JP3642725B2 - コグドvベルトの寿命予測方法および装置、並びに記録媒体 - Google Patents

コグドvベルトの寿命予測方法および装置、並びに記録媒体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コグ谷(凹部)およびコグ山(凸部)が交互に多数形成されたコグドVベルトの寿命予測方法およびその寿命予測装置、並びにこれを実行するためのプログラムが記録された記録媒体に関し、特にコグ谷における繰り返し曲げ応力による亀裂進展を起因とする場合のコグドVベルトの寿命を予測するために用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
スクータなどの変速装置における動力伝達のための部材として、コグドVベルトが広く用いられている。コグドVベルトとは、プーリ部から与えられる繰り返し曲げ応力に耐えられるように、内周側の圧縮ゴム層に、または、内周側の圧縮ゴム層と外周側の伸張ゴム層の両方に、ベルト幅方向に伸延したコグ山とコグ谷とがベルト長手方向について交互に形成され、かつ、長手方向に伸延した心線が埋設されたものである。しかしながら、コグドVベルトにかかる負荷条件が近年益々過酷になっており、それに伴ってコグドVベルトの寿命を正確に予測することが強く望まれている。
【0003】
コグドVベルトの寿命予測方法としては、心線に作用するベルト張力をストレスS0 とし、寿命時間またはこれと等価な繰り返しサイクル数をN0 として、S0 −N0 寿命曲線を作成した上で、これと別個に使用条件に基づいて計算されたベルト張力をこのS0 −N0 寿命曲線と対比させることによる予測方法が広く用いられてきた。この方法は、例えば、「Relaiability Data for Automotive and Camshaft Belt Drive」 the Proceeding of the National Conference on Power Transmission, Vol. 6, Ilinois Institute of Technology, 1979 に開示されている。また、この他に、ベルトの材料物性および形状等を考慮した有限要素解析によって荷重分担を計算し、歯部反力と寿命との関係から寿命時間を推定する方法である特開平7−332443号公報が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した文献の記載に基づいた寿命予測方法は、前者がベルトに作用するストレス、即ち、ベルト張力によって心線ロープに損傷が生じることに起因してベルト寿命に到る場合について寿命を予測しようとするものであり、後者は歯付きベルトの歯部に作用する歯部反力によって、歯部に損傷が生じることに起因してベルト寿命に到る場合について寿命を予測しようとするものである。したがって、前者の方法ではベルト張力が要因である寿命を概略的に予測することは可能であっても、更に仔細な要因に基づく正確な寿命予測をすることはできない。また、後者の方法は有限要素解析法を用いる方法であるが、この方法は歯付きベルトの寿命予測に適用されるものであって、歯付きベルトの歯部反力をストレスとしたS−N寿命曲線からその寿命を予測する方法であるから、摩擦伝動ベルトに区分されるコグドVベルトの寿命を予測することはできない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、ベルト張力以外の新たなストレス要因によるコグドVベルトの寿命を正確に予測することができるコグドVベルトの寿命予測方法および寿命予測装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明者による研究過程において、コグドVベルトは、プーリからコグ谷に加えられる繰り返し応力により生じた亀裂の進展を起因として寿命に到る場合が多いことが判明した。また、この事実は、以下の考察からも理解されるであろう。
【0007】
すなわち、コグドVベルトが運転状態にある場合、圧縮ゴム層のコグ谷にはベルトがプーリ部で屈曲されることにより圧縮応力が生じ、一方、プーリ間の直線走行部では、ベルトが伸張されることにより引張応力が生じる。したがって、ベルトの回転に伴い、圧縮ゴム層のコグ谷には圧縮応力と引張応力とが交互に繰り返し加わることになる。これらの応力は、ベルト長手方向の厚さが均等であるベルトの場合は長手方向に対して均等に加わると考えられるが、コグドVベルトはベルト長手方向の厚さが均等ではないため、コグドVベルトの厚みが最も薄くなる部分であるコグ谷に、特に屈曲時の圧縮応力が集中し易く、この応力の集中による屈曲疲労によって、コグ谷において亀裂が最も発生し易い。
【0008】
そこで、本発明者は、コグドVベルトの寿命を正確に予測するには、繰り返し応力に起因してコグ谷に生じる亀裂の進展を起因として寿命に到る場合を考慮することが必要になるであろうという確信を持った。
【0009】
以上のような考えに基づいて、本発明者は、ある特定使用条件の元で使用されるコグドVベルトの寿命を決定する因子となるコグドVベルトの形状および材料物性の相違を、圧縮ゴム層のコグ谷の応力変動幅の相違に置き換えてベルト寿命を予測すること、つまり、有限要素解析プログラムを用いて、ある特定使用条件の元で、コグドVベルトの形状および材料物性に基づいてコグドVベルトの有限要素モデルを所定の曲率に強制変位させて応力を解析し、この解析で得られる圧縮ゴム層のコグ谷の最小主応力(最大圧縮応力)と、別途行われた直線走行部に沿った応力解析による圧縮ゴム層のコグ谷の最大主応力(最大引張応力)との組み合わせによる繰り返し曲げ応力の変動幅を計算によって求め、その一方において特定使用条件の元で応力変動幅をストレスをSとし、寿命時間またはこれと等価な繰り返しサイクル数をNとするS−N曲線を予め実験により求めておき、ある使用条件の元で有限要素解析プログラムを用いて算出された応力変動幅から、予め求められた応力変動幅と等価寿命値との関係を示す実験データに基づいてコグドVベルトの寿命を予測することに想到した。そして、このようにして得られたコグドVベルトの寿命予測値が、実測されたコグドVベルトの寿命値に非常に近いものであることが本発明者によって確認された。
