螺着固定された。
この他側の絞り弁レバー13Bの外周端には、他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bに沿って、他側のロッド14Cが取着される。
この他側のロッド14Cの基部Kは他側の絞り弁レバー13Bに螺着されて固定され、その先端に設けた他側の球面凹部14D内には他側の球形ジャーナル15Eが回転自在に嵌合配置される。
この他側の球形ジャーナル15Eの中心には、外側端面15Fから内側端面15Gに向けて挿通孔15Hが貫通して穿設される。
【0014】
16は、ボルトであり、一端にその径が拡大された係止鍔部16Aが形成され、他端にオネジ16Bが刻設される。
このボルト16は、一側の球形ジャーナル15Aの挿通孔15Dから他側の球形ジャーナル15Eの挿通孔15Hを貫通して配置されるものであり、このときボルト16の係止鍔部16Aは環状のワッシャーWを介して一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15Bに当接し、
一方、他側の球形ジャーナル15Eの挿通孔15Hを貫通して外側方に突出するオネジ16BにはナットNが螺着されるもので、このナットNはワッシャーWを介して他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15Fに当接する。
【0015】
一方、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15Cと、他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gとの間に位置するボルト16の外周にはスプリング17が縮設されるもので、スプリング17の一端はワッシャーWを介して一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15Cに当接され、スプリング17の他端は、ワッシャーWを介して他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gに当接する。
【0016】
以上によると、ボルト16は絞り弁軸11A,11Bの長手軸心線B−Bに略直交して一側の球形ジャーナル15Aの挿通孔15Dと他側の球形ジャーナル15Eの挿通孔15H内を挿通して配置される。
この状態において、ボルト16の係止鍔部16A、ワッシャーW、一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15B、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15C、ワッシャーW、がスプリング17によって弾性的に当接され、一方、ナットN、ワッシャーW、他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15F、他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15G、ワッシャーW、がスプリング17によって弾性的に当接される。
【0017】
そして、係止鍔部16Aと一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15Bとの間に配置されたワッシャーWと、該ワッシャーに対向する一側のロッド14Aの先端の外側端面14Eとの間には間隙Sが形成される。
又、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15Cに当接して配置されるワッシャーWと、該ワッシャーに対向する一側のロッド14Aの先端の内側端面14Fとの間には間隙Sが形成される。
又、他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gに当接して配置されるワッシャーWと、該ワッシャーに対向する他側のロッド14Cの先端の内側端面14Gとの間には間隙Sが形成される。
更に又、ナットNと他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15Fとの間に配置されるワッシャーWと、該ワッシャーに対向する他側のロッド14Cの先端の外側端面14Hとの間には間隙Sが形成される。
【0018】
尚、18は、一側の気化器CAの一側の絞り弁軸11Aの他端に一体的に設けた操作レバーであり、この操作レバー18は図示されないアクセルにアクセルワイヤー19によって連絡される。
20は一側の絞り弁軸11Aに、反時計方向のバネ力を付与し、絞り弁9に閉方向の力を与える絞り弁リターンスプリングである。これらは図2に示される。
【0019】
以上述べた絞り弁軸の連結同調装置によって一側の気化器CAと他側の気化器CBとが連結されて多連式気化器が構成され、この状態において、気化器CA,CBは連結ステー等によって機械的に連結されないもので、非連結状態であるという。
この多連式気化器が図示されぬ機関へ装着される。
そして絞り弁9の開閉は以下の如く行なわれる。
図4は図2において、F側よりみた連結同調装置の要部側面図である。
【0020】
絞り弁9の開放は以下によって行なわれる。
アクセルワイヤー19を運転者が牽引すると、操作レバー18は図4において時計方向に回転し、一側の絞り弁軸11Aも同期して時計方向に回転する。
一側の気化器CAにあっては、一側の絞り弁軸11Aと同期的に連結レバー12Aが時計方向に回転するもので、この回転は連結リンク12Bを介して絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の時計方向の回転に応じて吸気路2を開放する。
