JP3648255B2 - 電子放出デバイスにおいて材料、特に余分なエミッタ材料を除去するためのインピーダンス利用電気化学技術及び電気化学的方法 - Google Patents
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Description
本発明は、同種の所望部分の材料を除去することなく、部分的に仕上げた構造体から不要部分の材料を除去することに関連し、特にその構造体が、フラットパネルタイプの陰極線管(「CRT」)ディスプレイのような構造物に適した、通常カソードと呼ばれる電子放出デバイスである場合の除去に関連する。
背景技術
電界放出カソード(或いは電界エミッタ)は、十分な強度の電解をかける際に電子を放出する一群の電子放出素子を含む。電子放出素子は典型的には、エミッタ電極のパターン形成層上に位置する。ゲート型電界エミッタでは、典型的にはパターン形成ゲート層が、電子放出素子の位置においてパターン形成エミッタ層の上層をなす。各電子放出素子は、ゲート層の開口部を介して露出する。選択されたゲート層部分と選択されたエミッタ層部分との間に適当な電圧がかかる場合、ゲート層は、2つの選択された部分の交差部において、電子放出素子から電子を抽出する。
電子放出素子は円錐形をなす場合が多い。図面を参照すると、第1a図−第1d図は、例えばSpindt等による米国特許第3,755,704号に開示される、フラットパネルCRTディスプレイ用のゲート型電界エミッタにおける円錐形電子放出素子を形成するための従来技術を示す。第1a図に示される段階では、部分的に仕上げられた電界エミッタは電気的絶縁性基板20、エミッタ電極層22、中間誘電体層24及びゲート層26からなる。ゲート開口部28がゲート層26を通って延在する。それに対応する幾分幅広の誘電体開口部30が誘電体層24を通って延在する。
小さな視射角(grazing angle)の堆積手順を用いて、リフトオフ層32が第1b図に示されるようにゲート層26の上側に形成される。エミッタ材料が、エミッタ材料を開口部30に入れるためのアパーチャが徐々に閉じるように、構造体の上側及び誘電体開口部30内に堆積される。米国特許第3,755,704号では、閉塞材料は小さな視射角で同時に堆積され、堆積アパーチャの閉塞を助長する。それにより概ね円錐形の電子放出素子34Aが、エミッタ層22上の複合開口部28/30内に形成される。第1c図を参照されたい。エミッタ/閉塞材料の連続層34Bがゲート層26の上側に形成される。その後リフトオフ層32が除去され、余分なエミッタ/堆積材料層34Bを除去する。第1d図はその結果形成された構造体を示す。
余分なエミッタ/閉塞材料層34Bを除去するためにリフトオフ層32を利用することは、様々な理由により問題がある。リフトオフ材料の一部が必然的にゲート層26の側面縁部に沿って蓄積する。これは、エミッタ材料を最初に堆積するために通過する開口部の大きさを縮小し、電子放出素子34Aを縮小するのを困難にする。リフトオフ層32の小視射角堆積は、電界エミッタの横方向面積が増大する際に徐々に困難になり、それにより電界エミッタ面積を拡大することに対する障害となる。
リフトオフ材料の堆積は、リフトオフ材料がエミッタ層22上に蓄積せず、コーン34Aが余分な層34Bの剥離中に剥離されないことを確実にするために注意深く実行されなければならない。層34Bはリフトオフ層32を除去するための犠牲層として除去されるため、除去されたエミッタ材料の粒子は、電界エミッタを汚染するようになる。さらにリフトオフ材料の堆積には製造時間がかかり、その結果コストが上昇する。
WilshawによるPCT特許出願WO96/06443号は、各電子放出素子が円柱上に位置するモリブデン製コーンからなるゲート型電界エミッタを製造するためのプロセスを開示する。ゲート層の開口部を介してモリブデンを堆積中にゲート層上に蓄積する余分なモリブデンの層を電気化学的に除去し、電子放出素子の円錐形部分を形成するために、Wilshawの特許は、水性の電解液を用いて、ニオブ製ゲート層に2−4Vの電位をかける。
余分なモリブデンを電気化学的に除去する直前に、Wilshawの特許は下側金属層を除去する。その結果、Wilshawの電子放出素子は、余分なエミッタ材料を電気化学的に除去している間、互いから電気的に絶縁される。その電気化学的除去ステップ中に、余分なモリブデンに電気的に短絡される電子放出素子もあるため、Wilshawの特許は短絡していない電子放出素子を保護するために絶縁することが必要となるが、それはそうでなければ電子放出素子が背面金属層及び短絡した素子を通して余分なモリブデンに電気的に短絡され、その結果余分なモリブデンの除去中に電気化学的に侵蝕されてしまうためである。後に、Wilshawの特許は背面上で、短絡した電子放出素子を無効にする操作を実行する。最終的に、Wilshawの特許は電子放出素子の底面上に抵抗層を、その抵抗層上にエミッタ電極の層を形成する。
Wilshawの電気化学的除去技術では、余分なエミッタ材料の層を除去するためにリフトオフ層を用いる必要がない。しかしながら余分なモリブデンを電気化学的に除去する前に背面金属層を除去し、その後電気化学的除去を終了した後にエミッタ電極を形成するために、時間がかかり、いくつかの複雑な製造ステップが必要となる。付加的な電気的短絡解消操作を実行するために、さらに製造時間及び複雑さが増す。少なくとも部分的に円錐形状をなす電子放出素子を備えるゲート型電界エミッタを製造する場合、Wilshawの特許の非効率的な製造或いはリフトオフ層を利用することによる製造の難しさを招くことなく、余分なエミッタ材料を含む層を除去するための技術を用いることが望ましい。
余分なモリブデンを除去するためにWilshawが水性の電解液を利用したことが難しさをもたらす。モリブデン(その通常のイオン電荷状態は+6)のような金属のイオンの高い電荷対半径値(charge−to−radius value)により、これらの金属は、金属水酸化物、金属酸化物並びにまた金属酸化物水和物として、水性電解液から容易に沈殿するようになる。その沈殿物は電子放出素子を被覆し、その有用性を破壊する。ゲート層のニオブを電気化学的に除去することなく、推定に基づいて沈殿の問題を解決するために、Wilshawが用いた2−4Vの電気化学的除去電位は非常に高く、その結果ゲート金属として用いられる可能性が高い多くの他の金属を電気化学的に著しく侵蝕してしまうであろう。不要な沈殿をなくすために、より簡単で、柔軟性のある方法を用いることが望ましい。
発明の全般的な開示
本発明は、著しく電気化学的に侵蝕することなく、従って除去される材料と同じ化学的成分からなる他の材料を著しく除去することなく、構造体からある材料を選択的に除去するための、効率的で、しかも比較的簡単な電気化学的手順を提供する。本発明の電気化学的除去手順は、通常インピーダンスを利用する。また本発明は、電気化学的除去手順用の有機系電気化学方法も提供する。
本電気化学除去技術におけるインピーダンス利用法は、典型的には構造体の常設部分を構成し、いかなる場合にも、電気化学的除去操作中に構造体内に存在するインピーダンス構成体で実装される。インピーダンス構成体は、構造体内に残されることになる1つ或いはそれ以上の材料部分が、除去されることになる材料に電気的に結合する際に生じる電気的短絡問題を解決するように設計された特性を有する。インピーダンス構成体の存在により、そのような電気的短絡部は通常それぞれ、除去の選択度を損なうことなく、電気化学的除去中に自動的に修復(すなわち排除)される。
本発明に従えば、電気化学的に材料を除去する際にリフトオフ層を用いる必要はない。本発明の電気化学的技術を用いて、少なくとも部分的に電子放出素子を形成するために制御電極の開口部を介してエミッタ材料を堆積する間に、電子エミッタの制御電極上に蓄積する余分なエミッタ材料を除去する際に、電子放出素子の下に位置するエミッタ電極は、電気化学的除去中に適所に残されるようになる。Wilshawの特許とは異なり、除去操作中に電子放出素子を電気的に絶縁するために、電気化学的除去を実行する前に下側導電層を除去し、その後基本的には除去終了後に代替のエミッタ電極を形成する必要はない。
またWilshawの特許のように、電気的に短絡した電子放出素子を修復するために個別の、複雑になる可能性がある操作を実行する必要もない。本発明では製造ステップ数が削減され、それにより製造時間及びコストを節約する。
本発明は、リフトオフ層を用いることにより、電子放出素子の縮小時に及び電子エミッタの横方向面積の拡大時に生じる問題を軽減する。リフトオフ層を用いることにより生じる可能性のある意図していない電子放出素子の剥離がなくなる。また本発明はリフトオフ層を利用することにより生じるようになるエミッタ材料粒子による汚染の問題をなくすことができる。従って本発明により、電子放出素子の製造を、効率的に経済的に終了することができる。
本電気化学的手順の第1のステップは、少なくとも部分的に第1の材料からなる第1の電気的非絶縁性領域を含む最初の構造体を設けることである。以下に議論するように、「電気的非絶縁」は、導電性あるいは電気的抵抗性を意味する。例えば第1の非絶縁領域は、電子放出素子を形成するためのエミッタ材料の堆積中に蓄積する余分なエミッタ材料の層である。
電気化学的除去手順がインピーダンスを利用する場合、最初の構造体は、電子放出素子のような多数の電気的非絶縁性部材に電気的に結合されるインピーダンス構成体(1つ或いはそれ以上のインピーダンス素子からなる)を含む。各非絶縁性部材は、第1の非絶縁性領域と同様に、少なくとも部分的に第1の材料からなる。エミッタ電極のような電極は典型的にはそのインピーダンス構成体を介して非絶縁性部材に電気的に結合される。意図してはいないが、非絶縁性部材の小断片が、この時点で非絶縁性領域に短絡されたり、並びにまた本発明の電気化学的除去操作中に非絶縁性領域に短絡するようになる場合がある。
最初の構造体がそのように配置される場合、第1の非絶縁性領域の第1の材料の少なくとも一部が、非絶縁性領域に選択した電位をかけることにより電気化学的に除去される。除去ステップは通常、電解液、好ましくは有機溶剤及び酸を含む電解液に最初の構造体を晒す過程を伴う。除去ステップ中に、インピーダンス構成体は、非絶縁性領域に短絡しない各非絶縁性部材の第1の材料が著しく侵蝕されないほど十分に高いインピーダンスを有する。
