JP3641168B2 - 対物レンズ駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンパクトディスク(CD)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)、ミニディスク(MD)、光磁気ディスクなどの各種記録媒体に対し、記録データの再生を行い、または記録のための光エネルギーを与える光ヘッドにおいて、フォーカス及びトラッキング制御のために対物レンズを作動する対物レンズ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような各種の光を利用した記録媒体の再生及び記録のために、従来から例えば図5に示すような光ピックアップ51が用いられている。この光ピックアップ51は、光ディスクの半径方向に移動する基台上に固定されるベース52上に、ポリカーボネート等により成形される支持基台53が固定され、またベース52に一体に折曲形成された略コの字形状のヨーク54が設けられており、これに磁石55が支持されている。一方の磁石55の周囲には、レンズホルダ59に取着されたフォーカスコイル及びトラッキングコイル(図示せず)が対向して配置され、制御装置から各コイルに制御電流を供給することにより、レンズホルダ59に固定された対物レンズ57が、上下方向(Z方向)、及び左右方向(Y方向)に所定量だけ移動可能となっている。フォーカスコイルによりY方向に流れる電流と、磁石55間の磁界とで、Z方向への電磁力が発生し、これによりレンズホルダ59に保持された対物レンズ57のフォーカス補正が行われる。また、トラッキングコイルによりZ方向に流れる電流によってY方向への電磁力が発生し、これにより対物レンズ57のトラッキング補正が行われる。
【0003】
ベース52上に固定された支持基台53の両側には、X方向へ貫通し且つZ方向へ長孔状の開口を有するワイヤ挿通部58が形成され、その支持基台53の背部に形成した突出部には、後述する基板60が固定されている。基板60には左右両側に各々2本、合計4本の弾性を有するワイヤ61の基端が半田により固定され、各ワイヤ61の先端がレンズホルダ59に設けた左右のフランジ62に固定されることにより、前記対物レンズ57、フォーカスコイル、トラッキングコイルを取り付けているレンズホルダ59がY方向とZ方向に可動状態で支持されている。
【0004】
基板60は図6に示すように、金属補強板63上にこれと略同形状のフレキシブルプリント基板(以下「FPC」という)64を接着し一体化しており、このように一体化してなる基板60を、図8に示すように支持基台53の背面中央に突設した基板固定部65に、基板60の金属補強板63の中央部分を貼り付けて固定している。それにより支持基台53に貼り付けられた基板60の両側のワイヤ支持部69は、図8に示すように、支持基台53の両側に設けたワイヤ挿通部形成部分の背面67と対向するように配置される。支持基台53のワイヤ挿通部58には前記ワイヤ61が貫通し、更に基板60の金属補強板63の開口68とFPC64の開口70を貫通して基板60の背面に突出し、突出部71となっている。
【0005】
ワイヤ61の前記突出部71とFPC64のランド部72とを、図7に示すように半田73で半田付けすることにより、支持基台53に固定された金属補強板63により補強されている基板60に対し、各ワイヤ61がFPC64と導電状態で固定される。それにより、前記のように各ワイヤ61の先端に固定したレンズホルダ59を4本のワイヤ61により支持し、かつ、各ワイヤ61の先端が固定されるレンズホルダ59のフランジ62において、前記フォーカスコイル及びトラッキングコイルのリード線と各ワイヤ61とを接続することによって、外部の制御装置から供給される電流をFPC64及びワイヤ61を介して各コイルに給電している。
【0006】
このようにして組み立てられた光ピックアップ51に対して、支持基台53のワイヤ挿通部58に対し、図7の左側に位置する第1開口部74から注入器によりダンパー材を注入する。ダンパー材は紫外線硬化性を有し、最初はある程度流動性のある状態でワイヤ挿通部58に注入され、所定の注入終了後に紫外線を照射することによりゲル状となる。このゲルの性状は、そのダンパー剤の材質を任意に選択することにより自由に設定することができる。前記第1開口部74から注入されるダンパー材は、逆側の第2開口部75から一部流出し、基板60の金属補強板63と支持基台53の背面67との間隙D内にも流入し、その状態で紫外線を照射して硬化し、ゲル状とする。
