JP3646553B2 - ワイヤハーネスの保護構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車において、エンジンルーム下部やフロア下部等の被水領域や飛び石が当たる領域に配索するワイヤハーネスの保護構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3に示すように、自動車のエンジンルームの下部やフロアの下部等に取り付けるセンサー等の機器1のコネクタ2に対して下方からワイヤハーネスW/Hを接続する場合があり、該ワイヤハーネスW/Hはコネクタ2との接続位置から一旦下方に垂下した後に、上方へとU形状に配索されている。即ち、U形状の一端がコネクタ2に接続され、他端が電源側へと接続されている。
【0003】
このように自動車の下部に配索されるワイヤハーネスには道路からの飛び水や飛び石がかかりやすく、特に、エンジンルームの下部に配置される場合には、上方からも水がかかる場合がある。
【0004】
コネクタ内に水が侵入すると端子に錆びが発生して接続不良となりやすく、また、コネクタに接続したワイヤハーネスを通して水が浸透していくと、該ワイヤハーネスの他端側に接続したコネクタにも浸水が発生して接続不良となる。また、路面からの飛び石が当たるとワイヤハーネスに損傷が生じて、芯線切れ等が発生する場合もある。よって、車両下部に配索するワイヤハーネスは保護する必要があり、特に、浸水対策が要求されている。
【0005】
上記した問題に対して、従来、図4(A)に示すようにコルゲートチューブ3をワイヤハーネスW/Hに外装している場合と、図5(A)に示すように蛇腹状のゴム製チューブ4を外装している場合とがある。
【0006】
前記図4(A)に示すコルゲートチューブ3をワイヤハーネスW/Hに外装している場合には、図4(B)に示すように、その長さ方向にスリット3aが入ったスリット入りコルゲートチューブ3を用い、ワイヤハーネスW/Hを構成する電線wの先端の端子をコネクタ2に先入れしておき、その後、コルゲートチューブ3のスリット3aを開いて側方からワイヤハーネスに被せて、テープ5でコルゲートチューブ3をワイヤハーネスW/Hに固定している。一方、図5(A)に示すゴム製チューブ4を外装する場合には、図5(B)に示すように、ゴム製チューブ4の一体に大径としたカバー部4aを設けたおき、ワイヤハーネスW/Hをゴム製チューブ4に先通ししておき、その後、ワイヤハーネスの各電線先端の端子をコネクタ2に挿入し、ついで、カバー部4aをコネクタ2のワイヤハーネス接続側のハウジング外周面に被せている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記図4に示すコルゲートチューブ3を用いる場合、コルゲートチューブ3の先端3bとコネクタ2との間に隙間Sが必然的に発生し、この隙間Sからコルゲートチューブ3内に浸水が生じる。コルゲートチューブ3はスリット3aがあるため、コルゲートチューブ3内に浸水した水はスリット3aから排水することはできる。しかしながら、隙間Sに入った水はコネクタ2内にも浸水する恐れがあり、コネクタへの浸水を防止することはできない問題がある。
【0008】
一方、後記図5に示すゴム製チューブ4を用いた場合、該ゴム製チューブ4の先端のカバー部4aでコネクタをカバーするため、コネクタとワイヤハーネスとの接続部に隙間は発生せずゴム製チューブ4でカバーすることはできる。しかしながら、高圧洗車等で高圧水がかかると、コネクタ2とカバー部4aの間から水がゴム製チューブ4内に浸水してくる場合もある。その場合には、チューブ4では水抜きができないため、ワイヤハーネスW/Hの両端に接続したコネクタに水が浸水していくこととなる。なお、水抜き用にゴム製チューブ4に排水孔をあけることも考慮されるが、孔をあけると、飛び石が孔を通してワイヤハーネスにあたる問題があり、飛び石が通過しない程度の排水孔では、水抜き効果を十分に果たすことができない。
