JP3642840B2 - モニタリング用光デバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に、光増幅器に適用されるのに適したモニタリング用光デバイスに関し、さらに詳しくは、主光路上の光ビームからモニタ用ビームを分岐してこのモニタ用ビームのパワー等のパラメータを測定するために使用するモニタリング用光デバイスに関する。
【0002】
長距離光増幅中継伝送システム等のような光増幅技術を応用した光通信システムにおいては、偏光依存性の排除が重要な技術的課題となっている。光増幅器へ入力する信号光の偏光状態は、送信光源として使用されるレーザダイオードからの直線偏光が光ファイバ伝送路を伝搬する間にファイバへの応力の印加や温度変化等の様々な擾乱を受ける結果、時間と共に変化する。ギガビット級の超高速な通信を行う上では、いかなる偏光状態においても安定な増幅特性が必要であり、そのためには、光増幅器或いは光増幅器に組み込まれる光回路には偏光依存性がないか或いは極めて小さいことが要求される。
【0003】
【従来の技術】
従来、Er(エルビウム)等の希土類元素がドープされたドープファイバと、ポンプ光を出力するポンプ光源と、ドープファイバの信号光入力端又は信号光出力端に接続されてポンプ光をドープファイバへ供給する光カプラとを備えた光増幅器が知られている。
【0004】
この種の光増幅器において、ALC(自動レベルコントロール)を行って光出力レベルを一定に保とうとする場合には、カプラ膜等を用いて主光路上の光ビームからモニタ用ビームを分岐し、モニタ用ビームのパワーを光/電気変換器によりその出力レベルに変換し、この出力レベルが一定になるようにポンプ光のパワーがフィードバック制御される。
【0005】
上述のカプラ膜等を用いたモニタ用ビームの分岐比に偏光依存性があると、光増幅器の安定度が悪くなり、規格の光出力レベルを維持する事ができない。
モニタ用ビームの分岐比の偏光依存性を小さくするために、従来は、第1に、主光路にデポラライザを入れることが行われており、第2に入射角の小さいカプラ膜の使用が行われており、第3に特殊な膜材料或いは膜構成のカプラ膜の採用が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、光通信に用いられるレーザダイオードの出力光のコヒーレンシーは高いので、これをデポラライズするには長大な複屈折材料が必要となり、大型でしかも高価格なデポラライザが必要になる。
【0007】
入射角の小さいカプラ膜は、あとで詳しく説明するように装置の大型化を伴う。
特殊な膜材料又は膜構成の採用は、装置の高価格化を招くと共に、カプラ膜設計上の自由度を小さくし所望の分岐比を得ることが困難になるという問題を生じさせる。
【0008】
よって、本発明の目的は、大型化を伴うことなしに偏光依存性を小さくすることができるモニタリング用光デバイスを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面によると、主光路上の光ビームからモニタ用ビームを分岐するビーム分岐手段と、該モニタ用ビームを受け、第1の偏波面を有する第1のビームと該第1の偏波面に垂直な第2の偏波面を有する第2のビームとに分離して出力する偏光ビームスプリッタと、中央部が高く該中央部から離れるに従って減少する結合効率のトレランスカーブを呈する受光領域を有し、該受光領域内に上記第1及び第2のビームが入るように設けられるモニタ用ポートとを備え、上記ビーム分岐手段における分岐比の偏光依存性が上記モニタ用ポートへの上記第1及び第2のビームの結合効率の差によって相殺されるように、上記偏光ビームスプリッタにおける上記第1及び第2のビームの分離条件並びに上記モニタ用ポートの配置位置が設定されるモニタリング用光デバイスが提供される。
【0010】
本発明の第2の側面によると、主光路上の光ビームからモニタ用ビームを分岐するビーム分岐手段と、該モニタ用ビームの光路上に設けられ所定の偏波面を有する直線偏光成分を通過させる偏光子と、該偏光子を透過した光を受けるモニタ用ポートとを備え、該偏光子の主軸は、上記ビーム分岐手段における分岐比の偏光依存性を排除する方向であることを特徴とするモニタリング用光デバイスが提供される。