【0021】
一方、この一側の絞り弁軸11Aの時計方向の回転によると、一側の絞り弁レバー13A、一側のロッド14A、一側の球形ジャーナル15Aもまた一側の絞り弁軸11Aと同期して時計方向に回転する。
そして、一側の球形ジャーナル15Aの時計方向の回転は、一側の球形ジャーナル15Aの内側端面15C−ワッシャーW−スプリング17−ワッシャーW−他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15G−他側の球形ジャーナル15E−他側のロッド14Cへと伝達され、他側の絞り弁レバー13Bを介して他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bを操作レバー18の回転に応じて時計方向へ回転させる。
以上によると、他側の絞り弁軸11Bの回転は、他側の気化器CBの連結リンク12Bを介して他側の絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の時計方向の回転に応じて吸気路2を開放する。
【0022】
そして、絞り弁9の閉塞は、以下によって行なわれる。
アクセルワイヤー19を運転者が戻すと、操作レバー18は絞り弁リターンスプリング20のバネ力により図4において反時計方向に回転し、一側の絞り弁軸11Aも同期して反時計方向に回転する。
一側の気化器CAにあっては、一側の絞り弁軸11Aと同期的に連結レバー12Aが反時計方向に回転するもので、この回転は連結リンク12Bを介して絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の反時計方向の回転に応じて吸気路2を閉塞する。
【0023】
一方、この一側の絞り弁軸11Aの反時計方向の回転によると、一側の絞り弁レバー13A、一側のロッド14A、一側の球形ジャーナル15Aもまた一側の絞り弁軸11Aと同期して反時計方向に回転する。
そして、一側の球形ジャーナル15Aの反時計方向の回転は、一側の球形ジャーナル15Aの外側端面15B−ワッシャーW−ボルト16の係止鍔部16A−ボルト16−ナットN−ワッシャーW−他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15F−他側の球形ジャーナル15E−他側のロッド14Cへと伝達され、他側の絞り弁レバー13Bを介して他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bを操作レバー18の回転に応じて反時計方向へ回転させる。
以上によると、他側の絞り弁軸11Bの回転は、他側の気化器CBの連結リンク12Bを介して他側の絞り弁9に伝達され、絞り弁9は操作レバー18の反時計方向の回転に応じて吸気路2を閉塞する。
以上をもって多連式気化器を構成する一側の気化器CAと、他側の気化器CBのそれぞれの絞り弁9は操作レバー18の回転に応じてそれぞれの気化器CA,CBの吸気路2を同期的に開閉するものである。
【0024】
そして、各気化器の絞り弁9の同調(絞り弁開度を合わせること)は以下の如く行なわれる。
すなわち、一側の気化器CAの絞り弁開度を基準とした状態で、ナットNをユルメると、スプリング17はワッシャーWを介して他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15Gを外方に向かって押圧するもので、これによると、他側のロッド14C、他側の絞り弁レバー13Bは、ナットNのユルメ代に相当して時計方向に回転する。
そして、この他側の絞り弁レバー13Bの時計方向の回転によると、他側の気化器CBの絞り弁9は、前述した通り他側の気化器CBの吸気路2を開放する。
【0025】
一方、一側の気化器CAの絞り弁開度を基準とした状態で、ナットを締め込むと、ナットNの締め付け力はワッシャーW−他側の球形ジャーナル15Eの外側端面15F−他側の球形ジャーナル15E−他側の球形ジャーナル15Eの内側端面15G−ワッシャーWを介してスプリング17に伝達されてスプリング17を圧縮させて移動させる。
これによると、他側のロッド14C、他側の絞り弁レバー13Bは、ナットNの締め代に相当して反時計方向に回転する。
この他側の絞り弁レバー13Bの反時計方向回転によると、他側の気化器CBの絞り弁9は、前述した通り、他側の気化器CBの吸気路2を閉塞する。
【0026】
従って、ナットNをユルメる、あるいは締め込むことによって他側の気化器CBの絞り弁9の開度を自在に開放側あるいは閉塞側に調整できるので、絞り弁の開度を極めて容易にして且つ正確に同調することができる。
【0027】
次に、一側の気化器CAの一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bに対して、他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bがθ度ズレて機関に装着された状態について説明する。
この状態は図5に示される。
かかる状態において、他側のロッド14Cは、他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bに沿って平行状態に、他側の絞り弁レバー13Bに取着されたことにより、他側の絞り弁軸11Bのズレと同様にθ度ズレて配置されることになる。
【0028】
一方、この他側のロッド14Cの先端部分は、他側の球面凹部14Dが他側の球形ジャーナル15Eに回転自在に嵌合配置されていること、及び正常時(他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bと一側の絞り弁軸11Aの長手軸心線B−Bとの同芯が保持されることを言う)において、他側のロッド14Cの先端の内側端面14Gとそれに対向するワッシャーWとの間、及び他側のロッド14Cの先端の外側端面14Hとそれに対向するワッシャーWとの間に、それぞれ間隙Sが形成されていること、から
