JP2002107237A - コグドvベルトの寿命予測方法および装置、並びに記録媒体 - Google Patents

コグドvベルトの寿命予測方法および装置、並びに記録媒体

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JP2002107237A
JP2002107237A JP2000298482A JP2000298482A JP2002107237A JP 2002107237 A JP2002107237 A JP 2002107237A JP 2000298482 A JP2000298482 A JP 2000298482A JP 2000298482 A JP2000298482 A JP 2000298482A JP 2002107237 A JP2002107237 A JP 2002107237A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コグドVベルトのコグ谷における亀裂進展を
起因とする寿命を高い精度で予測する。 【解決手段】 コグドVベルトのコグ谷に作用する最大
主応力および最小主応力を算出し(ステップS2、ステ
ップS3)、さらに応力変動幅を算出する(ステップS
4)。また、応力変動幅に基づいて、走行実験により作
成したS(応力変動幅)−N(亀裂開始時間)曲線を用
いて、コグドVベルトが特定使用条件で使用されたとき
の亀裂開始時間を導出する(ステップS5)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コグ谷(凹部)お
よびコグ山(凸部)が交互に多数形成されたコグドVベ
ルトの寿命予測方法およびその寿命予測装置、並びにこ
れを実行するためのプログラムが記録された記録媒体に
関し、特にコグ谷における繰り返し曲げ応力による亀裂
進展を起因とする場合のコグドVベルトの寿命を予測す
るために用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】スクータなどの変速装置における動力伝
達のための部材として、コグドVベルトが広く用いられ
ている。コグドVベルトとは、プーリ部から与えられる
繰り返し曲げ応力に耐えられるように、内周側の圧縮ゴ
ム層に、または、内周側の圧縮ゴム層と外周側の伸張ゴ
ム層の両方に、ベルト幅方向に伸延したコグ山とコグ谷
とがベルト長手方向について交互に形成され、かつ、長
手方向に伸延した心線が埋設されたものである。しかし
ながら、コグドVベルトにかかる負荷条件が近年益々過
酷になっており、それに伴ってコグドVベルトの寿命を
正確に予測することが強く望まれている。
【0003】コグドVベルトの寿命予測方法としては、
心線に作用するベルト張力をストレスS0 とし、寿命時
間またはこれと等価な繰り返しサイクル数をN0 とし
て、S 0 −N0 寿命曲線を作成した上で、これと別個に
使用条件に基づいて計算されたベルト張力をこのS0
0 寿命曲線と対比させることによる予測方法が広く用
いられてきた。この方法は、例えば、「Relaiability D
ata for Automotive andCamshaft Belt Drive」 the Pr
oceeding of the National Conference on Power Trans
mission, Vol. 6, Ilinois Institute of Technology,
1979 に開示されている。また、この他に、ベルトの材
料物性および形状等を考慮した有限要素解析によって荷
重分担を計算し、歯部反力と寿命との関係から寿命時間
を推定する方法である特開平7−332443号公報が
知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た文献の記載に基づいた寿命予測方法は、前者がベルト
に作用するストレス、即ち、ベルト張力によって心線ロ
ープに損傷が生じることに起因してベルト寿命に到る場
合について寿命を予測しようとするものであり、後者は
歯付きベルトの歯部に作用する歯部反力によって、歯部
に損傷が生じることに起因してベルト寿命に到る場合に
ついて寿命を予測しようとするものである。したがっ
て、前者の方法ではベルト張力が要因である寿命を概略
的に予測することは可能であっても、更に仔細な要因に
基づく正確な寿命予測をすることはできない。また、後
者の方法は有限要素解析法を用いる方法であるが、この
方法は歯付きベルトの寿命予測に適用されるものであっ
て、歯付きベルトの歯部反力をストレスとしたS−N寿
命曲線からその寿命を予測する方法であるから、摩擦伝
動ベルトに区分されるコグドVベルトの寿命を予測する
ことはできない。
【0005】そこで、本発明の目的は、ベルト張力以外
の新たなストレス要因によるコグドVベルトの寿命を正
確に予測することができるコグドVベルトの寿命予測方
法および寿命予測装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明者による研究過程において、コグドVベルト
は、プーリからコグ谷に加えられる繰り返し応力により
生じた亀裂の進展を起因として寿命に到る場合が多いこ
とが判明した。また、この事実は、以下の考察からも理
解されるであろう。
【0007】すなわち、コグドVベルトが運転状態にあ
る場合、圧縮ゴム層のコグ谷にはベルトがプーリ部で屈
曲されることにより圧縮応力が生じ、一方、プーリ間の
直線走行部では、ベルトが伸張されることにより引張応
力が生じる。したがって、ベルトの回転に伴い、圧縮ゴ
ム層のコグ谷には圧縮応力と引張応力とが交互に繰り返
し加わることになる。これらの応力は、ベルト長手方向
の厚さが均等であるベルトの場合は長手方向に対して均
等に加わると考えられるが、コグドVベルトはベルト長
手方向の厚さが均等ではないため、コグドVベルトの厚
みが最も薄くなる部分であるコグ谷に、特に屈曲時の圧
縮応力が集中し易く、この応力の集中による屈曲疲労に
よって、コグ谷において亀裂が最も発生し易い。
【0008】そこで、本発明者は、コグドVベルトの寿
命を正確に予測するには、繰り返し応力に起因してコグ
谷に生じる亀裂の進展を起因として寿命に到る場合を考
慮することが必要になるであろうという確信を持った。