【0010】
すなわち、請求項1のコグドVベルトの寿命予測方法は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法において、前記コグドVベルトが特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力および最小主応力の差である応力変動幅と寿命との関係を示すデータを走行実験により得る走行実験ステップと、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出ステップと、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出ステップと、前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出ステップと、前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動幅に基づいて、前記走行実験ステップで得られた応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出ステップとを備えている。
【0011】
このように、請求項1によると、プーリからコグ谷に加えられる繰り返し応力により生じた亀裂の進展を起因としてベルト寿命に到る場合について、特定使用条件で使用されるコグドVベルトの寿命を今までよりも正確に予測することが可能となる。
【0012】
また、本発明は、応力変動幅と等価寿命値との関係を求める走行実験を随時行ってから計算処理を行うというものに限られない。つまり、本発明によると、応力変動幅と等価寿命値との関係を求める走行実験を多くの使用条件について予め行って、応力変動幅と等価寿命値との関係をデータ化しておけば、ベルトの幾何データ(形状データ)および物性データを入力するだけで、一連の処理をすべてコンピュータを用いて自動的に行うことも可能となる。これにより、設計段階において、コグドVベルトの形状および材質選定を適切且つ迅速に行うことが可能になる。
【0013】
すなわち、請求項2のコグドVベルトの寿命予測方法は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法において、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出ステップと、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出ステップと、前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出ステップと、前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出ステップとを備えている。
【0014】
また、請求項5のコグドVベルトの寿命予測装置は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測装置において、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出手段と、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出手段と、前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出手段と、前記応力変動幅算出手段で算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出手段とを備えている。
【0015】
また、請求項8は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測するための寿命予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出手段、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出手段、前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出手段、および、 前記応力変動幅算出手段で算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出手段としてコンピュータを機能させるための寿命予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0016】
また、本発明において、前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する前記最大主応力および前記最小主応力をそれぞれ算出するために、有限要素解析法が使用されることが好ましい(請求項3、6、9)。このように有限要素解析法を使用することで、コグドVベルトの圧縮ゴム層のコグ谷に作用する繰り返し応力の変動幅を正確に算出できるため、より精度の高い寿命予測が可能となる。
【0017】
また、本発明において、前記物性データが前記コグドVベルトの弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使用条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいることが好ましい(請求項4、7、10)。このように、物性データおよび使用条件として上記の物理量を用いることで、実際の使用状況に合致した精度の高い寿命予測が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
