JP3642141B2 - 合成開口レーダ装置および移動目標検出方法 - Google Patents
合成開口レーダ装置および移動目標検出方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は航空機や衛星などの移動体に搭載する合成開口レーダ装置に係り、車両や船舶などの移動目標を検出してその位置を測定する干渉型合成開口レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の干渉型合成開口レーダ装置としては、例えば特開昭58−223078号公報に記載された図23に示すようなものがあった。図23はこの干渉型合成開口レーダ装置の構成を示したもので、1aおよび1bはそれぞれ移動目標に対して電波を送信し、その反射波を受信する送受信アンテナであり、2aは送受信アンテナ1aで受信した信号を増幅、復調する受信機であり、2bは送受信アンテナ1bで受信した信号を増幅、復調する受信機であり、3は送受信アンテナ1aおよび1bに対して高周波信号を供給する送信機である。
【0003】
4aおよび4bは受信機2aおよび2bによって増幅、復調された受信信号をパルス圧縮するパルス圧縮装置であり、5aおよび5bはパルス圧縮装置4aおよび4bによってパルス圧縮された受信信号をアジマス圧縮してSAR画像を生成するアジマス圧縮装置である。
6はアジマス圧縮装置5aおよび5bによって得られた2つのSAR画像の位置合わせを行うレジストレーション部であり、7は2つのSAR画像の位相差をとる加算器であり、8はSAR画像の虚数成分と実数成分とから振幅を得る検波回路である。
17はレジストレーション部6と加算器7と検波回路8とから構成された干渉回路である。
【0004】
また、図24はこの干渉型合成開口レーダ装置による観測のジオメトリを示したもので、9は干渉型合成開口レーダ装置が搭載されたレーダプラットフォーム、10aは送受信アンテナ1aからの送受信ビーム、10bは送受信アンテナ1bからの送受信ビーム、11はビーム10aによって観測される領域、12はレーダプラットフォーム9が送受信アンテナ1aおよび1bによる2つの開口のベースライン、9’はベースライン12だけ移動した後のプラットフォームである。
【0005】
次に動作について説明する。送受信アンテナ1は送信機3で発生した高周波パルス信号を2つの開口から観測領域へ向けて照射し、その反射波をそれぞれの開口で受信する。ここで送受信アンテナ1の二つの開口1a、1bは軌道方向にベースライン長12だけ隔たっており、しかも軌道と直交する方向にビームの向きが調整されているものとする。
【0006】
受信したエコーは二つの受信機2でそれぞれ増幅・復調し、パルス圧縮装置4でパルス圧縮してレンジ分解能を改善する。通常、この種のレーダでは、送信パルスは距離分解能を改善するためにリニアFM変調して帯域幅を拡張しており、周波数対遅延時間特性が送信側と対になる分散型遅延線を利用して分解能の高いパルス波形を復元する。
また、アジマス圧縮装置5は、プラットフォームの移動に伴い発生するドップラー周波数の時間変化を利用して、これと共役なリファレンス関数とのマッチドフィルタによりアジマス分解能を改善する。このように合成開口レーダの画像再生処理として良く知られた分解能向上の処理により複素SAR画像が得られる。
【0007】
レジストレーション部6はアジマス圧縮装置5a、5bで得られた2枚の複素SAR画像が同じ領域を写し出すように画像を調整する。このとき、アンテナ1aで観測したSAR画像は、プラットフォーム9の位置から観測したもの、アンテナ1bで観測したSAR画像は、プラットフォーム9’の位置から観測したものに相当する。2本のビーム10は、いずれも軌道と直交する向きに調整されているので、観測領域11との位置関係は等しく、従って2枚のSAR画像の位相はどの画素においても等しい。
しかし、移動目標が存在した場合には、プラットフォームが9から9’へ移動する間に目標も移動するので、その距離変化分だけ位相は変化する。そこで、複素画像加算器7が、レジストレーションされた2枚のSAR画像を複素減算し、検波回路8が振幅に変換すると、地表面の信号は消去されて、移動目標の存在する画素にだけ信号が現われる。
【0008】
これらの動作を数式を用いて説明する。図25にジオメトリを示す。図において13は移動目標である。
アンテナから目標までの距離をr0とすると、アンテナ1aで観測して得られた画像の目標の位相は次式で与えられる。
【0009】
【数1】
【0010】
また、プラットフォーム9’の位置におけるアンテナ1bで観測して得られた画像の目標の位相は次式で与えられる。但し、uはプラットフォームの速度、vは目標の速度、θは目標速度vがLOS (Line of Sight)となす角、Bはベースライン長である。
【0011】
【数2】
【0012】
したがって、検波回路8の出力信号sは次式で表わされる。但し、2つの画像における目標のエコーの強度A1、A2はほぼ等しいと仮定している。
【0013】
【数3】
【0014】
式(3)から、目標が静止している場合には検波回路8の出力には信号が現われず、目標が移動している場合にのみ出力信号が得られて、この装置が移動目標検出装置として動作することがわかる。
【0015】
あるいは、この干渉型合成開口レーダ装置は、図26の構成でも実現することができる。図において、14は送受信機、15は開口分割装置である。
その観測ジオメトリを図27に示す。図において、1と9から12は図24に示すものと同様である。
この装置では、アンテナの開口は一つしかなく、そのアンテナで得られた一連の受信信号を2つに分割して、それぞれ合成開口処理して2枚のSAR画像を得るものである。必要な開口長はアジマス分解能から決定され、その関係は次式で与えられる。但し、Δxはアジマス分解能、λは送信波長、Aは開口長、ρはスラントレンジである。
【0016】
【数4】
【0017】
この装置による開口分割の模式図を図28に示す。上で説明した2つの開口を用いる方法と同様の原理で、同様の効果を得ることができる。
これを別の方法で説明すると次のようになる。観測のジオメトリを図29に、受信信号の瞬時ドップラー周波数と位相の変化を図30にそれぞれ示す。いま点Pに着目すると、移動目標と静止目標とで、瞬時ドップラー周波数はドップラー効果による周波数偏移を受ける。これを位相で示したものが図(b)である。開口1と開口2の中心における静止目標の位相φs1とφs2は等しいが、移動目標の位相φm1とφm2は一致せず、次式の位相差
Δφが現われる。
【0018】
【数5】
【0019】
したがって目標が静止している場合には検波回路8の出力には電圧が現われず、目標が移動している場合にのみ電圧が得られて、この装置が移動目標検出装置として動作することがわかる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
従来の干渉型合成開口レーダ装置では、目標が移動していても検出できなくなる速度が存在することが式(3)からわかる。この速度はブラインド速度と呼ばれ、次式で与えられる。但し、nは任意の整数である。
【0021】
【数6】
【0022】
式(6)からわかるように、ブラインド速度は周期的に存在する。その周期はベースライン長Bに反比例するので、ブラインド速度を変えるためには、例えばベースライン長を変化させれば良い。しかし図23に示す構成の装置では、アンテナの二つの開口の間隔が固定されているので、目標の速度が偶然にいずれかのブラインド速度の一つに一致した場合には、これを検出することができない問題がある。
また、図26に示す構成の装置では、二つの開口間隔(ベースライン長)を制御する機能をもたないので、やはり目標の速度が偶然にいずれかのブラインド速度の一つに一致した場合には、これを検出することができない問題がある。
【0023】
あるいは、図23、図26のいずれの構成の装置でも、開口間隔を狭くして、ブラインド速度の発生する周期を長くすることができるが、その場合には、低速移動目標の検出感度が低下する問題がある。その様子を図31に示す。この図は目標の速度と検出感度の関係を示したもので、図において実線はベースライン長bの場合の検出感度を、破線はベースライン長b/3の場合の検出感度をそれぞれ示す。ベースライン長bの場合にはVblの間隔でブラインド速度が発生しているが、ベースライン長を三分の一にすることによってブラインド速度の発生間隔は3Vblに延長できる。しかし、同時に、低速域において検出感度が低下する。
この種のレーダ装置は特に低速移動目標を検出するために使用されることが多いので、このように低速域において検出感度が低下するのは望ましくない。
【0024】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、合成開口レーダのブラインド速度の固定化を防止し、移動目標を検出できる確率を高めることを第1の目的とする。
また、ブラインド速度の異なった検出結果を複数得ることにより、移動目標を検出できる確率を高めることを第2の目的とする。
さらに、ブラインド速度の周期が効率的に延びるように制御して、移動目標を検出できる確率を高めることを第3の目的とする。
