[実施の形態1]
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、便宜上、ハッチング、部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面上での黒丸は紙面に対し垂直方向を意味する。
また、冷却庫は、食品等の物品の温度を下げる装置全般を指す概念である。そのため、冷蔵庫、冷凍庫、冷凍冷蔵庫、保冷庫、ショーケース、自動販売機等の装置は、冷却庫の一例となる。
図19は、冷凍冷蔵庫89の側面断面図を示す。詳説すると、図19は冷凍冷蔵庫89における冷蔵室(収容室)81付近の断面を示す。図1および図2は、冷凍冷蔵庫89の開閉扉82(図19参照)を省略し、冷蔵室81の一部を拡大した斜視図および正面図である(なお、冷蔵室81の正面とは開閉扉82側であり、背面とは正面に対向する側とする)。
これらの図1および図2に示すように、冷蔵室81内には、食品等を置ける棚PTが取り付けられる。そして、棚PTのみの斜視図は図3によって示され、棚PTを除いた冷蔵室81のみの斜視図は図4に示される。
図1〜図4に示すように、棚PTは、冷蔵室81にて対向する側壁(壁部)83・83毎に形成される支持部SP・SPに架け渡る。つまり、棚PTにおける一端と他端とが支持部SP・SPに支えられることで、棚PTは冷蔵室81に取り付けられる。そこで、まず、支持部SPについて、図4を用いて詳細に説明する(なお、1つの棚PTを支える2つの支持部SP・SPを支持部セットと称す場合がある)。
図4に示すように、支持部SPは、冷蔵室81の側壁83から突き出る2個の支持片SP(第1支持片SB1・第2支持片SB2)を含む。そして、第1支持片SB1および第2支持片SB2は、冷蔵室81の奥行き方向D1、すなわち、開閉扉82(冷蔵室81の開放面)から冷蔵室81の背面(背面壁)に至る方向に沿うように並ぶ(奥行き方向D1と同方向に並ぶ)。
特に、これら第1支持片SB1と第2支持片SB2とは、互いには離れながら並ぶ。そのため、これら第1支持片SB1と第2支持片SB2との間には、間隔Xが生じる。
なお、両支持片SB1・SB2は、奥行き方向D1に延びているだけでなく、奥行き方向D1に対して交差する方向、例えば、冷蔵室81の底面81bから天面81aに至る方向である高さ方向T1において、厚みを有する(厚みPa)。
また、両支持片SB1・SB2は、冷蔵室81の側壁83から突出する方向、例えば、一方の側壁83から他方の側壁83に至る方向である幅方向W1においても厚み(幅Pb)を有する。そのため、両支持片SB1・SB2はブロック状といえる。
さらに、一方の側壁83における第1支持片SB1および第2支持片SB2は、他方の側壁83における第1支持片SB1および第2支持片SB2に対向する。詳説すると、第1支持片SB1・SB1同士は幅方向W1に沿って向かい合い、さらに、第2支持片SB2・SB2同士も幅方向W1に沿って向かい合う。
すると、対向する各側壁83・83での第1支持片SB1・SB1同士に架け渡るとともに、第2支持片SB2・SB2同士にも架け渡る部材は、安定して、支持部SPに支えられることになる。そのような部材が棚PTである。そこで、この棚PTについて、図1〜図3、および図5〜図10を用いて詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、棚PTは、置き板21および立ち上がり片22・22を含む。そこで、まず、置き板21について説明する。置き板21は板状であり、食品等を直に支える部材であり、冷蔵室81に収容されなくてはならない。特に、この置き板21は、板状の表面21aおよび裏面21bにて、食品等を支える(詳細については後述)。
そこで、図5は置き板21の表面21aの平面を示し、図6は図5における置き板21の裏面21bを示す。また、図7、図8、および図9は、図5における置き板21の正面、背面、側面を示す。また、図10は図5における置き板21のA−A’線矢視断面図を示す。
