JP3645931B2 - 複合超微粒子の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複合超微粒子の製造方法に関し、さらに詳しくは、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を組み合わせてなる原材料を用いて複合超微粒子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタノールの合成反応やその逆反応の水蒸気改質反応の触媒等、種々の触媒として有用な酸化物粉末の製造方法としては、種々の化学的及び物理的方法が知られている。
化学的方法においては、酸化物の粉末は一般に共沈法を利用した液相法により製造されている。しかしながら、液相中で製造するために、不純物が粉末中に残留してしまい、高純度な粉末が得られ難いという欠点がある。
一方、物理的方法としては、一般に、Ar、He等の不活性ガス中で金属を蒸発させ、不活性ガスとの衝突により冷却・凝縮させ、超微粒子を生成させる方法、所謂ガス中蒸発法が採用されている。このガス中蒸発法では、高純度でしかも液相法で得られるものよりも微細な超微粒子を作製できるという利点を有する。
【0003】
しかしながら、ガス中蒸発法では、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を含有する合金、例えばCu−Zn合金などを用いて超微粒子を作製する場合、均一な組成の超微粒子を作製できないという問題がある。
すなわち、ガス中蒸発法において、蒸発源の加熱温度を約1500℃と推定すると、この温度においてCuとZnの蒸気圧は5桁の差がある。すなわち、1500℃におけるCuの蒸気圧は2Torrであるが、Znの蒸気圧は105 Torrである。このように蒸気圧が大きく異なる2種の金属もしくは合金を同一るつぼ内で溶解し、蒸発させると、蒸発初期には選択的に蒸気圧の大きい元素が先に蒸発してしまい、Cuが蒸発されずに残ってしまう。その結果、作製時間に応じて生成された超微粒子の組成に偏りが生じてしまう。
【0004】
上記のような問題を解決するため、林主税、上田良二、田崎明編「超微粒子」1988年三田出版会発行、第115〜122頁には、Heガス雰囲気中でCuとZnを高周波誘導加熱して蒸発させ、超微粒子を作製する際に、蒸気圧の低い方の金属であるCuをるつぼ内で溶解し、その中にZnロッドを連続的に供給し、Znの蒸発量を補正しながらCn−Zn系超微粒子を作製する方法が提案されている。
しかしながら、このようなガス中蒸発法では、蒸発室内に配置されたるつぼ中にZnロッドを連続的に導入するための機構を備えた特殊な装置が必要となり、また雰囲気ガスとして高価なHeを使用しているためコスト高になってしまうという不利益がある。
また一般に、ガス中蒸発法で酸化物超微粒子を作製する場合、通常行われている不活性ガスと酸素の混合ガス雰囲気を用いた場合には極めて僅かの収量しか得られないという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を組み合わせてなる原材料を用いた場合でも、組成の偏りのない超微粒子を簡単な方法により作製することにある。
さらに本発明の目的は、高純度な酸化物系複合超微粒子を収量よく安価に製造できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を組み合わせてなる一般式:LM a b (但し、LMはLi、Na、Mg、Ca、Zn、Pb、Sm、Eu、Tm、及びYbからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、MはB、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びLuからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、a及びbは原子%でa:1〜90%、b:10〜99%である。)で示される組成を有する合金からなる原材料を、窒素と酸素とからなるガス雰囲気中で加熱溶解し、蒸発した原材料を上記ガス雰囲気中の酸素と反応させ、上記2種以上の元素又はそれらの酸化物からなる複合超微粒子を生成させることを特徴とする複合超微粒子の製造方法が提供される。
た、好適な態様によれば、原材料は酸素分圧5〜50%、窒素分圧50〜95%のガス雰囲気中でアーク溶解される。
【0007】
【発明の作用及び態様】
