JP3645836B2 - ラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラッセル式除雪装置とロータリ式除雪装置とを備え、軌道上の積雪を軌道脇に排雪するラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、軌道上の除雪には、ラッセル式除雪装置やロータリ式除雪装置を搭載した除雪車が使用されている。ここで、ラッセル式除雪装置は、積雪量が比較的少ないときに用いられ、車両前方に軌道に対して角度を持って設けられたラッセル翼によって、軌道上の積雪を軌道外へ押し出すものである。このラッセル式除雪装置には、軌道両側へ押しのけるV字型ラッセルや、軌道片側へ押しのける片押し型ラッセル等があり、除雪速度は40〜70km/hと速いが積雪量が多くなると使用できない。一方、ロータリ式除雪装置は、積雪量が多いときに用いられ、軌道上の積雪を開いた翼によってかき寄せ、遠くに吹き飛ばすものである。多くの積雪を比較的遠くへ排雪できるが、除雪速度は4〜5km/hと遅い。
【0003】
そこで、従来より、ラッセル式あるいはロータリ式のいずれで除雪するかを判断したり、両頭にラッセル式とロータリ式のそれぞれの装置を装着した兼用除雪車では、転車台で車両の方向を転換する等の除雪準備が必要であった。それに対して、特許第2882457号公報に提案された除雪車によれば、車両の少なくとも一方端に、ロータリ式除雪装置と、回動式ラッセル翼及びその先端部に設けられた回動式先端翼とを設けることによって、1台の除雪車の使用方法を積雪の状態等によって4つのモードから選択可能となった。この従来の除雪車の主要部分を図11〜図14に示す。
【0004】
図11〜図14において、ロータリ式除雪装置102の図中左側にラッセル式除雪装置103が設けられている。ラッセル式除雪装置103は、車体端部にそれぞれ回動自在に設けられた左右のラッセル翼108,109と、左右のラッセル翼108,109を回動させる左右のラッセル翼用アクチュエータ110,111と、左右のラッセル翼108,109の先端部にそれぞれ回動自在に設けられた左右の先端翼112,113と、左右の先端翼112,113をそれぞれ回動する左右の先端翼用アクチュエータ114,115と、左右のラッセル翼108,109の基端部に軸着された左右の側翼116,117と、左右の側翼116,117をそれぞれ回動させる左右の側翼用アクチュエータ118,119とを備えている。
【0005】
(Vプラウモード)図11に示すように、左右のラッセル翼108,109を閉じて、Vプラウが形成され、V字型ラッセル式除雪装置として線路の両側に排雪する。この場合は、両先端翼112,113が楔状になって、積雪を分断する。このモードは、比較的積雪量が少ない時で、単線等の線路の両側へ排雪できる場合に使用される。線路脇に余裕がある場合には、左右の側翼116,117を2点鎖線で示した位置まで開くことで、除雪幅を広げることができる。
【0006】
(左方片寄せプラウモード)図12または図13に示すように、一方のラッセル翼108及び先端翼112が車両の進行方向に対して傾斜位置に、他方のラッセル翼109を車両の進行方向に平行に配置して、片寄せプラウが形成され、線路の片側に排雪する片押し型ラッセル式除雪装置となる。図12は、線路脇に余裕がある場合で、他方の先端翼113と、一方の側翼116を開いて除雪幅を広げている。このようにすれば、先端翼113、先端翼112、ラッセル翼108、側翼116が一直線上に並んで、左に傾いた片寄せプラウとなり、積雪は左側へ除雪される。また、線路脇に余裕がない場合は、図13に示すように、他方の先端翼113と一方の側翼116を車両の進行方向と平行にする。
【0007】
(右方片寄せプラウモード)両ラッセル翼108,109等を(左方片寄せプラウモード)と車両の進行方向に対して左右対称に配置することにより、(左方片寄せプラウモード)とは反対側の線路の右側に排雪する。方向以外は、(左方片寄せプラウモード)と同様であるので、説明は省略する。
【0008】
(ロータリモード)図14に示すように、両ラッセル翼108,109及び両先端翼112,113を開き、ロータリ式除雪装置102を駆動して排雪する。両ラッセル翼108,109の間には、雪を切削しながら掻き集めるオーガ(図示せず)が設けられており、オーガによって掻き集められた雪は回転遠心力を利用して放出される。このモードは、積雪量が多い場合に用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車では、以下のような問題点があった。
【0010】
(1)まず、従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車では、上記した(左方片寄せプラウモード)及び(右方片寄せプラウモード)において、各翼が一直線上に並ぶように、回動式ラッセル翼108,109の先端部に回動式先端翼112,113が設けられているので、構造が複雑なものとなっている。また、先端翼112,113は、除雪時に大きな抵抗を受ける部分であるので、先端翼112,113やそれらを回動させるための先端翼用アクチュエータ114,115として強度の大きいものを用いる必要があった。そのため、この従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車は、設計製造が困難であり、コストも高くなるので、実用化されにくいものであった。
