JP4180822B2 - 背面テンションプーリ用エラストマー組成物、背面テンションプーリ及びベルト伝動装置 - Google Patents

背面テンションプーリ用エラストマー組成物、背面テンションプーリ及びベルト伝動装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、背面テンションプーリ用エラストマー組成物、このエラストマー組成物を設けた背面テンションプーリ、及びこの背面テンションプーリを備えたベルト伝動装置に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のベルト伝動装置に用いられるVベルトとして、上下面に多数のコグを有する平ベルトからなる左右1対の張力帯と、左右側部に嵌合溝を有する多数のブロックとからなり、各ブロックの左右の嵌合溝にそれぞれ張力帯を圧入して、各ブロックを各張力帯に対しそのコグによる凹凸関係を利用して噛合状態により係合固定してなる高負荷伝動用Vベルトは知られている(例えば特開2001―3994号、特開2000―120796号、実開平5―3692号の各公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の高負荷伝動用Vベルトにおいては、その張力帯と各ブロックとが物理的な噛合いによって固定されているので、ベルト走行過程でブロックから受ける応力や発熱により張力帯のコグが永久変形してしまうことがある。こうなると、ブロックの張力帯に対する固定度が低下してベルト走行中の騒音の増大を招くばかりでなく、このブロックの固定度の低下に伴ってベルト走行中のブロックの揺動が大きくなり、ブロックに過大な応力がかかって、ブロックが上下ビームの根元部分やピラーの上下中央部で折れてしまい、短時間でベルト破損に至るという問題がある。
【0004】
そして、この従来の高負荷伝動用Vベルトを用いたベルト伝動装置において、ベルトに背面から巻き付いてベルト張力を付与するための背面テンションプーリがあると、上記ブロックの固定度の低下や破損は、背面テンションプーリにベルトが巻き付く瞬間にプーリから受ける衝撃力や振動によりさらに加速される。
【0005】
しかも、ブロック表面の樹脂が上記背面テンションプーリとの接触部で欠けるという不具合が発生する。
【0006】
さらに、各ブロックにおけるベルト背面側の上端面(背面)が背面テンションプーリの軸線と非平行になって、背面テンションプーリのプーリ面に対する各ブロック上端面の平行度が例えば1〜2°だけずれると、ブロックの左右のベルト走行軌道長さが不均一になるため、ブロックに捩り力が働いてブロックが破損したり、ベルト進行方向に対するブロックの角度が90°からずれるという斜行現象(図9参照)から高負荷を伝動できなくなるという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記の如き高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられる背面テンションプーリの構造に改良を加えることで、その背面テンションプーリに起因するベルトのブロックの固定度の低下や破損、ブロック表面の樹脂の欠けを抑制し、さらにはブロックの斜行現象の発生をも低減しようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、背面テンションプーリにおいて高負荷伝動用Vベルトの背面に接触する接触層をエラストマーで形成するようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられた張力帯と、ベルト幅方向の側面に、上壁面に上記張力帯の上側被噛合部に噛合する上側噛合部を有する一方、下壁面に張力帯の下側被噛合部に噛合する下側噛合部を有する嵌合溝、並びに、該嵌合溝の上下両側に位置し、Vプーリの溝面に接触する上側及び下側接触部がそれぞれ設けられた多数のブロックとを備え、この各ブロックの嵌合溝に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に噛合状態により係合固定され、各ブロックは、樹脂層内に少なくとも上記上下の噛合部及び接触部が樹脂層で構成されるように埋設された補強部材を備えてなる高負荷伝動用Vベルト
が背面にて巻き掛けられ、該Vベルトに張力を付与する背面テンションプーリとして、少なくとも、上記Vベルトが上記ブロックで接触する外周面に、エラストマー組成物からなる接触層が形成されている。
【0010】
上記の構成によると、背面テンションプーリの少なくとも外周面の接触層がエラストマー組成物であるので、ベルトがブロックで背面テンションプーリに巻き付く瞬間にプーリから受ける衝撃力や振動が低減され、ベルトの発熱やブロックの揺動も抑制され、張力帯の永久変形が小さくなり、ブロックの固定度が維持される。これらの諸効果により、ブロックの折れやブロック背面の樹脂欠けが防止でき、ベルトの耐久寿命が向上するとともに、ブロックの固定度の維持によりベルト走行中の騒音も低減できる。さらに、背面テンションプーリのプーリ面とブロック背面の平行度のずれがプーリ表面のエラストマー組成物の変形により吸収されることによってブロックの斜行現象が防止され、ブロックの破損防止のみならず、ベルトの高負荷伝動性能が維持される。
【0011】