まず、コグドVベルトの構造について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、コグドVベルト1は、内周側の圧縮ゴム層2と、外周側の伸張ゴム層5と、両ゴム層2、5間の接着ゴム層8を積層化した構造に形成されており、接着ゴム層8内部にはベルト長手方向に伸延した心線9が埋入されている。また、圧縮ゴム層2および伸張ゴム層5には、ベルト幅方向に伸延したコグ山3、6とコグ谷4、7とがベルト長手方向について交互にそれぞれ形成されている。
【0020】
ここで、圧縮ゴム層2、伸張ゴム層5および接着ゴム層8を形成するゴムとしては、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー等のゴム材の単独の組成物またはこれらの混合物の組成物を使用することができる。
【0021】
また、圧縮ゴム層2および伸張ゴム層5には、繊維を配合して使用するのが好ましい。配合する繊維としては、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿等の繊維を使用することができる。繊維長は繊維の種類によって異なるが、1〜10mmの短繊維が使用され、例えばアラミド繊維であると3〜5mm、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維または綿であると、5〜10mm程度のものが使用される。なお、接着ゴム層8には、繊維を含有していてもよいが、含有していないほうが好ましい。
【0022】
また、心線9としては、アラミド繊維、ポリエステル繊維またはガラス繊維等をRFL液で処理したものを使用することができる。さらに、圧縮ゴム層2の表面や伸張ゴム層5の表面に補強布を積層してもよい。この補強布としては、綿、ポリエステル繊維またはナイロン繊維等を平織り、綾織り、朱子織り等に製織した帆布を使用することができ、RFL液で処理した後、ゴム組成物をフィリクション−コーティングしたゴム付き帆布として使用することができる。なお、RFL液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物を、クロロプレン、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、NBR等のラテックスに混合したものである。
【0023】
コグドVベルト1において、圧縮ゴム層2のコグ山3およびコグ谷4、並びに伸張ゴム層5のコグ山6およびコグ谷7はベルト長手方向についてそれぞれ交互に配置されており、ベルト長手方向に沿ってその厚み方向に切断すると、その切断面には圧縮ゴム層2のコグ山3は凸曲線で形成され、コグ谷4は凹曲線で形成され、伸張ゴム層5のコグ山6は凸曲線で形成され、コグ谷7は凹曲線で形成され、それぞれこれらの凸曲線および凹曲線の両端は滑らかにつながり凹凸形状を形成している。
【0024】
また、圧縮ゴム層2のコグ山3は略半円形状に形成され、伸張ゴム層5のコグ山6は略台形形状に形成されている。ここで、コグ山3の高さはコグ山6の高さより高くなっており、またコグ山3が1個形成されている間隔にコグ山6が2個形成されている。
【0025】
なお、コグドVベルトは、図1に示したようなものだけではなく、図4に示したとおり、他にも様々な形状のものがある。例えば、伸張ゴム層5には、コグ山およびコグ谷が形成されていなくてもよい。
【0026】
次に、本実施の形態に係るコグドVベルトの寿命予測装置について、図2に基づいて説明する。図2は、本実施の形態に係るコグドVベルトの寿命予測装置のブロック図である。
【0027】
図2に示すように、本実施の形態に係るコグドVベルトの寿命予測装置10は、記憶部11、最大主応力算出部12、最小主応力算出部13、応力変動幅算出部14、亀裂開始時間導出部15およびデータ記憶部16を備えている。寿命予測装置10の各部11〜16は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。かかるパーソナルコンピュータには、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、FDやCDの駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハードディスクには当該パーソナルコンピュータをコグドVベルトの寿命予測装置10として機能させるための寿命予測プログラム(このプログラムは、CD−ROMやFD、MOなどのリムーバブルな記録媒体に記録しておくことにより、様々なコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェアおよびソフトウェアが組み合わされることによって、上述の各部11〜16が構築されている。
【0028】
記憶部11には、図示しないキーボードなどの入力装置から入力されたコグドVベルト1の幾何データおよび物性データと、コグドVベルトの使用条件とが記憶される。亀裂開始時間導出部15から出力されるコグドVベルトの寿命等価値としての亀裂開始時間は、図示しないディスプレイに表示されたりプリンタで印刷されたりすることで寿命予測装置10の操作者に通知される。また、データ記憶部16には、コグドVベルトが様々な条件で実験したときの応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータが記憶されている。
【0029】
