JP3642327B2 - フォトマスクの設計方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトリソグラフィー技術において用いられるフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法、フォトマスクの設計方法、露光方法、並びに半導体装置の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メモリ素子、論理演算素子、CCD素子、LCD駆動素子等の各種の半導体装置の作製方法におけるパターン転写工程、所謂フォトリソグラフィー工程においては、露光量、マスク線幅誤差許容量、許容デフォーカス量といったプロセスパラメータの設定を行なう場合、数点のプロセスパラメータの組合せを選択する。そして、ウエハから成る基体上に形成された転写パターンを評価して、数点のプロセスパラメータの組合せ中から最良のものを選択し、実際のフォトリソグラフィー工程に適用する。尚、以下、特に断りがない限り、ウエハから成る基体上に形成されたレジストを単にレジストと表現する。また、転写パターンとは、フォトマスクに形成されたパターンを例えばウエハから成る基体上に形成されたレジストに転写したとき、レジストに形成された若しくは形成されるであろうパターンを意味する。
【0003】
近年、半導体装置の微細化に伴い、フォトマスクに形成された微細なパターンを所望のプロセス裕度でレジストに転写することが困難になりつつある。ここで、プロセス裕度とは、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度を意味する。更には、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とは、露光光の露光量、デフォーカス量及びマスクのパターンサイズのそれぞれの、フォトマスク作製工程や露光工程における許容誤差量(許容変動量)を意味する。
【0004】
従来、プロセス裕度を評価するには、ED−Tree法と呼ばれる方法が多く用いられている。この方法により、露光光の露光量裕度とデフォーカス裕度の適切な組合せを簡便に得ることができる。また、近年、露光量裕度とデフォーカス裕度に加えて、マスク線幅裕度も同時に評価できるEDM法も用いられるようになっている。EDM法においては、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の3つの裕度の内、1つの裕度を最適化することが行なわれる。
【0005】
即ち、露光光の露光量、デフォーカス量あるいはマスクのパターンサイズが、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度あるいはマスクのパターンサイズ裕度の範囲で変動したとしても、フォトマスクに形成されたパターンに基づき、所望の形状、大きさの転写パターンを得ることができる。従来、数点のプロセスパラメータの組合せを適宜設定し、これらの評価方法を用いて、最適と考えられる組合せを選択している。一方、従来、解像度は、露光量、デフォーカス量及びマスクのパターンサイズの任意の組合せにより、予め決められた転写パターンのパターンサイズ裕度に基づき評価されている。即ち、解像度においても、プロセスパラメータの組合せを適宜設定することには変わりがない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
数点のプロセスパラメータの組合せを適宜設定し、最適と思われるプロセスパラメータの組合せを選択する従来の方法では、特定の転写条件の元で見出されるプロセス裕度の組合せで判断するが故に、以下に述べるような問題がある。
【0007】
EDM法を用いて、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の3つの裕度の内、1つの裕度を最適化する場合を例にとる。予め決定されたマスクのパターンサイズに基づき、例えばデフォーカス裕度を決定する方法の概要を、以下に説明する。
【0008】
露光量を一定として、デフォーカス量を変化させて転写パターンの大きさを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、これによって図54の(A)に示すようなデフォーカス量と転写パターンの大きさとの関係を求める。そして、予め決められたパターンサイズ裕度に基づき、デフォーカス裕度を図54の(B)に示すように決定する。
【0009】
露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度が、要求されるマスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度の最外値(最大値)であるとする。この場合、マスクのパターンサイズ裕度が最外値であり、且つ、露光量裕度が最外値である組合せに基づき得られたデフォーカス裕度が要求デフォーカス裕度よりも小さい場合には、半導体装置の作製は不可と判断される。このような従来の評価方法においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度のそれぞれが、同時に最外値(最大値)となる確率が考慮されていない。言い換えれば、このような評価方法で半導体装置の作製不可との判定がなされた場合でも、マスクのパターンサイズ裕度が最外値となり、且つ、露光量裕度が最外値となる確率が極めて小さい場合には、半導体装置作製の作製は可能である。
【0010】
マスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度について、それぞれの裕度を考慮せずに得られるデフォーカス裕度は、実際の半導体装置の作製工程におけるデフォーカス裕度よりも概して大きな値となる。それ故、このような評価方法で求められたデフォーカス裕度に基づき半導体装置を作製することが可能と判定された場合でも、マスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度が存在する実際のプロセスにおいては、半導体装置作製の作製は不可能となる。
【0011】
同様に、解像度に関して、露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度が、要求されるマスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度の最外値(最大値)の組合せであるとする。この場合、マスクのパターンサイズ裕度の最外値及び露光量裕度の最外値の組合せに基づき得られた解像度は、それぞれの裕度を考慮せずに得られる解像度よりも、著しく悪いものとなる。あるいは又、露光量裕度及びデフォーカス裕度が、露光量裕度及びデフォーカス裕度の最外値(最大値)の組合せであるとする。この場合、デフォーカス裕度の最外値及び露光量裕度の最外値の組合せに基づき得られる解像度は、それぞれの裕度を考慮せずに得られる解像度よりも、著しく悪いものとなる。
【0012】
一方、フォトマスクに形成されたパターンは、常に露光装置の縮小倍率に対して忠実にレジストに転写されるわけではない。マスクのパターンサイズが小さくなるに従い、縮小倍率から予測される転写パターンサイズと、マスクのパターンサイズとの間の乖離が大きくなる。乖離量は、露光量、デフォーカス量及びマスクのパターンサイズにより異なる。露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度が、要求されるマスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度の最外値(最大値)であるとする。この場合、マスクのパターンサイズ裕度の最外値及び露光量裕度の最外値の組合せに基づき得られる乖離量は、それぞれの裕度を考慮せずに得られる乖離量よりも、著しく大きな値となる。あるいは又、露光量裕度及びデフォーカス裕度が、露光量裕度及びデフォーカス裕度の最外値(最大値)であるとする。この場合、デフォーカス裕度の最外値及び露光量裕度の最外値の組合せに基づき得られる乖離量は、それぞれの裕度を考慮せずに得られる乖離量よりも、著しく大きな値となる。あるいは又、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度の最外値(最大値)であるとする。この場合、デフォーカス裕度の最外値及びマスクのパターンサイズ裕度の最外値の組合せに基づき得られる乖離量は、それぞれの裕度を考慮せずに得られる乖離量よりも、著しく大きな値となる。
【0013】
このような乖離量を補正するために、マスクのパターンサイズを異ならせる、所謂パターンバイアスを付加する補正方法が用いられることが多い。この補正方法を採用することによって、予め設定された露光量にて、マスクにおける複数の異なるパターンサイズを有するパターンをレジスト上に転写することが可能となる。しかしながら、このような可能性は、従来、露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度が要求されるマスクのパターンサイズ裕度及び露光量裕度の最外値(最大値)において、若しくは、それぞれの裕度を考慮しない状態等において、評価される。従って、露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の共通領域を正確に求めることはできない。要求される裕度が、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度、あるいは又、露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の場合にも、同様に、露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の共通領域を正確に求めることはできない。尚、共通領域の概念については、後述する。
【0014】
このような従来の性能評価方法、即ち、数点のプロセスパラメータの組合せを適宜用いてプロセス裕度を得る方法を採用する限り、半導体装置の作製の可否を判定することは困難である。あるいは又、縮小倍率から予測される転写パターンサイズとフォトマスクに形成されたパターンサイズの乖離量を、全てのプロセスパラメータの組合せに対して予測することは困難である。更には、解像度を、全てのプロセスパラメータの組合せに対して予測することは困難である。
【0015】
従って、本発明の第1の目的は、露光量及びマスクのパターンサイズに対して要求される露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の全てを考慮してデフォーカス裕度を求め、このデフォーカス裕度に基づきフォトマスクにおけるパターン転写特性を評価する方法を提供することにある。あるいは又、露光量及びデフォーカス量に対して要求される露光量裕度及びデフォーカス裕度の設定値の全てを考慮してマスクのパターンサイズ裕度を求め、このマスクのパターンサイズ裕度に基づきフォトマスクにおけるパターン転写特性を評価する方法を提供することにある。あるいは又、デフォーカス量及びマスクのパターンサイズに対して要求されるデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の全てを考慮して露光量裕度を求め、この露光量裕度に基づきフォトマスクにおけるパターン転写特性を評価する方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第2の目的は、露光量及びマスクのパターンサイズに対して要求される露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の全てを考慮して、マスクのパターンサイズ及び縮小倍率から予測される転写パターンサイズの限界解像度を評価するための、フォトマスクにおける転写特性評価方法を提供することにある。あるいは又、露光量及びデフォーカス量に対して要求される露光量裕度及びデフォーカス裕度の設定値の全てを考慮して、マスクのパターンサイズ及び縮小倍率から予測される転写パターンサイズの限界解像度を評価するための、フォトマスクにおける転写特性評価方法を提供することにある。あるいは、デフォーカス量及びマスクのパターンサイズに対して要求されるデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の全てを考慮して、マスクのパターンサイズ及び縮小倍率から予測される転写パターンサイズの限界解像度を評価するための、フォトマスクにおける転写特性評価方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明の第3の目的は、露光量及びマスクのパターンサイズに対して要求される露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の全てを考慮して、露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の共通領域を正確に得るための、フォトマスクにおける転写特性評価方法を提供することにある。あるいは又、要求される裕度が、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度、若しくは、露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の場合においても、露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の共通領域を正確に得るための、フォトマスクにおける転写特性評価方法を提供することにある。
【0018】
更には、本発明の第4、第5及び第6の目的は、かかるフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法を適用したフォトマスクの設計方法、露光方法、並びに半導体装置の作製方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法は、フォトマスクに形成されたパターンを、露光光を用いて基体上に形成されたフォトレジストに転写して、該フォトレジストに転写パターンを形成するフォトリソグラフィー工程に用いられる、光透過領域と遮光領域、若しくは光透過領域と半遮光領域、若しくは光透過領域と遮光領域と位相シフト領域、若しくは光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法である。そして、
(イ)フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の内、2つの裕度を設定し、且つ、該2つの裕度のそれぞれの値を設定し、
(ロ)マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定した場合にはデフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合には露光光の露光量を変化量として変化させ、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合にはマスクのパターンサイズを変化量として変化させて、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求め、(ハ)各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求め、
(ニ)該求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における前記変化量の限界許容値を前記設定されていない1つの裕度の値として求め、
(ホ)前記設定された2つの裕度の設定値を変え、工程(ロ)、(ハ)及び(ニ)を所望の回数繰り返し、
(ヘ)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の期待値を求め、該期待値に基づきパターン転写性能を評価する、
各工程から成ることを特徴とする。尚、以下において、設定された裕度を設定裕度と呼び、設定裕度以外の1つの裕度(設定されていない1つの裕度)を未設定裕度と呼ぶこともある。
【0020】
尚、上記の工程(ニ)において、2つの裕度の設定値における前記変化量の限界許容値を前記設定されていない1つの裕度の値として求めるが、2つの裕度の設定値を(X,Y)とし、設定されていない1つの裕度の値をZとした場合、裕度の設定値(X,Y)を設定点と見做し、かかる裕度の設定値(X,Y)において、裕度の値Zを求める。あるいは又、裕度の設定値(X,Y)によって規定される領域[−XからX、及び−YからYで囲まれた矩形の領域]を設定し、かかる領域内[但し、−X≦x≦X及び−Y≦y≦Y]において各裕度の想定値(x,y)のそれぞれに対して変化量の最大値zを求め、−X≦x≦X及び−Y≦y≦Yにおいて複数得られた最大値zの内、最も小さな値(変化量の限界許容値)を、設定されていない1つの裕度の値Zとして求める。尚、以下の説明においても同様である。
【0021】
上記の第2の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法の工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ’)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び前記工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の値が要求値以上となる確率値を求め、該確率値に基づきパターン転写性能を評価する工程から成ることを特徴とする。
【0022】
上記の第3の目的を達成するための本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法の工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ”)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数により表し、前記工程(ニ)にて求められた裕度の値が要求値以上となる範囲において該関数の積算値を求め、該積算値に基づきパターン転写性能を評価する工程から成ることを特徴とする。
【0023】
上記の第4の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るフォトマスクの設計方法は、フォトマスクに形成されたパターンを、露光光を用いて基体上に形成されたフォトレジストに転写して、該フォトレジストに転写パターンを形成するフォトリソグラフィー工程に用いられる、光透過領域と遮光領域、若しくは光透過領域と半遮光領域、若しくは光透過領域と遮光領域と位相シフト領域、若しくは光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するフォトマスクの設計方法である。そして、
(イ)フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の内、2つの裕度を設定し、且つ、該2つの裕度のそれぞれの値を設定し、
(ロ)マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定した場合にはデフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合には露光光の露光量を変化量として変化させ、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合にはマスクのパターンサイズを変化量として変化させて、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求め、(ハ)各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求め、
(ニ)該求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における前記変化量の限界許容値を前記設定されていない1つの裕度の値として求め、
(ホ)前記設定された2つの裕度の設定値を変え、工程(ロ)、(ハ)及び(ニ)を所望の回数繰り返し、
(ヘ)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の期待値を求め、該期待値が所望の値よりも大きくなるようにフォトマスクのパターンサイズ裕度を設定する、
各工程から成ることを特徴とする。
【0024】
上記の第4の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るフォトマスクの設計方法は、前記工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ’)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び前記工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の値が要求値以上となる確率値を求め、該確率値が所望の値よりも大きくなるようにフォトマスクのパターンサイズ裕度を設定する工程から成ることを特徴とする。
【0025】
上記の第4の目的を達成するための本発明の第3の態様に係るフォトマスクの設計方法は、前記工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ”)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数により表し、前記工程(ニ)にて求められた裕度の値が要求値以上となる範囲において該関数の積算値を求め、該積算値が所望の値よりも大きくなるようにフォトマスクのパターンサイズ裕度を設定する工程から成ることを特徴とする。
【0026】
上記の第5の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る露光方法は、光透過領域と遮光領域、若しくは光透過領域と半遮光領域、若しくは光透過領域と遮光領域と位相シフト領域、若しくは光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するフォトマスクを用いて、該フォトマスクに形成されたパターンを、露光光を用いて基体上に形成されたフォトレジストに転写して、該フォトレジストに転写パターンを形成する露光方法である。そして、
(イ)フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の内、2つの裕度を設定し、且つ、該2つの裕度のそれぞれの値を設定し、
(ロ)マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定した場合にはデフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合には露光光の露光量を変化量として変化させ、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合にはマスクのパターンサイズを変化量として変化させて、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求め、
(ハ)各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求め、
(ニ)該求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における前記変化量の限界許容値を前記設定されていない1つの裕度の値として求め、
(ホ)前記設定された2つの裕度の設定値を変え、工程(ロ)、(ハ)及び(ニ)を所望の回数繰り返し、
(ヘ)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の期待値を求め、該期待値が所望の値よりも大きくなるように露光条件を求める、
各工程から成ることを特徴とする。
【0027】
上記の第5の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る露光方法は、前記工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ’)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び前記工程(ニ)にて求められた裕度のそれぞれの値に基づき、設定されていない1つの裕度の値が要求値以上となる確率値を求め、該確率値が所望の値よりも大きくなるように露光条件を求める工程から成ることを特徴とする。
【0028】
上記の第5の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る露光方法は、前記工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ”)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数により表し、前記設定工程(ニ)にて求められた裕度の値が要求値以上となる範囲において該関数の積算値を求め、該積算値が所望の値よりも大きくなるように露光条件を求める工程から成ることを特徴とする。
