JP3644160B2 - プラズマディスプレイ用平面基板の製造方法及びそれに用いる感光性樹脂組成物 - Google Patents

プラズマディスプレイ用平面基板の製造方法及びそれに用いる感光性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル用平面基板の製造方法とその平面基板の製造に用いる感光性樹脂組成物に関し、特にパネル構造の大型化、高精細化に伴って要求される多画素化、狭ピッチパターン化に、良質の形状でしかも低コストで対応でき、ディスプレイ表示品質の一様に安定した光輝度表示が可能なプラズマディスプレイ用の平面基板の製造方法とその平面基板の製造に用いる感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマディスプレイパネルは、赤橙色のモノクロームが市場に供給され大画面情報表示機器として実用化されてきた。このようなプラズマディスプレイの開発方向は低コスト、薄型、軽量、低消費電力型へと向けられ、液晶ディスプレイの規格域に到達するまでに近づいている。しかしながら、液晶ディスプレイの急速なカラー化、低価格化の流れのなかで、近年プラズマディスプレイの開発は自発光型であるその特徴を生かして急速に大型化、フルカラー化へと移行している。
【0003】
図1、図2に現在主流となっている一般的なプラズマディスプレイの構造を示した。図1(a)、(b)、(c)はDC型プラズマディスプレイの構造図である。前面ガラス基板1と背面ガラス基板2が平行に対向配置され、その内側に電極、セル障壁、蛍光体層が設けられ表示セルが構成されている。電極は前面ガラス基板1側に複数の表示陽極3と複数の補助陽極4が互いに平行に設けられ、さらに蛍光体層5が赤、緑、青の各色の蛍光体層5R、5G、5Bに分かれて表示陽極3の両側に隣接して形成されている。背面ガラス基板2側には、表示陽極3や補助陽極4と交差するように複数の陰極6および複数のリブ障壁7が設けられている。そして、前面ガラス基板1上の補助陽極4は、背面ガラス基板2上の補助セル10と一致してストライプ状に形成される。
【0004】
また、前面ガラス基板1上の蛍光体層5の配列は、背面ガラス基板2に設けられた表示セル8と一致して蛍光体層パターンが形成される。そして、この蛍光体層パターン1ドットは表示陽極3により2分割されている(図1(b)参照)。
【0005】
さらに、前面ガラス基板1は背面ガラス基板2のリブ障壁7の頂部と接しており適切な間隙が保たれている。そして、表示陽極3と陰極6との間で電界を印加させることにより、前面ガラス基板1と背面ガラス基板2及びリブ障壁7との間の表示セル8内で放電現象が発生する。この放電現象によって生じる紫外線が蛍光体層5を発光させ、前面ガラス基板1を通過する可視光11を映像や情報として視認する構造となっている。
【0006】
図2(a)、(b)にAC型プラズマディスプレイの構造を示した。前面ガラス基板1と背面ガラス基板2が、平行に対向配置され、内側に電極、セル障壁、蛍光体層が設けられている。電極は前面ガラス基板1側に表示電極12、バス電極13がペアで形成され、さらに誘電体層14と保護層15で覆われている。背面ガラス基板2側には、表示電極12とバス電極13に交差するようにアドレス電極16と、このアドレス電極と平行にアドレス電極の両端に挟まれるようにリブ障壁7とが設けられている。また、背面ガラス基板2側のアドレス電極16上およびリブ障壁7の壁面には蛍光体層5が赤、緑、青の各色に分かれてそれぞれストライプパターン状に形成されている。
【0007】
さらに、前面ガラス基板1は背面ガラス基板2のリブ障壁7の頂部と接しており適切な間隙が保たれている。
このようなAC型プラズマディスプレイにおいて、表示電極12とバス電極13間に交番電圧を印加し、さらに、表示するセルを得るために任意の表示電極12とアドレス電極16に電圧を印加させて選択を行い、これらの電極の交点に発生する放電現象により蛍光体層5を発光させ、前面ガラス基板1を通過する可視光11を映像や情報として視認する構造となっている。
【0008】
このAC型プラズマディスプレイの場合、背面ガラス基板2上の蛍光体層5から発光した光を、透明電極の形成された前面ガラス基板1から透かして視認する方式であることから、前面ガラス基板上に形成した蛍光体層5を通過してくる光を見る従来の透過型方式に比べ高輝度が得られる特徴がある。AC型ではさらにリブ障壁7の側面に蛍光体層5を形成させ、発光した光の利用量を増大しようとするプラズマディスプレイが開発されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプラズマディスプレイ基板の電極、リブ障壁の形成方法にはスクリーン印刷方式あるいはフォトリソ方式が一般的に知られている。