【0011】
さらに、図11〜図14に示すように、先端翼用アクチュエータ114,115の基端部が、それぞれラッセル翼108,109に取り付けられているので、ラッセル翼108,109を回動させると先端翼用アクチュエータ114,115の基端部も移動することとなる。従って、先端翼112,113の位置決め精度が低下しやすい。特に、積雪状態に偏りがある場合や、線路がカーブしている箇所では、先端翼112,113は偏った抵抗を受けるので、先端翼112,113の角度に偏りが発生したり、ずれが生じたりして、適切に除雪できなくなるおそれがあった。
【0012】
例えば、(Vプラウモード)では、両先端翼112,113が車両の進行方向に対して傾きが生じたり、隙間が開いて適切に雪を分断できなくなるおそれがあった。また、(左方片寄せプラウモード)では、傾きをもって配置された先端翼112と他方のラッセル翼109との間に隙間が生じる等によって、先端翼113、先端翼112、ラッセル翼108、側翼116の一直線性が失われるおそれがあった。また、(右方片寄せプラウモード)でも、同様のおそれがある。すなわち、この従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車では、各左右のラッセル翼108,109や各先端翼112,113の角度を正確に保つことが難しく、各翼の位置決めが困難であるという問題があった。
【0013】
(2)一方、除雪の際にラッセル車が積雪から受ける抵抗力はかなり大きく、特に、片寄せプラウの場合は、車両に対して斜め方向の力を受ける。この力は、車輪を介してレールに加えられる。一般に、片寄せプラウが使用される区間においては、除雪のたびに毎回同じ側へと排雪する。つまり、除雪のたびにレールには同じ斜め方向の力が加えられ、レールと枕木との間が緩んだり、レール自体のゆがみの原因となるおそれがあった。
【0014】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ラッセル翼をより簡単な構造にすることによって、位置決め精度を向上させたラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車は、車両の前部及び後部に設けられたロータリ式除雪装置と、前記ロータリ式除雪装置の前方及び後方に配置され、前記車両に軸着された回動自在な左右一対のラッセル翼を有するラッセル式除雪装置と、を備えたラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車において、車両の前端部及び後端部に設けられた一対の前記ラッセル翼は、それぞれが車両の幅よりも長い一枚の板状部材で形成され、車両との間で連結されたアクチュエータによって、車両の前端部及び後端部にそれぞれ軸着された前記ラッセル翼が回動するようにしたものであることを特徴とする。
【0016】
よって本発明によれば、車両の両側部に回動自在の左右のラッセル翼を有し、それぞれを回動するためのアクチュエータを有するのみであるので、従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車に比較して、左右の先端翼とそれらのための先端翼用アクチュエータが不要となる。さらに、両ラッセル翼が、大きな1枚のラッセル翼なので、強度を上げやすく、コストを下げることができるので、実用的なものとなる。また、本発明では、各アクチュエータの基端部は車両に設けられ、固定された位置にあるので、各アクチュエータの長さの制御のみによってラッセル翼の配置が決定される。従って、各ラッセル翼の位置決め精度が向上される。
【0017】
そして、本発明では、ラッセル翼のそれぞれの長さが車両の幅よりも長く構成されるので、両ラッセル翼を閉じたときには、両翼の先端部が車両の先端から比較的離れた位置で互いに当接する。このことから、両ラッセル翼によって形成されるVプラウは、鋭角的なV字型となる。従って、従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車のような先端翼を備えなくても、容易に積雪を分断できる。
【0018】
また、本発明では、ラッセル翼のそれぞれの長さが車両の幅よりも長く構成されるので、一方のラッセル翼の先端部を他方のラッセル翼の内壁に当接させ、両ラッセル翼を片側に倒すことで、片寄せプラウを形成することができる。このとき、先端翼がないので、従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車のように各翼が一直線上に並ぶことはなく、左右のラッセル翼の接触部分において段差が生じるが、その段差部分には雪が入り込んで固まるので、効果としては従来のものと有為差はない。
【0019】
