JP3641076B2 - 温度計及び温度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度計及び温度の測定方法に関する。より詳細には液体の屈折率の温度変化を利用した液体温度計及び液体温度の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業上、物質の同定、溶液濃度の測定、液体混合物濃度の測定、特定の物質へ混入する汚染物質濃度の測定、溶液中の析出物や沈殿物の発生の監視、液体中での反応状態の監視、重合反応の程度の監視などにおいて液体温度の測定を必要とすることが多い。従来、被検体の常温付近の温度を直接測定するために、例えばアルコールや水銀等の液体を封入した液体封入ガラス温度計、熱電対、抵抗温度計が使われていた。しかしながら、液体封入ガラス温度計は、自動計測が不可能であり、熱電対は精度が十分でない。また、抵抗温度計は電流を流す必要があるため、有機溶剤を対象とする場合に安全性に問題がある。
【0003】
前記のような温度の直接測定に対して、被検体の状態の変位、圧力、抵抗、電圧、周波数等の物理量を温度に変換して温度測定を行う間接測定法も使用されている。例えば、液体の屈折率から温度を測定するセンサとして、特開平1−297519号は、一端部が入射光源に、他端部が受光素子に接する曲率をもった光伝導媒体と光伝導体を浸漬させる密閉容器と、密閉容器内に充満された液体とを有し、容器外部の温度変化を容器内の液体の屈折率又は容器内の屈折率及び吸収係数変化による受光素子の出力変化として検出する液体温度計を開示している。この液体温度計は、酸やアルカリ性といった腐食性溶液や引火性のある有機溶剤を含む溶液に対して耐液性、防爆性に優れる。
【0004】
また、特開平1−233336号は、被測定流体に光学ガラスを透過してレーザ光を入射させ、光学ガラスと対向する位置に設置したレーザ光到達位置測定装置により被測定流体の屈折角の変化によるレーザ光到達距離を測定し、この測定したレーザ光到達距離から得られる屈折角から屈折率を算出し、あらかじめ求めておいた被測定流体温度と屈折率の関係から同流体温度を求める高温流体温度測定方法を開示している。これにより、数ミリ秒程度と持続時間の非常に短い被測定流体の温度が迅速かつ正確に測定されている。
【0005】
また、出願人は、国際公開番号WO94/24543号公報において全反射型屈折率センサを開示している。このセンサは、基板上に導波層を具備し、この導波層に光を入射させる光ファイバと接続された光入射面と、被検体と接触する検出面と、該検出面からの反射光を出力する光出射面とを備え、光出射面に接続されたCCDセンサのような光検出手段を有する。光ファイバから出射される光は固有の広がり角を有するので、被検体の検出面には中心入射角を中心とした光束として達する。被検体の全反射臨界角が中心入射角の広がりの範囲内にあると、この臨界角を境に検出面での反射条件が異なるために光出射面での光強度もその位置により変化する。この光強度の変化は、CCDセンサによって全反射部分と透過・反射部分との境である明暗境界として検出される。従って、この明暗境界位置と屈折率との対応関係を予め求めておくことにより、被検体からの全反射光による明暗境界位置から被検体の屈折率を容易且つ正確に求めることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術の屈折率変化を用いて温度を計測する温度計では、測定精度が十分でなく、測温部が比較的大きくなってしまう。また、温度計を小型化するために測定部を小さくしようとすると、温度の測定精度が低下することになる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、小型で熱容量が小さく且つ一層高精度な温度測定の可能な温度計を提供することにある。また、本発明の別の目的は、温度を安全且つ高精度に測定することのできる新規な温度測定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に従えば、屈折率が測定される液体との接触面を有し、該接触面に光を入射する光入射路及び該接触面からの反射光を出射する出射路が形成された導波層と、
該導波層に接続されて該入射路に光を供給する光供給手段と、