なお、一方の立ち上がり片22から他方の立ち上がり片22に至る方向を棚PTの幅方向W2とし、置き板21の面内にて幅方向W2に交差する方向(例えば、直交する方向)を棚PTの奥行き方向D2とする(置き板21の正面から背面に至る方向)。また、この置き板21が、自身の幅方向W2と冷蔵室81の幅方向W1とを一致させて、冷蔵室81の内部に収容される場合には、置き板21はその冷蔵室81における幅長・奥行き長よりも短い幅長・奥行き長を有する。
次に、立ち上がり片22について説明する。立ち上がり片22は、置き板21の縁から立ち上がる部材である(立ち上がり片22の内側面22bにて置き板21は挟持される)。詳説すると、立ち上がり片22は、置き板21における正面の縁と背面の縁とによって挟まれる2つの側面毎の縁から、立ち上がる部材である{なお、立ち上がり方向T2は、置き板21の表面21aおよび裏面21bに対して交差する方向(例えば、垂直方向)である}。
なお、各立ち上がり片22・22の厚み(幅方向W2の立ち上がり片22の長さ)は、冷蔵室81の幅長から置き板21の幅長を差し引いた長さを2分した長さよりも若干短い(ただし、置き板21の幅方向W2と冷蔵室81の幅方向W1とが一致している場合に、置き板21における側面の縁から冷蔵室81の支持部SPに到達する長さは有する)。このようになっていなければ、置き板21の幅長と2つの立ち上がり片22の厚みとを含む棚PTの全幅長は、冷蔵室81の幅長よりも長くなってしまうためである。
そして、このような立ち上がり片22には、冷蔵室81の側壁83に形成される支持部SPに接触する機構が備わっている。その機構は、支持部SPを嵌める溝部31(溝部31L・溝部31H)である。
溝部31は、図9に示すように、一定の溝幅Qaを有しながら、立ち上がり片22の外側面22a(立ち上がり片22にて置き板21から離れる側に向く面。なお、外側面22aの裏面が内側面22bとなる)から窪み、さらに、置き板21の正面の縁から背面の縁に至る方向である奥行き方向D2に沿って延びる。なお、溝幅Qaは、第1支持片SB1および第2支持片SB2の厚みPaよりも若干長く(Pa<Qa)、溝部31の奥行き長は、第1支持片SB1から第2支持片SB2までを結ぶ長さよりも長く、冷蔵室81の奥行き長よりも短い。
そして、このような溝部31は、立ち上がり片22にて並列する。具体的には、溝部31は、立ち上がり片22の立ち上がり方向T2(棚部PTの高さ方向T2)に沿って並列する。ただし、溝部31の個数は複数であれば、特に限定されない。そこで、図9等は、一例として、2個の溝部31(31L・31H)が並列する各立ち上がり片22を示す(なお、溝部31Lのほうが溝部31Hに比べて置き板21に近い)。
さらに、溝部31は、置き板21の背面側に近い端に(溝部31の延び方向における一方側に)、開放口32を含む(図3・図9等参照)。このようになっていると、開放口32を介して、溝部31が支持部SPに入り込み、さらに奥行き方向D1に向かって進入できる(すなわち、ユーザが棚PTの溝部31を支持部SPに差し込める)。
具体的には、まず、開放口32を介して、溝部31が第1支持片SB1に嵌り、そのまま、棚PTが冷蔵室81の奥行き方向D1に向かって進行する。さらに棚PTが進行すると、開放口32を介して、溝部31が第2支持片SB2に到達して嵌る。つまり、第1支持片SB1が、最初に溝部31に接触し、最後に第2支持片SB2が溝部31に接触する(後述の図16Aおよび図16B参照)。
ただし、過剰に棚PTが冷蔵室81の背面に進まぬように、開放口32に対して対向する溝部31の端、すなわち、置き板21の正面側に近い溝部31の端に(溝部31の延び方向における他方側に)、溝部31を塞ぐ制止片33が含まれる。この制止片33は、第1支持片SB1に接触することで、溝部31自身の移動を制止する部材である。
その上、棚PTは、立ち上がり片22の立ち上がり方向T2に沿って、2個の溝部31L・31Hを含む(すなわち、溝部31が2段配置である)。そのため、支持部SPに嵌る溝部31の位置に応じて、冷蔵室81における棚PTの位置が変わる。例えば、図11に示すように置き板21に近い側の溝部31Lが支持部SPに嵌る場合、および、図12に示すように置き板21から離れた側の溝部31Hが支持部SPに嵌る場合がある(なお、図11・図12、および後述の図13・図14は、図1での冷蔵室81および棚PTのB−B’線矢視断面方向からみている)。
