JP3647796B2 - パッケージ基板およびそれを用いた集積回路装置、ならびに集積回路装置の製造方法 - Google Patents
パッケージ基板およびそれを用いた集積回路装置、ならびに集積回路装置の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パッケージ基板およびそれを用いた集積回路装置、ならびに集積回路装置の製造方法に関し、特に、弾性表面波素子とパッケージ基板とが超音波接合された集積回路装置のシェア強度の向上に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、目覚ましい普及を見せている携帯電話に代表される移動体通信機器は、小型化が急速に進められている。それに伴って、移動体通信機器に使用される部品には、小型化および高性能化が要求されている。
【0003】
ここで、移動体通信機器における信号の分岐、生成を行うために、分波器が用いられている。分波器は、帯域通過フィルタ、帯域阻止フィルタ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されたものがあるが、一層の小型化および高性能化を達成するために、相互に異なる帯域中心周波数を有する2つの弾性表面波素子が搭載された弾性表面波装置の用いられたものがある。
【0004】
そして、弾性表面波装置では、弾性表面波素子がフリップチップ方式で搭載されるパッケージ基板は、樹脂製ではなく、アルミナやLTCC等のように樹脂よりも硬いセラミック製が主流となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、小型、軽量、低コストを実現するためには、パッケージ基板は樹脂製とするのが望ましい。
【0006】
しかしながら、パッケージ基板をセラミックよりも軟らかな樹脂製にすると、フリップチップ実装における超音波加振時にパッケージ基板がたわんで超音波パワーが十分に突起電極とパッケージ基板との接触面に加わらず、必要なシェア強度を確保することが困難になる。
【0008】
そこで、本発明は、フリップチップ方式でパッケージ基板に搭載された弾性表面波素子のシェア強度の向上を図ることのできるパッケージ基板およびそれを用いた集積回路装置、ならびに集積回路装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るパッケージ基板は、素子基板上に所定の導電パターンおよび突起電極が形成された弾性表面波素子を導電パターンおよび突起電極が形成された面が素子搭載面に搭載し得るフリップチップ実装用パッケージ基板であって、素子搭載面の反対面である端子形成面には、実装基板と電気的に接続される外部接続端子と、少なくとも弾性表面波素子の搭載位置に相当する領域に外部接続端子の高さよりも厚い厚みを有する支持層とが形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る集積回路装置は、前述のパッケージ基板と、素子基板上に所定の導電パターンおよび突起電極が形成され、パッケージ基板の素子搭載面に搭載された弾性表面波素子と、弾性表面波素子を封止する封止部材とを有することを特徴とする。
【0011】
さらに、上記課題を解決するため、本発明に係る集積回路装置の製造方法は、素子基板上に所定の導電パターンおよび突起電極が形成された弾性表面波素子を用意し、弾性表面波素子が搭載される素子搭載面との反対面である端子形成面に、実装基板と電気的に接続される外部接続端子、および少なくとも弾性表面波素子の搭載位置に相当する領域に外部接続端子の高さよりも厚い厚みを有する支持層が形成されたパッケージ基板を用意し、素子搭載面を外側に向けてパッケージ基板をステージ上にセットして支持層とステージとを接触させ、弾性表面波素子の所定の導電パターンおよび突起電極が形成された面をパッケージ基板の素子搭載面に押圧しながら超音波振動を与えて当該弾性表面波素子をパッケージ基板の素子搭載面に接合することを特徴とする。
【0012】