請求項2の発明では、上記背面テンションプーリにおけるエラストマー組成物の貯蔵弾性率(静荷重0.29MPa、動歪1%、温度25℃、周波数10Hz)は30MPa〜300MPa、つまり30MPa以上でかつ300MPa以下とする。この場合も、上記請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0012】
上記エラストマー組成物の貯蔵弾性率が30MPa未満であると、その貯蔵弾性率は低くなり過ぎ、ブロックの接触圧力による接触層のエラストマー組成物の変形が大きくなる。そのため、発熱が大きくなるとともに、ブロックにより繰り返し受ける圧力により大きな繰返し歪みを発生し、エラストマー組成物表面に早期に微小亀裂や摩耗を生じる結果となり、エラストマー組成物からなる接触層(背面テンションプーリ自体)の早期破壊を招くことになる。一方、貯蔵弾性率が300MPaよりも大きいと、その貯蔵弾性率は高くなり過ぎ、ブロックが背面テンションプーリに衝突した際に、接触層のエラストマー組成物による衝撃吸収性能が乏しくなるため、ブロックに衝撃力が加わって振動やブロックの早期破損を生じる虞れがある。これらにより、エラストマー組成物の貯蔵弾性率は30MPa〜300MPaとされている。
【0013】
請求項3の発明では、上記背面テンションプーリにおけるエラストマー組成物のJIS−C規格によるゴム硬度は50〜90、つまり50以上で90以下とする。この場合も、上記請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0014】
そして、上記エラストマー組成物のゴム硬度が50未満であると、背面テンションプーリの摩耗量が多くなって該プーリそのものの耐久性が低下する一方、90を越えると、背面テンションプーリの振動が大きく、ベルトのブロックの固定度の低下も大きくなるので、ゴム硬度は50〜90とされている。
【0015】
請求項4の発明では、上記背面テンションプーリにおけるエラストマー組成物は、ジアクリル酸亜鉛又はジメタクリル酸亜鉛を含む重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物からなることを特徴とする。
【0016】
この発明によっても上記請求項1の発明と同様の作用効果が得られる。特に、ジメタクリル酸亜鉛やジアクリル酸亜鉛のようなカルボン酸金属塩モノマーで補強されているパーオキサイド架橋系ゴム組成物により、背面テンションプーリの接触層の耐摩耗性を高めてプーリの耐久性を向上することができる
【0017】
請求項の発明では、上記請求項1〜のいずれか1つの発明の背面テンションプーリを備えたベルト伝動装置を設ける。このことで、上記請求項1の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0018】
請求項の発明は、張力帯と、この張力帯に噛合状態により係合固定された多数のブロックとからなる高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられて該Vベルトに張力を付与する背面テンションプーリに対し、少なくとも上記Vベルトが上記ブロックで接触する外周面の接触層に形成される背面テンションプーリ用エラストマー組成物の発明であり、上記高負荷伝動用Vベルトは、上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられた張力帯と、ベルト幅方向の側面に、上壁面に上記張力帯の上側被噛合部に噛合する上側噛合部を有する一方、下壁面に張力帯の下側被噛合部に噛合する下側噛合部を有する嵌合溝、並びに、この嵌合溝の上下両側に位置し、Vプーリの溝面に接触する上側及び下側接触部がそれぞれ設けられた多数のブロックとを備え、この各ブロックの嵌合溝に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に噛合状態により係合固定され、上記各ブロックは、樹脂層内に少なくとも上記上下の噛合部及び接触部が樹脂層で構成されるように埋設された補強部材を備えてなる。
【0019】
そして、請求項の発明では、そのエラストマー組成物の貯蔵弾性率が30MPa〜300MPaであることを特徴とする。この場合、上記請求項2の発明と同様の作用効果が得られる。
【0020】
請求項の発明では、上記背面テンションプーリ用のエラストマー組成物として、そのJIS−C規格によるゴム硬度は50〜90であることを特徴とする。この場合も、上記請求項3の発明と同様の作用効果が得られる。
【0021】
請求項の発明では、上記背面テンションプーリ用のエラストマー組成物として、ジアクリル酸亜鉛又はジメタクリル酸亜鉛を含む重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物からなることを特徴とする。このことで、上記請求項4の発明と同様の作用効果を奏することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機Tを示し、この無段変速機Tの基本構造は、例えば特開平3―79845号公報や特開2001―263441号公報等に示されるように公知の構造のもので、このベルト式無段変速機Tは本発明でいうベルト伝動装置を構成している。
【0023】
