JP3647595B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、耐衝撃性及び成形性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、特に押出成形することにより、耐衝撃性に優れると共に、残留応力が極めて小さな管状、板状、棒状などの各種形状の押出成形物を得ることができる。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的特性、寸法安定性などに優れたエンジニアリングプラスチックとして、電気部品や自動車部品などの広範分野で使用されている。しかしながら、一般に、PASは、耐衝撃性に劣り、成形性についても必ずしも充分ではないという欠点があり、用途によっては制限を受ける場合があった。
従来より、PASの耐衝撃性を改善するために、様々な提案が行われている。例えば、PASにガラス繊維や炭素繊維などの繊維状充填剤を配合すると、耐衝撃性や剛性、靭性、寸法安定性などが向上することが知られている。しかしながら、PASは、繊維状充填剤を配合しても、いまだ脆弱であり、充分な物性の改善効果を得ることができない。また、繊維状充填剤を多量に配合した樹脂組成物は、用途や成形法に制限を受けることになる。
【0003】
そこで、PASに、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体を配合してなる樹脂組成物が提案されている(特開昭59−152953号公報、特開昭59−189166号公報、特開昭62−153345号公報)。しかしながら、PASにオレフィン系共重合体を配合すると、溶融粘度が上昇して成形性が低下し、しかも充分な耐衝撃性の改善効果を得ることが難しい。
PPSに、エポキシ基含有オレフィン系重合体及びエラストマーを配合した樹脂組成物が提案されている(特公平4−24388号公報)。しかしながら、この樹脂組成物は、溶融流動性が改善されるものの、エラストマーを配合しているため、コンパウンド時のスウェルが大きくなり、安定してストランドを形成することができず、ペレット化が困難である。しかも、この樹脂組成物は、上記と同様の理由により、管状成形物などの押出成形物を得るのが困難である。
【0004】
また、(I)ポリオレフィン99〜1重量%と(II)PAS1〜99重量%と、(I)+(II)100重量部に対して、(III)オレフィン(共)重合体5〜95重量%と少なくとも一種のビニル単量体から得られるビニル系(共)重合体95〜5重量%とからなり、一方の(共)重合体が粒子径0.001〜10μmの分散層を形成している多層構造熱可塑性樹脂0.1〜100重量部を配合してなる熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特開平2−129245号公報)。該公報には、多層構造熱可塑性樹脂(III)として、少なくとも一種のビニル単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物をオレフィン(共)重合体粒子中で共重合せしめたグラフト化前駆体(A)1〜100重量%、オレフィン(共)重合体(B)0〜99重量%、及びビニル系(共)重合体(C)0〜99重量%からなる混合物またはグラフト化物が開示されており、オレフィン(共)重合体として、エポキシ基含有エチレン共重合体を使用することも記載されている。しかしながら、該公報に記載の樹脂組成物では、ポリオレフィン(I)として、低密度ポリエチレンやポリプロピレンなどが使用されているが、これらのポリオレフィンを配合した樹脂組成物は、耐衝撃性の改善効果が不充分であり、しかも管状成形物などの押出成形物とした場合に、残留応力が大きく、変形やストレスクラックが発生しやすいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐衝撃性及び成形性に優れたPAS樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、押出成形することにより、耐衝撃性に優れると共に、残留応力が極めて小さな管状、板状、棒状などの各種押出成形物を得ることができるPAS樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、▲1▼PASに、ポリオレフィン及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体を特定の割合で配合すると共に、▲2▼ポリオレフィンとして、線状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリエチレン系樹脂を選択して使用し、▲3▼ポリオレフィンとエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体との配合比率を選択された範囲内とし、さらに、▲4▼PASマトリックス中でのポリオレフィン及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体のそれぞれの分散状態を特定の選択された平均粒子径の範囲内とすることにより、耐衝撃性及び成形性に優れた樹脂組成物の得られることを見いだした。この樹脂組成物を用いた管状成形物などの押出成形物は、残留応力が極めて小さいという特徴を有する。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、ポリアリーレンスルフィド(a)、ポリオレフィン(b)、及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)を含有する樹脂組成物において、
▲1▼各成分の配合割合が、ポリアリーレンスルフィド(a)98〜50質量%、ポリオレフィン(b)1〜25質量%、及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)1〜25質量%であり、
▲2▼ポリオレフィン(b)が、線状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリエチレン系樹脂であり、
▲3▼ポリオレフィン(b)とエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)との質量比(b:c)が、1:5〜5:1であり、かつ
▲4▼ポリオレフィン(b)及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、ポリアリーレンスルフィド(a)中に、それぞれ平均粒子径0.10〜3.00μmの微粒子として分散していることを特徴とする樹脂組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
ポリアリーレンスルフィド(PAS)
本発明で使用するPASとは、式[−Ar−S−](ただし、Arは、アリーレン基である。)で表されるアリーレンスルフィドの繰り返し単位を主たる構成要素とする芳香族ポリマーである。繰り返し単位[−Ar−S−]を1モル(基本モル)と定義すると、本発明で使用するPASは、この繰り返し単位を、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上の割合で含有するポリマーである。
アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基である。)、p,p′−ジフェニレンスルホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェニレンカルボニル基、p,p′−ジフェニレンエーテル基、ナフチレン基などを挙げることができる。PASとしては、主として同一のアリーレン基を有するポリマーを好ましく用いることができるが、加工性や耐熱性の観点から、2種以上のアリーレン基を含んだコポリマーを用いることもできる。
【0008】
これらのPASの中でも、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を主構成要素とするPPSが、加工性に優れ、しかも工業的に入手が容易であることから特に好ましい。コポリマーの好ましい具体例としては、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位とm−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドの繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマー、フェニレンスルフィドとアリーレンスルホンスルフィドの繰り返し単位を有するランダムまたはブロックコポリマーなどが挙げられる。これらのPASは、結晶性ポリマーであることが好ましい。また、PASは、溶融特性、靭性、及び強度の観点から、直鎖状ポリマーであることが好ましい。
【0009】
本発明で使用するPASは、極性容器溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を重合反応させる公知の方法(例えば、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特公昭63−33775号公報)により得ることができる。アルカリ金属硫化物としては、例えば、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの混合物などが挙げられる。アルカリ金属硫化物は、常法により反応器中でin situで生成させてもよい。アルカリ金属硫化物は、水和物、水性混合物、または無水物の形で用いることができる。アルカリ金属硫化物に微量存在するアルカリ金属水硫化物やアルカリ金属チオ硫酸塩と反応させるために、少量のアルカリ金属水酸化物を添加して、これらの不純物を除去するか、あるいは硫化物へ転化させてもよい。これらの中でも硫化ナトリウムが、最も安価であるため工業的には好ましい。
【0010】
ジハロ芳香族化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン等のジハロベンゼン;2,5−ジクロロトルエン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン等の置換ジハロベンゼン;1,4−ジクロロナフタレン等のジハロナフタレン;4,4′−ジクロロビフェニル、3,3′−ジクロロビフェニル等のジハロビフェニル;3,5−ジクロロ安息香酸等のジハロ安息香酸、4,4′−ジクロロベンゾフェノン等のジハロベンゾフェノン;4,4′−ジクロロジフェニルスルホン、3,−ジクロロジフェニルエーテル等のジハロフェニルエーテル;などを挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、経済性や物性等の観点から、ジハロベンゼンが好ましく、p−ジクロロベンゼンなどのp−ジハロベンゼンがより好ましい。特に、ジハロ芳香族化合物として、p−ジハロベンゼンを好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含有するものが好ましい。
【0011】
PASに多少の分岐構造または架橋構造を導入するために、1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物を少量併用することができる。このようなポリハロ芳香族化合物としては、例えば、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,3−トリブロモベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリブロモベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−5−ブロモベンゼン等のトリハロベンゼン、トリハロベンゼンのアルキル置換体、これらの混合物が挙げられる。これらの中でも、経済性、反応性、物性等の観点から、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、及び1,2,3−トリクロロベンゼンが好ましい。
【0012】
PASの製造方法としては、水を含有する極性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを、所望によりポリハロ芳香族化合物の存在下に、重縮合反応させる方法が好ましい。水としては、例えば、アルカリ金属硫化物の水和物、添加水、反応水、アルカリ金属硫化物水溶液の水などが挙げられる。有機アミド溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン化合物またはN−シクロアルキルピロリドン化合物;1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン等のN,N−ジアルキルイミダゾリジノン化合物;テトラメチル尿素等のテトラアルキル尿素化合物;ヘキサメチルリン酸トリアミド等のヘキサアルキルリン酸トリアミド化合物;等が挙げられる。これらの有機アミド溶媒は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの有機アミド溶媒の中でも、経済性や安定性の観点からNMPが特に望ましい。
【0013】
仕込みジハロ芳香族化合物のモル数aと仕込みアルカリ金属硫化物のモル数bとの比a/bは、通常0.95〜1.10、好ましくは0.98〜1.08、より好ましくは1.00〜1.06の範囲になるように調整する。1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物を使用する場合には、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常、0.0002〜0.01モル、好ましくは0.0004〜0.009モル、より好ましくは、0.0005〜0.007モルの範囲内となるように調整して、重合反応系に添加する。重合反応系へのポリハロ芳香族化合物の添加は、重合初期であっても後期であってもよいが、初期の場合の方が少量の添加でもより効果的である。
【0014】
