JP3644866B2 - 移動農機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタ等の移動農機に係り、詳しくは、機体に装着されたブレードの操作により土砂の掘削、移動、敷均し等を可能とした移動農機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪型の乗用トラクタを湿田、湿地等で使用する場合に機体が沈み込まないようにする等のため、クローラ式の走行装置を備えたものが公知であり、このようなトラクタの前部又は後部にブレードを取付けて、雪かき作業や土壌面の均平作業等を行うことができる。
【0003】
このようなトラクタの均平耕耘装置として、従来、例えば特開平9−84412号公報に記載された技術が知られており、この従来例によれば、図3に示すように、トラクタ100の機体フレームを左右一対のクローラ走行装置101にて支持し、機体前部には、ロアリンク102、トップリンク103等の3点リンク機構にて連結されるブレード104を装着し、リフトアーム105の上下動によってリフトロッド106を介してロアリンク102を上下操作し、ブレード104を昇降制御できるようにしていた。この場合、前記リフトアーム105を、油圧シリンダ(図示せず)の作動により上下移動させてブレード104を昇降制御し、均平面の高さを設定位置に維持するようにしていた。なお、トラクタ100の機体後部には昇降自在な耕耘装置107が装着されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した従来技術によると、ブレード104が機体から前方に大きく突出していたため、狭い圃場での作業時、回行しようとする場合にも大きなスペースが必要であった。一方、前記ブレード104を、機体から前方にあまりオーバハングしないように、例えばブレード104の支持アーム部を機体側方に設け、かつ機体から略々垂直上方に向けてブラケットを垂設し、このブラケットの頂部と前記支持アーム部との間に油圧シリンダを傾斜配置しようとすると、ブレード104の昇降方向に対して、油圧シリンダの作動ロッドが所定角度を有して作動するため大きな操作力を要し、よって大型のシリンダが必要であった。しかし、この油圧シリンダは、トラクタの作業本来の仕事に使用されるものではないため、できるだけ小型のものにできれば好都合である。
【0005】
本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機体に取付けられた土砂掘削用等のアタッチメントを、小さな油圧アクチュエータで効率良く操作できるようにした移動農機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、機体を支持する走行装置(12)を有し、機体に装着されたアタッチメント(30)を油圧アクチュエータ(36)により操作して、機体走行に伴い土砂の掘削、移動、敷均し等の農地改良及び農地造成作業を可能とする移動農機において、
前記機体は、エンジンを搭載するメインフレーム(16)を有し、該メインフレームの左右両側部に、機体前部から後方に向けて延設されたブラケット(33)を取付け、
前記アタッチメント(30)は、一端を前記ブラケット(33)の後部に支持されたアーム部(31)、及び該アーム部の他端に取付けられたブレード部(32)を有し、
前記油圧アクチュエータ(36)は、作動部材(37)と、該作動部材を移動可能に支持する支持筒(38)を有し、前記作動部材(37)先端を前記アーム部(31)に連結すると共に、前記支持筒(38)の上下方向の下端部を、前記ブラケット(33)の前部に固着したピポット部材(42)により機体前後方向に揺動自在に支持して、該油圧アクチュエータの作動軸線(O−O’)が地面に対して略々垂直線となるように上下方向に配置されてなる、
ことを特徴とする移動農機にある。
【0008】
[作用]
以上により、本発明の移動農機(T)によれば、機体(16)に装着されたアタッチメント(30)の操作により、機体走行に伴い土砂の掘削、移動、敷均し等の農地改良及び農地造成作業が可能であり、前記アタッチメント(30)は、一端を機体(16)に支持されたアーム部(31)と該アーム部(31)の他端に取付けられたブレード部(32)を有し、このブレード部(32)を昇降制御して機体走行に伴い土壌の均平作業等が行われる。
