JP2006036824A - 自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品 - Google Patents

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和美 児玉
Takaaki Mitsumoto
陽明 三本
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陽 平井
Toshiro Ijima
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Abstract

【課題】 従来のガラス繊維入りポリアミド系樹脂に比し、耐塩化カルシウム性および高温機械強度に優れ、特に優れた衝撃性と耐クーラント性および低比重化を両立させたPPS樹脂組成物を用いてより薄肉でも耐久性を有する自動車エンジン冷却系樹脂成形部品の提供を課題とするものである。
【解決手段】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂45〜83重量%、(B)ポリエチレン樹脂15〜35重量%、(C)エチレンおよびメタクリル酸グリシジルを共重合してなる共重合ポリオレフィン2〜20重量%からなる組成物100重量部に対して(D)ガラス繊維を30〜100重量部配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
【選択図】 なし

Description

本発明は優れた耐塩化カルシウム性、高温機械強度を有する樹脂材料を使用した自動車用エンジン冷却系樹脂成形品に関するものであり、さらに詳しくは、耐衝撃性と耐クーラント分解性が優れ、かつ、耐塩化カルシウム性、剛性、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性が優れるなどの特性バランスに優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物(以下、ポリフェニレンスルフィド樹脂をPPS樹脂と略す。)で射出成形された自動車エンジン冷却系樹脂成形部品に関するものである。
従来、自動車用冷却系樹脂成形部品には、軽量性、加工性の良さおよび低コストなどを考慮して熱可塑性樹脂が用いられている。熱可塑性樹脂を自動車用冷却系樹脂成形部品に使用するためには、耐衝撃性、耐薬品性および耐水蒸気透過性等の性能が要求される。
自動車エンジン冷却系部品の環境は、その内面に接してグリコール類を主成分とする冷却水が流れ、これが高温高圧になるため苛酷な環境となる。例えば、エンジン冷却のために使用するクーラントは、定常状態では最大約100℃で循環しているが、エンジン停止後の瞬時には液温130℃程度まで上昇し、内圧も0.1〜0.15MPa程度で使用される。また、エンジンルーム内も高温になり外表面も100℃程度に加熱される。
従って、自動車エンジン冷却系部品に使用する熱可塑性樹脂は高温でのクーラントに耐えるために耐薬品性だけでなく、衝撃等による破壊に対して安全性を向上させるために耐衝撃性等も必要となる。
現在使用されている材料は、ポリアミド系樹脂であり、通常ガラス繊維で強化された材料が使用されている。このガラス繊維強化ポリアミド系樹脂は、耐熱性は優れているが、高温のクーラント液を吸収して、強度が低下するという欠点がある。また、今後はエンジンの高性能化等が進み、さらにクーラントの液温が上昇する傾向にあり、現在使用されているポリアミド系樹脂を上回る長期安定性を有する材料が要求されてくる。
さらに、一部の地域では道路凍結防止剤として塩化カルシウムが使用されているが、ポリアミド系樹脂の一部は条件によりクラックを生じる場合もある。このため、ポリアミド612やポリアミド610を複合した材料も使用されているが、クーラントによる強度低下は発生し、これら部品の耐久性を成立させる為、肉厚を3mm以上に厚肉とすることで対応してきた。更に、今後は燃費向上などから部品の軽量化が要求されつつある。
耐クーラント性の向上を目的にこれまでいくつかの検討がなされている。例えば、特許文献1では、ポリプロピレン系樹脂中にガラス繊維を分散させた、内燃エンジン冷却水系統樹脂成形部品が開示されているが、ベースポリマーのポリプロピレン系樹脂の耐熱性が低いために特に高温機械物性の低下が発生した。
特許文献2には、PPS樹脂とポリアミド樹脂からなる自動車用ラジエータータンク部品が開示されているが、LLC吸液による強度低下があった。特許文献3にはPPS樹脂にポリフェニレンオキシドを配合してなる樹脂組成物からなる自動車ラジエータタンクが開示されている。
特開平10−139892号公報(第1−3頁) 特開平5−248237号公報(第1−5頁) 特開平5−322481号公報(第1−4頁)
本発明は上述した従来のガラス繊維入りポリアミド系樹脂に対し、耐塩化カルシウム性および高温機械強度に優れ、特に優れた衝撃性と耐クーラント性を両立させたPPS樹脂組成物を用いてより薄肉でも耐久性を有する自動車エンジン冷却系樹脂成形部品の提供を課題とするものである。さらにPPS樹脂組成物の中でもガラス繊維量が同等である場合に、より低比重である組成物の提供を課題とするものである。