蒸気圧の差が大きい2種以上の元素の酸化物超微粒子、例えばCu−Zn系酸化物超微粒子を作製する場合、前記したように2つの大きな問題点がある。以下、Cu−Zn系酸化物超微粒子の作製の場合を例として説明すると、まず、1つの問題点は、雰囲気ガスとしてアルゴンやヘリウム等の不活性ガスを用いたアークプラズマ法では、超微粒子の発生量が非常に少ないことであり、アーク放電を数10分行っても回収される量は100mgにも満たない。またもう1つの問題は、CuとZnの蒸気圧が非常に異なるため(1500℃でCu:2Torr,Zn:105 Torr)、Ar+O2 雰囲気中でのアークプラズマ法では、蒸発初期にはZn酸化物のみが選択的に生成され、Cuが蒸発されず残ってしまう点である。その結果、作製時間に応じて生成された超微粒子の組成に偏りが生じてしまう。つまりアルゴンやヘリウム等の不活性ガスと酸素との混合ガスを用いた場合、超微粒子の発生要因は熱による蒸発が主となるため、母合金を構成するそれぞれの金属の蒸気圧の差だけでそれぞれの金属の蒸発量が決定される。
【0008】
このような問題を解決するために、本発明の方法は、窒素ガスによる強制蒸発の作用を利用している。すなわち、雰囲気ガスとして窒素と酸素の混合ガスを用いると、窒素ガスは溶融金属を強制蒸発させる性質があるため、合金元素の蒸気圧の影響に左右されず、Cu超微粒子とZn超微粒子を共に蒸発させることが可能となる。強制蒸発の機構について説明すると、まず、アークの中で雰囲気中の窒素は原子状になり、溶融金属に溶け込む。溶け込んだ窒素原子同士は結合して分子となり、溶融金属からはじけ飛ぶ。この際、溶融金属を巻き込み、スパッタ粒子のように発生させるものと推定される。このようにして発生した銅や亜鉛の超微粒子は、雰囲気中の酸素と反応してCu酸化物やZn酸化物になる。
このように、本発明に係る複合超微粒子の製造方法によれば、合金元素CuとZnの大きな蒸気圧差に左右されることなく、また生成する超微粒子の組成が生成時間によって偏ることなく、Cu−Zn系酸化物超微粒子を高収量で得ることができる。
【0009】
使用する原材料としては、例えば1500℃において102 Torr以上の蒸気圧を持つ元素と、1500℃において102 Torr未満の蒸気圧を持つ元素の組み合わせのものが好ましい。1500℃において102 Torr以上の蒸気圧を持つ元素としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金属の中で蒸気圧の高い元素(例えば、Zn、Cd、Sb、Hg、Tl、Pb、Bi、Po等)、希土類金属の中で蒸気圧の高い元素(例えば、Sm、Eu、Yb等)が挙げられ、一方、1500℃において102 Torr未満の蒸気圧を持つ元素としては、上記以外の金属元素、半金属元素、希土類元素が挙げられる。
【0010】
従って、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を組み合わせてなる原材料は、蒸気圧が大きい元素をLM、蒸気圧が小さい元素をMとすると、一般式:LMab(但し、LMはLi、Na、Mg、Ca、Zn、Pb、Sm、Eu、Tm、及びYbからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、MはB、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びLuからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、a及びbは原子%でa:1〜90%、好ましくは5〜50%、b:10〜99%、好ましくは50〜95%である。)で示される組成を有する合金である。
た、本発明の方法によれば、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を組み合わせてなる原材料を用いた場合でも、組成に偏りのない超微粒子を作製できるが、超微粒子を作製する前の母合金の組成と作製された超微粒子の組成との間にはズレがあり、得られる超微粒子は蒸気圧の大きい元素に富む組成にずれる。従って、上記のような組成の母合金を用いる場合、蒸気圧の小さい元素Mの割合を多くすることが望ましい。
【0011】
特に本発明の方法は、蒸気圧が大きく違う、例えば1桁以上あるいは100Torr以上もしくは1000Torr以上の差がある少なくとも2種の元素を含む合金を用いて超微粒子を作製する場合に有利に適用することができる。