スクリーン印刷方式でパターンを形成する場合、電極材あるいはアルミナと低融点ガラスフリットをエチルセルロースなどを主体としたビヒクルと混練したペーストを用い、シルクスクリーンメッシュなどを介して押印塗布するもので、製造装置が比較的安価であり、また、製造工程数も少ないことから量産化には適しており、現在プラズマディスプレイの製造方法の要素技術として利用されている。
【0010】
一方フォトリソ方式では、ポリビニルアルコールと重クロム酸塩との混合水溶液に電極材あるいはアルミナと低融点ガラスフリットを分散させたスラリーを基板全面に塗布し、紫外線により露光部を硬化させ、未露光部を現像除去してストライプパターン形状、ドットパターン形状、モザイクパターン形状などを得るもので、高精度なパターン形成が可能で、かつ、高品質のものが得られる。
【0011】
しかしながら、スクリーン印刷方式では、スクリーン版の変形や経時変化のため十分なパターン精度が得にくいことや、印刷直後ペースト形状を保持することが困難でパターンのにじみが発生し易い。このため、スクリーン印刷の線幅限界は80〜90μmであり、ハイビジョン仕様などの高精細パターンに要求される、例えば、線幅50μm、ピッチ150μmを大画面に形成していくことは困難である。
【0012】
フォトリソ方式では、基板全体にスラリーを塗布し、未露光部を現像除去することから高価な電極材を使用するとコストの点で不利である。一方、リブ障壁の形成においては、塗布したスラリー膜中を紫外線が吸収して露光部が硬化する膜厚が数μmであることから、スラリーの塗布、露光を数回乃至数十回繰り返し、この後現像処理するため作業工程数が大幅に増加してしまう。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、高精細パターンを容易に形成することができ、絶対寸法位置精度に優れたプラズマディスプレイ用平面基板を提供することを目的とし、特には、輝度、効率、コントラストの高いディスプレイを実現することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の第1の発明は、前面ガラス基板あるいは背面ガラス基板を構成する平面基板上に、複数の放電空間を区画するために設けられた複数のリブ障壁と、このリブ障壁の間に電極と蛍光体層あるいは電極のみが形成されたプラズマディプスレイ用の平面基板の製造方法において、該平面基板に感光性樹脂組成物を塗工し、露光し、現像してストライプパターン状に平面基板表面を露出させる工程と、この露出部に電極材と低温蒸発性があり、且つ高粘度のビヒクルとを含む電極用ペーストを充填する工程と、リブ障壁用ペーストを用い、感光性樹脂組成物層上にリブ障壁を形成する工程と、からなることを特徴とするプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法である。
【0015】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記感光性樹脂組成物をストライプパターン状に開口させる条件が、膜厚を開口幅で除した比で0.01以上3以下を満足し平面基板表面が露出していることを特徴とするプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法である。
【0016】
さらにまた、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記平面基板上にストライプ状にパターン形成された感光性樹脂組成物、電極材、リブ障壁を焼成し有機組成分の除去を行うことを特徴とするプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法である。
【0017】
さらにまた、第4の発明は、請求項1、2または3記載のプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法において、前記感光性樹脂組成物が、ビニルピロリドンと酢酸ビニルからなる共重合体組成物、水酸基の一部または全部が炭素数1乃至3の炭化水素残基でエーテル化されたセルロース化合物、アクリルモノマー、光重合開始剤、希釈溶剤の混合物から構成されていることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【0018】