さらにまた、ブラインド速度の異なる検出結果を複数組み合わせることにより、移動目標を検出できる確率を高めることを第4の目的とする。
また、スクイントモードでの観測でも、移動目標を検出できる確率を高めることを第4の目的とする。
さらに、移動目標が存在する場合であっても高さ方向の誤差の少ない3次元画像を得ることを第5の目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナによって受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮手段と、上記レンジ圧縮手段によって圧縮された受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割手段と、上記開口分割手段による分割のために上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、上記開口分割手段によって分割された複数の開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより複数の画像を生成するアジマス圧縮手段と、上記アジマス圧縮手段により生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有するものである。
【0026】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナによって受信した電波から得られた受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割手段と、上記開口分割手段による分割のために上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、上記開口分割手段によって分割された複数の開口に対応する受信信号列をレンジ圧縮及びアジマス圧縮することにより複数の画像を生成する圧縮手段と、上記圧縮手段により生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有するものである。
【0027】
また、上記ベースライン決定手段は、上記ベースライン長を変更するものである。
【0028】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナによって受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮手段と、上記レンジ圧縮手段によって圧縮された受信信号列を少なくとも3つの開口で分割する開口分割手段と、上記開口分割手段による分割のために、上記3つの開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、上記開口分割手段によって分割された少なくとも3つの開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより、第1、第2、第3の画像を生成するアジマス圧縮手段と、上記アジマス圧縮手段により生成された第1、第2、第3の画像の内、第1の画像と第2の画像相互間の位相差および第1の画像と第3の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有するものである。
【0029】
また、上記ベースライン決定手段は、上記3つの開口の内第1の開口と第2の開口相互間のベースライン長と、上記3つの開口の内第1の開口と第3の開口相互間のベースライン長とが異なる長さとなるように決定するものである。
【0030】
さらに、上記ベースライン決定手段は、上記3つの開口の内第1の開口と第2の開口相互間のベースライン長が、上記3つの開口の内第1の開口と第3の開口相互間のベースライン長の整数倍以外の長さとなるように決定するものである。
【0031】
さらにまた、上記算出手段によって上記第1の画像と上記第2の画像相互間の位相差および上記第1の画像と上記第3の画像相互間の位相差を算出することにより得られた2つの画像同士を組み合わせる組合わせ手段とを有するものである。
【0032】
また、上記受信アンテナは、電波の照射方向が上記移動体の移動方向に対してスクイント角を有しており、上記スクイント角を有することによって生じる位相オフセットを除去する位相オフセット除去手段を有するものである。
【0033】
さらに、上記移動体に設けられ、対象物に対して電波を送信する三次元画像用送信アンテナと、上記対象物によって反射された電波を上記移動体上の異なる2点において受信する第1、第2の三次元画像用受信アンテナと、上記第1、第2の三次元画像用受信アンテナによって受信した電波から得られる2つの受信信号列をレンジ圧縮する三次元画像用レンジ圧縮手段と、上記三次元画像用レンジ圧縮手段によってレンジ圧縮された2つの受信信号列をアジマス圧縮する三次元画像用アジマス圧縮手段と、上記算出手段により位相差を算出することによって得られた上記移動する目標の検出結果と、上記三次元画像用アジマス圧縮手段によって生成された2つの画像から得られる位相差を基に三次元画像を作成する三次元画像作成手段とを有するものである。
【0034】
この発明に係る移動目標検出方法は、移動体に設けられた合成開口レーダによって移動する目標を検出する移動目標検出方法であって、上記移動体の移動中に、上記目標に対して電波を送信する送信ステップと、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信ステップと、上記受信ステップにおいて受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮ステップと、上記レンジ圧縮ステップにおいて圧縮された受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割ステップと、上記開口分割ステップにおける分割のために、上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定ステップと、上記開口分割ステップにおいて分割された複数の開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより複数の画像を生成するアジマス圧縮ステップと、上記アジマス圧縮ステップにより生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出ステップとを有するものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による装置を図1について説明する。図1において、4、5、6、7、8、14、17は図26のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。
16はパルス圧縮装置4によってパルス圧縮された信号を記憶する記録装置であり、記憶装置16は開口分割装置15に接続される。18は、ベースライン長を決定して開口分割装置15を制御する制御装置であり、この制御装置18は開口分割装置15に接続される。
また、この装置の観測ジオメトリは図27と同様である。
【0036】
次に動作について説明する。送受信機14で発生した高周波パルスは、送受信アンテナ1を通して移動目標の存在する観測領域11へ照射され、その反射波であるエコーが送受信アンテナ1により受信される。ここで、送受信ビーム10はプラットフォーム9の軌道と直交する方向に向けられているものとする。
送受信機14は、受信したエコーを増幅・復調し、パルス圧縮装置4はパルス圧縮してレンジ分解能を改善する。ここで、パルス圧縮とは、ある変調を施された広パルス幅信号を相関処理によって狭パルス幅信号に変換する処理をいい、この処理によってレンジ方向の分解能が高まる。これらの動作は従来の装置と同様であるので説明は省略する。このパルス圧縮は、一般的にレンジ圧縮とも呼ばれる。
【0037】
開口分割装置15は、パルス圧縮された受信信号列から複数の開口に対応した信号を取り出す。図2は、パルス圧縮された受信信号列から複数の開口に対応した信号を取り出す様子を説明したものであり、(a)は二つの開口が互いに重なっている場合を示し、(b)は二つの開口が離れている場合を示している。
図2において、受信信号列と記載されているものがパルス圧縮された受信信号列であり、この受信信号列は横軸示したヒット(又は時間)に対して、所定のデータを有している。
【0038】
この受信信号列から、開口1に対応した信号と、開口2に対応した信号とを取り出すことになるが、その際、図2に示すように、二つの開口は離れていても重なっていてもかまわない。
このように、二つの開口が重なっている場合には、開口1でも開口2でも一部同じ情報を使用することになるため、一旦、受信信号列を記憶装置16に記録しておくと有効である。
尚、二つの開口が重なるようにして信号を取り出すか、離れるようにして信号を取り出すかは、後述の制御装置18によって決定される。
【0039】