このような発明によれば、パッケージ基板をステージ上に載置した場合、支持層がステージと接触する一方で外部接続端子は非接触となるので、弾性表面波素子の超音波接合時にパッケージ基板がたわむことがない。これにより、突起電極とパッケージ基板との接触面に十分な超音波パワーが加わるようになるので、フリップチップ方式でパッケージ基板に搭載された弾性表面波素子のシェア強度を大幅に向上させ、集積回路の接合不良を減少させることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、発明の実施の形態は、本発明が実施される特に有用な形態としてのものであり、本発明がその実施の形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態である弾性表面波素子がパッケージ化された弾性表面波装置を示す断面図、図2は図1の弾性表面波装置のパッケージ基板を端子形成面から示す平面図、図3は図1の弾性表面波素子の回路を示す概略図、図4は図3の弾性表面波素子の一部を示す平面図、図5は図1の弾性表面波装置における超音波実装時の状態を示す説明図、図6は図1の弾性表面波装置における超音波パワーとシェア強度との関係を比較例とともに示すグラフ、図7は本発明の他の実施の形態である弾性表面波装置における超音波実装時の状態を示す説明図である。
【0015】
図1に示す弾性表面波装置10は、圧電基板(素子基板)上に所定の導電パターンおよび突起電極13が形成された弾性表面波素子11が、単層あるいは複数層からなり所定の配線パターンや回路パターンの形成された樹脂製のパッケージ基板12に搭載されたものである。
【0016】
そして、弾性表面波素子11における導電パターンの形成された面はパッケージ基板12と対向配置されており、図示するように、弾性表面波素子11はパッケージ基板12の素子搭載面に突起電極13を介してフリップチップ接続される。
【0017】
パッケージ基板12には、素子搭載面との反対面である端子形成面に、図示しないマザーボード(実装基板)と電気的に接続される外部接続端子12aが形成されている。さらに、図2に示すように、外部接続端子12aの形成領域以外には、外部接続端子12aの高さHよりも厚い厚みTを有する支持層12bが形成されている。
【0018】
なお、支持層12bは弾性表面波素子11の搭載位置に相当する領域に形成されていれば足り、本実施の形態のように、外部接続端子12aの形成領域を除いた全面に形成されていなくてもよい。但し、支持層12bは外部接続端子12aを避けて形成されるのは勿論であり、支持層12bが外部接続端子12aを覆って形成されることはない。
【0019】
ここで、支持層12bによりパッケージ基板12の端子形成面に形成された外部接続端子12aや導電パターン間が導通されてしまうことを防止する観点から、支持層12bは絶縁性を有する部材、たとえばソルダーレジストなどで構成されている。但し、支持層12bが外部接続端子12aや導電パターンと非接触で形成されている場合には、支持層12bは絶縁性を有する必要はない。
【0021】
ここで、圧電基板は、LiNbO3 、LiTaO3 や水晶などの圧電単結晶、あるいはチタン酸ジルコン酸鉛系圧電セラミックスのような圧電性セラミックスにより形成されている。但し、絶縁基板上にZnO薄膜などの圧電薄膜を形成したものを圧電基板として用いてもよい。
【0022】
そして、パッケージ基板12には、弾性表面波素子11を気密封止するキャップ(封止部材)14が接着されており、弾性表面波素子11を塵埃や機械的衝撃などから保護している。なお、弾性表面波素子11は樹脂封止してもよい。
【0023】
このような弾性表面波装置10に実装された弾性表面波素子11の圧電基板上には、図3に示すように、所定周波数の弾性表面波に共振する励振電極部15が形成されている。この励振電極部15には、励振電極部15とパッケージ基板12とを電気的に接続し、励振電極部15に対する電気信号が入出力される入力電極16、出力電極17および接地電極18が配線部19を介して電気的に接続されている。そして、配線部19は励振電極部15と電極16,17,18、および励振電極部15相互間を電気的に接続する。そして、励振電極部15および配線部19はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。但し、アルミニウムまたはアルミニウム合金以外の部材が含まれていてもよい。
【0024】
なお、電極16,17,18とパッケージ基板12とは、これらに図1に示す突起電極13を形成し、超音波によりバンプ接続される。
【0025】
ここで、励振電極部15は、図4に示すように、相互に入り組んだ一対の櫛の歯状に形成されている。そして、入力側の励振電極部15に電圧を印加して電界をかけると、圧電基板には圧電効果により弾性表面波が発生する。また、このようにして生成された弾性表面波による機械的歪みが電界を生じさせ、出力側の励振電極部15で電気信号に変換される。励振電極部15の両側には、弾性表面波を反射する反射器20が配置されている。
【0026】