【0007】
上記のダンパー剤は、支持基台53内のワイヤ挿通部58においてワイヤ61の外周に接触して直接作用し、また、基板60と支持部材53の背面67間において基板60に接触して作用することによって、前記フォーカスコイル及びトラッキングコイルへの給電により、対物レンズ57のフォーカス方向への移動、及びトラッキング方向への移動をフィードバック制御しながら行う際に、対物レンズ57の弾性支持装置としての各ワイヤ61が高次振動し、また、この振動に伴ってワイヤ61を弾性的に支持している基板60が副共振することを抑制している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の光ピックアップ51における対物レンズ駆動装置において、各ワイヤ61を固定する基板60は、ワイヤ61を弾性的に支持する必要があり、また、長期間使用してもクリープ等を生じないようにする必要があるため、適宜の材質、厚さ、形状に設定された金属補強板63を用いている。この金属補強板63は導電性のため、ワイヤ61を金属補強板63の開口68を貫通させてFPC64に対して半田付けして接続する際に、このワイヤ61が金属補強板63に接触することがないようにしなければならい。そのため、金属補強板63の開口68は、部品の寸法誤差や、組立時の誤差を考慮に入れて、図6及び図7に示すように、FPC64の開口70よりも充分に大きく形成している。
【0009】
このように、金属補強板63には充分大きな開口68を形成する必要があると共に、所定の剛性を有するように設定するため、その高さ寸法Hを小さくするには限界がある。また、FPC64のランド部72にワイヤ61を確実に半田付けするために、ランド72の大きさを小さくすることはできず、この点からも基板6の高さを小さくするには限界を生じ、基板6および支持基台53をはじめとして装置全体が大型化し、高価な装置となると共に、光ピックアップ51全体の高さを低くする際の制約となっていた。また、金属補強板63の略全面に高価なFPC64を貼る必要があり、この点もコストアップの要因となっていた。
【0010】
また、その製造に際して、金属補強板63にFPC64をずれないように貼り付けて基板60を製造し、更にこの基板60を支持基台53の基板固定部65に対してずれないように貼り付けて固定し、金属補強板63の開口68とFPCの開口70にワイヤ61を貫通させ、このワイヤ61をFPC64のランド72に対して正確に半田付けする必要があり、製造に際して多くの注意力を必要とし、作業性が悪かった。
【0011】
したがって、本発明は、薄型化が可能であるとともに、安価に、且つ容易に製造できる対物レンズ駆動装置を提供することを主たる目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、対物レンズが取り付けられたレンズホルダと、導電性で且つ細長状に形成された複数の弾性部材を介して前記レンズホルダを移動可能に支持する支持部と、前記レンズホルダに設けられ前記弾性部材を介して電流が供給される駆動コイルと、該駆動コイルを通過する磁束を発生させる磁石とを有し、前記駆動コイルに流れる電流と前記磁石の磁束とによって生ずる電磁力により前記レンズホルダをフォーカス方向とトラッキング方向の少なくとも一方へ駆動する対物レンズ駆動装置において、前記支持部には、合成樹脂から形成された固定部材と、その両端部がそれぞれ前記固定部材から突出した状態で該固定部材に埋設された複数の金属板とが設けられ、各金属板の第1端部はフォーカス方向と略直交する方向に延伸していると共にこの第1端部に前記弾性部材の基端部が半田付けされ、各金属板の第2端部は固定部材の一つの面から突出して且つ互いに同一面上に位置し、この第2端部にフレキシブルプリント基板が接続され、この第2端部から供給された電流が前記弾性部材を介して前記駆動コイルに伝達されることを特徴とする対物レンズ駆動装置としたものである。
【0013】