これらの図11および図12からわかるように、棚PTは、置き板21の表面21aを冷蔵室81の天面81a側に向け、さらに、幅方向W1にて対向する1組の支持部SP・SP(1つの支持部セット)に対し、2段階で位置を変える。つまり、棚PTは、1つの支持部セットに異なる溝部31(31L・31H)を嵌めることで自身の位置を変える。
さらに、図13および図14に示すように、棚PTは、置き板21の裏面21bを冷蔵室81の天面81a側に向け、幅方向W1にて対向する1組の支持部SP・SPに対し、2段階で位置を変えられる。つまり、棚PTは、図11の場合と違って、置き板21の裏面21bを冷蔵室81の天面81aに向けて、溝部31Lを支持部SPに嵌める(図13参照)。また、棚PTは、図12の場合と違って、置き板21の裏面21bを冷蔵室81の天面81aに向けて、溝部31Hを支持部SPに嵌める(図14参照)。
ただし、図13および図14に示すように、置き板21の裏面21bが使用される場合には、望ましい工夫がある。通常、置き板21では、幅方向W2の長さが長手となり、奥行き方向D2の長さが短手となる。そのため、置き板21の長手は短手に比べて撓みやすく、その撓みを防止する補強が施される。ただし、補強を施したことによって、置き板21の裏面21bが使えなくなることは問題となる。
そこで、置き板21には、表面21aおよび裏面21b面内には補強用の部材(補強ユニット)は形成されない。具体的には、図10、図3、および図5〜図8等に示すように、補強ユニットUTは、立ち上がり片22・22同士にて挟み込まれる置き板21の縁、詳説すると、置き板21の縁における背面に形成される。
補強ユニットUTは、2つの片材を連結させている。1つは、置き板21の縁における背面で、置き板21の表面21aから立ち上がるように延び出るとともに、途中で曲がり、その表面21aの面内方向に沿うように延び出る表側延出片41である。もう1つは、置き板21の縁における背面で、置き板21の裏面21bから立ち上がるように延び出るとともに、途中で曲がり、その裏面21bの面内方向に沿うように延び出る裏側延出片42である。
なお、表側延出片41と裏側延出片42とは、置き板21の縁における背面にてつながることで一連状になり、さらに、この一連状になった補強ユニットUTは、置き板21における背面の縁のほとんどとつながっている(図8参照)。
そのため、このような補強ユニットUTは、置き板21の表面21aで特に背面側に食品等が置かれる場合(表面21aに負荷がかかる場合)、裏側延出片42で表面21aを支えつつ表側延出片41で表面21aをつり上げることで、その表面21aのへこむような撓みを防止する。一方で、補強ユニットUTは、置き板21の裏面21bで特に背面側に食品等が置かれる場合(裏面21bに負荷がかかる場合)、表側延出片41で裏面21bを支えつつ裏側延出片42で裏面21bをつり上げることで、その裏面21bのへこむような撓みを防止する。
つまり、このような補強ユニットUTは、置き板21における表面21aおよび裏面21b(特に置き板21における両面21a・21bの背面側)にかかる負荷に起因する撓みを防止する。その上、補強ユニットUTは、置き板21の縁における背面に位置することで、置き板21の表面21aおよび裏面21bにおける食品等の置き位置を確保する。
なお、この補強ユニットUTにおける補強力を向上させるべく、図10に示すように、向かい合う表側延出片41と裏側延出片42とをつなげる連結片43が含まれていてもよい。ただし、この連結片43は、個数や位置は限定されるものではない。例えば、図10に示すように、置き板21の背面における縁の1箇所のみに形成されてもよいし、置き板21の背面における縁に散らばって複数形成されてもよい。
また、以上の補強ユニットUTは、棚PTにおける置き板21の撓み(特に、背面側の置き板21の撓み)を効果的に防止する。そこで、さらなる置き板21の補強を図るべく、詳説すると、棚PTにおける正面側の置き板21の撓みを効果的に防止すべく、補強ユニットUTに対向する置き板21の縁(すなわち置き板21の縁における正面)が先太りすると望ましい(なお、この先太りした部分を補強片45と称する)。