詳細には、十分に高いインピーダンスを示すインピーダンス材料を選択することにより、短絡していない非絶縁性部材は、第1の非絶縁性領域に短絡したあらゆる非絶縁性部材から有効に電気的に絶縁される。こうして選択した電位、すなわち非絶縁性領域の第1の材料を電気化学的に除去するために非絶縁性領域にかけられる電位は、短絡していない非絶縁性部材に伝達されない。それゆえ短絡していない非絶縁性部材は、非絶縁性領域に選択した電位がかかることにより生じる著しい電気化学的侵蝕を受けることはない。
重要なことは、あらゆる短絡された非絶縁性部材の第1の材料が電気化学的除去手順中に大部分侵蝕されることである。十分な量の第1の材料が除去されて短絡がなくなる場合、侵蝕は終了する。従って第1の非絶縁性領域とあらゆる非絶縁性部材との間の短絡は、インピーダンス構成体及びその下側の電極を除去する必要もなく、本発明では自動的に修復される。非絶縁性部材の第1の材料がどの程度残されるかに応じて、多くの場合ここで修復された非絶縁性部材が意図した機能を実行できるようになる。
本発明の有機系電気化学的方法を本電気化学除去手順に用いる場合、多数の非絶縁性部材は、インピーダンス構成体と共に、少なくとも部分的に第1の材料からなる第2の電気的非絶縁性領域と簡単に広範に置き換えられるようになる。第2の非絶縁性領域は典型的には電子放出素子である。上記内容と同様に、第1の非絶縁性領域の第1の材料の少なくとも一部は、有機溶剤及び酸を含む電解液に第1の非絶縁性領域の第1の材料を接触させる過程を含む手順により電気化学的に除去される。除去ステップは、第2の非絶縁性領域の第1の材料が、除去ステップ中に著しく侵蝕されないように行われる。
本電解液に有機溶剤を利用することは、Wilshawの特許で用いられた溶剤のような、水が溶剤である電解液より優れたいくつかの利点を与える。モリブデンのような、特に電子放出素子に適しているが、高イオン電荷対半径値を有する金属の電気分解により生成されたイオンは通常、有機溶剤において高い可溶性を有する。Wilshawの水性電解液と比べると、金属の沈殿に関する問題点は、本発明により用いられる有機溶剤では概ね低減される。不要な沈殿を避けると共に、ゲート或いは制御電極の選択を著しく制限することになる不当に高い電気化学的除去電位を用いる必要もない。
電気化学的除去は、水性電解液ではなく、有機溶剤を利用する電解液を用いて迅速に実行されることができる。特に電気分解は、反応速度が上がり、イオン移動度が高くなり、さらに電解液の粘性が低減されるため、高温でより急速に促進される。本電解液に用いられる有機溶剤を適切に選択することにより、有機溶剤は水より高い沸点を有することができる。従って電気分解は、水性の電解液を用いる場合より、本発明の電解液を用いる場合には、高温で実行することができる。より高い温度でより速く電気分解が行われるため、本電解液を用いる場合、処理時間が低減される。
電気分解反応生成物の溶解度は、高温で増大する。この要因を、水中より有機溶剤中で大きい金属−イオン溶解度と組み合わせることにより、本電解液に対する寿命が増加する。本発明を用いることにより、さらに製造コストが低減される。
本発明の電解液に利用される酸は、上記のように、典型的には有機酸である。有機酸は硫黄含有酸で形成されることが好ましい。また電解液は典型的には塩、通常有機塩を含む。
要するに、本発明により実現される電気化学的方法は特に、構造体の別の部分における同じ化学的成分からなる材料を除去することなく、構造体のある部分から選択的に材料を除去する際に有用である。その除去操作は、迅速に、効率的に、しかも複雑になることなく行われる。本発明ではある種の電気的短絡が自動的に修復される。電気化学的除去を実行する前に、存在する場合には、インピーダンス構成体或いはエミッタ電極を除去する必要はない。またリフトオフ層を用いる必要もない。従って本発明は従来技術より優れた著しい進歩を実現する。
【図面の簡単な説明】
第1a図−第1d図は、電子エミッタの電子放出素子を形成するための従来のプロセスにおけるステップを表す断面構造図である。
第2a図−第2c図は、ゲート型電界エミッタの円錐形電子放出素子を形成するための本発明の電気化学的教示内容に従ったプロセスの流れのステップを表す断面図である。
第3a図及び第3b図は、第2a図−第2c図の手順において利用される定電圧電気化学システムの2つの実装形態の断面模式図である。
第4a図及び第4b図は、第3a図及び第3b図に示されるタイプの定電圧電気化学システムにおいて一定の金属を電気化学的に除去するための駆動電圧の関数としての電池電流のグラフである。
第5a図−第5d図は、第2a図−第2c図のプロセスの流れの実装形態におけるステップを表す断面構造図である。
第6a図及び第6b図は、第5c図及び第5d図の各構造体の配置図である。第5c図の断面は第6a図の平面5c−5cを通して見たものである。第5d図の断面は第6b図の平面5d−5dを通して見たものである。
第7図は、第2a図−第2c図のプロセスの流れの別の実装形態により製造される構造体の断面構造図である。
第8a図−第8d図は、第2a図−第2c図或いは第5a図−第5d図のプロセスより製造される電界エミッタのエミッタインピーダンス構成体に対する実装形態の断面図である。
第9図は、本発明により製造される電子放出素子を備えるゲート型電界エミッタを含むフラットパネルCRTディスプレイの断面構造図である。
同一、或いは非常によく似た部分を表すために、図面及び好適な実施例の説明では同様の参照符号が用いられる。
好適な実施例の説明
本発明は、ゲート型電界放出カソード用の電子放出素子を形成する際に、余分なエミッタ材料を除去するために、インピーダンス利用の電気化学的技術を利用する。そのような電界エミッタは、フラットパネルテレビ或いはフラットパネルビデオのフラットパネルディスプレイ、またパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ或いはワークステーション用のモニタの陰極線管において、フェースプレート上の燐光領域を励起するのに適している。
以下の記載では、用語「電気的絶縁性」(或いは「誘電性」)は概ね1010Ω・cmより大きい抵抗率を有する材料に適用される。従って用語「電気的非絶縁性」は、1010Ω・cm未満の抵抗率を有する材料に適用される。電気的非絶縁性材料は、(a)抵抗率が1Ω・cm未満の導電性材料と、(b)抵抗率が1Ω・cmから1010Ω・cmの範囲にある電気的抵抗性材料とに分けられる。これらの区別は、1V/μm以下の電界強度で確定される。
導電性材料(或いは電気導体)の例は金属、金属半導体化合物(例えば金属シリサイド)及び金属半導体共晶体である。また導電性材料は、中レベル或いは高レベルにドープ(n型或いはp型)された半導体を含む。電気的抵抗性材料は、真性及び低レベルにドープ(n型或いはp型)された半導体を含む。電気的抵抗性材料のさらに別の例は、(a)サーメット(金属粒子を埋め込んだセラミック)のような金属絶縁体複合体、(b)グラファイト、非晶質炭素及び改質(例えばドーピング或いはレーザ改質)ダイヤモンドのような形態の炭素及び(c)シリコン−炭素−窒素のような一定のシリコン−炭素化合物である。
本発明の電気化学的除去技術を実行する際に発生する電位の値は、便宜上、International Union of Pure and Applied Chemistsの標準水素電極スケール(standard hydrogen electrode scale)に対して定義される。この標準規格をここでは「標準水素電極」と呼ぶ。
第2a図−第2c図(集合的に「第2図」)は、ゲート型電界エミッタ用の電子放出素子の形成中に余分なエミッタ材料を除去するために、本発明によるインピーダンス利用の電気化学的技術が如何に利用されるかを示す。第2図の手順の開始点は、典型的にはセラミック或いはガラスで形成される電気的絶縁性基板40である。第2a図を参照されたい。基板40は、電界エミッタを支持するものであり、プレートとして形成される。例えば基板40は典型的には、約1mmの厚さを有するSchott D263ガラスのプレートからなる。フラットパネルCRTディスプレイでは、基板40は少なくともバックプレートの一部を構成する。
基板40の上側はエミッタ領域42である。エミッタ領域42は、(a)エミッタ電極にパターン形成される下側導電層42A及び(b)上側エミッタインピーダンス構成体42Bからなる。エミッタ電極層42Aは、基板40の上側に位置する。層42Aのエミッタ電極は、CRTフラットパネルディスプレイの画像素子(画素)の行方向において互いに概ね並列に延在し、行電極を構成する。層42Aは典型的には、ニッケル或いはアルミニウムのような金属からなる。層42Aの厚さは100−500nm、典型的には200nmである。
エミッタインピーダンス構成体42Bは、エミッタ電極層42Aの上側に位置する。最も小さい場合でも、インピーダンス構成体42Bは、各電子放出素子の下側をなす必要がある。構成体42Bは、電子放出素子が存在しない位置には、存在する必要はない。
インピーダンス構成体42Bは、様々に構成及び形成することができる。例えばインピーダンス構成体42Bは典型的には、電気的抵抗性材料からなる1つ或いはそれ以上のブランケット層からなる。またインピーダンス構成体は、電気的抵抗性材料からなる1つ或いはそれ以上のパターン形成層で形成されることもできる。構成要素42Bが電気的抵抗性材料で形成される場合、エミッタ領域42は、電気的非絶縁性領域である。インピーダンス構成体42Bの構成及び形状の他の例が以下に与えられる。インピーダンス構成体42Bの厚さは、そのインピーダンス値及び構成体42Bが所望のインピーダンス値を達成するために如何に実装されるかに依存する。
電気的絶縁層44は、電極間誘電体として機能し、上記構造体の上側に設けられる。絶縁層44の厚さは通常0.05−3μmの範囲にある。より詳細には、層44は100nm−500nm、典型的には150nmの厚さを有する。絶縁層44は典型的には酸化シリコン或いは窒化シリコンからなる。第2a図には示されないが、絶縁層44の一部は、インピーダンス構成体42Bの形状に応じて、基板40に接触する場合もある。