該導波層に接続されて該出射路からの全反射光を検出することによって該液体の屈折率を求める光検出器と、
上記液体を上記導波層の接触面上に封入し且つ温度が測定される被検体との接触面を構成する容器と、
上記求められた液体の屈折率から、予め求めておいた上記液体の温度−屈折率の関係に基づいて該液体の温度を算出する手段とを備え、該算出された液体の温度から被検体の温度を測定する温度計が提供される。
【0009】
上記本発明の第1の態様に従う温度計では、温度−屈折率の関係が既知の液体を屈折率センサ(導波層)の光反射面との間に封じ込めるための容器を設ける。光検出器により液体と導波層との接触面からの全反射光を検出し、全反射臨界角に基づいて液体の屈折率を求める。温度算出手段により求めた屈折率及び温度−屈折率の関係を用いて液体の温度を求めることができる。液体は容器を介して被検体と接しているので、液体温度を被検体温度とみなすことができる。かかる被検体温度を得るには、容器を熱伝導性材料で構成することが好ましい。また、容器は入射光の波長の2倍以上の該接触面に垂直な寸法(高さ)を有し且つ接触面における光の照明領域を覆う縦横寸法を有することが好ましい。すなわち、該導波層面内方向の寸法を入射光の反射面での広がり以上、該導波層の積層方向の寸法を導波層の光透過部の厚さ以上とすることが望ましい。導波層は基板の上下面に形成され、一方の導波層の接触面に上記容器を配設することにより、被検体の屈折率と温度の情報が同時に得られる。この温度計を用いることにより、液体の温度を0.1℃以下の精度で得ることができる。
【0010】
さらに本発明の第2の態様に従えば、被検体の温度測定方法であって、
該被検体に、温度−屈折率の関係が既知の第1の媒質を接触する工程と、
該第1の媒質に、該第1の媒質と接触する第2の媒質の側から光を照射する工程と、
該第1の媒質と該第2の媒質との接触面からの全反射光を検出して、その全反射臨界角に基づいて該第1の媒質の屈折率を求める工程と、
求められた第1の媒質の屈折率から、上記第1の媒質の温度−屈折率の関係を用いて、上記第1の媒質及び被検体の温度を求める工程とを含む被検体の温度測定方法が得られる。
【0011】
上記本発明の温度測定方法では、第1の媒質に第2の媒質の側から光を照射し、これらの媒質の接触面からの全反射光を検出して、全反射臨界角に基づいて第1の媒質の屈折率を求める。第1の媒質の温度は求められた第1の媒質の屈折率及び第1の媒質の温度−屈折率の関係を用いることにより得ることができる。第1の媒質を温度が測定される被検体に接触させることにより第1の媒質を介して被検体の温度を求めることができる。上述した第1の媒質は測定温度領域で化学的に安定な液体とし、第2の媒質は導波層とする。第1の媒質を熱伝導性材料により第2の媒質上に密封することによって、熱伝導性材料は被検体の温度を第1の媒質に伝えることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態及び実施例を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の温度計を適用した液体温度計の基本的な構成を示す模式図である。液体温度計1は、光源6と、温度が検出される被検体と接触する被検液を密封する容器2aを備え且つこの被検液から得られる屈折率を光により検出する光センサ部2と、光センサ部2からの出力を基に被検液の温度を決定する温度算出部3とから構成されている。
【0013】
光源6からの光は、光ファイバ4を介して光センサ部2に供給される。また、光センサ部2と温度算出部3は、信号線5によってつながれている。光センサ部2には、図2に示す全反射型光センサ20を用いている。この全反射型光センサ20は、基板21上にクラッド22a/コア22b/クラッド22cなる導波構造を形成するように基板21上にクラッドガラス、コアガラス及びクラッドガラスを順次積層し、更に接着剤23を介して基板24を貼り付けた構造を有している。下部基板21及び上部基板24は、例えば、Si基板や金属基板にすることができる。コア22b及びクラッド22a,22cの材料としては、光ファイバ用の材料として一般に使用されている材料が使用でき、例えば、コア/クラッド材料をSiO2 /SiO2 +GeO2 ,SiO2 /SiO2 +TiO2 ,SiO2 +SiF4 /SiO2 等にすることができる。クラッド22a,22c及びコア22bは、CVD、スパッタリング等の慣用の成膜技術で下部基板21上に形成することができる。接着剤23としては、例えば、エポキシ樹脂等が使用される。