【0009】以上のような考えに基づいて、本発明者
は、ある特定使用条件の元で使用されるコグドVベルト
の寿命を決定する因子となるコグドVベルトの形状およ
び材料物性の相違を、圧縮ゴム層のコグ谷の応力変動幅
の相違に置き換えてベルト寿命を予測すること、つま
り、有限要素解析プログラムを用いて、ある特定使用条
件の元で、コグドVベルトの形状および材料物性に基づ
いてコグドVベルトの有限要素モデルを所定の曲率に強
制変位させて応力を解析し、この解析で得られる圧縮ゴ
ム層のコグ谷の最小主応力(最大圧縮応力)と、別途行
われた直線走行部に沿った応力解析による圧縮ゴム層の
コグ谷の最大主応力(最大引張応力)との組み合わせに
よる繰り返し曲げ応力の変動幅を計算によって求め、そ
の一方において特定使用条件の元で応力変動幅をストレ
スをSとし、寿命時間またはこれと等価な繰り返しサイ
クル数をNとするS−N曲線を予め実験により求めてお
き、ある使用条件の元で有限要素解析プログラムを用い
て算出された応力変動幅から、予め求められた応力変動
幅と等価寿命値との関係を示す実験データに基づいてコ
グドVベルトの寿命を予測することに想到した。そし
て、このようにして得られたコグドVベルトの寿命予測
値が、実測されたコグドVベルトの寿命値に非常に近い
ものであることが本発明者によって確認された。
【0010】すなわち、請求項1のコグドVベルトの寿
命予測方法は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向
に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成される
コグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法におい
て、前記コグドVベルトが特定使用条件で使用されると
きに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力およ
び最小主応力の差である応力変動幅と寿命との関係を示
すデータを走行実験により得る走行実験ステップと、前
記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づ
いて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用さ
れるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応
力を算出する最大主応力算出ステップと、前記コグドV
ベルトの幾何データおよび物性データに基づいて、前記
コグドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに
前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出す
る最小主応力算出ステップと、前記最大主応力と前記最
小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定
使用条件で使用されるときにおける両者の差である応力
変動幅を算出する応力変動幅算出ステップと、前記応力
変動幅算出ステップで算出された前記応力変動幅に基づ
いて、前記走行実験ステップで得られた応力変動幅と寿
命との関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの
等価寿命値を導出する等価寿命値導出ステップとを備え
ている。
【0011】このように、請求項1によると、プーリか
らコグ谷に加えられる繰り返し応力により生じた亀裂の
進展を起因としてベルト寿命に到る場合について、特定
使用条件で使用されるコグドVベルトの寿命を今までよ
りも正確に予測することが可能となる。
【0012】また、本発明は、応力変動幅と等価寿命値
との関係を求める走行実験を随時行ってから計算処理を
行うというものに限られない。つまり、本発明による
と、応力変動幅と等価寿命値との関係を求める走行実験
を多くの使用条件について予め行って、応力変動幅と等
価寿命値との関係をデータ化しておけば、ベルトの幾何
データ(形状データ)および物性データを入力するだけ
で、一連の処理をすべてコンピュータを用いて自動的に
行うことも可能となる。これにより、設計段階におい
て、コグドVベルトの形状および材質選定を適切且つ迅
速に行うことが可能になる。
【0013】すなわち、請求項2のコグドVベルトの寿
命予測方法は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向
に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成される
コグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法におい
て、前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データ
に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で
使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最
大主応力を算出する最大主応力算出ステップと、前記コ
グドVベルトの幾何データおよび物性データに基づい
て、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用され
るときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力
を算出する最小主応力算出ステップと、前記最大主応力
と前記最小主応力とに基づいて、前記コグドVベルトが
前記特定使用条件で使用されるときにおける両者の差で
ある応力変動幅を算出する応力変動幅算出ステップと、
前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動
幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件
で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデ
ータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出す
る等価寿命値導出ステップとを備えている。
【0014】また、請求項5のコグドVベルトの寿命予
測装置は、少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向に沿
ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成されるコグ
部を設けたコグドVベルトの寿命予測装置において、前
記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基づ
いて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用さ
れるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応
力を算出する最大主応力算出手段と、前記コグドVベル
トの幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグ
ドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記
圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主応力を算出する最
小主応力算出手段と、前記最大主応力と前記最小主応力
とに基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件
で使用されるときにおける両者の差である応力変動幅を
算出する応力変動幅算出手段と、前記応力変動幅算出手
段で算出された前記応力変動幅に基づいて、前記コグド
Vベルトが前記特定使用条件で使用されたときの応力変
動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドV
ベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出手段とを
備えている。
【0015】また、請求項8は、少なくとも圧縮ゴム層
にベルト長手方向に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数
配して形成されるコグ部を設けたコグドVベルトの寿命
予測するための寿命予測プログラムを記録したコンピュ
ータ読取可能な記録媒体であって、前記コグドVベルト
の幾何データおよび物性データに基づいて、前記コグド
Vベルトが前記特定使用条件で使用されるときに前記圧
縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力を算出する最大
主応力算出手段、前記コグドVベルトの幾何データおよ
び物性データに基づいて、前記コグドVベルトが前記特
定使用条件で使用されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷
に作用する最小主応力を算出する最小主応力算出手段、
前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コ
グドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにお
ける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算
出手段、および、 前記応力変動幅算出手段で算出され
た前記応力変動幅に基づいて、前記コグドVベルトが前
記特定使用条件で使用されたときの応力変動幅と寿命と
の関係を示すデータを用いて前記コグドVベルトの等価
寿命値を導出する等価寿命値導出手段としてコンピュー
タを機能させるための寿命予測プログラムを記録したコ
ンピュータ読取可能な記録媒体である。
【0016】また、本発明において、前記圧縮ゴム層の
コグ谷に作用する前記最大主応力および前記最小主応力
をそれぞれ算出するために、有限要素解析法が使用され
ることが好ましい(請求項3、6、9)。このように有
限要素解析法を使用することで、コグドVベルトの圧縮
ゴム層のコグ谷に作用する繰り返し応力の変動幅を正確
に算出できるため、より精度の高い寿命予測が可能とな
る。
【0017】また、本発明において、前記物性データが
前記コグドVベルトの弾性係数およびポアソン比を含ん
でおり、前記特定使用条件が前記コグドVベルトが巻き
付けられるプーリの径および回転数、ベルト張力、有効
張力を含んでいることが好ましい(請求項4、7、1
0)。このように、物性データおよび使用条件として上
記の物理量を用いることで、実際の使用状況に合致した
精度の高い寿命予測が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な一実施の形
態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】まず、コグドVベルトの構造について、図
1に基づいて説明する。図1に示すように、コグドVベ
ルト1は、内周側の圧縮ゴム層2と、外周側の伸張ゴム
層5と、両ゴム層2、5間の接着ゴム層8を積層化した
構造に形成されており、接着ゴム層8内部にはベルト長
手方向に伸延した心線9が埋入されている。また、圧縮
ゴム層2および伸張ゴム層5には、ベルト幅方向に伸延
したコグ山3、6とコグ谷4、7とがベルト長手方向に
ついて交互にそれぞれ形成されている。
【0020】ここで、圧縮ゴム層2、伸張ゴム層5およ
び接着ゴム層8を形成するゴムとしては、天然ゴム、ブ
チルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム、アルキル化クロロスル
フォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、水素化ニ
トリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー
等のゴム材の単独の組成物またはこれらの混合物の組成
物を使用することができる。
【0021】また、圧縮ゴム層2および伸張ゴム層5に
は、繊維を配合して使用するのが好ましい。配合する繊
維としては、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエス
テル繊維、綿等の繊維を使用することができる。繊維長
は繊維の種類によって異なるが、1〜10mmの短繊維
が使用され、例えばアラミド繊維であると3〜5mm、
ポリアミド繊維、ポリエステル繊維または綿であると、
5〜10mm程度のものが使用される。なお、接着ゴム
層8には、繊維を含有していてもよいが、含有していな
いほうが好ましい。
【0022】また、心線9としては、アラミド繊維、ポ
リエステル繊維またはガラス繊維等をRFL液で処理し
たものを使用することができる。さらに、圧縮ゴム層2
の表面や伸張ゴム層5の表面に補強布を積層してもよ
い。この補強布としては、綿、ポリエステル繊維または
ナイロン繊維等を平織り、綾織り、朱子織り等に製織し
た帆布を使用することができ、RFL液で処理した後、
ゴム組成物をフィリクション−コーティングしたゴム付
き帆布として使用することができる。なお、RFL液
は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物を、クロロ
プレン、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共
重合体、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、NBR等
のラテックスに混合したものである。
【0023】コグドVベルト1において、圧縮ゴム層2
のコグ山3およびコグ谷4、並びに伸張ゴム層5のコグ
山6およびコグ谷7はベルト長手方向についてそれぞれ
交互に配置されており、ベルト長手方向に沿ってその厚
み方向に切断すると、その切断面には圧縮ゴム層2のコ
グ山3は凸曲線で形成され、コグ谷4は凹曲線で形成さ
れ、伸張ゴム層5のコグ山6は凸曲線で形成され、コグ
谷7は凹曲線で形成され、それぞれこれらの凸曲線およ
び凹曲線の両端は滑らかにつながり凹凸形状を形成して
いる。
【0024】また、圧縮ゴム層2のコグ山3は略半円形
状に形成され、伸張ゴム層5のコグ山6は略台形形状に
形成されている。ここで、コグ山3の高さはコグ山6の
高さより高くなっており、またコグ山3が1個形成され
ている間隔にコグ山6が2個形成されている。
【0025】なお、コグドVベルトは、図1に示したよ
うなものだけではなく、図4に示したとおり、他にも様
々な形状のものがある。例えば、伸張ゴム層5には、コ
グ山およびコグ谷が形成されていなくてもよい。
【0026】次に、本実施の形態に係るコグドVベルト
の寿命予測装置について、図2に基づいて説明する。図
2は、本実施の形態に係るコグドVベルトの寿命予測装
置のブロック図である。
【0027】図2に示すように、本実施の形態に係るコ
グドVベルトの寿命予測装置10は、記憶部11、最大
主応力算出部12、最小主応力算出部13、応力変動幅
算出部14、亀裂開始時間導出部15およびデータ記憶
部16を備えている。寿命予測装置10の各部11〜1
6は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構
成されている。かかるパーソナルコンピュータには、C
PU、ROM、RAM、ハードディスク、FDやCDの
駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハード
ディスクには当該パーソナルコンピュータをコグドVベ
ルトの寿命予測装置10として機能させるための寿命予
測プログラム(このプログラムは、CD−ROMやF
D、MOなどのリムーバブルな記録媒体に記録しておく
ことにより、様々なコンピュータにインストールするこ
とが可能である)を含む各種のソフトウェアが記憶され
ている。そして、これらのハードウェアおよびソフトウ
ェアが組み合わされることによって、上述の各部11〜
16が構築されている。
【0028】記憶部11には、図示しないキーボードな
どの入力装置から入力されたコグドVベルト1の幾何デ
ータおよび物性データと、コグドVベルトの使用条件と
が記憶される。亀裂開始時間導出部15から出力される
コグドVベルトの寿命等価値としての亀裂開始時間は、
図示しないディスプレイに表示されたりプリンタで印刷
されたりすることで寿命予測装置10の操作者に通知さ
れる。また、データ記憶部16には、コグドVベルトが
様々な条件で実験したときの応力変動幅と亀裂開始時間
との関係を示すデータが記憶されている。
【0029】次に、本実施の形態の寿命予測装置10の
動作について、寿命予測装置10内の各部の機能と合わ
せて、図3を参照して説明する。図3は、寿命予測装置
10の動作を順に示したフローチャートである。
【0030】まず、ステップS1では、寿命予測装置1
0の操作者が、寿命予測装置10でコグドVベルトの寿
命を予測するために必要なデータ(ベルトの幾何デー
タ、物性データ、および、ベルトの使用条件)を、キー
ボードなどを用いて入力する。ここで、ベルトの幾何
(形状)データとしては、コグドVベルト1のコグ山3
およびコグ谷4の形状、コグ山6およびコグ谷7の形
状、コグ谷4の曲率半径、ベルト厚さ等のベルトの形状
を特定するための様々なデータが入力され、物性データ
としては、コグドVベルトの各層の弾性係数およびポア
ソン比が入力される。また、ベルトの使用条件として
は、コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径および
回転数、ベルト張力、有効張力が入力される(なお、ベ
ルト張力等の計算値は、別途用意されたベルト張力の計
算プログラムをサブルーチン化して使用することもでき
る)。そして、入力されたデータは、記憶部11に記憶
される。
【0031】次に、ステップS2では、最大主応力算出
部12が、プーリ間の直線走行部においてコグ谷4が伸
張している場合に圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最
大主応力を算出する。ここで、プーリ間の直線走行部に
おける圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最大主応力と
は、コグ谷4に作用する最大引張応力のことである。
【0032】ここで、最大主応力の算出には、有限要素
解析法を使用する。本実施の形態で行われる有限要素解
析法とは、解析を実施するコグドVベルト1に対して幾