選択されたゲート材料からなるパターン形成された電気的非絶縁ゲート層46が電極間誘電体層44上に位置する。ゲート層46は通常30−500nmの範囲の厚さを有する。より詳細にはゲート厚は30−100nm、典型的には50nmである。ゲート材料は通常金属であり、クロム並びにまたニッケルであることが好ましい。ゲート材料の別の候補材料は、モリブデン、プラチナ、ニオブ、タンタル、チタン、タングステン及びチタン−タングステン等である。
ゲート層46は様々にパターン形成することができる。例えば、ゲート層46は、電子放出素子からの電子の放出を制御するための多数の概ね並列をなす制御電極として構成することができる。層46は典型的には、主要制御部分(ここでは図示せず)を備える一群の制御電極部分を形成しており、主要制御部分が層46の部分と接触し、互いに概ね並列に延在する。いずれの場合においても、制御電極は、エミッタ層42Aの行電極と垂直に延在し、画素の列に沿って延在する列電極を構成する。
多数の概ね円形の開口部48がゲート層46を通って延在する。ゲート開口部48の直径は、開口部48の形成方法によるが、0.05−2μmの範囲にある。より詳細にはゲート開口部の直径は80−400nmであり、典型的には150nmである。
多数の概ね円形の誘電性開口部(或いは誘電性開口空間)50が、絶縁層44を通りエミッタ領域42のインピーダンス構成体42Bまで下方に延在する。各誘電性開口部50は対応するゲート開口部48の1つに垂直に整列され、インピーダンス構成体42Bの一部を露出する複合開口部48/50を形成する。各誘電性開口空間50は、対応するゲート開口部48よりやや幅広である。従って絶縁層44は、複合開口部48/50に沿ってゲート層をアンダーカットする
種々の技術を用いて層44及び46の複合開口部48/50を形成することができる。例えば、開口部48/50はマスク、典型的にはフォトレジストマスクのアパーチャを介してゲート層46をエッチングし、ゲート開口部48を形成し、その後開口部48を介して絶縁層44をエッチングし、誘電性開口空間50を形成することにより形成されることができる。また複合開口部48/50は、Macaulay等によるPCT特許出願WO95/07543号に記載されるようなエッチング用荷電粒子痕跡(etched charged−particle tracks)を用いることにより形成することもできる。
上記の米国特許第3,755,704号に記載されるタイプの微細加工或いは選択エッチング技術を用いて、複合開口部48/50を形成することもできる。名称及び材料が異なることを仮定して、開口部48/0は、Spindt等による「Research in Micro−Size Field−Emission Tubes」(IEEE Conf.Rec.1966 Eighth Conf.On Tube Technique,20 Sept.1966.pages143−147)に記載される球体利用手順(sphere−based procedure)により形成することもできる。
電気的非絶縁性エミッタコーン材料は絶縁層44(或いはゲート層46)の上側表面に概ね垂直な方向に構造体の上側に蒸着される。エミッタコーン材料はゲート層46上に蓄積すると共に、ゲート開口部48を通過し、誘電性開口空間50のインピーダンス構成体42B上に蓄積する。ゲート層46上にコーン材料が蓄積することにより、コーン材料が開口空間50に入るための開口部は徐々に閉じる。これらの開口部が完全に閉じるまで堆積は実行される。その結果、コーン材料は誘電性開口空間50内に蓄積し、第2b図に示されるような対応するコーン電子放出素子52Aを形成する。コーン材料からなる連続(ブランケット)層52Bは、ゲート層46上に同時に形成される。
エミッタコーン材料は通常金属であり、ゲート層46がクロム並びにまたニッケルからなる場合、モリブデンであることが好ましい。コーン材料用の別の候補材料はニッケル、クロム、プラチナ、ニオブ、タンタル、チタン、タングステン、チタン−タングステン及びコーン材料がゲート材料とは異なることを条件とするとチタンカーバイドを含む。
適当なフォトレジストマスク(図示せず)を用いて、部分的に仕上げた電界エミッタの横方向周辺部に沿って位置する1つ或いはそれ以上の余分なエミッタ材料層46部分は除去される。従ってゲート層46の一部並びにまた(存在する場合)ゲート層46と接触する主要制御部の一部が、電界エミッタの横方向周辺部に沿って露出する。選択されたゲート層46の内側部分並びにまた主要制御部も典型的には、マスクしてエッチングする間に露出する。
ここで第3a図に模式的に示されるタイプのポテンシオスタット電気化学システムを用いて、第2b図のエッチングされた構造体上で電気化学的除去操作が実行される。第3a図の成形体52Cは、前段に記載されるエッチング後に残された余分なエミッタ材料層52Bの一部である。余分なエミッタ材料層52Cは電気化学操作中に除去される。
ごくわずかなコーン電子放出素子52Aが、余分な層52Cを電気化学的に除去する前にゲート層46に電気的に短絡するか、並びにまた電気化学的除去操作中にゲート層46に電気的に短絡するようになる。余分な層52Cがゲート層46と接触するため、これら全ての電子放出コーン52Cは余分な層52Cに短絡し、以下にさらに議論されるように、通常、層52の除去中に著しく侵蝕される。残りのコーン52A、すなわち層52Cに短絡していないコーン52Aは、層52Cが除去される際にも著しくは侵蝕されない。同様に、電気化学除去操作は、パターン形成されたゲート層46及び(存在する場合)制御電極の主要制御部を概ね侵蝕することなく行われる。
電気化学的除去システムは電気化学的電池60及び制御システム62で形成され、制御システムは電池動作を調整するポテンシオスタットの形態をなす。電気化学的電池60は、電解液64、電池壁65、カウンタ電極70及び基準電極72からなる。部分的に仕上げた電界エミッタは、電解液64に浸漬される。
カウンタ電極70は、典型的にはプラチナチタン合成或いはプラチナであり、電解液60に浸漬され、余分なエミッタ材料層52Cに並列に延在する。基準電極72は、典型的には銀/塩化銀或いは水銀/塩化第一水銀(カロメル電極)であり、電解液64内に、好ましくは層52Cに接近して位置する。
制御システム62は、作動電極端子WE、基準電極端子RE及びカウンタ電極端子CEを備える。電池60は作動電極導線73、電気的に絶縁された基準電極導線74及びカウンタ電極導線76により制御システムに電気的に接続される。導線73、74及び76は全て典型的にはプラチナ線或いは電気的に絶縁された銅線からなる。
作動電極導線73は制御電極に電気的に結合される。この結合は、ゲート層46が制御電極にパターン形成される際に、或いは(存在する場合)制御電極の主要制御部を介して、第3a図に示されるようにゲート層46に対して直接行われる。ゲート層46が余分なエミッタ材料層52Cと接触しているので、層46と52Cとの結合体及び主要制御部が、電池60に対する作動アノード電極を形成する。基準電極導線74は基準電極72に電気的に接続される。カウンタ電極導線76はカウンタ電極70に電気的に接続される。
電気化学的電池60はポテンシオスタット(定電位)モードで動作する。基準電極72は概ね再現性のある固定基準電位VRを与える。電極72が銀/塩化銀基準電極である場合、基準電位VRは、室温の標準水素電極に対して約0.2Vである。
制御システム62は、作動電極導線73を通常、基準電極導線74上の基準電位VRより概ね固定されたアノード電位VAだけ大きい、概ね一定の作動電極駆動電位VWEにするポテンシオスタットとして動作する。ある動作条件下では、アノード電位は負になり、作動電極駆動電位VWEがVRより小さくなる。第3a図では、電位VRが、ポテンシオスタット制御システム62の電圧源62Aにより供給されるように模式的に示される。駆動電位VWEは、標準水素電極に対してVA+VRに等しい。電位VWEは導線73及び制御電極(ゲート層46或いは層46と隣接する主要制御部との結合体により構成される)を介して、電気化学的除去手順実行中に余分なエミッタ材料を溶解するために余分な層52Cに加えられる。
制御システム62は、カウンタ電極導線76を、概ね一定のカウンタ電極電位VCEにする。基準電位VRはカウンタ電極電位VCEより概ね固定されたカウンタ電位VCだけ高い。第3a図では、カウンタ電位VCが、制御システム62の電圧源62Cにより供給されるように模式的に示される。カウンタ電極電位VCEはVR−VCに等しい。
エミッタ電極層42A上の電位は3つの方法の任意の1つにおいて操作することができるが、その全ての結果、(a)余分なエミッタ材料層52Cは電気化学的に除去され、(b)短絡したコーン52Aは典型的には短絡を修復するほど十分に侵蝕されるが、短絡していないコーン52Aは著しくは侵蝕されないようになる。
第1の方法では、エミッタ電極層42A上の電位は調整されないままである、すなわち層42Aの電位を制御するための特別な操作は行われない。いずれの短絡されたコーン52Aをも含む、層42Aに電気的に結合された材料により、層42A上の電位は、ゲート層46、余分な層52C及び(存在する場合)制御電極の個別主要制御部で形成される作動電極上の駆動電位VWEに近い値に達するようになる。短絡していないコーン52Aが、余分な層52Cを電気化学的に除去する間に著しく侵蝕されるのを防ぐために、層42A上の電位を操作するためのインピーダンス構成体42Bにより与えられるインピーダンスの最小値は、3つの技術で生じる値のうち最も高い。
第2の方法では、エミッタ電極層42Aは、電位VWEに対して負の電位に電気分解により自己バイアスされる。エミッタ電極自己バイアス技術は、電子放出コーン52Aに電気的に結合し、電解液64に接触する電気的非絶縁性材料を適切に選択することにより実行される。これらの電気的非絶縁性材料はインピーダンス構成体42B、エミッタ電極層42A及び層42Aに外部の電気的接続をもたらすさらに別の金属領域(図示せず)を形成する材料からなる。コーン52Aがインピーダンス構成体42Bを介してエミッタ電極層42Aに電気的に結合されるため、コーン52Aは作動電極に対して負の電位になる。