また、本発明のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車は、車両の前後端の少なくとも一方に設けられたロータリ式除雪装置と、前記ロータリ式除雪装置の前方に配置され、前記車両に軸着された回動自在な左右一対のラッセル翼を有するラッセル式除雪装置と、を備えたラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車において、前記ラッセル翼は、それぞれが車両の幅よりも長い一枚の板状部材で形成され、車両との間で連結されたアクチュエータによって、車両の前端部及び後端部にそれぞれ軸着された前記ラッセル翼が回動するようにしたものであり、一対のラッセル翼には、一方の内壁にガイド部材が、他方の先端部に移動部材がそれぞれ設けられ、その移動部材がガイド部材に係合しつつ移動するようにしたことを特徴とする。
【0020】
よって本発明によれば、一方のラッセル翼の内壁に設けられたガイド部材と、他方のラッセル翼の先端部に設けられた移動部材とが互いに係合する。すなわち、一方のラッセル翼の先端部が他方のラッセル翼の内壁に当接した状態では、移動部材とガイド部材とによって、両ラッセル翼は係止されるので互いに離れない。従って、両ラッセル翼を片側に倒して、片寄せプラウを形成した場合に、積雪によりラッセル翼が大きな抵抗を受けた場合でも、アクチュエータに過剰な負担がかかることがなく、両翼の間に隙間があくことはない。
【0021】
また、本発明のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車は、請求項1又は請求項2に記載のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車において、前後端の一方又は双方に設けられた一対の前記ラッセル翼に対応して、前記車体両側部に軸着された回動自在な左右一対の補助翼を有することを特徴とする。
【0022】
よって本発明によれば、左右の補助翼を開閉することによって、軌道周辺の事情に従って除雪幅を広くするかどうかを選択できる。
【0023】
また、本発明のラッセル除雪車の使用方法は、車両の前後両端部にそれぞれ一対のラッセル翼を有するラッセル式除雪車の使用方法において、前記車両の進行方向前方に配置された前方ラッセル翼を、左右片側に除雪する片寄せプラウとした場合、前記車両の進行方向後方に配置された後方ラッセル翼の少なくとも一方を、前記前方ラッセル翼が排雪する側へ突出させることを特徴とする。
【0024】
よって本発明によれば、車両の前方にあるラッセル式除雪装置が片寄せプラウの場合、車両の後方にあるラッセル翼の少なくとも一方を、排雪される側に突出させるので、この突出されたラッセル翼は排雪された雪に当接する。車両後方に位置するラッセル翼を排雪された雪に当接させることで、車両後方にも、排雪された側から斜め方向への力が働く。これらの車両前方と後方に加わる力は、互いに逆向きの回転モーメントを有し、打ち消し合うので車輪に対する横圧を低減させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1はラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の実施の形態を示した正面図であり、図2は、同じラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の実施の形態を示した平面図である。本実施の形態のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車1は、車両10の長手方向両端部にそれぞれラッセル式除雪装置11A,11Bとロータリ式除雪装置12A,12Bを備えたものである。
【0026】
図1、図2に示すように、このラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車1は、前後方向へ自走可能な車両10の前後端にそれぞれロータリ式除雪装置12A,12Bが取り付けられ、さらにその先端部にそれぞれラッセル式除雪装置11A,11Bが取り付けられている。ラッセル式除雪装置11A,11Bは、それぞれ左右のラッセル翼13A,14A,13B,14Bと、各ラッセル翼13A,14A,13B,14Bを回動させるアクチュエータ15A,16A,15B,16Bと、左右の補助翼17A,18A,17B,18Bと、各補助翼17A,18A,17B,18Bを回動させるアクチュエータ19A,20A,19B,20Bとを備えている。ロータリ式除雪装置12A,12Bは、一般的な装置であり、両ラッセル翼13A,14Aあるいは両ラッセル翼13B,14Bの間にある図示しないオーガによって積雪をかき込み、ブロア30A,30Bから放出するものである。なお、車両10に設けられたロータリ式除雪装置12A,12Bとラッセル式除雪装置11A,11Bはそれぞれ前後端で同じ構成であるので、以後はA,Bの符号を省略して一方について説明し、他方は省略する。
【0027】