何データに基づいて3次元の有限要素モデルを作成し、
指定された特定使用条件において有限要素モデルに作用
する境界条件および外力条件を設定した後、物性データ
に基づいて有限要素モデルを強制変位させることにより
応力解析を行う方法である。以上のように有限要素解析
プログラムを実行することにより、指定された特定使用
条件において、圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最大
主応力が求められる。なお、本実施の形態で用いられる
有限要素解析プログラムとしては、市販のものを用いる
ことができる。
【0033】次に、ステップS3では、最小主応力算出
部13が、ベルトのプーリ部においてプーリと接触して
コグ谷4が圧縮されている場合に圧縮ゴム層2のコグ谷
4に作用する最小主応力を算出する。ここで、ベルトの
プーリ部における圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最
小主応力とは、コグ谷4に作用する最大圧縮応力のこと
である。
【0034】ここで、指定された特定使用条件において
圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する最小主応力を算出す
るには、ステップS2で最大主応力を算出したのと同様
の方法を用いればよい。
【0035】次に、ステップS4では、応力変動幅算出
部14が、圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用する応力変動
幅を算出する。ここで、圧縮ゴム層2のコグ谷4に作用
する応力変動幅とは、ステップS2で算出した最大主応
力とステップS3で算出した最小主応力との差である。
なお、引張応力を正とし、圧縮応力を負とすると、ステ
ップS4で算出される応力変動幅は、最大主応力および
最小主応力のそれぞれの絶対値の和となる。
【0036】そして、ステップS5では、亀裂開始時間
導出部15が、ステップS4で算出した応力変動幅に基
づいて、コグドVベルト1のコグ谷4において亀裂が発
生するまでの時間(亀裂開始時間)を、指定された特定
使用条件でコグドVベルトが使用されたときの応力変動
幅と亀裂開始時間との関係を示すデータ(データ記憶部
16に記憶されたデータから選択されたデータ)を用い
て導出する。
【0037】ここで、データ記憶部16に記憶された、
応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示すデータとは、
図6に示すように、応力変動幅と亀裂開始時間との関係
を示すS−N寿命曲線である(なお、図6に示すデータ
は、ある特定の条件でコグドVベルトが使用された場合
のデータであり、データ記憶部16にはこれ以外に種々
の条件でコグドVベルトが使用された場合のデータが記
憶されているものとする)。
【0038】以下、図6に示すような応力変動幅と亀裂
開始時間との関係を示すデータを得るための手順の一例
について説明する。上述したように、本発明は、ある特
定使用条件の元で使用されるコグドVベルトの寿命を決
定する因子となるコグドVベルトの形状および材料物性
の相違を、コグ谷における応力変動幅の相違に置き換え
てベルト寿命を予測するものである。そこで、図6に示
したようなデータを得るには、まず、様々な形状および
材料物性をもつ複数のコグドVベルト(例として、図4
に、5つのコグドVベルトの形状を示した)について、
その最大主応力とベルト張力との関係を求めると共に、
最小主応力とベルト張力との関係を求める。このとき、
最大主応力および最小主応力を求めるには、上述したよ
うな有限要素解析法が用いられてよく、ベルト張力を求
めるにはベルト張力の計算プログラムが用いられてよ
い。
【0039】次に、最大主応力とベルト張力との関係、
および、最小主応力とベルト張力との関係に基づいて、
図5に示すように、複数のコグドVベルトのそれぞれに
ついて応力変動幅とベルト張力との関係を求める。そし
て、このようにして求められた応力変動幅とベルト張力
との関係から、ある特定使用条件においてある特定の大
きさのベルト張力(図5および図6においては50kg
f)が加えられたときに各コグドVベルトで生じる応力
変動幅を導く。そして、この特定の大きさのベルト張力
が各コグドVベルトに加えられる状態で走行試験を行っ
て、各コグドVベルトについて亀裂開始時間を実測す
る。このようにして実測された亀裂開始時間を、応力変
動幅−亀裂開始時間グラフ上にそれぞれプロットし、曲
線で結んだのが図6に示すデータである。
【0040】なお、上述したのと同様の走行試験は、各
コグドVベルトに大きさの異なる多種類のベルト張力
(例えば、0kgfから120kgfまで10kgf刻
みのベルト張力)が加えられる状態でそれぞれ行うこと
が好ましい。これにより、ベルト使用条件としてベルト
張力が変わった場合に対応してベルト寿命を予測するこ
とが可能になる。
【0041】次に、ステップS6では、ステップS5に
おいて亀裂開始時間導出部15によって導出された亀裂
開始時間および/または亀裂開始時間に基づいて算出さ
れたコグドVベルト1の寿命に関連した数値(例えば、
亀裂開始時間までの走行可能サイクル数、亀裂開始時間
までの走行可能距離、亀裂が進行してベルトが完全に破
断するまでの時間、または、そのときまでの走行可能サ
イクル数や走行可能距離)が寿命予測装置10から出力
される。具体的には、亀裂開始時間などが、出力装置で
あるディスプレイに表示されたり、プリンタによって用
紙に印刷される。
【0042】以上のように、本実施の形態の寿命予測装
置10によると、コグドVベルトがコグ谷4における亀
裂進展を起因として寿命に到る場合の寿命予測を正確に
行うことが可能となる。また、本実施の形態では、デー
タ記憶部16にコグドVベルトの応力変動幅と亀裂開始
時間との関係を示すデータが記憶されているために、ベ
ルト設計段階において、ベルトの形状および材質選定を
迅速且つ適切に実施することができる。さらに、本実施
の形態では、コグドVベルトが様々なベルト張力で使用
されたときの応力変動幅と亀裂開始時間との関係を示す
データがデータ記憶部16に記憶されているため、様々
なベルト張力に応じた寿命予測を行うことが可能であ
る。
【0043】