重合方法については、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができるが、具体的には、例えば、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態で、150〜235℃の温度で反応を行って、次いで、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜7.0モルの水を反応系内に存在させ、245℃〜280℃の温度に昇温して反応を継続する方法を挙げることができる。極性溶媒の使用量は、アルカリ金属硫化物1モル当たり、通常、0.2〜2.0kg、好ましくは0.3kg〜1.0kgである。
本発明で使用するPASは、直鎖状ポリマーであることが好ましいが、ジハロ芳香族化合物と共に、1分子当たり3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物を少量併用して、多少の分岐構造または架橋構造を導入したPASも使用することができる。しかしながら、低分子量のPASを空気の存在下に酸化架橋(キュアリング)して得られる架橋型ポリマーは、加工性が劣悪であることに加えて、強度及び靭性が低いので好ましくない。
本発明で使用するPASは、310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度が通常1〜2000Pa・s、好ましくは10〜500Pa・sの範囲内にあるポリマーである。PASの溶融粘度が低すぎると、耐衝撃性などの強度が低くなり、逆に、溶融粘度が高すぎると、例えば、押出成形性が悪くなるので、いずれも好ましくない。
【0015】
ポリオレフィン
本発明では、ポリオレフィンとして線状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略記)及び超低密度ポリエチレン(以下、VLDPEと略記)からなる群より選ばれる少なくとも一種のポリエチレン系樹脂を使用する。
本発明で使用するLLDPEとは、エチレン単位と、炭素数3〜18、好ましくは4〜12、より好ましくは6〜10のα−オレフィン単位とを含有する実質的に線状の共重合体である。LLDPE中のα−オレフィン単位の含有量は、通常1〜20質量%、好ましくは2〜17重量%、より一層好ましくは3〜15重量%である。LLDPEの密度は、0.880g/cm3超過であり、好ましくは0.885〜0.950g/cm3、より好ましくは0.890〜0.930g/cm3の範囲内である。LLDPEとVLDPEとは、密度の点で一部重複するため、その境界は必ずしも明瞭ではないが、本発明では、線状かつ低密度であるエチレン−α−オレフィン共重合体をLLDPEという。
【0016】
LLDPEの具体例としては、例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体などが挙げられる。LLDPEは、チーグラー型触媒やフィリップス型触媒のようなマルチサイト触媒を用いて製造したものだけではなく、メタロセン触媒のようなシングルサイト触媒を用いて製造したものも好適に使用することができる。マルチサイト触媒を用いて製造されたLLDPEの具体例を商品名で示せば、例えば、ユニポール(UCC社)、ダウレックス(ダウケミカル社)、スクレアー(デュポンカナダ社)、三菱ポリエチ−LL(三菱化学)、マーレックス(フィリップス社)、ウルトゼックス(三井石油化学)等が挙げられる。シングルサイト触媒を用いて製造されたLLDPEの具体例を商品名で示せば、例えば、AFFINITY(ダウケミカル社)、EXACT(Exxon社)等が挙げられる。
【0017】
LLDPEの構造は、従来の低密度ポリエチレンに比して直鎖性があり、高密度ポリエチレンに比して枝分かれが多い構造であり、主鎖の所々にα−オレフィンに基づくアルキル側鎖よりなる短鎖枝分かれを有するものが多い。LLDPEとしては、上記構造を本質的に変更することなく変性されたもの、例えば、グラフト共重合体なども包含される。
本発明で使用するVLDPEは、密度が0.880g/cm3超過0.915g/cm3以下、好ましくは0.885〜0.915g/cm3のエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である。
前述のとおり、LLDPEとVLDPEとは、密度の点で一部重複しており、必ずしも判然と区別されるものではないが、本発明では、直鎖性(線状性)を明瞭に有するものをLLDPEという。LLDPE及びVLDPEの密度の下限は、0.880g/cm3超過、好ましくは0.885g/cm3以上である。密度は、ASTM D−1238に準拠して測定した値である。
【0018】
密度が0.880g/cm3以下のエチレン−α−オレフィン共重合体は、一般にエラストマーである。本発明の樹脂組成物において、LLDPEやVLDPEに代えてこのようなエラストマーを使用すると、コンパウンド時のスウェルが大きくなり、安定してストランドを形成することができず、ペレット化が困難である。しかも、このようなエラストマーを含有する樹脂組成物は、管状成形物などの押出成形物を得るのが困難である。
LLDPE及びVLDPEは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、耐衝撃性、成形性、及び残留応力の点で、LLDPEが特に好ましい。
【0019】
エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体
本発明で使用するエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体は、少なくともα−オレフィンに由来する繰り返し単位(すなわち、α−オレフィン単位)とグリシジル基含有不飽和単量体に由来する繰り返し単位(すなわち、グリシジル基含有不飽和単量体単位)とを含有する共重合体である。エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の代表例としては、(1)α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体、及び(2)α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、少なくとも一種のエチレン系不飽和単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物とを重合して得られるグラフト化前駆体を挙げることができる。該グラフト化前駆体は、他の成分との溶融混練時にグラフト化してもよいが、予め溶融混練してグラフト化してから他の成分とブレンドしてもよい。
【0020】