具体的には、130℃の温度で、500時間、ロングライフクーラント(LLC)50体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、引張強度が90MPa以上あり、170℃の温度で、24時間、LLC 50体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しない自動車エンジン冷却系樹脂成形部品の提供を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリオレフィン樹脂およびエチレンおよびメタクリル酸グリシジルを共重合してなる共重合ポリオレフィンとガラス繊維を配合したPPS樹脂組成物を用いて自動車冷却系樹脂成形部品を射出成形することにより上記問題点が解決されることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂45〜83重量%、(B)ポリエチレン樹脂15〜35重量%、(C)エチレンおよびメタクリル酸グリシジルを共重合してなる共重合ポリオレフィン2〜20重量%からなる組成物100重量部に対して(D)ガラス繊維を30〜100重量部配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(2)(B)ポリエチレン樹脂が密度900〜950kg/mのポリエチレン樹脂である(1)記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(3)(C)共重合ポリオレフィンが、エチレンとメタクリル酸グリシジルの合計を100重量%とした場合、エチレン99〜70重量%およびメタクリル酸グリシジル1〜30重量%である(1)又は(2)記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(4)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(315.5℃、5000g荷重、5分)が0.1〜50g/10分である(1)〜(3)のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(5)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の130℃で500時間、ロングライフクーラント(LLC)50体積%水溶液に浸漬処理した場合のダインスタット曲げ強度が、35MPa以上である(1)〜(4)のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(6)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、170℃の温度で、24時間、LLC 50体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である(1)〜(5)のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(7)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の130℃で500時間、エチレングリコール45体積%水溶液に浸漬処理した場合のダインスタット曲げ強度が、35MPa以上である(1)〜(6)のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(8)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、170℃の温度で、24時間、エチレングリコール45体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である(1)〜(7)のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
(9)自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品が、ラジエータータンクのアッパー、ロワータンクまたはサーモスタットハウジングである(1)〜(8)のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系成形部品。
本発明は上述した従来のガラス繊維入りポリアミド系樹脂に対し、耐塩化カルシウム性および高温機械強度に優れ、特に優れた衝撃性と耐クーラント性を両立させたPPS樹脂組成物を用いてより薄肉でも耐久性を有する自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品の提供を課題とするものである。
本発明についてさらに具体的に説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
(A) 本発明で用いるPPS樹脂とは、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2006036824
このPPS樹脂は、耐熱性の点から、好ましくは上記構造式で示される繰り返し単位含む重合体を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体である。またPPS樹脂はその繰り返し単位の30モル%以下程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 2006036824
上記PPS樹脂は、特公昭45−3368号公報で代表される製造方法により得られる比較的分子量の小さな重合体を得る方法、或いは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などの公知の方法によって製造できる。
上記により得られたPPS樹脂は、そのまま使用してもよく、また空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下或は減圧下での熱処理、また、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄を施した上で使用することも可能である。
上記特性を有するPPS樹脂を得るための製造方法としては、上記特性が得られる限り特に制限はないが、ポリマーは実質的に直鎖状で不純物が少ない未架橋の重合体を用い、所望の特性となるまで有機溶媒、熱水、酸水溶液などにより洗浄を施す方法が挙げられる。
