JP3646569B2 - 車両用天井ライニング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の天井に内張りされるライニングの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用天井ライニングは、図3に例示されているように、基材1が麻、ポリプロピレン樹脂繊維及びエチレンアセテート樹脂製繊維の混合体2と、その混合体2を裏打ちする薄いポリエステル樹脂製不織布3とで形成され、加熱された基材1にホットメルトフイルム4を挟んでポリエステル樹脂製不織布の表皮5が重ねられ、基材1の熱によりホットメルトフイルム4が半溶融の状態で成形型内に入れられてプレス成形され、全体が冷却されたとき基材1に表皮5が接着した完成品の状態となるが、車両組立ての艤装ラインにおいて上記天井ライニングを車体の天井に内張りする場合、天井ライニングは比較的大型で剛性が低いため、従来は、天井ライニングが折れたり、しわが発生したりしないように、天井ライニングを複数の作業員が共同して慎重に取り扱うことにより艤装作業を進める必要があって、所要人数の増大による工数アップと艤装後の品質ばらつきとが避けられないという問題があり、また、特開平9−1721号公報に例示されているように、基材の全面にわたって補強材を配置することにより内装材の剛性を全面的に補強すれば、コスト及び重量が増大すると同時に、強度が必要でない部分にまで剛性が高められる不合理があり、さらに、図4及び図5に示されているように、プレス成形された天井ライニング6のうちとくに強度が必要とされる部分の外面にリンホース7を接着して、天井ライニング6の強度を局部的に高めることも考えられるが、リンホース7の接着時に必要な治具等により大幅なコストアップとなる欠点があった。
【0003】
また、実用新案登録第2559307号公報に示されているように、自動車用成形天井に段ボール基材を使用し、段ボール基材の波形中芯とライナーとの間に補強層を挿入して、成形天井の剛性を高める技術が存在するが、この場合には、基材が段ボール製であり、かつ、基材が天井材へ成形される前に補強層が挿入されているため、実開平7−4197号公報にも示されているように、上記補強層は成形天井の両側周囲部分や前後周囲部分の全体にわたって配置されることとなるので、必ずしも剛性が必要でない部分にも補強層が配置される結果、自動車にとって好ましくない重量増大を招き、また、補強層の挿入は段ボール基材の周囲部分に限定されるので、車体に対する成形天井の艤装時に強度が必要となる成形天井の部分が補強できるとは限らないという不具合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、車体に対する天井ライニングの艤装時に、強度が必要な天井ライニング部分の剛性を高め、かつ、天井ライニングの重量増大を抑制しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明にかかる車両用天井ライニングは、熱可塑性樹脂を含んだ基材の強度を必要する個所に多数の小孔が形成された補強板が上記基材と重ねて配置され、上記補強板が熱可塑性樹脂を含んだ蓋部により覆われ、上記基材及び蓋部の加熱時に上記熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融して上記補強板の小孔内へ侵入した状態でプレス成形されることにより、上記補強板の両面がそれぞれ上記基材及び蓋部と接着されている。
【0006】
すなわち、基材の強度を必要とする個所に局部的に、多数の小孔が形成された補強板が基材と重ねて配置されると共に、蓋部により覆われ、基材及び蓋部の加熱時に基材及び蓋部における熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融して補強板の小孔内へ侵入した状態でプレス成形されることにより、補強板の両面がそれぞれ基材及び蓋部と接着されているので、基材に対する補強板の取付けが非常に簡単であると共に、補強板が基材に対して強固に取り付けられ、しかも、補強板が基材の必要個所を局部的に補強できる一方、補強板は基材に対して強度の必要な部分にのみ局部的に設けられているにすぎないため、天井ライニングの重量増大を容易に抑制することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態例について、前記従来装置との同等部分にはそれぞれ同一符号を付けて説明する。
図1及び図2において、車両用天井ライニング10の原反は、基材1が麻、ポリプロピレン樹脂繊維及びエチレンアセテート樹脂製繊維の混合体2と、その混合体2を裏打ちする薄いポリエステル樹脂製不織布3とで形成され、特に強度が必要とされる基材1の側部等に凹部11が設けられて、多数の小孔12が形成されたポリプロピレン樹脂板、板金等の補強板13が凹部11内に配置され、すなわち、補強板13が基材1と重ねて配置され、基材1と同等材質の蓋部14により覆われていて、基材1に対しホットメルトフイルム4を挟んでポリエステル樹脂製不織布の表皮5が重ねられてから、基材1、補強板13及び蓋部14が一体的に加熱され、ホットメルトフイルム4が半溶融の状態で成形型内に入れられてプレス成形される。