かかる他側の気化器CBの他側の絞り弁軸11Bの長手軸心線B−Bがズレを生じた際にあっても、他側のロッド14Cは、他側の球形ジャーナル15Eを基準に回転するにとどまり、この他側のロッド14Cの回転によって他側の気化器CBの芯ズレ(θ度)は吸収される。
この芯ズレが許容される範囲は、それぞれのワッシャーWとそれに対向するロッドの端面との間に形成される間隙Sによって決定される。
すなわちロッドの先端部分が球面凹部内を回転し、ロッドの端面がそれに対向するワッシャーWに当接する迄許容される。
尚、この間隙は適宜決定されるものである。
【0029】
又、図5に示した実施例は、他側の気化器CBがθ度ズレたものであるが、両側の気化器CA,CBが共にV型にズレた際、あるいは、そのズレが上下方向にズレた際にあっても、そのズレは吸収される。
そして、かかるズレが生じた際における各絞り弁軸の連結機能及び絞り弁の同調機能は依然として保持される。
【0030】
そして、各ロッド14A,14Cの基部Kを各絞り弁レバー13A,13Bに螺着し、各ロッド14A,14Cを螺動調整することによると、各ロッド14A,14Cの各絞り弁レバー13A,13Bからの突出高さを可変調整することが可能となるもので、これによると、互いに隣接する気化器CA,CB間の連装ピッチPが異なった際において格別に部品を設けることなく、極めて容易に対応することができ、汎用性の高い非連結多連式気化器を提供できる。
【0031】
尚、本実施例における絞り弁は、摺動絞り弁を用いたものであるが、バタフライ型の絞り弁が取着される絞り弁軸に採用したものでもよい。
又、二連式気化器の実施例が示されるが、三連式、四連式の多連気化器であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上の如く、本発明になる非連結多連式気化器における絞り弁軸の連結同調装置によると、非連結多連式気化器を構成する各気化器の絞り弁軸の長手軸心線がズレた際において、そのズレはロッドの球面凹部と球形のジャーナルが回動することによって吸収されるので絞り弁の連結を良好に維持することができる。
又、上記によって単一のアクセルワイヤーをもって各気化器の絞り弁軸を操作することができて、アクセルワイヤーの装着作業が簡素化され、更に車輌のワイヤリングの自由度を高めることができる。
又、絞り弁の同調は、単にナットを回動操作することによって行なうことができるもので、正確な絞り弁の同調を極めて簡単に行なうことができる。
更に又、ロッドの基部を絞り弁レバーに螺着したことによると、隣接する気化器のピッチ変更に対して極めて簡単に対応することが可能であって汎用性の高い非連結多連式気化器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】非連結多連式気化器を構成する単一の気化器の縦断面図。
【図2】本発明になる非連結多連式気化器の一実施例を示す上部平面図。
【図3】図2の連結同調装置部分を示す要部拡大平面図。
【図4】図2において、F側よりみた要部側面図。
【図5】図3の連結同調装置部分において、一側の絞り弁軸に対し、他側の絞り弁軸がθ度ズレた状態を示す要部拡大平面図。
【符号の説明】
11A 一側の絞り弁軸
11B 他側の絞り弁軸
13A 一側の絞り弁レバー
13B 他側の絞り弁レバー
14A 一側のロッド
14B 一側の球面凹部
14C 他側のロッド
14D 他側の球面凹部
15A 一側の球形ジャーナル
15D,15H 挿通孔
15E 他側の球形ジャーナル
16 ボルト
16A 係止鍔部
16B オネジ
N ナット
W ワッシャー
S 間隙
17 スプリング
CA 一側の気化器
CB 他側の気化器
K ロッドの基部
Claims (2)
- 気化器本体を貫通する吸気路を、
絞り弁軸によって操作される絞り弁にて開閉される気化器が、側方に複数個配置されるとともに各気化器の絞り弁軸の長手軸心線が同一直線上に配置される非連結多連式気化器において、
隣接する気化器の互いに対向する絞り弁軸の各対向端部に、
絞り弁軸の長手軸心線に直交する絞り弁レバーが固定配置され、
各絞り弁レバーには、絞り弁軸の長手軸心線に平行に沿い、
その基部が絞り弁レバーに取着され、
その先端に設けた球面凹部内には、挿通孔が貫通して穿設された球形ジャーナルが回転自在に嵌合されたロッドが配置され、
一端に係止鍔部が形成され、他端にオネジが刻設されたボルトは、絞り弁軸の長手軸心線に略直交するとともに一側の球形ジャーナルの挿通孔を通って他側の球形ジャーナルの挿通孔を貫通して配置され、
該ボルトの係止鍔部は一側の球形ジャーナルの外側端面に当接するとともにオネジに螺着されるナットは他側の球形ジャーナルの外側端面に当接し、
更に一側の球形ジャーナルの内側端面と他側の球形ジャーナルの内側端面との間にスプリングを縮設したことを特徴とする非連結多連式気化器における絞り弁軸の連結同調装置。 - 前記ロッドの基部を絞り弁レバーに螺着したことを特徴とする請求項1記載の非連結多連式気化器における絞り弁軸の連結同調装置。
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JP24681995A JP3648576B2 (ja) | 1995-08-31 | 1995-08-31 | 非連結多連式気化器における 絞り弁軸の連結同調装置 |
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