【0011】
本発明の第1の側面によると、ビーム分岐手段における分岐比の偏光依存性がモニタ用ポートへの第1及び第2のビームの結合効率の差によって相殺されるようにしており、また、本発明の第2の側面によると、ビーム分岐手段における分岐比の偏光依存性を、各偏光に通過損失の差を与えて相殺するように偏光子が配置されるので、本発明の目的が達成される。
【0012】
モニタ用ポートは、例えば、所定の受光径を有するフォトダイオード等の光/電気変換素子である。レンズを備えた光/電気変換素子をモニタ用ポートとして用いてもよいし、モニタ用ポートとして光ファイバの第1励振端を用い、この光ファイバの第2励振端に光/電気変換素子を接続してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明を適用可能な光増幅器のブロック図である。この光増幅器は、光送信機と、光受信機と、これらの間に敷設される光ファイバ伝送路とを備えた光通信システム(光通信装置)において光ファイバ伝送路の途中に設けられる光中継器に適用可能である。入力ポート2へ供給された増幅すべき信号光は、光カプラ4を介してドープファイバ6の第1端に入力される。ドープファイバ6にはEr(エルビウム)等の希土類元素がドープされている。
【0014】
レーザダイオード8からのポンプ光は、波長カプラ10を介してドープファイバ6へその第2端から入力する。入力ポート2へ供給された信号光の入力レベルをモニタリングするために、光カプラ4で分岐された光はフォトダイオード11で光/電気変換される。
【0015】
ドープファイバ6内で増幅された信号光は、波長カプラ10を介してモニタリング用光デバイス12へ供給される。モニタリング用光デバイス12は、主光路上の光ビームからモニタ用ビームを分岐するために、光カプラ14を有している。波長カプラ10と光カプラ14の間には、光アイソレータ16及び帯域通過フィルタ(BPF)18がこの順に設けられている。
【0016】
光アイソレータ16は、光増幅媒体であるドープファイバ6を含む光共振器構造が構成されて発振等の不都合が生じることを防止するために設けられており、光帯域通過フィルタ18は、主光路上の光ビームのうち信号光を選択的に透過させポンプ光及び自然放出光を除去するために設けられている。
【0017】
光カプラ14で分岐された光の一方は出力ポートOPから図示しない光ファイバ伝送路へ送出され、他方はモニタ用ポートMPへ供給される。
モニタ用ポートMPは、例えば、以下の説明で採用される光/電気変換素子としてのフォトダイオードであり、或いは、一方の接続端に光/電気変換素子が接続される光ファイバの他方のレンズ付接続端である。
【0018】
図2は図1の光増幅器に適用可能な従来のモニタリング用光デバイスを示す図である。主光路上の光ビームは、この例では、それぞれ球レンズ等の凸レンズを有するファイバコリメータ20及び22間に形成される平行ビームとして提供される。ファイバコリメータ20及び22とモニタ用ポートMP(図1参照)としてのフォトダイオード24とは、ハウジング26′の側壁に設けられている。
【0019】
光アイソレータ16、光帯域通過フィルタ18及び光カプラ14は主光路MOP上にこの順に配置され、フォトダイオード24は光カプラ14の反射光路上に設けられている。尚、ファイバコリメータ20は図1の波長カプラ10の信号光出力ポートに接続され、ファイバコリメータ22は図1の出力ポートOPに対応している。
【0020】
図2のモニタリング用光デバイスでは、光カプラ14における分岐比の偏光依存性を小さくするために、光カプラ14への入射角を小さな値(例えば5°)にしている。その結果、光カプラ14からフォトダイオード24へ至る反射光路と主光路MOPとのなす角が小さくなり、フォトダイオード24をファイバコリメータ20の近傍に配置せざるを得ず、ハウジング26′が大型化してしまう。
【0021】
図3は本発明のモニタリング用光デバイスの第1実施形態を示す図である。このモニタリング用光デバイスは、図2のデバイスと同様図1の光増幅器に適用可能である。この実施形態では、図2の比較的大型なハウジング26′に代えて小型なハウジング26を使用するために、光カプラ14における入射角をほぼ45°に設定している。これにより、主光路MOPと光カプラ14での反射光路とのなす角をほぼ90°にすることができ、デバイスの小型化が可能になる。