【0009】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、ワイヤハーネスとコネクタとの間に隙間を発生させないと共に、浸水が生じても水抜きができるようにしたワイヤハーネスの保護構造を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、被水や飛び石が当たる領域において、上方に配置するコネクタにワイヤハーネスが下方から接続され、該接続位置から下方に垂下した後に上方へと配索されるワイヤハーネスの保護構造であって、
上記コネクタとの接続位置から最下端位置までゴム製チューブでワイヤハーネスを外装すると共に、該ゴム製チューブの一端に設けたコネクタカバー部をコネクタハウジングのワイヤハーネス接続端側の外周面に被せて、ワイヤハーネスとコネクタとの接続位置をゴム製チューブで被覆する一方、
上記ゴム製カバーの最下端位置の他端側には、スリット入りコルゲートチューブの先端を内嵌して、ワイヤハーネスの上向き配索部分を上記コルゲートチューブで外装していることを特徴とするワイヤハーネスの保護構造を提供している。
【0011】
上記構成のようにゴム製チューブとコルゲートチューブとを併用し、コネクタとの接続側にゴム製チューブを用いると、該ゴム製チューブの一端に設けたカバー部でコネクタハウジングをカバーするため、コネクタとワイヤハーネスとの接続部をゴム製チューブでカバーでき隙間を発生させない。また、該ゴム製チューブは最下端位置までとして、該最下端位置の他端にスリット入りコルゲートチューブを内嵌して接続しているため、仮にゴム製チューブ内に浸水が生じても、水は自重により落下して最下端位置に達し、ここで、スリット入りコルゲートチューブに連続させているため、そのスリットから排水することができる。なお、コルゲートチューブのスリットは水抜きはできるが、飛び石がスリットを通ることはなく、飛び石によりワイヤハーネスが損傷を受けることを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
ワイヤハーネスW/Hを接続するセンサー10は前記図3に示すようにエンジンルームの下部に配置されており、該センサー10の下面にコネクタ11が設けられている。このコネクタ11に下方からワイヤハーネスW/Hが接続され、下方に垂下した後に上方へと、U形状に配索され、電源側へと接続されている。
【0013】
上記ワイヤハーネスW/Hに対して、コネクタ11との接続位置からU形状の最下端位置までゴム製チューブ12を外装し、連続してスリット入りコルゲートチューブ13で外装している。
【0014】
上記ゴム製チューブ12は一端に大径筒形状としたコネクタカバー部12aを備え、該コネクタカバー部12aはコネクタ11のハウジング外周面に密着する大きさに設定している。このカバー部12aに連続する部分は蛇腹状の筒部12bとしており容易に曲げることができるようにしている。コルゲートチューブ13は樹脂製で長さ方向に山谷を連続的に設けたもので、その長さ方向に全長に沿ってスリット13aが設けられている。このスリット13aは閉じた状態であるが侵入してきた水はスリット13aの隙間から排出できるものである。
【0015】
上記ゴム製チューブ12により、コネクタ11との接続位置から最下端位置PまでワイヤハーネスW/Hを外装し、一端のコネクタカバー部12aをコネクタ11のワイヤハーネス接続端側のハウジング外周面に被せて密着させている。
該ゴム製カバー12の他端12bは最下端位置Pに位置し、該位置で、スリット13aが入ったコルゲートチューブ13の先端を内嵌して、オーバラップで接続している。コルゲートチューブ13はワイヤハーネスW/Hの配索方向に沿って上方の所要位置までワイヤハーネスW/Hに外装している。
【0016】
上記ゴム製チューブ12とコルゲートチューブ13とのワイヤハーネスW/Hへの取付方法は図2(A)に示すように、まず、ワイヤハーネスW/Hにゴム製チューブ12を通し、ワイヤハーネスW/Hの各電線端末の端子Tをコネクタカバー部12aより突出させておく。ついで、図2(B)に示すように、コネクタ11に端子Tを挿入係止して、ワイヤハーネスW/Hをコネクタ11と接続する。ついで、図2(C)に示すように、ゴム製チューブ12をコネクタ11側に引っ張ってコネクタカバー部12aをコネクタ11のハウジング外周面に被せる。また、スリット入りコルゲートチューブ13をワイヤハーネスW/Hの側方からスリット13aを広げてワイヤハーネスW/Hに被せる。最後に、図2(D)に示すように、コルゲートチューブ13の先端13bをゴム製チューブの他端12bに挿入してオーバラップ状態で連続させ、他端13cをワイヤハーネスW/Hにテープ15で巻き付けて、コルゲートチューブ13をワイヤハーネスW/Hに固着している。なお、ゴム製チューブ12とコルゲートチューブ13との接続部では、コルゲートチューブ13の応力により、ゴム製チューブ12との接続位置は必ず最下端に位置することになる。