アジマス圧縮装置5は、開口分割装置15によって取り出した二つの開口に対応する信号をマッチドフィルタを用いてアジマス分解能を改善して、二つの複素SAR画像を得る。即ち、各開口に対応する信号から1つの複素SAR画像が得られる。この複素SAR画像は、静止目標も移動目標も含まれた形の画像である。
ここで、アジマス圧縮とは、エコーの到来方向の差によって生じるドップラ周波数差を分離することによって、アジマス方向の分解能を向上させる処理である。
【0040】
そして、干渉回路17のレジストレーション装置6は、アジマス圧縮装置5によって得られる二枚の複素画像の位置合わせを行う。
その後、干渉装置17ではアジマス圧縮装置5によって得られる二枚の複素画像の位相差を求める。このような処理によって、移動目標の存在する画素にだけ信号が現われる。これは、静止目標の場合には二枚の複素画像の位相は同じであるのに対して、移動目標についてはドップラー効果のために二枚の複素画像の位相が異なっているからである。したがって、二枚の複素画像の位相差をとることにより、静止目標は相殺され、位相の異なった移動目標だけが画像として残ることになる。
【0041】
制御装置18は開口分割装置15を制御して、二つの開口の間隔、すなわちベースライン長を変更するので、式(6)で示したように、ブラインド速度も変化して、目標を検出できなくなる確率を低減できる。
ここでベースライン長とは、開口1の中心と開口2の中心との間隔を示す値であり、これは開口1と開口2の間隔を示す1つの指標である。
なお、ベースライン長を変更して再計算する際には、開口分割装置15は記録装置16に記録したデータを読み出して使用するので、観測を二回繰り返す必要はない。
制御装置18は、ベースライン長を何回か変更し、この変更に応じて開口分割装置15、アジマス圧縮装置5、干渉装置17が上述の処理を繰り返し行うことによって、移動目標を検出する。
【0042】
このように本実施の形態の構成によれば、制御装置18が開口分割装置15を制御して、ベースライン長の異なるSAR画像の組を生成するので、ブラインド速度の異なる検出結果を複数得ることができて、目標の速度がブラインド速度と一致して、これを検出できなくなる確率を低減することができる。
【0043】
尚、この明細書においてアジマス圧縮とは、アジマス分解能を改善するものという広義の意味で用いており、したがってアジマス圧縮装置5にはFFT処理を行うものも含む。
【0044】
また尚、この明細書においてはパルス圧縮した後に受信信号列から開口に相当する信号を取り出すようにしていたが、必ずしもこのような順番で行う必要はなく、開口に相当する信号を取り出してからパルス圧縮およびアジマス圧縮するようにしてもよい。但し、後者の手順で処理を行うとすると、2つの開口が重なりを持っている場合には重なった部分についてそれぞれパルス圧縮を施すことになるため、処理量が増えることになる。
従って、パルス圧縮した後に受信信号列から開口に相当する信号を取り出すのは、処理量を少なくすることができる点で有効である。
【0045】
さらに、送受信アンテナ1を用いず、送信アンテナと受信アンテナとで別々に構成してもよい。
さらにまた、この明細書では、図2に示すように受信信号列から連続した信号列を取り出すことにより開口に対応した信号列を得る旨説明しているが、受信信号列から取り出した複数の細切れの信号列を合成することによって開口を得ることも可能である。但し、後者を採用する場合には、前者を採用する場合よりも送受信アンテナ1の受信パルスの間隔を短くする必要がある。逆に言えば、細切れの信号列相互間の間隔は、送受信アンテナ1の受信パルスの間隔との関係で決定され、細切れの信号列相互間の間隔がパルスの間隔に対してあまり大きすぎると、画像の劣化につながる。
【0046】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2による装置を図3について説明する。図3において、1〜18は図1のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。19は組合せ検出回路である。
また、この装置の観測ジオメトリは図27と同様である。
【0047】
次に動作について説明する。
図3において送受信アンテナ1から開口分割装置15の動作は図1の装置と同様である。
ただし、開口分割装置15は、図4に示すように、パルス圧縮された受信信号列を少なくとも3つの開口に対応させて分割する。
図4は、受信信号列から3つ以上の開口に対応した信号を取り出す様子を示す図であり、図においてB1、B2は組合せた開口のベースライン長、uはレーダプラットフォームの速度である。その際、それぞれの開口は離れていても重なっていてもかまわない。
また制御装置18は、ベースライン長B1とB2が互いに異なるように開口分割装置15を制御する。
アジマス圧縮装置5は、分割したそれぞれの信号のアジマス分解能を改善して複素SAR画像を得て、干渉回路17が二枚の複素画像の差を求める。
【0048】
二つの干渉回路17a、bの出力には、移動目標の存在する画素にだけ信号が現われるが、それぞれの出力におけるブラインド速度の発生する周期はベースライン長B1、B2に相当するものである。制御装置18がB1とB2が同じ値にならないように制御しているので、これらのブラインド速度の発生する周期も同じ値にはならない。
【0049】
組合せ検出回路19は、二つの干渉回路17a、bの出力を組合せて、移動目標の分布図を作成する。この機能は例えば、干渉回路17a、bの出力を単純に加算することによって実現できる。その結果、組合せ検出回路19の出力には、式(6)にB1とB2をそれぞれ代入して得られるブラインド速度の最小公倍数に相当する周期でブラインドが発生する。
したがって、ブラインド速度によって移動目標が検出できなくなる確率を低減させることができる。
【0050】
このように本実施の形態の構成によれば、制御装置18が開口分割装置15を制御して、ベースライン長の異なるSAR画像の対を二組生成し、二つのベースライン長で決まるブラインド速度の最小公倍数に相当する値まで、ブラインドが発生する周期を延長することができる。従って、目標を検出できる確率を高くすることができる。
尚、この実施の形態おける制御装置18および開口分割装置15は、3つの開口に相当する信号を取り出すように動作しているが、必ずしも3つである必要はなく、もっと多くの開口に相当する信号を取り出すようにしてもよい。なるべく多くの開口に相当する信号を取り出すことによって、目標を検出できる確率が高くなる。
【0051】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3による装置を図5について説明する。この実施の形態は実施の形態2と異る構成で同じ効果を得るものである。
図5において、1〜19は図3のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。また、この装置の観測ジオメトリは図27と同様である。
【0052】
次に動作について説明する。
図5において送受信アンテナ1から開口分割装置15の動作は図1の装置と同様である。
ただし、開口分割装置15は、一回の処理で、パルス圧縮された受信信号列から一つの開口に相当する信号列を切り出す。また、開口分割装置15はパルス圧縮装置4の出力を記憶装置16aに記録しておく。
アジマス圧縮装置5は、切り出した信号のアジマス分解能を改善して複素SAR画像を得て、干渉回路17は記憶装置16bに記録する。
【0053】
次に、制御装置18は、各装置に再び一連の処理を繰り返すように制御する。まず、開口分割装置15は、記憶装置16aから信号を読み出して、一つの開口に相当する信号列を切り出す。その際、以前に切り出した信号とは異なる信号列を切り出すように制御装置18によって制御される。
アジマス圧縮装置5は、切り出した信号のアジマス分解能を改善して複素SAR画像を得て、干渉回路17は記憶装置16bに記録する。
制御装置18は、この操作を二回繰り返すよう制御し、その結果、記憶装置16bには三つの開口から得られた三枚の複素SAR画像が記録される。この際、制御装置18は、これら三つの開口のベースライン長の関係がB1とB2になるように開口分割装置15を制御する。
【0054】
干渉回路17は記憶装置16bから、二枚の複素画像を読み出してその差を求める。組合せ検出回路19は、その結果を記憶装置16cに記録する。
制御装置18は、この操作をもう一回繰り返すよう制御し、その結果、記憶装置16cには三枚の複素SAR画像から得られた二枚の干渉結果が記録される。
【0055】
組合せ検出回路19は、記憶装置16cから、二枚の干渉結果を読み出し、これを組合わせて、移動目標の分布図を作成する。この機能は例えば、干渉回路17の二つの出力を単純に加算することによって実現できる。その結果、組合せ検出回路19の出力には、式(6)にB1とB2をそれぞれ代入して得られるブラインド速度の最小公倍数に相当する周期でブラインドが発生する。
【0056】
実施の形態2の場合には、パラレルに処理をおこなうので処理時間を少なくすることができるという利点があるが、本実施の形態の場合には、実施の形態2と比較して同じ装置を2台備えることなく、より簡単な構成で、同じ効果を得ることができるという利点がある。
【0057】
実施の形態4.