有機溶媒で洗浄する場合、用いる有機溶媒としてはPPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はない。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエ−テル、ジプロピルエ−テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パ−クロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パ−クロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどのアルコ−ル・フェノ−ル系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
洗浄温度についても特に制限はなく、通常、常温〜300℃程度が選択される。酸水溶液で洗浄する場合、用いる酸としてはPPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸及びプロピル酸などが挙げられる。また、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネ−ト基などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも可能である。本発明で使用する場合は、酸水溶液で洗浄したものが好ましい。
本発明で用いるPPS樹脂としては、2種類以上の異なる分子量分布のPPS樹脂を混合して使用することも可能である。
本発明で用いられるPPS樹脂のベースポリマーとして使用する(2種以上のPPS樹脂を併用する場合はブレンドしたものの)MFR(メルトフローレート)は、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いた測定値として10000g/10分以下であることが好ましく、5000g/10分以下であることがより好ましく、3000g/10分以下であることがさらに好ましい。下限としては特に制限はないが、溶融粘度の点から10g/10分以上であるのがよく、50g/10分以上であることがより好ましい。
本発明において、(A)PPS樹脂の使用量は、(A)〜(C)成分の合計100重量%に対し、45〜83重量%であり、50〜75重量%であることが好ましい。(A)PPS樹脂が45重量%よりも少なすぎると、自動車エンジン冷却系部品の耐LLC性(耐ロングライフクーラント性)および高温機械物性が低下するので好ましくなく、逆に配合量が83重量%よりも多すぎると自動車エンジン冷却系部品の衝撃強度が低下するので好ましくない。
(B) 本発明で用いるポリエチレン樹脂は、密度が900〜980kg/mの高密度、中密度、低密度ポリエチレン樹脂のことである。密度は900〜950kg/mであることが好ましく、900〜930kg/mであることがより好ましい。中でも特に上記密度の範囲の低密度ポリエチレン樹脂を使用する場合に本発明効果が顕著である。上記ポリオレフィンの密度は、ASTM D1505に従って測定することができる。
上記ポリエチレン樹脂のMFRは、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、ASTM D1238に準じた条件下でメルトインデクサーを用いて190℃、荷重2160gで測定した値として50g/10分以下であることが好ましく、30g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがさらに好ましい。50g/10分を超えるとクーラント性および衝撃強度が低くなることもあり好ましくない。下限としては特に制限はないが、成形性の点から0.5g/10分以上であるのが好ましい。
本発明で用いられる(B)ポリエチレン樹脂の製造方法については特に制限はなく、ラジカル重合、チーグラー・ナッタ触媒を用いた配位重合、アニオン重合、メタロセン触媒を用いた配位重合などいずれの方法でも用いることができる。
上記(B)のポリエチレン樹脂の配合量は(A)〜(C)の合計100重量%に対して15〜35重量%であり、15〜30重量%であることが好ましい。15重量%よりも少なすぎると衝撃強度と流動性のバランスが悪いため好ましくなく、35重量%よりも多すぎると、強度、剛性が低下するため好ましくない。
(C) 本発明で(C)成分として用いられるエチレンおよびメタクリル酸グリシジルを共重合してなる共重合ポリオレフィンの組成に特に制限はないが、エチレンとメタクリル酸グリシジルの合計を100重量%とした場合、エチレン99〜70重量%およびメタクリル酸グリシジル1〜30重量%であることが好ましく、エチレン99〜75重量%およびメタクリル酸グリシジル1〜25重量%であることがより好ましい。エチレン共重合量が70重量%よりも少なすぎるとPPS樹脂組成物の耐衝撃性が損なわれる傾向にあり、一方、エチレン共重合量が99重量%よりも多すぎるとPPS樹脂組成物がゲル化傾向を示す傾向がある。
上記(C)のエチレンおよびメタクリル酸グリシジルを主たる構成成分とする共重合ポリオレフィンのその共重合の形式は制限はなく、通常公知の方法であればよく、高圧ラジカル共重合、グラフト共重合などによって製造される。
上記(C)の共重合ポリオレフィンの重合度については特に制限なく、JISK6760に定められた方法で測定した190℃/2160gの条件におけるMFRが0. 5〜30g/10分の範囲のものを用いることができる。MFRが1〜20g/10分であることがより好ましい。
