JP3644811B2 - 4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法に関する。さらに詳しくは、経口血圧降下剤等の医薬の原料である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの中間体として有用である4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法、および該製法を利用し、4’−メチル−2−シアノビフェニルから4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造する際に生成した副生物等から該4’−メチル−2−シアノビフェニルを回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの製法としては、4’−メチル−2−シアノビフェニルを溶媒に溶解させたのち臭素化させ、ついで生成した4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを結晶化させ、得られた結晶を濾別することによって製造する方法が知られている〔米国特許第5,621,134号明細書(特開平8−127562号公報)〕。
【0003】
前記製造法には、工業的に安価な原料から、工業的に有利に高収率で4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造することができるという、優れた利点がある。
【0004】
しかしながら、得られた反応液から4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを結晶化させ、得られた結晶を濾別したあとの濾液には、副生物として生成した4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルが含有されている。
【0005】
したがって、前記濾液に含まれている副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを有効利用しうる方法の開発が待ち望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、前記濾液に含まれている副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを有効利用しうる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
〔1〕 無機塩基および第三アミンの少なくとも1種、触媒ならびに溶媒を混合した後、得られた混合物に水素ガスを吹き込みながら、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を溶媒に溶解させた溶液を滴下して接触水素還元させることを特徴とする4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法、ならびに
〔2〕 4’−メチル−2−シアノビフェニルを溶媒中で臭素化させ、得られた反応液から4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを結晶化させ、得られた結晶を濾別した後、濾液に含有されている4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を接触水素還元させる4’−メチル−2−シアノビフェニルの回収方法であって、無機塩基および第三アミンの少なくとも1種、触媒ならびに溶媒を混合した後、得られた混合物に水素ガスを吹き込みながら、前記臭素化シアノビフェニル化合物を溶媒に溶解させた溶液を滴下して接触水素還元させることを特徴とする4’−メチル−2−シアノビフェニルの回収方法
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
4’−メチル−2−シアノビフェニルは、例えば、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの原料として用いられる。前記4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルは、4’−メチル−2−シアノビフェニルを出発物質とし、例えば、米国特許第5,621,134号明細書(特開平8−127562号公報)に記載の方法などによって製造することができる。
【0009】
すなわち、前記4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルは、ハロゲン化炭化水素溶媒または炭素数5〜7のアルカン溶媒中でラジカル開始剤の存在下、4’−メチル−2−シアノビフェニルを臭素と反応させることによって得ることができる。かかる反応によって得られた4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルは、例えば、溶媒を留去し、適当な他の溶媒で再結晶させ、単離精製させることによって得ることができる。
【0010】
しかしながら、得られた結晶を濾別したあとの濾液中には、副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと、目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルが含有されている。
【0011】
本発明の方法によれば、前記濾液中に含まれている副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと、目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルとの有効利用を図ることができる。
【0012】
すなわち、本発明の方法により、前記4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を接触水素還元させた場合には、驚くべきことに、前記4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの出発物質である4’−メチル−2−シアノビフェニルを効率よく得ることができ、しかも、かかる4’−メチル−2−シアノビフェニルは、前記4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造する際に再利用することができる。
【0013】
したがって、本発明の方法は、4’−メチル−2−シアノビフェニルを臭素化させ、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造する方法の工業的生産性を大きく高めることができるという利点がある。
【0014】
本発明において、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を接触水素還元させる方法としては、無機塩基および第三アミンの少なくとも1種と、触媒と、溶媒とを混合した後、得られた混合物に水素ガスを吹き込みながら4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を溶媒に溶解させた溶液を滴下して接触水素還元させる方法があげられる。
【0015】
料として使用される4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物〔以下、単に臭素化シアノビフェニル化合物という〕の原料としては、例えば、4’−メチル−2−シアノビフェニルを出発物質とし、例えば、米国特許第5,621,134号明細書(特開平8−127562号公報)に記載の方法などによって4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造し、得られた4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを再結晶させ、これを濾別したあとの濾液などがあげられる。かかる濾液には、副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと、目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルが含有されている。本発明の方法によれば、これらの化合物から、4’−メチル−2−シアノビフェニルを効率よく得ることができ、しかも、かかる4’−メチル−2−シアノビフェニルは、前記4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造する際に、再利用することができるという、利点がある。