なお、本実施の形態は、入力電極16と出力電極17との間の配線部19を直列腕とし、この直列腕と接地電極18との間に複数の配線部19である並列腕を構成し、直列腕および並列腕に励振電極部15を配置したラダー型回路を構成しているが、ラダー型回路以外であってもよい。
【0027】
次に、このような構成を有する弾性表面波装置の製造方法について、図5を用いて説明する。
【0028】
先ず、前述した弾性表面波素子11およびパッケージ基板12を用意する。
【0029】
次に、素子搭載面を外側に向けてパッケージ基板12をステージ21上にセットし、支持層12bとステージ21とを接触させる。
【0030】
そして、保持部材22に保持された弾性表面波素子11を支持層12bの方向に押圧しながら超音波振動を与え、この弾性表面波素子11をパッケージ基板12の素子搭載面に接合する。
【0031】
なお、弾性表面波素子11をパッケージ基板12の素子搭載面に接合した後は、弾性表面波素子11を包囲するようにしてキャップ14をパッケージ基板12に接着する。
【0032】
ここで、パッケージ基板12とステージ22との間に位置する支持層12bにより超音波接合時における樹脂製のパッケージ基板12のたわみが阻止されるので、突起電極13とパッケージ基板12との接触面には十分な超音波パワーが加わるようになる。
【0033】
ここで、超音波パワーとシェア強度との関係を図6に示す。
【0034】
図6に示すように、パッケージ基板12に支持層12bを形成することにより、支持層がない場合に比べて、フリップチップ方式でパッケージ基板12に搭載された弾性表面波素子11のシェア強度が大幅に向上する。なお、図6において、支持層がない場合に6W以上で急激にシェア強度が低下しているのは、6W以上ではパッケージ基板12の振動により圧電基板(ここではLiTaO3 )が割れてしまったためである。
【0035】
そして、このようにシェア強度が大幅に向上することから、弾性表面波素子11の接合不良を減少することができる。
【0036】
また、これにより、より低い超音波パワーで十分な接合強度を得ることができることから、弾性表面波素子11を効率よくパッケージ基板12に接合することが可能になる。
【0037】
ここで、支持層12は、超音波実装において樹脂製のパッケージ基板12がたわんでシェア強度が低下することを防止するためのものである。
【0038】
以上の説明においては、パッケージ基板12に支持層12bを形成して超音波実装時におけるパッケージ基板12のたわみを防止しているが、図7に示すようにすれば、支持層12bを形成することなくパッケージ基板12のたわみを防止することができる。
【0039】
すなわち、弾性表面波素子11は前述したものを、パッケージ基板12は支持層12bの形成されていないものを用意する。また、ステージ21は、パッケージ基板12の端子形成面における外部接続端子12aの形成領域を除いた領域が当接可能な支持突起21aを有するものを用意する。なお、支持突起21aは少なくとも弾性表面波素子11の搭載位置に相当する領域が当接可能であればよく、外部接続端子12aの形成領域を除いた全ての領域が当接可能になっていなくてもよい。
【0040】
次に、素子搭載面を外側に向けてパッケージ基板12をステージ21の支持突起21a上にセットする。
【0041】
そして、保持部材22に保持された弾性表面波素子11を支持突起21a方向に押圧しながら超音波振動を与え、この弾性表面波素子11をパッケージ基板12の素子搭載面に接合する。
【0042】
これによれば、ステージ22の支持突起21aにより超音波接合時における樹脂製のパッケージ基板12のたわみが阻止されるので、突起電極13とパッケージ基板12との接触面には十分な超音波パワーが加わるようになる。したがって、フリップチップ方式でパッケージ基板12に搭載された弾性表面波素子11のシェア強度を大幅に向上させることが可能になり、弾性表面波素子11の接合不良を減少することができる。
【0043】
また、より低い超音波パワーで十分な接合強度を得ることができることから、弾性表面波素子11を効率よくパッケージ基板12に接合することが可能になる。
【0044】
以上の説明では、弾性表面波素子11が一個搭載された弾性表面波装置10が示されているが、たとえば相互に異なる帯域中心周波数を有する2つの弾性表面波素子を搭載して分波器とするなど、本発明の弾性表面波素子は種々の形態の弾性表面波装置に適用することが可能である。
【0045】