共重合ポリオレフィンの(A)〜(C)の合計100重量%に対する割合は2〜20重量%であり、2〜15重量%であることが好ましい。共重合ポリオレフィンの配合量が2重量%よりも少なすぎるとPPS樹脂組成物の耐衝撃性が不足するので好ましくなく、逆に配合量が20重量%よりも多すぎるとPPS樹脂組成物の流動性が低下するので好ましくない。
(D) 本発明で用いる(D)ガラス繊維は、平均繊維径に特に制限はないが、平均繊維径は20μm以下であることが好ましく、より好ましくは平均繊維径は、16μm以下である。下限に特に制限はなく、小さいほど好ましいが、通常5μm以上であれば十分効果を得ることができる。平均繊維径が20μmを超えると強度が低下する傾向にある。一般的に平均繊維径は電子走査顕微鏡を用いて常法にて測定した平均繊維径を用いる。また、純度については特に制限がない。
上記(D)のガラス繊維の配合量は(A)〜(C)の合計100重量部に対して30〜100重量部であり、50〜100重量部であることが好ましい。30重量部よりも少なすぎると剛性、高温機械強度が低いため好ましくなく、100重量部よりも多すぎると、衝撃性が低下するため好ましくない。
上記(D)のガラス繊維は本発明の効果を損なわない範囲において表面処理をすることが可能であり、その処理剤としては、表面処理剤、収束剤が挙げられ、具体的には、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン処理等があげられる。
本発明の自動車用エンジン冷却系樹脂成形品には本発明の効果を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を配合してもよい。具体例としては、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエステルエラストマ、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、SAN樹脂、アクリル樹脂、SBS、SEBS、各種エラストマー等を、本発明の効果を損なわない範囲において配合することができる。さらにこれらは2種以上を併用して使用することもできる。
本発明の自動車用エンジン冷却系樹脂成形品には本発明の効果を損なわない範囲で繊維状、板状、粉末状、粒状などの無機充填剤を使用することができる。具体的には例えば、炭素繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、セラミックビ−ズ、シリカ、湿式法ホワイトカーボン、粒状ワラステナイト、ゼオライト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、グラファイト、パイロフィライト、燐酸カルシウムなどの非繊維状充填剤が挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用することも可能である。
さらに、本発明の自動車用エンジン冷却系樹脂成形品には本発明の効果を損なわない範囲において、カップリング剤、可塑剤、結晶核剤、金属石鹸、離型剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線防止剤、耐熱安定剤、滑剤、発泡剤、顔料、カーボンブラック、染料、帯電防止剤、難燃剤などの通常の添加剤を添加することができる。
本発明で用いられる樹脂組成物の調製方法は特に制限はないが、(A)〜(D)成分及びその他必要に応じて添加される原料を溶融混練することにより得られる。具体的には原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ミキシングロ−ルなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜450℃の温度で混練する方法などを例として挙げることができる。また、原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を上記の方法により溶融混練しさらに残りの原材料を溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を単軸あるいは二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。好ましくはPPS樹脂、共重合ポリオレフィンおよびポリエチレンを溶融混練後、ガラス繊維を添加し、溶融混練して製造する方法である。中でも、2軸押し出し機を用いて、PPS樹脂、共重合ポリオレフィンおよびポリエチレンを供給、溶融混練後、サイドフィーダーを用いてガラス繊維を供給、混練した後、真空状態に曝して発生するガスを除去する方法を好ましく挙げることができる。このような押出工程でPPS樹脂組成物を得ることにより発生ガスの少ない良好な衝撃強度を得ることができる。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
本発明で用いられるPPS樹脂組成物のMFRは、成形が可能であれば特に制限はないが、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いた測定値として、0.1〜50g/10分であることが好ましく、2〜30g/10分であることがより好ましい。下限としては流動性の点から0.1g/10分以上であるのが好ましい。PPS樹脂組成物のMFRは、主として用いるPPS樹脂のMFR、(B)〜(D)成分などの量に左右され、MFRの低いPPSを用いることにより、もしくは(B)〜(D)成分などの量が多くなることにより、MFRが下がる傾向にあるので、これらを適宜調整することにより、上記範囲を有するPPS樹脂組成物を得ることができる。