すなわち、上記ベルト式無段変速機Tの概略構造を説明すると、無段変速機Tは駆動軸1と、この駆動軸1に平行に配置された従動軸2とを備え、駆動軸1上には駆動プーリ3が、また従動軸2上には従動プーリ4がそれぞれ設けられている。これら駆動及び従動プーリ3,4は、いずれも各軸1,2上に回転一体にかつ摺動不能に固定された固定シーブ5と、各軸1,2上に摺動可能に支持され、固定シーブ5との間に断面V字状のベルト溝7を形成する可動シーブ6とを有する変速プーリ(Vプーリ)からなる。そして、図示しないが、各プーリ3,4にはその可動シーブ6を軸方向に駆動するためのカム機構が設けられており、この各カム機構により各プーリ3,4の可動シーブ6を固定シーブ5に対し接離させることで、プーリ3,4でのベルト巻付け径を可変とするようにしている。
【0024】
さらに、上記駆動及び従動プーリ3,4のベルト溝7,7間にはブロックタイプの高負荷伝動用Vベルト10が巻き掛けられている。また、上記各プーリ3,4のカム機構同士はリンク機構により連結されていて互いに連動するようになっており、駆動プーリ3の回転をVベルト10を介して従動プーリ4に伝達するとともに、上記両カム機構の連動により、両プーリ3,4のベルト巻付け径を互いに逆方向に変えて変速し、図1(a)に示すように、駆動プーリ3の巻付け径を従動プーリ4よりも大きくしたときには増速状態とし、逆に、図1(b)に示す如く、駆動プーリ3の巻付け径を従動プーリ4よりも小さくしたときには減速状態とする。
【0025】
また、上記駆動及び従動プーリ3,4間には、両プーリ3,4間に位置する上記Vベルト10の一方のスパンを上面(背面)から押圧してベルト10に張力を付与する平プーリからなる背面テンションプーリ26(背面アイドラプーリ)が配置されている。このテンションプーリ26はテンションアーム31の先端部に駆動軸1及び従動軸2と平行に延びる支持軸30により支持され、テンションアーム31の基端部は例えば駆動軸1回りに揺動可能に支持されている。また、テンションアーム31の先端部近傍と図外の固定体との間には引張ばねからなるテンションスプリング33が伸装されており、このテンションスプリング33によりテンションアーム31を図1で時計回り方向に回動付勢して背面テンションプーリ26をベルト10背面側から押圧することで、そのベルト10に張力を付与するようにしている。
【0026】
そして、上記Vベルト10は、駆動及び従動プーリ3,4に対し、ベルト10の厚さ方向上下面のうち下面(内面)の曲げ径が上面よりも小さくなるように正曲げ状態で巻き付けられるのに対し、テンションプーリ26には、ベルト10の上面で当接して該上面の曲げ径が下面よりも小さくなるように逆曲げ状態(図1参照)により巻き付けられる。
【0027】
上記Vベルト10は、図4及び図5に拡大して示すように、左右1対のエンドレスの張力帯11,11と、この張力帯11,11にベルト長さ方向に連続的に一定のピッチで係合固定された多数のブロック17,17,…とからなる。図7にも示すように、上記各張力帯11は、硬質ゴムからなる保形層11aの内部に、ベルト10の伸びを抑えるためにアラミド繊維等の高強度高弾性率の複数の心線11b,11b,…(心体)がスパイラル状に配置されて埋設されたもので、この各張力帯11の上面には各ブロック17に対応してベルト幅方向に延びる一定ピッチの上側被噛合部としての溝状の上側凹部12,12,…が、また下面には上記上側凹部12,12,…に対応してベルト幅方向に延びる一定ピッチの下側被噛合部としての溝状の下側凹部13,13,…がそれぞれ形成されている。また、張力帯11の上下表面には、その耐摩耗性を向上させる等の目的で帆布14,14が接着されている。
【0028】
上記保形層11aをなす硬質ゴムは、例えばメタクリル酸亜鉛を強化されたH−NBRゴムに、さらにアラミド繊維、ナイロン繊維等の短繊維を強化することで、耐熱性に優れかつ永久変形し難い硬質ゴムが用いられる。この硬質ゴムの硬さは、JIS−C硬度計で測定したときに75°以上のゴム硬度が必要である。
【0029】
一方、図6にも示すように、各ブロック17は、ベルト幅方向左右側部に上記各張力帯11を幅方向から着脱可能に嵌装せしめる切欠き溝状の嵌合溝18,18を有する。この各嵌合溝18を除いた左右側面は上記駆動及び従動プーリ3,4のベルト溝7側面に接触する接触部21,21に構成され、このブロック17の左右の接触部21,21同士がなすベルト角度は、プーリ3,4のベルト溝7側面間の角度と同じとされている。そして、各ブロック17は、ベルト幅方向(左右方向)に延びる上側及び下側ビーム17a,17bと、該両ビーム17a,17bの左右中央部同士を上下に接続するピラー17cとからなる略H字状のものに形成されており、各ブロック17の嵌合溝18,18にそれぞれ張力帯11,11を圧入して嵌合することで、ブロック17,17,…が張力帯11,11にベルト長さ方向に連続的に一定のピッチ(ブロックピッチ)で固定されている。
【0030】
すなわち、上記各ブロック17における各嵌合溝18の上壁面には上記張力帯11上面の各上側凹部12に噛合する上側噛合部としての凸条からなる上側凸部19が、また嵌合溝18の下壁面には張力帯11下面の各下側凹部13に噛合する下側噛合部としての凸条からなる下側凸部20がそれぞれ互いに平行に配置されて形成されており、この各ブロック17の上下の凸部19,20をそれぞれ張力帯11の上下の凹部12,13に噛合せしめることで、ブロック17,17,…を張力帯11,11にベルト長さ方向に圧入により係合固定し、この係合状態で各張力帯11の外側側面と各ブロック17の側面である接触部21との双方が駆動又は従動プーリ3,4のベルト溝7側面に接触するとともに、ブロック17の上下の凸部19,20(噛合部)と各張力帯11の上下の凹部12,13(被噛合部)との噛合によって動力授受が行われるようになされている。