第3の方法では、エミッタ電極層42Aは、作動電極電位VWEより低い概ね一定のエミッタ電極電位VEEで有効に保持される。そのために、概ね固定されたエミッタ電位VEが、作動電極導線73とエミッタ電極層42Aに接続されるさらに別の電気導線79との間に接続される電圧源77により供給される。電圧源77及び導線79は選択により用いられるため、第3a図ではそれらは破線で示される。エミッタ電極電位VEEはVWE−VEに等しい。作動電極電位VWEはVA+VRに等しいため、電位VEEはVA+VR−VEに等しい。
この第3の技術において著しい電流がエミッタ電極層42Aを流れない場合、コーン52Aは通常エミッタ電極電位VEEに近くなり、そのため概ねVWEよりVE低いである。エミッタ電位VEの大きさは、余分な層52Cを電気化学的に除去する間に、余分な層52Cのエミッタ材料がコーン52A上を覆うようになるほど大きくしてはならない。
基準電位VRに対して、電位VWE及びVCEを供給し、利用する場合には電気化学的電池60に電位VEEを供給する電圧源の配列は、電位VwE、VCE及びVEEの所望の値が得られる限り、変更することができる。第3b図は、第3a図の電気化学的除去システムを実装するための別の方法を示す。第3b図の電気化学的電池60は、電池壁65ではなく、包囲壁66及びO−リング68を備える。電解液64が第3b図の電界エミッタの上側にのみ接触する。O−リング68により電解液64は壁66の底部において電池60から漏れないようにする。
第3b図の別の電気化学システムでは、作動電極導線73及び(用いられる場合)さらに別の導線79が電池60の外側に電気的に接続される。選択により用いられる電圧源77は、作動電極導線73ではなく、カウンタ電極導線76に電気的に接続される。エミッタ電極電位VEEが、両方の電気化学的除去システムにおいて概ね同じ値でエミッタ電極層42Aに供給されるため、第3a図の電位VEは、第3b図の電位VEからの値とは異なる。
コーン52A及び余分な層52Cのエミッタ材料が、そのイオンが高い電荷対半径値(すなわち平均に近い(close−to−average)半径の金属イオンに対して概ね高い原子価)を有する、概ね耐火性の金属、例えばモリブデンから概ね構成される場合、電解液64は有機溶剤及び酸電解液で形成される。電解液64の有機溶剤は室温の有極性有機液からなる。モリブデンの場合、電解液64用の適当な有機溶剤の例は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、エタノール及びメタノールである。電解液64の電気分解により生成される非常に高い荷電モリブデンイオン(Mo6+)はこれらの各溶剤に概ね溶解する。
電解液64中の酸電解液は無機酸或いは有機酸のいずれであってもよい。硫黄含有酸は高い解離定数を有し、高い反応速度をもたらすので、その酸は典型的には硫黄含有酸である。適当な硫黄含有無機酸の例は、硫酸、亜硫酸及びスルファミド酸である。有機酸の場合には、硫黄含有酸は通常スルホン酸であり、典型的には芳香族スルホン酸であり、詳細にはベンゼン環を有するものである。ベンゼン環を有する適当な芳香族スルホン酸はp−トルエンスルホン酸(「p−TSA」)である。
また電解液64は、有機或いは無機いずれかの塩電解液も含む。有機塩は典型的には有機溶剤中でより溶解しやすいため、塩電解液は通常有機塩である。より詳細には、有機塩は典型的には芳香族スルホン酸塩、特にベンゼン環を有するものである。ベンゼン環を有する適当な芳香族スルホン酸塩の例は、テトラエチルアンモニウムp−トルエンスルホネート(「TEAp−TS」)、テトラメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート及びテトラブチルアンモニウムp−トルエンスルホネートである。
コーン52A及び余分な層52Cのエミッタ材料が主にモリブデンからなり、一方パターン形成ゲート層46及び(存在する場合)制御電極の主要制御部の材料が主にクロム並びにまたニッケルからなる場合の電解液64の望ましい例は、
a. 有機溶剤としてDMSO((CH3)2SO)
b. 0.1−1.5、好ましくは0.5のモル濃度(mol/l)のp−TSA(CH3C4H4SO3H)
c. 0.05−0.75、好ましくは0.1のモル濃度のTEAp−TS(N(CH2CH3)4CH3C4H4SO3)
である。
好ましい0.5モルp−TSA及び0.1モルTEAp−TS値では、制御システム60の電圧源62Aがアノード電位VAを適当な値に設定し、電池駆動電位VWEを、標準水素電極を基準にして0.2−0.9Vの範囲の値、典型的には0.6Vに固定する。電圧源77が、典型的な0.6V値の電位VWEを有する第3a図の電気化学システムにおいて有効に用いられる場合、エミッタ電位VEは、エミッタ電極電位VEEを作動電極電位VE未満のこのVE量に設定するために、0.4−2.4V、典型的には0.5Vに等しい。
DMSOは約190℃の沸点を有する。その結果、電解液64についての以前の例を用いる電気分解は、水の沸点100℃より高い温度で行うことができる。余分なエミッタ材料層52Cの除去速度は非常に速い。DMSOは可燃性であるため、電気分解は、DMSO沸点未満の安全な距離で実行される。DMSOを溶剤として用いる場合、電気化学的除去は通常20−120℃、典型的には40−60℃で行われる。
電気化学的電池を以前の条件で動作させることにより、アノード駆動電位VWEにより供給される駆動力によって、余分なエミッタ材料層52Cのモリブデンはアノードにおいて酸化され、それにより電解液64中に、典型的にはMo6+として溶解される。従って余分な層52Cは構造体の上側から電気化学的に除去される。p−TSAを用いてその速度を調整し、その速度で余分な層52Cのモリブデンが酸化され、それにより電界放出構造体から除去される。p−TSA濃度を高めることにより、層52Cのモリブデンが所与の電位VWE値で酸化する速度も高まり、その逆も同様である。水素イオン(H+)がカウンタ電極70で還元され、水素ガスを生成する。
上記のように、ごくわずかな電子放出コーン52Aが、直接或いはゲート層46を介して、余分なエミッタ材料層52Cに電気的に短絡される。そのような電気的短絡は、コーン52Aがゲート層46に強制的に接触する結果、或いは1つ或いはそれ以上の導電性粒子がコーン52Aと層46或いは52Cとの間に留まる結果として生じる。導電性粒子は典型的には余分な層52から離脱したエミッタコーン材料からなる。
余分な層52Cに短絡される各コーン52Aは作動電極電位VWEを受信する。エミッタ電極層42AがVWE未満の電位に自己バイアスされる場合、或いは選択により用いられる電圧源77によりVWE未満の電位(VEE)に有効に保持される場合、電気化学的除去操作中の電位VWEとエミッタ電極電位との差は、その短絡したコーン52Aの下側をなすインピーダンス構成体部分の間で大きく降下する。従って、各短絡したコーンは、十分な量のエミッタ材料が余分な層52Cから除去され、その時点で存在する余分な層52Cの残り部分とそのコーン52Aのあらゆる残り部分との間に適当に大きな間隙が生成されるまで、電気化学的に侵蝕される。その間隙がその適当な幅に達し、元々短絡したコーン52Aの電位が材料を電気化学的に除去するために必要とされる値未満に降下するようになる際に、そのコーン52Aの侵蝕は終了する。
短絡したコーン52A上の電気化学的侵蝕は、そのコーン52Aの比較的小さな部分のみが除去された場合に、終了されることが多い。以前に短絡したコーン52Aがどの程度残っているか、及びその残った部分が如何なる形状をなすかによるが、そのコーン52Aの残りの部分は、電子放出素子として十分に機能することができる。あらゆる場合において、コーン52Aと余分な層52Cとの間の短絡は、本電気化学的手順を用いて層52Cを除去することにより排除される(修復される)。
余分なエミッタ材料層52Cを電気化学的に除去する間の電位及び電流では、インピーダンス構成体42Bのインピーダンスは十分に高く、余分なエミッタ材料層52Cに短絡していない全てのコーン52Aが、互いから、さらに重要なことには、余分な層52Cに短絡したあらゆるコーン52Aから有効に電気的に絶縁される。詳細には、そのコーン材料の酸化中に発生する電子が、ゲート層46、余分な層52C、主要制御部(存在する場合)及びあらゆる短絡したコーン52Aで形成される拡大された作動電極のある部分に達することができる電流経路が存在する場合にのみ、短絡していないコーン52Aは電気化学的に侵蝕されるようになる。電気化学的除去操作中に構成体42Bが高インピーダンスであることにより、短絡していないコーン52Aからエミッタ電極層42Aを通り、短絡したコーン52Aに至るあらゆる電流経路を実質的に遮断する。
エミッタ電極層42A上の電位が駆動電位VEに如何に接近することができるかにより、構成体42Bのインピーダンスが制御され、いくつかの短絡したコーン52A、例えば全コーン52Aの1〜2%の累積短絡電流が、ある著しい量の短絡していないコーン52Aの材料を除去するには不十分になる。通常、各短絡したコーン52Aの外側には、短絡していないコーン52Aを電気化学的に除去するのに必要とされる電流を流すだけの著しい電流経路は存在しない。従って短絡していないコーン52Aの表面において概ね化学的活性は生じない。
エミッタ電極層42A上の電位が調整されずにVWEに接近する可能性がある場合、電気化学的除去操作中に構成体42Bにより与えられる高インピーダンスが、短絡していないコーン52Aが電気化学的に除去されるのを防ぐために、単独で機能する。VWE未満の典型的には約0.5Vの適切な電位で、層42Aを自己バイアス或いは有効に保持することにより、短絡していないコーン52Aを保護する際に、インピーダンス構成体42Bを電気分解により助力することができる。本質的には、自己バイアス或いは有効電位保持技術を使用することは、短絡していないコーン52Aが、電気化学的に除去されるようになる電位に到達するのを困難にし、それにより構成体42Bについての要件を緩和する。すなわち電気化学的除去操作中の構成体42Bのインピーダンスは、無調整技術の場合より幾分低くてもよい。