【0029】
上記の第6の目的を達成するための本発明の半導体装置の作製方法は、光透過領域と遮光領域、若しくは光透過領域と半遮光領域、若しくは光透過領域と遮光領域と位相シフト領域、若しくは光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するフォトマスクを用いて、該フォトマスクに形成されたパターンを、露光光を用いて基体上に形成されたフォトレジストに転写して、該フォトレジストに転写パターンを形成する半導体装置の作製方法である。そして、
(イ)フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の内、2つの裕度を設定し、且つ、該2つの裕度のそれぞれの値を設定し、
(ロ)マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定した場合にはデフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合には露光光の露光量を変化量として変化させ、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合にはマスクのパターンサイズを変化量として変化させて、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求め、
(ハ)各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求め、
(ニ)該求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における前記変化量の限界許容値を前記設定されていない1つの裕度の値として求め、
(ホ)前記設定された2つの裕度の設定値を変え、工程(ロ)、(ハ)及び(ニ)を所望の回数繰り返し、
(ヘ)下記の期待値、確率値及び積算値の内の少なくとも1つの値に基づき半導体装置の製造条件を決定することを特徴とする。
(1)前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び前記工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき求められた、設定されていない1つの裕度の期待値
(2)前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び前記工程(ニ)にて求められた裕度のそれぞれ値に基づき求められた、設定されていない1つの裕度の値が要求値以上となる確率値
(3)前記設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数により表し、前記工程(ニ)にて求められた裕度の値が要求値以上となる範囲において求められた該関数の積算値
【0030】
本発明におけるフォトマスクとして、より具体的には、光透過領域と遮光領域とから成るパターンを有するフォトマスク(通常マスクと呼ぶ場合がある)、光透過領域と半遮光領域とから成るパターンを有するフォトマスク、光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域とから成るパターンを有する所謂ハーフトーン方式位相シフトマスク、光透過領域と遮光領域と位相シフト領域とから成るパターンを有するレベンソン型、エッジ強調型、補助パターン型等の位相シフトマスクを挙げることができる。
【0031】
本発明の第1の態様に係るパターン転写特性評価方法、フォトマスクの設計方法あるいは露光方法においては、2つの設定裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び未設定裕度の値のそれぞれに基づき、未設定裕度の期待値を求めるので、2つの設定裕度が同時に最外値であるような希にしか起こらない状態においても、未設定裕度の値の処理を適切に行うことができる。即ち、従来技術のように特定のプロセス裕度に基づきパターン転写特性の評価を行うのではなく、実際に生じるプロセス裕度を全て反映させながら、そして、リソグラフィー性能をプロセス裕度の設定範囲を全てを含みながら、未設定裕度の期待値を得ることができる。それ故、実際のプロセス裕度と、本発明で得られる未設定裕度の期待値との間に遊離が生じることはない。
【0032】
本発明の第2の態様に係るパターン転写特性評価方法、フォトマスクの設計方法あるいは露光方法においては、2つの設定裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び未設定裕度の値のそれぞれに基づき、未設定裕度の値が要求値以上となる確率値を求める。この確率値が所望の値以上となる評価パターンサイズの最小値を限界解像度とすれば、従来技術のように特定のプロセス裕度に基づきパターン転写特性(特に解像度)の評価を行うのではなく、実際に生じるプロセス裕度を全て反映させながら、そして、リソグラフィー性能をプロセス裕度の設定範囲を全てを含みながら、限界解像度を得ることができる。それ故、実際のプロセスにおける解像度と、本発明で得られる限界解像度との間に遊離が生じることはない。
【0033】
本発明の第3の態様に係るパターン転写特性評価方法、フォトマスクの設計方法あるいは露光方法においては、2つの設定裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数により表し、未設定裕度の値が要求値以上となる範囲においてこの関数の積算値を求める。未設定裕度の値が未設定裕度の要求値以上となる、2つの設定裕度の設定値の組合せの範囲が広ければ、積算値も大きくなる。従って、積算値を評価することで、2つの設定裕度の設定値の組合せの広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、未設定裕度の値が未設定裕度の要求値以上となり得る関数の積算値が大きいほど、2つの設定裕度の組合せの範囲が広く、プロセス裕度が全体として大きいといえる。即ち、積算値に基づき、露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の共通領域を得ることができ、プロセス裕度の数値化を、合理的且つ定量的に行うことができる。
【0034】
本発明の半導体装置の製造方法においては、期待値、確率値及び積算値の内の少なくとも2つの値に基づき半導体装置の製造条件を決定するので、合理的且つ定量的に半導体装置の製造条件を決定することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態(実施の形態と略称する)に基づき本発明のフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法を説明し、次いで、実施例に基づき本発明のフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法、フォトマスクの設計方法、露光方法、並びに半導体装置の作製方法を説明するが、本発明はこれらの説明に限定されるものではない。
【0036】
ここで、実施の形態1〜実施の形態3は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関し、実施の形態4〜実施の形態6は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関し、実施の形態7〜実施の形態9は、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。尚、実施の形態1〜実施の形態9においては、裕度の設定値(X,Y)によって規定される領域[−XからX、及び−YからYで囲まれた矩形の領域]を設定し、かかる領域内[但し、−X≦x≦X及び−Y≦y≦Y]において各裕度の想定値(x,y)のそれぞれに対して変化量の最大値zを求め、−X≦x≦X及び−Y≦y≦Yにおいて複数得られた最大値zの内、最も小さな値(変化量の限界許容値)を、設定されていない1つの裕度の値Zとして求める。
【0037】
更に、実施の形態10〜実施の形態12は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関し、実施の形態13〜実施の形態15は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関し、実施の形態16〜実施の形態18は、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。尚、実施の形態10〜実施の形態18においては、上記のそれぞれの工程(ニ)において、2つの裕度の設定値を(X,Y)とし、設定されていない1つの裕度の値をZとした場合、裕度の設定値(X,Y)を設定点と見做し、かかる裕度の設定値(X,Y)において、裕度の値Zを求める。
【0038】
(実施の形態1)
実施の形態1は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態1においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度をデフォーカス裕度とした。図1に実施の形態1の各工程の流れを示す。
【0039】
[工程−100]
実施の形態1においては、先ず、フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度(e)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)のそれぞれの値(想定最大設定値)を、例えば4σe及び4σmに対応するように設定する。そして、これらの2つの裕度の設定値のそれぞれの初期設定値(e0,m0)を、例えば0とする。
【0040】
[工程−110]
露光光の露光量裕度(e)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)を設定したので、デフォーカス値を変化量として変化させ、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求める。次に、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。即ち、先ず、露光光の露光量裕度の設定値(e0)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(m0)をそれぞれ0として、デフォーカス値を(ジャストフォーカス)±k・Δf(k=0,1,2・・・であり、Δfはデフォーカス値の単位変化量である)として、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、次いで、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。これによって図54の(A)に示すようなデフォーカス値の変化量と転写パターンの大きさとの関係を求める。
【0041】
[工程−120]
そして、求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における変化量の限界許容値を設定されていない1つの裕度の値として求める。即ち、2つの裕度の設定値(e0,m0)において、パターンサイズの設計許容範囲内に入るデフォーカスの変化量の最大値(変化量の限界許容値)をデフォーカス裕度の値DOF(e0,m0)として求める。言い換えれば、こうして得られた各露光量裕度の設定値及びパターンサイズ裕度の設定値の組合せ(e0,m0)において、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところのデフォーカス値の変化量の最大値(変化量の限界許容値)を、デフォーカス裕度の値DOF(e0,m0)として、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0042】
[工程−130]
次に、露光光の露光量裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(ei,mj)を変える。露光光の露光量裕度の設定値の単位変化量は、露光量裕度の設定値の分布における標準偏差σeの、例えば1/10とすればよい。一方、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の単位変化量は、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布における標準偏差σmの、例えば1/10とすればよい。
【0043】
実施の形態1においては、露光光の露光量裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(ei,mj)によって規定される領域[−eiからei、及び−mjからmjで囲まれた矩形の領域]を設定する。そして、かかる領域内の各裕度の想定値(ep,mq)[但し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦j]においてデフォーカスの変化量の最大値dof(ep,mq)を求める。デフォーカスの変化量の最大値dof(ep,mq)の求め方を、以下に説明する。尚、各裕度の想定値の単位変化量は、露光光の露光量裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(ei,mj)の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
【0044】
先ず、露光光の露光量裕度の想定値(ep)及びマスクのパターンサイズ裕度の想定値(mq)において、デフォーカス値を(ジャストフォーカス)±k・Δfとして、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、次いで、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。これによって図54の(A)に示すようなデフォーカス値の変化量と転写パターンの大きさとの関係を求める。そして、パターンサイズの設計許容範囲内に入るデフォーカスの変化量の最大値dof(ep,mq)を求める。言い換えれば、こうして得られた各パターンサイズ裕度の想定値及び露光量裕度の想定値の組合せ(ep,mq)において、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところのデフォーカス値の変化量の最大値dof(ep,mq)を、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0045】
この操作を、露光量裕度の想定値(ep)、及びパターンサイズ裕度の想定値(mq)を適切な大きさで変更し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦jの範囲内で繰り返す。このような作業を行うことで、図2に模式的に示すように、例えばX軸をパターンサイズ裕度の想定値(mq)、Y軸を露光量裕度の想定値(ep)、Z軸をデフォーカス裕度の変化量の最大値dof(ep,mq)とした3次元座標において、各評価パターン毎に、dof(ep,mq)が変化する曲面が得られる。
【0046】
こうして、−i≦p≦i及び−j≦q≦jにおいて各裕度の想定値(ep,mq)のそれぞれに対して変化量の最大値dof(ep,mq)[但し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦j]を求める。そして、−i≦p≦i及び−j≦q≦jにおいて複数得られた最大値dof(ep,mq)の内、最も小さな値(変化量の限界許容値)を、設定されていない1つの裕度(デフォーカス裕度)の値DOF(ei,mj)として求める。一般に、かかる曲面においては、露光量裕度の想定値(ep)及び/又はパターンサイズ裕度の想定値(mq)が大きくなるに従い、dof(ep,mq)は小さくなる傾向にある。
【0047】
更に、以上の操作を、露光量裕度の設定値(ei)をσe/10刻みに変更し、パターンサイズ裕度の設定値(mj)をσm/10刻みに変更し、(ei,mj)=(4σe,4σm)となるまで繰り返す。尚、この場合には、i=1,2,3・・・,40であり、j=1,2,3・・・,40となる。以下においても同様である。このようにして、−i×(σe/10)とi×(σe/10)、及び−j×(σm/10)とj×(σm/10)によって規定された矩形の領域のそれぞれにおいて、設定されていない1つの裕度(デフォーカス裕度)の値DOF(ei,mj)が求められる。
【0048】
[工程−140]
その後、各評価パターンに対して、露光光の露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pm(mj)、並びに、[工程−120]若しくは[工程−130]にて求められたデフォーカス裕度の値DOF(ei,mj)に基づき、デフォーカス裕度の期待値EDOFを式(1)から求める。デフォーカス裕度の期待値EDOFが大きいほど、プロセスマージが大きいといえる。尚、式(1)を積分形式で表せば、式(2)のとおりとなる。
【0049】
【0050】
【0051】
最後に、期待値EDOFに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、デフォーカス裕度の期待値EDOFが変化するので、例えば、デフォーカス裕度の期待値EDOFが実際のプロセスにおけるデフォーカス裕度を超えるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0052】
尚、各裕度の設定値や想定値の単位変化量は例示であり、適宜変更することができる。また、想定最大設定値も適宜変更することができる。更には、各裕度の設定値を、実際のプロセスで生じ得る裕度の分布に基づき設定してもよい。以下においても同様である。この場合、裕度のプラス(+)方向とマイナス(−)方向で裕度の分布が非対称となることがあり、その場合でも同様にして、例えば、−40≦i≦40、−40≦j≦40として、計算を行えばよい。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態2も、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態2においては、設定裕度をデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度を露光光の露光量裕度とした。図3に実施の形態2の各工程の流れを示す。
【0054】
[工程−200]
実施の形態2においては、先ず、フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、デフォーカス裕度(f)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)のそれぞれの値(想定最大設定値)を、例えば、4σf及び4σmに対応するように設定する。ここで、σfはデフォーカス裕度の設定値の分布における標準偏差であり、実験や経験から求めることができる。そして、これらの2つの裕度の設定値のそれぞれの初期設定値(f0,m0)を、例えば0とする。
【0055】
[工程−210]
デフォーカス裕度(f)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)を設定したので、露光光の露光量を変化量として変化させ、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求める。次に、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。即ち、先ず、デフォーカス裕度の設定値(f0)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(m0)をそれぞれ0として、露光光の露光量を(最適値)±k・Δe(k=0,1,2・・・であり、Δeは露光量の単位変化量である)として、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、次いで、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。
【0056】
[工程−220]
そして、求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における変化量の限界許容値を設定されていない1つの裕度の値として求める。即ち、2つの裕度の設定値(f0,m0)において、パターンサイズの設計許容範囲内に入る露光量の変化量の最大値(変化量の限界許容値)を露光光の露光量裕度の値EXP(f0,m0)として求める。言い換えれば、こうして得られた各デフォーカス裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せ(f0,m0)において、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところの露光量の変化量の最大値(変化量の限界許容値)を、露光量裕度の値EXP(f0,m0)として、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0057】
[工程−230]
次に、デフォーカス裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fi,mj)を変える。デフォーカス裕度の設定値の単位変化量は、デフォーカス裕度の設定値の分布における標準偏差σfの、例えば1/10とすればよい。一方、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の単位変化量は、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布における標準偏差σmの、例えば1/10とすればよい。
【0058】
実施の形態2においては、デフォーカス裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fi,mj)によって規定される領域[−fiからfi、及び−mjからmjで囲まれた矩形の領域]を設定する。そして、かかる領域内の各裕度の想定値(fp,mq)[但し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦j]において露光量の変化量の最大値exp(fp,mq)を求める。露光量の変化量の最大値exp(fp,mq)の求め方を、以下に説明する。尚、各裕度の想定値の単位変化量は、デフォーカス裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fi,mj)の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
【0059】
先ず、デフォーカス裕度の想定値(fp)及びマスクのパターンサイズ裕度の想定値(mq)において、露光光の露光量を(最適値)±k・Δeとして、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、次いで、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。これによって、露光量の変化量と転写パターンの大きさとの関係を求める。そして、パターンサイズの設計許容範囲内に入る露光量の変化量の最大値exp(fp,mq)を求める。言い換えれば、こうして得られた各デフォーカス裕度の想定値及びパターンサイズ裕度の想定値の組合せ(fp,mq)において、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところの露光量の変化量の最大値exp(ep,mq)を、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0060】
この操作を、デフォーカス裕度の設定値(fp)、及びパターンサイズ裕度の設定値(mq)を適切な大きさで変更し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦jの範囲内で繰り返す。このような作業を行うことで、図2に模式的に示したと同様の、exp(fp,mq)が変化する曲面が得られる。尚、この場合には、例えばX軸をパターンサイズ裕度の想定値(mq)、Y軸をデフォーカス裕度の想定値(fp)、Z軸を露光量裕度の変化量の最大値exp(fp,mq)とした3次元座標において、各評価パターン毎に、exp(fp,mq)が変化する曲面が得られる。
【0061】
こうして、−i≦p≦i及び−j≦q≦jにおいて各裕度の想定値(fp,mq)のそれぞれに対して変化量の最大値exp(fp,mq)[但し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦j]を求める。そして、−i≦p≦i及び−j≦q≦jにおいて複数得られた最大値exp(fp,mq)の内、最も小さな値(変化量の限界許容値)を、設定されていない1つの裕度(露光量裕度)の値EXP(fi,mj)として求める。一般に、かかる曲面においては、デフォーカス裕度の想定値(fp)及び/又はパターンサイズ裕度の想定値(mq)が大きくなるに従い、exp(fp,mq)は小さくなる傾向にある。
