JP3647122B2 - ウインチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウインチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、一般的なクレーン1を示すものである。
【0003】
該クレーン1では、地上を走行可能な走行部2の上部に、水平旋回可能に旋回部3が設けられ、該旋回部3には、ウインチ4及びワイヤロープ5によって上下方向へ俯仰可能なジブ6が設けられ、該ジブ6の先端には、ウインチ7及びワイヤロープ8によって昇降可能な吊フック9が取付けられている。
【0004】
上記クレーン1のウインチ4,7は、一般に図4・図5に示すように、ワイヤロープ5,8を巻取るウインチドラム10の側部に操作用ドラム部11を取付け、該操作用ドラム部11の内周に、クラッチシリンダ12とリンク13によって拡縮可能なクラッチバンド14を備えたクラッチ15を回転可能に設け、該クラッチ15の回転軸16に減速機17を介してモータ18を接続した構造を備えている。
【0005】
又、前記操作用ドラム部11の外周に、ブレーキシリンダ19とリンク20によって拡縮可能なブレーキバンド21を配置し、ブレーキシリンダ19にブレーキ用液路23を介してリザーバ25を備えたマスターシリンダ24とブレーキペダル26を接続して、ブレーキ22を構成する。
【0006】
尚、図4中、27はクラッチシリンダ12と液圧源との間に設けられたクラッチ用液路、28はクラッチ用液路27の途中に設けられたロータリージョイント、29は回転軸16の軸受である。
【0007】
そして、ウインチ4,7によるワイヤロープ5,8の巻取り、巻戻しを行う際には、クラッチシリンダ12を伸長動することにより、リンク13を介してクラッチバンド14を拡径し、クラッチバンド14を操作用ドラム部11の内周に圧接させる。
【0008】
この状態で、モータ18を駆動すると、減速機17、回転軸16、クラッチ15、操作用ドラム部11を介してウインチドラム10が回転され、ワイヤロープ5,8の巻取り、巻戻しが可能となり、吊荷の昇降が行われる。
【0009】
そして、吊荷を自由落下させる場合には、クラッチシリンダ12を収縮動することにより、リンク13を介してクラッチバンド14を縮径し、クラッチバンド14を操作用ドラム部11の内周から切離す。
【0010】
すると、ウインチドラム10はフリーとなるので、吊荷の荷重によりワイヤロープ5,8が勝手に繰出され、吊荷が自由落下される。
【0011】
そして、吊荷の自由落下中にワイヤロープ5,8の繰出しを停止する場合は、ブレーキペダル26を踏むようにする。
【0012】
すると、マスターシリンダ24内の圧液がブレーキ用液路23を介してブレーキシリンダ19へ入り、ブレーキシリンダ19が伸長動するので、リンク20を介しブレーキバンド21が縮径して操作用ドラム部11の外周に圧接され、ウインチドラム10の回転が停止される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のウインチには、以下のような問題があった。
【0014】
即ち、万一、クラッチ用液路27やブレーキ用液路23などの油圧系に液漏れなどの故障が生じた場合に、クラッチシリンダ12やブレーキシリンダ19から圧液が抜けてこれらが収縮動し、クラッチバンド14やブレーキバンド21の操作用ドラム部11に対する圧接状態が緩んでしまうため、ウインチドラム10が回ってしまうおそれがある。
【0015】
本発明は、上述の実情に鑑み、液圧系統の故障時でもウインチドラムが回転するのを確実に防止し得るようにしたウインチを提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ウインチドラムの回転軸を包囲するブレーキケースと、該ブレーキケース内部に回転軸の軸線方向へ移動可能に配置したプレッシャープレートと、該プレッシャープレートの片側に位置するように回転軸にスプライン嵌合させたインナープレートと、ブレーキケースにスプライン嵌合させたアウタープレートと、アウタープレート並びにインナープレートが互いに圧着するように前記プレッシャープレートを付勢してブレーキ力を発生させる押圧スプリングとを備えた多板式フットブレーキを有し、該多板式フットブレーキのプレッシャープレートに、前記回転軸の軸線方向へ延びるブレーキシリンダを接続し、ブレーキシリンダの一方の液圧室に、前記押付スプリングによるブレーキ力を解除させるための圧液を常時供給可能な付勢力解除用液路を接続すると共に、ブレーキシリンダの他方の液圧室に、前記一方の液圧室と同圧の圧液の給排を切換え可能な給排弁を備えたバランス用液路と、ブレーキペダルの踏力に応じた圧力の圧液を吐出可能なブレーキ弁を備えたペダル操作側液路とを、高圧側の液路を選択して接続及び逆止するようにしたシャトル弁を介して接続したことを特徴とするウインチにかかるものである。
