JP3646902B2 - クランクシャフト加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はクランクシャフトのカウンタウエイト外周を加工するクランクシャフト加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来エンジンなどに使用するクランクシャフトは、クランクシャフトミラーを使用して、ピンやメインジャーナルなどを加工しているが、カウンタウエイトの外周などは、旋盤などの工作機械を使用して別工程で加工しているため、工程数が多くなって生産性が悪い。
【0003】
かかる不具合を改善するため、特開平6−320319号公報によりクランクシャフトのメインジャーナル加工用カッタでカウンタウエイトの外周を加工できるようにしたクランクシャフトミラーが提案されている。
【0004】
上記公報のクランクシャフトミラーは、ベッド上に設けられ、かつ加工すべきワークの両端を支持する2基のワークヘッドの間に、ワークの長手方向へ移動自在に2基のカッタユニットを設け、これらカッタユニットの一方にはピンジャーナル加工用カッタと、該ピンジャーナル加工用でピンジャーナルを加工する際、隣接するメインジャーナルをクランプするレスト装置を設けると共に、他方のカッタユニットには、メインジャーナル加工用カッタと、該メインジャーナル加工用カッタにより加工するカウンタウエイトと対をなすカウンタウエイトに隣接するメインジャーナルをクランプするレスト装置を設けたもので、メインジャーナル加工用カッタでカウンタウエイト外周を加工することができるため、カウンタウエイトの外周を旋盤などを使用して別工程で加工していた場合に比べて工程数が少なくなるため生産性の向上が図れるなどの効果がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記公報のクランクシャフトミラーでは、メインジャーナル加工用カッタにより1枚づつカウンタウエイトの外周を加工しているため、1本のクランクシャフトを加工するのに多くの時間を必要として、加工効率が悪いなどの不具合がある。
【0006】
この発明はかかる不具合を改善するためになされたもので、対をなすカウンタウエイトの外周を同時に加工することのできるクランクシャフト加工装置を提供して、加工効率の向上を図ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、ベッド1上に設けられ、かつ加工すべきワーク3の両端を固定支持する2基のワークヘッド2の間に、2基のカッタヘッド5をそれぞれ独立して移動自在に設け、かつ一方のカッタヘッド5には、ワーク3の各ピン3bの両端に位置する一対のカウンタウエイト3cの外周を同時に切削加工する2列の内刃カッタ10を設けると共に、
他方のカッタヘッド5には、ワーク3のピン3bの外周を加工するピン加工用内刃カッタ10′を設け、
かつ各カッタヘッド5の対向面それぞれにメインジャーナル3dを支持するワークレスト6を具備し、
カウンタウエイト3cの外周の加工と、ピン3bの外周の加工とを同時に行う構成としたことを特徴とするクランクシャフト加工装置である。
【0008】
上記構成により、ピンを挟んで対をなすカウンタウエイト3cの外周を、一方のカッタヘッド5の2列の内刃カッタ10で同時に切削加工することができるため、従来の各カウンタウエイト毎に外周を切削加工していたものに比べて加工時間の大幅な短縮が図れるようになる。
これによって加工能率の向上とこれに伴う生産性の向上が図れると共に、カウンタウエイトを1枚づつ加工する場合に比べて加工精度も向上する。
【0009】
また、他方のカッタヘッド5に設けたピン加工用の内刃カッタ10′でピン3bの外周を加工できるから、1基の加工装置でピンの外周と、カウンタウエイトの外周を同時に加工することができるため、これらを別の機械で加工していたときに比べて設備費の低減が図れると共に、工程数も少なくできるため、生産性も大幅に向上する。
【0010】
上記目的を達成するため請求項2記載の発明は、ベッド1上に設けられ、かつ加工すべきワーク3の両端を固定支持する2基のワークヘッド2の間に、2基のカッタヘッド5をそれぞれ独立して移動自在に設け、かつ一方のカッタヘッド5には、ワーク3の各ピン3bの両端に位置する一対のカウンタウエイト3cの外周を同時に切削加工する2列の内刃カッタ10を設けると共に、
他方のカッタヘッド5には、ワーク3のメインジャーナル3dの外周を加工するメインジャーナル加工用内刃カッタ10″を設け、
かつ各カッタヘッド5の対向面それぞれにメインジャーナル3dを支持するワークレスト6を具備し、
カウンタウエイト3cの外周の加工と、メインジャーナル3dの外周の加工とを同時に行う構成としたことを特徴とするクランクシャフト加工装置である。
【0011】
上記構成により、ピンを挟んで対をなすカウンタウエイト3cの外周を、一方のカッタヘッド5の2列の内刃カッタ10で同時に切削加工することができるため、従来の各カウンタウエイト毎に外周を切削加工していたものに比べて加工時間の大幅な短縮が図れるようになる。
これによって加工能率の向上とこれに伴う生産性の向上が図れると共に、カウンタウエイトを1枚づつ加工する場合に比べて加工精度も向上する。
【0012】