また、前記金属板の第1端部には、前記弾性部材の基端部が半田付けされる個所の近傍に幅狭部を形成したものであり、また、前記支持部は、前記弾性部材が挿通されると共にダンパー剤が充填される挿通部を有する保持部材を備え、前記挿通部の端面が前記金属板の第1端部と隙間を介して対向するように前記固定部材と前記保持部材とを接続したものであり、また、前記保持部材の挿通部は、前記弾性部材の長手方向に沿って貫通していると共に前記長手方向と交差する方向にも開口させたものであり、また、前記固定部材の上面には段部が形成され、前記保持部材には下面側に開口する嵌合溝が形成されており、前記段部を前記嵌合溝に嵌合させることにより前記保持部材を前記固定部材に取り付けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。図1は本発明による対物レンズ駆動装置1の部分斜視図であり、図2はこの対物レンズ駆動装置1を構成する主要部材であるワイヤ固定部材2と保持部材3とを組み立てる前の状態を示す分解斜視図であり、図3はワイヤ固定部材2のL型金属板におけるワイヤ固定部近傍を示す斜視図である。なお、本発明の対物レンズ駆動装置において、ワイヤの基端を支持するための支持構造を除いては図5に示す従来の対物レンズ駆動装置と同様の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
【0015】
ワイヤ固定部材2は、LCPやPPS等の耐熱性の合成樹脂からなり、その内部に4個の第1乃至第4L型金属板5,6,7,8がインサート成型等により一体化して埋設されている。第1L型金属板5は、ワイヤ通孔11が形成された第1端部としてのワイヤ支持端部10が、ワイヤ固定部材2の側壁9からY方向(トラッキング方向)に突出しており、ワイヤ固定部材2内で図中破線で示すように下方に屈曲され、ワイヤ固定部材2の下面から第2端部としてのFPC接続端部12が突出している。第2L型金属板6は前記第1L型金属板5と平行に配置され、ワイヤ通孔11が形成されたワイヤ支持端部10が側壁9から突出し、ワイヤ固定部材2内で屈曲され、ワイヤ固定部材2の下面からFPC接続端部12が突出している。第1L型金属板5及び第2L型金属板6と左右対称に、第3L型金属板7と第4L型金属板8が同様の構成で配置されている。各L形金属板5,6,7,8は、金属の帯板をプレス加工してフープ状とされた状態でワイヤ固定部材2の成形の金型内に搬入され、インサートまたはアウトサー成形によってこのワイヤ固定部材2と一体化された後、その第1端部と第2端部が切断されることによって形成されたものである。
【0016】
これらの第1乃至第4L型金属板は同一平面上に配置され、それにより第1及び第2L型金属板5,6のワイヤ支持端部10の表面は、ワイヤ固定部材2の図中左側側方において同一面に位置し、同様に第3及び第4L型金属板7,8のワイヤ支持端部10の表面は、ワイヤ固定部材2の図中右側側方において、同一面に位置している。更に、第1乃至第4L型金属板5,6,7,8のFPC接続端部12の表面は、ワイヤ固定部材2の下面の下方において全て同一面に位置している。また、ワイヤ固定部材2の上面14の前方には、図2に示すように段部15が形成されている。
【0017】
保持部材3はポリカーボネート等の透明樹脂からなり、下面中央から上方に、後述するワイヤ固定部材2が係合する嵌合溝16が形成され、この嵌合溝16の両側壁間は、前記ワイヤ固定部材2の巾と略等しく設定され、両者が遊びなく嵌合できるようになっている。また、保持部材3の両側には、下方から上方に延びるワイヤ挿通部17が形成されており、このワイヤ挿通部17においてワイヤの長手方向と交差する方向には、後述するダンパー剤を注入する側面穴20が開口している。
【0018】
このように構成されたワイヤ固定部材2と保持部材3は、保持部材3の嵌合溝16にワイヤ固定部材2を嵌合させ、ワイヤ固定部材2の段部15を保持部材3の端面29に当接させた状態で接着剤により固定される。その結果、ワイヤ固定部材2と保持部材3は図1のように組み立てられて一体化され、図5に示すレンズホルダ59を複数のワイヤ22を介してZ方向(フォーカス方向)およびY方向(トラッキング方向)に移動可能に支持する支持部が構成されている。このようにワイヤ固定部材2と保持部材3とを分割して成形することにより、L型金属板5,6,7,8をインサート成形しつつ、複雑な形状のワイヤ挿通部17や側面穴20を形成することができる。また、後述するダンパー剤を注入して紫外線を照射する際に、ダンパー剤を保持する保持部材3には透明な樹脂を選択し、この保持部材3を通してダンパー剤に紫外線を照射できるようにし、一方、ワイヤ固定部材2にはL型金属板5,6,7,8をインサート成型しやすい耐熱性樹脂を選択する等、各部材の機能に適した材質の樹脂を選択することができる。