上記のように本発明によれば、フォトリソ法によって平面基板上に形成したストライプパターン状の感光性樹脂組成物の開口部へ、電極材を充填することから、形状、寸法位置精度に優れた電極パターンを形成することが可能となる。また、高価な電極材は最小限の使用量で済む。
【0019】
さらに、前記感光性樹脂組成物は厚膜ガラスペーストと同じセルロース化合物を構成していることから、スクリーン印刷によって層上部へリブ障壁を形成した場合ペースト形状を保持することができる。このため寸法位置精度は、リブ障壁用スクリーン版の変形量を設計寸法に補正するのみでよい。
【0020】
また、本発明に用いられる感光性樹脂組成物は、水溶性のビニルピロリドンとガラス基板などに対して密着力を確保できるカルボキシ基を有したビニル化合物との共重合体とし、実用上十分な塗膜の水現象が可能である。そして、アクリロイル基を多数有したアクリルモノマーは、紫外線露光によってモノマー間あるいは共重合体と光架橋反応を行い、非水溶化してパターニングが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる前面ガラス基板や背面ガラス基板を構成する平面基板としては、透明性と厚みが均一なフロートガラスが使用でき、SiO2 、Al2 3 、MgO、CaOなどを主成分としたガラス板を使用することができる。透明性が特に要求されない場合には結晶化ガラス、アルミナ等の絶縁材料を用いた平面基板を用いることも可能である。
【0022】
本発明に用いられる感光性樹脂組成物は、水溶性のビニル化合物とカルボキシル基を有するビニル化合物の共重合体と、炭化水素残基でエーテル化されたセルロース化合物と、官能基としてアクリロイル基を有したアクリルモノマーと、光照射によりラジカルを発生し重合を開始させる重合開始剤と、希釈溶剤と、を混合した組成物からなる。
【0023】
上述の水溶性を有するビニル化合物に、カルボキシル基を有するビニル化合物を添加し、常法に従いラジカル重合を行ってその共重合物を製造する。共重合体中のビニルピロリドンの重合比率は、現像時の塗膜水溶性が損なわれない範囲で種々選択することができる。一般に未露光域の塗膜の水溶性は浸漬現象で数十秒乃至数分で溶解除去できれば十分であり、このため、共重合体中のビニルピロリドンの重合比率は30重量部乃至70重量部であることが好ましい。
【0024】
ビニルピロリドンの比率が高いほうが水現像性は良好だが、ガラスなどの基板に対して密着力を得るためには、カルボキシル基を有したモノマーが30重量部以上存在しなければならず、このためビニルピロリドンの重合比率は、30重量部乃至70重量部の範囲で任意に選定される。
【0025】
セルロース化合物としては、水酸基の一部または全部が炭化水素残基でエーテル化された化合物を用いる。炭化水素残基の炭素数は1乃至3個であることが好ましい。炭素数4個以上の方が置換度によらず層上部に形成されるリブ障壁の形状に優れるものの、配合する他のビニル化合物との相溶性やパターニングにおける現像性を満足するために、炭素数は1乃至3の範囲で選定する。
【0026】
光重合を行うアクリルモノマーとしては、分子中に官能基としてアクリロイル基を1乃至6個有した、モノマー、オリゴマー、ポリマーが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコール/アジピン酸等からなるポリエステルをアクリル酸、メタクリル酸で変性したポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ化物をメタクリル酸、アクリル酸で変性したエポキシアクリレート乃至エポキシメタクリレート等が挙げられる。
【0027】
重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生し重合を開始させる4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4’−ビス(ジメチルアミノ ベンゾフェノン)、オルトベンゾイル安息香酸メチル、トリメチロールプロパントリアクリレート、ミヒラーズケトン、2−(2、3−ジクロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4−ジエチルチオキサントン、エチル−4−(ジエチルアミノ)ベンゾエート、ベンジルジメチルケタール、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等が利用できる。
【0028】
