JP3646821B2 - 冷蔵庫の庫内棚 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷蔵庫の庫内に設置される庫内棚、特に食品収納物等の重量負荷によって発生するたわみに対して補強を施した庫内棚に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は例えば特開平6−300431号公報に示された従来の冷蔵庫の庫内棚を示す斜視図である。同図において、1は合成樹脂の透明部材により形成された庫内棚本体で、プラスチック射出成形法により形成されている。2はこの庫内棚本体1の前部に取り付けられたアルミニウム製の補強部材で、断面C字形もしくは櫛形形状の櫛前飾りを兼ねており、アルミニウム押出し成形品となっている。
【0003】
図8は図7のA−A線断面図であり、庫内棚本体1にアルミニウム製の補強部材2を挿入した状態を示す部分断面図となっている。図8に示すように、アルミニウム製の補強部材2は庫内棚本体1の前部に装着されているが、これらの庫内棚本体1および補強部材2は、共に中空梁と同様の構造となっている。
【0004】
図9は上記庫内棚本体1の詳細構造を示す斜視図であり、裏面側から見た様子を示している。また、図10は図9のB−B線断面図である。図9に示すように、庫内棚本体1には厚肉部3が中央に設けられており、この厚肉部3には十字穴付タッピン皿ねじ用の下穴4が、庫内棚本体1の射出成形時に金型により同時成形されている。そして、庫内棚本体1の上記厚肉部3以外の部分は、庫内棚本体1の肉厚バランスをとるために、肉ヌスミ溝5が設けられている。
【0005】
また、アルミニウム製の補強部材2は、リブ6が庫内棚本体1の上下位置決め用の溝7に挿入され、リブ8の先端が補強用リブ9の切欠き段差部10に当接することで、固定位置が決定されるようになっている。そして、この補強部材2に庫内棚本体1の下穴4と同位置になるように塞設された穴(図示せず)に十字穴付タッピン皿ねじ11を挿入して締結することにより、補強部材2が庫内棚本体1と一体構造となるように構成されている。
【0006】
図11は庫内棚本体1にアルミニウム製の補強部材2を締結した状態を示す斜視図であり、図9と同一部分の拡大断面図となっている。補強部材2は、上述の十字穴付タッピン皿ねじ11により庫内棚本体1に締結されている。また、意匠上の配慮として、アルミニウム製の補強部材2に段差部12が設けられ、これにより上下位置決め用の溝7とリブ6との隙間が隠蔽されるようになっている。
【0007】
補強部材2はアルミニウム製なので、縦弾性係数が小さく変形しやすいため、肉厚を厚くし、更に中空形状にして曲げ応力に対する強度を高くしている。
【0008】
上記のような構成の庫内棚において、実際に食品収容物等を庫内棚本体1に載置して使用する状態では、左右のリブ13が冷蔵庫の庫内に設けられたレール部(図示せず)により支持され、庫内棚本体1の食品載置面14に食品収容物等が載置される。そして、食品収容物等により、庫内棚の食品載置面14に重量負荷が加わると、庫内棚は図8に示す矢印Cの方向に、合成樹脂の弾性変形によりたわみが発生する。この庫内棚にたわみが発生すると、食品収容物等が水平状態を保持することができず、不安定な状態となり、転倒等の恐れがあるとともに、上下各段に区画した複数の庫内棚をもつ冷蔵庫では、上、下段の庫内棚の収容物に当接する等の悪影響がある。そこで、たわみを減少するように、アルミニウム製の補強部材2が庫内棚本体1に嵌着されており、全体として剛体となるように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の補強構造をもつ冷蔵庫の庫内棚は以上のように構成されているので、皿ねじ11の高さ寸法以上の棚の厚さにしなければならず、意匠的に制約されるとともに、収納する食品の高さも棚が厚い分だけ低いものしか入らないなどの問題点があった。
【0010】
また、以上の構造では、棚本体が透明なので、補強部材の取付構造用のリブの根元ラインが上から見るため横縞模様のようになり、意匠性が悪いという問題点もあった。
【0011】
また、ねじで固定してするようになっているので、補強部材の下穴加工、ねじ取付作業費用やねじの費用などがかかるという問題点もあった。
【0012】
また、アルミニウム製の補強部材なので、縦弾性係数が小さいため、肉厚を厚くし、中空形状にすることによって、たわみにくくしているので、重量単価は安くても、使用材料は多くなるのでコストが高くなるという問題点もあった。