本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、耐LLC性に優れるため、その自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品の中央の平面部(中央に平面がない場合は中央以外でも切削加工できる部分でよく)から10mm×15mmの試験片を切削し、それを130℃で500時間、エチレングリコール45体積%水溶液に浸漬処理した場合のダインスタット曲げ強度が35MPa以上の特性が得られ、より好ましい態様においては40MPa以上、さらに好ましい態様においては45MPa以上の特性が得られるので、耐LLC性に優れ、実使用に充分耐えうる自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を得ることができる。ダインスタット曲げ強度が35MPa未満では、自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品としての強度が充分でなく、割れなどの不良が発生しやすくなるので好ましくない。
また、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、耐LLC性に優れるため、その自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品の中央の平面部(中央に平面がない場合は中央以外でも切削加工できる部分でよく)から10mm×15mmの試験片を切削し、それを130℃で500時間、LLC 50体積%水溶液に浸漬処理した場合のダインスタット曲げ強度が35MPa以上の特性が得られ、より好ましい態様においては40MPa以上、さらに好ましい態様においては45MPa以上の特性が得られるので、耐LLC性に優れ、実使用に充分耐えうる自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を得ることができる。ダインスタット曲げ強度が35MPa未満では、自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品としての強度が充分でなく、割れなどの不良が発生しやすくなるので好ましくない。
また、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、耐LLC性に優れるため厚み2mmの試験片(角板(80mm×80mm×厚み2mm、フィルムゲート)の中央部を直角方向に切削加工したもの)を130℃で250時間、LLC 50体積%水溶液に浸漬処理した場合の曲げ強度が70MPa以上の特性が得られ、より好ましい態様においては75MPa以上得られるので薄肉での耐LLC性に優れ、実使用に充分耐えうる自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を得ることができる。
さらに、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、等量のガラス繊維を有する従来のポリフェイニレンスルフィド樹脂組成物に比べて密度が小さく、耐クーラント性を保持しながら軽量化が期待できる。
なお、本発明におけるLLCはエチレングリコールを85体積%以上の主成分とし、防錆剤、水などからなる組成を有するものとする。
さらに、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、170℃の温度で、24時間、エチレングリコール45体積%水溶液にその自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を(寸法が大きく浸漬できない場合は中央部を切り出したものでもよく)浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しないため、本ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から製品寿命の長い自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を得ることができる。従来の材料であるナイロン樹脂などでは、170℃の温度で、24時間、エチレングリコール45体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、ナイロン樹脂が溶解し、充分な製品寿命を得られなかった。
また、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、170℃の温度で、24時間、LLC 50体積%水溶液にその自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を(寸法が大きく浸漬できない場合は中央部を切り出したものでもよく)浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しないため、本ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から製品寿命の長い自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を得ることができる。従来の材料であるナイロン樹脂などでは、170℃の温度で、24時間、LLC 50体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、ナイロン樹脂が溶解し、充分な製品寿命を得られなかった。
さらに、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、130℃の温度で、500時間、エチレングリコール45体積%水溶液にそのASTM D638 TYPE I試験片の成形品を浸漬処理した後、ASTM D638に従い測定した引張強度が90MPa以上の特性を有し、好ましい態様においては100MPa以上の特性が得られる。