次に、本実施の形態の寿命予測装置10の動作について、寿命予測装置10内の各部の機能と合わせて、図3を参照して説明する。図3は、寿命予測装置10の動作を順に示したフローチャートである。
【0030】
まず、ステップS1では、寿命予測装置10の操作者が、寿命予測装置10でコグドVベルトの寿命を予測するために必要なデータ(ベルトの幾何データ、物性データ、および、ベルトの使用条件)を、キーボードなどを用いて入力する。ここで、ベルトの幾何(形状)データとしては、コグドVベルト1のコグ山3およびコグ谷4の形状、コグ山6およびコグ谷7の形状、コグ谷4の曲率半径、ベルト厚さ等のベルトの形状を特定するための様々なデータが入力され、物性データとしては、コグドVベルトの各層の弾性係数およびポアソン比が入力される。また、ベルトの使用条件としては、コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径および回転数、ベルト張力、有効張力が入力される(なお、ベルト張力等の計算値は、別途用意されたベルト張力の計算プログラムをサブルーチン化して使用することもできる)。そして、入力されたデータは、記憶部11に記憶される。
【0031】
次に、ステップS2では、最大主応力算出部12が、プーリ間の直線走行部においてコグ谷4が伸張している場合に圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最大主応力を算出する。ここで、プーリ間の直線走行部における圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最大主応力とは、コグ谷4に作用する最大引張応力のことである。
【0032】
ここで、最大主応力の算出には、有限要素解析法を使用する。本実施の形態で行われる有限要素解析法とは、解析を実施するコグドVベルト1に対して幾何データに基づいて3次元の有限要素モデルを作成し、指定された特定使用条件において有限要素モデルに作用する境界条件および外力条件を設定した後、物性データに基づいて有限要素モデルを強制変位させることにより応力解析を行う方法である。以上のように有限要素解析プログラムを実行することにより、指定された特定使用条件において、圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最大主応力が求められる。なお、本実施の形態で用いられる有限要素解析プログラムとしては、市販のものを用いることができる。
【0033】
次に、ステップS3では、最小主応力算出部13が、ベルトのプーリ部においてプーリと接触してコグ谷4が圧縮されている場合に圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最小主応力を算出する。ここで、ベルトのプーリ部における圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最小主応力とは、コグ谷4に作用する最大圧縮応力のことである。
【0034】
ここで、指定された特定使用条件において圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最小主応力を算出するには、ステップS2で最大主応力を算出したのと同様の方法を用いればよい。
【0035】
次に、ステップS4では、応力変動幅算出部14が、圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する応力変動幅を算出する。ここで、圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する応力変動幅とは、ステップS2で算出した最大主応力とステップS3で算出した最小主応力との差である。なお、引張応力を正とし、圧縮応力を負とすると、ステップS4で算出される応力変動幅は、最大主応力および最小主応力のそれぞれの絶対値の和となる。
【0036】
そして、ステップS5では、亀裂開始時間導出部15が、ステップS4で算出した応力変動幅に基づいて、コグドVベルト1のコグ谷4において亀裂が発生するまでの時間(亀裂開始時間)を、指定された特定使用条件でコグドVベルトが使用されたときの応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータ(データ記憶部16に記憶されたデータから選択されたデータ)を用いて導出する。
【0037】
ここで、データ記憶部16に記憶された、応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータとは、図6に示すように、応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すS−N寿命曲線である(なお、図6に示すデータは、ある特定の条件でコグドVベルトが使用された場合のデータであり、データ記憶部16にはこれ以外に種々の条件でコグドVベルトが使用された場合のデータが記憶されているものとする)。
【0038】
以下、図6に示すような応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータを得るための手順の一例について説明する。上述したように、本発明は、ある特定使用条件の元で使用されるコグドVベルトの寿命を決定する因子となるコグドVベルトの形状および材料物性の相違を、コグ谷における応力変動幅の相違に置き換えてベルト寿命を予測するものである。そこで、図6に示したようなデータを得るには、まず、様々な形状および材料物性をもつ複数のコグドVベルト(例として、図4に、5つのコグドVベルトの形状を示した)について、その最大主応力とベルト張力との関係を求めると共に、最小主応力とベルト張力との関係を求める。このとき、最大主応力および最小主応力を求めるには、上述したような有限要素解析法が用いられてよく、ベルト張力を求めるにはベルト張力の計算プログラムが用いられてよい。