次に、図3に、図2のラッセル式除雪装置11部分を拡大した斜視図を示す。図3では、各補助翼17,18は省略した。図1〜図3に示すように、両ラッセル翼13,14は、ロータリ式除雪装置12の先端部両側の外壁に回動可能に取り付けられた板状の部材であり、その長さは車両10の幅より長く、その厚みは先端部においてやや薄く構成されている。各ラッセル翼13,14を回動させる各アクチュエータ15,16の基端部は、車両10に連結されたロータリ式除雪装置12の外壁上面に、取付部材21,22によって、回動自在に取り付けられ、同じく各先端部は、各ラッセル翼13,14の上面に、取付部材23,24によって、回動可能に取り付けられている。これらのアクチュエータ15,16は、それぞれ油圧シリンダで構成されている。
【0028】
また、アクチュエータ15,16は、図3に示すように、その設置される高さを変えて互いに交わって配置されている。図3では、アクチュエータ16がアクチュエータ15の上方を通っているので、アクチュエータ16の両端部を取り付けるための係止部材22,24は、アクチュエータ15の両端部を取り付けるための係止部材21,23に比べて高い位置に設けられる。この上下関係は逆でもよい。
【0029】
さらに、両ラッセル翼13,14の内壁にはそれぞれ高さの異なる位置に断面U字型のガイドレール31,32が、両ラッセル翼13,14の長手方向に沿って設けられている。そして、両ラッセル翼13,14の先端部には、もう一方のラッセル翼14,13のガイドレール32,31と係合できる高さにガイドローラ33,34が取り付けられている。ここで、両ガイドレール31,32とガイドローラ33,34のそれぞれの取り付け高さを変えたのは、Vプラウを形成するために両ラッセル翼13,14の先端部を当接させたとき、ガイドローラ33とガイドローラ34とが当たることを避けるためである。ここで、ガイドレール31,32が、請求項2に記載のガイド部材に相当し、ガイドローラ33,34が、請求項2に記載の移動部材に相当する。
【0030】
また、図1、図2に示すように、各補助翼17,18は、各ラッセル翼13,14よりやや後方の、ロータリ式除雪装置12の外側壁に回動可能に取り付けられた板状の部材であり、その長さは各ラッセル翼13,14より短い。そして、各補助翼17,18を回動させる各アクチュエータ19,20の、基端部はロータリ式除雪装置12の外壁に、先端部は各補助翼17,18の上面にそれぞれ回動可能に取り付けられている。これらのアクチュエータ19,20は、油圧シリンダで構成されている。また、アクチュエータ19,20は互いに重ならないので、それらの係止部材の高さはどのようでも構わない。
【0031】
次に、ラッセル式除雪装置11の各翼13,14,17,18の回動範囲を、図4に示す。アクチュエータ15によるラッセル翼13の回動範囲は、図4に示すように、アクチュエータ15が最も短縮されたときに位置13Sとなり、アクチュエータ15の伸長によってラッセル翼13は回動し、13S→13T→13U→13V→13Wと開かれる。ラッセル翼14も同様である。また、補助翼17はアクチュエータ19の伸縮によって17S→17Tと開かれる。補助翼18も同様である。
【0032】
そして、図4に実線で示したように、両ラッセル翼13,14がそれぞれ位置13T,14Tにあるとき、それぞれのラッセル翼13,14の先端部が当接し、図5に示すように、Vプラウが構成される(Vプラウモード)。図5では、各補助翼17,18をそれぞれ位置17T,18Tまで開いて、除雪幅を広げている。また、図4で両ラッセル翼13,14が最も開いた位置13W,14Wにあれば、図6に示すようになり、両ラッセル翼13,14の間に積雪をかき寄せることができる。そこで、ロータリ式除雪装置12を駆動して、ブロア30から排雪する(ロータリモード)。
【0033】
さらに、ラッセル翼13を位置13Vに、ラッセル翼14を位置14Sにすると、図7に示すように、左方片寄せプラウが形成される(左方片寄せプラウモード)。このようにするためには、例えば、両ラッセル翼13,14がVプラウ(位置13Tと位置14T)である状態から、アクチュエータ15の伸張とアクチュエータ16の短縮を同時に行い、ガイドローラ34をガイドレール31に係合させる。そして、さらに、アクチュエータ15の伸張とアクチュエータ16の短縮を同時に行い、両ラッセル翼13,14を図7の位置まで移動させればよい。また、上記の手順を左右逆に行えば、図8に示した右方片寄せプラウを形成することもできる(右方片寄せプラウモード)。また、左右の線路脇の事情によって、両補助翼17,18も開いてもよい。
【0034】
ところで、上記のような片寄せプラウでは、前方の積雪による抵抗を斜めのラッセル翼13,14で受ける。例えば、左方片寄せプラウモード(図7参照)の場合ではラッセル翼14であり、除雪することによって、車両10にはラッセル翼14に直角方向の力、つまり、右回りの回転モーメントがかかることになる。この積雪による抵抗力は、車輪に対する横圧となり、線路の変形等の原因となるおそれもある。そこで、この実施の形態のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車1では、車両10の前後端にそれぞれ左右のラッセル翼13A,14A,13B,14Bが設けられているので、図9に示すように、後端のラッセル翼13B,14Bを左側に開いて、排雪された雪に当接させる。
【0035】