【0018】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0019】
ウインチドラムの回転軸に接続された多板式フットブレーキは、回転軸にスプライン嵌合されたインナープレートと、ブレーキケースにスプライン嵌合されたアウタープレートとが、押付スプリングとプレッシャープレートによって圧着されることにより、ブレーキ力を発生させるようになっている。
【0020】
そして、該多板式フットブレーキのプレッシャープレートに接続したブレーキシリンダの一方の液圧室に、付勢力解除用液路からの圧液を供給することにより、前記押付スプリングによるブレーキ力が解除される。
【0021】
又、ブレーキシリンダの他方の液圧室に、ブレーキペダルの踏力に応じてペダル操作側液路からの圧液を供給することにより、ブレーキ力が付与可能となる。
【0022】
上記機能を組合せることにより、ワイヤロープの巻取り、巻戻しや、吊荷の自由落下などを行わせることが可能となる。
【0024】
そして、付勢力解除用液路やペダル操作側液路に液漏れなどの故障が生じた場合でも、押付スプリングによるブレーキ力が確実に働くので、ウインチドラムが勝手に回転することが防止される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態の一例である。
【0027】
尚、クレーン1の基本構造については図3と同様なので、必要に応じて図3を参照する。
【0028】
ウインチ30におけるウインチドラム31の内部に、太陽ギヤ32、遊星ギヤ33、リングギヤ34から成る遊星歯車式の減速機35を設ける。
【0029】
減速機35の太陽ギヤ32に接続された回転軸36に、多板式パーキングブレーキ37、及びカップリング38を介してモータ39を接続する。
【0030】
又、減速機35の遊星ギヤ33を保持する遊星キャリヤ40に取付けられた回転軸41に、多板式フットブレーキ42を接続する。
【0031】
上記多板式パーキングブレーキ37と多板式フットブレーキ42は共に、ウインチドラム31の回転軸36,41を包囲するブレーキケース43と、ブレーキケース43内部に、前記回転軸36,41の軸線方向44へ移動可能に配置されてブレーキケース43を2つの室45,46に区切るプレッシャープレート47とを備えている。
【0032】
そして、プレッシャープレート47片面側(内側)の室45には、ウインチドラム31の回転軸36,41に軸線方向44へ移動可能で且つ回転軸36,41と一体的に回転可能にスプライン嵌合(特に図示せず)された複数枚のインナープレート48と、インナープレート48に対し交互に位置し、ブレーキケース43に軸線方向44へ移動可能にスプライン嵌合(特に図示せず)された複数枚のアウタープレート49とが配置されている。
【0033】
又、プレッシャープレート47他面側(外側)の室46には、プレッシャープレート47を前記片面側へ向けて付勢可能に押付スプリング50が介装されている。
【0034】
そして、多板式フットブレーキ42のプレッシャープレート47に、前記回転軸41の軸線方向44へ延びるブレーキシリンダ51のピストンロッド52を接続する。
【0035】
ブレーキシリンダ51の一方(内側)の液圧室53に、前記押付スプリング50によるブレーキ力を解除させるために、液圧供給源65からの圧液を常時供給可能な付勢力解除用液路55を接続する。
【0036】
又、ブレーキシリンダ51の他方(外側)の液圧室56に、液圧供給源65からの圧液の供給及びタンク66への圧液の排出を切換え可能な給排弁54を備えたバランス用液路67と、液圧供給源65からの圧液をブレーキペダル60の踏力に応じた圧力で吐出するようにしたブレーキ弁59を備えたペダル操作側液路57とを、高圧側の液路67,57を選択して接続及び逆止するようにしたシャトル弁58及びブレーキ用液路68を介して接続する。