【0031】
上記各ブロック17は、フェノール樹脂等の硬質樹脂層22中にそれよりも高い弾性率材料である軽量アルミニウム合金等の補強材23をブロック17の略中央部に位置するように埋め込んでなり、この補強材23は、各ブロック17と同様に略H字状のものに形成されている。このことで、ブロック17は、嵌合溝18の周囲部分(張力帯11との噛合い面)及び接触部21,21(駆動及び従動プーリ3,4のベルト溝7側面との摺動接触部分)を形成する硬質樹脂層22と、残りの部分を形成する補強材23とで構成されている。補強材23は、嵌合溝18の周囲部分と左右側面の接触部21,21とにおいてブロック17表面に顕れないようにしておけばよく、その他の部分ではブロック17表面に露出していてもよい。
【0032】
さらに、予め、上記硬質ゴムからなる張力帯1の上下の凹部12,13間の噛合厚さt2、つまり図7に示す如く上側凹部12の底面(詳しくは上側帆布14の上表面)と該上側凹部12に対応する下側凹部13の底面(同下側帆布14の下表面)との間の距離が、ブロック17の噛合隙間t1、つまり図6に示すように各ブロック17の上側凸部19下端と下側凸部20上端との間の距離よりも例えば0.03〜0.15mm程度だけ若干大きく(t2>t1)設定されており、各ブロック17の張力帯11への組付時に張力帯11がブロック17により厚さ方向に圧縮されて組み付けられ、このことで初期締め代t2−t1(ブロック17に対する張力帯11の初期圧入代)が設けられている。
【0033】
また、上記各ブロック17の略下半部、つまりブロック17の上下中央部から下端部までの部分は、ベルト長さ方向(図6で左右方向)に沿った寸法である厚さが下端に向かって次第に小さくなるように所定のテーパ角で傾斜した先細りテーパ状に形成されており、駆動及び従動プーリ3,4にVベルト10が正曲げ状態で巻き付けられたときに、隣接するブロック17,17の下端部同士が互いに接触により干渉しないようにしている。
【0034】
一方、各ブロック17の略上半部、つまりブロック17の上下中央部から上端部までの部分についても、厚さが上端に向かって次第に小さくなるように所定のテーパ角で傾斜した先細りテーパ状に形成されており、背面テンションプーリ26にVベルト10が逆曲げ状態で巻き付けられたときに、隣接するブロック17,17の上端部同士が互いに接触により干渉しないようにしている。
【0035】
本発明の特徴は上記背面テンションプーリ26にある。すなわち、上記高負荷伝動用Vベルト10を高性能で長寿命なベルトとするために、図3に示すように、この背面テンションプーリ26は、剛体としてのアルミニウム等の金属からなる円柱状のプーリ本体27と、このプーリ本体27の外周面に一体的に接着固定されたエラストマー組成物からなる接触層28とを備えてなる。よって、背面テンションプーリ26において、Vベルト10が接触する外周面の接触層28がエラストマー組成物で形成されている。
【0036】
上記接触層28をなすエラストマー組成物は、ジアクリル酸亜鉛やジメタクリル酸亜鉛からなる重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物からなるものとするのが好ましい。
【0037】
また、上記エラストマー組成物は、貯蔵弾性率が30MPa〜300MPa(30MPa以上300MPa以下)の範囲のものであるか、又はJIS−C規格によるゴム硬度が50〜90(50以上90以下)の範囲のものである。このエラストマー組成物の貯蔵弾性率が30MPa未満であると、その貯蔵弾性率は低くなり過ぎ、ブロック17の接触圧力による接触層28のエラストマー組成物の変形が大きくなるため、発熱が大きくなるとともに、ブロック17により繰り返し受ける圧力により大きな繰返し歪みを発生して、エラストマー組成物表面に早期に微小亀裂や摩耗を生じ、エラストマー組成物からなる接触層28(背面テンションプーリ26自体)の早期破壊を招く。一方、貯蔵弾性率が300MPaよりも大きいと、その貯蔵弾性率は高くなり過ぎ、ブロック17が背面テンションプーリ26に衝突した際に、接触層28のエラストマー組成物による衝撃吸収性能が乏しくなるため、ブロック17に衝撃力が加わって振動やブロック17の早期破損を生じる虞れがある。よって、エラストマー組成物の貯蔵弾性率は30MPa〜300MPaとされている。
【0038】
これに対し、ゴム硬度については、エラストマー組成物のゴム硬度が50未満であると、背面テンションプーリ26の摩耗量が多くなって該プーリ26そのものの耐久性が低下する一方、90を越えると、背面テンションプーリ26の振動が大きく、ベルト10のブロック17の固定度の低下も大きくなるので、ゴム硬度は50〜90とされている。
【0039】
したがって、上記実施形態においては、無段変速機Tの運転中、駆動及び従動プーリ3,4間でVベルト10が走行し、このVベルト10を介して駆動プーリ3の回転が従動プーリ4に伝達されるとともに、両プーリ3,4のベルト巻付け径を変えて駆動軸1及び従動軸2の間の速比が切り換えられる。また、上記両プーリ3,4間のVベルト10は上面(背面)にてテンションプーリ26により押圧され、このことでベルト10に張力が付与される。