【0062】
更に、以上の操作を、デフォーカス裕度の設定値(fi)をσf/10刻みに変更し、パターンサイズ裕度の設定値(mj)をσm/10刻みに変更し、(fi,mj)=(4σf,4σm)となるまで繰り返す。このようにして、−i×(σf/10)とi×(σf/10)、及び−j×(σm/10)とj×(σm/10)によって規定された矩形の領域のそれぞれにおいて、設定されていない1つの裕度(露光量裕度)の値EXP(fi,mj)が求められる。
【0063】
[工程−240]
その後、各評価パターンに対して、デフォーカス裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pf(fi)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pm(mj)、並びに、[工程−220]若しくは[工程−230]にて求められた裕度の値EXP(fi,mj)に基づき、露光量裕度の期待値EEXPを式(3)から求める。露光量裕度の期待値EEXPが大きいほど、プロセスマージが大きいといえる。尚、式(3)を積分形式で表せば、式(4)のとおりとなる。
【0064】
【0065】
【0066】
最後に、期待値EEXPに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、露光量裕度の期待値EEXPが変化するので、例えば、露光量裕度の期待値EEXPが実際のプロセスにおける露光量裕度を超えるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0067】
(実施の形態3)
実施の形態3も、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態3においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度とし、未設定裕度をマスクのパターンサイズ裕度とした。図4に実施の形態3の各工程の流れを示す。
【0068】
[工程−300]
実施の形態3においては、先ず、フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度(e)及びデフォーカス裕度(f)のそれぞれの値(想定最大設定値)を、例えば4σe及び4σfに対応するように設定する。そして、これらの2つの裕度の設定値のそれぞれの初期設定値(e0,f0)を、例えば0とする。
【0069】
[工程−310]
露光光の露光量裕度(e)及びデフォーカス裕度(f)を設定したので、マスクのパターンサイズを変化量として変化させ、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求める。次に、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。即ち、先ず、露光光の露光量裕度の設定値及びデフォーカス裕度の設定値をそれぞれ0として、マスクのパターンサイズを(設計値)±k・Δm(k=0,1,2・・・であり、Δmはマスクのパターンサイズの単位変化量である)として、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、次いで、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。
【0070】
[工程−320]
そして、求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における変化量の限界許容値を設定されていない1つの裕度の値として求める。即ち、2つの裕度の設定値(e0,f0)において、パターンサイズの設計許容範囲内に入るパターンサイズの変化量の最大値(変化量の限界許容値)をマスクのパターンサイズ裕度の値MSK(e0,f0)として求める。言い換えれば、こうして得られた各露光量裕度の設定値及びデフォーカス裕度の設定値の組合せ(e0,f0)において、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところのパターンサイズの変化量の最大値(変化量の限界許容値)を、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK(e0,f0)として、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0071】
[工程−330]
次に、露光光の露光量裕度の設定値及びデフォーカス裕度の設定値(ei,fj)を変える。露光光の露光量裕度の設定値の単位変化量は、露光量裕度の設定値の分布における標準偏差σeの、例えば1/10とすればよい。一方、デフォーカス裕度の設定値の単位変化量は、デフォーカス裕度の設定値の分布における標準偏差σfの、例えば1/10とすればよい。
【0072】
実施の形態3においては、露光光の露光量裕度の設定値及びデフォーカス裕度の設定値(ei,fj)によって規定される領域[−eiからei、及び−fjからfjで囲まれた矩形の領域]を設定する。そして、かかる領域内の各裕度の想定値(ep,fq)[但し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦j]においてパターンサイズの変化量の最大値msk(ep,fq)を求める。パターンサイズの変化量の最大値msk(ep,fq)の求め方を、以下に説明する。尚、各裕度の想定値の単位変化量は、露光光の露光量裕度の設定値及びデフォーカス裕度の設定値(ei,fj)の大きさに応じて、適宜決定すればよい。
【0073】
先ず、露光光の露光量裕度の想定値(ep)及びデフォーカス裕度の想定値(fp)において、マスクのパターンサイズを(設計値)±k・Δmとして、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを実験的に若しくはシミュレーションにて求め、次いで、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。そして、パターンサイズの設計許容範囲内に入るパターンサイズの変化量の最大値msk(e p ,f q )を求める。言い換えれば、こうして得られた各パターンサイズ裕度の想定値及び露光量裕度の想定値の組合せ(e p ,f q )おいて、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところのパターンサイズの変化量の最大値msk(ep,fq)を、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0074】
この操作を、露光量裕度の想定値(ep)、及びデフォーカス裕度の想定値(fq)を適切な大きさで変更し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦jの範囲内で繰り返す。このような作業を行うことで、図2に模式的に示したと同様に、msk(ei,fj)が変化する曲面が得られる。尚、この場合には、例えばX軸をデフォーカス裕度の想定値(fq)、Y軸を露光量裕度の設定値(ep)、Z軸をマスクのパターンサイズ裕度の変化量の最大値msk(ep,fq)とした3次元座標において、各評価パターン毎に、msk(ep,fq)が変化する曲面が得られる。
【0075】
こうして、−i≦p≦i及び−j≦q≦jにおいて各裕度の想定値(ep,fq)のそれぞれに対して変化量の最大値msk(ep,fq)[但し、−i≦p≦i、及び−j≦q≦j]を求める。そして、−i≦p≦i及び−j≦q≦jにおいて複数得られた最大値msk(ep,fq)の内、最も小さな値(変化量の限界許容値)を、設定されていない1つの裕度(マスクのパターンサイズ裕度)の値MSK(ei,fj)として求める。一般に、かかる曲面においては、露光量裕度の想定値(ep)及び/又はデフォーカス裕度の想定値(fq)が大きくなるに従い、msk(ep,fq)は小さくなる傾向にある。
【0076】
更に、以上の操作を、露光量裕度の設定値(ei)をσe/10刻みに変更し、デフォーカス裕度の設定値(fj)をσf/10刻みに変更し、(ei,fj)=(4σe,4σf)となるまで繰り返す。このようにして、−i×(σe/10)とi×(σe/10)、及び−j×(σf/10)とj×(σf/10)によって規定された矩形の領域のそれぞれにおいて、設定されていない1つの裕度(マスクのパターンサイズ裕度)の値MSK(ei,fj)が求められる。
【0077】
[工程−340]
その後、各評価パターンに対して、露光光の露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)及びデフォーカス裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pf(fj)、並びに、[工程−320]若しくは[工程−330]にて求められた裕度の値MSK(ei,fj)に基づき、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSKを式(5)から求める。パターンサイズ裕度の期待値EMSKが大きいほど、プロセスマージが大きいといえる。尚、式(5)を積分形式で表せば、式(6)のとおりとなる。
【0078】
【0079】
【0080】
最後に、期待値EMSKに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSKが変化するので、例えば、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSKが実際のプロセスにおけるマスクのパターンサイズ裕度を超えるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0081】
(実施の形態4)
実施の形態4は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態4においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度をデフォーカス裕度とした。
【0082】
実施の形態1においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−120]あるいは[工程−130]にて求められた裕度の値DOF(ei,mj)のそれぞれに基づき、デフォーカス裕度の期待値EDOFを求め、期待値EDOFに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態4においては、その代わりに、各評価パターンに対して、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei),Pm(mj)、及び実施の形態1の[工程−120]あるいは[工程−130]にて求められた裕度の値DOF(ei,mj)のそれぞれに基づき、デフォーカス裕度の値DOF(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α)以上となる確率値PDOFを求め、この確率値PDOFに基づきパターン転写性能を評価する。デフォーカス裕度の値DOF(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α)以上となる確率値PDOFが低ければ、結局、プロセスにおいて要求されるデフォーカス裕度を満足できないことになる。デフォーカス裕度の要求値(α)以上となる確率値PDOFは、以下の式(7)から求めることができる。尚、式(7)を積分形式で表せば、式(8)のとおりとなる。
【0083】
【0084】
【0085】
デフォーカス裕度の確率値PDOFに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、デフォーカス裕度の確率値PDOFが変化するので、デフォーカス裕度の確率値PDOFが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0086】
(実施の形態5)
実施の形態5も、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態5においては、設定裕度をデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度を露光光の露光量裕度とした。
【0087】
実施の形態2においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−220]あるいは[工程−230]にて求められた裕度の値EXP(fi,mj)のそれぞれに基づき、露光量裕度の期待値EEXPを求め、期待値EEXPに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態5においては、その代わりに、各評価パターンに対して、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pf(fi),Pm(mj)、及び実施の形態2の[工程−220]あるいは[工程−230]にて求められた裕度の値EXP(fi,mj)のそれぞれに基づき、露光量裕度の値EXP(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β)以上となる確率値PEXPを求め、この確率値PEXPに基づきパターン転写性能を評価する。露光量裕度の値EXP(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β)以上となる確率値PEXPが低ければ、結局、プロセスにおいて要求される露光量裕度を満足できないことになる。露光量裕度の要求値(β)以上となる確率値PEXPは、以下の式(9)から求めることができる。尚、式(9)を積分形式で表せば、式(10)のとおりとなる。
【0088】
【0089】
【0090】
露光量裕度の確率値PEXPに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、露光量裕度の確率値PDOFが変化するので、露光量裕度の確率値PEXPが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0091】
(実施の形態6)
実施の形態6も、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態6においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度とし、未設定裕度をマスクのパターンサイズ裕度とした。
【0092】
実施の形態3においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−320]あるいは[工程−330]にて求められた裕度の値MSK(ei,fj)のそれぞれに基づき、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSKを求め、期待値EMSKに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態6においては、その代わりに、各評価パターンに対して、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei),Pf(fj)、及び実施の形態3の[工程−320]あるいは[工程−330]にて求められた裕度の値MSK(ei,fj)のそれぞれに基づき、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK(ei,fj)が要求値(γ)以上となる確率値PMSKを求め、この確率値PMSKに基づきパターン転写性能を評価する。マスクのパターンサイズ裕度の値MSK(ei,fj)が要求値(γ)以上となる確率値PMSKが低ければ、結局、プロセスにおいて要求されるパターンサイズ裕度を満足できないことになる。マスクのパターンサイズ裕度の要求値(γ)以上となる確率値PMSKは、以下の式(11)から求めることができる。尚、式(11)を積分形式で表せば、式(12)のとおりとなる。
【0093】
【0094】
【0095】
マスクのパターンサイズ裕度の確率値PMSKに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、マスクのパターンサイズ裕度の確率値PMSKが変化するので、マスクのパターンサイズ裕度の確率値PMSKが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0096】
(実施の形態7)
実施の形態7は、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態7においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度をデフォーカス裕度とした。
【0097】
実施の形態1においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−120]あるいは[工程−130]にて求められた裕度の値DOF(ei,mj)のそれぞれに基づき、デフォーカス裕度の期待値EDOFを求め、期待値EDOFに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態7においては、その代わりに、設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(ei,mj)により表し、実施の形態1の[工程−120]あるいは[工程−130]にて求められた裕度の値DOF(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α’)以上となる範囲において関数C(ei,mj)の積算値WDOFを求め、積算値WDOFに基づきパターン転写性能を評価する。
【0098】
一様分布を有する関数C(ei,mj)は、例えば、i及びjを変数として総和Sを求め、かかる総和Sが4σe及び4σf内で1.0の値を有する関数とすればよい。
【0099】
デフォーカス裕度の値DOF(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α’)以上となる、露光量裕度の設定値(ei)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fj)の組合せの範囲(共通領域)が広ければ、関数C(ei,mj)の積算値WDOFも大きくなる。従って、関数C(ei,mj)の積算値WDOFを評価することで、露光光の露光量裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せ(ei,mj)の広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、デフォーカス裕度の値DOF(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α’)以上となり得る関数C(ei,mj)の積算値WDOFが大きいほど、露光光の露光量裕度とマスクのパターンサイズ裕度の組合せの範囲(共通領域)が広く、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が全体として大きいといえる。
【0100】
積算値WDOFは、以下の式(13)から求めることができる。尚、式(13)を積分形式で表せば、式(14)のとおりとなる。
【0101】
【0102】
【0103】
積算値WDOFに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、積算値WDOFが変化するので、積算値WDOFが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0104】
(実施の形態8)
実施の形態8も、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態8においては、設定裕度をデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度を露光光の露光量裕度とした。
【0105】
実施の形態2においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−220]あるいは[工程−230]にて求められた裕度の値EXP(fi,mj)のそれぞれに基づき、露光量裕度の期待値EEXPを求め、期待値EEXPに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態8においては、その代わりに、設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(fi,mj)により表し、実施の形態2の[工程−220]あるいは[工程−230]にて求められた裕度の値EXP(fi,mj)がデフォーカス裕度の要求値(β’)以上となる範囲において関数C(fi,mj)の積算値WEXPを求め、積算値WEXPに基づきパターン転写性能を評価する。
【0106】
一様分布を有する関数C(fi,mj)は、例えば、i及びjを変数として総和Sを求め、かかる総和Sが4σf及び4σm内で1.0の値を有する関数とすればよい。
【0107】
露光量裕度の値EXP(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β’)以上となる、デフォーカス裕度の設定値(fi)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fj)の組合せの範囲(共通領域)が広ければ、関数C(fi,mj)の積算値WEXPも大きくなる。従って、関数C(fi,mj)の積算値WEXPを評価することで、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の組合せ(fi,mj)の広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、露光量裕度の値EXP(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β’)以上となり得る関数C(fi,mj)の積算値WEXPが大きいほど、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の組合せの範囲(共通領域)が広く、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が全体として大きいといえる。
【0108】
積算値WEXPは、以下の式(15)から求めることができる。尚、式(15)を積分形式で表せば、式(16)のとおりとなる。
【0109】
【0110】
【0111】
積算値WEXPに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、積算値WEXPが変化するので、積算値WEXPが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0112】
(実施の形態9)
実施の形態9も、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態9においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度とし、未設定裕度をマスクのパターンサイズ裕度とした。
【0113】
実施の形態3においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−320]あるいは[工程−330]にて求められた裕度の値MSK(ei,fj)のそれぞれに基づき、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSKを求め、期待値EMSKに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態9においては、その代わりに、設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(ei,fj)により表し、実施の形態3の[工程−320]あるいは[工程−330]にて求められた裕度の値MSK(ei,fj)がデフォーカス裕度の要求値(γ’)以上となる範囲において関数C(ei,fj)の積算値WMSKを求め、積算値WMSKに基づきパターン転写性能を評価する。
【0114】
一様分布を有する関数C(ei,fj)は、例えば、i及びjを変数として総和Sを求め、かかる総和Sが4σe及び4σf内で1.0の値を有する関数とすればよい。
【0115】