また、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、130℃の温度で、500時間、LLC 50体積%水溶液にそのASTM D638 TYPE I試験片の成形品を浸漬処理した後、ASTM D638に従い測定した引張強度が90MPa以上の特性を有し、好ましい態様においては100MPa以上の特性が得られる。
また、本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、その80mm×80mm×3mm厚みの成形品に錘(先端形状半径1/4インチの半球、1kg)を落下させるデュポン衝撃試験による落錘衝撃で100mm以上で破損しないという特性を有する。
さらに本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は30重量%塩化カルシウム水溶液の塗布においてもクラックが発生しないものが好ましく、本ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物から製品寿命の長い自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品を得ることができる。
本発明の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品は、射出成形により成形することが機械的強度が優れる点で好ましい。射出成形は、公知の方法で、射出圧縮成形、二色成形、DSI成形などでもよい。また、成形温度については、通常、PPS樹脂の融点より5〜50℃高い温度範囲から選択される。
本発明の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品は、発熱したエンジンの熱を冷却するために加圧循環させる水またはエチレングリコールを主成分とする冷却水と、少なくとも一部が接する部品である。この系統に用いられている樹脂成形部品は、主としてラジエータタンク(アッパー部およびロワー部)、サーモスタットハウジング、ウォーターパイプ、ヒーターコアタンク、ウォーターアウトレット、ウォーターポンプハウジング、ウォーターポンプインペラなどが挙げることができる。特に、ラジエータタンク(アッパー部およびロワー部)、サーモスタットハウジングに適している。なかでも本発明で用いるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、耐LLC性が優れるため、上記部品とする場合、より薄肉でも耐久性を有するものが得られ、例えば3mm以下、さらには1.5〜2.8mmの薄肉部を有する場合であっても極めて優れた実用特性を有する部品が得られる。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例および比較例の中で述べられる引張強度、衝撃強度、落錘衝撃強度、ダインスタット曲げ強度、130℃×250hrLLC処理後の曲げ強度、MFR、耐LLC性、製品単体耐久性、耐塩化カルシウム性は各々次の方法に従って測定した。
[引張強度の測定]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃にて、ASTM D638に従い引張試験片(1/8インチ(3.2mm)厚み)を射出成形し、23℃の温度条件下で測定したものである。90MPa以上あれば実用上問題のない製品強度レベルといえるが、この値が高いほど剛性が優れ、好ましい。
[衝撃強度の測定]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃にて、ASTM D256に準じた衝撃試験片(1/8インチ(3.2mm)幅、ノッチあり)を射出成形し、23℃の温度条件下で測定したものである。100J/m以上あれば実用上問題のない製品強度レベルといえるが、この値が高いほど靭性が優れ、好ましい。
[落錘衝撃強度の測定]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃にて、角板(80mm×80mm×3mm厚み)を射出成形し、23℃の温度条件下で図1のようにデュポン衝撃試験(東洋精機製)を測定したものである。試験は錘(先端R 1/4インチ(6.4mm))を試験片中央部にセットし、重り1kgを錘へ落下させ、試験片に亀裂の入る高さを測定した。高さ100mm以上で亀裂なければ実用上問題のない製品強度レベルといえるが、この値が高いほど靭性が優れ、好ましい。
〔130℃×250hrLLC処理後の曲げ強度の測定〕
シリンダー温度320℃、金型温度130℃にて角板成形品(80mm×80mm×厚み2mm,フィルムゲート)を射出成形し、角板の中央部を直角方向に試験片(幅10mm×長さ80mm、厚み2mm)を切り出し、幅10mmの両端面をフライス仕上げした試験片を作成し、その試験片を130℃で250時間、LLC 50体積%水溶液に浸漬処理した、その試験片を用いて23℃の温度条件下でASTMD790に従って曲げ強度を測定した。この値が高いほど剛性が優れ、好ましい。
[密度]
シリンダー温度320℃、金型温度140℃にてISO 3167タイプA試験片を射出成形し、その試験片を用いてISO 1183 A法に従い密度を測定した。この値が小さいほど軽量になり好ましい。
[ダインスタット曲げ強度の測定]
タンク型モデル成形品より試験片(幅10mm×長さ15mm、厚み3mm)を切り出し、幅10mmの両端面をフライス仕上げした試験片を作成し、その試験片を130℃で500時間、LLC 50体積%水溶液またはエチレングリコール45体積%水溶液に浸漬処理した。その試験片をダインスタットテスタ(東洋精機製作所製、BS−1330準拠)を用いて、試験片を固定し、曲げ速度90°/minで常法にしたがって曲げ強度を測定した。35MPa以上あれば実用上問題のない製品強度レベルといえるが、この値が高いほど靭性が優れ、好ましい。