【0040】
そのとき、上記背面テンションプーリ26の最外層の接触層28がエラストマー組成物であるので、Vベルト10の走行中にベルト10が背面テンションプーリ26に巻き付く瞬間にプーリ26から受ける衝撃力や振動が低減され、ベルト10の発熱やブロック17の揺動も抑制され、張力帯11の永久変形が小さくなり、ブロック17の固定度が維持される。これらの効果により、ブロック17の折れやブロック17背面の樹脂欠けが防止でき、ベルト10の耐久寿命が向上するとともに、ブロック17の固定度の維持によりベルト10の走行中の騒音も低減される。
【0041】
さらに、背面テンションプーリ26のプーリ面とベルト10のブロック17背面の平行度のずれがプーリ26外層のエラストマー組成物からなる接触層28の変形により吸収されるので、ブロック17の斜行現象が防止され、ブロック17の破損防止のみならず、ベルト10の高負荷伝動性能が維持される。
【0042】
また、上記背面テンションプーリ26表面における接触層28のエラストマー組成物の貯蔵弾性率が30MPa以上でかつ300MPa以下の範囲にあり、又はゴム硬度(JISC)が50以上でかつ90以下の範囲にあるので、高負荷伝動用Vベルト10の高性能化及び長寿命化と、背面テンションプーリ26自身の耐摩耗性確保による耐久性とをバランスさせることができる。
【0043】
さらに、上記背面テンションプーリ26表面における接触層28のエラストマー組成物が、ジアクリル酸亜鉛やジメタクリル酸亜鉛よりなる重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物からなるので、上記弾性率と耐摩耗性とを両立させることができる。
【0044】
尚、上記実施形態では、張力帯11の上面に被噛合部としての上側凹部12を、また各ブロック17の嵌合溝18の上面に上記張力帯11の上側凹部12に噛合する噛合部としての上側凸部19をそれぞれ形成しているが、その他、例えば張力帯11の上面に被噛合部としての上側凸部を、また各ブロック17の嵌合溝18の上面に張力帯11上面の上側凸部に噛合する噛合部としての上側凹部をそれぞれ設けてもよい。さらに、張力帯11の下面に被噛合部としての下側凸部を、また各ブロック17の嵌合溝18の下面に張力帯11下面の下側凸部に噛合する噛合部としての下側凹部をそれぞれ設けることもできる。また、本発明は、このような構成の高負荷伝動用Vベルト10に限らず、張力帯と、該張力帯に噛合状態により係合固定された多数のブロックとからなる高負荷伝動用Vベルトであれば適用することができる。
【0045】
また、上記実施形態では、背面テンションプーリ26の外周面に接触層28を設けてそれをエラストマー組成物で形成しているが、背面テンションプーリ26の全体をエラストマー組成物で形成することもできる。
【0046】
さらに、上記実施形態では、ベルト伝動装置としてベルト式無段変速機Tを説明しているが、本発明は、上記の如き無段変速機T以外の他のベルト伝動装置にも適用できるのはいうまでもない。
【0047】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0048】
(ベルト)
ベルトは、上記実施形態に示す構造の高負荷伝動用Vベルト(図4〜図7参照)を用いた。各ブロックの左右の接触部同士がなすベルト角度は26°、ベルトピッチは30mm、ベルト長さ方向のブロックピッチは3mm、ブロックの上下中央部での厚さは2.95mm、ベルト長さは750mm、ブロックと張力帯との間の初期締め代は0.07mmとした。
【0049】
このVベルトに使用されるブロックは、2024合金(アルミニウム合金)からなる補強材と、カーボンファイバー及びアラミド繊維を複合したフェノール樹脂とからなる。張力帯は、アラミド短繊維(帝人株式会社製の商品名「テクノーラ」)及びナイロン短繊維を複合したメタクリル酸亜鉛強化H−NBRからなる保形ゴム(保形層)と、心線(テクノーラ製の撚り糸)と、帆布とで構成した。この帆布としては、伸長した状態でウレタン糸にテクノーラを巻き付けて伸縮性を与えたカバーリング糸をベルト長さ方向に用いる一方、ベルト幅方向はナイロン糸を用いた構造を有するテクノーラ/ナイロン帆布原反に対し、エポキシ樹脂とレゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)とによる接着処理を施した後、パーオキサイド架橋メタクリル酸亜鉛強化H−NBRを主体としたゴム組成物を溶剤に溶解させて作成した糊ゴムの含浸させ乾燥したものを使用した。
【0050】
(背面テンションプーリ)
背面テンションプーリとして、21の実施例と2つの比較例とを作製した。実施例1〜21に用いたプーリは、直径58mmのアルミニウム製平プーリ(プーリ本体)の最外層に、エラストマー組成物をロールミルで1mm厚シートに加工したものを2層巻き付け、170℃、20分の条件でプレス成形により一体化することで、最終的に最外層にエラストマー組成物を有する直径62mmの平プーリを作製した。尚、その際、エラストマーの圧延方向がプーリの幅方向に平行となるように成形した。
【0051】