なお、蒸気圧が高温(1500℃程度)で非常に高くなる元素(Zn,Mg等)を含む母合金を作製する場合、通常の不活性ガス中でのアーク溶解による合金化ができないため、不活性ガス雰囲気中で高周波溶解により合金化を行うことが望ましい。また、上記のような元素以外の元素を用いるが、蒸気圧の差が高温で1桁以上もある元素同士の組み合わせの合金を作製する場合、他のアーク溶解装置等の高温溶解装置を用いて作製してもよいし、超微粒子作製装置内で不活性ガスを導入してアーク溶解を行って母合金を作製してもよい。
【0012】
前記窒素一酸素混合ガスの組成としては、酸素分圧5〜50%、窒素分圧50〜95%の範囲が好ましい。酸素分圧が上記範囲より少ない場合、発生する超微粒子の量と比較して酸素の量が少なくなるため、酸化物として所望される超微粒子が充分に酸化されず、均一な組成の複合超微粒子が作製され難くなる。一方、酸素分圧が上記範囲よりも多い場合、アークプラズマによる超微粒子作製中、母合金全体を酸化膜が覆ってしまい、アークプラズマが不安定になったり、最悪の場合飛ばなくなる恐れがある。なお、上記窒素一酸素混合ガスとしては、乾燥空気も利用することができ、それによって複合超微粒子を安価に製造することができる。
雰囲気ガスの圧力は30Torr以上、好ましくは50Torr以上、1500Torr以下の範囲が適当である。30Torr未満ではアークプラズマが不安定となり、超微粒子が発生し難くなる。一方、1500Torrを超えると、発生する超微粒子の生成量は殆ど変化しなくなる。なお、雰囲気ガスの圧力が高くなる程、蒸気圧が低い元素又はその酸化物が多く生成する傾向が見られる。
【0013】
本発明の方法によれば、使用する原材料中の元素の組み合わせに応じて種々の系の超微粒子を作製できる。例えば、原材料として用いる母合金の組み合わせを酸化され易い元素と酸化され難い元素を複数混ぜた合金を用いることにより、酸化物−金属複合超微粒子が作製できる。また、酸化のされ易さが若干でも違う元素の組み合わせの合金を用いる場合、酸素分圧をコントロールすることより、酸化物−酸化物複合超微粒子から酸化物−金属複合超微粒子まで作製できる。その他、酸化され易い元素同士の組み合わせの母合金を用いる場合や、酸化のされ易さが同程度の元素同士の組み合わせの母合金を用いる場合では、酸化物−酸化物複合超微粒子が作製できる。
本発明の方法により作製される超微粒子、特に例えばCu−Zn−O系複合超微粒子など金属−酸化物複合超微粒子や酸化物−酸化物複合超微粒子は、含まれる元素の種類に応じて種々の触媒、例えばメタノールの合成反応や水蒸気改質反応の触媒として有利に用いることができる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。
【0015】
図1は、本発明に従ってアーク溶解により複合超微粒子を作製するのに好適な装置の一例を示し、後述する実施例において使用した装置の概略構成図である。
この装置1は、溶解室2とグローブボックス3とからなる。溶解室2内には、原料(母合金)Aを配置するハース4がモータ12により回転自在に配設されている。また、溶解室2内のハース4上部には、ハース4に配置された母合金Aに接近自在にアーク電極5が配設されている。溶解室2とグローブボックス3は収集管6によって連通されており、該収集管6のグローブボックス3内に位置する収集管後端7にはフィルター8が着脱自在に取り付けられている。符号9はガス混合器であり、所定濃度の酸素ガスを含む窒素ガスを溶解室2中へ供給する。符号10はターボ分子ポンプ、11はメカニカルブースターポンプとロータリーポンプであり、これらによって溶解室2とグローブボックス3との間の差圧が制御される。
【0016】
次に、操作手順について説明する。まず、所定分圧の窒素−酸素混合ガスを所定の流量で溶解室2内へ供給し、溶解室2内のガス圧を所定の圧力に設定する。この際、雰囲気ガスとして大気を用いる場合以外は、一旦、装置内を真空引きしておいた方が好ましい。その後、通常のアーク溶解と同様、母合金Aとアーク電極5との間でアーク放電を起こしてアークプラズマCを発生させることにより、母合金Aが高温になり、蒸発し、超微粒子Bが発生する。この母合金Aから発生した超微粒子Bは、雰囲気中の酸素と反応し、溶解室2とグローブボックス3との間の差圧によって生ずるガスの流れに乗って収集管6に吸引され、その後端に設置されたフィルター8により捕集される。
【0017】
複合超微粒子の作製:
銅と亜鉛を原料とし、高周波溶解により銅60〜90at%−亜鉛10〜40at%の範囲の種々の組成を有するCu−Zn二元合金のボタン状インゴットを作製した。
各合金を用い、図1に示すような装置により、10%の酸素ガスを含む窒素ガスの雰囲気中(ガス圧300Torr)においてアーク溶解を行い、複合超微粒子を作製した。得られた複合超微粒子について、X線回折装置(XRD)、透過電子顕微鏡(TEM)、及びエネルギー分散型検出法(SEM EDX)により、生成相の同定、微粒子の形状及び組成の分析を行った。
【0018】
図2に、Cu60Zn40の組成の合金を用い、N2 +10%O2 混合ガス雰囲気(ガス圧300Torr)中で超微粒子を作製したときの超微粒子生成時間に対する発生超微粒子中のZnの割合を示す。また比較のために、図3に、Cu60Zn40の組成の合金を用い、Ar+10%O2 混合ガス雰囲気(ガス圧300Torr)中で超微粒子を作製したときの超微粒子生成時間に対する発生超微粒子中のZnの割合を示す。
図3から明らかなように、Ar+O2 混合ガス雰囲気を用いた場合には、蒸発初期にはZnのみが選択的に蒸発し、その後、作製時間の経過と共にCuも蒸発し出したが、作製時間に応じて生成された超微粒子の組成に偏りが生じてしまった。これに対して、本発明に従ってN2 +O2 混合ガス雰囲気を用いた場合には、図2に示されるように、蒸発初期からかなりの量のCuが蒸発し、また生成時間が変わっても常に一定の組成の超微粒子を作製することができた。
【0019】
図4は、Cu65Zn35の組成の合金を用い、種々の雰囲気ガス(ガス圧300Torr)中で超微粒子を作製したときの雰囲気ガスの違いによる超微粒子の回収量を示している。
図4に示されるように、超微粒子の回収量は、Ar+10%O2 混合ガス雰囲気を用いた場合41mg/分、He+10%O2 混合ガス雰囲気を用いた場合83mg/分であったが、N2 +10%O2 混合ガス雰囲気を用いるとAr+10%O2 混合ガス雰囲気を用いた場合と比較して約10倍の回収量が得られた。これは、N2 ガスの強制蒸発によるバブリング効果のためと考えられる。
図5に、各種組成のCu−Zn母合金を用いて作製した超微粒子のX線回折図を縦軸(強度)方向にシフトして示す。図5から明らかなように、Cu酸化物は1相ではなく、価数の異なるCu2 O及びCuOが共に生成し、また金属Cuも生成していた。
【0020】
図6乃至図8は、各々、Cu90Zn10、Cu80Zn20、及びCu65Zn35の各組成の母合金を用いて作製した超微粒子のTEM(透過電子顕微鏡)写真を示す。図6乃至図8から明らかなように、略球状の超微粒子と略柱状乃至ウィスカー状の超微粒子が一体的に接合され、かつ上記略球状の超微粒子から略柱状乃至ウィスカー状の超微粒子が延出している構造を有する複合超微粒子が作製された。これらの複合超微粒子は、分析の結果、略球状の頭部はCuやCu酸化物(Cu2 O、CuO)からなっており、柱状乃至ウィスカー状に延出している足部はZnOからなっていることがわかった。Cu90Zn10のようにZn量が少ない合金を用いた場合には、図6に示されるように約50〜500nmの大きさの金属Cu又はCu酸化物(Cu2 O,CuO)の略球状の超微粒子とZnOの略柱状もしくは樽状の超微粒子が接合した形状の複合超微粒子が生成した。Zn含有量が多いCu80Zn20の組成の合金を用いた場合、図7に示されるように、約30〜500nmの大きさの金属Cu又はCu酸化物(Cu2 O,CuO)の略球状の超微粒子と径約50〜400nm、長さ約200〜1000nm程度のZnOの柱状の超微粒子が接合した形状の複合超微粒子が得られ、この複合超微粒子の表面には、より微細な数nm〜数十nmの大きさのCu超微粒子が多数付着していた。Zn含有量がさらに多いCu65Zn35の組成の合金を用いた場合、図8に示されるように、金属Cu又はCu酸化物(Cu2 O,CuO)の略球状の超微粒子から長さ約1000nm程度までのZnOのウィスカー状超微粒子が延出したような構造の複合超微粒子が得られた。また、図7から明らかなように、Cu80Zn20の組成の合金を用いて作製した複合超微粒子の中には、既にウィスカー状に成長したZnO超微粒子も認められる。