【0022】
光カプラ14は、ガラス等からなる透明基板28と、透明基板28上に形成された誘電体多層膜等からなるカプラ膜30とから構成されている。
カプラ膜30への入射角が45°程度である場合、カプラ膜30における透過ビームと反射ビームの分岐比が入射ビームの偏光状態に依存して変化することが知られている。このような偏光依存性を小さくするために、この実施形態では偏光ビームスプリッタ32をカプラ膜30とフォトダイオード24との間に配置している。
【0023】
偏光ビームスプリッタ32は、カプラ膜30からの反射ビームであるモニタ用ビームを受け、これを互いに直交する偏波面を有する2つのビームに分離して出力する。そして、フォトダイオード24が所定の受光径(例えば100μm)を有していることにより生じる結合効率のトレランスカーブを考慮してフォトダイオード24の配置位置を設定することによって、偏光ビームスプリッタ32からフォトダイオード24に入力する第1及び第2のビームの結合効率に差を生じさせ、これによりカプラ膜30における分岐比の偏光依存性を相殺するようにしている。具体的には次の通りである。
【0024】
図4は図3のモニタリング用光デバイスの主要部の配置説明図である。ビーム分岐手段はカプラ膜30を含み、カプラ膜30における入射角はほぼ45°に設定されている。モニタ用ビームはカプラ膜30における反射ビームである。
【0025】
偏光ビームスプリッタ32は、その結晶軸(光学軸)32Aがカプラ膜30からの反射ビームに対して所定の角度θ(例えば45°)だけ傾斜した複屈折平板からなる。フォトダイオード24は、所定の受光径を有しており、この受光径によって例えば円形の受光領域24Aが画定される。符号24B及び24Cはフォトダイオード24の出力端子を表している。
【0026】
以下の説明では、カプラ膜30への入射ビームのS波成分をS1とし、P波成分をP1とする。S波は電場ベクトルの振動面が入射面に対して垂直な直線偏光として定義され、P波は電場ベクトルの振動面が入射面に対して平行な直線偏光として定義される。
【0027】
入射面は、入射光線と入射点における法線とを含む平面或いは入射光線と反射光線とを含む平面として定義される。
また、カプラ膜30での反射ビームにおけるS波成分及びP波成分をそれぞれS2及びP2とし、偏光ビームスプリッタ32で分岐される2つのビームのうちビームS2に対応するものをS3とし、ビームP2に対応するものをP3とする。
【0028】
尚、ビームS1及びP1は実際には同じ位置にあり、ビームS2及びP2も同じ位置にあるが、図面の明瞭さを確保するために、これらはわずかにずらして図示されている。また、カプラ膜30における透過ビームのS波成分をS4とし、P波成分をP4とする。
【0029】
今、ビームS1に対するカプラ膜30の透過率が90%であるとすると、ビームS1に対するカプラ膜30の反射率は原理的には10%であり、ビームS1に対する光カプラ14の分岐比は10:90となる。一方、ビームP1に対するカプラ膜の透過率及び反射率は例えばそれぞれ92%及び8%であり、ビームP1に対する光カプラ14の分岐比は8:92となる。このようにカプラ膜30における入射角がほぼ45°と比較的大きい値であることにより分岐比の偏光依存性が生じているのである。
【0030】
この偏光依存性をS波成分及びP波成分の比で定義するものとすると、透過ビームにおける偏光依存性は0.1dBであるのに対して、反射ビームにおける偏光依存性は約1.0dBとなる。このように偏光依存性が約1.0dBもあると、反射ビームをそのままフォトダイオードで受けてその出力信号に基づきALCを正確に行うことはできない。
【0031】
この実施形態では、カプラ膜30での反射ビームを互いに直交する偏波面を有する2つのビームに分離するために、偏光ビームスプリッタ32として複屈折平板を用いている。複屈折平板は均一厚みを有する例えばルチル結晶からなる。
【0032】