【実施例】下記の通りに、ある特定使用条件で使用され
るコグドVベルトの寿命予測を実施した。
【0044】(最大主応力の算出) a.コグドVベルトの使用条件を設定する。 駆動プーリピッチ径を160mm、従動プーリ径を12
0mm、駆動プーリと従動プーリの変速比を0.75、
駆動プーリ回転数を7000rpm、ベルトの有効張力
を328Newton(33.5kgf)とした。
【0045】b.コグドVベルトの有限要素モデルに作
用する外力を設定する。 直線方向のベルト張力を0kgfとした。
【0046】c.コグドVベルトの有限要素モデルの幾
何データおよび物性データを設定する。 幾何データとして、コグドVベルトの上コグ形状、下コ
グ形状および下コグ谷の曲率半径、心線と下コグ谷との
距離、ベルト厚さを入力し、物性データとして、弾性係
数およびポアソン比を入力した。このとき、心線(トラ
ス要素)の弾性係数E1 を29.4GPa、ポアソン比
μ1 を0.3とし、心線層(心線径をその厚みとする仮
想の層)の弾性係数E2 を176MPa、ポアソン比μ
2 を0.3とし、接着層(圧縮ゴム層または伸張ゴム層
と心線層とを接着させる仮想の層)の弾性係数E3
4.9MPa、ポアソン比μ3 を0.49とし、圧縮ゴ
ム層および伸張ゴム層(補強繊維入り)の弾性係数E4
を41.8MPaとした。なお、境界条件は、コグドV
ベルトが円弧状に可動自在な状態に放置されたときの内
部応力を0とし、コグドVベルトを長手方向直線状に、
且つ、ベルト切断面を直平面に拘束し、その他の側面は
自在とした。
【0047】d.コグドVベルトの有限要素モデルを設
定する。 心線を2節点トラス要素とし、心線層を8節点3次元ソ
リッド要素とし、接着層を8節点3次元ソリッド要素と
し、ゴム層を8節点3次元ソリッド要素とした。
【0048】e.弾性解析プログラムを実行する。 弾性解析プログラムとしては、米国MSC社汎用非線形
FEM解析プログラムを使用して、プーリ間の直線走行
部におけるコグ谷に作用する最大主応力を算出した。こ
の結果、例えばベルト形状Cにおいて最大主応力とし
て、1.3kgf/mm 2 という数値が得られた。
【0049】(最小主応力の算出) a.コグドVベルトの使用条件を設定する。 駆動プーリピッチ径を160mm、従動プーリ径を12
0mm、駆動プーリと従動プーリの変速比を0.75、
駆動プーリ回転数を7000rpm、ベルトの有効張力
を328Newton(33.5kgf)とした。
【0050】b.コグドVベルトの有限要素モデルに作
用する外力を設定する。 曲率方向のベルト張力を50kgfとした。ただし、0
〜120kgfの間でいくつか条件を変えて試算した
(図5参照)。
【0051】c.コグドVベルトの有限要素モデルの幾
何データおよび物性データを設定する。 上述したのと同様に幾何データおよび物性データを入力
した。このとき、心線(トラス要素)の弾性係数E1
29.4GPa、ポアソン比μ1 を0.3とし、心線層
(心線径をその厚みとする仮想の層)の弾性係数E2
176MPa、ポアソン比μ2 を0.3とし、接着層
(圧縮ゴム層または伸張ゴム層と心線層とを接着させる
仮想の層)の弾性係数E3 を4.9MPa、ポアソン比
μ3 を0.49とし、圧縮ゴム層および伸張ゴム層(補
強繊維入り)の弾性係数E4 を41.8MPaとした。
なお、境界条件は、ベルトをプーリ径に相当する曲率
(1/80)に変形拘束し、更に側面方向にはプーリシ
ーブ面に拘束し、ベルト張力50kgfに相当するシー
ブ側圧を加えることとした。ここで、プーリシーブ面と
は、ベルトを両側面方向から挟み込む面のことであり、
シーブ側圧とは、プーリシーブ面からベルト側面に対し
て作用する力のことである。
【0052】d.コグドVベルトの有限要素モデルを設
定する。 心線を2節点トラス要素とし、心線層を8節点3次元ソ
リッド要素とし、接着層を8節点3次元ソリッド要素と
し、ゴム層を8節点3次元ソリッド要素とした。
【0053】e.弾性解析プログラムを実行する。 弾性解析プログラムとしては、米国MSC社汎用非線形
FEM解析プログラムを使用して、ベルトのプーリ部に
おけるコグ谷に作用する最小主応力を算出した。この結
果、例えばベルト形状Cにおいて曲率方向のベルト張力
を50kgfとした場合、最小主応力として、−0.9
kgf/mm2 という数値が得られた。
【0054】(応力変動幅の算出)上述のように得られ
た最大主応力および最小主応力の差を算出する。ここ
で、最小主応力の算出の際に、曲率方向のベルト張力
を、0〜120kgfの間でいくつか条件を変えて試算
しており、これに対応した応力変動幅を算出した結果を
図5に示す。この結果、例えばベルト形状Cにおいて曲
率方向のベルト張力を50kgfとした場合、応力変動
幅として、2.2kgf/mm2 〔=1.3kgf/mm2 −(−
0.9kgf/mm2 )〕という数値が得られた。
【0055】(亀裂開始時間の算出)上述のようにして
得られた応力変動幅を図6で示したS−N寿命曲線に当
てはめて亀裂開始時間を求め、別途走行実験によって求
めた亀裂開始時間と対比した。なお、上記S−N寿命曲
線の横軸は、最小主応力の計算条件でベルト張力を50
kgfとし、最大主応力の計算条件でベルト張力を0k
gf(心線トラス要素が全荷重を分担する)としたとき
の条件から求めた応力変動幅であり、一方縦軸は、ベル
ト張力を50kgfとし、その他の条件は前記解析条件
と同一である台上試験機を用いた走行実験によって得た
亀裂開始時間である。ここでは、走行実験によって得た
亀裂開始時間をそれぞれプロットして曲線で結んでい
る。その結果、例えばベルト形状Cにおいて、S−N寿
命曲線から導出した亀裂開始時間は140時間となり、
この亀裂開始時間は走行実験結果と略一致した。
【0056】なお、発明の実施の形態は、上記実施の形
態に限定されず、以下のように変更して実施してもよ
い。 (1)上述の実施の形態では、コグドVベルトの等価寿
命値として亀裂開始時間を用いたが、亀裂開始時間に代
えて、亀裂開始時間までの走行可能サイクル数、亀裂開
始時間までの走行可能距離、亀裂が進行してベルトが完
全に破断するまでの時間、または、そのときまでの走行
可能サイクル数や走行可能距離を等価寿命値としてもよ
い。 (2)上述の実施の形態は、予め求められて寿命予測装
