JPH0641051B2 - クランクシヤフトミラ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、主として内燃機関に使用されるクランクシヤ
フトのジヤーナル部を切削加工するクランクシヤフトミ
ラーで、特に切削すべきワークを回転方向に固定し、こ
のワークの複数のジヤーナル部を内刃カツタドラムにて
一工程で切削加工するようにしたクランクシヤフトミラ
ーに関するものである。

従来技術 従来のこの種のクランクシヤフトミラーは第１図に示す
ようになつていて、対向する先端にチヤツクａ，ｂを有
する一対のワークヘツドｃ，ｄがベツドｅに固定され、
この両ワークヘツドｃ，ｄの間に一対の切削ユニツト
ｆ，ｇがサドルｈを介してベツドｅに摺動自在に支持さ
れ、さらに両ワークヘツドｃ，ｄに中間にレストｉが同
様にベツドｅに固定されて構成されており、上側から供
給されたワークｉの両端がワークヘツドｃ，ｄのチヤツ
クａ，ｂにて把持さて、またその中間部のピンジヤーナ
ル部がレストｉにて支持された状態で、このレストｉの
両端の複数個所のジヤーナル部が両切削ユニツトｆ，ｇ
でそれぞれ一工程で加工されるようになつている。

この従来のクランクシヤフトミラーは、ワークｊがチヤ
ツクａ，ｂに対して上側から供給される関係から、両切
削ユニツトｆ，ｇは第１図に示すように上記ワークｊの
供給に邪魔にならないようにチヤツクａ，ｂと径方向に
重複する位置まで十分後退されるようになつていた。ま
た両チヤツクａ，ｂには上側から供給されるワークｊの
端部を仮受けする落口ｋ，ｌが設けてある。

上記従来のクランクシヤフトミラーにあつては、両切削
ユニツトｆ，ｇがチヤツクａ，ｂに径方向に重複する位
置まで後退するために、チヤツクａ，ｂの外径は切削ユ
ニツトｆ，ｇのカツタｍの内径より小さくなつてしまう
と共に、切削ユニツトｆ，ｇの重複後退分だけ長く突き
出さなければならず、このため、チヤツクａ，ｂおよび
これを支持するワークヘツドｃ，ｄの剛性が弱くなると
いう問題があつた。

またレストｉがベツドｅに固定され、チヤツクａ，ｂも
ワークヘツドｃ，ｄを介してベツドｅに固定されている
ため、切削ユニツトｆ，ｇを支持しているサドルｈと上
記レストｉ、チヤツクａ，ｂの間に働らく力はすべてベ
ッドｅを介してつながるので、そのレストパスは長くな
つてしまい、機械全体の剛性が低くなるという問題もあ
つた。

発明の目的 本発明はチヤツクの径を切削ユニツトのカツタ径に関係
なく十分大きくすることができると共に、チヤツクの突
き出し長さを短くできてワーク支持部の剛性を十分高め
ることが可能で、さらにレストパスを短くして機械全体
の剛性をも高めることができ、さらにサドルが後退した
状態でのワークの搬出入を容易に行なうことができるよ
うにしたクランクシャフトミラーを提供することを目的
とする。

発明の構成 一対のサドルをベツドに対向し、かつ対向方向に移動可
能に設け、この各サドルに、チヤツクあるいはセンタボ
デイ等ワークの端部を保持するワーク保持部材を固設
し、またこの各サドルに上記ワーク保持部材で保持され
たワークのジヤーナル等上記保持部材と同心の円筒加工
部の複数個所に対応する内刃カツタドラム形のカツタ
と、このカツタをワークの円筒加工部の外周に沿つて偏
心回転させる駆動装置とからなる切削ユニットを、これ
のカッタが上記ワーク保持部材よりサドルの対向方向内
側に配置させて設け、両サドルの対向中間部にワークの
ピンジャーナル部を支持するレストをベッドに固着して
設けると共に、上記ベッドに、サドルが対向方向外側へ
後退した状態でワーク１１を仮に支持する仮受け機構を
設けた構成となつており、ワーク保持部材と切削ユニッ
トとが、ワーク保持部材より両サドル対向方向内側に切
削ユニットのカッタが配置された状態でサドルと一体状
に対向方向に移動され、また両サドルが対向方向外側へ
後退した状態でワークが搬入され、このときのワークは
ベッドに設けた仮受け機構にて仮に支持されるようにな
っている。