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体としては、両者の二元共重合体以外に、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体と他の不飽和単量体単位との三元以上の多元共重合体も含まれる。共重合体中のα−オレフィン単位は、通常50〜99.5質量%、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは70〜98質量%である。グリシジル基含有不飽和単量体単位は、通常0.5〜50質量%、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜30質量%である。他の不飽和単量体単位は、通常0〜40質量%、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%である。エポキシ基含有αオレフィン系共重合体の重合形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれであってもよい。
【0021】
α−オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられるが、これらの中でもエチレンが特に好ましく用いられる。
グリシジル基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、マレイン酸モノグリシジルエステル、クロトン酸モノグリシジルエステル、フマル酸モノグリシジルエステル等のグリシジルエステル類;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類;p−グリシジルスチレン等が挙げられる。これらの中でも好適なものは、α,β−不飽和酸のグリシジルエステルである。
【0022】
他の不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族単量体、一酸化炭素などを挙げることができる。
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の具体例としては、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸グリシジル共重合体等が挙げられる。これらの中でも好ましいものは、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、及びエチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体である。これらの共重合体は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
上記のα−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体は、α−オレフィン50〜99.5質量%、グリシジル基含有不飽和単量体0.5〜50質量%、及び他の不飽和単量体0〜40質量%を含有する単量体混合物を、全単量体の総質量を基準として0.0001〜1質量%のラジカル重合開始剤の存在下で高圧重合することにより得ることができる。重合圧力は、通常5〜40kPa、好ましくは10〜35kPaである。反応温度は、通常50〜400℃、好ましくは100〜350℃である。これらの反応圧力と反応温度の条件下、連鎖移動剤と必要に応じて助剤の存在下に、該単量体混合物を同時に、または段階的に接触、重合させる方法により重合反応を行う。
【0024】
ラジカル重合開始剤としては、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、アミンオキシド化合物、酸素等の汎用の開始剤が挙げられる。連鎖移動剤としては、メタン、エタン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、クロロホルム等の飽和脂肪族炭化水素、及びそのハロゲン置換炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の飽和脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の飽和脂肪族カルボニル化合物;トルエン、ジエチルベンゼン、キシレン等の芳香族化合物;水素等が挙げられる。α−オレフィンがプロピレンや1−ブテンでない場合には、これらも連鎖移動剤として併用することができる。
【0025】
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、少なくとも一種のエチレン系不飽和単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物とを重合して得られるグラフト化前駆体は、例えば、特開平1−131220号公報、特開平1−138214号公報、特開平2−129245号公報などに開示されている公知のものである。このグラフト化前駆体は、100〜300℃に加熱することにより容易にグラフト化する。グラフト化とは、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体に、エチレン系不飽和単量体の重合体がグラフト化反応、架橋反応、これらの混在した反応により、化学的に結合することを意味する。化学的に結合していることは、例えば、一方の(共)重合体を溶解する溶剤により、2つの(共)重合体が分離できないことにより明らかにすることができる。α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体は、前記と同様、他の不飽和単量体が共重合した三元以上の共重合体も含まれる。
【0026】
このグラフト化前駆体中、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の割合は、通常5〜95質量%、好ましくは20〜90質量%である。この共重合体の割合が少なすぎると、PASとの相溶性が不充分となり、逆に、多すぎると、樹脂組成物の耐熱性や寸法安定性が低下するおそれがある。この共重合体中におけるグリシジル基含有不飽和単量体単位の割合は、通常0.5〜50質量%、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜30質量%である。ビニル単量体の重合体中にグリシジル基含有不飽和単量体単位が含まれる場合には、その共重合割合に応じて、上記共重合体中におけるグリシジル基含有不飽和単量体単位の割合を減らすことができる。
【0027】
グラフト化前駆体の製造に使用されるエチレン系不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等のビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸の炭素数1〜7のアルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル単量体;α,β−不飽和酸のグリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル単量体;等が挙げられる。これらの中でも,α,β−不飽和酸のグリシジルエステル単量体、ビニル芳香族単量体、及び不飽和ニトリル単量体のいずれかを主成分とするものが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を表す。