上記実施例1〜21で用いたエラストマー組成物の配合を表1に、またこの表1における配合材料の詳細を表2にそれぞれ示す。実施例1〜19は、ジメタクリル酸亜鉛で補強されたゴム組成物であり、弾性率及びゴム硬度を変化させるためにシリカや短繊維での補強が必要に応じてなされている。実施例20は、ジアクリル酸亜鉛で補強されたゴム組成物である。実施例21はジメタクリル酸亜鉛やジアクリル酸亜鉛等では補強されていないゴム組成物である。
【0052】
これに対し、比較例1,2の背面テンションプーリは直径62mmのアルミニウム製平プーリとし、その外周面(ベルトとの接触面)はアルミニウムそのものである。
【0053】
【表1】
Figure 0004180822
【0054】
【表2】
Figure 0004180822
【0055】
(ゴム硬度)
上記実施例1〜21で用いた各エラストマー組成物の1mm厚シートを170℃、20分の条件でゴム板をプレス成形し、このゴム板を用いてゴム硬度(JIS−C)を測定した。その測定結果を上記表1に付記している。
【0056】
(弾性率)
さらに、実施例1〜21に係る各エラストマー組成物のゴム板について、その圧延方向と直角をなす角度の引張弾性率(貯蔵弾性率)を所定の条件(装置:Rheometrics社製RSAII、引張モード、静荷重0.29MPa(3kgf/cm)、動歪1%、温度25℃、周波数10Hz)で測定した。その測定結果も表1に付記する。
【0057】
(ベルト走行試験)
上記実施例1〜21及び比較例1,2の各背面テンションプーリを図8に示すベルト走行試験装置に組み込み、高負荷伝動用Vベルトを走行させた。すなわち、この試験装置は、
下壁の右端部に熱風入口40aが、また上壁の左端部に熱風出口40bがそれぞれ開口した耐熱ボックス40を有する。この耐熱ボックス40内の左側部(熱風出口40b側)には駆動軸1に設けた定速Vプーリからなる駆動プーリ3′が、また右側部には従動軸2に設けた定速Vプーリからなる従動プーリ4′がそれぞれ配置され、これら両プーリ3′,4′間にベルト10を巻き架ける。また、耐熱ボックス40内の左端部において駆動軸1及び従動軸2を通る平面上に、略く字状に折れ曲がったテンションアーム31の基端部を支持し、このテンションアーム31の先端部に実施例及び比較例の各背面テンションプーリ26を軸支し、テンションアーム31の先端部近傍に引張ばねからなるテンションスプリング33の一端部を引っ掛け、このテンションスプリング33の他端部を両プーリ3′,4′下側の耐熱ボックス40内壁に係止し、このテンションスプリング33によりテンションアーム31を図8で時計回り方向に回動付勢して背面テンションプーリ26をベルト10背面側から押圧し、ベルト10に張力を付与するようにした。テンションスプリング33のばね力は背面テンションプーリ26がベルト10を500Nで押圧するように設定した。
【0058】
そして、耐熱ボックス40内に熱風入口40aから熱風を送ってそれを熱風出口40bから排出させながら各ベルト10を走行させ、この走行試験により、 1 ベルトの表面温度、 2 締め代、 3 背面テンションプーリの振動測定、 4 ベルト騒音測定、 5 ブロックの斜行測定、 6 ブロック樹脂背面の欠け、 7 背面テンションプーリの摩耗量、 8 ブロックの折れ寿命及び 9 ブロックの樹脂摩耗速度の各々の評価を行った。尚、以上の試験条件等を表3に示す。
【0059】
【表3】
Figure 0004180822
【0060】
1 ベルト表面温度
走行開始後100時間の時点でのベルト走行中の張力帯側面の温度を非接触温度計で測定した。
【0061】
2 締め代
走行開始後300時間の時点で一度ベルト10を取り外し、張力帯の噛合厚さとブロックの噛合隙間とを測定し、それらの差により締め代を求めた。
【0062】
3 テンションプーリの振動測定
テンションアーム31の先端近傍に加速度計41を取り付け(図8参照)、ベルト走行初期(走行開始から1時間後)と300時間後との各走行中の振動を測定し、振動波形をフーリエ解析することにより、ブロックのピッチ周波数での振動を求めた。データは加速度で表現した。
【0063】
4 ベルト騒音測定
ベルト走行開始後300時間の時点での走行中のベルト騒音を測定した。すなわち、ベルト10が従動プーリ4′から出る位置に対し50mm離れた位置にマイク42を配置し、このマイク42により騒音を測定した。測定結果は、比較例1での騒音値(dB)に対する各例での騒音値の割合を百分率で表した相対値として示す。
【0064】
5 ブロックの斜行測定
300時間の走行後、試験装置より取り外したベルトの斜行度を測定した。この斜行度は、図9に示すように、ベルト走行前のブロック17の挿入角度(ベルト走行方向に対して直角)より傾いた角度αとして求めた。
【0065】
6 ブロック樹脂背面の欠け
300時間のベルト走行後、ブロック背面の樹脂欠けの有無を目視にて確認した。
【0066】
7 背面テンションプーリの摩耗量
300時間のベルト走行後、試験装置よりテンションプーリを取り出して重量を測定し、その走行前の重量との差より摩耗量を求めた。
【0067】
8 ブロック折れ寿命
300時間のベルト走行後に行う上記の各評価 2 )、( 5 )、( 6 )、( 7 が終了した後、再びベルトを試験装置に戻し、その後、ブロックが破損するまでベルト走行を続けた。ブロックが破損した時点の総走行時間をブロック折れ寿命とした。
【0068】
9 ブロック樹脂摩耗速度
全ての測定が終了した後、ベルトより破損していない部分のブロックを取り出し、走行後のブロックの幅及び高さを走行前と比較することにより、ブロックの樹脂摩耗量(長さ単位)を求めた。この摩耗量を総走行時間で除することにより、単位走行時間当たりの樹脂摩耗量とした。