【0008】
一方、上記加熱時には、基材1及び蓋部14に含まれたポリプロピレン樹脂繊維の少なくとも一部が溶融して、補強板13の小孔12内へ侵入し、さらに、補強板13がポリプロピレン樹脂製の場合は補強板13の表面が半溶融状となるので、その状態で原反がプレス成形されて冷却されると、溶融した上記ポリプロピレン樹脂が凝固することにより、補強板13の両面がそれぞれ基材1及び蓋部14に比較的強く接着され、また、従来と同様に基材1に表皮5が接着される結果、補強板13が基材1に内蔵された状態で車両用天井ライニング10が完成されることとなる。
【0009】
すなわち、天井ライニング10のうち強度が必要な部分には補強板13が内蔵されていて、天井ライニング10の剛性が効果的に高められているので、車両組立ての艤装ラインにおいて天井ライニング10を車体の天井に内張りする場合、天井ライニング10が比較的大型であっても、1人もしくは小人数の作業者により天井ライニング10の折れやしわ発生を伴うことなく容易に艤装作業を進めることができ、かつ、内張りされた天井ライニング10の品質を常に良好とさせることが可能となる。
【0010】
また、天井ライニング10における補強板13の取付けは、凹部11内に補強板13を配置して蓋部14で覆うだけで、天井ライニング10の原反を加熱してプレス成形後に冷却させれば、天井ライニング10の成形と同時に自動的に行われ、格別な取付け作業を必要としないため、補強板13の採用により天井ライニング10の製造コストが上昇することを簡単に抑制することができる。
【0011】
しかも、天井ライニング10における補強板13は、天井ライニング10の艤装時に特に強度が必要な部分にのみ配置されていて、補強板13の配置は局部的に限定されているので、天井ライニング10に補強板13が内蔵されていても、天井ライニング10の重量増加は最小限に押さえることができ、従って、この天井ライニング10の使用により車両の軽量化を損ねることもなくなる。
【0012】
なお、上記実施形態例においては、基材の凹部内における補強板を覆う蓋部は基材と同等の材質のものが使用されているが、少なくとも補強板との接着性が確保できるならば、他の材質のものを使用することも可能であり、また、基材の凹部内に配置された補強板の表面が接着剤により基材及びまたは蓋部と接着するように構成してもよく、さらには、基材の材質としては上記実施形態例のものに限定されることがないことはいうまでもなく、また、凹部のない基材の外面上に補強板を重ね、プレス成形時に弾力のある基材内へ補強板を押し込むようにしても、上記実施形態例の場合と同様な作用効果を奏することができるものである。
【0013】
【発明の効果】
本発明にかかる車両用天井ライニングにあっては、基材の強度を必要とする個所へ局部的に、多数の小孔が形成された補強板が配置されて蓋部により覆われ、基材及び蓋部の加熱時に基材及び蓋部における熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融して補強板の小孔内へ侵入した状態でプレス成形されることにより、補強板の両面がそれぞれ基材及び蓋部と接着されていて、基材に対する補強板の取付けが非常に簡単で補強板が基材に対して強固に取り付けられるため、天井ライニングのコストアップを容易に抑制することができると共に、補強板が基材の必要個所を局部的に補強していて、車体に対する天井ライニングの艤装作業が楽になり、また、補強板は基材に対して強度の必要な部分にのみ局部的に設けられているにすぎないため、天井ライニングの重量増大を容易に抑制することが可能となって、車両用として特に好都合である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例における概略斜視図。
【図2】図1のII−II縦断面拡大図。
【図3】従来装置における要部縦断面拡大図。
【図4】従来装置における概略斜視図。
【図5】図4のV−V縦断面拡大図。
【符号の説明】
1 基材
4 ホットメルトフイルム
5 表皮
10 天井ライニング
11 凹部
12 小孔
13 補強板
14 蓋部

Claims (1)

  1. 熱可塑性樹脂を含んだ基材の強度を必要する個所に多数の小孔が形成された補強板が上記基材と重ねて配置され、上記補強板が熱可塑性樹脂を含んだ蓋部により覆われ、上記基材及び蓋部の加熱時に上記熱可塑性樹脂の少なくとも一部が溶融して上記補強板の小孔内へ侵入した状態でプレス成形されることにより、上記補強板の両面がそれぞれ上記基材及び蓋部と接着された車両用天井ライニング。
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