この補強片45は、置き板21の表面21aから隆起する表側補強端46と、置き板21の裏面21bから隆起する裏側補強端47とをつなげている(肉厚にしている)。さらに、この厚みを増した補強片45は、置き板21における正面の縁のほとんどとつながっている(図7参照)。
そのため、このような補強片45は、置き板21の表面21aで特に正面側に食品等が置かれる場合、裏側補強端47で表面21aを支えつつ表側補強端46で表面21aをつり上げることで、その表面21aのへこむような撓みを防止する。一方で、補強片45は、置き板21の裏面21bで特に正面側に食品等が置かれる場合、表側補強端46で裏面21bを支えつつ裏側補強端47で裏面21bをつり上げることで、その裏面21bのへこむような撓みを防止する。
つまり、このような補強片45は、置き板21における表面21aおよび裏面21b(特に置き板21における両面21a・21bの正面側)にかかる負荷に起因する撓みを防止する。その上、補強片45は、置き板21の縁における正面に位置することで、置き板21の表面21aおよび裏面21bにおける食品等の置き位置を確保する。
ところで、棚PTにおける置き板21は食品等によって傷つきやすい。そこで、通常、棚PTは食品等を置き板21の全面に接触させないように、その置き板21を非平面にしている。例えば、食品等に対して線接触可能なリブが置き板21の表面21aに形成されることで、その置き板21は非平面になっている。
このようなリブが、置き板21の表面21aだけでなく裏面21bにまで形成されると、置き板21は傷つきにくいものの、棚PTの美観が損なわれる。また、ユーザの視認性向上のために、置き板21は透過性を有するものの、リブによって、視認性が低下しかねない。そこで、置き板21の裏面21bが使用される場合、その置き板21にはリブが設けられないようにすると望ましい。
そこで、置き板21の裏面21bが使用される場合の工夫として、棚PTは、置き板21の表面21aおよび裏面21bの両面を波打つ面形状にしている。詳説すると、幅方向W2に沿って波打つことで、奥行き方向D2に延びる波型(曲面形状)のへこみ、および波型の盛り上がりが、置き板21の表面21aおよび裏面21bの両面にて交互に並列する(図11〜図14参照)。
このようになっていると、置き板21の表面21aおよび裏面21bにて、食品等が面接触しない(波型の隆起部分25のみに線接触する)。そのため、両面21a・21bともに傷が付きにくくなる。また、波打つことによって、置き板21の強度も向上する。その上、リブのようにエッジの目立つ部材が置き板21の両面21a・21bに形成されないので、かかるエッジに起因した棚PTの美観低下は起きない。
また、置き板21が波打つ面形状になっていると、置き板21の表面21aおよび裏面21bにて、奥行き方向D2に延びる波型のへこみ(波型の谷部分)26が生じる。このようなへこみ26は、例えば汁物が器からこぼれたとしても、その汁を溜め拡散させない。
その上、へこみ26の正面および背面、すなわち、置き板21の正面の縁および背面の縁には、補強片45および補強ユニットUTが立ち上がっている。そのため、へこみ26溜まる汁は、補強片45および補強ユニットUTによってせき止められることで流れ落ちない(したがって、棚PTおよび冷蔵室81の清掃が容易になる)。
なお、置き板21の表面21aにて波打つことで盛り上がる部分(隆起部分25)と、置き板21の裏面21bにて波打つことで掘り下がる部分(谷部分26)とが向かい合っているとともに、置き板21の表面21aにて波打つことで掘り下がる部分(谷部分26)と、置き板21の裏面21bにて波打つことで盛り上がる部分(隆起部分25)とが向かい合っている。
このようになっていると、互いの面21a・21bにて、一方の面に盛り上がる部分があれば、その裏側である他方の面の対応部分は掘り下がる部分になるので、置き板21は、波打つものの厚みはほぼ一定になる。そのため、置き板21の厚み変動に起因する棚PTの美観低下も起きない。また、このような棚PTを金型成形する場合、厚み変化に起因した冷却効率の変動が起きない。つまり、厚みが一定のために、均等な冷却効率の下で成形樹脂が冷える。そのため、高品質な棚が比較的容易に大量生産できる。