エーテル化されたセルロース化合物、官能基としてアクリロイル基を有したアクリルモノマー、光照射によりラジカルを発生し重合を開始させる重合開始剤は、共重合液体に所定量を添加して十分に混合すればよい。希釈溶剤としては、例えば、エチルセルソルブ、エチルカルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル等が利用できる。この希釈溶剤は、前記共重合体、セルロース化合物、アクリルモノマー、重合開始剤等の溶解性によって選択することが好ましく、また、これらの希釈溶剤を混合して利用してもよい。
【0029】
セルロース化合物の添加量としては、共重合体100重量部に対し5乃至30重量部の間が好ましく通常は20重量部に設定する。5重量部以下ではリブ形状を良好に維持することが難しく、また、30重量部以上では感光性が損なわれる傾向にあるからである。
【0030】
アクリルモノマーの添加量としては、共重合体100重量部に対し20重量部以上必要であるが、添加量が増加するに従い現像性が低下する傾向にあることから、20乃至70重量部の間が好ましく、通常は40重量部に設定する。特に架橋密度を上げて強固なパターンが要求される場合には、必要に応じて添加量を増やせばよい。
【0031】
本発明のプラズマディスレイ用平面基板において、前記感光性樹脂組成物をストライプパターン状に開口させる条件が、膜厚を開口幅で除した比で0.01以上3以下を満足し平面基板表面を露出していることが好ましい。表示セルの高精細化に伴って狭ピッチ化が要求されていることから、この領域へ充填される電極は、線幅が細いほど好ましいが、低抵抗値を満たすように膜厚若しくは線幅によって前記の範囲で任意に設定する。0.01より小さい場合、開口幅が広く高精細パターンとはならず、また、3より大きいと膜厚が厚く、一連の工程後、電極材がセル内を突起する状態となり、十分な放電空間を確保できず輝度、コントラストが低下する傾向にある。
【0032】
前記感光性樹脂組成物は、スピンコート法、ブレードコート法、スクリーン印刷法等各種の塗布法により塗膜を形成する。乾燥条件としては、50乃至150°Cで5乃至30分が適当である。また、露光条件としては、例えばi線で50乃至300mJ/cm2 が適当である。
【0033】
感光性樹脂組成物を塗布、現像、露光し、例えば、ストライプパターン状に平面基板を露出させ、電極材、低融点ガラスフリット、低温蒸発性でかつ高粘度のビヒクルとを含む電極用ペーストを、ドクター等によって同膜厚に充填する。
【0034】
電極材としては、Ag、Ni、Al、Pd、Cu、LaB6 、ThO2 、BaAl4 その他アルカリ金属、アルカリ土類金属を用いることができる。
低融点ガラスフリットとしては、SiO2 、PbO、K2 5 、B2 3 、AlF3 、As2 3 を用いることができる。
【0035】
低温蒸発性でかつ高粘度のビヒクルとしては、エチルセルロース或いはブチラール樹脂をブチルカルビトールアセテートに溶解して用いることができる。また、場合によってはテルピネオール、ポリエチレンワックス、サゾールワックスなどのワックスを加えることも可能である。
【0036】
ペースト化して用いる際には、これらの電極材、低融点ガラスフリットを、ビヒクルと共に分散混合して用いる。
【0037】
残存させた感光性樹脂組成物上に形成されるリブ障壁用ペーストとしては、Al2 3 、TiO2 、ZrO2 、ZrSiO2 、CaO2 などの無機粉末材を低温蒸発性でかつ高粘度のビヒクルに分散したペーストを用いることができる。
【0038】
本発明におけるリブ障壁は、上記リブ障壁用ペーストを用いて感光性樹脂組成物上へスクリーン印刷するが、本方法に限定されるわけではなく、障壁用ペーストをベタで所望の膜厚に印刷し、サンドブラスト法等によって、各種形状のリブ障壁パターンを形成してもよい。
【0039】
【実施例】
以下に本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法の一実施例について、各段階の状態を模式的に示す図3(a)〜(g)を参照しながら説明する。説明における使用材料および温度、時間などの材料処理条件は好適な一例を示したもので、説明に用いた図面は本発明を各構成成分の大きさ、形状、配置関係を概略して示しているものである。
【0040】
〈実施例1〉
本発明の感光性樹脂組成物は、以下の手順で合成した。
はじめにビニルピロリドン50重量部、酢酸ビニル50重量部を混合しジエチレングリコールモノエチルエーテルを溶媒にして、常法にしたがって共重合を行った。固形分比は40%soln.で重合開始剤にはアゾビスイソブチルニトリルを使用した。
【0041】