例示が有用であろう。インピーダンス構成体42Bが電気的抵抗性材料からなる場合、構成体42Bは、通常のディスプレイ動作中にエミッタ電極層42Aと各コーン52Aとの間に、少なくとも106−1011Ω、典型的には109ΩのインピーダンスZBをもたらす。構成体42Bは、層52Cを電気化学的に除去する間に、著しく高い値のインピーダンスZBをもたらすように構成される。詳細には構成体42Bは、短絡していないコーン52A内を上方に流れる(正方向)電流に対して高インピーダンスを与える。無調整技術を用いる場合、余分な層52Cを除去する間、インピーダンスZBは典型的には約1011Ω以上になる。自己バイアス或いは有効電位保持技術を用いて層42AをVWE未満の電位電圧にする場合、電気化学的除去中のインピーダンスZBの最小値は、短絡したコーン52Aの数及び電気化学的方法の仕様に依存する。
電気化学的除去電池では、作動電極を通って流れる(正の)アノード電流IWEは、電解液及び駆動電位に晒される構造体から材料が電気化学的に除去される速度を示す。除去速度は通常、アノード電流IWEが増加すると共に速くなる。
好ましい0.5モルp−TSA及び0.1モルTEAp−TS値における上記の好ましいVWE電位範囲は、モリブデン、クロム及びニッケルの試料を除去するように個別に形成された電気化学的電池に対して、実験的にアノード分極曲線(電流IWEを加えられる駆動電位VWEの関数として表したもの)をモニタすることにより確定された。第4a図は実験結果を示しており、駆動電位VWEが標準水素電極を基準にして0.2−0.9Vの範囲にある場合、クロム及びニッケルに対する除去速度が、モリブデンに対する除去速度に比べて非常に小さいことがわかる。
コーン52A及び余分な層52Cがモリブデンで形成され、一方ゲート層46及び(存在する場合)隣接する主要制御部がクロム並びにまたニッケルからなる場合、有機溶剤を用いる電解液64の別の実施形態は、
a. 溶剤としてエタノール(CH3CH2OH)
b. 硫酸(H2SO4)
である。硫酸に対して適当なモル濃度が選択される場合、余分な層52Cは概ね上記方法により電気化学的に除去される。
コーン52A及び余分な層52Cがモリブデンからなり、一方パターン形成されたゲート層46及び(存在する場合)隣接主要制御部はクロム並びにまたニッケルで形成される場合、電解液64の別形態は以下の成分を含む水溶液である。
a. 0.005−0.05、典型的には0.01のモル濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)
b. 0.005−3.0、典型的には2.0のモル濃度の硝酸ナトリウム(NaNO3)
典型的な0.01モルNaOH及び2.0モルNaNO3の値では、アノード電位VAは制御システム62により適切な値に設定され、電池駆動電位VWEを、標準水素電極に対して0.6−1.0Vの範囲、典型的には0.8Vの値に固定する。この範囲は上記のように実験的に確定された。その実験結果が第4b図に表される。クロム及びニッケルに対する除去速度は、第4b図に示されるように、駆動電位VWEが0.6−1.0Vの範囲にある場合にモリブデンに対する除去速度に比べて非常に小さい。
電気化学的電池60が上記グラフに与えられる条件で動作する場合、余分な層52Cはその構造体から電気化学的に除去される。アノード電位VWEにより与えられる駆動力により、層52Cのモリブデンは酸化され、典型的にはMo(VI)イオンとして電解液64中に溶解されるようになる。窒化ナトリウムを用いてモリブデンの酸化を調整する。NaNO3の解離により生成されるNO3イオンは、酸化剤として機能する。NaNO3濃度が増加することにより、層52Cのモリブデンが酸化される速度も増加し、その逆も成り立つ。再び水素イオンの還元がカウンタ電極70において生じ、水素ガスが発生する。
第5a図−第5d図(集合的に「第5図」)は、電界エミッタが、パターン形成ゲート層46と接触する個別の導電性主要制御部80を設けられる場合の、第2図のプロセスの流れの実施形態を表す。第5a図は、図面の平面に対して垂直方向に延在するそのような1つの主要制御部80を示す。主要制御部80とゲート層46の主要制御部80と隣接する部分の組み合わせが複合制御電極46/80を形成する。一群の大きな制御アパーチャ82は、その1つが第5a図に示されており、各主要制御部80を通って延在する。各大きな制御アパーチャ82は多数の複合開口部48/50を露出する。第5a図の非絶縁領域42Aのエミッタ電極は、図の平面に対して平行に、水平に延在する。
コーン52A及び余分なブランケットエミッタ材料層52Bの堆積後の部分的に仕上げた電界放出構造体の外観が第5B図に示される。大きな制御アパーチャ82を介して以前に露出したゲート層46の部分と接触すると共に、余分な層52Bが主要制御部80上及び絶縁層44の一部の上に位置する。
第5c図は、構造体の横方向周辺部に沿って位置する余分なエミッタ材料を含む余分なエミッタ材料層52Bの一部を除去するためにマスクしてエッチングを実行した後に、その構造体が如何なる形状をなすかを示す。余分な層52Bの残りの部分は、対応するゲート層46の部分の上側をなす一群の矩形の島52Cからなる。第5c図の配置(平面)図が第6a図に示される。ゲート材料をパターン形成して、パターン形成ゲート層46を形成する際に用いたと同じレチクルを用いて、余分なエミッタ材料の島52Cを形成する際に用いるフォトレジストマスクを形成することにより、各島52Cの外側境界部は、上側をなすゲート層46部分の外側境界部と概ね垂直に整列される。
第5d図は、本発明のインピーダンス利用技術を用いて各島52Cを電気化学的に除去した後の構造体の外観を示す。第5d図に示されるように、ゲート層46及び主要電極部80の何れも、層52Cの除去中に概ね電気化学的に侵蝕されない。同様に短絡していないコーン52Aも、除去操作中に電気化学的に著しく侵蝕されることはなく、短絡していないコーン52A上の侵蝕(生じる場合)は、制御部46及び80上の(非常に小さな)侵蝕より著しく小さくなる。第5d図の構造体に対応する配置図が第6b図に示される。
第5図のプロセスの流れでは、主要制御部80はパターン形成ゲート層46の部分の上に配置される。別法では、ゲート層46は主要制御部の部分の上側をなすことができる。第7図は、ゲート層46が、図面の平面に対して垂直に延在する一群の導電性主要制御部84の部分的に上側に延在する別形態を示す。成形体52Dは、第7図に破線で示されており、マスクしてパターンをエッチングした後の余分なエミッタ材料層52Bの残りの部分を示す。余分な層52Dの形状は、第5c図のプロセスの流れにおける余分な層52Cと概ね同様の形状である。
インピーダンス構成体42Bのインピーダンス特性は、ディスプレイが短絡するのを保護することを含む、本電界エミッタの正常な動作中のフラットパネルディスプレイ性能を改善するように、また短絡していないコーン52Aの材料を著しく除去することなく余分なエミッタ材料層52Cを除去できるように選択される。正常なディスプレイ動作中、余分な電力消費を避けるだけ十分に低い値まで、また短絡したコーン52Aと同じ大きな制御アパーチャ82の他のコーン52Aを用いて達成される輝度レベルに著しく影響を与えないほど十分に低い値までその合成短絡電流を制限することにより、構成体42Bは電気的に短絡したコーン52Aからディスプレイを保護する。
ここで構成要素42Bのインピーダンス特性を詳細にみる際に、VGEをゲート層46と層42Aのエミッタ電極との間の電圧を表すものとする。VZを任意の電子放出コーン52Aの1つの下側をなすインピーダンス構成体42Bの厚さにかかる電圧を表すものとする。インピーダンス電圧VZがゲート−エミッタ電圧VGEの一成分である。ある特定の短絡していないコーン52Aに対する概ね全てのVGE降下が、ゲート層46とそのコーン52Aとの間の間隙に渡って生じる。こうして短絡していないコーン52Aに対するインピーダンス電圧VZはゲート−エミッタ電圧VGEより著しく小さい。
フラットパネルディスプレイの画素は通常、ゲート−エミッタ電圧VGEの個々の値に対応する多段階のグレースケール輝度を有する。VZLを正常なディスプレイ動作中の最小画素輝度レベルにおいて生じる動作VZ値を表すものとする。35Vの典型的な最大VGEレベルでは、下側動作値VZLは典型的には1V以下である。VZUを正常なディスプレイ動作中に生じる上側VZ値を表すものとする。短絡したコーン52Aは本発明を用いる場合に自動的に修復されるが、ある短絡したコーン52Aが正常なディスプレイ動作中に存在する場合もある。短絡コーン52Aの場合、そのゲート−エミッタ電圧VGEの概ね全値がインピーダンス構成体42B間にかかる。上側動作値VZEは典型的には電圧VGEの最大値である。従ってVZUは典型的には35Vである。
インピーダンスZBは、構成体42Bの厚さを通って流れる電流IZに対して、構成体42Bが示す垂直方向インピーダンスであり、電流IZは1つのコーン52Aの電流である。構成体42Bの特性は、インピーダンス電圧VZの大きさ(絶対値)が電気化学除去値VZRに近い場合に垂直方向インピーダンスZBが高くなり、かつ電圧VZが、下側動作値VZLから上側動作値VZUまでの正常な動作範囲にある場合、VZRの値に比べて相対的に低くなるように選択される。詳細には、インピーダンスZBは、電圧VZが−ZBR付近にある場合に高くなる。電界エミッタは通常概ね−VZUから−VZLのVZ値をかけられることはないことに注目されたい。従って、概ね−VZUから−VZL付近のVZ値における構成体42Bの特性はここでは対象外である。
インピーダンス電圧VZへのZBの依存性は、電気化学除去値VZRと下側動作値VZLとの間に存在する遷移VZ値を用いて数学的に表すことができる。VZTをこの遷移値を表すものとすると、垂直方向インピーダンスZBの大きさは、(a)インピーダンス電圧VZが−VZTと0との間にある場合に遷移値ZBTより大きく、また(b)電圧VZがVZTとVZUとの間にある場合に遷移値ZBTより小さい。インピーダンスZBの大きさは、電圧VZが0とVZTとの間にある場合、通常必要ではないが、典型的にはZBTより大きい。ZB特性が、インピーダンス電圧VZが−VZTより小さい領域に対して規定されていないことに注目されたい。これは、−VZUから−VZL付近のVZ値に対するインピーダンスZBの変動がここでは対象外であるという事実に一致する。VZLからVZUまでの正方向のVZ範囲では、インピーダンスZBの大きさは典型的には概ね一定である。インピーダンスZBは電圧VZと共に変化するため、インピーダンス構成体42Bの電流−電圧特性(「I−V」)は非線形、すなわち通常概ね非線形である。