【0028】
α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体にエチレン系不飽和単量体の重合体がグラフト化反応、架橋反応、これらの混在した反応により化学的に結合したエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体は、連鎖移動法、電離性放射線照射法などにより共重合することにより得ることができる。しかし、最も好ましくは、グラフト化前駆体は、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体の存在下に、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネートなどのラジカル(共)重合性有機過酸化物を用いて、少なくとも一種のエチレン系不飽和単量体を(共)重合することにより得ることができる。
【0029】
より具体的に、グラフト化前駆体を製造するには、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体100質量部を水中に懸濁させた水性懸濁液を調製する。一方、少なくとも一種のエチレン系不飽和単量体5〜400質量部に、少なくとも一種のラジカル(共)重合性有機過酸化物をエチレン系不飽和単量体100質量部に対して0.1〜10質量部と、10時間の半減期を得るための分解温度が40〜90℃であるラジカル重合開始剤をエチレン系不飽和単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物との合計100質量部に対して0.01〜5質量部とを溶解させた溶液を調製する。前記水性懸濁液に前記溶液を添加し、ラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらない条件で加熱し、エチレン系不飽和単量体、ラジカル(共)重合性有機過酸化物、及びラジカル重合開始剤を、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体に含浸させた後、水性懸濁液の温度を上昇させ、エチレン系不飽和単量体とラジカル(共)重合性有機過酸化物とを該共重合体中で共重合させて、グラフト化前駆体を製造する。
【0030】
このグラフト化前駆体は、100〜300℃の溶融下で混練すると、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体とエチレン系不飽和単量体の重合体とが化学的に結合した構造のエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体を得ることができる。グラフト化前駆体は、PAS及びその他の成分と溶融混練する際に、グラフト化させてもよい。好ましくは、予めα−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体とエチレン系不飽和単量体の重合体とが化学的に結合した構造のエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体を調製し、これをPAS及びその他の成分と溶融混練する。
グラフト化前駆体の製造において使用されるラジカル(共)重合性有機過酸化物としては、下式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0031】
【化1】
Figure 0003647595
【0032】
[式中、R1は、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基、R2は、水素原子またはメチル基、R3及びR4は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R5は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示し、mは、1または2である。]
で表される化合物を挙げることができる。
また、ラジカル(共)重合性有機過酸化物の他の例としては、下式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0033】
【化2】
Figure 0003647595
[式中、R6は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R7は、水素原子またはメチル基、R8及びR9は、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、R10は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示し、nは、0、1または2である。]
【0034】
前記式(1)で表されるラジカル(共)重合性有機過酸化物としては、t−ブチルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシ(エトキシ)エチルカーボネート、t−アミルペルオキシ(メタ)アルリロイキシ(エトキシ)エチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシ(エトキシ)エチルカーボネート、クミルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシ(エトキシ)エチルカーボネート、p−イソプロピルペルオキシ(メタ)アクリロイロキシ(エトキシ)エチルカーボネートなどを例示することができる。前記式(2)で表されるラジカル(共)重合性有機過酸化物としては、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、クミルペルオキシ(メタ)アリルカーボネート、t−ブチルペルオキシ(メタ)アリロキシエチルカーボネートなどを例示することができる。
これらの中でも好ましいものは、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、及びt−ブチルペルオキシメタクリルカーボネートである。
【0035】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、PAS(a)、ポリオレフィン(b)、及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)を含有する樹脂組成物である。
各成分の配合割合は、PAS(a)98〜50質量%、ポリオレフィン(b)1〜25質量%、及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)1〜25質量%である。ポリオレフィン(b)としては、LLDPE及びVLDPEからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリエチレン系樹脂を使用する。
PASの配合割合が少なすぎると、PAS本来の耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的特性、寸法安定性などの優れた特性が損なわれる。PASの配合割合が多すぎると、耐衝撃性などの物性改善効果が不充分となる。PASの配合割合は、好ましくは95〜60質量%、より好ましくは90〜70質量%である。