マスクのパターンサイズ裕度の値MSK(ei,fj)がマスクのパターンサイズ裕度の要求値(γ’)以上となる、露光量裕度の設定値(ei)及びデフォーカス裕度の設定値(fj)の組合せの範囲(共通領域)が広ければ、関数C(ei,fj)の積算値WMSKも大きくなる。従って、関数C(ei,fj)の積算値WMSKを評価することで、露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度の組合せ(ei,fj)の広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK(ei,fj)がマスクのパターンサイズ裕度の要求値(γ’)以上となり得る関数C(ei,fj)の積算値WMSKが大きいほど、露光光の露光量裕度とデフォーカス裕度の組合せの範囲(共通領域)が広く、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が全体として大きいといえる。
【0116】
積算値WMSKは、以下の式(17)から求めることができる。尚、式(17)を積分形式で表せば、式(18)のとおりとなる。
【0117】
【0118】
【0119】
積算値WMSKに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、積算値WMSKが変化するので、積算値WMSKが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0120】
尚、確率密度関数は、任意の関数形とすることができる。例えば、露光量、デフォーカス量及びマスクのパターンサイズ誤差量の実測値により確率分布を求め、ガウス分布を有する確率密度関数を得れば、実際のリソグラフィー性能あるいは実用上の限界解像度を明確に求めることができる。あるいは又、確率密度関数を任意に変化させることにより、望ましい確率密度関数を求めることができる。確率密度関数と実際に得られる確率密度関数の差異を比較することにより、合理的に実際のプロセスにおける、露光条件、デフォーカス条件及びマスクのパターンサイズ誤差量等における改良すべき点を得ることができる。
【0121】
(実施の形態10)
実施の形態10は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態10においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度をデフォーカス裕度とした。図5に実施の形態10の各工程の流れを示す。
【0122】
[工程−1000]
実施の形態10においては、先ず、フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度(e)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)のそれぞれの値(想定最大設定値)を、例えば、4σe及び4σmに対応するように設定する。そして、これらの2つの裕度の設定値のそれぞれの初期設定値(e0,m0)を、例えば0とする。
【0123】
[工程−1010]
露光光の露光量裕度(e)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)を設定したので、デフォーカス値を変化量として変化させ、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求める。次に、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。この工程は、実施の形態1の[工程−110]と同様とすることができる。
【0124】
[工程−1020]
そして、求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における変化量の限界許容値を設定されていない1つの裕度の値として求める。即ち、2つの裕度の設定値(e0,m0)において、パターンサイズの設計許容範囲内に入るデフォーカスの変化量の最大値(変化量の限界許容値)をデフォーカス裕度の値DOF’(e0,m0)として求める。
【0125】
[工程−1030]
次に、露光光の露光量裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(ei,mj)を変える。露光光の露光量裕度の設定値の単位変化量は、露光量裕度の設定値の分布における標準偏差σeの、例えば1/10とすればよい。一方、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の単位変化量は、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布における標準偏差σmの、例えば1/10とすればよい。そして、[工程−1010]及び[工程−1020]を繰り返し、デフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)を求める。
【0126】
このように、設定された2つの裕度が想定最大設定値内で或る範囲を有する場合、設定された2つの裕度の領域といった概念が存在する。従って、パターンサイズ裕度の設定値を0から例えばσm/10刻みに変更し、露光量裕度の設定値を0から例えばσe/10刻みに変更する。こうして得られた各パターンサイズ裕度の設定値及び露光量裕度の設定値の組合せ(ei,mj)のそれぞれにおいて、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところのデフォーカス値の変化量の最大値(変化量の限界許容値)を、デフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)として、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0127】
そして、このようなデフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)を、全ての露光量裕度の想定最大設定領域内の設定値(例えば、0〜4σe、σe/10刻み)、及びパターンサイズ裕度の想定最大設定領域内の設定値(例えば、0〜4σm、σm/10刻み)の組合せ(ei,mj)において求める。このような作業を行うことで、図2に模式的に示したと同様に、例えばX軸をパターンサイズ裕度の設定値(mj)、Y軸を露光量裕度の設定値(ei)、Z軸をデフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)とした3次元座標において、各評価パターン毎に、DOF’(ei,mj)が変化する曲面が得られる。一般に、かかる曲面においては、パターンサイズ裕度の設定値(mj)及び/又は露光量裕度の設定値(ei)が大きくなるに従い、DOF’(ei,mj)は小さくなる傾向にある。
【0128】
[工程−1040]
その後、各評価パターンに対して、露光光の露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pm(mj)、並びに、[工程−1020]若しくは[工程−1030]にて求められた裕度の値DOF’(ei,mj)に基づき、デフォーカス裕度の期待値E’DOFを式(19)から求める。デフォーカス裕度の期待値E’DOFが大きいほど、プロセスマージが大きいといえる。尚、式(19)を積分形式で表せば、式(20)のとおりとなる。
【0129】
【0130】
【0131】
最後に、期待値E’DOFに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、デフォーカス裕度の期待値E’DOFが変化するので、例えば、デフォーカス裕度の期待値E’DOFが実際のプロセスにおけるデフォーカス裕度を超えるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0132】
(実施の形態11)
実施の形態11も、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態11においては、設定裕度をデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度を露光光の露光量裕度とした。図6に実施の形態11の各工程の流れを示す。
【0133】
[工程−1100]
実施の形態11においては、先ず、フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、デフォーカス裕度(f)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)のそれぞれの値(想定最大設定値)を、例えば、4σf及び4σmに対応するように設定する。ここで、σfはデフォーカス裕度の設定値の分布における標準偏差であり、実験や経験から求めることができる。そして、これらの2つの裕度の設定値のそれぞれの初期設定値(f0,m0)を、例えば0とする。
【0134】
[工程−1110]
デフォーカス裕度(f)及びマスクのパターンサイズ裕度(m)を設定したので、露光光の露光量を変化量として変化させ、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求める。次に、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。この工程は、実施の形態2の[工程−210]と同様とすることができる。
【0135】
[工程−1120]
そして、求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における変化量の限界許容値を設定されていない1つの裕度の値として求める。即ち、2つの裕度の設定値(f0,m0)において、パターンサイズの設計許容範囲内に入る露光量の変化量の最大値(変化量の限界許容値)を露光光の露光量裕度の値EXP’(f0,m0)として求める。
【0136】
[工程−1130]
次に、デフォーカス裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fi,mj)を変える。デフォーカス裕度の設定値の単位変化量は、デフォーカス裕度の設定値の分布における標準偏差σfの、例えば1/10とすればよい。一方、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の単位変化量は、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布における標準偏差σmの、例えば1/10とすればよい。そして、[工程−1110]及び[工程−1120]を繰り返し、露光量裕度の値EXP’(fi,mj)を求める。
【0137】
即ち、パターンサイズ裕度の設定値を0から例えばσm/10刻みに変更し、デフォーカス裕度の設定値を0から例えばσf/10刻みに変更する。こうして得られた各パターンサイズ裕度の設定値及びデフォーカス裕度の設定値の組合せ(fi,mj)のそれぞれにおいて、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところの露光量の変化量の最大値(変化量の限界許容値)を、露光量裕度の値EXP’(fi,mj)として、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0138】
そして、このような露光量裕度の値EXP’(fi,mj)を、全てのデフォーカス裕度の想定最大設定領域内の設定値(例えば、0〜4σf、σf/10刻み)、及びパターンサイズ裕度の想定最大設定領域内の設定値(例えば、0〜4σm、σm/10刻み)の組合せ(fi,mj)において求める。このような作業を行うことで、図2に模式的に示したと同様の、EXP’(fi,mj)が変化する曲面が得られる。尚、この場合には、例えばX軸をパターンサイズ裕度の設定値(mj)、Y軸をデフォーカス裕度の設定値(fi)、Z軸を露光量裕度の値EXP’(fi,mj)とした3次元座標において、各評価パターン毎に、EXP’(fi,mj)が変化する曲面が得られる。一般に、かかる曲面においては、パターンサイズ裕度の設定値(mj)及び/又はデフォーカス裕度の設定値(fi)が大きくなるに従い、EXP’(fi,mj)は小さくなる傾向にある。
【0139】
[工程−1140]
その後、各評価パターンに対して、デフォーカス裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pf(fi)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pm(mj)、並びに、[工程−1120]若しくは[工程−1130]にて求められた裕度の値EXP’(fi,mj)に基づき、露光量裕度の期待値E’EXPを式(21)から求める。露光量裕度の期待値E’EXPが大きいほど、プロセスマージが大きいといえる。尚、式(21)を積分形式で表せば、式(22)のとおりとなる。
【0140】
【0141】
【0142】
最後に、期待値E’EXPに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、露光量裕度の期待値E’EXPが変化するので、例えば、露光量裕度の期待値E’EXPが実際のプロセスにおける露光量裕度を超えるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0143】
(実施の形態12)
実施の形態12も、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態12においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度とし、未設定裕度をマスクのパターンサイズ裕度とした。図7に実施の形態12の各工程の流れを示す。
【0144】
[工程−1200]
実施の形態12においては、先ず、フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度(e)及びデフォーカス裕度(f)のそれぞれの値(想定最大設定値)を、例えば4σe及び4σfに対応するように設定する。そして、これらの2つの裕度の設定値のそれぞれの初期設定値(e0,f0)を、例えば0とする。
【0145】
[工程−1210]
露光光の露光量裕度(e)及びデフォーカス裕度(f)を設定したので、マスクのパターンサイズを変化量として変化させ、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求める。次に、各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求める。この工程は、実施の形態3の[工程−310]と同様とすることができる。
【0146】
[工程−1220]
そして、求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における変化量の限界許容値を設定されていない1つの裕度の値として求める。即ち、2つの裕度の設定値(e0,f0)において、パターンサイズの設計許容範囲内に入るパターンサイズの変化量の最大値(変化量の限界許容値)をマスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(e0,f0)として求める。
【0147】
[工程−1230]
次に、露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度(ei,fj)の設定値を変える。露光光の露光量裕度の設定値の単位変化量は、露光量裕度の設定値の分布における標準偏差σeの、例えば1/10とすればよい。一方、デフォーカス裕度の設定値の単位変化量は、デフォーカス裕度の設定値の分布における標準偏差σfの、例えば1/10とすればよい。そして、[工程−1210]及び[工程−1220]を繰り返し、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)を求める。
【0148】
即ち、デフォーカス裕度の設定値を0から例えばσf/10刻みに変更し、露光量裕度の設定値を0から例えばσe/10刻みに変更する。こうして得られた各デフォーカス裕度の設定値及び露光量裕度の設定値の組合せ(ei,fj)のそれぞれにおいて、転写パターンサイズの変化量(Δw)がパターン設計サイズの例えば±10%となるところのマスクのパターンサイズの変化量の最大値(変化量の限界許容値)を、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)として、各測定点において求める。この作業を各評価パターンに対して行う。
【0149】
そして、このようなマスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)を、全ての露光量裕度の想定最大設定領域内の設定値(例えば、0〜4σe、σe/10刻み)、及びデフォーカス裕度の想定最大設定領域内の設定値(例えば、0〜4σf、σf/10刻み)の組合せ(ei,fj)において求める。このような作業を行うことで、図2に模式的に示したと同様に、MSK’(ei,fj)が変化する曲面が得られる。尚、この場合には、例えばX軸をデフォーカス裕度の設定値(fj)、Y軸を露光量裕度の設定値(ei)、Z軸をマスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)とした3次元座標において、各評価パターン毎に、MSK’(ei,fj)が変化する曲面が得られる。一般に、かかる曲面においては、デフォーカス裕度の設定値(fj)及び/又は露光量裕度の設定値(ei)が大きくなるに従い、MSK’(ei,fj)は小さくなる傾向にある。
【0150】
[工程−1240]
その後、各評価パターンに対して、露光光の露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)及びデフォーカス裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pf(fj)、並びに、[工程−1220]若しくは[工程−1230]にて求められた裕度の値MSK’(ei,fj)に基づき、マスクのパターンサイズ裕度の期待値E’MSKを式(23)から求める。パターンサイズ裕度の期待値E’MSKが大きいほど、プロセスマージが大きいといえる。尚、式(23)を積分形式で表せば、式(24)のとおりとなる。
【0151】
【0152】
【0153】
最後に、期待値E’MSKに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、マスクのパターンサイズ裕度の期待値E’MSKが変化するので、例えば、マスクのパターンサイズ裕度の期待値E’MSKが実際のプロセスにおけるマスクのパターンサイズ裕度を超えるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0154】
(実施の形態13)
実施の形態13は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態13においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度をデフォーカス裕度とした。
【0155】
実施の形態10においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−1020]あるいは[工程−1030]にて求められた裕度の値DOF’(ei,mj)のそれぞれに基づき、デフォーカス裕度の期待値E’DOFを求め、期待値E’DOFに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態13においては、その代わりに、各評価パターンに対して、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei),Pm(mj)、及び実施の形態10の[工程−1020]あるいは[工程−1030]にて求められた裕度の値DOF’(ei,mj)のそれぞれに基づき、デフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α)以上となる確率値P’DOFを求め、この確率値P’DOFに基づきパターン転写性能を評価する。デフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α)以上となる確率値P’DOFが低ければ、結局、プロセスにおいて要求されるデフォーカス裕度を満足できないことになる。デフォーカス裕度の要求値(α)以上となる確率値P’DOFは、以下の式(25)から求めることができる。尚、式(25)を積分形式で表せば、式(26)のとおりとなる。
【0156】
【0157】
【0158】
デフォーカス裕度の確率値P’DOFに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、デフォーカス裕度の確率値P’DOFが変化するので、デフォーカス裕度の確率値P’DOFが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0159】
(実施の形態14)
実施の形態14も、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態14においては、設定裕度をデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度を露光光の露光量裕度とした。
【0160】
実施の形態11においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−1120]あるいは[工程−1130]にて求められた裕度の値EXP’(fi,mj)のそれぞれに基づき、露光量裕度の期待値E’EXPを求め、期待値E’EXPに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態14においては、その代わりに、各評価パターンに対して、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pf(fi),Pm(mj)、及び実施の形態11の[工程−1120]あるいは[工程−1130]にて求められた裕度の値EXP’(fi,mj)のそれぞれに基づき、露光量裕度の値EXP’(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β)以上となる確率値P’EXPを求め、この確率値P’EXPに基づきパターン転写性能を評価する。露光量裕度の値EXP’(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β)以上となる確率値P’EXPが低ければ、結局、プロセスにおいて要求される露光量裕度を満足できないことになる。露光量裕度の要求値(β)以上となる確率値P’EXPは、以下の式(27)から求めることができる。尚、式(27)を積分形式で表せば、式(28)のとおりとなる。
【0161】
【0162】
【0163】
露光量裕度の確率値P’EXPに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、露光量裕度の確率値P’DOFが変化するので、露光量裕度の確率値P’EXPが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0164】
(実施の形態15)
実施の形態15も、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態15においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度とし、未設定裕度をマスクのパターンサイズ裕度とした。
【0165】
実施の形態12においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−1220]あるいは[工程−1230]にて求められた裕度の値MSK’(ei,fj)のそれぞれに基づき、マスクのパターンサイズ裕度の期待値E’MSKを求め、期待値E’MSKに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態15においては、その代わりに、各評価パターンに対して、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei),Pf(fj)、及び実施の形態12の[工程−1220]あるいは[工程−1230]にて求められた裕度の値MSK’(ei,fj)のそれぞれに基づき、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)が要求値(γ)以上となる確率値P’MSKを求め、この確率値P’MSKに基づきパターン転写性能を評価する。マスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)が要求値(γ)以上となる確率値P’MSKが低ければ、結局、プロセスにおいて要求されるパターンサイズ裕度を満足できないことになる。マスクのパターンサイズ裕度の要求値(γ)以上となる確率値P’MSKは、以下の式(29)から求めることができる。尚、式(29)を積分形式で表せば、式(30)のとおりとなる。
【0166】
【0167】
【0168】