【0009】
前記アーム部(31)には、油圧アクチュエータ(36)が連結されていて、しかも該油圧アクチュエータ(36)の作動軸線(O−O’)は、地面に対して略々垂直となるように上下方向に配置されているので、油圧アクチュエータ(36)の作動方向がブレード部(32)の昇降方向と略々一致することとなり、小容量の油圧アクチュエータ(36)にて大きな力がブレード部(32)に付与される。
【0010】
なお、上述括弧内の符号は、図面と対照するものであって、何ら本発明を限定するものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
図1において、移動農機としてのクローラ式トラクタTは、機体後方に図示しない耕耘装置等の作業装置が連結されていて、この作業装置により耕耘・畝立て等の各種作業が行われる。前記クローラ式トラクタTは、左右一対のクローラ走行装置12,12間に架設された走行フレーム14を有し、この走行フレーム14,14上には、機体を構成するメインフレーム16が配設されていて、このメインフレーム16の前部にはエンジン18が収容されたボンネット19が設けられ、後部には運転席を覆うキャビン20が配設されている。
【0013】
前記クローラ走行装置12は、走行フレーム14の前後方向の中間位置に2組の転輪23,23が取付けられ、前部には駆動スプロケット25が回転自在に軸支されていて、後方には、走行フレーム14の後方に延出されたアジャスタアーム26によりアイドルホイール27が回転自在に軸支されている。これら駆動スプロケット25、転輪23、アイドルホイール27には、無端状のクローラ28が巻掛けられている。
【0014】
また、機体前部には、アタッチメント30が装着されていて、このアタッチメント30を昇降操作することで、機体走行に伴い土砂の掘削、移動、敷均しにより土壌面を均平にする等の農地改良及び農地造成作業を行う他、雪かき作業を行うことができる。
【0015】
本実施の形態では、前記アタッチメント30は、一端を機体に支持されたアーム部、及び該アーム部の他端に取付けられたブレード部を有し、前記アーム部に、前記ブレード部を昇降自在に制御する油圧アクチュエータを連結すると共に、該油圧アクチュエータをその作動軸線が地面に対し略々垂直となるように上下方向に配置したものである。
【0016】
図1及び図2において、前記アタッチメント30は、長手方向の一端を機体メインフレーム16に支持されたアーム部31と、該アーム部31の他端に取付けられたブレード32を有している。また、メインフレーム16の左右両側部には、機体前部から後方に向けて延設された矩形状のブラケット33,33が、ボルト44,45により取付けられていて、このブラケット33の後部に、前記アーム部31の一端が補助ブラケット35と軸34を介して回動可能に取付けられている。なお、前記ボルト44は、本来はカウンタウェイトを取り付けるためのものであり、このボルト44を前記ブラケット33の取付けに共用している。更に、アーム部31の長手方向の中途部には、リンクブラケット39を介して油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)36の作動ロッド(作動部材)37が回動自在に連結されていて、該作動ロッド37の出没動作によりブレード32は昇降自在に制御される。
【0017】
この油圧シリンダ36は、前記作動ロッド37と該作動ロッド37を摺動可能に支持するシリンダ(支持筒)38を有しており、しかも作動ロッド37の作動軸線O−O’(図1参照)は、地面に対し略々垂直となるように上下方向に延設されている。そして、前記油圧シリンダ36は、トラニオン型のシリンダであって、シリンダ38の下端部は、前記ブラケット33から機体側方に突設されて枠を形成するフレーム枠40a,40bに、ピボット軸42を介して機体前後方向に揺動自在に支持されている。この構成により、リンク効率を良くして、過大な力が前記ブラケット33に加わらないようにしている。
【0018】
次いで、作用について説明する。
【0019】