【0037】
同様に、多板式パーキングブレーキ37のプレッシャープレート47に、前記回転軸36の軸線方向44へ延びるブレーキシリンダ61のピストンロッド62を接続し、ブレーキシリンダ61の一方(内側)の液圧室63に、前記押付スプリング50によるブレーキ力を解除させるための圧液を給排可能な付勢力解除用液路64を接続する。
【0038】
尚、給排弁54の切換えや付勢力解除用液路64への圧液の給排は、図示しない操作レバーと連動させるようにする。
【0039】
又、吊荷の自由落下時には、ブレーキペダル60の操作に連動して給排弁54が切換えられるようにする。
【0040】
次に、作動について説明する。
【0041】
ウインチ30によるワイヤロープ5,8の巻取り、巻戻しを行う際には、先ず、付勢力解除用液路64を介してブレーキシリンダ61の液圧室63へ圧液を供給することにより、押付スプリング50の弾性力に抗してプレッシャープレート47を室46側へ移動させ、インナープレート48とアウタープレート49の圧接状態を解除して、多板式パーキングブレーキ37のブレーキ力を解除し、回転軸36が回転し得るようにする。
【0042】
次に、給排弁54をA側へ切換え、液圧供給源65からの圧液をバランス用液路67、給排弁54、シャトル弁58、ブレーキ用液路68を介してブレーキシリンダ51の液圧室56内へ供給し、液圧室56の圧力を液圧室53の圧力と同圧とする。すると、ブレーキシリンダ51のピストンロッド52は軸方向へ移動自在となるため、押付スプリング50の弾性力によってプレッシャープレート47が室45側へ移動され、インナープレート48とアウタープレート49が圧接状態とされて、多板式フットブレーキ42にブレーキ力が発生され、回転軸41の回転が拘束される。
【0043】
この状態で、モータ39を駆動すると、回転軸36を介して減速機35の太陽ギヤ32が回転し、太陽ギヤ32に噛合する遊星ギヤ33が公転できずに自転のみし、遊星ギヤ33に噛合するリングギヤ34及びウインチドラム31が回転され、ワイヤロープ5,8の巻取り、巻戻しが行われる。
【0044】
反対に、吊荷を自由落下させる場合には、付勢力解除用液路64を介してブレーキシリンダ61の液圧室63から圧液を排出することにより、押付スプリング50の弾性力によりプレッシャープレート47を室45側へ移動させ、インナープレート48とアウタープレート49を圧接状態として、多板式パーキングブレーキ37にブレーキ力を発生させ、回転軸36の回転を拘束する。
【0045】
次に、給排弁54をB側へ切換え、ブレーキシリンダ51の液圧室56内の圧液をブレーキ用液路68、シャトル弁58、バランス用液路67、給排弁54を介してタンク66へ排出させる。すると、押付スプリング50の弾性力に抗してプレッシャープレート47が室46側へ移動され、インナープレート48とアウタープレート49の圧接状態が解除されて、多板式フットブレーキ42のブレーキ力が解除され、回転軸41が回転し得るようになる。
【0046】
すると、減速機35では遊星キャリヤ40が回転可能となるので、遊星ギヤ33が自転しながら回転を拘束されている太陽ギヤ32の回りを公転することによって、遊星ギヤ33に噛合しているリングギヤ34及びウインチドラム31が回転自在となり、吊荷の荷重によってワイヤロープ5,8は勝手に繰出されて行く。
【0047】
そして、ワイヤロープの繰出しを停止する場合には、給排弁54がB側へ切換えられたままの状態でブレーキペダル60を踏む。
【0048】
すると、ブレーキ弁59はブレーキペダル60の踏力に応じた圧力で液圧供給源65からの圧液を吐出するので、ブレーキ弁59からの圧液がペダル操作側液路57、シャトル弁58、ブレーキ用液路68を介してブレーキシリンダ51の液圧室56へ入り、ブレーキシリンダ51が伸長動して、プレッシャープレート47によりインナープレート48とアウタープレート49が圧接状態となり、遊星ギヤ33の公転が拘束されて、ウインチドラム31の回転が停止される。
【0049】
尚、ブレーキ弁59の特性を、例えば図2などのように設定することにより、ブレーキペダル60の踏み加減に応じた所望のブレーキ力が得られるように設定することができるようになる。
【0050】
又上記の状態でブレーキペダル60を離すと、ブレーキシリンダ51の液圧室56内の圧液がブレーキ用液路68、シャトル弁58、バランス用液路67、給排弁54を介してタンク66へ排出され、再び、吊荷を自由落下させることができる。