【0017】
上記構成とすると、コネクタ11とワイヤハーネスW/Hとの接続部はゴム製チューブ12で保護され、特にコネクタカバー部12でコネクタのワイヤハーネス接続側ハウジングをカバーして密着するため、隙間が発生しない。よって、通常発生するコネクタとの接続部からの浸水を防止できる。また、高圧洗車等により、かりにコネクタカバー部とコネクタハウジングの間に浸水が発生しても、ゴム製チューブ12内を自重により落下し、最下端位置で接続したコルゲートチューブ13のスリット13aから外部に排出される。
【0018】
また、自動車の下部に配索しているため、路面からの飛び石、ドロ等が当たる可能性があるが、ゴム製チューブ12で完全にワイヤハーネスが密閉されていると共に、コルゲートチューブ13側ではスリット13を通して飛び石やドロが侵入することも殆どなく、ワイヤハーネスの保護を図ることができる。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、ゴム製チューブとコルゲートチューブとを併用し、コネクタとの接続側にコネクタハウジングに密嵌するコネクタカバー部を備えたゴム製チューブを用いるているため、コネクタとワイヤハーネスとの接続部をゴム製チューブでカバーでき隙間を発生させない。また、該ゴム製チューブは最下端位置でスリット入りコルゲートチューブと接続していため、仮にゴム製チューブ内に浸水が発生していも、浸水した水は自重落下して下端のコルゲートチューブのスリットから排水できる。よって、コネクタに水が侵入することはなく、コネクタの接続不良を発生させない。
【0020】
また、ゴム製チューブによりワイヤハーネスを密閉状態で保護しているため、路面からの飛び石でワイヤハーネスが当たらない。また、コルゲートチューブ側でも、スリットを通して飛び石がコルゲートチューブ内に入ることはないため、飛び石がワイヤハーネスに当たらず、飛び石によるワイヤハーネスの損傷発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す概略図である。
【図2】 (A)〜(D)はワイヤハーネスへの保護材の取付工程を示す図面である。
【図3】 ワイヤハーネスが配索される箇所を示す概略図である。
【図4】 (A)は従来の保護材をワイヤハーネスに取り付けた状態を示す図面、(B)は上記保護材の取付工程を示す図面である。
【図5】 (A)は従来の他の保護材をワイヤハーネスに取り付けた状態を示す図面、(B)は上記保護材の取付工程を示す図面である。
【符号の説明】
10 センサー
11 コネクタ
12 ゴム製チューブ
12a コネクタカバー部
13 コルゲートチューブ
13a スリット
P 最下端位置
W/H ワイヤハーネス
Claims (1)
- 被水や飛び石が当たる領域において、上方に配置するコネクタにワイヤハーネスが下方から接続され、該接続位置から下方に垂下した後に上方へと配索されるワイヤハーネスの保護構造であって、
上記コネクタとの接続位置から最下端位置までゴム製チューブでワイヤハーネスを外装すると共に、該ゴム製チューブの一端に設けたコネクタカバー部をコネクタハウジングのワイヤハーネス接続端側の外周面に被せて、ワイヤハーネスとコネクタとの接続位置をゴム製チューブで被覆する一方、
上記ゴム製カバーの最下端位置の他端側には、スリット入りコルゲートチューブの先端を内嵌して、ワイヤハーネスの上向き配索部分を上記コルゲートチューブで外装していることを特徴とするワイヤハーネスの保護構造。
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