【0039】
次に、最大主応力とベルト張力との関係、および、最小主応力とベルト張力との関係に基づいて、図5に示すように、複数のコグドVベルトのそれぞれについて応力変動幅とベルト張力との関係を求める。そして、このようにして求められた応力変動幅とベルト張力との関係から、ある特定使用条件においてある特定の大きさのベルト張力(図5および図6においては50kgf)が加えられたときに各コグドVベルトで生じる応力変動幅を導く。そして、この特定の大きさのベルト張力が各コグドVベルトに加えられる状態で走行試験を行って、各コグドVベルトについて亀裂開始時間を実測する。このようにして実測された亀裂開始時間を、応力変動幅−亀裂開始時間グラフ上にそれぞれプロットし、曲線で結んだのが図6に示すデータである。
【0040】
なお、上述したのと同様の走行試験は、各コグドVベルトに大きさの異なる多種類のベルト張力(例えば、0kgfから120kgfまで10kgf刻みのベルト張力)が加えられる状態でそれぞれ行うことが好ましい。これにより、ベルト使用条件としてベルト張力が変わった場合に対応してベルト寿命を予測することが可能になる。
【0041】
次に、ステップS6では、ステップS5において亀裂開始時間導出部15によって導出された亀裂開始時間および/または亀裂開始時間に基づいて算出されたコグドVベルト1の寿命に関連した数値(例えば、亀裂開始時間までの走行可能サイクル数、亀裂開始時間までの走行可能距離、亀裂が進行してベルトが完全に破断するまでの時間、または、そのときまでの走行可能サイクル数や走行可能距離)が寿命予測装置10から出力される。具体的には、亀裂開始時間などが、出力装置であるディスプレイに表示されたり、プリンタによって用紙に印刷される。
【0042】
以上のように、本実施の形態の寿命予測装置10によると、コグドVベルトがコグ谷4における亀裂進展を起因として寿命に到る場合の寿命予測を正確に行うことが可能となる。また、本実施の形態では、データ記憶部16にコグドVベルトの応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータが記憶されているために、ベルト設計段階において、ベルトの形状および材質選定を迅速且つ適切に実施することができる。さらに、本実施の形態では、コグドVベルトが様々なベルト張力で使用されたときの応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータがデータ記憶部16に記憶されているため、様々なベルト張力に応じた寿命予測を行うことが可能である。
【0043】
【実施例】
下記の通りに、ある特定使用条件で使用されるコグドVベルトの寿命予測を実施した。
【0044】
(最大主応力の算出)
a.コグドVベルトの使用条件を設定する。
駆動プーリピッチ径を160mm、従動プーリ径を120mm、駆動プーリと従動プーリの変速比を0.75、駆動プーリ回転数を7000rpm、ベルトの有効張力を328Newton(33.5kgf)とした。
【0045】
b.コグドVベルトの有限要素モデルに作用する外力を設定する。
直線方向のベルト張力を0kgfとした。
【0046】
c.コグドVベルトの有限要素モデルの幾何データおよび物性データを設定する。
幾何データとして、コグドVベルトの上コグ形状、下コグ形状および下コグ谷の曲率半径、心線と下コグ谷との距離、ベルト厚さを入力し、物性データとして、弾性係数およびポアソン比を入力した。このとき、心線(トラス要素)の弾性係数E1 を29.4GPa、ポアソン比μ1 を0.3とし、心線層(心線径をその厚みとする仮想の層)の弾性係数E2 を176MPa、ポアソン比μ2 を0.3とし、接着層(圧縮ゴム層または伸張ゴム層と心線層とを接着させる仮想の層)の弾性係数E3 を4.9MPa、ポアソン比μ3 を0.49とし、圧縮ゴム層および伸張ゴム層(補強繊維入り)の弾性係数E4 を41.8MPaとした。なお、境界条件は、コグドVベルトが円弧状に可動自在な状態に放置されたときの内部応力を0とし、コグドVベルトを長手方向直線状に、且つ、ベルト切断面を直平面に拘束し、その他の側面は自在とした。
【0047】
d.コグドVベルトの有限要素モデルを設定する。
心線を2節点トラス要素とし、心線層を8節点3次元ソリッド要素とし、接着層を8節点3次元ソリッド要素とし、ゴム層を8節点3次元ソリッド要素とした。
【0048】
e.弾性解析プログラムを実行する。
弾性解析プログラムとしては、米国MSC社汎用非線形FEM解析プログラムを使用して、プーリ間の直線走行部におけるコグ谷に作用する最大主応力を算出した。この結果、例えばベルト形状Cにおいて最大主応力として、1.3kgf/mm2 という数値が得られた。
【0049】
(最小主応力の算出)
a.コグドVベルトの使用条件を設定する。
駆動プーリピッチ径を160mm、従動プーリ径を120mm、駆動プーリと従動プーリの変速比を0.75、駆動プーリ回転数を7000rpm、ベルトの有効張力を328Newton(33.5kgf)とした。
【0050】
b.コグドVベルトの有限要素モデルに作用する外力を設定する。
曲率方向のベルト張力を50kgfとした。ただし、0〜120kgfの間でいくつか条件を変えて試算した(図5参照)。
【0051】
c.コグドVベルトの有限要素モデルの幾何データおよび物性データを設定する。