【0036】
前記ポリエチレン系樹脂及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体は、両者を特定の配合割合で組み合わせてPASに配合することにより、耐衝撃性及び成形性に優れた樹脂組成物を得ることができ、さらには、残留応力の極めて小さな管状成形物などの押出成形品を得ることができる。PASに、ポリエチレン系樹脂及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体のいずれか一方のみを配合したのでは、耐衝撃性及び成形性に優れた樹脂組成物を得ることができない。また、ポリオレフィン(b)として、ポリプロピレンや低密度ポリエチレンなどを用いた場合には、耐衝撃性の改善効果が不充分であり、しかも管状成形物などに成形した場合、残留応力が大きくなる。ポリオレフィン(b)として、エラストマーを使用すると、良好な押出成形性を得ることができない。
【0037】
このように、前記ポリエチレン系樹脂とエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体との併用による効果は顕著であるため、これらの配合割合を小さくしても、良好な特性を有する樹脂組成物を得ることが可能であり、それによって、PAS本来の諸特性を高度に保持させることができる。(b)成分の前記ポリエチレン系樹脂の配合割合は、好ましくは2〜20質量%で、より好ましくは3〜15質量%である。(c)成分のエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の配合割合は、好ましくは2〜20質量%で、より好ましくは3〜15質量%である。
本発明では、ポリオレフィン(b)(すなわち、前記エチレン系樹脂)とエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)との質量比(b:c)を1:5〜5:1の範囲内に調整することが必要である。両成分をこの質量比の範囲内で組み合わせて使用することにより、耐衝撃性などの諸特性が顕著に優れた樹脂組成物を得ることができる。この質量比が上記範囲外であると、特に耐衝撃性が低下する。この質量比(b:c)は、好ましくは1:3〜4:1で、より好ましくは1:2〜3:1である。
【0038】
本発明の樹脂組成物では、ポリオレフィン(b)(すなわち、前記エチレン系樹脂)及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、PASマトリックス中に、それぞれ平均粒子径0.10〜3.00μmの微粒子として分散していることが必要である。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により求めた値である。これら両成分をこのように微細な粒子としてPAS中に分散させることにより、耐衝撃性や成形性などの諸特性に優れた樹脂組成物を得ることができ、さらには、残留応力の極めて小さな管状成形物などを得ることができる。エチレン系樹脂の平均粒子径は、好ましくは0.10〜3.00μm、より好ましくは0.13〜2.00μm、最も好ましくは0.16〜1.00μmである。エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体の平均粒子径は、好ましくは0.10〜3.00μm、より好ましくは0.13〜2.00μm、最も好ましくは0.16〜1.00μmである。
【0039】
ところで、LLDPE及びVLDPEからなる群より選ばれる少なくとも一種のエチレン系樹脂として、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体、中でもエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体が前記グラフト化前駆体を溶融混練してグラフト化したもの(すなわち、α−オレフィンとグリシジル基含有不飽和単量体との共重合体とエチレン系不飽和単量体の重合体とが化学的に結合した構造のエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体)との接着強度が30N/20mm以上であるものを用いたときに、樹脂組成物よりなる成形物、例えば、管状成形物や固相押出成形物としたときの残留応力が極めて小さく、耐衝撃性に優れることが判明した。これによって、得られた樹脂組成物を用いて外径115mm、肉厚6.2mmのパイプを押出成形すると、パイプの残留応力を4MPa以下、好ましくは3MPa以下、より好ましくは1MPa以下にまで小さくすることができる。多くの場合、残留応力を0.5MPa以下にすることも可能である。接着強度の測定方法の詳細については、実施例の項において説明する。
【0040】
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内において、所望により、その他の樹脂や各種添加剤などを適宜添加することができる。他の樹脂の例としては、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルフォン樹脂等が好適なものとして挙げられる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、充填剤等が挙げられる。
充填剤として、粉粒状、平板状、及び繊維状等の無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、通常0〜150質量部、好ましくは0〜100質量部の範囲内で配合される。無機充填剤としては、例えば、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、珪藻土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属粉、グラファイト、炭化珪素、窒化珪素、シリカ、窒化硼素、窒化アルミニウム、カーボンブラック等の粉粒状物;雲母、セリサイト、パイロフライト、アルミフレーク等の金属箔、黒鉛などの平板状若しくは燐片状物;ガラスバルーン、金属バルーン、シラスバルーン、軽石などの中空状物;ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ウィスカー、金属繊維、シリコンカーバイト繊維、アスベスト、ウォロストナイト等の鉱物繊維;等を挙げることができる。無機充填剤は、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、またはそれらの金属塩、パラフィンワックス、有機シラン、有機チタネートなどを使用して表面処理することが好ましい。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、各成分を(PASの結晶融点)〜350℃、好ましくは(PASの結晶融点)〜320℃の温度範囲で溶融混練することによって得ることができる。溶融混練する順序は、全成分を同時に溶融混合してもよいし、予め(b)成分と(c)成分とを溶融混練した後、これらをPASと溶融混練してもよい。中でも、タンブラー、ヘンシェルミキサー等により予め機械的に混合した後、押出機により溶融混練する方法が好適である。