実施例 本発明の実施例を第２図以下に基づいて説明する。

図中１はベッド、２，２は左右一対のサドルで、この両
サドル２，２はベッド１に対して対向方向に摺動自在に
係合され、かつナツト３、ねじ４および駆動モータ５か
らなる移動装置６に連結されている。この両サドル２，
２のそれぞれの後壁にチヤツク８，８が対向して固着さ
れている。また両サドル２，２の対向内側にはそれぞれ
切削ユニツト９ａ，９ｂが備えられている。この各切削
ユニツト９ａ，９ｂは内刃カツタドラム形のカツタ10
a，10bと、このカツタ10a，10bをワーク１１のジヤーナ
ル１２の外周に沿つて偏心回転させる駆動装置１３とか
らなつており、このカツタ10a，10bおよび駆動装置１３
からなる切削ユニツト９ａ，９ｂは、例えば特開昭５９
−１１０１号公報に示された公知の切削ユニツトと略同
様の構成となつている。上記両カツタ10a，10bのうち左
側は３個所のジヤーナル 12a,12b,12cを、また右側は２
個所のジヤーナル12d，12eをそれぞれ一工程で加工する
ようになつている。１４は上記両カツタ10ａ，10ｂの間
に位置してワーク１１のピンジヤーナル部を支持するレ
ストで、このレスト１４もベツド１に固定されている。

上記チヤック８，８で切削ユニット９ａ，９ｂのカッタ
１０ａ，１０ｂとの位置関係は、このカッタ１０ａ，１
０ｂがチャック８，８よりサドル２，２の対向方向内側
に配置されており、ワーク１１の両端をチャック８，８
で把持した状態で、各カッタ１０ａ，１０ｂの加工部が
ワーク１１の各ジャーナル部に対向するようになってい
る。カッタ１０ａ，１０ｂのドラム内径はワーク１１の
振り径より大きくなっている。１５，１５は上記各チャ
ック８，８を軸方向に貫通して設けた仮受けロツドで、
この仮受けロツド１５の先端にワーク１１の端部を受け
る受け爪１６が設けてあり、またその基端はベツド１に
立設された支持台１７に固着されている。この支持台１
７は上記サドル２，２と干渉しない位置に設けてあり、
サドル２，２はこの支持台１７に関係なく後退できるよ
うになつている。

上記チヤツク８は第４図に示すようになつていて、放射
方向に移動自在に設けた３個の爪18と、軸方向に移動す
ることにより楔作動で各爪１８を移動する作動ロツド１
９と、この作動ロツド１９を駆動するシリンダ装置２０
と、このシリンダ装置２０のロツド２１でばね２２を介
して押動されるセンタピン２３とからなつている。上記
仮受けロツド１５はこのチヤツク８を図に示すように爪
１８に干渉しない位置を貫通している。

つぎに作用を以下に説明する。

ワーク１１の供給時には両サドル２，２を第３図に示す
ように、切削ユニツト９ａ，９ｂがワーク１１に干渉し
ない位置まで十分後退させる。この状態で両仮受けロツ
ド１５，１５の受け爪１６，１６が突出されるから、こ
の受け爪１６，１６上にワーク１１を仮に支持する。ま
たこれと同時にレスト１４にも仮に支持する。これによ
り、サドル２，２が対向方向外側へ後退した状態でのワ
ーク１１の搬出入が容易に行なわれる。

つぎに両サドル２，２を前進させて各切削ユニツト９
ａ，９ｂのカツタ10a，10bをワーク11の切削個所に位置
させると共に、ワーク１１の両端部をチヤツク８，８に
て調芯しながら把持する。そしてこれと共にレスト１４
にてワーク１１の中間部のピンジヤーナル部を調芯支持
する。

上記状態で駆動装置１３を駆動して切削ユニツト９ａ，
９ｂのカツタ10a，10bで各ジヤーナル12a 〜12eを一工
程で切削加工する。

加工後は上記作動と逆工程でワーク１１を取りはずす。

上記実施例ではワーク１１の両端部をチヤツク８，８で
把持する例を示したが、このワーク１１の把持はセンタ
ピンで支持すると共に、ワーク１１の回転方向の支持を
レスト１４で行なうようにしてもよい。