[実施の形態2]
実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1で用いた部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付記し、その説明を省略する。この実施の形態2では、冷蔵室81の側壁83に対する棚PTの固定度合いについて説明する。
実施の形態1にて説明したように、溝部31は、開放口32を介して、支持部SPである第1支持片SB1および第2支持片SB2に嵌る。このような溝部31と支持部SPとの嵌り合いで(接触で)、棚PTが冷蔵室81の側壁83に取り付けられた後、棚PTには、食品等が置かれる。そのため、棚PTが側壁83から簡単にずれることは望ましくない。すなわち、棚PTにおける溝部31と冷蔵室81の側壁における支持部SPとが比較的強固に固定されるとよい。
そこで、図3および図9に示すように、溝部31は突起(第1突起)51を含み、その溝部31によって挟まれる支持部SPは、図4に示すように、突起51の嵌る窪み(第2窪み)52を含む。このような突起51と窪み52とが嵌り合えば、突起51を含む棚PTと窪み52を含む支持部SPとがずれにくくなるためである。
突起51の形成される溝部31は、立ち上がり片22にて並列する。そのため、溝壁35には、溝部31・31同士を仕切る仕切り溝壁35aと、最外に位置する溝部31・31にて仕切り溝壁35aに対向することで最外に位置し、溝部31・31の内部を遮蔽する遮蔽溝壁35c・35dとが存在する。そして、これら仕切り溝壁35aと遮蔽溝壁35c・35dとに、突起51(突起51a〜51d)が形成される(溝部31の内部に向く突起51が形成される)。
仕切り溝壁35aに形成される突起51aは、仕切り溝壁35aの一面(表面35af)にて、置き板21の表面21aに近い遮蔽溝壁35cに向かって隆起しつつ幅方向W2に沿って延びている。また、仕切り溝壁35aに形成される突起51bは、仕切り溝壁35aの一面(裏面35ar)にて、置き板21の背面21bに近い遮蔽溝壁35dに向かって隆起しつつ幅方向W2に沿って延びている{要は、突起51a・51bは、溝部31に面する仕切り溝壁35aの内壁面35af・35ar(表面35af・裏面35ar)から遮蔽溝壁35c・35dに向かって突き出る}。
一方、遮蔽溝壁35cに形成される突起51cは、突起51aに対向しており、遮蔽溝壁35cの内壁面(内壁面35ci;図9参照)にて、仕切り溝壁35aに向かって隆起しつつ幅方向W2に沿って延びている。また、遮蔽溝壁35dに形成される突起51dは、突起51bに対向しており、遮蔽溝壁35dの内壁面(内壁面35di;図9参照)にて、仕切り溝壁35aに向かって隆起しつつ幅方向W2に沿って延びている。{要は、突起51c・51dは、溝部31に面する遮蔽溝壁35c・35dの内壁面35ci・35diから溝部31の内部に向かって突き出る}。
そして、以上のような突起51の嵌る窪み52は、図15に示すように、支持部SP(詳説すると第1支持片SB1)と溝部31の制止片33とが接触する状態にて、突起51(51a〜51d)に接触可能な支持部SPの一端に形成される。例えば、比較的背面側の仕切り溝壁35aおよび遮蔽溝壁35c・35dに突起51が形成されていると、窪み52は第2支持片SB2に形成される(なお、図15は、図2のC−C’線矢視断面方向からみており、置き板21の表面21aが冷蔵室81の天面81aに向き、溝部31Lが支持部SPに嵌まる一例である)。
窪み52は、第2支持片SB2において冷蔵室81の天面81aに向く一面(第1面SB2a)にて窪みつつ、幅方向W2に沿って延びている。したがって、図16A〜図16Dに示すように、棚PTにおける溝部31Lが支持部SPに嵌まって徐々に進行していくと、溝部31Lの突起51cが第2支持片SB2の窪み52に嵌る(なお、図16A〜図16Dは、図15と同じ図2でのC−C’矢視断面図方向からみている)。