インピーダンス構成体42Bが上記の非線形I−V特性を有するように配列することにより、電流IZが所望の画素輝度レベルを達成するために必要とされる値に容易に到達することができるほど、インピーダンスZBの大きさは、正常なデバイス動作中に十分に低くなる。一方インピーダンス電圧VZの大きさが、余分な層52Cの電気化学的除去中に生じる著しく大きな下側値ZRである場合には、インピーダンスZBの大きさは、短絡していないコーン52Aが互いに及び任意の短絡したコーン52Aから有効に電気的に絶縁されるように十分に増加する。こうしてコーン52Aの余分な層52Cへの任意の電気的短絡により、電気化学的除去操作が妨げられたり、短絡していないコーン52Aを損傷したりすることがない。
第8a図−第8d図は、上記I−D特性を達成するためにインピーダンス構成体42Bを実装する4つの異なる方法を示す。
第8a図では、構成体42Bは電気的抵抗性材料の層90からなる。RBを抵抗層90の垂直方向抵抗とすると、そのとき垂直方向抵抗RBは、(a)電圧VZが−VZTと0との間にある場合に遷移抵抗値RBTより大きく、また(b)電圧VZがVZTとVZUとの間にある場合にRBTより小さくなる。抵抗層90のI−V特性は通常0−IZ点について対称である。従って抵抗RBは、電圧VZが0とVZTとの間にある場合RBTより大きい。
抵抗層90はサーメット(すなわちセラミックに金属粒子を埋め込んだもの)或いはシリコン−炭素−窒素のようなシリコン−炭素化合物で形成することができる。層90の他の候補材料は、低濃度にドープされた多結晶半導体材料(例えば多結晶シリコン)、真性アモルファス半導体材料(例えば真性アモルファスシリコン)、大きなバンドキャップを有する半導体材料、窒化アルミニウム及び窒化バリウム等である。
インピーダンス構成体42Aは第8b図において二層抵抗体として構成される。二層抵抗体は下側電気的抵抗層92及び上側電気的抵抗層94からなる。抵抗92/94は抵抗層90に対して上記したのと同じ基本的な抵抗I−V特性を有する。下側抵抗層92は、正常なディスプレイ動作中に、抵抗体92/94にIZLからIZUまでのIZ範囲に対して概ね線形なI−V特性を与える。上側抵抗体94は典型的にはサーメットからなり、電気化学除去操作中に必要とされる高い垂直方向抵抗を与える。抵抗体92/94についてのそれ以上の情報は、1998年6月19日出願のKnall等による国際特許出願PCT/US98/12461に与えられており、その内容はここで参照して本明細書の一部としている。
第8c図では、インピーダンス構成体42Bは上側アノード層96及び下側カソード層98で形成されるダイオードからなる。正常なディスプレイ動作中に、電流はダイオード96/98を通って下向きに流れる。ダイオード96/98は典型的には0.9Vより低い閾値電圧VTを有する半導体ダイオードである。インピーダンス電圧VZがVTより大きい場合、電流はダイオード96/98を通って流れ、アノード96及びカソード98の内部抵抗により制限される。インピーダンス電圧VZの大きさが0より小さい(すなわちダイオード96/98が逆方向にバイアスされている)場合、ダイオード96/98を通ってほとんど電流は流れない。実際にダイオード96/98の内部抵抗は、電圧VZが負の値を有する場合に非常に高くなる。
第8d図では、インピーダンス構成体42Aはコンデンサを実装するように形成される。コンデンサは上側導電性プレート100、誘電体層102及びエミッタ電極42Aで形成される下側プレートからなる。上側プレート100は省略することもできる。その際電子放出素子52Aが上側プレートを形成する。正常なディスプレイ動作中及び電気化学除去操作中にフラットパネルディスプレイが用いるスイッチング/非スイッチング特性により、インピーダンス構成体42Bに対するI−V特性はコンデンサ100/102/104において満足される。
第9図は、本発明により製造される第5d図(或いは第7図)のエミッタのような、エリア電界エミッタを用いるフラットパネルCRTディスプレイのコアアクティブ領域の典型的な例を示す。基板40はCRTディスプレイに対するバックプレートを形成する。エミッタ領域42はバックプレート40の内側表面に沿って位置する。1つの主要制御部80が第9図に示される。
透明な、典型的にはガラス製のフェースプレート110がベースプレート40に対向して位置する。発光燐光体領域112は、その1つが第9図に示されており、対応する大きな制御アパーチャ82と直接対向するフェースプレート110の内側表面上に位置する。薄い光反射層114は、典型的にはアルミニウム製であり、フェースプレート110の内側表面に沿って燐光体領域112の上側をなす。電子放出素子52Aにより放出される電子は光反射層114を通過し、燐光体領域112が光を放射できるようにし、その光がフェースプレート110の外側表面上で視認される画像を生成する。
フラットパネルCRTディスプレイのコアアクティブ領域は典型的には第9図には示されない他の構成要素を含む。例えば、フェースプレート110の内側表面に沿って位置するブラックマトリクスは典型的には燐光体領域112を包囲し、その燐光体領域を他の燐光体領域112から横方向に分離する。相互電極誘電体層44上に設けられる集光用隆起部が、電子の軌道制御を補助する。スペーサ壁を用いて、バックプレート40とフェースプレート110との間の相対的な一定間隔を保持する。
第9図に示されるタイプのフラットパネルCRTディスプレイに組み込まれる場合、本発明に従って製造される電界エミッタは以下のように動作する。光反射層114は電界放出カソードに対するアノードとして機能する。アノードはゲート及びエミッタラインに対して高い正電位に保持される。
(a)選択されたエミッタ行電極42Aの1つと、(b)ゲート層46で部分的に或いは完全に構成される選択された列電極の1つとの間に適切な電位が加えられる場合、その選択されたゲート部分が2つの選択された電極の交差部の電子放出素子から電子を抽出し、生成された電子電流の大きさを制御する。所望の電子放出レベルは典型的には、燐光体領域112が高電圧の燐光体である場合にディスプレイの燐光体被着フェースプレートにおいて測定する際に、0.1mA/cm2の電流密度で加えられたゲート−カソード平行プレート電界が20V/mm以下に達する際に生じる。抽出された電子が衝当すると、燐光体領域112が光を放出する。
「下側」及び「上側」のような方向に関する用語は、読者が本発明の種々の部分が如何に互いに係合するかをより理解しやすいようにする座標系を設定するために、本発明を説明する際に用いられている。実際には、電子放出デバイスの構成要素はここで用いられる方向に関する用語により示されるのとは異なる姿勢で配置されることもできる。同じことが、本発明において製造ステップが実行される方法にも当てはまる。説明を容易にするために便宜的に方向に関する用語を用いているため、本発明はその姿勢がここで用いられている方向に関する用語によって厳密に網羅される姿勢とは異なる実装形態をも含む。
本発明は特定の実施例を参照して説明されているが、この説明は例示のためのものにすぎず、以下に請求される本発明の範囲を制限するものとみなされるべきではない。例えば、上記の好ましい金属とは異なる金属が電子放出コーン52Aのエミッタ材料として、またゲート層46のゲート/列材料及び(存在する場合)個別の主要制御部80或いは84として選択されることもでき、その場合には異なる電解液組成を用いて候補金属において電気化学的除去試験を実行し、その際第4a図及び第4b図に示されるようにその結果を検査することにより、駆動電位VWEの適切な範囲を決定する。
作動電極導線、カウンタ電極、導線76に類似のカウンタ電極導線及び導線79に類似の選択により用いられるカウンタ電極導線を含むが、基準電極(或いは基準電極導線)を含まない電気化学除去システムを、第3a図或いは第3b図の電気化学除去システムにおいて用いることができる。この変形例は、動作手順を簡単にし、電子エミッタの量産規模の製造に対して特に適している。別法では、さらに簡単にするために、ある状況においてカウンタ電極70(及び関連する導線76)をなくすことができる。
カウンタ電極は余分な層52Cの上側の電解液64内に位置する代わりに、基板40の一部として電子エミッタ自体に設けることもできる。選択により用いるカウンタ電極導線79は、第3a図の端子WE或いは第3b図の端子CEを介して接続されるのではなく、制御システム62上の個別の端子に接続することもできる。
ガルバノスタット(定電流)電気化学除去システムを、上記のポテンシオスタットシステムの代わりに用いることができる。第3a図或いは第3b図のポテンシオスタット制御システム62はその際、概ね一定の電流が作動電極導線73及びカウンタ電極導線76内を流れるようにする電流源を含むガルバノスタット制御システムで置き換えられる。ガルバノスタットシステムの作動電極導線73とカウンタ電極70との間の電位が十分な値まで上昇し、ゲート層46並びにまた(存在する場合)個別主要制御部を電気化学的に除去することができるため、電気化学除去動作は典型的には所定の除去時間後に終了される。別法では、電位測定デバイスがシステム内に備えられ、除去プロセスが導線73と76との間の所定の電位に達する際に終了できるようにする。
第3a図或いは第3b図の電気化学除去システムは、所定の電位で導線73を保持するのではなく、制御可能な電位が作動電極導線73とカウンタ電極導線76との間に存在するように変更することができる。導線73と76との間の電位は動作中に所定の値に設定されるか、或いは変更可能に制御されることができる。
インピーダンス構成体42Bは3つ或いはそれ以上の電気的抵抗層で形成することができる。抵抗、コンデンサ、ダイオード及び他のそのような基本的な電気的素子を組み合わせて、インピーダンス構成体42Bを形成することができる。