【0069】
以上の各実施例及び各比較例での結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
Figure 0004180822
【0071】
この表4において、背面テンションプーリの最外層にエラストマー組成物を用いた実施例と、最外層がアルミニウムである比較例とを比較すると、実施例はいずれもベルト発熱が低く、締め代の低下も小さく、ブロックの固定度が良好であるといえる。さらにベルト走行中の騒音も低く、ブロックの背面樹脂の欠けもなく、ブロック折れ寿命が長く、樹脂摩耗速度も遅く、テンションプーリの振動も低くて良好であることが判る。
【0072】
比較例1及び比較例2を比べると、背面テンションプーリとベルト背面の平行度を2度ずらした比較例2はブロックの斜行が起こっており、全ての評価項目で比較例1よりも悪くなっている。
【0073】
これに対し、実施例1〜21では上記平行度を2度ずらしているにも拘わらず斜行が起こっておらず、上述したように良好な結果が得られた。
【0074】
図10は、各実施例についてゴム硬度と背面テンションプーリの摩耗量との関係を示す。この結果によれば、ゴム硬度が50を下回ると(実施例1参照)、プーリの摩耗量が多くなり、プーリそのものの耐久性に問題が生じると考えられる。また、表1からゴム硬度が91の実施例12は他の実施例に比べ、テンションプーリの振動が大きく、締め代の低下も大きいことが判る。従って、ゴム硬度は50以上でかつ90以下が望ましいことが裏付けられた。
【0075】
図11は、各実施例について弾性率と背面テンションプーリの摩耗量との関係を示しており、弾性率に関して同様の議論によると、この図11及び表1のデータから弾性率の適切な範囲は30MPa以上でかつ300MPa以下であることが判る。
【0076】
尚、実施例21はジメタクリル酸亜鉛やジアクリル酸亜鉛で補強されていない。そして、図10及び図11によれば、この実施例21に係る背面テンションプーリの摩耗は、同じレベルのゴム硬度及び弾性率を持つ他の実施例よりも多いことが明らかであり、プーリ自身の耐久性に若干の問題がある。従って、ジメタクリル酸亜鉛やジアクリル酸亜鉛のようなカルボン酸金属塩モノマーで補強されている組成物が良好な耐摩耗性を持っており、この組成物を用いることで背面テンションプーリの耐久性を高め得ることができて望ましい。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜の発明によると、張力帯に噛合状態により係合固定された多数のブロックを備えてなる高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられてVベルトに張力を付与する背面テンションプーリに対し、その少なくとも、Vベルトがブロックにて接触する外周面の接触層をエラストマー組成物で形成したことにより、プーリに高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き付くときのプーリからベルトに作用する衝撃力や振動を小さくして、ベルトにおけるブロックの張力帯に対する固定度の低下や破損を抑制できるとともに、ブロック表面の樹脂がプーリとの接触により欠けるのを防止でき、さらにはブロックの斜行現象を抑制して、高負荷伝動用Vベルトの高性能化及び長寿命化を図ることができる。
【0078】
特に、請求項4又はの発明によると、上記エラストマー組成物は、ジアクリル酸亜鉛又はジメタクリル酸亜鉛を含む重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物としたので、背面テンションプーリの接触層の耐摩耗性を高めてその耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るベルト式無段変速機の模式正面図である。
【図2】 無段変速機の概略平面図である。
【図3】 背面テンションプーリの拡大正面図である。
【図4】 高負荷伝動用Vベルトの拡大斜視図である。
【図5】 図4のV−V線拡大断面図である。
【図6】 ブロックの拡大側面図である。
【図7】 張力帯の拡大側面図である。
【図8】 ベルト走行試験装置の概略正面図である。
【図9】 ブロックの斜行を示す平面図である。
【図10】 ゴム硬度とプーリ摩耗量との関係を示す特性図である。
【図11】 弾性率とプーリ摩耗量との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
T ベルト式無段変速機(ベルト伝動装置)
1 駆動軸
2 従動軸
3 駆動プーリ
4 従動プーリ
10 高負荷伝動用Vベルト
11 張力帯
12 上側凹部(上側被噛合部)
13 下側凹部(下側被噛合部)
17 ブロック
18 嵌合溝
19 上側凸部(上側噛合部)
20 下側凸部(下側噛合部)
21 接触部
22 硬質樹脂層
23 補強材
26 背面テンションプーリ
27 プーリ本体
28 接触層

Claims (8)