[MFR]
ASTM D1238に従い315.5℃、5000g荷重で測定した。MFRが大きいほど、流動性がよく、成形加工性に優れている。
[耐LLC性]
170℃の温度で、24時間、LLC 50体積%水溶液またはエチレングリコール45体積%水溶液にASTM D638 TYPE Iダンベル試験片(3.2mm厚み)の成形品を浸漬処理し、その成形品の表面を電子走査型顕微鏡を用いて観察し、亀裂有無を判定した。判定は、○:亀裂なく良好、×:亀裂発生し実用レベルでない。
[製品単体耐久性評価]
ラジエータに樹脂組成物で成形したタンクを図2のように上下に組み込み、加圧できるように配管する。これにLLC50体積%水溶液を封入し、温度130℃の恒温槽で熱処理を行う。1500時間処理した後、液を抜き取り、ラジエータとタンクを分解し、タンク内部表面状態を目視にて確認する。判定は、○:亀裂なく良好、×:亀裂発生し実用レベルでない。
[耐塩化カルシウム性評価]
シリンダー温度320℃、金型温度130℃にて、角板(100mm×150mm×3mm厚み)を射出成形し、中央部より幅20mmを切り出し試験片(長さ100mm×幅20mm×厚み3mm)を図3のように得る。試験片の端面はフライス加工仕上げする。a.試験片と試験片が充分浸漬できる量(約2〜3リットル)の水とをオートクレーブに入れ密閉し、温度100℃の恒温槽内へ12時間放置する。オートクレーブを恒温槽から出し、冷却後開封し試験片を取り出す。b.その試験片を図4のように治具へ取り付け500gの重りを加える。c.30重量%塩化カルシウム水溶液を霧状に試験片全面が覆われる程度(0.5cc程度)吹き付ける。d.この状態で温度80℃の恒温槽へ2時間放置する。e.恒温槽から取り出し冷却後、試験片を治具から取り外す。f.a〜bを5回繰り返し実施する。5回実施後、試験片を水洗し、カラーチェッカーにて表面を観察する。判定は、○:亀裂なく良好、×:亀裂発生し実用レベルでない。
[参考例]
(PPS樹脂の製造)
攪拌機付きオートクレーブに水硫化ナトリウム水溶液4.67kg(25モル)、50%水酸化ナトリウム2.00kg(25モル)ならびにNMP8kgを仕込み、攪拌しながら徐々に205℃まで昇温し、水3.8kgを含む抽出水4.1リットルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2kgを加えて、230℃で1時間、更に260℃で30分加熱した。反応生成物を温水で2回洗浄し、120℃で24時間減圧乾燥して更に230℃で16時間加熱処理してMFR550(g/10min)のPPSを得た。なお、MFRは、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定した。またPPS樹脂の加熱減量は、0.5重量%であった。なお、加熱減量は、PPS樹脂を1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定した。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で徐してパーセント表示して加熱減量とした。
[実施例および比較例で用いた配合材]
(ポリアミド樹脂)
東レアミラン“CM3001N”相対粘度2.90、ポリアミド66(東レ製)
相対粘度は、JIS K6810 98%硫酸法に従い測定した。
(ポリプロピレン樹脂)
三井ポリプロ“J106G”MFR:15g/10分(三井化学製)
MFRは、ASTM D1238(温度:230℃、2160g荷重)に従い測定した。
(ポリオレフィン樹脂)
B−1:ポリエチレン 密度903kg/m、MFR4.0g/10分
B−2:ポリエチレン 密度968kg/m、MFR4.5g/10分
MFRは、ASTM D1238(温度:190℃、2160g荷重)に従い測定した。
(共重合ポリオレフィン)
エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体(E/GMA=90/10重量%)、MFR=4g/10分
MFRはJISK6760に定められた方法(190℃、2160g荷重)で測定した。
(ガラス繊維)
D−1:ガラス繊維“T−747”平均繊維径13μm(日本電気硝子製)
D−2:ガラス繊維“T−289”平均繊維径13μm(日本電気硝子製)
なお、上記において、ガラス繊維の平均繊維径は電子走査顕微鏡を用いて常法にて測定した平均繊維径である。
(エチレングリコール)
試薬“エチレングリコール”和光1級(和光純薬工業製)
試薬をエチレングリコール45体積%水溶液に希釈したものを用いた。
(LLC)
本田純正LLC“ウルトララジエーター液・原液”主成分:エチレングリコール90%(ホンダアクセス製)
LLCをLLC 50体積%水溶液に希釈したものを用いた。
実施例1〜7
前述のようにして用意したPPS樹脂(A)、ポリエチレン樹脂(B)、共重合ポリオレフィン(C)を表1に示す割合でドライブレンドした後、350℃の押出条件に設定したスクリュ−式二軸押出機(日本製鋼所製“TEX−44”)を用いてブレンドした(A)〜(C)を元込め供給し、溶融混練後、サイドフィーダーからガラス繊維(D)を供給し、得られたペレットを乾燥後、射出成形機(東芝機械製“IS−100”)を用いて、シリンダ−温度320℃、金型温度130℃の条件で射出成形することにより、所定の特性評価用試験片を得た。得られた試験片およびペレットについて、前述した方法で引張強度、衝撃強度、LLC処理後の曲げ強度、密度、ダインスタット曲げ強度、MFR、耐LLC性、製品単体耐久試験、耐塩化カルシウム性を測定した。その結果を表1に示す。