【0019】
上記のように一体化されたワイヤ固定部材2と保持部材3において、L型金属板5,6,7,8のワイヤ支持端部10と保持部材3のワイヤ挿通部端面21間には間隙が形成される。保持部材3のワイヤ挿通部17に挿通された4本のワイヤ22は、各々L型金属板5,6,7,8のワイヤ通孔11を貫通して後方に突出し、その突出部23とワイヤ支持端部10の背面とが半田26により固定される。また、ワイヤ固定部材2の下端面から突出するL型金属板5,6,7,8の各FPC接続端部12に対し、図1に示すようにFPC19の端部の対応する各導電部が半田付けにより接続される。
【0020】
各L型金属板5,6,7,8のワイヤ支持端部10は、図3にその一部拡大図を示すように、ワイヤ通孔11を中心とした左右の両側部分に上下面からU字型の切込み25が形成され、幅狭部39が構成されている。それにより、ワイヤ通孔11を貫通して突出したワイヤ22の突出部23とワイヤ支持端部10の背面とを半田26により固定するとき、その熱がL型金属板全体に拡散することなくワイヤ通孔11周辺に留まるようにし、半田フィレットが安定的に形成されるようにしている。なお、幅狭部39はワイヤ通孔11の一方側の側部にのみ設けても良い。各L形金属板5,6,7,8の上記切込み25より端部に形成される先端部27は、保持部材3のワイヤ挿通部端面21と対向している。
【0021】
このように組み立てられた対物レンズ駆動装置1には、前記従来例と同様に、保持部材3のワイヤ挿通部17内にダンパー剤が注入される。このダンパー剤は注入時にはある程度の流動性を有するので、ワイヤ挿通部17にダンパー剤を注入するとき、流動によりL型金属板5,6,7,8における先端部27とワイヤ挿通部端面21との間隙にも入り込む。あるいは、粘度の高いダンパー剤を使用する場合は、上記先端部27とワイヤ挿通部端面21との間隙に別途ダンパー剤を注入する。この状態でダンパー剤に紫外線を照射すると、ダンパー剤は硬化し所定の性状にゲル化する。この時、保持部材3は透明なポリカーボネート等により成形されているので、ダンパー剤には均等に紫外線を照射することができる。それにより、ワイヤ挿通部17内に延びるワイヤ22に対して、その外周にゲル化したダンパー剤が接してワイヤ22の制振作用をなし、また、前記間隙部分でゲル化したダンパー剤により、L型金属板5,6,7,8におけるワイヤ支持端部10の高次共振に対する制振作用をなす。
【0022】
上記ダンパー剤の注入に際し、保持部材3の側壁18に設けた側面穴20から注入器によりダンパー剤を注入すると、比較的粘度の高いダンパー剤であってもワイヤ挿通部17の全体に均等に注入することができるので、ダンパー剤の種類の選択範囲が広がる。また、ダンパー剤はワイヤ挿通部17のX方向における端面と側面穴20との両方から注入可能であるため、対物レンズ駆動装置1がいかなる姿勢となっていてもダンパー剤の注入作業が行えるため、作業性が改善される。
【0023】
上記のような対物レンズ駆動装置1においては、幅狭のL型金属板5,6,7,8にワイヤ22を直接ハンダ付けすることができ、また、ワイヤ通孔11はプレス加工により小径で且つ高精度に形成できるので、前記従来の装置のようにワイヤ61と金属補強板63とが接触することがないように、金属補強板63に大きな開口68を設け、更にワイヤ61の端部をFPC64のランド部72に半田付けするために、充分大きなランド部72を形成しておく必要があること等による高さ方向の寸法の制限がなくなり、また、プレス加工によってフープ状に形成されるL型金属板5,6,7,8は互いに近接して配置することができるので、ワイヤ22を高さ方向において互いに接近させることが可能となり、装置全体を薄型化することができるようになる。
【0024】