マスクのパターンサイズ裕度の確率値P’MSKに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、マスクのパターンサイズ裕度の確率値P’MSKが変化するので、マスクのパターンサイズ裕度の確率値P’MSKが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0169】
(実施の形態16)
実施の形態16は、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態16においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度をデフォーカス裕度とした。
【0170】
実施の形態10においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−1020]あるいは[工程−1030]にて求められた裕度の値DOF’(ei,mj)のそれぞれに基づき、デフォーカス裕度の期待値E’DOFを求め、期待値E’DOFに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態16においては、その代わりに、設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(ei,mj)により表し、実施の形態10の[工程−1020]あるいは[工程−1030]にて求められた裕度の値DOF’(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α’)以上となる範囲において関数C(ei,mj)の積算値W’DOFを求め、積算値W’DOFに基づきパターン転写性能を評価する。尚、一様分布を有する関数C(ei,mj)は、実施の形態7にて説明した関数と同様とすることができる。
【0171】
デフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α’)以上となる、露光量裕度の設定値(ei)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fj)の組合せの範囲(共通領域)が広ければ、関数C(ei,mj)の積算値W’DOFも大きくなる。従って、関数C(ei,mj)の積算値W’DOFを評価することで、露光光の露光量裕度の設定値及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せ(ei,mj)の広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、デフォーカス裕度の値DOF’(ei,mj)がデフォーカス裕度の要求値(α’)以上となり得る関数C(ei,mj)の積算値W’DOFが大きいほど、露光光の露光量裕度とマスクのパターンサイズ裕度の組合せの範囲(共通領域)が広く、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が全体として大きいといえる。
【0172】
積算値W’DOFは、以下の式(31)から求めることができる。尚、式(31)を積分形式で表せば、式(32)のとおりとなる。
【0173】
【0174】
【0175】
積算値W’DOFに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、積算値W’DOFが変化するので、積算値W’DOFが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0176】
(実施の形態17)
実施の形態17も、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態17においては、設定裕度をデフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度とし、未設定裕度を露光光の露光量裕度とした。
【0177】
実施の形態11においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−1120]あるいは[工程−1130]にて求められた裕度の値EXP’(fi,mj)のそれぞれに基づき、露光量裕度の期待値E’EXPを求め、期待値E’EXPに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態17においては、その代わりに、設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(fi,mj)により表し、実施の形態11の[工程−1120]あるいは[工程−1130]にて求められた裕度の値EXP’(fi,mj)がデフォーカス裕度の要求値(β’)以上となる範囲において関数C(fi,mj)の積算値W’EXPを求め、積算値W’EXPに基づきパターン転写性能を評価する。一様分布を有する関数C(fi,mj)は、実施の形態8にて説明した関数と同様とすることができる。
【0178】
露光量裕度の値EXP’(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β’)以上となる、デフォーカス裕度の設定値(fi)及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値(fj)の組合せの範囲(共通領域)が広ければ、関数C(fi,mj)の積算値W’EXPも大きくなる。従って、関数C(fi,mj)の積算値W’EXPを評価することで、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の組合せ(fi,mj)の広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、露光量裕度の値EXP’(fi,mj)が露光量裕度の要求値(β’)以上となり得る関数C(fi,mj)の積算値W’EXPが大きいほど、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の組合せの範囲(共通領域)が広く、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が全体として大きいといえる。
【0179】
積算値W’EXPは、以下の式(33)から求めることができる。尚、式(33)を積分形式で表せば、式(34)のとおりとなる。
【0180】
【0181】
【0182】
積算値W’EXPに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、積算値W’EXPが変化するので、積算値W’EXPが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0183】
(実施の形態18)
実施の形態18も、本発明の第3の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施の形態18においては、設定裕度を露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度とし、未設定裕度をマスクのパターンサイズ裕度とした。
【0184】
実施の形態12においては、設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及び[工程−1220]あるいは[工程−1230]にて求められた裕度の値MSK’(ei,fj)のそれぞれに基づき、マスクのパターンサイズ裕度の期待値E’MSKを求め、期待値E’MSKに基づきパターン転写性能を評価した。一方、実施の形態18においては、その代わりに、設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(ei,fj)により表し、実施の形態12の[工程−1220]あるいは[工程−1230]にて求められた裕度の値MSK’(ei,fj)がデフォーカス裕度の要求値(γ’)以上となる範囲において関数C(ei,fj)の積算値W’MSKを求め、積算値W’MSKに基づきパターン転写性能を評価する。一様分布を有する関数C(ei,fj)は、実施の形態9にて説明した関数と同様とすることができる。
【0185】
マスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)がマスクのパターンサイズ裕度の要求値(γ’)以上となる、露光量裕度の設定値(ei)及びデフォーカス裕度の設定値(fj)の組合せの範囲(共通領域)が広ければ、関数C(ei,fj)の積算値W’MSKも大きくなる。従って、関数C(ei,fj)の積算値W’MSKを評価することで、露光光の露光量裕度及びデフォーカス裕度の組合せ(ei,fj)の広さを定量的に評価することができる。言い換えれば、マスクのパターンサイズ裕度の値MSK’(ei,fj)がマスクのパターンサイズ裕度の要求値(γ’)以上となり得る関数C(ei,fj)の積算値W’MSKが大きいほど、露光光の露光量裕度とデフォーカス裕度の組合せの範囲(共通領域)が広く、露光光の露光量裕度、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度が全体として大きいといえる。
【0186】
積算値W’MSKは、以下の式(35)から求めることができる。尚、式(35)を積分形式で表せば、式(36)のとおりとなる。
【0187】
【0188】
【0189】
積算値W’MSKに基づきパターン転写性能を評価する。即ち、評価パターンサイズに依存して、積算値W’MSKが変化するので、積算値W’MSKが所望の値以上となるパターンサイズを下限としてパターン設計を行えばよい。
【0190】
【実施例】
以下、図面を参照して、好ましい実施例に基づき本発明を説明する。
【0191】
尚、ウエハ上に形成されたレジスト材料に対して露光光により転写パターンを形成するとき、縮小投影に使用されるものをレティクル、一対一投影に使用されるものをマスクと称したり、あるいは原盤の相当するものをレティクル、それを複製したものをマスクと称したりすることがあるが、本明細書においては、このような種々の意味におけるレティクルやマスクを、特に断らない限り、総称してフォトマスク(若しくは、単にマスク)と呼ぶ。また、以下の実施例においては、5倍のフォトマスク、即ち、転写パターンの設計サイズを1とした場合、フォトマスクに形成されるパターンの設計サイズが5であるフォトマスクを用いる。尚、以下の記載において、パターンに関連する長さや大きさは、特に断りの無い限り、転写パターン上での長さや大きさである。フォトマスクに形成されたパターンの長さや大きさを求める場合には、転写パターン上での長さや大きさを、例えば5倍すればよい。
【0192】
更に、パターンに関連する規格化された長さや大きさを、特に断りの無い限り、以下の式(37)のレイリーの式のk1を用いて表す。ここで、wは転写パターンの実際の長さや大きさ、λは露光光波長、NAは露光装置のレンズの開口数である。
【0193】
[数37]
w=k1(λ/NA) 式(37)
【0194】
また、以下の実施例において、特に断らない限り規格化されたデフォーカス量を、以下の式(38)のレイリーの式のk2を用いて表す。ここで、Fはデフォーカス量である。
【0195】
[数38]
F=k2(λ/NA2) 式(38)
【0196】
また、以下の実施例において、特に断らない限り転写パターンのサイズ(例えばパターン幅)変動の許容量を、ターゲット値(パターンサイズの設計値)に対して±10%とした。転写パターンは、H. H. Hopkins の提唱したパーシャルコヒーレンシーの理論に基づくシミュレーション(計算)で得られた光強度分布から求めたが、実際に転写パターンをレジストに形成する方法や、実際に光強度分布を測定する方法や、かかる方法とシミュレーションを組合せて求めることもできる。
【0197】
更には、レジスト上の転写パターン形状を精確に得るために、本出願人が平成6年11月16に特許出願した特願平6−281749号「露光方法およびレジストパターン算出方法」に基づき、転写パターンサイズを計算によって求めた。尚、この方法においては、シミュレーションあるいは測定によって得られる光強度分布に指数関数を乗じて積分することにより、ウエハ上のレジストに形成される転写パターンの幅をかかる指数関数の係数によりフィッティングする。このフィッティングは、具体的には、露光量をD、光強度分布をI(x,y)とすると、以下の式(39)で表すことができる。そして、式(39)の指数関数における定数cを、実測された転写パターンサイズを再現するように変化させることによってフィッティングを行う。ここでは、指数関数における定数cの値をk1=0.2と設定した。
【0198】
【0199】
光源として、通常光源及び変形光源を用いた。ここで、変形光源としては、特開平7−122478号公報の図3に示された変形光源を用いた。この変形光源は、光源の中心領域の光強度が0.2程度となり、中心領域の周辺に配された4つの領域の光強度が1.0となる光強度分布を得ることができるような光源である。また、パーシャルコヒーレンシーの値を、通常光源の場合には0.6、変形光源の場合には0.7とした。
【0200】
更に、転写パターンのサイズ(幅)を、k1=0.30からk1=1.0とした。一方、フォトマスク上の評価パターンのサイズ(幅)は、設定露光量において、幅k1=0.30からk1=1.0の転写パターンを得るために、適宜修正した。k1で表された、修正後のマスクにおける評価パターンのサイズ(幅)を表1に示す。▲1▼通常照明及び通常マスクを用いて、孤立スペース、孤立ライン及びライン・アンド・スペースを同時に転写する場合、▲2▼通常照明及び通常マスクを用いて、孤立ホールを転写する場合、▲3▼変形光源及びハーフトーン方式位相シフトマスクを用いて、孤立スペース、孤立ライン及びライン・アンド・スペースを同時に転写する場合、▲4▼変形光源及びハーフトーン方式位相シフトマスクを用いて、孤立ホール及び密集ホールを転写する場合のそれぞれに対して、修正後のマスクにおける評価パターンのサイズ(幅)を求めた。尚、ライン・アンド・スペースに関しては、ライン・アンド・スペースパターンのスペース部分について、修正後のマスクの評価パターンのサイズ(幅)を表1に示した。
【0201】
【0202】
また、確率密度関数Pe(e),Pm(m),Pf(f)として、特に断りの無い限り、以下の式(40)、式(41)及び式(42)で表される各裕度に対するガウス分布を用いた。更には、特に断りの無い限り、露光量裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σe値において6.67%とし、マスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σm値においてk1=0.019とし、デフォーカス裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σf値においてk2=0.67とした。
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
ここで、スペースとは、フォトマスク上で光透過部となる縦横比の異なるパターンを意味する。一方、ラインとは、フォトマスク上で遮光部となる縦横比の異なるパターンを意味する。更に、ホールとは、フォトマスク上で光透過部となる縦横比の等しいパターンを意味する。また、密集ホールとは、ホールの四辺がそれぞれ別のホールと隣接しており、間隔がホールの一辺の長さに等しくなるように配置されている状態を意味する。
【0207】
尚、実施例1〜実施例5は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関し、実施例6〜実施例10は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関し、実施例11〜実施例15は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクにおけるパターン転写特性評価方法に関する。実施例16、実施例17及び実施例18の各々は、本発明の第1、第2及び第3の態様に係るフォトマスクの設計方法に関する。更に、実施例19、実施例20及び実施例21の各々は、本発明の第1、第2及び第3の態様に係る露光方法に関する。また、実施例22〜実施例32は、本発明の半導体装置の作製方法に関する。尚、実施例1〜実施例15の各種条件を、表2、表3及び表4に纏めた。また、全ての実施例は、基本的には実施の形態1〜実施の形態9にて説明した、裕度の設定値(X,Y)によって規定される領域[−XからX、及び−YからYで囲まれた矩形の領域]を設定し、かかる領域内[但し、−X≦x≦X及び−Y≦y≦Y]において各裕度の想定値(x,y)のそれぞれに対して変化量の最大値zを求め、−X≦x≦X及び−Y≦y≦Yにおいて複数得られた最大値zの内、最も小さな値(変化量の限界許容値)を、設定されていない1つの裕度の値Zとして求める方法を採用した。
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
(実施例1)
実施例1は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスク(以下、通常マスクと呼ぶ)を用いた本発明の第1の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例1においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度の期待値EDOFに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。実施例1〜実施例5は、基本的には実施の形態1〜実施の形態3にて説明したパターン転写特性評価方法に則っている。
【0212】
デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図8の(A)に示す。実施例1においては、k1=0.80 においてデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が極大値を持つこと、及び転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が低下することが、精度良く示された。
【0213】
(実施例2)
実施例2も、通常光源、及び以下、通常マスクを用いた本発明の第1の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例2においては、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度を設定し、露光量を変化量として変化させ、露光量裕度の期待値EEXPに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。
【0214】
露光量裕度の期待値EEXP(%)を式(3)から求めた結果を、図8の(B)に示す。実施例2においては、転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、露光量裕度の期待値EEXP(%)がほぼ一定の割合で低下することが、精度良く示された。
【0215】
(実施例3)
実施例3も、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第1の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例3においては、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定し、マスクのパターンサイズを変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSKに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。
【0216】
マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSK(k1)を式(5)から求めた結果を、図9の(A)に示す。実施例3においては、転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、マスクのパターンサイズ裕度の期待値EMSK(k1)が低下することが、精度良く示された。
【0217】
(実施例4)
実施例4は、実施例1の変形である。実施例4においては、評価パターンとして、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペースパターン、及び孤立ホールパターンを用いた。
【0218】
図9の(B)に示した孤立ラインパターンにおけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、孤立ラインパターンにおいては、転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が低下することが、精度良く示された。
【0219】
また、図10の(A)に示したライン・アンド・スペースパターンのスペース部分におけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、k1=0.6〜1.0の間では、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の値はほぼ一定であるが、k1=0.6以下では、評価パターンのスペース部分に対応する転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、期待値EDOF(k2)の値が減少することが、精度良く示された。
【0220】
更に、図10の(B)に示した孤立ホールパターンにおけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)がほぼ一定の割合で低下すること、k1=0.4 以下では、極端にデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が小さくなることが、精度良く示された。
【0221】
(実施例5)
実施例5は、変形光源、及び光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するハーフトーン位相シフトマスクを用いた本発明の第1の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例5においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度の期待値EDOFに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターン、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペースパターン、孤立ホールパターン、及び密集ホールパターンを用いた。
【0222】
図11の(A)に示した孤立スペースパターンにおけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、孤立スペースパターンにおいては、k1=0.70においてデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が極大値を持つこと、及び転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が低下することが、精度良く示された。
【0223】
図11の(B)に示した孤立ラインパターンにおけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、孤立ラインパターンにおいては、k1=1.0〜0.6の間では、EDOFの値はほぼ一定であるが、k1=0.6以下では、EDOFの値が減少することが、精度良く示された。
【0224】
また、図12の(A)に示したライン・アンド・スペースパターンのスペース部分におけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、k1=0.60においてデフォーカス裕度の期待値EDOFが極大値を持つこと、転写パターンサイズ(k1)が小さくなるに従い、デフォーカス裕度の期待値EDOFが低下すること、更には、k1=0.30ではレジストパターンを形成できないことが、精度良く示された。
【0225】
更に、図12の(B)に示した孤立ホールパターンにおけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、k1=1.0〜0.50の間でデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が減少すること、及びk1=0.50以下では殆どデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が得られないことが、精度良く示された。
【0226】