本実施の形態のクローラ式トラクタTは、主として雪かき作業や均平度をだすための作業に用いられるが、例えば均平作業を行う場合、機体前側に装着されたアタッチメント30を、油圧シリンダ36の作動ロッド37を土壌面の高さ位置に応じて上下方向に伸長又は縮小すると、アーム部31が軸34を中心として上下方向に回動し、ブレード32が所定高さに設定されて該ブレード32により土壌面を均平にすることができる。このとき、前記油圧シリンダ36の作動ロッド37は、その作動軸線が地面に対し略々垂直に配置されていて、該作動ロッド37はブレード32の昇降方向と略々一致するので、小さなシリンダであっても、大きな押付力でブレード32を押し付けることが可能となる。
【0020】
また、前記油圧シリンダ36は、その下端部がピボット軸42により機体前後方向に揺動自在に支持された、いわゆるトラニオン型のシリンダを採用しているため、ブラケット33はリンクブラケット39を介して常に略々上下方向の荷重を受けることとなって、リンク効率が良く上下方向以外の大きな分力は作用しないので、小型のブラケットで足りる。そして、この小型のブラケット33を、標準車の機体左右部に取付ければ良く、また、このブラケット33が機体前部のメインフレーム16の補強を兼ねることになる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、機体に装着されたアタッチメントは、一端を機体に支持されたアーム部と該アーム部の他端に取付けられたブレード部を有し、このアーム部に、前記ブレード部を昇降自在に制御する油圧アクチュエータを連結し、この油圧アクチュエータをその作動軸線が地面に対し略々垂直となるように上下方向に配置したことで、該油圧アクチュエータの作動方向がブレード部の昇降方向と略々一致するので、小容量の油圧アクチュエータを用いて、大きな力で効率良くブレード部を下方に押し付けることができる。
【0022】
また、油圧アクチュエータの支持筒の上下方向の下端部を、ブラケットに固着されたピボット部材により機体前後方向に揺動自在に支持したことで、荷重方向に応じて支持筒の揺動角が変化し、支持筒を支持するブラケットには常に略々上下方向の力が効率良く作用するので、該ブラケットを小型のものを用いることができる。
また、メインフレームの両側面に取付けたブラケットに、アタッチメントのアーム部及び油圧アクチュエータを取付けたので、ブレード部を機体前方に大きく突出することなく装着することができ、大きな回行スペースを必要としない。
更に、ブラケットに、アタッチメント及び油圧アクチュエータを取付けるので、トラクタ等の移動農機に簡単かつ容易にアタッチメントを取付け、取外しすることができ、かつ該ブラケットを取付ける部分は、エンジンを搭載するメインフレームであって、堅牢な部分であり、アタッチメント及び油圧アクチュエータを高い強度でもって支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クローラ式トラクタの概略の側面図である。
【図2】同上の平面図である。
【図3】従来のクローラ式トラクタの概略の側面図である。
【符号の説明】
T クローラ式トラクタ
12 クローラ走行装置
14 走行フレーム
16 メインフレーム(機体)
30 アタッチメント
31 アーム部
32 ブレード
33 ブラケット
36 油圧シリンダ
37 作動ロッド(作動部材)
38 シリンダ(支持筒)
39 リンクブラケット
42 ピボット軸(ピボット部材)
Claims (1)
- 機体を支持する走行装置を有し、機体に装着されたアタッチメントを油圧アクチュエータにより操作して、機体走行に伴い土砂の掘削、移動、敷均し等の農地改良及び農地造成作業を可能とする移動農機において、
前記機体は、エンジンを搭載するメインフレームを有し、該メインフレームの左右両側部に、機体前部から後方に向けて延設されたブラケットを取付け、
前記アタッチメントは、一端を前記ブラケットの後部に支持されたアーム部、及び該アーム部の他端に取付けられたブレード部を有し、
前記油圧アクチュエータは、作動部材と、該作動部材を移動可能に支持する支持筒を有し、前記作動部材先端を前記アーム部に連結すると共に、前記支持筒の上下方向の下端部を、前記ブラケットの前部に固着したピポット部材により機体前後方向に揺動自在に支持して、該油圧アクチュエータの作動軸線が地面に対して略々垂直線となるように上下方向に配置されてなる、
ことを特徴とする移動農機。
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