また、従来のもののようにワイヤ接続部全面に高価なFPCを貼り付ける必要がなくなるので、安価な装置とすることができる。
【0025】
本発明は上記実施例の他、図4に分解斜視図として示すような対物レンズ駆動装置30とすることができる。即ち、この装置においては、ワイヤ固定部材31の上面32に溝型の段部33を形成しており、この段部33内に保持部材35の上壁36が係合するようにして、保持部材35のX方向に位置決めがなされるようにしている。保持部材35の下端の両側には、係止部36を形成したスナップ固定部37を備えており、図5に示すベース52の係合孔に対し、保持部材35の側壁38及びスナップ固定部37の弾性により、スナップ式に係合可能としている。
【0026】
このような構成とすることにより、ワイヤ固定部材31と保持部材35とを結合する際、ワイヤ固定部材31は保持部材35の嵌合溝40における端面41間で保持されると共に、ワイヤ固定部材31の段部33に保持部材35の上壁44が係合する際に、上壁44のX方向両端が段部33の嵌合壁面42間で保持され、両者の位置決めが確実に行われるようになり、製造時の作業が容易になると共に、L型金属板のワイヤ支持部表面と保持部材35のワイヤ挿通部端面43との間隙を確実に一定に保つことができ、この間隙に充填されるダンパー剤が均等となり、ワイヤ支持性能を安定化することができる。
【0027】
なお、図1〜図3に示す上記実施例においては、ワイヤ固定部材2が図5に示すベース52に固定され、このワイヤ固定部材2を介して保持部材3がベース52に対して固定される例を示したが、ワイヤ固定部材と保持部材を別部材とすることなく一つの部材とすることもできる。更に、ワイヤ固定部材に埋設される複数の金属板をL形に形成したものを示したが、種々の形状の金属板を採用することができ、また、金属板が半田付けされる第1端部は、フォーカス方向と略直角方向であるならば種々の方向に配置することができる。更に、上記実施例においては、各金属板にワイヤを固定する部分として、ワイヤを挿通するワイヤ通孔を形成した例を示したが、例えばV溝等を設けてワイヤを溝中に入れ、半田付けしても良く、また、上記実施例においては、前記金属板の第1端部においてワイヤが半田付けされる個所の近傍にU字形の切り込みを形成した例を示したが、金属板全体への熱の拡散を防止できるものであれば、各種形状の切り込み、或いは各種形状の穴を形成する等、実質的な幅狭部を種々の態様で形成することができる。また、レンズホルダを弾性的に支持する部材として、上記実施例ではワイヤを示したが、導電性の細長状金属板等を用いることでもできる。
【0028】
【発明の効果】
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明によれば、従来の装置のようなFPCに金属補強板を貼り付けてなる基板を使用することなく、弾性部材を金属板に直接半田付けすることができるので、対物レンズ駆動装置全体を薄型化することができる。また、高価なFPCを用いる必要が無くなるので、安価な装置とすることができ、且つ固定部材に金属板を埋設しているので両者を接着する作業等が不要となり、組立性が向上する。
【0029】
請求項2に係る発明は、前記金属板の第1端部に、前記弾性部材の基端部が半田付けされる個所の近傍に幅狭部が形成されているので、金属板に弾性部材を半田付けする際、熱が金属板の全体に拡散することを防ぐことができ、半田フィレットを安定成形することができる。。
【0030】
請求項3に係る発明は、前記弾性部材が挿通されると共にダンパー剤が充填される挿通部を有する保持部材を備え、前記挿通部の端面が前記金属板の第1端部と隙間を介して対向するように前記固定部材と前記保持部材とを接続するようにしたので、固定部材と保持部材とを別部材とすることができ、例えば固定部材を耐熱性樹脂とし、保持部材を透光性樹脂にする等、各部材の機能に最適な素材を選択することができる。また、金属板の第1端部が保持部材の端面と干渉することがないので、弾性部材を確実に弾性保持することができ、しかも、前記挿通部の端面と金属板との隙間にもダンパー剤を充填すれば、弾性部材に対する制振作用がより向上する。
【0031】