【0016】
機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、酢酸ナトリウムなどがあげられる。前記無機塩基の使用量は、特に限定されないが、反応の促進および収率の向上の観点から、前記臭素化シアノビフェニル化合物の臭素原子1当量に対して1当量以上、好ましくは1〜2当量であることが望ましい。
【0017】
三アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどがあげられる。該第三アミンの使用量は、特に限定されないが、反応の促進および収率の向上の観点から、前記臭素化シアノビフェニル化合物の臭素原子1当量に対して1当量以上、好ましくは1〜2当量であることが望ましい。
【0018】
前記無機塩基および第三アミンは併用することができる。両者を併用する場合、前記無機塩基および第三アミンの使用量の総量は、特に限定されないが、反応の促進および収率の向上の観点から、臭素化シアノビフェニル化合物の臭素原子1当量に対して1当量以上、好ましくは1〜2当量であることが望ましい。
【0019】
媒としては、例えば、ラネーニッケル等のニッケル触媒、Pd−C等のパラジウム触媒、Pt−C等の白金触媒などがあげられる。前記触媒の使用量は、特に限定されないが、反応の促進および収率の向上の観点から、臭素化シアノビフェニル化合物の総量に対して、1重量%以上、好ましくは2〜20重量%である。
【0020】
媒としては、臭素化シアノビフェニル化合物と反応しないもの、例えば、アルコール、エーテル、エステル、芳香族炭化水素、それらの混合溶媒などがあげられる。なお、前記溶媒には、必要により、水が含まれていてもよい。
【0021】
ルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどがあげられる。前記エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルなどがあげられる。前記エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチルなどがあげられる。前記芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼンなどがあげられる。
【0022】
前記溶媒の使用量は、特に限定されないが、臭素化シアノビフェニル化合物100重量部に対して、100重量部以上、好ましくは200〜1000重量部であることが望ましい。
【0023】
接触水素還元させる際の温度は、特に限定されないが、0℃以上、好ましくは10〜50℃であることが望ましい。反応時間は、反応温度などによって異なるので、一概には決定することができないが、通常、2〜10時間程度である。
【0024】
接触水素還元させる際に吹き込まれる水素ガスの圧力は、特に限定されないが、通常、1〜5気圧程度であればよい。また、吹き込まれる水素ガスの量は、臭素化シアノビフェニル化合物の臭素原子1当量に対して1当量以上であることが好ましい
【0025】
かくして得られた4’−メチル−2−シアノビフェニルは、経口血圧降下剤等の医薬中間体の原料として有用な4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの原料化合物として、好適に使用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、製造例および実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例によりなんら限定されるものではない。
【0027】
製造例1(4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルとを含有した混合物の製造)
500ml容の四つ口フラスコに、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル55.0g(0.202モル)、ジクロロメタン250gおよび2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.66g(4ミリモル)を仕込み、還流下で、臭素16.4g(0.1026モル)を5時間を要して滴下し、約40℃で1時間保温した。反応終了後、ジクロロメタンを留去し、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの混合物62.3gを得た。
【0028】
得られた混合物を液体クロマトグラフィー(以下、LCという)を用いて分析したところ、該混合物には、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニル43.9%、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル56.1%が含まれていた。
【0029】
実施例1
1リットル容の四つ口フラスコ内で、メタノール(500ml)、5%Pd−C(6.0g)および水酸化ナトリウム(14.4g)を混合し、攪拌して、Pd−Cが懸濁された懸濁液を調製した。次いで、フラスコ内を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気とした後、さらに水素ガスで置換し、水素雰囲気にした。
【0030】
フラスコ内の温度を20〜25℃に調整したのち、水素ガスを吹き込み、激しく攪拌しながら、製造例1で得られた4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの混合物62.3gをテトラヒドロフラン100mlに溶解させた溶液を、滴下ロートから前記懸濁液中へ3時間かけて滴下した。
【0031】
4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの混合物をテトラヒドロフランに溶解させた溶液の滴下終了後、前記懸濁液が水素を吸収しなくなるまで反応させた。
【0032】
反応終了後、Pd−Cおよび水酸化ナトリウムを濾別したのち、メタノールを濃縮留去した。得られた粗製の4’−メチル−2−シアノビフェニルを蒸留精製したところ、LC純度98.0%の4’−メチル−2−シアノビフェニル37.3gが得られた。
【0033】
実施例2
1リットル容の四つ口フラスコに、4’−メチル−2−シアノビフェニル50g(0.2588モル)、モノクロロベンゼン375gおよび2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.85g(5.18ミリモル)を仕込み、内温60〜65℃とした。その後、臭素41.5g(0.2597モル)を同温にて、5時間を要して滴下し、1時間保温した。この時点で反応液をサンプリングし、LC分析したところ、4’−メチル−2−シアノビフェニル3.0%、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル89.5%、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニル6.7%となった。よって、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの選択率は93.0%であった。
【0034】
その後、溶媒のモノクロロベンゼン150gを濃縮留去した。n−ヘキサン225gを加えて結晶化させ、LC純度98.7%の4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル58.8gを得た。4’−メチル−2−シアノビフェニルに対する収率は、83.5%であった。
【0035】
4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを濾別した残りの母液よりn−ヘキサンを留去し、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの混合物12.0gを得た。LC分析したところ、4’−メチル−2−シアノビフェニル19.1%、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル38.2%、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニル42.7%であった。