このようになっていると、棚PTが冷蔵室81の奥行き方向D1に沿いつつ、その冷蔵室81から離れようとしても(図15の矢印方向J参照)、溝部31Lの突起51cと第2支持片SB2の窪み52とが嵌り合うことで、棚PTが冷蔵室81から簡単にずれない。つまり、突起51cと窪み52とが嵌り合うことで、冷蔵室81の側壁83に対する棚PTの固定度合いは高まる。
また、棚PTが冷蔵室81の奥行き方向D1に沿いつつ、その冷蔵室81にさらに進入しようとしても(図15の矢印方向K参照)、溝部31Lの制止片33と第1支持片SB1とが接触することで、棚PTが冷蔵室81の内部に過剰に進入しない。したがって、第2支持片SB2に突起51cと窪み52との嵌り合い、および制止片33と第1支持片SB1との接触によって、棚PTは、奥行き方向D1において、冷蔵室81の側壁83に安定して取り付けられる。
また、置き板21の幅方向W2と冷蔵室81の幅方向W1とが一致している場合に、立ち上がり片22・22の厚みは、置き板21における側面の縁から冷蔵室81の支持部SPに到達する長さは有する。そして、この立ち上がり片22にて、溝部31の深さQb(図3参照)は、第1支持片SB1および第2支持片SB2の幅Pbよりも若干長い(図4参照)。
そのため、棚PTが冷蔵室81の幅方向W1に沿ってずれようとしても、溝部31における仕切り溝壁35aおよび遮蔽溝壁35b・35cが、支持部SPの形成された冷蔵室81の側壁83に接触して過剰にずれない。したがって、棚PTは、幅方向W1においても、冷蔵室81の側壁83に安定して取り付けられる。
なお、以上の説明では、棚PTにおける置き板21の表面21aが冷蔵室81の天面81aに向き、その棚PTの溝部31Lが、冷蔵室81の側壁83における支持部SPに嵌りつつ、冷蔵室81の奥(背面)に進行していく例を挙げて説明した。詳説すると、溝部31Lにおける遮蔽溝壁35cの突起51cが支持部SPの窪み52に嵌る例を説明した。しかし、これに限定されるものではない。
すなわち、棚PTにおける置き板21の表面21aが冷蔵室81の天面81aに向き、その棚PTの溝部31Hが、冷蔵室81の側壁83における支持部SPに嵌りつつ、冷蔵室81の奥に進行していってもよい。詳説すると、溝部31Hにおける仕切り溝壁35aの突起51bが支持部SPの窪み52に嵌ってもよい。
また、棚PTにおける置き板21の裏面21bが冷蔵室81の天面81aに向き、その棚PTの溝部31Lが、冷蔵室81の側壁83における支持部SPに嵌りつつ、冷蔵室81の奥に進行していってもよい。詳説すると、溝部31Lにおける仕切り溝壁35aの突起51aが支持部SPの窪み52に嵌ってもよい。
また、棚PTにおける置き板21の裏面21bが冷蔵室81の天面81aに向き、その棚PTの溝部31Hが、冷蔵室81の側壁83における支持部SPに嵌りつつ、冷蔵室81の奥に進行していってもよい。詳説すると、溝部31Hにおける遮蔽溝壁35dの突起51dが支持部SPの窪み52に嵌ってもよい。
ところで、以上の説明では、第2支持片SB2に窪み52が含まれている一例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、第1支持片SB1に窪みが含まれてもかまわない。ただし、第2支持片SB2に窪み52があると、その窪み52の位置は冷蔵室81の正面から比較的乖離する(例えば、第1支持片SB1に突起がある場合よりも乖離する)。そのため、棚PTが冷蔵室81の正面から抜け落ちるように移動する場合に、効率よく(例えば、第1支持片SB1に突起がある場合に比べて効率よく)、その移動を規制できる。
また、溝部31に、突起(第1突起)51に代わって窪み(第1窪み)が形成され、支持部SPに、窪み(第2窪み)52に代わって突起(第2突起)が形成されてもよい。このようになっていても、溝部31の第1窪みと支持部SPの第2突起とが嵌り合うことで、冷蔵室81の側壁83に対する棚PTの固定度合いは高まる。
[実施の形態3]
実施の形態3について説明する。なお、実施の形態1および実施の形態2で用いた部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付記し、その説明を省略する。この実施の形態3では、棚PTが冷蔵室81の側壁83に取り付いた状態でありながらも、移動可能となる機構について説明する。