以下、この実施の形態による制御装置を図6について説明する。この実施の形態における制御装置は図3あるいは図5の装置の制御装置18として動作するものである。
図6において、16、18は図1のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。
23は開口長算出器、24はベースライン算出器である。
【0058】
次に動作について説明する。
図6において、開口長算出器23は、開口分割手段が受信信号列から切り出す信号列の長さを決定する。その値は次の式で決定される。
【0059】
【数7】
【0060】
一方、ベースライン算出器24は、開口分割手段15が受信信号列から切り出す複数の信号列の間隔(ベースライン長)を決定する。ベースライン長が互いに等しくならないように選択することについては、既に実施の形態2で述べたが、さらに効率良くブラインドが発生する周期を延長するためには、次の二つの条件を満足するように決定すれば良い。但し、Biは第i番目のベースライン長(第1番目の開口と第i+1番目の開口の間隔)、nは任意の整数(i=0、±1、±2、・・・)である。
【0061】
【数8】
【0062】
これらの条件は、ベースライン長が互いの公倍数になることを防ぐものである。
ブラインドは、式(5)にBiをそれぞれ代入して得られるブラインド速度の最小公倍数に相当する周期で発生するので、ベースライン長が互いの公倍数にならないように選ぶことにより、ブラインド速度の周期は効果的に延長される。
なお、記録装置16は、算出したベースライン長を記憶しておくので、次の開口を算出する場合には、ベースライン算出器24はその値を読み出して使用する。
【0063】
このように本実施の形態の構成によれば、制御装置18が開口分割装置15に指示する開口長とベースライン長を算出できて、しかも、ベースライン長が互いの公倍数にならないように選ぶことができるので、ブラインドが発生する周期を効率的に延長することができて、目標を検出できる確率を高めることができる。
【0064】
実施の形態5.
以下、この実施の形態による装置を図7について説明する。
図7において、1から18は図1のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。
20は位相オフセット除去回路である。
【0065】
また、この装置による観測ジオメトリを図8に示す。図において9から12は図24のものと同一または同等の手段である。
この装置では、送受信アンテナをプラットフォームの軌道に直交する向きからずらして観測するいわゆるスクイントモードを仮定している。ビームを振る角度(図のΨ)を一般にスクイント角と呼ぶ。
また、この装置による受信信号の瞬時周波数と位相を図9に示す。図9(a)はドップラー周波数の時間変化を示す図であり、図9(b)は位相の時間変化を示す図である。図9(a)において、46a〜dは、それぞれ、アジマス方向に隔たった観測点からのエコーの瞬時ドップラー周波数を示す。
【0066】
次に動作について説明する。
送受信アンテナ1からアジマス圧縮装置5までの動作は図1の装置と同様である。また、干渉回路17の動作も図1の装置と同様である。
【0067】
さて、送受信アンテナ1がスクイントしている場合(Ψ≠π/2)には、スクイント角に依存した位相オフセットが発生する。図9(b)に示すように、2つの開口における静止目標のエコーの位相差Δφsはゼロにはならない。この位相オフセットは式(10)で表わされ、したがって干渉回路17の出力は式(11)で表わされる。
【0068】
【数9】
【0069】
式(11)では、式(3)と比較してスクイント角に関する項が付加されており、このため、目標速度がゼロであっても干渉回路17の出力には定数成分が現われる。そこで、干渉回路17は、波長λ、ベースライン長B、スクイント角Ψから決まる位相誤差を補償して、この定数成分を除去する。これらの値は全て既知、あるいは測定可能であり、位相補償量は次式で計算できる。
【0070】
【数10】
【0071】
このように本実施の形態の構成によれば、干渉回路17がアンテナのスクイントによって生じた位相オフセットを除去するので、プラットフォームの前方あるいは後方にアンテナビームを傾けて観測する場合においても、ブラインドが発生する周期を効率的に延長することができて、目標を検出できる確率を高めることができる。
【0072】
尚、この実施の形態では、位相オフセット除去回路20はアジマス圧縮装置5a,5bの出力側に設けられ、アジマス圧縮の後に位相オフセットを行うようにしているが、これに限られない。例えば、位相オフセット除去回路20を開口分割装置15とアジマス圧縮装置5との間に設け、それぞれの開口に対応する信号について位相オフセット除去処理を行った後にアジマス圧縮を行うことも可能である。
【0073】
実施の形態6.
この実施の形態では、先の実施の形態におけるアジマス圧縮装置5の一つの例として、位相補償処理およびFFT(Fast Fourier Transform)処理を行うものについて説明する。
以下、この発明の実施の形態6による装置を図10について説明する。図10において、21、22を除いて図7のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。
【0074】
21は位相補償回路、22はFFT処理回路(Fast Fourier Transform)である。この位相補償回路21及びFFT処理回路22は、アジマス圧縮装置5の一つの構成例である。
また、この装置による観測ジオメトリは図8に示したものと同一である。この装置では送受信アンテナをプラットフォームの軌道に直交する向きからずらして観測するスクイントモードを仮定している。
【0075】
さらに、この装置では、リファレンス関数とのマッチドフィルタによりアジマス分解能を改善する通常のアジマス圧縮ではなく、FFTを用いるDBS(Doppler Beam Sharpening)を想定している。
【0076】
次に動作について説明する。
送受信アンテナ1から開口分割装置15までの動作は図1の装置と同様である。また、干渉回路17の動作も図1の装置と同様である。
はじめに、位相補償回路21とFFT処理回路22によって構成されるDBSの画像再生処理について説明する。
DBSはスクイントモードで観測するアンテナ開口の一部だけを使用する画像再生方式であり、全開口の信号をマッチドフィルタを用いて圧縮する通常の合成開口処理と比べて、分解能が低下するものの、FFTで処理できるので演算を高速化できるメリットがある。
【0077】
DBSの受信信号の瞬時ドップラー周波数を図11に示す。図11(a)は、開口が十分短い場合のドップラ周波数の時間変化を示す図であり、図11(b)は、開口が長い場合のドップラ周波数の時間変化を示す図である。
開口が十分短い場合には、図11(a)に示すように各エコーのドップラー周波数に差が生じているので、FFTによりこれを分離することができる。しかし、より高い分解能が要求される場合や、図11(b)に示すように開口が長い場合には、あらかじめドップラー周波数の傾きを除去して、図11(c)のような信号を得て、これをFFTする。
【0078】
位相補償回路21は、図11(b)に示すような開口が長い場合にドップラー周波数の傾きを除去するように位相補償するもので、その補償量は次式で与えられる。但し、ρはスラントレンジ、uはプラットフォームの速度、tは時間であり、全ての変数は既知である。
【0079】
【数11】
【0080】
また、FFT処理回路22は、位相補償回路21によって補償された信号を時間軸についてFFT処理して、アジマス方向の分解能を向上する。この結果、FFT処理回路22の出力には観測領域の複素SAR画像が得られる。
【0081】
次に位相オフセット除去回路20の動作について説明する。
まず、アンテナをスクイントして観測するので、実施の形態5で説明したように、SAR画像にはスクイント角に依存した位相誤差が発生する。さらにDBSでは、画像のアジマス座標に依存する位相誤差が新たに加わる。これは、マッチドフィルタによりアジマス圧縮を行う通常の合成開口処理では、アジマス方向に並ぶ全ての観測点について同一のリファレンス信号で画像再生処理するが、 FFT処理回路22によって画像再生処理を行うDBSでは、アジマス座標の各点毎のリファレンス信号の初期位相が異なるためである。
この初期位相の大きさは、次式で表わされる。
【0082】
【数12】
【0083】
但し、ΔΨはアジマス方向に離れた二つの観測点を見込む角度である。図12にこの関係を示す。点P、Qはアジマス方向に隔たった二つの観測点であり、ΔΨはこの二つの点をアンテナ開口中心から見込む角である。
【0084】
このように、DBSで画像再生する場合には、スクイント角に依存した位相オフセットの他に、アジマス座標に依存した位相が付加されるので、これを除去する必要があり、その位相補償量は式(12)と式(14)の和で表わされる。
【0085】
このように本実施の形態の構成によれば、位相補償回路21とFFT処理回路22がDBSによるアジマス圧縮を実現し、位相オフセット除去回路20が、スクイント角に依存した位相オフセットと、アジマス座標に依存した位相変動を除去する。したがって、DBS方式により、マッチドフィルタによる通常のアジマス圧縮に比べてより簡単な構成でアジマス圧縮を実現した場合においても、ブラインドが発生する周期を効率的に延長することができて、目標を検出できなくなる確率を低減することができる。
【0086】
実施の形態7.