また、図13の(A)に示した密集ホールパターンにおけるデフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)の結果から、k1=1.0〜0.40の間で、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)が低下すること、及びk1=0.30ではレジストパターンを形成できないことが、精度良く示された。
【0227】
(実施例6)
実施例6は、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第2の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例6においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。実施例6〜実施例10は、基本的には実施の形態4〜実施の形態6にて説明したパターン転写特性評価方法に則っている。
【0228】
デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図13の(B)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1(正確には、0.9973であり、以下においても同様の表現をする)となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表5のとおりとなった。
【0229】
[表5]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0230】
(実施例7)
実施例7も、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第2の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例7においては、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度を設定し、露光量を変化量として変化させ、露光量裕度が要求値(β)以上となる確率値PEXPに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。
【0231】
露光量裕度が要求値(β)以上となる確率値PEXPを式(9)から求めた結果を、図14の(A)に示す。露光量裕度(%)が要求値(β)以上となる確率値PEXPがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、露光量裕度と限界解像度との関係は、以下の表6のとおりとなった。
【0232】
[表6]
露光量裕度 限界解像度
20.0% k1=0.70
15.0% k1=0.60
10.0% k1=0.60
5.0% k1=0.60
0.0% k1=0.60
【0233】
(実施例8)
実施例8も、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第2の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例8においては、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定し、マスクのパターンサイズを変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度が要求値(γ)以上となる確率値PMSKに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。
【0234】
マスクのパターンサイズ裕度が要求値(γ)以上となる確率値PMSKを式(11)から求めた結果を、図14の(B)に示す。マスクのパターンサイズ裕度(m)が要求値(γ)以上となる確率値PMSKがほぼ1にとなる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、マスクのパターンサイズ裕度(m)と限界解像度との関係は、以下の表7のとおりとなった。
【0235】
[表7]
パターンサイズ裕度 限界解像度
k1=0.016 k1=0.60
k1=0.012 k1=0.60
k1=0.008 k1=0.60
k1=0.004 k1=0.60
k1=0.000 k1=0.60
【0236】
(実施例9)
実施例9は、実施例6の変形である。実施例9においては、評価パターンとして、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペースパターン、及び孤立ホールパターンを用いた。
【0237】
孤立ラインパターンにおけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図15の(A)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表8のとおりとなった。
【0238】
[表8]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.70
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0239】
ライン・アンド・スペースパターンのスペース部分におけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを、図15の(B)に示す。スペース部分におけるデフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表9のとおりとなった。
【0240】
[表9]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0241】
孤立ホールパターンにおけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを、図16の(A)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表10のとおりとなった。
【0242】
[表10]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.90
k2=0.75 k1=0.80
k2=0.50 k1=0.70
k2=0.25 k1=0.60
k2=0.00 k1=0.60
【0243】
(実施例10)
実施例10は、変形光源、及び光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するハーフトーン位相シフトマスクを用いた本発明の第2の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例10においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターン、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペースパターン、孤立ホールパターン、及び密集ホールパターンを用いた。
【0244】
孤立スペースパターンにおけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図16の(B)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表11のとおりとなった。
【0245】
[表11]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.60
k2=0.00 k1=0.50
【0246】
孤立ラインパターンにおけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを、図17の(A)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表12のとおりとなった。
【0247】
[表12]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.80
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.40
【0248】
ライン・アンド・スペースパターンのスペース部分におけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを、図17の(B)に示す。スペース部分におけるデフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表13のとおりとなった。
【0249】
[表13]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.60
k2=0.00 k1=0.50
【0250】
孤立ホールパターンにおけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを、図18の(A)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表14のとおりとなった。
【0251】
[表14]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.80
k2=0.75 k1=0.80
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.60
k2=0.00 k1=0.60
【0252】
密集ホールパターンにおけるデフォーカス裕度の確率値PDOFを、図18の(B)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値PDOFがほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、以下の表15のとおりとなった。
【0253】
[表15]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.70
k2=0.75 k1=0.70
k2=0.50 k1=0.70
k2=0.25 k1=0.70
k2=0.00 k1=0.60
【0254】
(実施例11)
実施例11は、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第3の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例11においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度が要求値(α’:k2=0.00)以上となる、一様分布を有する関数C(ei,fj)の積算値WDOFに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。ここで、デフォーカス裕度に対する積算値WDOFは、各評価パターンサイズにおける露光量裕度とマスクパターンサイズ裕度の想定最大設定値内において、各々の露光量裕度の設定値とマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せが、k2=0.00以上を満足する割合を表す。実施例11〜実施例15は、基本的には実施の形態7〜実施の形態9にて説明したパターン転写特性評価方法に則っている。
【0255】
デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図19の(A)に示す。実施例11においては、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.60と明確に得られた。
【0256】
(実施例12)
実施例12も、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第3の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例12においては、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度を設定し、露光量を変化量として変化させ、露光量裕度が要求値(β’=0.0%)以上となる、一様分布を有する関数C(fi,mj)の積算値WEXPに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。尚、露光量裕度に対する積算値WEXPは、各評価パターンサイズにおけるデフォーカス裕度とマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値内において、各々のデフォーカス裕度の設定値とマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せが、露光量裕度0.0%以上を満足する割合を表す。
【0257】
露光量裕度が0.0%以上となる積算値WEXP(α’)を式(15)から求めた結果を、図19の(B)に示す。実施例12においては、露光量裕度が0.0%以上となる積算値WEPX(β’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.70と明確に得られた。
【0258】
(実施例13)
実施例13も、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第3の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例13においては、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定し、マスクのパターンサイズを変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度が要求値(γ’:k1=0.000)以上となる、一様分布を有する関数C(ei,fj)の積算値WMSKに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。尚、マスクのパターンサイズ裕度に対する積算値WMSKは、各評価パターンサイズにおける露光量裕度とデフォーカス裕度の想定最大設定値内において、各々の露光量裕度とデフォーカス裕度の組合せが、マスクのパターンサイズ裕度k1=0.000以上を満足する割合を表す。
【0259】
マスクのパターンサイズ裕度がk1=0.000以上となる積算値WMSK(γ’)を式(17)から求めた結果を、図20の(A)に示す。実施例13においては、マスクのパターンサイズ裕度がk1=0.000以上となる積算値WMSK(γ’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.70と明確に得られた。
【0260】
(実施例14)
実施例14は、実施例11の変形である。実施例11においては、評価パターンとして、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペースパターン、及び孤立ホールパターンを用いた。
【0261】
孤立ラインパターンにおいて、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図20の(B)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.60と明確に得られた。
【0262】
ライン・アンド・スペースパターンのスペース部分において、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を、図21の(A)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.60と明確に得られた。
【0263】
孤立ホールパターンにおいて、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を、図21の(B)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.70と明確に得られた。
【0264】
(実施例15)
実施例15は、変形光源、及び光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するハーフトーン位相シフトマスクを用いた本発明の第3の態様に係るパターン転写特性評価方法に関する。実施例15においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度が要求値(α’:k2=0.00)以上となる、一様分布を有する関数C(ei,fj)の積算値WDOFに基づきパターン転写特性評価を行う。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターン、孤立ラインパターン、ライン・アンド・スペースパターン、孤立ホールパターン、及び密集ホールパターンを用いた。尚、デフォーカス裕度に対する積算値WDOFは、各評価パターンサイズにおける露光量裕度とマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値内において、各々の露光量裕度の設定値とマスクのパターンサイズ裕度の組合せが、k2=0.00以上を満足する割合を表す。
【0265】
孤立スペースパターンにおいて、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図22の(A)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.60と明確に得られた。
【0266】
孤立ラインパターンにおいて、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を、図22の(B)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.50と明確に得られた。
【0267】
ライン・アンド・スペースパターンのスペース部分において、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を、図23の(A)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.60と明確に得られた。
【0268】
孤立ホールパターンにおいて、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を、図23の(B)に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.70と明確に得られた。
【0269】
密集ホールパターンにおいて、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を、図24に示す。デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)が1.0以下となるパターンサイズは、k1=0.70と明確に得られた。
【0270】
(実施例16)
実施例16は、本発明の第1の態様に係るフォトマスクの設計方法に関する。光源としては、通常光源を使用する。また、フォトマスクは、光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクである。実施例16においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度の期待値EDOFを求め、このデフォーカス裕度の期待値EDOFが所望の値よりも大きくなるようにフォトマスクのパターンサイズ裕度を設定する。尚、評価パターンとしては、孤立スペースパターンとした。
【0271】
実施例16においては、2つのケースを想定した。各ケースにおける露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、以下の表16に掲載する。
【0272】
【0273】
ケース1及びケース2に関して、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図25の(A)及び図25の(B)に示す。図8の(A)、図25の(A)及び(B)に示す結果から、例えばk1=0.8において、デフォーカス裕度の期待値EDOFとしてk2=2.00以上を得るためには、マスクのパターンサイズ裕度(3σm)をk1=0.014以下に設定すればよいことが明確になった。
【0274】
(実施例17)
実施例17は、本発明の第2の態様に係るフォトマスクの設計方法に関する。光源としては、通常光源を使用する。また、フォトマスクは通常マスクである。実施例17においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度の値が要求値(α)以上となる確率値PDOFを求め、この確率値PDOFが所望の値よりも大きくなるようにフォトマスクのパターンサイズ裕度を設定する。尚、評価パターンとしては、孤立スペースパターンとした。
【0275】
実施例17においては、2つのケースを想定した。各ケースにおける露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、以下の表17に掲載する。
【0276】
【0277】
ケース1及びケース2に関して、デフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図26の(A)及び図26の(B)に示す。デフォーカス裕度(k2)が要求値(α)以上となる確率値がほぼ1となる最小パターンサイズ(k1)を限界解像度とすると、デフォーカス裕度(k2)と限界解像度(k1)との関係は、ケース1及びケース2に関して、以下の表18及び表19のとおりとなった。
【0278】
[表18]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.40
【0279】
[表19]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.70
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0280】
尚、実施例6における限界解像度を、以下の表20に再掲する。
【0281】
[表20]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0282】
表18〜表20を比較すると、或る値のデフォーカス裕度及び或る値の限界解像度を得るために要求されるマスクのパターンサイズ裕度は以下の表21のとおりとなる。
【0283】
[表21]
デフォーカス裕度 限界解像度 要求マスクのパターンサイズ裕度(3σm)
k2=1.00 k1=0.60 k1=0.014
k2=0.75 k1=0.60 k1=0.020
k2=0.50 k1=0.50 k1=0.014
k2=0.25 k1=0.50 k1=0.020
k2=0.00 k1=0.40 k1=0.008
【0284】
(実施例18)
実施例18は、本発明の第3の態様に係るフォトマスクの設計方法に関する。光源としては、通常光源を使用する。また、フォトマスクは通常マスクである。実施例18においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、パターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(ei,mj)により表し、デフォーカス裕度の値が要求値(α’)以上となる範囲においてこの関数C(ei,mj)の積算値WDOFを求め、積算値WDOFが所望の値よりも大きくなるようにフォトマスクのパターンサイズ裕度を設定する。実施例18では要求値(α’)をk2=0.00とする。尚、デフォーカス裕度に対する積算値は、各評価パターンサイズにおける露光量裕度とマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値内において、各々の露光量裕度の設定値とマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せが、k2=0.00以上を満足する割合を表す。尚、評価パターンとしては、孤立スペースパターンとした。
【0285】
実施例18においては、2つのケースを想定した。各ケースにおける露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度を、以下の表22に掲載する。
【0286】
【0287】
ケース1及びケース2に関して、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図27の(A)及び図27の(B)に示す。図19の(A)、図27の(A)及び(B)の結果を比較すると、以下の結論を導き出すことができた。
【0288】
即ち、パターンサイズがk1=0.6以上で、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値が1.0であるためには、マスクのパターンサイズ裕度(3σm)をk1=0.014以下に設定すればよい。また、パターンサイズがk1=0.5以上で、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値が1.0であるためには、マスクのパターンサイズ裕度(3σm)をk1=0.008以下に設定すればよいことが明確になった。