置10に記憶された図6に示されたような応力変動幅と
亀裂開始時間との関係を利用したものであったが、本発
明はこれに限らず、寿命予測を行う際にその使用条件に
応じて改めて図6に示されたような応力変動幅と亀裂開
始時間との関係を求めるものであってもよい。 (3)上述した実施の形態では、最大主応力を求める際
のベルト張力を0kgfに固定したが、本発明は必ずし
もこれに限られるものではなく、最大主応力を求める際
のベルト張力を様々に変動させてもよい。 (4)上述した実施の形態における寿命予測方法におい
て、ステップS2とステップS3とは入れ替えることが
可能である。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1による
と、コグドVベルトのコグ谷における亀裂進展に起因す
る寿命の予測を正確に行うことが可能になる。また、請
求項2、5、8によると、設計段階において、コグドV
ベルトの形状および材質選定を適切且つ迅速に行うこと
が可能になる。
【0058】また、請求項3、6、9によると、有限要
素解析法を使用することで、コグドVベルトのコグ谷に
作用する繰り返し応力の変動幅を正確に算出できるた
め、より精度の高い寿命予測が可能となる。また、請求
項4、7、10によると、実際の使用状況に合致した精
度の高い寿命予測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コグドVベルトの一部破断斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るコグドVベルトの
寿命予測装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るコグドVベルトの寿
命予測方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】異なる断面形状を有する各種コグドVベルトの
詳細を示す図である。
【図5】有限要素解析法に基づくベルト張力と応力変動
幅との関係を示すグラフである。
【図6】走行実験結果に基づく応力変動幅と亀裂開始時
間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 コグドVベルト 2 圧縮ゴム層 3、6 コグ山 4、7 コグ谷 5 伸張ゴム層 8 接着ゴム層 9 心線 10 寿命予測装置 11 記憶部 12 最大主応力算出部 13 最小主応力算出部 14 応力変動幅算出部 15 亀裂開始時間導出部 16 データ記憶部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向
    に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成される
    コグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法におい
    て、 前記コグドVベルトが特定使用条件で使用されるときに
    前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主応力および最
    小主応力の差である応力変動幅と寿命との関係を示すデ
    ータを走行実験により得る走行実験ステップと、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主
    応力を算出する最大主応力算出ステップと、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主
    応力を算出する最小主応力算出ステップと、 前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コ
    グドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにお
    ける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算
    出ステップと、 前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動
    幅に基づいて、前記走行実験ステップで得られた応力変
    動幅と寿命との関係を示すデータを用いて前記コグドV
    ベルトの等価寿命値を導出する等価寿命値導出ステップ
    とを備えたことを特徴とするコグドVベルトの寿命予測
    方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向
    に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成される
    コグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測方法におい
    て、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主
    応力を算出する最大主応力算出ステップと、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主
    応力を算出する最小主応力算出ステップと、 前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コ
    グドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにお
    ける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算
    出ステップと、 前記応力変動幅算出ステップで算出された前記応力変動
    幅に基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件
    で使用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデ
    ータを用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出す
    る等価寿命値導出ステップとを備えたことを特徴とする
    コグドVベルトの寿命予測方法。