上記のようにして作製した複合超微粒子について、超微粒子0.1gを充填した常圧固定床流通式反応装置を用い、メタノールの水蒸気改質触媒としての調査を行ったところ、低温域ではもちろんのこと高温域においても90%以上の高選択率を維持することが確認された。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の複合超微粒子の製造方法によれば、蒸気圧の差が大きい2種以上の元素が含まれる原材料を用いても、生成する超微粒子の組成が生成時間によって偏ることなく、均一な組成の超微粒子が作製できる。しかも、一般的な酸化物超微粒子の作製法である不活性ガスと酸素の混合ガス雰囲気を用いる場合に比較して、収量よく大量に酸化物超微粒子が作製できる。また、He等の高価な特別なガスを使用せず、大気(空気)を用いることもできるため、安価にしかも簡単に超微粒子が作製できるという効果・利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従ってアーク溶解により複合超微粒子を作製する装置の一例の概略構成図である。
【図2】60at%Cu−40at%Znの組成の合金を用いてN2 +10%O2 混合ガス雰囲気(ガス圧300Torr)中で超微粒子を作製したときの超微粒子生成時間に対する発生超微粒子中のZnの割合を示すグラフである。
【図3】60at%Cu−40at%Znの組成の合金を用いてAr+10%O2 混合ガス雰囲気(ガス圧300Torr)中で超微粒子を作製したときの超微粒子生成時間に対する発生超微粒子中のZnの割合を示すグラフである。
【図4】65at%Cu−35at%Znの組成の合金を用いて種々の雰囲気ガス(ガス圧300Torr)中で超微粒子を作製したときの雰囲気ガスの違いによる超微粒子の回収量を示すグラフである。
【図5】種々の組成のCu−Zn二元合金を用いて作製した各超微粒子のX線回折図であり、縦軸(強度)方向にシフトして示す。
【図6】90at%Cu−10at%Znの組成の合金を用いて作製した超微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図7】80at%Cu−20at%Znの組成の合金を用いて作製した超微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【図8】65at%Cu−35at%Znの組成の合金を用いて作製した超微粒子の透過電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 超微粒子作製装置
2 溶解室
3 グローブボックス
5 アーク電極
6 収集管
8 フィルター
9 ガス混合器
10 ターボ分子ポンプ
11 メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ
A 母合金
B 超微粒子
C アークプラズマ

Claims (4)

  1. 蒸気圧の差が大きい2種以上の元素を組み合わせてなる一般式:LM a b (但し、LMはLi、Na、Mg、Ca、Zn、Pb、Sm、Eu、Tm、及びYbからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素、MはB、Al、Si、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、La、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、及びLuからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、a及びbは原子%でa:1〜90%、b:10〜99%である。)で示される組成を有する合金からなる原材料を、窒素と酸素とからなるガス雰囲気中で加熱溶解し、蒸発した原材料を上記ガス雰囲気中の酸素と反応させ、上記2種以上の元素又はそれらの酸化物からなる複合超微粒子を生成させることを特徴とする複合超微粒子の製造方法。
  2. 1500℃において102Torr以上の蒸気圧を持つ蒸気圧の大きい元素と、1500℃において102Torr未満の蒸気圧を持つ蒸気圧の小さな元素とを組み合わせてなる原材料を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 蒸気圧の差が1桁以上の少なくとも2種の元素を組み合わせてなる原材料を用いる請求項1に記載の方法。
  4. 酸素分圧5〜50%、窒素分圧50〜95%のガス雰囲気中、原材料をアーク溶解する請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法。
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