【0036】
次に、300ml容の四つ口フラスコ内で、メタノール100ml、ラネーニッケル1.2gおよび炭酸ナトリウム6.4gを混合し、攪拌して、ラネーニッケルが懸濁された懸濁液を調製した。次いで、フラスコ内を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気とした後、さらに水素ガスで置換し、水素雰囲気にした。
【0037】
フラスコ内の温度を20〜25℃に調整したのち、水素ガスを吹き込み、激しく攪拌しながら、上記で得られた4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルとを含有した混合物12.0gをトルエン30gに溶解させた溶液を、滴下ロートから上記で調製した懸濁液中へ3時間を要して滴下した。
【0038】
4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの混合物をトルエンに溶解させた溶液の滴下終了後、上記で調製した懸濁液が水素を吸収しなくなるまで反応させた。反応終了後、ラネーニッケルおよび炭酸ナトリウムを濾別したのち、メタノールおよびトルエンを濃縮留去した。得られた粗製の4’−メチル−2−シアノビフェニルを蒸留精製し、LC純度98.2%の4’−メチル−2−シアノビフェニル7.4gを得た。
【0039】
実施例3
2リットル容の四つ口フラスコ内に、4’−メチル−2−シアノビフェニル150g(0.7764モル)、モノクロロベンゼン900gおよび2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2.55g(15.5ミリモル)を仕込み、内温60〜65℃とした。その後、臭素124.5g(0.7791モル)を同温にて、5時間を要して滴下し、1時間保温した。この時点で反応液をサンプリングし、LC分析したところ、4’−メチル−2−シアノビフェニル3.1%、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル89.6%、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニル6.6%となった。よって、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの選択率は93.1%であった。
【0040】
その後、溶媒のモノクロロベンゼン225gを濃縮留去した。n−ヘキサン675gを加えて結晶化させ、LC純度98.5%の4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル180.5gを得た。4’−メチル−2−シアノビフェニルに対する収率は、85.4%であった。
【0041】
4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを濾別した残りの母液よりn−ヘキサンを留去し、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルとを含有した混合物35.6gを得た。LC分析したところ、4’−メチル−2−シアノビフェニル19.5%、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニル37.4%、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニル42.6%であった。
【0042】
次に、1リットル容の四つ口フラスコ内で、メタノール300ml、5%Pt−C3.6gおよび水酸化ナトリウム7.2gを混合し、攪拌して、Pt−Cが懸濁された懸濁液を調製した。次いで、フラスコ内を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気とした後、さらに水素ガスで置換し、水素雰囲気にした。
【0043】
フラスコ内の温度を20〜25℃に調整したのち、水素ガスを吹き込み、激しく攪拌しながら、上記で得られた4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルとを含有した混合物35.6gをトルエン100gに溶解させた溶液を、滴下ロートから上記で調製した懸濁液中へ3時間を要して滴下した。
【0044】
4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルと4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルの混合物をトルエンに溶解させた溶液の滴下終了後、上記で調製した懸濁液が水素を吸収しなくなるまで反応させた。反応終了後、Pt−Cおよび水酸化ナトリウムを濾別したのち、メタノールおよびトルエンを濃縮留去した。得られた粗製の4’−メチル−2−シアノビフェニルを蒸留精製し、LC純度98.1%の4’−メチル−2−シアノビフェニル21.7gを得た
【0045】
実施例1〜の結果から、臭素化シアノビフェニル化合物から、簡便かつ工業的に有利に4’−メチル−2−シアノビフェニルを得ることができることがわかる。
【0046】
したがって、本発明の方法によれば、ハロゲン化炭化水素溶媒または炭素数5〜7のアルカン溶媒中でラジカル開始剤の存在下、4’−メチル−2−シアノビフェニルを臭素と反応させることによって4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造し、これを結晶として濾取したあとの濾液中に含まれている、副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから、4’−メチル−2−シアノビフェニルを効率よく回収することができることがわかる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法によれば、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物から、4’−メチル−2−シアノビフェニルを効率よく、簡便かつ工業的に有利に製造することができるという効果が奏される。
【0048】
また、本発明の4’−メチル−2−シアノビフェニルの回収方法によれば、4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを製造し、これを結晶として濾取したあとの濾液中に含まれている、副生物である4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび目的化合物である4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから、4’−メチル−2−シアノビフェニルを効率よく回収することができるという効果が奏される。

Claims (4)

  1. 無機塩基および第三アミンの少なくとも1種、触媒ならびに溶媒を混合した後、得られた混合物に水素ガスを吹き込みながら、4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を溶媒に溶解させた溶液を滴下して接触水素還元させることを特徴とする4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法。
  2. 触媒がラネーニッケル、Pd−CまたはPt−Cである請求項記載の4’−メチル−2−シアノビフェニルの製法。
  3. 4’−メチル−2−シアノビフェニルを溶媒中で臭素化させ、得られた反応液から4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルを結晶化させ、得られた結晶を濾別した後、濾液に含有されている4’−ジブロモメチル−2−シアノビフェニルおよび4’−ブロモメチル−2−シアノビフェニルから選ばれた少なくとも1種の臭素化シアノビフェニル化合物を接触水素還元させる4’−メチル−2−シアノビフェニルの回収方法であって、無機塩基および第三アミンの少なくとも1種、触媒ならびに溶媒を混合した後、得られた混合物に水素ガスを吹き込みながら、前記臭素化シアノビフェニル化合物を溶媒に溶解させた溶液を滴下して接触水素還元させることを特徴とする4’−メチル−2−シアノビフェニルの回収方法
  4. 触媒がラネーニッケル、Pd−CまたはPt−Cである請求項記載の4’−メチル−2−シアノビフェニルの回収方法。
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