【0051】
そして本発明によれば、万一、液漏れなどの故障が生じた場合には、押付スプリング50の弾性力が機能して、多板式パーキングブレーキ37及び多板式フットブレーキ42にブレーキ力が発生し、インナープレート48とアウタープレート49が圧接状態となるようになっているので、安全性が確保される。
【0052】
従って、ウインチドラム31の回転を確実に防止することが可能となる。
【0053】
尚、本発明は、上述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のウインチによれば、液圧系統の故障時にウインチドラムが回転するのを確実に防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の概略側方断面図である。
【図2】図1におけるブレーキ弁の特性図である。
【図3】一般的なクレーンの側面図である。
【図4】従来例の概略側方断面図である。
【図5】図4の側面図である。
【符号の説明】
31 ウインチドラム
41 回転軸
42 多板式フットブレーキ
43 ブレーキケース
44 軸線方向
47 プレッシャープレート
48 インナープレート
49 アウタープレート
50 押付スプリング
51 ブレーキシリンダ
53,56 液圧室
54 給排弁
57 ペダル操作側液路
58 シャトル弁
59 ブレーキ弁
60 ブレーキペダル
64 付勢力解除用液路
65 液圧供給源
66 タンク
67 バランス用液路
68 ブレーキ用液路
Claims (1)
- ウインチドラムの回転軸を包囲するブレーキケースと、該ブレーキケース内部に回転軸の軸線方向へ移動可能に配置したプレッシャープレートと、該プレッシャープレートの片側に位置するように回転軸にスプライン嵌合させたインナープレートと、ブレーキケースにスプライン嵌合させたアウタープレートと、アウタープレート並びにインナープレートが互いに圧着するように前記プレッシャープレートを付勢してブレーキ力を発生させる押圧スプリングとを備えた多板式フットブレーキを有し、該多板式フットブレーキのプレッシャープレートに、前記回転軸の軸線方向へ延びるブレーキシリンダを接続し、ブレーキシリンダの一方の液圧室に、前記押付スプリングによるブレーキ力を解除させるための圧液を常時供給可能な付勢力解除用液路を接続すると共に、ブレーキシリンダの他方の液圧室に、前記一方の液圧室と同圧の圧液の給排を切換え可能な給排弁を備えたバランス用液路と、ブレーキペダルの踏力に応じた圧力の圧液を吐出可能なブレーキ弁を備えたペダル操作側液路とを、高圧側の液路を選択して接続及び逆止するようにしたシャトル弁を介して接続したことを特徴とするウインチ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02780096A JP3647122B2 (ja) | 1996-02-15 | 1996-02-15 | ウインチ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP02780096A JP3647122B2 (ja) | 1996-02-15 | 1996-02-15 | ウインチ |
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JP3647122B2 true JP3647122B2 (ja) | 2005-05-11 |
Family
ID=12231062
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02780096A Expired - Lifetime JP3647122B2 (ja) | 1996-02-15 | 1996-02-15 | ウインチ |
Country Status (1)
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-
1996
- 1996-02-15 JP JP02780096A patent/JP3647122B2/ja not_active Expired - Lifetime
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