【0013】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、意匠性を有する棚前飾りに補強部材を兼用させることができ、意匠性が高く、かつ組立作業が簡素化され、原価の低減を図ることが可能な補強構造を有した冷蔵庫の庫内棚を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る冷蔵庫の庫内棚は、冷蔵庫の庫内に設置される冷蔵庫の庫内棚において、前面側に形成されたフランジに前面より奥側に形成された溝と、この溝の下に形成されたリブとを有し、このリブの下面に爪が形成された庫内棚本体と、断面形状がU字形であり、上面が庫内棚本体の溝に挿入されるとともに、上面と下面との間に庫内棚本体のリブが挿入され、下面に設けられた開口部が庫内棚本体の爪に係合されて固定される補強部材とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係る冷蔵庫の庫内棚は、補強部材の下面端面に内側への折り曲げを形成したことを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係る冷蔵庫の庫内棚は、補強部材の下面端面の外側へ折り曲げ形状部を形成して、補強リブに係合させたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図について説明する。図1において、1は合成樹脂の透明部材により形成された庫内棚本体で、プラスチック射出成形法により形成されている。15はこの庫内棚本体1の前部に取り付けられたステンレス製の板材をプレス加工した補強部材で、断面U字形の櫛前飾りを兼ねている。13は左右のリブ、24は後フランジ、25は左右端面である。
【0019】
図2は図1のD−D線断面図であり、庫内棚本体1にステンレス製の補強部材15を挿入した状態を示す部分断面図となっている。図3は庫内棚本体1の詳細構造を示す裏面を見た斜視図である。また図4は、庫内棚本体1に補強部材15を挿入した状態を裏面から見た斜視図である。
図において、16は庫内棚本体1のフランジ、17は補強部材15を支持するためのリブ、18はフランジ16とリブ17の間に形成された溝、19はリブ17の下面に形成された左右2ヶ所の爪、20は補強用リブで、リブ17より下方に延びている。21は補強部材15の上面で溝18に挿入される。22は補強部材15の下面であり、穴23が左右に形成されている。穴23は爪19に係合するように形成されている。下面22の端面は安全上の配慮から補強リブ20より下方に出ない構成になっている。
【0020】
次に上記実施の形態の作用について説明する。
補強部材15の上面21を溝18に挿入していくと、上面21と下面22の間にリブ17が挿入されていく。下面22の端面が爪23に突き当たっても、爪23に傾斜がついていて乗り越えやすくしている。補強部材15のばね性により爪23を乗り越えても元通りの形状に戻る。穴23には爪19が係合しているので前後にずれがないように位置されている。また、補強部材15を取り外すには、上面21と下面23の間口を広げなければならず、外れにくい構造となっている。
【0021】
下面22の端面は補強リブ20より下には出ないようにして使用者が手で触れても怪我をしないようにしている。補強部材15の上面21はフランジ16に沿って、溝18の奥側まで延びているので上から見ても補強用リブ20の根元ラインが見えなくなるので意匠性が良くなる。補強部材15の穴23と庫内棚本体1の爪19によって固定しているので、ねじ取付作業費用や、ねじの費用などのコストがかからなくなる。
【0022】
また、ステンレス製の補強部材15なので縦弾性係数が大きいので、板材でもたわみにくくなるので、使用材料が少なくなり、コストが安くできる。
また、ねじを使用しないので庫内棚本体1の高さを低くできるので、従来よりも背の高い食品を収納することができる。
【0023】
食品を食品載置面14に載せた場合、左右のリブ13が庫内に設けられたレール(図示せず)により支持されているので下方へたわまない。後フランジ24は庫内棚本体1を前方へ引き出した時に食品が背面から落ちにくいようにするためにフランジを高くしているので強度があり、また奥側に位置するので、意匠性より強度優先の構造にすることができる。
【0024】
補強部材15の上面21と下面22を長くしているので、従来の断面C字状のものよりもたわみにくい。また、補強部材15の下面22を長くしているので下から見ても意匠性が良い。さらに、補強部材15の上面21を長くしているので抜けにくい。
【0025】
左右端面25により補強部材15の端面から保護されている。
【0026】
補強部材15は、例えば厚さが0.8mmのステンレス板材で、高さが6.7mm、全巾590mmである。
【0027】
爪19は補強部材15より下面に出ないようにして、爪19で人間が怪我をしないようにしており、補強部材15を止めることのできる係り代を有する爪19を形成する空間を設けている。
【0028】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2を示す断面図である。上記実施の形態では、補強部材15の端面はストレートになっていたが、補強部材15の板厚を減らして、下面22の端面に内側への折曲げ24を形成して補強しても同様の効果を奏する。
【0029】
実施の形態3.