また、他方のカッタヘッド5に設けたメインジャーナル加工用の内刃カッタ10″でメインジャーナル3dの外周を加工できるから、1基の加工装置でメインジャーナルの外周と、カウンタウエイトの外周を同時に加工することができるため、これらを別の機械で加工していたときに比べて設備費の低減が図れると共に、工程数も少なくできるため、生産性も大幅に向上する。
【0013】
上記目的を達成するため請求項3記載の発明は、2列に設けた内刃カッタの内径を等しくし、かつ刃幅をカウンタウエイトの幅より少し大きくしたものである。
【0014】
上記構成により、内刃カッタの加工位置への割出しが容易になると共に、カウンタウエイトの外周面に未加工部分が生じる虞もない。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1はクランクシャフト加工装置の正面図を示すもので、ベッド1上に2基のワークヘッド2が接離方向に移動自在に設置されており、これらワークヘッド2の対向面に、ワーク3の両端をクランプするチャック4が設けられている。
上記チャック4は図2に示すように、ワーク3の両端に予め穿設されたセンタ孔3aに嵌入するセンタ4aと、ワーク3の両端を3方よりクランプして、回転を固定する3本の爪体4bを有している。
【0016】
また上記ワークヘッド2の間には2基のカッタヘッド5と、各カッタヘッド5の対向面にワークレスト6が、ワークヘッド2と同じ方向へ移動自在に設置されている。
上記各カッタヘッド5はベッド1の両端側に設けられた駆動モータ7によりボールねじ軸8を介して独立して移動自在なサドル5aを有しており、これらサドル5a上に、サドル5aと直交する方向へ移動自在なスライド5bが設けられている。
上記スライド5bには、図示しない揺動機構により上下方向へ揺動されるスイングアーム5cが設けられていて、このスイングアーム5cに、回転しながらワーク3のカウンタウエイト3cの外周を切削加工する内刃カッタ10がカッタドラム5dを介して回転自在に支承されている。
【0017】
上記内刃カッタ10は、図4及び図5に示すようにカッタ本体10aとカッタアダプタ10bよりなり、カッタアダプタ10bが上記スイングアーム5cに回転自在に支承されたカッタドラム5dに着脱自在に取付けられていて、図示しないカッタモータにより回転されるようになっている。
上記カッタアダプタ10bはリング状に形成されていて、このカッタアダプタ10bの内周部に、間座10cを介してカッタ本体10aが2列に取付けられており、各カッタ本体10aの間隔は、上記ワーク3に設けられた複数のピン3bの両端部に位置する一対のカウンタウエイト3cの外周を同時に切削加工できるよう、カウンタウエイト3cの間隔とほぼ等しくなるように設定されている。
【0018】
そして各カッタ本体10aの内周面には、円周方向に等間隔に多数のチップ10dが取付けられていると共に、これらチップ10dの刃幅はカウンタウエイト3cの幅より少し大きくなっている。
なお図4中10eはカッタ本体10aとカッタアダプタ10bの位置決めを行う位置決めキーで、加工時にはカッタドラム5dの回転をカッタ本体10aへ伝達する機能も有している。
【0019】
一方各ワークレスト6は、図3に示すように上下方向に開閉する一対のレストアーム6aをそれぞれ有していて、これらレストアーム6aの対向面に形成された半円状の切欠部6bには、上記内刃カッタ10が同時に切削加工する一対のカウンタウエイト3cの一方に隣接するメインジャーナル3dを4方より支持するパッド6cが取付けられている。
【0020】
次に作用を説明する。
図6はカッタヘッド5の一方(右側)を使用して4気筒エンジンのクランクシャフトを加工する場合の工程図を示すもので、カッタヘッド5を1基設けた単頭式のクランクシャフト加工装置の場合も、この工程を実施する。
加工すべきワーク3を各チャック4の間に搬入して、ワーク3の両端を各チャック4の爪体4bでクランプし、ワーク3を固定したら、まずワークレスト6で第1メインジャーナルJ1 を支持し、内刃カッタ10を第1ピンP1 の両側の第1・第2カウンタウエイトC1 ,C2 に位置決めして、2列の内刃カッタ10で第1・第2カウンタウエイトC1 ,C2 の外周を同時に加工する。
【0021】
第1工程で第1・第2カウンタウエイトC1 ,C2 の切削加工が完了したら、ワークレスト6を第2メインジャーナルJ2 へ、そして内刃カッタ10を第3・第4カウンタウエイトC3 ,C4 へ移動して、第2工程で第3・第4カウンタウエイトC3 ,C4 の外周を切削加工する。
以下同様な工程を繰返して、第4工程で第7・第8カウンタウエイトC7 ,C8 の外周を切削加工するもので、互いに対をなすカウンタウエイト3cを同時に加工することができるため、4工程でカウンタウエイト外周の加工が完了し、加工時間の大幅な短縮が図れるようになる。
【0022】
また図7は2基のカッタヘッド5を同時に使用してカウンタウエイト3cを加工する工程を示すもので、まず第1工程で第1・第2カウンタウエイトC1 ,C2 と第5・第6カウンタウエイトC5 ,C6 と同時に加工し、第2工程で第3・第4カウンタウエイトC3 ,C4 と第7・第8カウンタウエイトC7 ,C8 を同時に加工することにより、2工程で全カウンタウエイト3cの外周を加工することができるようになる。
【0023】
一方図8は右側のカッタヘッド5でワーク3のピン3bを、そして左側のカッタヘッド5でカウンタウエイト3cの外周を加工する工程を示すもので、この場合右側のカッタヘッド5には、ピン3bを加工するピン加工用内刃カッタ10′を予め取付けておく。