上記重合体10重量部に対し、エチルセルロース1重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成株式会社製 多官能アクリルモノマー:M400)2重量部、光重合開始剤(東京化成株式会社製 2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)0.5重量部の比率で混合し、感光性樹脂組成物(17)を得た。
【0042】
上記感光性樹脂組成物(17)を背面ガラス基板(2)上に塗布し、70°C、30分の条件で乾燥し、膜厚10μmの塗膜を形成した(図3(a)参照)。
【0043】
次いで、電極に対応してストライプ状に開口したマスク(18)を介して、紫外線(19)を400mJ/cm2 で露光し(図3(b)参照)、純水浸漬1分の現像を行い、開口幅50μmで背面ガラス基板をストライプパターン状に露出させた(図3(c)参照)。膜厚を開口幅で除した比は0.2である。
【0044】
次に、低温蒸発性でかつ高粘度のビヒクルに、電極材であるAgと低融点ガラスフリットとが分散している電極用ペースト(株式会社ノリタケカンパニーリミテド製 NP−4028A)をドクター(20)で基板面内を移動させ、前記感光性樹脂組成物のストライプパターン部へ充填し、膜厚10μm、線幅50μmのアドレス電極パターン(16)を形成した(図3(d)参照)。
【0045】
次いで、厚膜印刷法を用いて感光性樹脂組成物(17)上にリブ障壁(7)を形成する。これは、アルミナと低融点ガラスフリットとがエチルセルロースを主体としたビヒクルに分散しているリブ障壁用ペースト(奥野製薬株式会社製 ELD−530)を、アドレス電極(16)に平行に隣接するように所定形状のスクリーン版を介してスキージで押圧し、5回重ね刷りして、膜厚150μmのリブ障壁(7)を形成した(図3(e)参照)。用いたスクリーン版の計画開口幅50μmに対し、同じ線幅のリブ障壁を形成することができた。
【0046】
さらに、420°C、60分と580°C、10分の2段階の条件で焼成を行い、感光性樹脂組成物(17)の除去と低融点ガラスフリットを軟化させ、アドレス電極(16)とリブ障壁(7)を背面ガラス基板(2)上に熔融形成した(図3(f)参照)。アドレス電極(16)、リブ障壁(7)共に高解像度の優れた形状であり、また寸法位置ずれのないものが得られた。
【0047】
次に、エチルセルロースをブチルカルビトールアセテートに溶解した低温蒸発性でかつ高粘度のビヒクルへ、化成オプトニクス株式会社製の赤色蛍光体粉末(Y、Gd)BO3 :Euを分散させた蛍光体ペースト(奥野製薬株式会社製 G3−1456R)を、アドレス電極に平行で、リブ障壁(7)へオーバーラップするストライプパターンのスクリーン版を用いて、発光色の配置に対応して、選択的に赤色蛍光体層(5R)をアドレス電極(16)上およびリブ障壁(7)の壁面に形成した。以下同様に繰り返し位置合わせを行い、緑色蛍光体層(5G)、青色蛍光体層(5B)を形成し、420°C、30分の条件で焼成し複数色の蛍光体層(5)を形成した(図3(g)参照)。
【0048】
このように蛍光体層を設けた背面ガラス基板(2)とは別に、前面ガラス基板(1)上へITO(Indium Tin Oxide)を蒸着法、あるいはスパッタ法により製膜し、任意のパターンに形成した表示電極(12)、バス電極(13)とさらに誘電体層(14)、MgO層からなる保護膜(15)を設けた。そして、背面ガラス基板(2)とを対向配置し、かつ表示電極とアドレス電極が直交するよう重ね合わせパネル外周部に硼珪酸鉛ガラスペースト(日本電気硝子株式会社製 粉末硝子♯PLS−7105/100を200重量部、エチルセルロースを10重量部、ブチルカルビトールアセテートを20重量部、をそれぞれ加え混合したものを塗布し、排気管より排気しながら450°C、20分焼成し硝子粉末を熔融させて封止した。真空度が10-5Toorに達した後、パネル内にガスを封入してパネルを完成した(図2(a)参照)。このようにして製造したプラズマディスプレイパネルは十分な輝度、効率、コントラストを得ることができた。
【0049】
〈比較例1〉
実施例1で用いた感光性樹脂組成物を用いずに、実施例1と同じ材料の電極用ペースト及びリブ障壁用ペーストによって、直接背面ガラス基板上にそれぞれのパターンに対応したスクリーン印刷版を用いて繰り返し印刷を行い、アドレス電極、リブ障壁を形成した。形成されたパターン形状は印刷直後ペースト形状を保持することができず、パターンのにじみが発生し、アドレス電極とリブ障壁が接触し、高精細パターンは得られなかった。
【0050】
また、同様にして蛍光体層を形成し、前面ガラス基板と背面ガラス基板を実施例1と同様にして封止し、プラズマディスプレイパネルを完成させたが、輝度、効率、コントラストが低く、また、パネル駆動においても安定した動作が行えないという問題が発生した。