第５図はこの他の実施例を示すもので、両サドル２，２
にセンタピン２４，２４がセンタボデイ２５，２５を介
して固着してある。この実施例における仮受けロツド２
６，２６は軸方向に移動可能になつていて、仮受け状態
から切削加工に邪魔にならない位置に後退できるように
してある。

この実施例によれば、クランクシヤフトのジヤーナル部
だけでなくジヤーナル部と同軸のフロント部とフライホ
イール部がカツタ10a′，10b′にて同時に加工できる。

なお上記両実施例ともワーク１１の供給時に、仮受けロ
ツド１５，１５，２６，２６を用いる例を示したが、こ
のワーク１１の仮受けをレスト１４にて行なつてもよ
い。この場合チヤツク８，８にワーク１１の端部が通る
落口を設ける。

第６図，第７図はカツタがチヤツクをくぐる場合（従来
例）とくぐらない場合（本発明例）についてのチヤツク
とカツタとの関係を示すもので、ｄはチヤツク径、Ｄは
カツタのドラム内径，Ｓはカツタのストローク、Ｗはワ
ークの振り、γはジヤーナルの半径である。

(1)チヤツクをカツタがくぐる場合 なお式中の数字１０はワーク１１と振りに対する余裕を
示す。

(2)チヤツクをカツタがくぐらない場合 ここでγ−２５mm，Ｗ−１８０mmとすれば、(1)式はＤ
−２ｄ−４０，(2)式はＤ−ｄ＋ 140、となり、この関
係は第７図に示すようになる。図中Ａは上記(1)式を、
Ｂは(2)式の場合をそれぞれ示す。この図により、チヤ
ツク径ｄをワークの振りＷより大きくする場合、上記
(2)式の方が効率がよいことがわかる。すなわち、カツ
タのドラム内径Ｄに対してチヤツク径ｄを大きくでき
る。

発明の効果 発明によれば、切削ユニツト９ａ，９ｂのカツタ10a，1
0bはチヤツク８，８をくぐらないですむから、チヤツク
８，８の径を切削ユニツト９ａ，９ｂのカツタ10a，10b
の径に関係なく十分大きくできてワーク支持部の剛性を
十分高めることができる。またこのチヤツク８，８を切
削ユニツト９ａ，９ｂを支持するサドル２，２に固着し
たことにより、チヤツク８，８とカツタ10a，10b間のレ
ストパスが短かくなり、機械全体の剛性をも高くするこ
とができる。さらに、ベッド１にサドル２，２が対向方
向外側へ後退した状態でワーク１１を仮に支持する仮受
け機構を設けたことにより、サドル２，２が後退した状
態でのワーク１１の搬出入を容易に行なうことができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す概略的な構成説明図、第２図以下
は本発明の実施例を示すもので、第２図は加工状態を示
す構成説明図、第３図はワークの供給状態を示す作用説
明図、第４図はチヤツクの構成を示す断面図、第５図は
他の実施例を示す構成説明図、第６図はチヤツク径とカ
ツタのドラム内径との関係を示す説明図、第７図はその
線図である。 １はベツド、２はサドル、８はチヤツク、９ａ，９ｂは
切削ユニツト、10a,10b,10a′,10b′はカツタ、１１は
ワーク、１３は駆動装置、１４はレスト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一対のサドル２，２をベッド１に、互いに
   対向し、かつ対向方向に移動可能に設け、この各サドル
   ２，２に、チャック８，８あるいはセンタボディ２５等
   ワーク１１の端部を保持するワーク保持部材を固設し、
   またこの各サドル２，２に上記ワーク保持部材で保持さ
   れたワーク１１のジャーナル等上記保持部材と同心の円
   筒加工部の複数個所に対応する内刃ドラム形のカッタ10
   ａ，１０ｂ，１０ａ′，１０ｂ′と、このカッタ１０
   ａ，１０ｂ，１０ａ′，１０ｂ′をワーク１１の上記円
   筒加工部の外周に沿って偏心回転させる駆動装置１３と
   からなる切削ユニット９ａ，９ｂを、これのカッタ１０
   ａ，１０ｂが上記ワーク保持部材より両サドル２，２の
   対向方向内側に配置させて設け、両サドル２，２の対向
   中間部にワーク１１のピンジャーナル部を支持するレス
   ト１４をベッド１に固着して設けると共に、上記ベッド
   １に、サドル２，２が対向方向外側へ後退した状態でワ
   ーク１１を仮に支持する仮受け機構を設けたことを特徴
   とするクランクシャフトミラー。