本発明の樹脂組成物は、射出成形や押出成形などの一般的溶融成形加工法により、シート、フィルム、チューブ、パイプ、板状体、棒状体などの各種成形物に成形することができる。本発明の樹脂組成物は、押出成形により、パイプ(管状成形物)、板状体、棒状体などの押出成形物にした場合、残留応力が極めて小さな成形物を得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下に製造例、実施例、及び比較例を挙げて、本発明の好ましい実施の形態について、より具体的に説明する。
物性の測定法は、次のとおりである。
(1)平均粒径
射出成形により得られた試験片から切り取ったサンプルを用いて透過型電子顕微鏡写真を撮影し、この写真からそれぞれの分散粒子の粒径を測定(n=30)し、その平均値を求めた。
(2)アイゾット衝撃強度
射出成形により得られた試験片を用い、ASTM D−256にしたがってアイゾット衝撃強度(ノッチ付)を測定した。
(3)接着強度
ポリオレフィン(b)と、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)との間の接着強度は、以下の方法により測定した。
各ポリマー6〜7gのそれぞれを、ポリテトラフルオロエチレンシートを付けたフェロ板で挟み、プレスして各ポリマーのシートを作製した。プレス温度は、150℃であった。プレスは、無荷重で1分間、次いで、荷重2MPaで5秒間行った後、プレス機械からシートを取り出し空気中で放冷した。
上記で得られたポリオレフィン(b)シートと、エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)シートとを合わせ、その間に離型剤〔ダイキン(株)製の商品名ダイフリー〕を塗布したアルミニウム箔をシート面積の1/3になるように挟んだ。次いで、合わせたシートを0.5mm厚さの枠に入れ、ポリテトラフルオロエチレンシート(厚さ300μm)を付けたフェロ板で挟みプレスした。プレス温度は、200℃であった。プレスは、無荷重で2分間、次いで、荷重0.98MPaで10秒間行った後、張り合せシートをプレス機械から取り出し、空気中で放冷した。
このようにして得られた張り合せシートの剥離試験をテンシロンを用いて行った。剥離試験は、試料寸法を幅20mm、剥離させる部位の長さを40mmとし、テンシロンで行った。テンシロンの測定条件は、ロードセル5kg、引き剥し速度50mm/min、チャック間距離10mmであった。なお、予め幅2〜3mm程度を手で剥しておいた箇所から剥離が行われるようにした。この剥離強度を両ポリマー成分の接着強度(N/20mm)とした。
(4)曲げ弾性率
曲げ弾性率は、ASTM D−790にしたがって測定した。
(5)残留応力
押出成形により得られたパイプ(管状成形物)を、その押出方向に50mmの長さに切断し、その外径(D0;cm)及び肉厚(t;cm)を測定した。次いで、切断したパイプの円周部の一部を、押出方向に平行に幅40mmの間隔で切り取って、円筒に縦割りを入れた形状とし、その外径(D1;cm)を測定した。
パイプの残留応力は、下式より求めた。
S=E×t×〔(1/D1)−(1/D0)〕
S:残留応力[MPa]、
E:曲げ弾性率[MPa]、
t:パイプ肉厚[cm]、
0:切断前のパイプ外径[cm]、
1:切断後のパイプ外径[cm]。
【0043】
[製造例1]
エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c−1)
容積5リットルのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、さらに、懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エポキシ基含有α−オレフィン共重合体としてエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体〔メタクリル酸グリシジル含有量15質量%:日本石油化学(株)製日石レクスパールJ3700〕700gを入れ、窒素雰囲気下で、撹拌・分散させた。別にラジカル重合開始剤としてベンゾイルペルオキシド1.5g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート6gをスチレン300gに溶解させた。このスチレン溶液を前記オートクレーブ中に投入し、撹拌した。
オートクレーブを60〜65℃に昇温し、2時間撹拌して、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物を含むスチレン溶液をエチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体中に含浸させた。次いで、温度を80〜85℃に上げて、7時間維持して重合を完結させた後、水洗・乾燥してグラフト化前駆体を得た。次いで、このグラフト化前駆体を一軸押出機で200℃にて押出し、化学反応させることによりエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c−1)を得た。
【0044】
[製造例2]
エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c−2)
製造例1において、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体(メタクリル酸グリシジル含有量15質量%)700gを600gに、スチレン300gを400gにそれぞれ変えたこと以外は、製造例1と同様に操作してエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c−2)を得た。
【0045】
[実施例1]
表1に示す配合割合の各成分をタンブラーで予め混合した後、二軸押出機にてバレル温度280〜320℃で溶融混練し、ストランド状に押し出して冷却した後、カットしてペレット化した。得られたペレットを用いて、射出成形機にてシリンダ温度280〜320℃で射出成形して試験片を作製し、樹脂組成物の性状の測定に供した。結果を表1に示す。
【0046】
[実施例2〜19、及び比較例1〜7]
各成分及びそれらの配合割合を表1に示すとおりに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、試験片及びパイプを作成した。結果を表1に示す。
<各ポリマー成分>
これらの実施例及び比較例で使用した各ポリマー成分は、以下のとおりである。
(1)PPS
呉羽化学工業(株)製、商品名「フォートロンKPS」(ポリフェニレンスルフィド;310℃、剪断速度1200/秒で測定した溶融粘度380Pa・s)(2)LL1
三菱化学(株)製、商品名「三菱ポリエチ−LL UF240」(線状低密度ポリエチレン;密度0.920g/cm3