【0051】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、従来のスクリーン印刷法によるプラズマディスプレイ用平面基板の製造に比べ、高精細の電極およびリブ障壁パターンを大画面化に対応して容易に形成することができる。このため、本発明の製造方法によってプラズマディスプレイパネルを製造することで、十分な輝度、効率、コントラストと安定した駆動動作が行え表示品質の優れたプラズマディスプレイパネルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はDC型プラズマディスプレイの構造を示す斜視説明図を示し、(b)はDC型プラズマディスプレイを構成する前面ガラス基板(1)の蛍光体層(5)の配列を示す平面説明図を示し、(c)は蛍光体層1ドットのみを示した前面ガラス基板(1)の断面説明図である。
【図2】(a)はAC型プラズマディスプレイの構造を示す斜視説明図を示し、(b)はAC型プラズマディスプレイを構成する前面ガラス基板(1)の要部断面説明図である。
【図3】本発明の一実施例のプラズマディスプレイパネルの製造方法の一実施例を示す工程図で、(a)は感光性樹脂組成物(17)を背面ガラス基板(2)上に塗布した状態を示す説明図、(b)は感光性樹脂組成物(17)による塗膜に開口マスク(18)を介して紫外線(19)を照射した状態を示す説明図、(c)は感光性樹脂組成物(17)の塗膜をストライプパターン状に露出させた状態を示す説明図、(d)は前記ストライプパターン状に露出させた開口部にアドレス電極(16)を埋め込んだ状態を示す説明図、(e)は感光性樹脂組成物(17)による塗膜上にリブ障壁(7)を形成させた状態を示す説明図、(f)は感光性樹脂組成物(17)による塗膜を除去し、アドレス電極(16)とリブ障壁(7)を背面ガラス基板(2)上に熔融形成させた状態を示す説明図、(g)はアドレス電極(16)上とリブ障壁(7)の上面と壁面に、蛍光体層(5)を形成させた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
A‥‥平面基板
1‥‥前面ガラス基板
2‥‥背面ガラス基板
3‥‥表示陽極
4‥‥補助陽極
5‥‥蛍光体層
6‥‥陰極
7‥‥リブ障壁
8‥‥表示セル
9‥‥プライミング空間
10‥‥補助セル
11‥‥可視光
12‥‥表示電極
13‥‥バス電極
14‥‥誘導体層
15‥‥保護層
16‥‥アドレス電極
17‥‥感光性樹脂組成物
18‥‥マスク
19‥‥紫外線
20‥‥ドクター

Claims (4)

  1. 前面ガラス基板あるいは背面ガラス基板を構成する平面基板上に、複数の放電空間を区画するために設けられた複数のリブ障壁と、このリブ障壁の間に電極と蛍光体層あるいは電極のみが形成されたプラズマディスプレイ用の平面基板の製造方法において、
    該平面基板に感光性樹脂組成物を塗工し、露光し、現像してストライプパターン状に平面基板表面を露出させる工程と、
    この露出部に電極材と低温蒸発性があり、且つ高粘度のビヒクルとを含む電極用ペーストを充填する工程と、
    リブ障壁用ペーストを用い、感光性樹脂組成物層上にリブ障壁を形成する工程と、からなることを特徴とするプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法。
  2. 前記感光性樹脂組成物をストライプパターン状に開口させる条件が、膜厚を開口幅で除した比で0.01以上3以下を満足し平面基板表面が露出していることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法。
  3. 前記平面基板上にストライプ状にパターン形成された感光性樹脂組成物、電極材、リブ障壁を焼成し感光性樹脂組成物の除去を行うことを特徴とする請求項1または2記載のプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法。
  4. 請求項1、2または3記載のプラズマディスプレイ用平面基板の製造方法において、前記感光性樹脂組成物が、ビニルピロリドンと酢酸ビニルからなる共重合体組成物、水酸基の一部または全部が炭素数1乃至3の炭化水素残基でエーテル化されたセルロース化合物、アクリルモノマー、光重合開始剤、希釈溶剤の混合物から構成されていることを特徴とする感光性樹脂組成物。
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