実施の形態2で説明したように、支持部SPの窪みと溝部31の突起51とが嵌り合うことで、冷蔵室81の側壁83に対する棚PTの固定度合いは高まる(図15参照)。このような支持部SPの窪み52と溝部31の突起51とが嵌り合う状態から、冷蔵室81の側壁83から棚PTを完全に取り外すことなく、その棚PTの位置を変化させる機構がある。
その機構は、仕切り溝壁35aに含まれる欠損部分DT(第1欠損部分DT1・第2欠損部分DT2)である。そして、これら第1欠損部分DT1および第2欠損部分DT2は、奥行き方向D2にて乖離して並列している{ただし、第1欠損部分DT1から第2欠損部分DT2に至る間隔は、第1支持片SB1から第2支持片SB2に至る間隔X(図4参照)より若干短い}。
第1欠損部分DT1は、制止片33と突起51との間に位置するとともに、第2欠損部分DT2よりも置き板21の正面側に位置する。そして、この第1欠損部分DT1は、第1支持片SB1の奥行き長よりも若干長い奥行き長を有する。一方、第2欠損部分DT2は、突起51よりも置き板21の背面側に位置する。つまり、第2欠損部分DT2は、第1欠損部分DT1よりも置き板21の背面側に位置する(図3、図15等参照)。そして、この第2欠損部分DTは、第2支持片SB2の奥行き長よりも若干長い奥行き長を有する。
このような第1欠損部分DT1と第2欠損部分DT2とが仕切り溝壁35aに含まれていると、例えば図17A〜図17Eに示すようにして、棚PTが移動できる(なお、図17A〜図17Eは、図15と同じ図2でのC−C’矢視断面図方向からみている)。
すなわち、棚PTは、溝部31Lにおける遮蔽溝壁35cの突起51cを窪み52から乗り上げさせて、かつ冷蔵室81の正面(開放面)に移動する(図17Aおよび図17B参照)。そして、棚PTは、高さ方向T1にて第1欠損部分DT1および第2欠損部分DT2を第1支持片SB1および第2支持片SB2に重ねるまで、奥行き方向D1に沿って移動する(図17B参照)。
そして、この第1欠損部分DT1および第2欠損部分DT2と第1支持片SB1および第2支持片SB2とが重なり合う状態にて、棚PTは高さ方向T1に沿って冷蔵室81の天面81aに移動する。すると、図17Cに示すように、この第1欠損部分DT1は第1支持片SB1を囲み、第2欠損部分DT2は第2支持片SB2を囲む。
さらに、棚PTが高さ方向T1に沿って冷蔵室81の天面81aに移動すると、第1欠損部分DT1は第1支持片SB1から乖離するとともに、第2欠損部分DT2は第2支持片SB2から乖離する(要は、第1支持片SB1および第2支持片SB2が、第1欠損部分DT1および第2欠損部分DT2を通り抜ける)。その結果、図17Dに示すように、棚PTは、第1支持片SB1および第2支持片SB2を溝部31Hに到達させる。
そして、溝部31Hに第1支持片SB1および第2支持片SB2が嵌る状態にて、棚PTが冷蔵室81の奥に進行していくと、図17Eに示すように、制止片33が第1支持片SB1に接触し、仕切り溝壁35aの突起51bが第2支持片SB2の窪み52に嵌る。
つまり、棚PTは、置き板21の表面21aを冷蔵室81の天面81aに向かせつつ、支持部SPに嵌る溝部31を溝部31Lから溝部31Hに変える。この過程にて、冷蔵室81の側壁83から棚PTが完全に外れない。そのため、ユーザは、冷蔵室81から棚PTを完全に引き抜くことなく、容易に棚PTの位置を変えられる。
なお、以上のようにして、置き板21の表面21aが冷蔵室81の天面81aに向きつつ、溝部31Lに嵌る支持部SPが溝部31Hに変わる以外に、置き板21の表面21aが冷蔵室81の天面81aに向きつつ、溝部31Hに嵌る支持部SPが溝部31Lに変わることもある。これは、図17A〜図17Eまでの棚PTの動きが逆になればよい。
そして、このような過程であっても、冷蔵室81の側壁83から棚PTが完全に外れないので、ユーザは、冷蔵室81から棚PTを完全に引き抜くことなく、容易に棚PTの位置を変えられる。
また、図18A〜図18Eに示すように、置き板21の表面21aが冷蔵室81の底面81bに向きつつ、棚PTが移動することで、支持部SPに嵌る溝部31が溝部31Lから溝部31Hに変わることもある(なお、図18A〜図18Eは、図15と同じ図2でのC−C’矢視断面図方向からみている)。