【0014】
全反射型光センサ20の構造は上記積層構造に限定されず、導波層22の代わりに、クラッド/コア/クラッドなる導波構造を、コアを0.5mm〜1mm厚の導波ガラスで形成し、そのコアをクラッドとなる材料で挟み込むように接着し、更に必要に応じて基板で挟み込んだ構造体を用いても構わない。コアとなる導波ガラスには、石英ガラスや光学ガラス等のガラス、サファイア、ジルコニアやダイヤモンド等の光学結晶、クラッドの材料には、コアとなる導波ガラスより屈折率の低い石英ガラスや光学ガラス等のガラス、サファイア、ジルコニアやダイヤモンド等の光学結晶、基板には熱伝導性のよいSiや金属等が用いられる。クラッドとコアとの接着剤には、例えば、エポキシ樹脂等が使用される。
【0015】
この積層体は、クラッド22a/コア22b/クラッド22cにより形成される導波層22に光を入射するための光入射面25と、入射光を反射または透過しそして容器2a中の被検液との接触面を構成する検出面26(図3を参照)と、反射光を出力する光出射面27を備えている。光入射面25は、シングルモードの光ファイバ4が埋設された光ファイバアレイ10と接続される。光ファイバ4は、例えばGaAs−AlGaAsのような半導体レーザ、He−Neレーザ、発光ダイオード(LED)のような図1に示した光源6に接続される。なお、光ファイバ4は、シングルモードに限定されるものでなく、マルチモードの光ファイバを用いることもできる。
【0016】
光出射面27には、光検出器として、光ファイバ4が供給する広がり角を持った入射光からの反射光を広範囲で検出可能なCCDセンサアレイ28が接続される。このCCDセンサアレイ28からの出力は、後述する温度算出部3に送られる。
【0017】
この全反射型光センサ20の検出面26上には被検液を密封するための箱状の容器2aが配設されている。この容器2aは、熱伝導性の良い、例えば、銅等の金属やSi等の材質を用いることが好ましい。このような材質を選択することによって、容器2a内の被検液と容器2aの周囲の被検体Mの温度を迅速に同じ温度にすることができる。箱状の容器2aの寸法は、検出面26に垂直な方向の高さaを入射光の波長の2倍以上、検出面26の横寸法(導波層面内方向)bを入射光の反射面での広がり以上、縦寸法(導波層積層方向)cをコア22bの厚さ以上に設定することが好ましい。特に、液体内の温度のゆらぎや容器内で被検液の対流を生じさせないようにするには、高さaと縦寸法cをそれぞれ3mm以下、横寸法bを5mm以下の大きさとすることが一層好ましい。
【0018】
一般に、温度変化に対する屈折率変化の傾きの大きさは、液体の種類による差が小さいことが知られている。従って、容器2a内に密閉する液体は、少なくとも測定する温度領域において化学的に安定な液体であれば良い。かかる液体の例としては、H2O ,CCl4 ,HOCH2CH2OH,CH3CH2OH等がある。
【0019】
図3に、図2に示した全反射型光センサ20のコア層22b面に沿って切断した断面図を示す。図3には、光ファイバ4からの入射光の光路も同様に示した。図3に示したように、この導波層は、入射したレーザ光を検出面26以外の2つの全反射面A、Bで反射させる構造(3回反射型)を有する。かかる構造は、導波層内で検出面だけから反射する(1回反射型)構造に比べて光路長を2倍程度にすることができるので測定分解能を向上させることが可能になる。また、かかる構造を採用することにより入射面と出射面を同一面に配することができるので、光センサの構造をコンパクトにできる。また、この構造では、入射面25及び出射面27と検出面26とが離れているため、光ファイバ4及びCCDセンサアレイ28が温度の影響を受け難くなるという利点もある。
【0020】