上述したのと同様に幾何データおよび物性データを入力した。このとき、心線(トラス要素)の弾性係数E1 を29.4GPa、ポアソン比μ1 を0.3とし、心線層(心線径をその厚みとする仮想の層)の弾性係数E2 を176MPa、ポアソン比μ2 を0.3とし、接着層(圧縮ゴム層または伸張ゴム層と心線層とを接着させる仮想の層)の弾性係数E3 を4.9MPa、ポアソン比μ3 を0.49とし、圧縮ゴム層および伸張ゴム層(補強繊維入り)の弾性係数E4 を41.8MPaとした。なお、境界条件は、ベルトをプーリ径に相当する曲率(1/80)に変形拘束し、更に側面方向にはプーリシーブ面に拘束し、ベルト張力50kgfに相当するシーブ側圧を加えることとした。ここで、プーリシーブ面とは、ベルトを両側面方向から挟み込む面のことであり、シーブ側圧とは、プーリシーブ面からベルト側面に対して作用する力のことである。
【0052】
d.コグドVベルトの有限要素モデルを設定する。
心線を2節点トラス要素とし、心線層を8節点3次元ソリッド要素とし、接着層を8節点3次元ソリッド要素とし、ゴム層を8節点3次元ソリッド要素とした。
【0053】
e.弾性解析プログラムを実行する。
弾性解析プログラムとしては、米国MSC社汎用非線形FEM解析プログラムを使用して、ベルトのプーリ部におけるコグ谷に作用する最小主応力を算出した。この結果、例えばベルト形状Cにおいて曲率方向のベルト張力を50kgfとした場合、最小主応力として、−0.9kgf/mm2 という数値が得られた。
【0054】
(応力変動幅の算出)
上述のように得られた最大主応力および最小主応力の差を算出する。ここで、最小主応力の算出の際に、曲率方向のベルト張力を、0〜120kgfの間でいくつか条件を変えて試算しており、これに対応した応力変動幅を算出した結果を図5に示す。この結果、例えばベルト形状Cにおいて曲率方向のベルト張力を50kgfとした場合、応力変動幅として、2.2kgf/mm2 〔=1.3kgf/mm2 −(−0.9kgf/mm2 )〕という数値が得られた。
【0055】
(亀裂開始時間の算出)
上述のようにして得られた応力変動幅を図6で示したS−N寿命曲線に当てはめて亀裂開始時間を求め、別途走行実験によって求めた亀裂開始時間と対比した。なお、上記S−N寿命曲線の横軸は、最小主応力の計算条件でベルト張力を50kgfとし、最大主応力の計算条件でベルト張力を0kgf(心線トラス要素が全荷重を分担する)としたときの条件から求めた応力変動幅であり、一方縦軸は、ベルト張力を50kgfとし、その他の条件は前記解析条件と同一である台上試験機を用いた走行実験によって得た亀裂開始時間である。ここでは、走行実験によって得た亀裂開始時間をそれぞれプロットして曲線で結んでいる。その結果、例えばベルト形状Cにおいて、S−N寿命曲線から導出した亀裂開始時間は140時間となり、この亀裂開始時間は走行実験結果と略一致した。
【0056】
なお、発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。
(1)上述の実施の形態では、コグドVベルトの等価寿命値として亀裂開始時間を用いたが、亀裂開始時間に代えて、亀裂開始時間までの走行可能サイクル数、亀裂開始時間までの走行可能距離、亀裂が進行してベルトが完全に破断するまでの時間、または、そのときまでの走行可能サイクル数や走行可能距離を等価寿命値としてもよい。
(2)上述の実施の形態は、予め求められて寿命予測装置10に記憶された図6に示されたような応力変動幅と亀裂開始時間との関係を利用したものであったが、本発明はこれに限らず、寿命予測を行う際にその使用条件に応じて改めて図6に示されたような応力変動幅と亀裂開始時間との関係を求めるものであってもよい。
(3)上述した実施の形態では、最大主応力を求める際のベルト張力を0kgfに固定したが、本発明は必ずしもこれに限られるものではなく、最大主応力を求める際のベルト張力を様々に変動させてもよい。
(4)上述した実施の形態における寿命予測方法において、ステップS2とステップS3とは入れ替えることが可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、コグドVベルトのコグ谷における亀裂進展に起因する寿命の予測を正確に行うことが可能になる。また、請求項2、5、8によると、設計段階において、コグドVベルトの形状および材質選定を適切且つ迅速に行うことが可能になる。
【0058】
また、請求項3、6、9によると、有限要素解析法を使用することで、コグドVベルトのコグ谷に作用する繰り返し応力の変動幅を正確に算出できるため、より精度の高い寿命予測が可能となる。また、請求項4、7、10によると、実際の使用状況に合致した精度の高い寿命予測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コグドVベルトの一部破断斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るコグドVベルトの寿命予測装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るコグドVベルトの寿命予測方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】異なる断面形状を有する各種コグドVベルトの詳細を示す図である。
【図5】有限要素解析法に基づくベルト張力と応力変動幅との関係を示すグラフである。
【図6】走行実験結果に基づく応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 コグドVベルト
2 圧縮ゴム層
3、6 コグ山
4、7 コグ谷
5 伸張ゴム層
8 接着ゴム層
9 心線
10 寿命予測装置
11 記憶部
12 最大主応力算出部
13 最小主応力算出部
14 応力変動幅算出部
15 亀裂開始時間導出部
16 データ記憶部

Claims (10)

  1. 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法において、