複屈折平板は、ビームS2及びP2がそれぞれ複屈折平板の常光及び異常光に対応するように配置される。常光は複屈折平板内を直進して位置ずれせずにビームS3として出力し、異常光はビームS3とは異なる位置からビームS3と平行に出力する(ビームP3)。
【0033】
ビームS3に対するビームP3のシフト量(位置ずれ量)をdとすると、シフト量dは次式で与えられる。
d=t(no2 −ne2 )tanθ/(no2 tan2 θ+ne2
ここで、tは複屈折平板の厚み、no及びneはそれぞれ複屈折平板における常光及び異常光の屈折率である。複屈折平板がルチルからなり、角度θが45°である場合、シフト量dは複屈折平板の厚みtのほぼ1/10となる。即ち、厚み200μmのルチル板を使用すると、シフト量として約20μmが得られる。
【0034】
図5は受光領域のトレランスカーブの例を示す図である。縦軸は結合効率、横軸は受光領域内における直線上の位置を表している。
受光領域の中央部において最大結合効率が得られ、この中央部から離れるに従って結合効率が次第に減少するようなトレランスカーブを呈していることが明らかである。例えば一般的なフォトダイオードにおいては、受光領域の中央部から約20μm離れた位置における結合効率は最大結合効率よりも約1dB低い。
【0035】
そこで、図4の実施形態では、カプラ膜30での反射による分岐比が小さいビームP2に対応する位置ずれした異常光(ビームP3)がフォトダイオード24の受光領域24Aのほぼ中央部に入射するようにする。こうすると、分岐比の大きいビームS2に対応するビームS3は受光領域24Aにおいて結合効率が最大結合効率よりも1dB小さい位置に入射し、カプラ膜30における分岐比の偏光依存性がビームS3及びP3の受光素子24に対する結合効率の差によって相殺され、偏光依存性をなくすことができる。
【0036】
また、カプラ膜30への入射角をほぼ45°にしているので、このモニタリング用光デバイスを小型にすることができる。
このようにカプラ膜での反射ビームにおける偏光依存性がビームシフト量による結合効率の差に完全に対応するようにしておくことによって、モニタリング用光デバイスの偏光依存性をなくすことができるが、ビームシフトによる結合効率の差が反射ビームにおける偏光依存性に完全に対応していない場合であっても、本発明を適用することによってモニタリング用光デバイスの偏光依存性を小さくすることができる。
【0037】
図4の実施形態では、ビームS2及びP2がそれぞれ複屈折平板の常光及び異常光に対応するようにしているが、ビームS2及びP2が複屈折平板の異常光及び常光にそれぞれ対応するように変更してもよい。この場合には、常光がフォトダイオードの受光領域の中央部に入射するようにフォトダイオードを配置する。
【0038】
図6は本発明のモニタリング用光デバイスの第2実施形態を示す図である。この実施形態は、モニタ用ビームを受けるための光/電気変換素子として、大径の受光領域を有する太陽電池等の受光素子24′を用い、これに伴って特定の偏光ビームスプリッタ32′を用いている点で特徴付けられる。
【0039】
受光素子24′として用いることができる太陽電池は安価であり、例えば直径5mmの受光領域を有している。この場合、本発明を実施するために偏光ビームスプリッタで分離される第1及び第2のビームのシフト量として1乃至2mmを得ようとすると、偏光ビームスプリッタとして複屈折平板を用いた場合に10乃至20mmの厚みが必要であり、偏光ビームスプリッタが高価になる。
【0040】
そこで、この実施形態では、偏光分離膜を有する偏光ビームスプリッタを用いる。
即ち、偏光ビームスプリッタ32′は、三角プリズム34と、三角プリズム34の斜面上に形成された偏光分離膜36と、偏光分離膜36を挟むように三角プリズム34に固着された平行プリズム38とを有している。
【0041】
光カプラ14のカプラ膜30における主光路からの反射ビームが偏光分離膜36に入射すると、紙面に平行な偏波面を有する偏光成分は偏光分離膜36を透過しさらに三角プリズム34を透過して受光素子24′の受光領域の中央部に入射する。
【0042】
一方、カプラ膜30での反射ビームのうち紙面に垂直な偏波面を有する偏光成分は、偏光分離膜36で反射し、さらに平行プリズム38の全反射面で反射して受光素子24′の受光領域における中央部から所定のシフト量だけ異なる位置に入射する。