ここで得られた樹脂組成物および成形体は、充分な耐LLC性、強度、耐塩化カルシウム性を有しており実用性の高いものであった。
比較例1
PPS樹脂組成物のポリエチレン樹脂量を増やしたものをベースに用いて、実施例と同様にして、表1に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
PPS樹脂組成物のポリエチレン樹脂量を増やした場合、引張強度、ダインスタット曲げ強度が低く実用レベルではなかった。
比較例2
PPS樹脂組成物にポリエチレン樹脂を配合しないものをベースに用いて、実施例と同様にして、表1に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
PPS樹脂組成物にポリエチレン樹脂を配合しない場合、実施例1〜4,6に比較して密度が大きく、落錘衝撃強度が低く実用レベルではなかった。
比較例3
PPS樹脂組成物のベースをPPS樹脂のみを用いて、実施例と同様にして、表1に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
PPS樹脂組成物のベースがPPS樹脂のみの場合、実施例1〜4,6に比較して密度が大きく、衝撃強度、落錘衝撃強度が低く実用レベルではなかった。
比較例4
ポリアミド樹脂とガラス繊維を用いて、実施例と同様にして、表1に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂とガラス繊維の場合、耐LLC性、耐塩化カルシウム性が悪く、さらには衝撃強度が低く実用レベルではなかった。
比較例5
ポリプロピレン樹脂とガラス繊維を用いて、実施例と同様にして、表1に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表1に示す。
ポリプロピレン樹脂とガラス繊維の場合、耐LLC性が悪く、衝撃強度が低く実用レベルではなかった。
Figure 2006036824
落錘衝撃試験機(デュポン衝撃試験機)の概略図である。 ラジエータタンクの外観説明図である。 耐塩化カルシウム試験用試験片の説明図である。 耐塩化カルシウム試験方法の一例を示す説明図である。

Claims (9)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂45〜83重量%、(B)ポリエチレン樹脂15〜35重量%、(C)エチレンおよびメタクリル酸グリシジルを共重合してなる共重合ポリオレフィン2〜20重量%からなる組成物100重量部に対して(D)ガラス繊維を30〜100重量部配合してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形してなる自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  2. (B)ポリエチレン樹脂が密度900〜950kg/mのポリエチレン樹脂である請求項1記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  3. (C)共重合ポリオレフィンが、エチレンとメタクリル酸グリシジルの合計を100重量%とした場合、エチレン99〜70重量%およびメタクリル酸グリシジル1〜30重量%である請求項1又は2記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  4. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(315.5℃、5000g荷重、5分滞留)が0.1〜50g/10分である請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  5. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の130℃で500時間、ロングライフクーラント(LLC)50体積%水溶液に浸漬処理した場合のダインスタット曲げ強度が、35MPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  6. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、170℃の温度で、24時間、LLC50体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  7. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の130℃で500時間、エチレングリコール45体積%水溶液に浸漬処理した場合のダインスタット曲げ強度が、35MPa以上である請求項1〜6のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  8. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物が、170℃の温度で、24時間、エチレングリコール45体積%水溶液に成形品を浸漬処理した場合、その成形品の表面に亀裂が発生しないポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である請求項1〜7のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品。
  9. 自動車用エンジン冷却系樹脂成形部品が、ラジエータータンクのアッパー、ロアータンクまたはサーモスタットハウジングである請求項1〜8のいずれかに記載の自動車用エンジン冷却系成形部品。
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