図6はこの発明の実施の形態3を示す断面図である。上記実施の形態では爪19と穴23を係合させて前後位置を決めていたが、下面22の端面の外側へ向かった折り曲げ形状部25を形成して、補強リブ20に係合しても同様の効果が得られる。
【0030】
【発明の効果】
この発明に係る冷蔵庫の庫内棚は、冷蔵庫の庫内に設置される冷蔵庫の庫内棚において、前面側に形成されたフランジに前面より奥側に形成された溝と、この溝の下に形成されたリブとを有し、このリブの下面に爪が形成された庫内棚本体と、断面形状がU字形であり、上面が庫内棚本体の溝に挿入されるとともに、上面と下面との間に庫内棚本体のリブが挿入され、下面に設けられた開口部が庫内棚本体の爪に係合されて固定される補強部材とを備えた構成にしたので、意匠性が高く、かつ組み立て作業簡素化される。また、原価の低減を図ることができる。
【0032】
また、この発明に係る冷蔵庫の庫内棚は、補強部材の下面端面に内側への折り曲げを形成したことにより、補強部材の板厚を減らすことができる。
【0033】
また、この発明に係る冷蔵庫の庫内棚は、補強部材の下面端面の外側へ折り曲げ形状部を形成して、補強リブに係合させることにより、前後位置を決めができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による冷蔵庫の庫内棚の斜視図である。
【図2】 図1のD−D線断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による冷蔵庫の庫内棚の要部斜視図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による冷蔵庫の庫内棚の要部斜視図である。
【図5】 この発明の実施の形態2による冷蔵庫の庫内棚の斜視図である。
【図6】 この発明の実施の形態3による冷蔵庫の庫内棚の斜視図である。
【図7】 従来の冷蔵庫の庫内棚の斜視図である。
【図8】 図7のA−A線断面図である。
【図9】 従来の冷蔵庫の庫内棚の要部斜視図である。
【図10】 図7のB−B線断面図である。
【図11】 従来の冷蔵庫の庫内棚の要部斜視図である。
【符号の説明】
1 庫内棚本体、15 補強部材、16 フランジ、17 リブ、18 溝、19 爪、23 穴。
Claims (3)
- 冷蔵庫の庫内に設置される冷蔵庫の庫内棚において、
前面側に形成されたフランジに前面より奥側に形成された溝と、この溝の下に形成されたリブとを有し、このリブの下面に爪が形成された庫内棚本体と、
断面形状がU字形であり、上面が前記庫内棚本体の溝に挿入されるとともに、前記上面と下面との間に前記庫内棚本体のリブが挿入され、前記下面に設けられた開口部が前記庫内棚本体の爪に係合されて固定される補強部材と、
を備えたことを特徴とする冷蔵庫の庫内棚。 - 前記補強部材の下面端面に内側への折り曲げを形成したことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の庫内棚。
- 前記補強部材の下面端面の外側へ折り曲げ形状部を形成して、補強リブに係合させたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫の庫内棚。
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