【0043】
こうすることによって、第1実施形態における動作原理に準じた原理に従って、カプラ膜30における分岐比の偏光依存性が小さくなる乃至はなくなり、例えば光増幅器において良好にALCを実施することができるようになる。
【0044】
図7は本発明のモニタリング用光デバイスの第3実施形態を示す図である。この実施形態では、入力側のファイバコリメータ20と光アイソレータ16との間に光カプラ40を設け、ハウジング26に固定されたファイバコリメータ42を介して供給されるレーザダイオード44からの監視光に基づくビームを主光路MOP上のビームに結合している。
【0045】
ファイバコリメータ20から供給される信号光の波長は例えば1.55μm帯にあり、監視光の波長は信号光とは異なる例えば1.65μm帯にある。
監視光は、例えば、このモニタリング用光デバイスが適用される光中継器における監視情報を端局に伝送するために信号光に重畳されるものである。
【0046】
このような監視光を重畳するための構成がモニタリング用光デバイスに付加されている場合、モニタ用ポートとしてのフォトダイオード24を用いて正確なALCを行うためには、フォトダイオード24の手前で監視光を除去することが望ましい。なぜなら、監視光がフォトダイオード24に入力してしまうと、信号光の正確な出力レベルを検知することができず、ポンプ光パワーのフィードバック制御が不正確になるからである。
【0047】
そこで、この実施形態では、フォトダイオード24に入力する光から監視光を除去するために、偏光ビームスプリッタ32と一体的に光帯域通過フィルタ46を設けている。光帯域通過フィルタ46は、図示されているように偏光ビームスプリッタ32のモニタ用ビーム伝搬方向上流側に設けられていてもよいし、下流側に設けられていてもよい。
【0048】
光帯域通過フィルタ46は波長1.55μm帯にある信号光を選択的に透過させ、それ以外の波長帯域にある監視光等の不要な光を除去する。従って、このような機能を有するものであれば、光帯域通過フィルタ以外にも光ハイパスフィルタや光ローパスフィルタも採用可能である。
【0049】
図8は本発明のモニタリング用光デバイスの第4実施形態を示す図である。この実施形態は、本発明の第1の側面による第1乃至第3実施形態における偏光ビームスプリッタに代えて偏光子48を設けている点で特徴付けられる。
【0050】
偏光子48はカプラ膜30における反射ビーム(モニタ用ビーム)の光路上に設けられており、所定の偏波面を有する直線偏光成分を透過させる。そして、偏光子48を透過した光がモニタ用ポートとしてのフォトダイオード24に入射する。
【0051】
偏光子48は、カプラ膜30における分岐比の偏光依存性が小さくなる乃至はなくなるように配置される。具体的には次の通りである。
図9は偏光子の配置の説明図である。図において、符号50はカプラ膜30(図8参照)における反射ビームの光路を示している。
【0052】
また、光路50に付随して示されているS及びPは、それぞれ、カプラ膜30での反射ビームにおけるS波成分及びP波成分を表している。また、符号48Aは偏光子48の主軸(偏光子48を透過する直線偏光の偏波面に平行な軸)を表している。
【0053】
今、主軸48AとP波成分の偏波面とがなす角をφとすると、
φ=tan-1(Rp/Rs)
となるように設定される。ここで、Rpはカプラ膜30におけるP波成分の反射率であり、Rsはカプラ膜30におけるS波成分の反射率である。
【0054】
このような特定の配置形態で偏光子48を設けておくことによって、カプラ膜30におけるS波及びP波の反射率の違いを偏光子48の透過率の違いで相殺することができ、カプラ膜30における分岐比の偏光依存性を小さくし乃至はなくすことができる。また、本発明の第1の側面による場合と同様にカプラ膜への入射角をほぼ45°に設定することができるので、モニタリング用光デバイスを小型にすることができる。
【0055】