  1. 上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられた張力帯と、ベルト幅方向の側面に、上壁面に上記張力帯の上側被噛合部に噛合する上側噛合部を有する一方、下壁面に張力帯の下側被噛合部に噛合する下側噛合部を有する嵌合溝、並びに、該嵌合溝の上下両側に位置し、Vプーリの溝面に接触する上側及び下側接触部がそれぞれ設けられた多数のブロックとを備え、該各ブロックの嵌合溝に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に噛合状態により係合固定され、上記各ブロックは、樹脂層内に少なくとも上記上下の噛合部及び接触部が樹脂層で構成されるように埋設された補強部材を備えてなる高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられ、該Vベルトに張力を付与する背面テンションプーリであって、
    少なくとも、上記Vベルトが上記ブロックで接触する外周面に、エラストマー組成物からなる接触層が形成されていることを特徴とする背面テンションプーリ。
  2. 請求項1の背面テンションプーリにおいて、
    エラストマー組成物の貯蔵弾性率が30MPa〜300MPaであることを特徴とする背面テンションプーリ。
  3. 請求項1の背面テンションプーリにおいて、
    エラストマー組成物のJIS−C規格によるゴム硬度が50〜90であることを特徴とする背面テンションプーリ。
  4. 請求項1の背面テンションプーリにおいて、
    エラストマー組成物は、ジアクリル酸亜鉛又はジメタクリル酸亜鉛を含む重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物からなることを特徴とする背面テンションプーリ。
  5. 請求項1〜のいずれか1つの背面テンションプーリを備えたことを特徴とするベルト伝動装置。
  6. 上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられた張力帯と、ベルト幅方向の側面に、上壁面に上記張力帯の上側被噛合部に噛合する上側噛合部を有する一方、下壁面に張力帯の下側被噛合部に噛合する下側噛合部を有する嵌合溝、並びに、該嵌合溝の上下両側に位置し、Vプーリの溝面に接触する上側及び下側接触部がそれぞれ設けられた多数のブロックとを備え、該各ブロックの嵌合溝に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に噛合状態により係合固定され、上記各ブロックは、樹脂層内に少なくとも上記上下の噛合部及び接触部が樹脂層で構成されるように埋設された補強部材を備えてなる高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられて該Vベルトに張力を付与する背面テンションプーリに対し、少なくとも上記Vベルトが上記ブロックで接触する外周面の接触層に形成されるエラストマー組成物であって、
    貯蔵弾性率が30MPa〜300MPaであることを特徴とする背面テンションプーリ用エラストマー組成物。
  7. 上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられた張力帯と、ベルト幅方向の側面に、上壁面に上記張力帯の上側被噛合部に噛合する上側噛合部を有する一方、下壁面に張力帯の下側被噛合部に噛合する下側噛合部を有する嵌合溝、並びに、該嵌合溝の上下両側に位置し、Vプーリの溝面に接触する上側及び下側接触部がそれぞれ設けられた多数のブロックとを備え、該各ブロックの嵌合溝に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に噛合状態により係合固定され、上記各ブロックは、樹脂層内に少なくとも上記上下の噛合部及び接触部が樹脂層で構成されるように埋設された補強部材を備えてなる高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられて該Vベルトに張力を付与する背面テンションプーリに対し、少なくとも上記Vベルトが上記ブロックで接触する外周面の接触層に形成されるエラストマー組成物であって、
    JIS−C規格によるゴム硬度が50〜90であることを特徴とする背面テンションプーリ用エラストマー組成物。
  8. 上下面にそれぞれベルト長さ方向に並ぶ多数の上側被噛合部及び下側被噛合部が上下に対応して設けられた張力帯と、ベルト幅方向の側面に、上壁面に上記張力帯の上側被噛合部に噛合する上側噛合部を有する一方、下壁面に張力帯の下側被噛合部に噛合する下側噛合部を有する嵌合溝、並びに、該嵌合溝の上下両側に位置し、Vプーリの溝面に接触する上側及び下側接触部がそれぞれ設けられた多数のブロックとを備え、該各ブロックの嵌合溝に張力帯を嵌合することにより、各ブロックが張力帯に噛合状態により係合固定され、上記各ブロックは、樹脂層内に少なくとも上記上下の噛合部及び接触部が樹脂層で構成されるように埋設された補強部材を備えてなる高負荷伝動用Vベルトが背面にて巻き掛けられて該Vベルトに張力を付与する背面テンションプーリに対し、少なくとも上記Vベルトが上記ブロックで接触する外周面の接触層に形成されるエラストマー組成物であって、
    ジアクリル酸亜鉛又はジメタクリル酸亜鉛を含む重合可能なカルボン酸金属塩モノマーで補強されたパーオキサイド架橋系ゴム組成物からなることを特徴とする背面テンションプーリ用エラストマー組成物。
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