また、本実施の形態において、パッケージ基板12には、超音波加振時にたわみやすく本願の作用効果が顕著に現れる樹脂製を適用しているが、セラミック製であってもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば以下の効果を奏することができる。
(1).パッケージ基板をステージ上に載置した場合、支持層がステージと接触する一方で外部接続端子は非接触となるので、弾性表面波素子の超音波接合時にパッケージ基板がたわむことがない。これにより、突起電極とパッケージ基板との接触面に十分な超音波パワーが加わるようになるので、フリップチップ方式でパッケージ基板に搭載された弾性表面波素子のシェア強度を大幅に向上させ、集積回路の接合不良を減少させることが可能になる。
(2).このようにフリップチップ方式でパッケージ基板に搭載された弾性表面波素子のシェア強度を大幅に向上させることが可能になることから、弾性表面波素子の接合不良を減少することができる。
(3).より低い超音波パワーで十分な接合強度を得ることができることから、弾性表面波素子を効率よくパッケージ基板に接合することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である弾性表面波素子がパッケージ化された弾性表面波装置を示す断面図である。
【図2】図1の弾性表面波装置のパッケージ基板を端子形成面から示す平面図である。
【図3】図1の弾性表面波素子の回路を示す概略図である。
【図4】図3の弾性表面波素子の一部を示す平面図である。
【図5】図1の弾性表面波装置における超音波実装時の状態を示す説明図である。
【図6】図1の弾性表面波装置における超音波パワーとシェア強度との関係を比較例とともに示すグラフである。
【図7】本発明の他の実施の形態である弾性表面波装置における超音波実装時の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 弾性表面波装置(集積回路装置)
11 弾性表面波素子(集積回路素子)
12 パッケージ基板
12a 外部接続端子
12b 支持層
13 突起電極
14 キャップ
15 励振電極部
16 入力電極
17 出力電極
18 接地電極
19 配線部
20 反射器
21 ステージ
21a 支持突起
Claims (7)
- 素子基板上に所定の導電パターンおよび突起電極が形成された弾性表面波素子を前記導電パターンおよび前記突起電極が形成された面が素子搭載面に搭載し得るフリップチップ実装用パッケージ基板であって、
前記素子搭載面の反対面である端子形成面には、
実装基板と電気的に接続される外部接続端子と、
少なくとも前記弾性表面波素子の搭載位置に相当する領域に前記外部接続端子の高さよりも厚い厚みを有する支持層とが形成されていることを特徴とするパッケージ基板。 - 請求項1記載のパッケージ基板と、
素子基板上に所定の導電パターンおよび突起電極が形成され、前記パッケージ基板の素子搭載面に搭載された弾性表面波素子と、
前記弾性表面波素子を封止する封止部材とを有することを特徴とする集積回路装置。 - 素子基板上に所定の導電パターンおよび突起電極が形成された弾性表面波素子を用意し、
前記弾性表面波素子が搭載される素子搭載面との反対面である端子形成面に、実装基板と電気的に接続される外部接続端子、および少なくとも前記弾性表面波素子の搭載位置に相当する領域に前記外部接続端子の高さよりも厚い厚みを有する支持層が形成されたパッケージ基板を用意し、
前記素子搭載面を外側に向けて前記パッケージ基板をステージ上にセットして前記支持層と前記ステージとを接触させ、
前記弾性表面波素子の前記所定の導電パターンおよび前記突起電極が形成された面を前記パッケージ基板の素子搭載面に押圧しながら超音波振動を与えて当該弾性表面波素子を前記パッケージ基板の素子搭載面に接合することを特徴とする集積回路装置の製造方法。 - 前記支持層は絶縁性を有していることを特徴とする請求項3記載の集積回路装置の製造方法。
- 前記パッケージ基板は樹脂製であることを特徴とする請求項3または4記載の集積回路装置の製造方法。
- 前記集積回路装置は、所定の帯域中心周波数を有する前記弾性表面波素子が搭載された弾性表面波装置であることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の集積回路装置の製造方法。
- 前記パッケージ基板には、相互に異なる帯域中心周波数を有する2つの前記弾性表面波素子が搭載されていることを特徴とする請求項6記載の集積回路装置の製造方法。
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