第2図及び第5図のプロセスは非円錐形状の電子放出素子を形成するように変更することができる。例えば、エミッタ材料の堆積は、エミッタ材料が誘電性開口部52に入るための開口部を完全に閉じる前に終了することができる。この際電子放出素子52は概ね切頭形のコーンの形状をなすように形成される。その後本発明の電気化学除去操作は、層52Cのアパーチャを通って電解液64に最初に晒された切頭形コーン52Aを用いて余分なエミッタ材料層52C上で実行される。
電解液62中の有機溶剤は2つ或いはそれ以上の有機液で形成することができる。また酸は2つ或いはそれ以上の酸、典型的には2つ或いはそれ以上の有機酸で形成することができる。2つ或いはそれ以上の塩、典型的には有機塩も同様に電解液64において用いることができる。
硝酸リチウム(LINO3)、硝酸カリウム(KNO3)、硝酸ルビジウム(RbNO3)及び硝酸セリウム(CsNO3)の任意の1つ或いはそれ以上が、電解液64の水溶状態においてイオンを酸化するソースとして、窒化ナトリウムの代わりに或いは窒化ナトリウムと組み合わせて用いることができる。同様に水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)及び水酸化セリウム(CsOH)の任意の1つ或いはそれ以上を溶液64の基剤として水酸化ナトリウムの代わりに或いは水酸化ナトリウムと組み合わせて用いることができる。任意の1つ或いはそれ以上の酸化剤を任意の1つ或いはそれ以上の基剤と共に用いることができる。これらの代用例或いは組合せ例の何れの場合でも酸化剤及び基剤の全モル濃度はそれぞれ窒化ナトリウム及び水酸化ナトリウムの場合に上記した濃度と同様である。
1つ或いはそれ以上の2族金属、詳細にはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムの窒化物を、上記の1族金属硝酸化物の代わりに或いはそれと組み合わせて電解液64の水溶状態において用いることができる。同様に1つ或いはそれ以上のこれらの2族金属の水酸化物を、上記の1族金属水酸化物の代わりに或いはそれと共に電解液64に用いることができる。
(電気化学除去操作前に)余分なブランケットエミッタ材料層52Bにおいてマスクしてエッチングを実行する際に、そのエッチングは(a)制御部80上の余分なエミッタ材料の島52Cのみを残すのではなく、各主要制御部80の概ね全てが、余分なエミッタ材料で覆われ、また(b)余分なエミッタ材料が制御部80間の領域から除去されるように実行することができる。本発明の電気化学除去手順は、電子放出コーン52Aを露出するためにパターン形成された余分なエミッタ材料層52Cを通る開口部を形成するほど十分に長いが、層52Cの全てを除去するほどは長くないように実行される。2つの上記変形例を組み合わせることにより、制御部80上に位置する残りの余分なエミッタ材料は制御部80の一部として機能し、電流をより伝導するようにできる。
電子放出コーンは、容易に直接電気化学的に除去できない、耐火性金属カーバイドのようなエミッタ材料で形成される先端部を有することが望ましい場合がある。チタンカーバイドは電子放出コーンの先端部用の有力なカーバイドである。その場合、電気化学的に除去することができる電気的非絶縁エミッタ材料(例えばモリブデン)が、第2a図或いは第5a図に示される段階における構造体の上側に及び誘電性開口部50の内側に堆積し、電子放出素子用の切頭形のコーンの土台を形成する。その後のコーン形成プロセスは、材料が開口部50に入るためのアパーチャが完全に閉塞するまで、その構造体の上側及び開口部50の内側に電気化学的に除去不可能な材料を堆積することにより終了する。
その後電気化学除去操作は上記のように実行され、ゲート層46の直上に位置する余分な電気化学的除去可能エミッタ材料及び(存在する場合)個別の主要制御部を除去する。この操作中に、構造体の上側に沿って位置する余分な電気化学的に除去不可能なエミッタ材料は剥離される。従って電気化学的に除去可能なエミッタ材料の土台及び電気化学的に除去不可能なエミッタ材料の先端部を有する円錐形電子放出素子がゲート開口部48を介して露出する。
第1図の従来のプロセスにおける層32が電気化学的に除去可能な材料からなるものと仮定すると、本発明の原理は、ゲート層と余分なエミッタ材料を含む層との間に位置する層32のような中間層を電気化学的に除去する過程に拡張することができる。そのような拡張において、余分な材料層は典型的には中間層を除去する結果剥離される。上記任意の電気化学除去システムはその拡張されたプロセスの流れにおいても用いることができる。
基板40は、エミッタ領域42がその構造体を支持するほど十分に厚い場合にはなくすことができる。絶縁性基板40の代わりに複合基板を用いることができ、その複合基板では、薄い絶縁層が、構造的支持体を形成する相対的に厚い非絶縁層の上側をなしている。
本発明の電気化学除去技術は非ゲート型電子エミッタを製造する際にも用いることができる。本発明に従って製造される電子エミッタを用いて、フラットパネルCRTディスプレイ以外のフラットパネルデバイスを形成することもできる。従って種々の変形例及び応用例は、以下の請求の範囲において画定されるような本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなく当業者により実行されることができる。
Claims (38)
- (a)第1の電気的非絶縁性領域(52B、5 2Cまたは52D)が第1の材料を含み、(b)インピーダンス手段(42B)が多数の電気的非絶縁性部材(52A)に電気的に結合され、(c)各非絶縁性部材(52A)が前記第1の材料を含む初期構造体を設ける過程と、
選択した電位を前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52 D)にかける過程を含む手順により、前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52D)の前記第1の材料の少なくとも一部を電気化学的に除去する過程とを有する方法であっ て、
前記インピーダンス手段(42B)が、前記インピーダンス手段(42B)による電気的結合及び前記任意の介在する電解液(64)による電気的結合を除いて前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52D)とは概ね電気的に結合されていない前記各非絶縁性部材(52A)の前記第1の材料が前記除去過程中に電気化学的に著しく侵蝕されることのないように、前記除去過程中に十分に高いインピーダンスを与えることを特徴とする方法。 - 前記インピーダンス手段(42B)による電 気的結合及び前記任意の介在する電解液(64)による電 気的結合を除いて前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52 D)に電気的に結合されるあらゆる非絶縁性部材(52A)の前記第1の材料が、前記除去過程中に電気化学的に概ね侵蝕されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記除去過程が、前記初期構造体を電解液(64)に晒す過程を含むことを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
- 前記初期構造体が前記インピーダンス手段(42B)を介して前記非絶縁性部材(52A)に電気的に結合される導電性電極(42A)を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに1項に記載の方法。
- 前記除去過程が、前記インピーダンス手段(42B)或いは前記電極(42A)に、前記選択した電位以外の電位をかけることなく行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記インピーダンスがそれ自体で、前記電極(42A)と、前記非絶縁性部材(52A)に電気的に結合された任意の他の電気的非絶縁性構成要素(79)とから著しく電解作用上の補助を受けることなく、前記除去過程中に電気的に結合していない非絶縁性部材(52A)がそれぞれ電気化学的に著しく侵蝕されるのを概ね防ぐだけの十分に高いインピーダンスであることを特徴とする請求項4或いは5に記載の方法。
- 前記初期構造体が、結合されていない各非絶縁性部材(52A)が前記除去過程中に著しく電気化学的に侵蝕されるのを防ぐ際に前記インピーダンス手段(42B)を電解作用上補助するために前記非絶縁性部材(52A)に電気的に結合される、電極(42A)を含むことも可能な、少なくとも1つの電気的非絶縁性構成要素(42A、79)を備えることを特徴とする請求項4或いは5に記載の方法。
- 前記除去過程が、前記電極(42A)にさらに別の電位をかける過程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記さらに別の電位が、結合されていない各非絶縁性部材(52A)が前記除去過程中に電気化学的に著しく侵蝕されるのを防ぐ際に前記インピーダンス手段(42B)を補助するために、前記選択した電位とは十分に異なる電位であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 前記インピーダンス手段(42B)が電気的抵抗性の層(90、92/94)を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
- 前記インピーダンス手段(42B)が、(a)少なくとも1つのコンデンサ(42A/100/102)を備えるように形成されるか、或いは(b)前記インピーダンス手段(42B)及び前記非絶縁性部材(52A)を含む最終構造体の正常動作中に順方向に導通するように形成される少なくとも1つのダイオード(96/98)を含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
- 前記インピーダンスの大きさが、(a)前記インピーダンス手段(42B)にかかる電圧VZが遷移値VZTと上側動作値との間にある場合に、遷移値ZBTより小さく、(b)電圧VZが概ね−VZTと0との間にある場合に、ZBTより大きいことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法。