図9に示すラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車1では、図中左が進行方向であり、前方のラッセル翼13A,14Aは左方片寄せプラウモードである。従って、車両10には右回りの回転モーメントがかかる。そして、後方のラッセル翼13B,14Bを前方のラッセル翼13A,14Aと点対称の角度に開くことにより、前方のラッセル翼13A,14Aによって排雪された雪に、後方のラッセル翼13Bが当接する。これによって、さらに線路から離れた位置まで除雪するとともに、車両10には左回りの回転モーメントが加わる。これらの回転モーメントは、互いに打ち消し合うので、車輪を介してレールにかかる横圧を低減させることができる。また、図8に示した右方片寄せプラウモードの場合には、図10に示すように、後方のラッセル翼13B,14Bを前方のラッセル翼13A,14Aと点対称の角度に開けばよい。
【0036】
よって、こうした本実施の形態のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車1によれば、左右のラッセル翼13,14と、それらを回動させるアクチュエータ15,16とによって、Vプラウモード、左方片寄せプラウモード、右方片寄せプラウモード、ロータリモードの4つのモードからいずれかを選択できる。さらに、従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車に比較して、ラッセル翼13,14が左右の2枚のみであり、簡単な構造で実現できる。また、各アクチュエータ15,16の基端部は車両10の固定位置に設けられるので、各ラッセル翼13,14の位置決め精度が向上された。
【0037】
さらに、両ラッセル翼13,14の内壁にそれぞれ設けられたガイドレール31,32と、他方のラッセル翼14,13の先端部に設けられたガイドローラ34,33とが互いに係合するので、左方片寄せプラウや右方片寄せプラウを形成した場合においても両ラッセル翼の間が離れることはない。従って、積雪により両ラッセル翼13,14が大きな抵抗を受けた場合でも、両ラッセル翼13,14の間に隙間が空くことはない。
【0038】
さらに、両ラッセル翼13,14の後方に左右の補助翼17,18を有するので、左右の補助翼17,18を開閉することによって、軌道周辺の事情に従って除雪幅を広くするかどうかを選択できる。
【0039】
さらに、本実施の形態のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車1は、前後端に同様のラッセル式除雪装置11A,11Bとロータリ式除雪装置12A,12Bを備えているので、軌道上の進行方向に拘わらず使用できる。また、車両10の前方にあるラッセル式除雪装置11Aを片寄せプラウモードとした場合、車両10の後方にあるラッセル翼13B,14Bを、前方のラッセル式除雪装置11Aが排雪する側に開くことにより、前方ラッセル翼14Aと後方ラッセル翼13B、又は、前方ラッセル翼13Aと後方ラッセル翼14Bに加わる回転モーメントがそれぞれ逆向きとなるので、車輪に対する横圧を低減させることができる。
【0040】
なお本発明は、前記実施形態のものに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、ガイド部材および移動部材としてU字型ガイドレールとガイドローラとの組み合わせを例に挙げて説明したが、係止しつつ移動できるものであれば他の構成でも構わない。
【0041】
【発明の効果】
本発明のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車では、車両の両側部に回動自在の左右のラッセル翼を有し、それぞれを回動するためのアクチュエータを有するのみであるので、従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車に比較して、より簡単な構造となった。さらに、両ラッセル翼が、大きな1枚のラッセル翼なので、強度を上げやすく、コストを下げることができるので、実用的となった。また、各アクチュエータの基端部は車両に設けられ、固定された位置にあって、各アクチュエータの長さの制御のみによってラッセル翼の配置が決定されるので、各ラッセル翼の位置決め精度が向上された。
【0042】
また、本発明のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車では、一方のラッセル翼の内壁に設けられたガイド部材と、他方のラッセル翼の先端部に設けられた移動部材とが互いに係合して、両ラッセル翼は係止されるので互いに離れない。従って、両ラッセル翼を片側に倒して、片寄せプラウを形成した場合に、積雪によりラッセル翼が大きな抵抗を受けた場合でも、アクチュエータに過剰な負担がかかることがなく、両翼の間に隙間があくことはなくなった。
【0043】
また、本発明のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車では、左右の補助翼を開閉することによって、軌道周辺の事情に従って除雪幅を広くするかどうかを選択できる。
【0044】