【0024】
まず第1工程では、右側のカッタヘッド5のワークレスト6で第1メインジャーナルJ1 を支持し、ピン加工用内刃カッタ10′で第1ピンP1 を加工する。
次に第2工程で第2ピンP2 を加工したら、第3工程では左側のワークレスト6で第2ジャーナルJ2 を支持して、左側のカッタヘッド5で第1・第2カウンタウエイトC1 ,C2 の外周を加工し、同時に右側のワークレスト6で第3メインジャーナルJ3 を支持して、右側のカッタヘッド5で第3ピンP3 を加工する。
【0025】
続いて第4工程では、左側のカッタヘッド5で第3・第4カウンタウエイトC3 ,C4 の外周を,そして右側のカッタヘッド5で第4ピンP4 を加工すると共に、第5工程では左側のカッタヘッド5で第5・第6カウンタウエイトC5 ,C6 の外周を加工し、第6工程では左側のカッタヘッド5で第7・第8カウンタウエイトC7 ,C8 の外周を加工する。
以上のように予め右側(または左側)のカッタヘッド5にピン加工用内刃カッタ10′を取付けておけば、ワーク3のピンと3bとカウンタウエイト3cの外周を同時に加工することができるようになる。
【0026】
一方図9の(イ)及び(ロ)はメインジャーナル3dの外周とカウンタウエイト3cの外周を同時に加工する工程を示したもので、予め右側のカッタヘッド5にメインジャーナル加工用内刃カッタ10″を、そして左側のカッタヘッド5にカウンタウエイト加工用の内刃カッタ10を取付けて第1工程から第6工程を実施することにより、メインジャーナル3dとカウンタウエイト3cの外周を同時に加工することができるようになる。
【0027】
なお上記実施の形態では何れもワーク3の左端側から右端側へ加工を行うようにしたが、右端側から左端側へ加工するようにしてもよく、この場合、第6工程より第1工程へ順次工程を進めればよい。
またピン3bやメインジャーナル3d、カウンタウエイト3cの配列が同じであれば、4気筒以上の多気筒エンジンのクランクシャフトにも同様に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工装置の一部切欠正面図である。
【図2】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工装置のチャック付近の一部切欠拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工装置に設けられたワークレストの拡大図である。
【図4】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工装置に設けられた内刃カッタの拡大図である。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図6】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工機の作用説明図である。
【図7】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工機の作用説明図である。
【図8】この発明の実施の形態になるクランクシャフト加工機の作用説明図である。
【図9】(イ)及び(ロ)はこの発明の実施の形態になるクランクシャフト加工機の作用説明図である。
【符号の説明】
1…ベッド
2…ワークヘッド
3…ワーク
3b…ピン
3c…カウンタウエイト
3d…メインジャーナル
5…カッタヘッド
6…ワークレスト
10,10′,10″…内刃カッタ
10a…カッタ本体
10b…カッタアダプタ
10d…チップ

Claims (3)

  1. ベッド1上に設けられ、かつ加工すべきワーク3の両端を固定支持する2基のワークヘッド2の間に、2基のカッタヘッド5をそれぞれ独立して移動自在に設け、かつ一方のカッタヘッド5には、ワーク3の各ピン3bの両端に位置する一対のカウンタウエイト3cの外周を同時に切削加工する2列の内刃カッタ10を設けると共に、
    他方のカッタヘッド5には、ワーク3のピン3bの外周を加工するピン加工用内刃カッタ10′を設け、
    かつ各カッタヘッド5の対向面それぞれにメインジャーナル3dを支持するワークレスト6を具備し、
    カウンタウエイト3cの外周の加工と、ピン3bの外周の加工とを同時に行う構成としたことを特徴とするクランクシャフト加工装置。
  2. ベッド1上に設けられ、かつ加工すべきワーク3の両端を固定支持する2基のワークヘッド2の間に、2基のカッタヘッド5をそれぞれ独立して移動自在に設け、かつ一方のカッタヘッド5には、ワーク3の各ピン3bの両端に位置する一対のカウンタウエイト3cの外周を同時に切削加工する2列の内刃カッタ10を設けると共に、
    他方のカッタヘッド5には、ワーク3のメインジャーナル3dの外周を加工するメインジャーナル加工用内刃カッタ10″を設け、
    かつ各カッタヘッド5の対向面それぞれにメインジャーナル3dを支持するワークレスト6を具備し、
    カウンタウエイト3cの外周の加工と、メインジャーナル3dの外周の加工とを同時に行う構成としたことを特徴とするクランクシャフト加工装置。
  3. 2列に設けた内刃カッタ10の内径を等しくし、かつ刃幅をカウンタウエイト3cの幅より少し大きくしてなる請求項1又は2記載のクランクシャフト加工装置。
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