請求項4に係る発明は、前記保持部材の挿通部が、前記弾性部材の長手方向に沿って貫通していると共に前記長手方向と交差する方向にも開口するようにしたので、装置全体がいかなる姿勢となっていても挿通部にダンパー剤を注入することができ、また、前記開口からその内部のワイヤ挿通部に対して均等にダンパー剤を注入することができるので、ワイヤに対する制振作用を一定にすることができると共に、比較的粘度の高いダンパー剤を選択することも可能となり、対物レンズ駆動装置の信頼性を向上することができる。
【0032】
請求項5に係る発明は、前記固定部材の上面には段部が形成され、前記保持部材には下面側に開口する嵌合溝が形成されており、前記段部を前記嵌合溝に嵌合させることにより前記保持部材が前記固定部材に取り付けられるようにしたので、ワイヤ固定部材と保持部材とを組み合わせて一体化する際に、両者のずれを防止することができ、製造作業が容易となると共に、製造後の装置の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による対物レンズ駆動装置の実施例の部分斜視図である。
【図2】同装置のワイヤ固定部材と保持部材とを組み立てる前の状態を示す分解斜視図である。
【図3】同装置のワイヤ固定部近傍を示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例におけるワイヤ固定部材と保持部材とを組み立てる前の状態を示す分解斜視図である。
【図5】従来技術を適用した対物レンズ駆動装置の全体を示す斜視図である。
【図6】同装置におけるワイヤを支持する基板におけるFPCと金属補強板を接合する前の状態を示す斜視図である。
【図7】同装置のワイヤ支持部分近傍の断面図である。
【図8】同装置の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 対物レンズ駆動装置
2 ワイヤ固定部材
3 保持部材
5,6,7,8 L型金属板
10 ワイヤ支持端部
11 ワイヤ通孔
12 FPC接続端部
15 段部
17 ワイヤ挿通部
18 側面
19 FPC
20 側面穴
22 ワイヤ
25 切込み
26 半田
39 幅狭部

Claims (5)

  1. 対物レンズが取り付けられたレンズホルダと、導電性で且つ細長状に形成された複数の弾性部材を介して前記レンズホルダを移動可能に支持する支持部と、前記レンズホルダに設けられ前記弾性部材を介して電流が供給される駆動コイルと、該駆動コイルを通過する磁束を発生させる磁石とを有し、前記駆動コイルに流れる電流と前記磁石の磁束とによって生ずる電磁力により前記レンズホルダをフォーカス方向とトラッキング方向の少なくとも一方へ駆動する対物レンズ駆動装置において、前記支持部には、合成樹脂から形成された固定部材と、その両端部がそれぞれ前記固定部材から突出した状態で該固定部材に埋設された複数の金属板とが設けられ、各金属板の第1端部はフォーカス方向と略直交する方向に延伸していると共にこの第1端部に前記弾性部材の基端部が半田付けされ、各金属板の第2端部は固定部材の一つの面から突出して且つ互いに同一面上に位置し、この第2端部にフレキシブルプリント基板が接続され、この第2端部から供給された電流が前記弾性部材を介して前記駆動コイルに伝達されることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
  2. 前記金属板の第1端部には、前記弾性部材の基端部が半田付けされる個所の近傍に幅狭部が形成されている請求項1記載の対物レンズ駆動装置。
  3. 前記支持部は、前記弾性部材が挿通されると共にダンパー剤が充填される挿通部を有する保持部材を備え、前記挿通部の端面が前記金属板の第1端部と隙間を介して対向するように前記固定部材と前記保持部材とが接続された請求項1記載の対物レンズ駆動装置。
  4. 前記保持部材の挿通部は、前記弾性部材の長手方向に沿って貫通していると共に前記長手方向と交差する方向にも開口している請求項3記載の対物レンズ駆動装置。
  5. 前記固定部材の上面には段部が形成され、前記保持部材には下面側に開口する嵌合溝が形成されており、前記段部を前記嵌合溝に嵌合させることにより前記保持部材が前記固定部材に取り付けられている請求項3記載の対物レンズ駆動装置。
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