本発明の第1の側面による実施形態の説明においては、偏光ビームスプリッタから出力される第1及び第2のビームが互いに平行であるとしたが、本発明の第1の側面はこれに限定されない。例えば、偏光ビームスプリッタとして複屈折平板に代えて複屈折楔板を用い、第1及び第2のビームが互いに異なる方向へ分離して出力されるようにしてもよい。また、図6の第2実施形態においては、平行プリズム38に代えて、偏光分離膜36に対して平行でない全反射面を有するプリズムを用い、第1及び第2のビームが互いに異なる方向へ分離して出力されるようにしてもよい。
【0056】
尚、本発明の第2の側面を実施する場合には、偏光子としては、ガラスに微細金属線を串状に溶け込ませたポーラガラスや誘電体と金属とを交互に積層させたラミポール等を用いることができる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1又は第2の側面によると、大型化を伴うことなしに偏光依存性を小さくすることができるモニタリング用光デバイスの提供が可能になるという効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能な光増幅器のブロック図である。
【図2】モニタリング用光デバイス(従来技術)を示す図である。
【図3】本発明のモニタリング用光デバイスの第1実施形態を示す図である。
【図4】図3のモニタリング用光デバイスの主要部の配置説明図である。
【図5】受光領域のトレランスカーブの例を示す図である。
【図6】本発明のモニタリング用光デバイスの第2実施形態を示す図である。
【図7】本発明のモニタリング用光デバイスの第3実施形態を示す図である。
【図8】本発明のモニタリング用光デバイスの第4実施形態を示す図である。
【図9】図8のモニタリング用光デバイスにおける偏光子の配置の説明図である。
【符号の説明】
6 ドープファイバ
12 モニタリング用光デバイス
14 光カプラ
24 フォトダイオード
32,32′ 偏光ビームスプリッタ
48 偏光子

Claims (5)

  1. 主光路上の光ビームからモニタ用ビームを分岐するビーム分岐手段と、
    該モニタ用ビームを受け、第1の偏波面を有する第1のビームと該第1の偏波面に垂直な第2の偏波面を有する第2のビームとに分離して出力する偏光ビームスプリッタと、
    中央部が高く該中央部から離れるに従って減少する結合効率のトレランスカーブを呈する受光領域を有し、該受光領域内に上記第1及び第2のビームが入るように設けられるモニタ用ポートとを備え、
    上記ビーム分岐手段における分岐比の偏光依存性が上記モニタ用ポートへの上記第1及び第2のビームの結合効率の差によって相殺されるように、上記偏光ビームスプリッタにおける上記第1及び第2のビームの分離条件並びに上記モニタ用ポートの配置位置が設定されるモニタリング用光デバイス。
  2. 上記ビーム分岐手段は透明基板上に形成されたカプラ膜からなり、
    上記モニタ用ビームは上記カプラ膜における反射ビームであり、
    上記偏光ビームスプリッタはその結晶軸が上記反射ビームに対して所定の角度だけ傾斜した複屈折平板であり、
    上記第1及び第2の偏波面は上記主光路上の光ビームと上記反射ビームとによって定義される上記カプラ膜の入射面に対してそれぞれ垂直及び平行であり、
    上記第1及び第2のビームはそれぞれ上記複屈折平板の常光及び異常光のうちの一方及び他方に相当し、
    該常光及び異常光が上記複屈折平板から互いに平行に出力するように上記分離条件が設定される請求項1記載のモニタリング用光デバイス。
  3. 上記モニタ用ポートは所定の受光径を有する光/電気変換素子である請求項1記載のモニタリング用光デバイス。
  4. 上記偏光ビームスプリッタは第1及び第2のプリズムと該第1及び第2のプリズム間に介在する偏光分離膜とからなり、
    該第1及び第2のプリズムは上記第1及び第2のビームが互いに平行になるような形状を有している請求項3記載のモニタリング用光デバイス。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の光デバイスを有することを特徴とする光増幅器又は光通信装置。
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