    前記コグドVベルトが特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力および最小主応力の差である応力変動幅と寿命との関係を示すデータを走行実験により得る走行実験ステップと、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出ステップと、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出ステップと、
    前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出ステップと、
    前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動幅に基づいて、前記走行実験ステップで得られた応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出ステップとを備えたことを特徴とするコグドVベルトの寿命予測方法。
  2. 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法において、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出ステップと、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出ステップと、
    前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出ステップと、
    前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出ステップとを備えたことを特徴とするコグドVベルトの寿命予測方法。
  3. 前記最大主応力算出ステップおよび前記最小主応力算出ステップにおいて、前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する前記最大主応力および前記最小主応力をそれぞれ算出するために有限要素解析法が使用されることを特徴とする請求項1または2に記載のコグドVベルトの寿命予測方法。
  4. 前記物性データが前記コグドVベルトの弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使用条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコグドVベルトの寿命予測方法。
  5. 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測装置において、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出手段と、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出手段と、
    前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出手段と、
    前記応力変動幅算出手段で算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出手段とを備えたことを特徴とするコグドVベルトの寿命予測装置。
  6. 前記最大主応力算出手段および前記最小主応力算出手段において、前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する前記最大主応力および前記最小主応力をそれぞれ算出するために有限要素解析法が使用されることを特徴とする請求項5に記載のコグドVベルトの寿命予測装置。
  7. 前記物性データが前記コグドVベルトの弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使用条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいることを特徴とする請求項5または6に記載のコグドVベルトの寿命予測装置。
  8. 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測するための寿命予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大主応力算出手段、
    前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出手段、
    前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算出手段、および、
    前記応力変動幅算出手段で算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出手段としてコンピュータを機能させるための寿命予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
  9. 前記最大主応力算出手段および前記最小主応力算出手段において、前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する前記最大主応力および前記最小主応力をそれぞれ算出するために有限要素解析法が使用されることを特徴とする請求項8に記載のコンピュータ読取可能な記録媒体。
  10. 前記物性データが前記コグドVベルトの弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使用条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいることを特徴とする請求項8または9に記載のコンピュータ読取可能な記録媒体。
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