【0289】
(実施例19)
実施例19は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクを用いた、本発明の第1の態様に係る露光方法に関する。実施例19においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、デフォーカス裕度の期待値EDOFを求め、この期待値EDOFが所望の値よりも大きくなるように露光条件を求める。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。
【0290】
実施例19においては、2つのケースを想定した。各ケースにおける露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、以下の表23に掲載する。
【0291】
【0292】
ケース1及びケース2に関して、デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図28の(A)及び図28の(B)に示す。図8の(A)、図28の(A)及び(B)に示す結果から、例えばk1=0.8において、デフォーカス裕度の期待値EDOFとしてk2=2.00以上を得るためには、露光量裕度(3σe)を5%以下に設定すればよいことが明確になった。
【0293】
(実施例20)
実施例20は、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第2の態様に係る露光方法に関する。実施例20においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及びデフォーカス裕度のそれぞれの値に基づき、デフォーカス裕度の値が要求値(α)以上となる確率値PDOFを求め、この確率値PDOFが所望の値よりも大きくなるように露光条件を求める。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。
【0294】
実施例20においては、2つのケースを想定した。各ケースにおける露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、以下の表24に掲載する。
【0295】
【0296】
ケース1及びケース2に関して、デフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図29の(A)及び図29の(B)に示す。ケース1及びケース2における限界解像度を、以下の表25及び表26に示す。尚、実施例6における限界解像度を、以下の表27に再掲する。
【0297】
[表25]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.40
【0298】
[表26]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.70
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0299】
[表27]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.70
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0300】
従って、表25〜表27を比較することにより、或る値のデフォーカス裕度(k2)において或る値の限界解像度(k1)を得るために要求される露光量裕度(%)は、以下の表28のとおりとなった。
【0301】
[表28]
デフォーカス裕度 限界解像度 要求露光量裕度(3σe)
k2=1.00 k1=0.60 3%
k2=0.75 k1=0.60 7%
k2=0.50 k1=0.50 5%
k2=0.25 k1=0.50 5%
k2=0.00 k1=0.40 3%
【0302】
(実施例21)
実施例21は、通常光源、及び通常マスクを用いた本発明の第3の態様に係る露光方法に関する。実施例21においては、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定し、デフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数C(ei,mj)により表し、デフォーカス裕度の値が要求値(α’:k2=0.00)以上となる範囲においてこの関数C(ei,mj)の積算値WDOFを求め、積算値WDOFが所望の値よりも大きくなるように露光条件を求める。尚、評価パターンとして、孤立スペースパターンを用いた。ここで、デフォーカス裕度に対する積算値WDOFは、各評価パターンサイズにおける露光量裕度とマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値内において、各々の露光量裕度の設定値とマスクのパターンサイズ裕度の設定値の組合せが、k2=0.00以上を満足する割合を表す。
【0303】
実施例21においては、2つのケースを想定した。各ケースにおける露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度を、以下の表29に掲載する。
【0304】
【0305】
ケース1及びケース2に関して、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図30の(A)及び図30に(B)に示す。
【0306】
図19の(A)、図30の(A)及び(B)の結果を比較したところ、パターンサイズがk1=0.6以上で、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOFが1.0であるためには、露光量裕度を5%以下に設定すればよく、また、パターンサイズがk1=0.5以上で、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOFが1.0であるためには、露光量裕度を3%以下に設定すればよいことが明確になった。
【0307】
(実施例22)
実施例22は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクを用いた、本発明の半導体装置の作製方法に関し、更に詳しくは、デフォーカス裕度の期待値EDOF及びデフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づく半導体装置の作製方法に関する。
【0308】
ここで、デフォーカス裕度の期待値EDOFは、露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及びデフォーカス裕度の値のそれぞれに基づき求める。一方、デフォーカス裕度の値が要求値以上となる確率値PDOFは、露光量裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数、及びデフォーカス裕度のそれぞれ値に基づき求める。評価パターンとしては、孤立スペースパターンを用いた。露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)として、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2を用いた。ここで、Geは、式(40)で表される、露光量裕度の設定値の分布を表すガウス分布である。一方、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pm(mj)として、式(41)で表されるガウス分布Gm(mj)を用いた。
【0309】
デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図31の(A)に示す。尚、露光量裕度の想定最大設定値を、ガウス分布Geにおける4σe値として6.67%、マスクのパターンサイズ裕度における4σm値としてk1=0.019となるように設定した。
【0310】
また、デフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図31の(B)に示す。尚、デフォーカス裕度の設定値の分布及びマスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数として、ガウス分布Ge(ei)、Gm(mj)を用いた。
【0311】
実施例1にて得られたデフォーカス裕度の期待値EDOFの結果(図8の(A)参照)、及び、実施例6にて得られたデフォーカス裕度が要求値以上となる確率値PDOFの結果(図13の(B)参照)と、実施例22の結果を比較すると、例えば、パターン幅k1=0.8において、デフォーカス裕度の期待値EDOFがk2=2.0となるためには、露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)として、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2を用いるのではなく、ガウス分布Ge(ei)を用いればよいことが明確である。
【0312】
ところで、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2の確率密度関数Pe(ei)で表される確率分布は、2つのピークを有し、例えば、ウエハ基板上に段差が存在する場合に生じる。それ故、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2と、Ge(ei)とを比較することで、基体表面に平坦化処理を施すべきかを判断することができる。即ち、実施例22に示すように、露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)として、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2を用いるよりは、ガウス分布Ge(ei)を用いればよいことが明確である場合には、基体表面に平坦化処理を施す必要がある。一方、露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)として、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2を用いても、ガウス分布Ge(ei)を用いても、概ね同様の結果が得られる場合には、基体表面に平坦化処理を施す必要はない。以上のようにして、半導体装置の製造条件(実施例22においては、基体の平坦化処理を行うか否かの決定)を、定量的且つ合理的に、数値化された状態で下すことが可能となる。
【0313】
また、図31の(B)に示すように、{Ge(ei−σe)+Ge(ei+σe)}/2で表される確率密度関数Pe(ei)に基づく確率値PDOFは、ガウス分布Geに基づく確率値PDOFよりも小さい値となっている。 即ち、デフォーカス裕度の値が要求値(α)以上となる確率値PDOFからも、基体表面に平坦化処理を施すべきか否かを、定量的且つ合理的に、数値化された状態で下すことが可能となる。
【0314】
(実施例23)
実施例23も、通常光源、及び通常マスクを用いた、本発明の半導体装置の作製方法に関し、更に詳しくは、デフォーカス裕度の期待値EDOF及びデフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づく半導体装置の作製方法に関する。
【0315】
実施例23が実施例22と相違する点は、露光量裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pe(ei)として、{0.7Ge(ei)+0.3Ce(ei)}/2を用いた点にある。ここで、Ceは一様分布を示す関数であり、例えばiを変数として総和Seを求め、かかる総和Seが4σe内で0.3の値を有する関数とすればよい。また、マスクのパターンサイズ裕度の設定値の分布を表す確率密度関数Pm(mj)として、{0.7Gm(mj)+0.3Cm(mj)}/2を用いた点にもある。ここで、Cmは一様分布を示す関数であり、例えばjを変数として総和Smを求め、かかる総和Smが4σm内で0.3の値を有する関数とすればよい。このような確率密度関数による確率分布は、例えば、レンズの収差、レジストの膜厚ばらつき、フォトマスク作製時に発生する誤差等の、系統的誤差(プロセス異常)が存在する場合に相当する。
【0316】
尚、露光量裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σe値として6.67%、マスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σm値としてk1=0.019となるように設定した。
【0317】
デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図32の(A)に示す。また、デフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図32の(B)に示す。
【0318】
実施例1にて得られたデフォーカス裕度の期待値EDOFの結果(図8の(A)参照)、及び、実施例6にて得られたデフォーカス裕度が要求値以上となる確率値PDOFの結果(図13の(B)参照)と、実施例23の結果を比較すると、例えば、パターン幅k1=0.8において、デフォーカス裕度の期待値EDOFとしてk2=2.0以上を得るためには、一様な分布の寄与分(CeあるいはCm)を無くせばよいことが明確である。また、デフォーカス裕度の値が要求値以上となる確率値PDOFからは、実施例23における限界解像度は、以下の表30のとおりとなる。
【0319】
[表30]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.70
k2=0.75 k1=0.70
k2=0.50 k1=0.60
k2=0.25 k1=0.60
k2=0.00 k1=0.60
【0320】
従って、以下の表31に示す、ガウス分布に基づく確率密度関数に基づく限界解像度よりも、明らかに悪化している。即ち、所望の解像度により半導体装置を製造するためには、一様な分布の寄与分(CeあるいはCm)を無くせばよいことが明確である。以上のようにして、半導体装置の製造条件(実施例23においては、例えば、レンズの収差、レジストの膜厚ばらつき、フォトマスク作製時に発生する誤差等のプロセス異常の発見)を、合理的に決定することができる。
【0321】
[表31]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0322】
(実施例24)
実施例24も、通常光源、及び通常マスクを用いた、本発明の半導体装置の作製方法に関し、更に詳しくは、デフォーカス裕度の期待値EDOF、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOF、及びマスクのパターンサイズ裕度がk1=0.000以上となる積算値WDOFに基づく半導体装置の作製方法に関する。評価パターンとしては、孤立スペースパターンを用いた。
【0323】
確率密度関数としてガウス分布を用いた。また、露光量裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σe値として6.67%、及びマスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値を、ガウス分布における4σm値としてk1=0.019となるように設定した。転写パターンのサイズ(例えばパターン幅)変動の許容量を、ターゲット値(パターンサイズの設計値)に対して±15%とした。
【0324】
デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図33の(A)に示す。また、デフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図33の(B)に示す。更に、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図34の(A)に示す。
【0325】
転写パターンのサイズ変動の許容量を、ターゲット値に対して±10% の場合のデフォーカス裕度の期待値EDOF(実施例1)、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOF(実施例6)、及びデフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(実施例11)と、実施例24の結果を比較すると、例えば、パターンサイズk1=0.8においては、ターゲット値に対して±10% の場合のデフォーカス裕度の期待値EDOFはk2=2.0であるが、ターゲット値に対して±15%の場合のデフォーカス裕度の期待値EDOFはk2=3.0に向上する。
【0326】
デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFから得られる限界解像度は、ターゲット値に対して±10% の場合は、以下の表32のとおりとなる。一方、ターゲット値に対して±15%の場合は、以下の表33のとおりとなる。
【0327】
[表32]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.60
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.50
k2=0.00 k1=0.50
【0328】
[表33]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.60
k2=0.75 k1=0.50
k2=0.50 k1=0.50
k2=0.25 k1=0.40
k2=0.00 k1=0.40
【0329】
更には、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOFが1.0になるパターンサイズは、ターゲット値に対して±10% の場合にはk1=0.6であるのに対して、ターゲット値に対して±15%の場合にはk1=0.5となる。即ち、所望のリソグラフィー性能を得て半導体装置を製造するための転写パターンサイズの変動許容量を、実施例24に基づき明確に求めることができ、これに基づき、半導体装置の製造条件を決定することができる。
【0330】
(実施例25)
実施例25は、実施例24の変形である。実施例25が実施例24と相違する点は、転写パターンのサイズ(例えばパターン幅)変動の許容量を、ターゲット値(パターンサイズの設計値)に対して±20%とした点にある。
【0331】
デフォーカス裕度の期待値EDOF(k2)を式(1)から求めた結果を、図34の(B)に示す。また、デフォーカス裕度の確率値PDOFを式(7)から求めた結果を、図35の(A)に示す。更に、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を、図35の(B)に示す。
【0332】
転写パターンのサイズ変動の許容量を、ターゲット値に対して±10% の場合のデフォーカス裕度の期待値EDOF(実施例1)、デフォーカス裕度が要求値以上となる確率値PDOF(実施例6)、及びデフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(実施例11)と、実施例25の結果を比較すると、例えば、パターンサイズk1=0.8においては、ターゲット値に対して±10% の場合のデフォーカス裕度の期待値EDOFはk2=2.0であるが、ターゲット値に対して±20%の場合のデフォーカス裕度の期待値EDOFはk2=3.0に向上する。
【0333】
デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFから得られる限界解像度は、ターゲット値に対して±10% の場合は、先に表32に示したとおりである。一方、ターゲット値に対して±20%の場合は、以下の表34のとおりとなる。
【0334】
[表34]
デフォーカス裕度 限界解像度
k2=1.00 k1=0.50
k2=0.75 k1=0.50
k2=0.50 k1=0.40
k2=0.25 k1=0.40
k2=0.00 k1=0.40
【0335】
更には、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOFが1.0になるパターンサイズは、ターゲット値に対して±10% の場合にはk1=0.6であるのに対して、ターゲット値に対して±20%の場合にはk1=0.4となる。即ち、所望のリソグラフィー性能を得て半導体装置を製造するための転写パターンサイズの変動許容量を、実施例25に基づき明確に求めることができ、これに基づき、半導体装置の製造条件を決定することができる。
【0336】
(実施例26)
実施例26は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクにおけるデフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFを、半導体装置の作製方法における露光条件の決定に用いる。実施例26においては、同一のレンズ開口数(NA)を用いた場合における露光波長(λ)の決定、あるいは同一の露光波長(λ)を用いた場合におけるレンズ開口数(NA)の決定を行う。
【0337】
同一のレンズ開口数(NA)を用いて露光波長(λ)を決定する場合において、同一サイズのパターンを異なる2つの露光波長のそれぞれを用いて転写するとき、それぞれの式(37)におけるk1の値が異なる。それぞれのk1の値における未設定裕度期待値EDOF,EEXP,EMSK、未設定裕度が要求値以上となる確率値PDOF,PEXP,PMSK、あるいは、未設定裕度が要求値以上となる積算値WDOF,WEXP,WMSKを、式(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)及び(17)から求め、得られた値の比を異なるk1の値に対して算出すれば、露光波長(λ)が異なったとしても同一のリソグラフィー性能を得るための、限界転写パターンサイズを求めることができる。
【0338】
同一の露光波長(λ)を用いた場合においてレンズ開口数(NA)を決定する場合においても同様である。即ち、同一サイズのパターンを異なる2つのレンズ開口数(NA)のそれぞれを用いて転写する場合、それぞれの式(37)におけるk1の値が異なる。それぞれのk1の値における未設定裕度の期待値EDOF,EEXP,EMSK、未設定裕度が要求値以上となる確率値PDOF,PEXP,PMSK、あるいは、未設定裕度が要求値以上となる積算値WDOF,WEXP,WMSKを、式(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)及び(17)から求め、得られた値の比を異なるk1の値に対して算出すれば、レンズ開口数(NA)が異なったとしても同一のリソグラフィー性能を得るための、限界転写パターンサイズを求めることができる。
【0339】
更に、レンズ開口数(NA)及び露光波長(λ)の両方が異なったとしても同様とすることができる。即ち、異なる2つの条件のそれぞれのk1の値における未設定裕度の期待値EDOF,EEXP,EMSK、未設定裕度が要求値以上となる確率値PDOF,PEXP,PMSK、あるいは、未設定裕度が要求値以上となる積算値WDOF,WEXP,WMSKを、式(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)及び(17)から求め、得られた値の比を異なるk1の値に対して算出すれば、異なる2つの条件(NA,λ)に対する同一のリソグラフィー性能を得るための、限界転写パターンサイズを求めることができる。
【0340】
露光波長が、193nmの場合と、213nmの場合において、同一のリソグラフィー性能を得るための、限界転写パターンサイズを求める場合を以下に示す。同一のレンズ開口数(NA)を用いた場合、213nmの露光波長による解像度は、193nmの露光波長による解像度と比較して、レイリーの式から0.906(193/213)倍、解像度が減少する。
【0341】
式(7)におけるデフォーカス裕度が要求値(α:k2>0.5)以上となる確率値PDOFの比に基づき、露光波長が193nmの場合と213nmの場合を比較する。式(7)の比[PDOF(λ=213nmであり、α:k2>0.5)/PDOF(λ=193nmであり、α:k2>0.5)]を求めた結果を、図36に示す。
【0342】
213nmの露光波長を用いた場合に、193nmの露光波長を用いた場合とほぼ同一の解像度を得るための限界転写パターンサイズは、以下の表35のとおりである。
【0343】
【0344】
図36の結果から、更に、レンズ開口数(NA)が具体的に設定されれば、具体的な転写パターンサイズを得ることができる。具体的な結果を、レンズ開口数(NA)が0.6の場合について、表36に示した。同様に、変形光源、及び光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するハーフトーン位相シフトマスクを用いた場合に実施例26を適用した場合の結果を、表36に示した。