(3)LL2
三井化学(株)製、商品名「ウルトゼックス1520L」(線状低密度ポリエチレン;密度0.915g/cm3
(4)LL3
ダウケミカル社製、商品名「Affinity PF1140」(線状低密度ポリエチレン;密度0.895g/cm3
(5)LL4
エクソン社製、商品名「Exact 3027」(線状低密度ポリエチレン;密度0.900g/cm3
(6)VL
日本石油化学(株)製、商品名「日石ソフトレックス D9010」(超低密度ポリエチレン;密度0.900g/cm3
(7)L
日本石油化学(株)製、商品名「日石レクスロン J40」(低密度ポリエチレン;密度0.920g/cm3
(8)c−1
製造例1で作製したエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体
(9)c−2
製造例2で作製したエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体
【0047】
【表1】
Figure 0003647595
【0048】
<管状成形物の物性>
前記実施例及び比較例の中から代表的なものを選び、上記で得られたペレットを用いて、シリンダ及びダイ温度280〜320℃に設定した単軸押出機にて、外径サイジング法により表2に示す外径(D0)及び肉厚のパイプ(管状成形物)を成形し、曲げ弾性率、パイプ切断後の外径(D1)及び残留応力の測定を行った。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
Figure 0003647595
【0050】
[比較例8〜10]
ポリオレフィン(b)に代えて、エラストマーを使用し、表3に示す配合割合の各成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験片及びパイプを作成した。エラストマー(E)としては、三井石油化学(株)製の商品名「タフマーA−4085」(エチレン/ブテン共重合体;密度0.880g/cm3)を用いた。結果を表3に示す。表3には、これらの比較例8〜10に対応する実施例12、17、及び19の結果も併せて示した。
<成形性>
樹脂組成物の成形性は、以下の基準で判定した。
A:安定してペレット化、及びパイプの押出成形ができた、
B:ペレット化及びパイプの押出成形が少し不安定であった、
C:コンパウンド時にスウェルが大きすぎて、安定してストランド を溶融押出することができず、ペレット化が困難であり、かつ、 パイプの押出成形ができなかった。
【0051】
【表3】
Figure 0003647595
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、PASの耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的特性、寸法安定性等の諸特性を高度に保持し、しかも、耐衝撃性及び成形性が顕著に改善された樹脂組成物が提供される。本発明の樹脂組成物は、パイプ等の管状成形物、その他の押出成形物とした場合、残留応力が極めて小さな成形物を与えることができる。本発明の樹脂組成物は、その優れた特性を活かして、電気部品、自動車部品などの広範な分野で好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. ポリアリーレンスルフィド(a)、ポリオレフィン(b)、及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)を含有する樹脂組成物において、
    ▲1▼各成分の配合割合が、ポリアリーレンスルフィド(a)98〜50質量%、ポリオレフィン(b)1〜25質量%、及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)1〜25質量%であり、
    ▲2▼ポリオレフィン(b)が、線状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリエチレン系樹脂であり、
    ▲3▼ポリオレフィン(b)とエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)との質量比(b:c)が、1:5〜5:1であり、かつ、
    ▲4▼ポリオレフィン(b)及びエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、ポリアリーレンスルフィド(a)中に、それぞれ平均粒子径0.10〜3.00μmの微粒子として分散していることを特徴とする樹脂組成物。
  2. ポリオレフィン(b)が、密度0.885〜0.950g/cm3の線状低密度ポリエチレンである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、α−オレフィン単位50.0〜99.5質量%とα,β−不飽和酸グリシジルエステル単位0.5〜50.0質量%とを含むα−オレフィン/α,β−不飽和酸グリシジルエステル共重合体である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. ポリオレフィン(b)とエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)との間の接着強度が、30N/20mm以上である請求項1の樹脂組成物。
  5. エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、α−オレフィン/α,β−不飽和酸グリシジルエステル共重合体の存在下に、少なくとも一種のエチレン系不飽和単量体と少なくとも一種のラジカル(共)重合性有機過酸化物とを重合してなるグラフト化前駆体である請求項1記載の樹脂組成物。
  6. エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、α−オレフィン/α,β−不飽和酸グリシジルエステル共重合体の存在下に、少なくとも一種のビニル単量体と少なくとも一種のラジカル(共)重合性有機過酸化物とを重合してなるグラフト化前駆体を溶融条件下でグラフト化させたものである請求項1記載の樹脂組成物。
  7. ポリオレフィン(b)とエポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)との質量比(b:c)が、1:2〜3:1である請求項1記載の樹脂組成物。
  8. ポリオレフィン(b)が、ポリアリーレンスルフィド(a)中に、平均粒子径0.13〜2.00μmの微粒子として分散している請求項1記載の樹脂組成物。
  9. エポキシ基含有α−オレフィン系共重合体(c)が、ポリアリーレンスルフィド(a)中に、平均粒子径0.13〜2.00μmの微粒子として分散している請求項1記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を押出成形してなる押出成形物。
  11. 管状成形物である請求項10記載の押出成形物。
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