この実施の形態では、実施の形態1の干渉型合成開口レーダにおいて、開口の分割間隔(ベースライン長)を制御してブラインド速度を変化させることにより移動目標を検出する移動目標検出方法について図13に基づいて説明する。
【0087】
実施の形態1で述べたように、この種のレーダでは、ベースライン長に依存して、移動目標を観測できなくなるブラインド速度が発生する。そこで、ベースライン長を変えながら捜索を繰り返すことにより、移動目標を検出できる可能性が向上する。その手順は次のように表わされる。
【0088】
[ST01]
高周波パルスを、電波として観測領域11に照射する。
[ST02]
送信された電波の反射波であるエコーを受信する。
[ST03]
受信したエコーを増幅・復調して、得られた受信信号をパルス圧縮し、このパルス圧縮によって得られた受信信号列を記憶する。
【0089】
[ST04]
二つの開口相互間のベースライン長を決定する。
[ST05]
決定したベースライン長に従い、記憶した受信信号列から二つの開口に対応した信号を取り出す。開口の長さは式(7)にしたがって求める。なお、二つの開口は重なっていても、離れていてもかまわない。
【0090】
[ST06]
二つの開口に対応する信号をそれぞれアジマス圧縮して、2枚の複素SAR画像を得る。
【0091】
[ST07]
2枚の複素SAR画像を重ね合せて位相差を取り、画素毎にその差の振幅を求め、移動目標分布図として記録する。振幅がゼロでない画素には移動目標が存在する。
【0092】
このように本実施の形態7の方法によれば、ベースライン長を可変自在に決定してブラインド速度の異なる移動目標検出結果が得られるので、目標の速度がブラインド速度と一致した場合には、ベースライン長を変えて、これを検出することができる。
【0093】
実施の形態8.
この実施の形態では、実施の形態2の干渉型合成開口レーダにおいて、開口の分割間隔(ベースライン長)を制御して、ブラインド速度を変化させ、その合成結果を求めることにより移動目標を検出する移動目標検出方法について図14に基づいて説明する。
【0094】
実施の形態2で述べたように、この種のレーダでは、ベースライン長に依存して、目標を観測できなくなるブラインド速度が発生する。そこで、ベースライン長を変えながら捜索を繰り返すことにより、移動目標を検出できる可能性を改善できる。その手順は次のように表わされる。
【0095】
[ST11]
高周波パルスを、電波として観測領域11に照射する。
[ST12]
送信された電波の反射波であるエコーを受信する。
[ST13]
受信したエコーを増幅・復調して、得られた受信信号をパルス圧縮し、このパルス圧縮によって得られた受信信号列を記憶する。
【0096】
[ST14]
ベースライン長を予め設定された初期値に決定する。
[ST15]
決定されたベースライン長に従い、記憶した受信信号列から二つの開口に対応した信号を取り出す。開口の長さは式(7)にしたがって求める。なお、二つの開口は重なっていても、離れていてもかまわない。
【0097】
[ST16]
二つの開口に対応する信号をそれぞれアジマス圧縮して、2枚の複素SAR画像を得る。
【0098】
[ST17]
2枚の複素SAR画像を重ね合せて位相差を取り、画素毎にその差の振幅を求め、移動目標分布図として記録する。振幅がゼロでない画素には移動目標が存在する。
【0099】
[ST18]
ベースライン長を変更して再度処理を行うか否かを判断する。
[ST19]
ベースライン長を変更して再度処理を行うと判断した場合には、ベースライン長を変更する。例えば前回のベースライン長よりも1パルスヒット分だけ短い、あるいは長いベースライン長とする。
そして、変更後のベースライン長に対して、再度、ステップ15〜ステップ17までの処理が行われる。
[ST110]
ステップ14〜ステップ17を繰り返して得られた複数の移動目標分布図を組み合わせて表示する。これにより、ブラインド速度の異なる結果が加えられるので、より検出確率の高い移動目標分布図が得られる。
【0100】
本実施の形態によれば、ベースライン長を変えて、ブラインド速度の異なる移動目標検出結果を求め、その合成した結果が得られるので、目標の速度がブラインド速度と一致して、これを検出できなくなる確率を低減することができる。
尚、この実施の形態においては、パルス圧縮(ST13)の後に開口分割処理(ST15)を行ってるが、必ずしもこのような順番で行う必要はなく、開口に相当する信号を取り出した(ST15)後、パルス圧縮(ST13)およびアジマス圧縮(ST16)を行うようにしてもよい。但し、後者の手順で処理を行うとすると、2つの開口が重なりを持ってる場合には重なった部分についてそれぞれパルス圧縮を施すことになるため、処理量が増えることになる。
従って、パルス圧縮(ST13)の後に開口分割処理(ST15)を行うことは、処理量を少なくすることができる点で有効である。この点は、他の実施の形態でも同様である。
【0101】
実施の形態9.
この実施の形態は、実施の形態4の干渉型合成開口レーダにおいて、より効率良く移動目標を検出するための開口の分割間隔(ベースライン長)を求める方法である。
【0102】
実施の形態2で述べたように、この種のレーダでは、ベースライン長に依存して、目標を観測できなくなるブラインド速度が発生する。そこで、ベースライン長を変えて得られた結果を組合せることにより、移動目標を検出できる可能性を改善できる。
さらに、実施の形態4で述べたように、ベースライン長が互いに公倍数の関係にならないように選べば、目標速度がブラインド速度と一致して検出できなくなる確率を低減できる。そのための手順を図15に示す。
尚、以下の手順ではベースライン長を決定する手順について特に説明しており、その他の処理に関する手順については先の実施の形態と同様であるので説明は省略している。
【0103】
[ST21]
第一の開口と第二の開口のベースライン長B1を、あらかじめ与えられた初期値にしたがって決定する。
【0104】
[ST22]
第一の開口と第三の開口のベースライン長B2を、式(8)と式(9)の条件を満たすように決定する。但し、Biは第i番目のベースライン長(第1番目の開口と第i+1番目の開口の間隔)であり、ここではiは(開口番号−1)である。また、nは任意の整数(i=0、±1、±2、。。。)である。
例えば、B2はB1よりも1パルスヒット分だけ短い、あるいは長いベースライン長とし、式(8)と式(9)の条件を満たすまでこれを繰り返す。
【0105】
[ST23]
ステップ22を必要な開口の数だけ繰り返して動作を終了する。
【0106】
このように本実施の形態9の方法によれば、ベースライン長を互いの公倍数にならないように選ぶことができるので、ブラインドが発生する周期を効率的に延長することができるので、目標の速度がブラインド速度と一致して、これを検出できなくなる確率を低減することができる。
【0107】
実施の形態10.