すなわち、棚PTは、溝部31Lにおける仕切り溝壁35aの突起51aを窪み52から乗り上げさせて、かつ冷蔵室81の正面に移動する(図18Aおよび図18B参照)。そして、棚PTは、高さ方向T1にて第1欠損部分DT1および第2欠損部分DT2を第1支持片SB1および第2支持片SB2に重ねるまで、奥行き方向D1に沿って移動する(図18B参照)。
そして、この第1欠損部分DT1および第2欠損部分DT2と第1支持片SB1および第2支持片SB2とが重なり合う状態にて、棚PTは高さ方向T1に沿って冷蔵室81の底面81bに移動する。すると、図18Cに示すように、この第1欠損部分DT1は第1支持片SB1を囲み、第2欠損部分DT2は第2支持片SB2を囲む。
さらに、棚PTが高さ方向T1に沿って冷蔵室81の底面81bに移動すると、第1欠損部分DT1は第1支持片SB1から乖離するとともに、第2欠損部分DT2は第2支持片SB2から乖離する。その結果、図18Dに示すように、棚PTは、第1支持片SB1および第2支持片SB2を溝部31Hに到達させる。
そして、溝部31Hに第1支持片SB1および第2支持片SB2が嵌る状態にて、棚PTが冷蔵室81の奥に進行していくと、図18Eに示すように、制止片33が第1支持片SB1に接触し、遮蔽溝壁35dの突起51dが第2支持片SB2の窪み52に嵌る。
つまり、棚PTは、置き板21の表面21aを冷蔵室81の底面81bに向かせつつ、支持部SPに嵌る溝部31を溝部31Lから溝部31Hに変える。なお、図18A〜図18Eまでの棚PTの動きが逆になれば、置き板21の表面21aが冷蔵室81の底面81bに向きつつ、溝部31Hに嵌る支持部SPが溝部31Lに変わる。
なお、以上のような、置き板21の表面21aが冷蔵室81の底面81bに向きつつ、棚PTが移動することで、支持部SPに嵌る溝部31が溝部31Lから溝部31H(または溝部31Hから溝部31L)に変わる過程でも、冷蔵室81の側壁83から棚PTが完全に外れない。そのため、ユーザは、冷蔵室81から棚PTを完全に引き抜くことなく、容易に棚PTの位置を変えられる。
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、以上では、棚PTにおける2個の溝部31が1個の立ち上がり片22にて並列する例を挙げてきた。しかし、これに限定されるものでない。例えば、3個以上の溝部31が1個の立ち上がり片22にて並列していてもかまわない。
また、2個の溝部31を立ち上がり片22に並列させた棚PTで、その棚PTにおける置き板21の両面21a・21bが使用可能になっていると、1個の支持部SPを利用して、棚PTの位置は4段階に変わる。そのため、支持部SPの個数は、4個の支持部を利用して棚の位置を4段階に変える場合に比べて、大幅に少なくなる。
そして、このように支持部SPの個数が減ると、支持部SPとの接触を気にすることなく、ユーザは食品等を冷蔵室81に入れられる。また、支持部SP自身に起因した冷蔵室81の収容空間の減少もない。例えば、棚PTを支えていない支持部SPが、高さ方向T1にて並ぶことで、それら支持部SP・SP同士の間隔が、デッドスペースになるということも起きない。
その上、最外に位置する溝部31にて、仕切り溝壁35aに対向することで最外に位置する遮蔽溝壁35c・35dは、溝部31の内部(すなわち支持部SP)を遮蔽するとともに、冷蔵室81の側壁83に密着する。
そのため、遮蔽溝壁35c・35dと冷蔵室81の側壁83との間に隙間が生じにくくなり、棚PTによって区切られた冷蔵室81の各空間の気密性が向上する。そのため、その空間内の温度の均一化が図られる。また、このような気密性の高い空間が複数あると、空間毎に異なった設定温度も可能になる。その上、遮蔽溝壁35c・35dによって、外部から支持部SPが見えないため、美観性も向上する。
なお、以上では、冷蔵室81に棚PTは取り付けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、冷凍室であっても、ショーケースの内部であってもかまわない。要は、棚PTにおける溝部31に嵌る支持部SPを備える収容室であればよい。