また、本発明のラッセル除雪車の使用方法では、車両の前方にあるラッセル式除雪装置が片寄せプラウの場合、車両の後方にあるラッセル翼の少なくとも一方を、排雪される側に突出させるので、この突出されたラッセル翼は排雪された雪に当接し、車両後方にも、排雪された側から斜め方向への力が働く。これらの車両前方と後方に加わる力は、互いに逆向きの回転モーメントを有し、打ち消し合うので車輪に対する横圧を低減させることができた。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の一実施の形態を示した正面図である。
【図2】同じくラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の一実施の形態を示した平面図である。
【図3】ラッセル式除雪装置部分の斜視図である。
【図4】ラッセル翼の回動範囲を示す説明図である。
【図5】Vプラウを形成したラッセル式除雪装置要部の平面図である。
【図6】両ラッセル翼が開いた状態のラッセル式除雪装置要部の平面図である。
【図7】左方片寄せプラウを形成したラッセル式除雪装置要部の平面図である。
【図8】右方片寄せプラウを形成したラッセル式除雪装置要部の平面図である。
【図9】左方片寄せプラウを使用する場合のラッセル式除雪装置の平面図である。
【図10】右方片寄せプラウを使用する場合のラッセル式除雪装置の平面図である。
【図11】従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の主要部を示す前部平面図である。
【図12】従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の主要部を示す前部平面図である。
【図13】従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の主要部を示す前部平面図である。
【図14】従来のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車の主要部を示す前部平面図である。
【符号の説明】
1 ラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車
10 車両
11A,11B ラッセル式除雪装置
12A,12B ロータリ式除雪装置
13A,13B ラッセル翼
14A,14B ラッセル翼
15A,15B アクチュエータ
16A,16B アクチュエータ
17A,17B 補助翼
18A,18B 補助翼
19A,19B アクチュエータ
20A,20B アクチュエータ
31A,31B ガイドレール
32A,32B ガイドレール
33A,33B ガイドローラ
34A,34B ガイドローラ
Claims (4)
- 車両の前部及び後部に設けられたロータリ式除雪装置と、前記ロータリ式除雪装置の前方及び後方に配置され、前記車両に軸着された回動自在な左右一対のラッセル翼を有するラッセル式除雪装置と、を備えたラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車において、
車両の前端部及び後端部に設けられた一対の前記ラッセル翼は、それぞれが車両の幅よりも長い一枚の板状部材で形成され、車両との間で連結されたアクチュエータによって、車両の前端部及び後端部にそれぞれ軸着された前記ラッセル翼が回動するようにしたものであることを特徴とするラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車。 - 車両の前後端の少なくとも一方に設けられたロータリ式除雪装置と、前記ロータリ式除雪装置の前方に配置され、前記車両に軸着された回動自在な左右一対のラッセル翼を有するラッセル式除雪装置と、を備えたラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車において、
前記ラッセル翼は、それぞれが車両の幅よりも長い一枚の板状部材で形成され、車両との間で連結されたアクチュエータによって、車両の前端部及び後端部にそれぞれ軸着された前記ラッセル翼が回動するようにしたものであり、
一対のラッセル翼には、一方の内壁にガイド部材が、他方の先端部に移動部材がそれぞれ設けられ、その移動部材がガイド部材に係合しつつ移動するようにしたことを特徴とするラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車。 - 前後端の一方又は双方に設けられた一対の前記ラッセル翼に対応して、前記車体両側部に軸着された回動自在な左右一対の補助翼を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラッセル・ロータリ兼用軌道除雪車。
- 車両の前後両端部にそれぞれ一対のラッセル翼を有するラッセル式除雪車の使用方法において、
前記車両の進行方向前方に配置された前方ラッセル翼を、左右片側に除雪する片寄せプラウとした場合、
前記車両の進行方向後方に配置された後方ラッセル翼の少なくとも一方を、前記前方ラッセル翼が排雪する側へ突出させることを特徴とするラッセル式除雪車の使用方法。
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