以下、この実施の形態による装置を図16について説明する。図16において、1から20は図7のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。
25は地形位相変動除去回路、26は3次元地形データベースである。
また、この装置による観測ジオメトリを図17に示す。ビームを振る角度(図のΨ)はスクイント角であり、この装置では送受信アンテナをプラットフォームの軌道に直交する向きからずらして観測するスクイントモードを仮定している。
【0108】
次に動作について説明する。
送受信アンテナ1から位相オフセット除去回路20までの動作は図7の装置と同様である。
図17に示すように送受信アンテナ1がスクイントしている場合には、目標が静止している場合であっても、地形の高さに応じてSAR画像の位相が変化する。その結果、2枚のSAR画像には式(15)で与えられる位相差Δφが生じる。但し、λは送信波長、hは地形高度、ηはオフナディア角、Ψ1は第一の開口中心から観測点Pを見込むスクイント角、Ψ2は第二の開口から観測点Pを見込むスクイント角である。
【0109】
【数13】
【0110】
この位相変動Δφは、スクイント角が大きくて、かつ地形の起伏が大きいと増加して、移動目標として誤って検出される場合がある。
そこで、地形位相変動除去回路25は、3次元地形データベース26から地形の高度hを読み出し、式(15)に基いて2枚の位相差Δφを算出し、これを2枚目の画像に加えて位相補償する。
【0111】
このように本実施の形態の構成によれば、地形位相変動除去回路25が地形の起伏よって生じた位相誤差を除去するので、プラットフォームの前方あるいは後方にアンテナビームを傾けて観測する場合において、しかも地形の起伏が大きい場合であっても、ブラインドが発生する周期を効率的に延長することができて、目標を検出できなくなる確率を低減することができる。
【0112】
実施の形態11.
以下、この実施の形態による装置を図18について説明する。図18において、1から18は図3のものと同一または同等の手段であるので説明は省略する。27は移動目標検出部、28は加算器、29は位相差算出部、30は三次元地図生成部である。
また、この装置による観測ジオメトリは図29に示したものと同様である。さらに、これを補足したものを図21に示す。図において1a、1bはプラットフォーム9に搭載された2つのアンテナ、35は観測点、36は仮想観測点である。
【0113】
また、3次元地図生成手段30内部の構成例を図19に示す。図において31は仮想干渉画像生成部、32は等位相線画像生成部、33は位相アンラップ部、34は等高線画像生成部である。
【0114】
はじめに、送受信アンテナ1から加算器28までの動作について説明する。
送受信アンテナ1から干渉回路17までの動作は図5の装置と同様である。
レジストレーション部6aは、二枚のSAR画像の位置合わせを行う。また、加算器28は干渉回路17から出力される移動目標分布を加算する。あるいは移動目標検出結果の論理和を求める。従って、その出力には、受信アンテナ1aで観測したSAR画像から、あるいは受信アンテナ1bで観測したSAR画像から、少なくともいずれか一方で移動目標が検出された結果が得られる。
【0115】
次にアジマス圧縮装置5c、5dから三次元地図生成部30までの動作について説明する。この装置による観測のジオメトリは図29に示したものと同様であり、アンテナビームは軌道に直交する方向に向けられている。ただし、図21に示すように、アンテナビームに直交する方向に隔てて二台のアンテナが搭載されているか、あるいは、一台のアンテナを搭載したプラットフォームを並行な軌道で二回観測を繰り返しても良い。
【0116】
パルス圧縮装置4a、4bの出力は、アジマス圧縮装置5c、5dにより複素SAR画像に変換される。また、レジストレーション部6bは、2枚の画像の位置合わせを行い、位相差算出部29は、2枚の画像の位相差を算出して干渉画像を生成し、3次元地図生成部30が干渉画像の位相から3次元地形データを求める。
【0117】
これらの動作を数式を用いて説明する。
はじめに、送受信アンテナ1aから観測点35を観測する際の往復の電波伝播距離をra5a 、受信アンテナ1bから観測点35を観測する際の往復の電波伝播距離をra5bとおくと、それぞれ次のように書ける。ここにHはレーダプラットフォーム9の高度、Bは二つの送受信アンテナの間隔(ベースライン長)、dは送受信アンテナ1aと観測点35の水平面内の距離である。
【0118】
【数14】
【0119】
これらの式をテイラー展開して2次の項まで求めると、これら2つの距離の差Δr5は式(18)のように書けるが、これは位相差算出部29で得られる観測点35の画素の位相差ΔΦ5と式(20)の関係にある。
【0120】
【数15】
【0121】
一方、送受信アンテナ1aから仮想観測点36を観測する際の往復の電波伝播距離をra6a、受信アンテナ1bから仮想観測点36を観測する際の往復の電波伝播距離をra6bとおくと、これら2つの距離の差Δr6は同様に式(23)のように書けて、仮想観測点36の位相差ΔΦ6とは式(24)の関係にある。
【0122】
【数16】
【0123】
さらにΔΦ5とΔΦ6との差ΔΦを求めると次の式が得られる。
【0124】
【数17】
【0125】
仮想干渉画像生成部31は、これらの式を用いてΔΦ6を求め、位相差算出部29の出力ΔΦ5との位相差ΔΦを求める。式(25)における未知数は観測点35の高度hのみであるので、ΔΦからhを算出することができる。
【0126】
また3次元地図生成部30の動作を図20、図22に従って説明する。
図20は干渉画像から等位相線画像を求めるまでの過程を示す図で、37は等高線図、38は仮想干渉画像、39は干渉画像、40は等位相線図、41は等高線、42は等位相線である。
図22は等位相線図から3次元地形データを求めるまでの過程を示す図で、43は等位相線図の断面を示す位相曲線、44はアンラップ後の位相曲線、45は3次元地形データの断面を示す地形断面である。
【0127】
3次元地図生成部の入力データである干渉画像39は、位相が式(20)で与えられ、レンジ方向に並んだ等位相線が地形による歪を受けた形状になっている。そこで仮想干渉画像生成部31は、地形が平面である場合(h=0)に観測される仮想的な干渉画像を式(24)に基いて算出する。この仮想干渉画像38は、等位相線がレンジ方向に並行に並んでいる。
等位相線画像生成部32は、干渉画像39の位相から仮想干渉画像38の位相を差し引いて、地形による位相変化だけを抽出する。この画像の位相は式(25)に相当しており、等高線図37と相似したパターンが得られる。
【0128】
しかし等位相線画像は位相情報しかもたないため、その断面を観察すると図22に示すように位相曲線43は0〜2πの値で折り返しており、そのままでは地形データとして使えない。そこで折り返して畳み込まれた位相を開く(Unwrap)する処理が必要になる。位相アンラップ部33は位相曲線43の勾配を見て、0〜2πに折り返された位相をつないで、位相曲線44を得る。
【0129】
さらに等高線画像生成部34は式(25)から求めたΔΦとhの関係を用いて位相を高度に変換する。この結果、位相曲線44は地形断面45に変換されて3次元地形データが得られる。
この方法で得られた3次元地形データは相対高度であるが、既知の高度をもつ点が1点でも画像に存在すれば、その点を基準に絶対高度を求めることもできる。
このように、SAR画像をステレオ視して地形の高さを測定する方法はインターフェロメトリックSARと呼ばれる。
【0130】
ところで、衛星搭載レーダの場合にはアンテナが1台しかないため、並行した軌道を2回飛行して観測することによりアンテナ1aと1bを実現している。しかし、その場合には、観測領域内に自動車などの移動目標が存在すると、その画素の位相に誤差を生じる。この結果、得られた3次元地形図にも誤差が発生する。
【0131】
また、位相アンラップ部33は位相曲線43の勾配を見て、折り返された位相をつないでゆくため。移動目標が存在して、位相が不連続になる場合には、誤動作して、移動目標が存在する画素だけでなく、その周囲の画素にも誤差が伝播する。
【0132】
そこで、本発明の図18および図19の構成では、移動目標をあらかじめ検出して、その結果を位相アンラップ部33に与える。したがって、位相アンラップ部33は、移動目標の存在する画素を飛び越えて処理することができて、誤動作を避けることができる。さらに、得られた3次元地形図から、移動目標が存在して高度が求められない画素のデータを排除することができる。
【0133】
なお、位相アンラップ部33は、移動目標の存在する画素を無視してアンラップを行い、周囲で得られた絶対位相から補間して、移動目標の存在する画素の位相を求めても良いし、あるいは、移動目標の存在する画素の位相を補間により求めておいてからアンラップしても良い。
【0134】
このように本実施の形態の構成によれば、干渉回路17が移動目標を検出し、位相アンラップ部33がその結果を用いて、移動目標の存在する画素を避けてアンラップするので、移動目標が存在しても高さ方向の誤差の少ない3次元地形図を得ることができる。
即ち、移動目標の位置を考慮することなく三次元画像を作成した場合には、移動目標が存在することによる位相変化を高さの変化による位相変化と誤認することが起こるが、この実施の形態では移動目標の存在を考慮しているため上述のような誤認が生じない。そのため、高さ方向の誤差の少ない3次元地形図を得ることができるのである。
【0135】