- (a)電気的非絶縁性制御電極(46)がインピーダンス手段(42B)の上側に位置する電気的絶縁性の層(44)の上側をなし、(b)多数の複数開口部(48/50)が前記制御電極(46)と前記絶縁性層(44)とを介して延在し、(c)第1の電気的非絶縁性エミッタ材料を含む余剰層(52B、52Cまたは52D)が、前記制御電極(46)の上側をなし、(d)同様に多数の電子放出素子(52A)がそれぞれ前記複合開口部(48/50)内に位置し、各電子放出素子(52A)が前記第1のエミッタ材料を含み、かつ前記インピーダンス手段(42B)に電気的に結合されるような初期構造体を設ける過程と、
前記余剰層(52B、52Cまたは52D)に選択した電位をかける過程を含む手順により前記余剰層(52B、52Cまたは 52D)の前記第1の材料の少なくとも一部を電気化学的に除去する過程とを有し、
前記インピーダンス手段(42B)が、前記インピーダンス手段(42B)による電気的結合及び任意の介在する電解液(64)による電気的結合を除いて前記余剰層(52 B、52Cまたは52D)とは概ね電気的に結合されていない前記各電子放出素子(52A)の前記第1の材料が前記除去過程中に電気化学的に著しく侵蝕されることのないように、前記除去過程中に十分に高いインピーダンスを有することを特徴とする方法。 - 前記インピーダンス手段(42B)による 電気的結合及び任意の介在する電解液(64)による電気 的結合を除いて前記制御電極(46)に電気的に結合される任意の電子放出素子(52A)の前記第1の材料が、前記除去過程中に電気化学的に概ね侵蝕されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
- 前記除去過程が前記初期構造体を選択した電解液(64)に晒す過程を含むことを特徴とする請求項13或いは14に記載の方法。
- 前記インピーダンスの大きさが、(a)前記制御電極(46)と、前記絶縁層(44)と、前記イン ピーダンス手段(42B)と、前記電子放出素子(52A)とを含む最終的な電子放出構造体の正常動作中に、前記インピーダンス手段(42B)にかかる電圧VZが遷移値VZTと上側動作値との間にある場合に、遷移値ZBTより小さく、(b)前記除去過程中に、電圧VZが概ね−VZTと0との間にある場合に、ZBTより大きいことを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載の方法。
- (a)第1の電気的非絶縁性領域(52 B、52Cまたは52D)が第1の材料を含み、(b)前記第1の領域(52B、52Cまたは52D)とは概ね電気的に結合されていない第2の電気的非絶縁性領域(52A)が前記第1の材料を含む初期構造体を設ける過程と、
前記第2の領域(52A)の前記第1の材料が、前記第2の領域(52A)の前記第1の材料が除去過程中に電気化学的に著しく侵蝕されないほどの前記第1の領域(52 B、52Cまたは52D)の前記第1の材料とは十分に異なる電位にあるように、少なくとも前記第1の領域(52B、5 2Cまたは52D)の前記第1の材料を、有機溶剤及び酸を含む電解溶液(64)と接触させる過程を含む手順により、前記第1の領域(52B、52Cまたは52D)の前記材料の少なくとも一部を電気化学的に除去する過程とを有することを特徴とする方法。 - 前記第2の領域(52)の前記第1の材料が、前記除去過程中に前記電解液(64)と接触することを特徴とする請求項17に記載の方法。
- 前記除去過程が選択した電位を前記第1の領域(52B、52Cまたは52D)にかける過程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
- 前記除去過程がさらに、付加的な選択した電位を前記第2の領域(52A)にかける過程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
- (a)第1の電気的非絶縁性領域(52 B、52Cまたは52D)が第1の材料を含み、(b)インピーダンス手段(42B)が多数の電気的非絶縁性部材(52 A)に電気的に結合され、(c)各非絶縁性部材(52A)が前記第1の材料を含むような初期構造体を設ける過程と、
少なくとも前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52D)の前記第1の材料が有機溶剤と酸とを含む電解液(64)と接触する間に、選択した電位を前記非絶縁性領域(52 B、52Cまたは52D)にかける過程を含む手順により前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52D)の前記第1の材料の少なくとも一部を除去する過程とを有する方法であっ て、
前記インピーダンス手段(42B)が、前記インピーダンス手段(42B)による電気的結合及び前記電解液(64) による電気的結合を除いて前記非絶縁性領域(52B、52C または52D)に概ね電気的に結合されていない前記各非絶縁性部材(52A)の前記第1の材料が前記除去過程中に電気化学的に著しく侵蝕されることのないように前記除去過程中に十分に高いインピーダンスを有することを特徴とする方法。 - 前記インピーダンス手段(42B)による 電気的結合及び前記電解液(64)による電気的結合を除 いて前記非絶縁性領域(52B、52Cまたは52D)に電気的に結合されるあらゆる非絶縁性部材(52A)の前記第1の材料が前記除去過程中に電気化学的に概ね侵蝕されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
- 前記初期構造体が、前記インピーダンス手段(42B)を介して少なくとも2つの前記非絶縁性部材(52A)に電気的に結合される導電性電極(42A)を備えることを特徴とする請求項21或いは22に記載の方法。
- 前記除去過程が、前記電極(42A)にさらに別の電位をかける過程を含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
- (a)電気的非絶縁性の制御電極(46)が、前記インピーダンス手段(42B)の上側に位置する電気的絶縁性の層(44)の上側をなし、(b)多数の複合開口部(48/50)が前記制御電極(46)と前記絶縁性層(44)とを介して延在し、(c)第1の電気的非絶縁性エミッタ材料を含む余剰層(52B、52Cまたは52D)が前記制御電極(46)の上側をなし、(b)同様に多数の電子放出素子(52A)がそれぞれ前記複合開口部(48/5 0)内に位置し、各電子放出素子(52A)が前記第1の材料を含み、かつ前記インピーダンス手段(42B)に電気的に結合されるような初期構造体を設ける過程と、
前記インピーダンス手段(42B)による電気的結合及び電解液(64)による電気的結合を除いて前記余剰層(52 B、52Cまたは52D)の前記第1の材料とは概ね電気的に結合されていない各電子放出素子(52A)の前記第1の材料が、前記除去過程中に結合されていない各電子放出素子(52A)の前記第1の材料が電気化学的に著しく侵蝕されないほどの前記余剰層(52B、52Cまたは52D)の前記第1の材料とは十分に異なる電位にあるように、少なくとも前記余剰層(52B、52Cまたは52D)の前記第1の材料を、有機溶剤と酸とを含む電解液(64)と接触させる過程を含む手順により前記余剰層(52B、52Cまたは 52D)の前記第1の材料の少なくとも一部を電気化学的に除去する過程とを有することを特徴とする方法。 - 前記除去過程が前記余剰層(52B、52Cま たは52D)に選択した電位をかける過程を含み、その間前記インピーダンス手段(42B)は、結合されていない各電子放出素子(52A)の前記第1の材料が除去過程中に電気化学的に著しく侵蝕されるのを防ぐために十分に高いインピーダンスを有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
- 前記インピーダンス手段(42B)による 電気的結合及び電解液(64)による電気的結合を除いて前記制御電極(46)に電気的に結合されるあらゆる電子放出素子(52A)の前記第1の材料が、前記除去過程中に概ね電気化学的に侵蝕されることを特徴とする請求項25或いは26に記載の方法。
- 前記酸が有機酸であることを特徴とする請求項17乃至27の何れか1項に記載の方法。
- 前記電解液(64)がさらに塩を含むことを特徴とする請求項17乃至28の何れか1項に記載の方法。
- 前記塩が有機塩であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
- 前記除去過程が100℃より高い温度で行われることを特徴とする請求項17乃至30の何れか1項に記載の方法。
- 構造体を、硫黄含有有機化合物を含む溶剤とスルホン酸を含む電解液(64)に接触させる過程を含む手順により前記構造体の電気的非絶縁性部分(52 B、52Cまたは52D)を電気化学的に除去する過程を有することを特徴とする方法。
- 前記除去過程が100℃より高い温度で行われることを特徴とする請求項32に記載の方法。
- 構造体を、硫黄含有溶剤とスルホン酸とを含む電解液(64)と接触させる過程を含む手順により、前記構造体の電気的非絶縁性部分(52B、52Cまたは 52D)を、100℃より高い温度で電気化学的に除去する過程を有することを特徴とする方法。
- 前記スルホン酸がベンゼン環を含むことを特徴とする請求項32乃至34の何れか1項に記載の方法。
- 前記電解液(64)がさらにスルホン酸塩を含むことを特徴とする請求項32乃至35の何れか1項に記載の方法。
- 前記スルホン酸塩がベンゼン環を含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
- 前記非絶縁性部分(52B、52Cまたは52 D)が、そのイオンが高い電荷対半径値を有する金属を含むことを特徴とする請求項32乃至37の何れか1項に記載の方法。
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