JPH0415973Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は複数個の気化器を並列に配置して多気
筒エンジンの各気筒に接続する多連気化器、特に
エンジンの始動性を向上させるチヨーク弁を具え
た多連気化器に関するものである。

［従来の技術］ 一般にガソリンエンジンにおいては、始動時に
チヨーク弁を閉じて吸気量を制限するとともに絞
り弁を少し開くことにより、混合気の燃料濃度を
高めて円滑確実な始動を可能にしている。このチ
ヨーク弁は全閉される構造になつているが、全閉
状態でも適当量の空気が吸引されて比較的長時間
に亘り始動回転が維持できるように通気孔を設け
ることが広く行なわれている。

ところで、始動時のエンジン雰囲気温度に対す
るチヨーク弁開度の適否は特にエンジンの始動性
を大きく左右するものであつて、前記のように通
気孔を設けた場合、その大きさに応じて吸気路内
の負圧の強さ、従つて主ノズルからの燃料吸出し
量に差異を生じる。即ち、通気孔が大きいと空気
量が多くなつて負圧が低下し燃料吸出し量が少な
いために寒冷時の始動が困難となり、逆に通気孔
が小さいと燃料吸出し量が多く高濃度混合気とな
るために非寒冷時のエンジン始動が困難または不
可能となる。従つて、始動時のさまざまなエンジ
ン雰囲気温度に対して適切な通気孔の大きさを設
定することは実質的に不可能であつた。

一方、多気筒エンジンの各気筒に対応して気化
器を各別に設け、それらのチヨーク弁を互いに連
動させた多連気化器においては、一台のエンジン
に対し気化器が複数個であることを利用して各気
化器のチヨーク弁に設ける通気孔の大きさをそれ
ぞれ異ならしめることにより気筒毎に供給される
混合気の濃度が異なるようにし、エンジン雰囲気
温度に適合した濃度の混合気が供給される気筒に
おいて燃焼が行なわれ、初爆から完爆に移行させ
て他の気筒においても順次初爆させることが実公
昭53−12358号公報に開示されている。

しかしながら、各気化器のチヨーク弁毎に大き
さの異なる通気孔を設けるために寸法の異なる複
数種の治工具を準備してそれぞれによる加工を各
別に行なわなければならず、また管理する部品点
数が増加するので面倒であるとともに製造価格が
高価になるのを避けられない。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案が解決しようとする問題点は、多連気化
器においてエンジン雰囲気温度に対する始動可能
範囲を広くするため各気化器のチヨーク弁に大き
さが異なる通気孔を設けることは、製造面で面倒
であるとともに価格を上昇させる、という点であ
る。

［問題点を解決するための手段］ 前記問題点を解決するために、本考案は中心よ
りも主ノズル側に通気孔を設けたチヨーク弁を具
えた気化器と、中心よりも主ノズル反対側に通気
孔を設けたチヨーク弁を具えた気化器との組合せ
によつて構成することとした。

［作用］ チヨーク弁を全閉にした状態でエンジンをクラ
ンキングすると、吸気路のチヨーク弁下流側に負
圧を発生し主ノズルから燃料が吸出されるが、中
心よりも主ノズル側に通気孔を有するチヨーク弁
を具えた気化器に比べて主ノズル反対側に通気孔
を有するチヨーク弁を具えた気化器の方が吸出し
量が多く高濃度混合気を作る。このため、寒冷時
には後者気化器による混合気が供給された気筒が
先ず初爆して、非寒冷時には前者気化器による混
合気が供給された気筒が先ず初爆して完爆に移行
し他の気筒を初爆させるに至る。

［実施例］ 次に本考案の実施例を図面に基いて説明する。

並列する二個の気化器の各吸気路１，２１には
チヨーク弁軸２，２２がそれぞれ回転自在に支承
されて貫通している。このチヨーク弁軸２，２２
には図示しない共通の絞り弁操作杆に連動する連
動リンク機構が連結しており、絞り弁３，２３が
その連動リンク機構の作動により同時に開閉でき
るように構成されている。