この実施の形態では、送受信アンテナ1aと受信アンテナ1bとを移動目標の検出と3次元画像の作成するために用いている。即ち、この実施の形態における送受信アンテナ1aと受信アンテナ1bとは、3次元画像作成用の送受信アンテナおよび移動目標検出用の送受信アンテナとして機能していると言える。尚、他の実施の形態として、移動目標検出用の送受信アンテナと、3次元画像作成用の送受信アンテナとを別々に設けるようにしてもよい。
また、この実施の形態では3次元地形図を作成することを目的としているが、地形図だけに限られず、その他の3次元画像の作成に用いることが可能である。
【0136】
【発明の効果】
この発明は、以上に説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0137】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナによって受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮手段と、上記レンジ圧縮手段によって圧縮された受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割手段と、上記開口分割手段による分割のために上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、上記開口分割手段によって分割された複数の開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより複数の画像を生成するアジマス圧縮手段と、上記アジマス圧縮手段により生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有するため、ベースライン長決定手段によるベースライン長の決定結果に応じてブラインド速度が変わり、ブラインド速度の固定化を防止できる。
【0138】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナによって受信した電波から得られた受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割手段と、上記開口分割手段による分割のために上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、上記開口分割手段によって分割された複数の開口に対応する受信信号列をレンジ圧縮及びアジマス圧縮することにより複数の画像を生成する圧縮手段と、上記圧縮手段により生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有するため、ベースライン長決定手段によるベースライン長の決定結果に応じてブラインド速度が変わり、ブラインド速度の固定化を防止できる。
【0139】
また、上記ベースライン決定手段は、上記ベースライン長を変更するため、ベースライン長の変更に応じてブラインド速度が異なった画像を得ることができ、移動目標を検出できる確率が高まる。
【0140】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、上記受信アンテナによって受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮手段と、上記レンジ圧縮手段によって圧縮された受信信号列を少なくとも3つの開口で分割する開口分割手段と、上記開口分割手段による分割のために、上記3つの開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、上記開口分割手段によって分割された少なくとも3つの開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより、第1、第2、第3の画像を生成するアジマス圧縮手段と、上記アジマス圧縮手段により生成された第1、第2、第3の画像の内、第1の画像と第2の画像相互間の位相差および第1の画像と第3の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有するため、ブラインド速度の異なる検出結果を複数得ることにより、上記目標を検出できる確率が高まる。
【0141】
また、上記ベースライン決定手段は、上記3つの開口の内第1の開口と第2の開口相互間のベースライン長と、上記3つの開口の内第1の開口と第3の開口相互間のベースライン長とが異なる長さとなるように決定するため、ブラインド速度の異なった画像を得ることができ、上記目標を検出できる確率がより高まる。
【0142】
さらに、上記ベースライン決定手段は、上記3つの開口の内第1の開口と第2の開口相互間のベースライン長が、上記3つの開口の内第1の開口と第3の開口相互間のベースライン長の整数倍以外の長さとなるように決定するため、ブラインドが発生する周期が効率的に延びるようにベースライン長を制御することができ、上記目標を検出できる確率が高まる。
【0143】
さらにまた、上記算出手段によって上記第1の画像と上記第2の画像相互間の位相差および上記第1の画像と上記第3の画像相互間の位相差を算出することにより得られた2つの画像同士を組み合わせる組合わせ手段とを有するため、ブラインド速度の異なる検出結果を複数組合せることにより、上記目標を検出できる確率が高まる。
【0144】
また、上記受信アンテナは、電波の照射方向が上記移動体の移動方向に対してスクイント角を有しており、上記スクイント角を有することによって生じる位相オフセットを除去する位相オフセット除去手段を有するため、スクイントモードでの観測においても、上記目標を検出することができる。
【0145】
さらに、上記移動体に設けられ、対象物に対して電波を送信する三次元画像用送信アンテナと、上記対象物によって反射された電波を上記移動体上の異なる2点において受信する第1、第2の三次元画像用受信アンテナと、上記第1、第2の三次元画像用受信アンテナによって受信した電波から得られる2つの受信信号列をレンジ圧縮する三次元画像用レンジ圧縮手段と、上記三次元画像用レンジ圧縮手段によってレンジ圧縮された2つの受信信号列をアジマス圧縮する三次元画像用アジマス圧縮手段と、上記算出手段により位相差を算出することによって得られた上記移動する目標の検出結果と、上記三次元画像用アジマス圧縮手段によって生成された2つの画像から得られる位相差を基に三次元画像を作成する三次元画像作成手段とを有するため、移動する目標が存在する場合でも高さ誤差の少ない3次元画像を得ることができる。
【0146】
この発明に係る移動目標検出方法は、移動体に設けられた合成開口レーダによって移動する目標を検出する移動目標検出方法であって、上記移動体の移動中に、上記目標に対して電波を送信する送信ステップと、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信ステップと、上記受信ステップにおいて受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮ステップと、上記レンジ圧縮ステップにおいて圧縮された受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割ステップと、上記開口分割ステップにおける分割のために、上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定ステップと、上記開口分割ステップにおいて分割された複数の開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより複数の画像を生成するアジマス圧縮ステップと、上記アジマス圧縮ステップにより生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出ステップとを有するため、ベースライン長決定手段によるベースライン長の決定結果に応じてブラインド速度が変わり、ブラインド速度の固定化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図2】 実施の形態1における開口分割を示す図である。
【図3】 実施の形態2の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図4】 実施の形態2における開口分割を示す図である。
【図5】 実施の形態3の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図6】 実施の形態4の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図7】 実施の形態5の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図8】 実施の形態5における観測ジオメトリを示す図である。
【図9】 実施の形態5における受信信号の瞬時ドップラー周波数と位相を示す図である。
【図10】 実施の形態6の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図11】 実施の形態6における受信信号の瞬時ドップラー周波数を示す図である。
【図12】 実施の形態6における観測ジオメトリを示す図である。
【図13】 実施の形態7における干渉型合成開口レーダの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】 実施の形態8における干渉型合成開口レーダの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】 実施の形態9における干渉型合成開口レーダの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】 実施の形態10の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図17】 実施の形態10における観測ジオメトリを示す図である。