【0345】
【0346】
(実施例27)
実施例27は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクを用いた、本発明の半導体装置の作製方法に関し、更に詳しくは、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づく半導体装置の作製方法に関する。
【0347】
実施例27においては、異なる要求デフォーカス裕度を適用した場合における限界解像度の決定を行う。異なる要求デフォーカス裕度のそれぞれのk1の値における、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFを式(7)によって求め、確率値PDOFが0.9973以上となる限界転写パターンサイズを限界解像度とする例を示す。尚、実施例27においては、式(37)及び式(38)におけるk1及びk2の値の代わりに実際の値で表示した。
【0348】
図37に、NAを0.60とし、要求デフォーカス裕度を0.00μm〜1.00μmとした場合の限界解像度を示す。また、限界解像度の値を、以下の表37に示す。尚、露光波長(λ)を193nmとし、転写パターンのサイズ変動の許容量を、ターゲット値(パターンサイズの設計値)に対して±10%とした。また、マスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値に関するk1の値、及び式(39)の指数関数における定数cに関するk1の値を、それぞれ、0.019(4σm)及び0.20と設定したので、NA=0.60に対して、実際のマスクのパターンサイズ裕度は0.0045μm(3σm)となり、cの値は0.0777μmとなる。尚、「L/S」は、ライン・アンド・スペースの略である。
【0349】
[表37]
パターン 要求デフォーカス裕度 限界解像度
孤立スペース 0.20μm 0.16μm
孤立スペース 0.60μm 0.21μm
孤立ライン 0.20μm 0.15μm
孤立ライン 0.60μm 0.23μm
L/S 0.20μm 0.17μm
L/S 0.60μm 0.19μm
孤立ホール 0.20μm 0.19μm
孤立ホール 0.60μm 0.29μm
【0350】
以上のように、実施例27によれば、所望の焦点深度を得て半導体装置を製造するための限界解像度を明確に求めることができる。
【0351】
(実施例28)
実施例28は実施例27の変形であり、変形光源、及び光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するハーフトーン位相シフトマスクを用いた。
【0352】
図38に、NAを0.60とし、要求デフォーカス裕度を0.00μm〜1.00μmとした場合の限界解像度を示す。また、限界解像度の値を、以下の表38に示す。尚、露光波長(λ)、転写パターンのサイズ変動の許容量、マスクのパターンサイズ裕度、cの値は、実施例27と同様とした。
【0353】
[表38]
パターン 要求デフォーカス裕度 限界解像度
孤立スペース 0.20μm 0.17μm
孤立スペース 0.60μm 0.21μm
孤立ライン 0.20μm 0.15μm
孤立ライン 0.60μm 0.29μm
L/S 0.20μm 0.17μm
L/S 0.60μm 0.19μm
孤立ホール 0.20μm 0.19μm
孤立ホール 0.60μm 0.26μm
密集ホール 0.20μm 0.21μm
密集ホール 0.60μm 0.23μm
【0354】
以上のように、実施例28によれば、所望の焦点深度を得て半導体装置を製造するための限界解像度を明確に求めることができる。
【0355】
(実施例29)
実施例29は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクを用いた、本発明の半導体装置の作製方法に関し、更に詳しくは、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づく半導体装置の作製方法に関する。実施例29においては、異なるレンズ開口数(NA)を用いた場合における、レンズ開口数(NA)の決定を行う。異なるレンズ開口数(NA)のそれぞれのk1の値におけるデフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFを、式(7)から求め、確率値PDOFが0.9973以上となる限界転写パターンサイズを限界解像度とする例を示す。尚、実施例29においても、式(37)及び式(38)におけるk1及びk2の値の代わりに実際の値で表示した。
【0356】
図39〜図42に、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の、限界解像度を示す。尚、図39は孤立スペースパターンに関する結果であり、図40は孤立ラインパターンに関する結果であり、図41はライン・アンド・スペースパターンに関する結果であり、図42は孤立ホールパターンに関する結果である。
【0357】
また、好適なレンズ開口数(NA)の値を、以下の表40に示す。尚、露光波長(λ)を193nmとし、転写パターンのサイズ変動の許容量を、ターゲット値(パターンサイズの設計値)に対して±10%とした。また、マスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値に関するk1の値、及び式(39)の指数関数における定数cに関するk1の値を、それぞれ、0.019(4σm)及び0.20と設定したので、各々のNAに対して、マスクのパターンサイズ裕度(3σm)及びcの値は、以下の表39のとおりとなる。
【0358】
[表39]
NA パターンサイズ裕度(3σm) cの値
0.40 0.0068μm 0.0518μm
0.45 0.0060μm 0.0583μm
0.50 0.0054μm 0.0648μm
0.55 0.0049μm 0.0712μm
0.60 0.0045μm 0.0777μm
【0359】
[表40]
パターン 要求デフォーカス裕度 好適なNA 参照図面
孤立スペース 0.20μm 0.60 図39
孤立スペース 0.60μm 0.55〜0.60 同上
孤立ライン 0.20μm 0.60 図40
孤立ライン 0.60μm 0.55 同上
L/S 0.20μm 0.60 図41
L/S 0.60μm 0.60 同上
孤立ホール 0.20μm 0.60 図42
孤立ホール 0.60μm 0.45 同上
【0360】
以上のように、実施例29によれば、所望のリソグラフィー性能を得て半導体装置を製造するための好適なレンズ開口数(NA)の値を明確に求めることができる。
【0361】
(実施例30)
実施例30は実施例29の変形であり、変形光源、及び光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するハーフトーン位相シフトマスクを用いた。各種の条件は実施例29と同様とした。
【0362】
図43〜図47に、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の、限界解像度を示す。また、好適なレンズ開口数(NA)の値を、以下の表41に示す。尚、図43は孤立スペースパターンに関する結果であり、図44は孤立ラインパターンに関する結果であり、図45はライン・アンド・スペースパターンに関する結果であり、図46は孤立ホールパターンに関する結果であり、図47は密集ホールパターンに関する結果である。
【0363】
[表41]
パターン 要求デフォーカス裕度 好適なNA 参照図面
孤立スペース 0.20μm 0.60 図43
孤立スペース 0.60μm 0.50〜0.60 同上
孤立ライン 0.20μm 0.60 図44
孤立ライン 0.60μm 0.45〜0.50 同上
L/S 0.20μm 0.60 図45
L/S 0.60μm 0.55 同上
孤立ホール 0.20μm 0.60 図46
孤立ホール 0.60μm 0.50 同上
密集ホール 0.20μm 0.50 図46
密集ホール 0.60μm 0.60 同上
【0364】
以上のように、実施例30によれば、所望のリソグラフィー性能を得て半導体装置を製造するための好適なレンズ開口数(NA)の値を明確に求めることができる。
【0365】
(実施例31)
実施例31は、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクを用いた、本発明の半導体装置の作製方法に関し、更に詳しくは、デフォーカス裕度が要求値(α)以上となる確率値PDOFに基づく半導体装置の作製方法に関する。実施例31においては、レンズ開口数(NA)を0.60とし、要求される確率値PDOFが0.9973以上となるデフォーカス裕度の値を求める。尚、実施例31においても、式(37)及び式(38)におけるk1及びk2の値の代わりに実際の値で表示した。また、露光波長(λ)を193nmとし、マスクのパターンサイズ裕度の想定最大設定値に関するk1の値、及び式(39)の指数関数における定数cに関するk1の値を、それぞれ、0.019(4σm)及び0.20と設定したので、NA=0.60において、実際のマスクのパターンサイズ裕度及びcの値は、0.0045μm(3σm)となり、cの値は0.0777μmとなる。
【0366】
転写パターンのサイズ変動の許容値をターゲット値に対して±10%とし、転写パターンサイズを0.10μm〜0.32μmとした場合における、要求される確率値PDOFが0.9973以上となるデフォーカス裕度の値を求めた結果を、図48及び図49に示す。図48及び図49において、デフォーカス裕度の値が0.9973以上の確率で得られる部分を、陰影を付して示す。図48及び図49から、所望のデフォーカス裕度を0.9973以上の確率で得るための範囲を明確に求めることができ、これに基づき、半導体装置の製造条件を決定することができる。
【0367】
(実施例32)
実施例32は実施例31の変形である。実施例32が実施例31と相違する点は、転写パターンのサイズ変動の許容値をターゲット値に対して±20%とした点にある。
【0368】
転写パターンサイズを0.10μm〜0.32μmとした場合における、要求される確率値PDOFが0.9973以上となるデフォーカス裕度の値を求めた結果を、図50及び図51に示す。図50及び図51において、デフォーカス裕度の値が0.9973以上の確率で得られる部分を、陰影を付して示す。図50及び図51から、所望のデフォーカス裕度を0.9973以上の確率で得るための範囲を明確に求めることができ、これに基づき、半導体装置の製造条件を決定することができる。更には、実施例31と比較することによって、転写パターンのサイズ変動の許容値をターゲット値に対して±10%とすべきか、±20%とすべきかを決定することができる。
【0369】
(比較例)
比較例においては、通常光源、及び光透過領域と遮光領域から成るパターンを有する通常のフォトマスクを用いて、従来のEDM法に基づきデフォーカス裕度を求めた。尚、比較例においても、式(37)及び式(38)におけるk1及びk2の値の代わりに実際の値で表示した。また、露光波長(λ)を193nmとし、マスクのパターンサイズ裕度に関するk1の値、及び式(39)の指数関数における定数cに関するk1の値を、それぞれ、0.014(3σm)及び0.20と設定したので、NA=0.60において、実際のマスクのパターンサイズ裕度及びcの値は、0.0045μm(3σm)となり、cの値は0.0777μmとなる。
【0370】
転写パターンのサイズ変動の許容値をターゲット値に対して±10%とし、転写パターンサイズを0.10μm〜0.32μmとした場合におけるデフォーカス裕度を求めた結果を、図52及び図53に示す。比較例においては、転写パターンサイズの小さな領域ではデフォーカス裕度が極端に小さくなり、デフォーカス裕度を正確に決めることができない。
【0371】
以上、本発明を、発明の実施の形態及び好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。発明の実施の形態や実施例にて説明した各種の数値や条件は例示であり、適宜変更することができる。
【0372】
【発明の効果】
本発明によれば、リソグラフィー性能をプロセス裕度の設定範囲を全て含んで表現することができるので、実用的なプロセス裕度を全て反映させながら、リソグラフィー性能の評価、フォトマスクにおけるパターン転写特性評価、フォトマスクの設計方法、露光方法、あるいは、半導体装置の作製を行なうことができる。また、本発明により、マスクのパターンサイズ裕度を明確に求めることができる。あるいは又、本発明により、露光条件を明確に設定することができる。更には、半導体装置の製造において、製造条件を明確に比較決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1のパターン転写特性評価方法の各工程の流れを示す図である。
【図2】X軸をパターンサイズ裕度の想定値、Y軸を露光量裕度の想定値としたときの、デフォーカス裕度の最大値dofを示す模式的な3次元グラフである。
【図3】発明の実施の形態2のパターン転写特性評価方法の各工程の流れを示す図である。
【図4】発明の実施の形態3のパターン転写特性評価方法の各工程の流れを示す図である。
【図5】発明の実施の形態10のパターン転写特性評価方法の各工程の流れを示す図である。
【図6】発明の実施の形態11のパターン転写特性評価方法の各工程の流れを示す図である。
【図7】発明の実施の形態12のパターン転写特性評価方法の各工程の流れを示す図である。
【図8】実施例1におけるデフォーカス裕度の期待値、及び実施例2における露光量裕度の期待値の変化を示すグラフである。
【図9】実施例3におけるマスクのパターンサイズ裕度の期待値、及び実施例4におけるデフォーカス裕度の期待値の変化を示すグラフである。
【図10】実施例4におけるデフォーカス裕度の期待値の変化を示すグラフである。
【図11】実施例5におけるデフォーカス裕度の期待値の変化を示すグラフである。
【図12】実施例5におけるデフォーカス裕度の期待値の変化を示すグラフである。
【図13】実施例5におけるデフォーカス裕度の期待値、及び実施例6におけるデフォーカス裕度の確率値の変化を示すグラフである。
【図14】実施例7における露光量裕度の確率値、及び実施例8におけるマスクのパターンサイズ裕度の確率の変化を示すグラフである。
【図15】実施例9におけるデフォーカス裕度の確率値の変化を示すグラフである。
【図16】実施例9及び実施例10におけるデフォーカス裕度の確率値の変化を示すグラフである。
【図17】実施例10におけるデフォーカス裕度の確率値の変化を示すグラフである。
【図18】実施例10におけるデフォーカス裕度の確率値の変化を示すグラフである。
【図19】実施例11におけるデフォーカス裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値、及び実施例12における露光量裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値の変化を示すグラフである。
【図20】実施例13におけるマスクのパターンサイズ裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値、及び実施例14におけるデフォーカス裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値の変化を示すグラフである。
【図21】実施例14におけるデフォーカス裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値の変化を示すグラフである。
【図22】実施例15におけるデフォーカス裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値の変化を示すグラフである。
【図23】実施例15におけるデフォーカス裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値の変化を示すグラフである。
【図24】実施例15におけるデフォーカス裕度が要求値以上となる、一様分布を有する関数の積算値の変化を示すグラフである。
【図25】実施例16におけるデフォーカス裕度の期待値を式(1)から求めた結果を示すグラフである。
【図26】実施例17におけるデフォーカス裕度の確率値を式(7)から求めた結果を示すグラフである。
【図27】実施例18におけるデフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を示すグラフである。
【図28】実施例19におけるデフォーカス裕度の期待値を式(1)から求めた結果を示すグラフである。
【図29】実施例20においてデフォーカス裕度の確率値を式(7)から求めた結果を示すグラフである。
【図30】実施例21においてデフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値WDOF(α’)を式(13)から求めた結果を示すグラフである。
【図31】実施例22におけるデフォーカス裕度の期待値を式(1)から求めた結果、及び、デフォーカス裕度の確率値を式(7)から求めた結果を示すグラフである。
【図32】実施例23におけるデフォーカス裕度の期待値を式(1)から求めた結果、及び、デフォーカス裕度の確率値を式(7)から求めた結果を示すグラフである。
【図33】実施例24におけるデフォーカス裕度の期待値を式(1)から求めた結果、及び、デフォーカス裕度の確率値を式(7)から求めた結果を示すグラフである。
【図34】実施例24におけるデフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値を式(13)から求めた結果、及び、実施例25におけるデフォーカス裕度の期待値を式(1)から求めた結果を示すグラフである。
【図35】実施例25におけるデフォーカス裕度の確率値を式(7)から求めた結果、及び、デフォーカス裕度がk2=0.00以上となる積算値を式(13)から求めた結果を示すグラフである。
【図36】実施例26において、式(7)におけるデフォーカス裕度が要求値(α:k2>0.5)以上となる確率値PDOFの比でもって、露光波長が193nmの場合と213nmの場合を比較した結果を示すグラフである。
【図37】実施例27において、NAを0.60とし、要求デフォーカス裕度を0.00μm〜1.00μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図38】実施例28において、NAを0.60とし、要求デフォーカス裕度を0.00μm〜1.00μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図39】実施例29において、孤立スペースパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図40】実施例29において、孤立ラインパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図41】実施例29において、ライン・アンド・スペースパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図42】実施例29において、孤立ホールパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図43】実施例30において、孤立スペースパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図44】実施例30において、孤立ラインパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図45】実施例30において、ライン・アンド・スペースパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図46】実施例30において、孤立ホールパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図47】実施例30において、密集ホールパターンに関し、NA=0.40〜0.60の範囲において、要求デフォーカス裕度を0.20μm及び0.60μmとした場合の限界解像度を示すグラフである。
【図48】実施例31において、孤立ラインパターン及び孤立スペースパターンに関し、0.973以上の確率で与えられるデフォーカス裕度の値の範囲を示すグラフである。
【図49】実施例31において、ライン・アンド・スペースパターン及び孤立ホールパターンに関し、0.973以上の確率で与えられるデフォーカス裕度の値の範囲を示すグラフである。
【図50】実施例31において、孤立ラインパターン及び孤立スペースパターンに関し、0.973以上の確率で与えられるデフォーカス裕度の値の範囲を示すグラフである。
【図51】実施例31において、ライン・アンド・スペースパターン及び孤立ホールパターンに関し、0.973以上の確率で与えられるデフォーカス裕度の値の範囲を示すグラフである。
【図52】比較例において、孤立ラインパターン及び孤立スペースパターンに関し、0.973以上の確率で与えられるデフォーカス裕度の値の範囲を示すグラフである。
【図53】比較例において、ライン・アンド・スペースパターン及び孤立ホールパターンに関し、0.973以上の確率で与えられるデフォーカス裕度の値の範囲を示すグラフである。
【図54】従来の裕度決定方法を説明するための図である。
Claims (3)
- フォトマスクに形成されたパターンを、露光光を用いて基体上に形成されたフォトレジストに転写して、該フォトレジストに転写パターンを形成するフォトリソグラフィー工程に用いられる、光透過領域と遮光領域、若しくは光透過領域と半遮光領域、若しくは光透過領域と遮光領域と位相シフト領域、若しくは光透過領域と半遮光領域と位相シフト領域から成るパターンを有するフォトマスクの設計方法であって、
(イ)フォトマスクにおける評価パターンを複数設定し、且つ、露光光の露光量裕度、デフォーカス裕度及びマスクのパターンサイズ裕度の内、2つの裕度を設定し、且つ、該2つの裕度のそれぞれの値を設定し、
(ロ)マスクのパターンサイズ裕度及び露光光の露光量裕度を設定した場合にはデフォーカス値を変化量として変化させ、マスクのパターンサイズ裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合には露光光の露光量を変化量として変化させ、露光量裕度及びデフォーカス裕度を設定した場合にはマスクのパターンサイズを変化量として変化させて、評価パターンのそれぞれに対する転写パターンを求め、
(ハ)各評価パターン上の予め設定された少なくとも1つの測定点に対応する転写パターンの位置において、かかる転写パターンの大きさを求め、
(ニ)該求めた転写パターンの大きさに基づき、評価パターンのそれぞれに対して、2つの裕度の設定値における前記変化量の限界許容値を前記設定されていない1つの裕度の値として求め、
(ホ)前記設定された2つの裕度の設定値を変え、工程(ロ)、(ハ)及び(ニ)を所望の回数繰り返し、
(ヘ)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の期待値を求め、
設定されていない1つの裕度がデフォーカス裕度の場合、求められた該期待値がフォトリソグラフィー工程におけるデフォーカス裕度を超える評価パターンのサイズを下限としてパターン設計を行い、
設定されていない1つの裕度が露光量裕度の場合、求められた該期待値がフォトリソグラフィー工程における露光量裕度を超える評価パターンのサイズを下限としてパターン設計を行い、
設定されていない1つの裕度がマスクのパターンサイズ裕度の場合、求められた該期待値がフォトリソグラフィー工程におけるマスクのパターンサイズ裕度を超える評価パターンのサイズを下限としてパターン設計を行う、
各工程から成ることを特徴とするフォトマスクの設計方法。 - 前記工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ’)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を表す確率密度関数及び前記工程(ニ)にて求められた裕度の値のそれぞれに基づき、設定されていない1つの裕度の値が要求値以上となる確率値を求め、該確率値が所望の値以上となる評価パターンのサイズを下限としてパターン設計を行う工程から成ることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの設計方法。 - 前記工程(ヘ)の代わりに、
(ヘ”)各評価パターンに対して、前記設定された2つの裕度の設定値の分布を一様分布を有する関数により表し、前記工程(ニ)にて求められた裕度の値が要求値以上となる範囲において該関数の積算値を求め、該積算値が所望の値以上となる評価パターンのサイズを下限としてパターン設計を行う工程から成ることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの設計方法。
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