  3. 【請求項3】 前記最大主応力算出ステップおよび前記
    最小主応力算出ステップにおいて、前記圧縮ゴム層のコ
    グ谷に作用する前記最大主応力および前記最小主応力を
    それぞれ算出するために有限要素解析法が使用されるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のコグドVベル
    トの寿命予測方法。
  4. 【請求項4】 前記物性データが前記コグドVベルトの
    弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使用
    条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径
    および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコグドV
    ベルトの寿命予測方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向
    に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成される
    コグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測装置におい
    て、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主
    応力を算出する最大主応力算出手段と、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主
    応力を算出する最小主応力算出手段と、 前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コ
    グドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにお
    ける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算
    出手段と、 前記応力変動幅算出手段で算出された前記応力変動幅に
    基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使
    用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータ
    を用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等
    価寿命値導出手段とを備えたことを特徴とするコグドV
    ベルトの寿命予測装置。
  6. 【請求項6】 前記最大主応力算出手段および前記最小
    主応力算出手段において、前記圧縮ゴム層のコグ谷に作
    用する前記最大主応力および前記最小主応力をそれぞれ
    算出するために有限要素解析法が使用されることを特徴
    とする請求項5に記載のコグドVベルトの寿命予測装
    置。
  7. 【請求項7】 前記物性データが前記コグドVベルトの
    弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使用
    条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの径
    および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいること
    を特徴とする請求項5または6に記載のコグドVベルト
    の寿命予測装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも圧縮ゴム層にベルト長手方向
    に沿ってコグ山とコグ谷を交互に多数配して形成される
    コグ部を設けたコグドVベルトの寿命予測するための寿
    命予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記
    録媒体であって、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最大主
    応力を算出する最大主応力算出手段、 前記コグドVベルトの幾何データおよび物性データに基
    づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使用
    されるときに前記圧縮ゴム層のコグ谷に作用する最小主
    応力を算出する最小主応力算出手段、 前記最大主応力と前記最小主応力とに基づいて、前記コ
    グドVベルトが前記特定使用条件で使用されるときにお
    ける両者の差である応力変動幅を算出する応力変動幅算
    出手段、および、 前記応力変動幅算出手段で算出された前記応力変動幅に
    基づいて、前記コグドVベルトが前記特定使用条件で使
    用されたときの応力変動幅と寿命との関係を示すデータ
    を用いて前記コグドVベルトの等価寿命値を導出する等
    価寿命値導出手段としてコンピュータを機能させるため
    の寿命予測プログラムを記録したコンピュータ読取可能
    な記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記最大主応力算出手段および前記最小
    主応力算出手段において、前記圧縮ゴム層のコグ谷に作
    用する前記最大主応力および前記最小主応力をそれぞれ
    算出するために有限要素解析法が使用されることを特徴
    とする請求項8に記載のコンピュータ読取可能な記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 前記物性データが前記コグドVベルト
    の弾性係数およびポアソン比を含んでおり、前記特定使
    用条件が前記コグドVベルトが巻き付けられるプーリの
    径および回転数、ベルト張力、有効張力を含んでいるこ
    とを特徴とする請求項8または9に記載のコンピュータ
    読取可能な記録媒体。
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