【図18】 実施の形態11の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図19】 実施の形態11における三次元地図生成部30の構成を示す図である。
【図20】 実施の形態11において干渉画像から等位相線画像を求めるまでの過程を示す図である。
【図21】 実施の形態11における観測ジオメトリを補足する図である。
【図22】 実施の形態11において等位相線図から3次元地形データを求めるまでの過程を示す図である。
【図23】 従来の干渉型合成開口レーダ装置の構成図である。
【図24】 従来の干渉型合成開口レーダ装置の観測ジオメトリを示す図である。
【図25】 移動目標の位置と運動を説明する図である。
【図26】 従来の干渉型合成開口レーダ装置の他の構成を示す図である。
【図27】 図26の干渉型合成開口レーダ装置による観測ジオメトリを示す図である。
【図28】 図26の干渉型合成開口レーダ装置による開口分割の模式図である。
【図29】 図26の干渉型合成開口レーダ装置による観測のジオメトリを示す別の図である。
【図30】 図26の干渉型合成開口レーダ装置における受信信号の瞬時ドップラー周波数と位相を示す図である。
【図31】 実施の形態1における移動目標の速度と検出感度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 送受信アンテナ、2 受信機、3 送信機、4 パルス圧縮装置、5 アジマス圧縮装置、6 レジストレーション部、7 複素画像加算器、8 検波回路、9 レーダプラットフォーム、10 送受信ビーム、11 観測領域、12ベースライン、13 移動目標、14 送受信機、15 開口分割装置、16記録装置、17 干渉回路、18 制御装置、19 組合せ検出回路、20 位相オフセット除去回路、21 位相補償回路、22 FFT、23 開口長算出器、24 ベースライン算出器、25 地形位相変動除去回路、26 3次元地形データベース、27 移動目標検出部、28 加算器、29 位相差算出部、30 三次元地図生成部、31 仮想干渉画像生成部、32 等位相線画像生成部、33 位相アンラップ部、34 等高線画像生成部、35 観測点、36仮想観測点、37 等高線図、38 仮想干渉画像、39 干渉画像、40 等位相線図、41 等高線、42 等位相線、43 等位相線図の断面を示す位相曲線、44 アンラップ後の位相曲線、45 3次元地形データの断面を示す地形断面、46 エコーの瞬時ドップラー周波数
Claims (10)
- 移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、
上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、
上記受信アンテナによって受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮手段と、
上記レンジ圧縮手段によって圧縮された受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割手段と、
上記開口分割手段による分割のために上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、
上記開口分割手段によって分割された複数の開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより複数の画像を生成するアジマス圧縮手段と、
上記アジマス圧縮手段により生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有することを特徴とする合成開口レーダ装置。 - 移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、
上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、
上記受信アンテナによって受信した電波から得られた受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割手段と、
上記開口分割手段による分割のために上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、
上記開口分割手段によって分割された複数の開口に対応する受信信号列をレンジ圧縮及びアジマス圧縮することにより複数の画像を生成する圧縮手段と、
上記圧縮手段により生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有することを特徴とする合成開口レーダ装置。 - 上記ベースライン決定手段は、上記ベースライン長を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の合成開口レーダ装置。
- 移動体に設けられ、移動する目標に対して電波を送信する送信アンテナと、
上記移動体に設けられ、上記目標によって反射された上記電波を受信する受信アンテナと、
上記受信アンテナによって受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮手段と、
上記レンジ圧縮手段によって圧縮された受信信号列を少なくとも3つの開口で分割する開口分割手段と、
上記開口分割手段による分割のために、上記3つの開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定手段と、
上記開口分割手段によって分割された少なくとも3つの開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより、第1、第2、第3の画像を生成するアジマス圧縮手段と、
上記アジマス圧縮手段により生成された第1、第2、第3の画像の内、第1の画像と第2の画像相互間の位相差および第1の画像と第3の画像相互間の位相差を算出する算出手段とを有することを特徴とする合成開口レーダ装置。 - 上記ベースライン決定手段は、上記3つの開口の内第1の開口と第2の開口相互間のベースライン長と、上記3つの開口の内第1の開口と第3の開口相互間のベースライン長とが異なる長さとなるように決定することを特徴とする請求項4記載の合成開口レーダ装置。
- 上記ベースライン決定手段は、上記3つの開口の内第1の開口と第2の開口相互間のベースライン長が、上記3つの開口の内第1の開口と第3の開口相互間のベースライン長の整数倍以外の長さとなるように決定することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の合成開口レーダ装置。
- 上記算出手段によって上記第1の画像と上記第2の画像相互間の位相差および上記第1の画像と上記第3の画像相互間の位相差を算出することにより得られた2つの画像同士を組み合わせる組合わせ手段とを有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の合成開口レーダ装置。
- 上記受信アンテナは、電波の照射方向が上記移動体の移動方向に対してスクイント角を有しており、
上記スクイント角を有することによって生じる位相オフセットを除去する位相オフセット除去手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の合成開口レーダ装置。 - 上記移動体に設けられ、対象物に対して電波を送信する三次元画像用送信アンテナと、
上記対象物によって反射された電波を上記移動体上の異なる2点において受信する第1、第2の三次元画像用受信アンテナと、
上記第1、第2の三次元画像用受信アンテナによって受信した電波から得られる2つの受信信号列をレンジ圧縮する三次元画像用レンジ圧縮手段と、
上記三次元画像用レンジ圧縮手段によってレンジ圧縮された2つの受信信号列をアジマス圧縮する三次元画像用アジマス圧縮手段と、
上記算出手段により位相差を算出することによって得られた上記移動する目標の検出結果と、上記三次元画像用アジマス圧縮手段によって生成された2つの画像から得られる位相差を基に三次元画像を作成する三次元画像作成手段とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の合成開口レーダ装置。 - 移動体に設けられた合成開口レーダによって移動する目標を検出する移動目標検出方法であって、
上記移動体の移動中に、上記目標に対して電波を送信する送信ステップと、
上記目標によって反射された上記電波を受信する受信ステップと、
上記受信ステップにおいて受信した電波から得られる受信信号列をレンジ圧縮するレンジ圧縮ステップと、
上記レンジ圧縮ステップにおいて圧縮された受信信号列を複数の開口に対応させて分割する開口分割ステップと、
上記開口分割ステップにおける分割のために、上記複数の開口相互間のベースライン長を決定するベースライン長決定ステップと、
上記開口分割ステップにおいて分割された複数の開口に対応する受信信号列をアジマス圧縮することにより複数の画像を生成するアジマス圧縮ステップと、
上記アジマス圧縮ステップにより生成された複数の画像相互間の位相差を算出する算出ステップとを有することを特徴とする移動目標検出方法。
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