チヨーク弁軸２，２２には、吸気路１，２１内
においてチヨーク弁４，２４がそれぞれ取付けら
れており、この両チヨーク弁４，２４にはそれぞ
れ異なつた位置において通気孔５，２５が形成さ
れている。即ち、第１の吸気路１に設けられたチ
ヨーク弁４の通気孔５は中心のチヨーク弁軸２よ
りも主ノズル６側に、第２の吸気路２１に設けら
れたチヨーク弁２４の通気孔２５は中心のチヨー
ク弁軸２２よりも主ノズル６と反対側に形成され
ている。

尚、通気孔５，２５は穴の代りにチヨーク弁
４，２４の外周部分を切欠いたものであつてもよ
く、また通気孔５，２５の位置はチヨーク弁軸
２，２２を境に一方側の半円形範囲内でエンジン
に適応した適正な位置に設定される。

このように構成した本実施例は、周知のように
多気筒エンジンの各気筒に気化器を一個ずつ接続
して燃料を供給するものであり、両チヨーク弁
４，２４を全閉にした状態でエンジンを始動のた
めにクランキングすると、両吸気路１，２１に負
圧が発生して主ノズル６から燃料が吸出され、同
時に各チヨーク弁４，２４に形成された通気孔
５，２５から吸入される空気と混合して濃混合気
を生成しエンジンに供給される。ところで、チヨ
ーク弁４，２４に形成された通気孔５，２５の位
置によつて吸気路１，２１内の負圧分布状態が相
違する。即ち、吸気路１，２１の中心軸線に直角
の断面について見ると、通気孔５，２５に対応す
る部分は他の部分よりも空気が大量に流れて負圧
が低い。

従つて中心のチヨーク弁軸２よりも主ノズル６
側に通気孔５を有するチヨーク弁４を具えた第１
の気化器に比べて主ノズル６の反対側に通気孔２
５を有するチヨーク弁２４を具えた第２の気化器
の方が主ノズル６に高い負圧が作用して燃料吸出
し量が多く高濃度混合気を作る。

このため、寒冷時には後者気化器による混合気
が始動に適し、この混合気が供給された気筒が初
爆して完爆に移行し、続いて前者気化器による比
較的希薄な混合気が供給される気筒においても初
爆が行なわれるようになる。非寒冷時には前者気
化器による混合気が始動に適し、この混合気が供
給された気筒が初爆して完爆に移行し、続いて後
者気化器が接続された気筒においても初爆が行な
われるようになる。そして、始動後は従来と同様
にチヨーク弁４，２４が開かれ、通気孔５，２５
の位置の影響が次第になくなつて同一濃度の混合
気が各気筒に供給されるようになる。

尚、チヨーク弁４，２４は常に全閉状態で始動
させることなく、エンジン雰囲気温度に応じ適宜
開いた状態で始動させることにより通気孔５，２
５の影響を低減し混合気濃度を全閉時よりも薄く
することができる。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によればさまざまなエン
ジン雰囲気温度において適正濃度の混合気をエン
ジンの一部の気筒に供給し、確実にエンジンを始
動することができるものである。

また、チヨーク弁に形成される通気孔の位置を
変更するのみでよく、例えば同一個所に同一大き
さの通気孔を設けて弁軸への取付けの際に通気孔
の位置を変えることによりチヨーク弁を簡便且つ
安価に製作できるもので、実用上きわめて有益な
ものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す縦断面図である。 １，２１……吸気路、４，２４……チヨーク
弁、５，２５……通気孔、６……主ノズル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数個の気化器が並列に配置されそれらのチヨ
   ーク弁が互いに連動させられる多連気化器におい
   て、前記複数個の気化器が中心よりも主ノズル側
   に通気孔を設けたチヨーク弁を具えた気化器と、
   中心よりも主ノズル反対側に通気孔を設けたチヨ
   ーク弁を具えた気化器との組合せからなることを
   特徴とする多連気化器。