この全反射型光センサ20には、例えばシングルモードの光ファイバ4からの光が光ファイバアレイ10を通して光入射面25/光出射面27の内の光入射位置25’に供給される。光ファイバ4からの出射光は、約6〜8°程度に広がるように加工する。この広がりを持った光線が導波層22を通って検出面26に隣接する全反射面Aの点P1 〜P2 〜P3 に達する。これらの点で光線は全反射して検出面26に向かい、検出面26上の点P4 〜P5 〜P6 に達する。検出面26ではスネルの法則により容器2aに収容された液体の屈折率、コアの屈折率、及び入射角に応じて全反射または透過屈折する。検出面26に、隣接する全反射面B上の点P7 〜P8 〜P9 でさらに全反射し、光出射面27(光入射面25と同一面)内の出射位置27’の点D〜E〜Fに達する。この出射位置27’には、これらの点を覆うようにCCDセンサアレイ28が配設されている。従って、CCDセンサアレイ28は、容器2aを取り巻く被検体Mの温度と同温にある容器2a内の被検液と接触する検出面26での全反射を出射光として検出する。CCDセンサアレイ28では、上記スネルの法則によって入射光が検出面26で全反射した出射光の画素領域が明領域となり、検出面26で透過屈折して画素に光が到達しない領域が暗領域となる。CCDセンサアレイ28に生じる明暗境界の位置は、液体の屈折率に応じて変化する。CCDセンサアレイ28は、対応する画素位置での受光強度に応じた電気信号に変換され、信号線29を介して電気信号を後述する図4の計測処理部31に供給する。計測処理部31、演算部32(図4)を経て得られた屈折率が温度算出部3に送られる。
【0021】
図4に、CCDセンサアレイ28で検出された光信号から温度を求める操作をブロック図で示す。光センサ部2は、CCDセンサアレイ28からの出力に基づいて検出した光の明暗境界を一層正確に判別するために、CCDセンサアレイ28の各画素での受光強度を統計処理する計測処理部31と、計測処理部31からの出力により屈折率を計算する演算部32とを有する。演算部32で計算された屈折率は温度決定部33のメモリ内に格納された上記被検液の温度−屈折率の関係と対応付けられて温度が決定される。
【0022】
計測処理部31は、直接補間法、多次曲線補間法あるいはフィッティング法を用いて明暗境界を判別する。かかる明暗境界の判定方法は、本出願人の国際公開WO94/24543号公報に詳細に記載されており、それを参照することができる。この公報においては、参照光の波形と測定した光の波形との交点により決定する方法が推奨されている。明暗境界の領域は、フレネルの回折現象によってぼやけてしまうが、明領域は、参照光の光量よりも強い光量を示すことが知られている。従って、明暗境界の領域は、参照光の波形と測定光の光量増加に最も近傍の位置、すなわち交点の位置が対応することになる。破線の参照波形(●)に対する実線の測定波形(○)が例えば図5(a)に示すように得られ、上述した条件に合う領域を矢印で示した区間とする。図5(b)は、この領域を拡大表示した様子を示しており、両端の画素を結ぶそれぞれの参照光波形(破線)と測定光(実線)とは点Sで交わる。直線補間法は、この点Sを案分点として使用する。
【0023】
多次曲線補間法では、先ず図5(c)に示す参照光及び測定光の波形の交差する区間を限定し、その上でこの区間の両端に位置する複数の点を用いて多次の回帰曲線を算出する。次のステップでは、それぞれ算出した参照光の曲線と測定光に対する多次曲線の交点Sが求められる。ここで、多次の回帰曲線とは、2次以上の回帰曲線を意味している。フィッティング法でも先ず参照光及び測定光の波形の交差する区間を限定し、その上でこの区間の両端に位置する数点から数十点を用いて方程式を構成する。この方程式を解くことによってフィッティングカーブCの定数が得られる。フィッティング法は、フィッティングカーブCの方程式を構成する定数から例えば図5(d)に描かれているような、測定光の曲線を求め参照光との曲線の交点から明暗境界を求めている。ここで、フィッティングカーブとは、半平面のフレネル回折の理論式を臨界角付近の反射光に適用したものである。案分点Sは、多次曲線補間やフィッティング法を用いることによって直線補間法よりも一層高精度に求めることができる。
【0024】
このように求めた参照光と測定光の交点、すなわち案分点を決定して演算部32に送る。演算部32では、原理的に被検液の温度での検出面26で全反射して到達したCCDセンサアレイ28の画素位置から臨界屈折率が規定されるので、この規定に基づいたCCDセンサアレイ28の画素毎に屈折率が算出される。また、この演算部32は、屈折率の絶対値のシフトも考慮したオフセット項による補正を行っている。これにより、参照光と測定光との交点と明暗境界のずれの補正も行っている。このようにして容器2aに密閉された被検液の屈折率を測定している。測定した屈折率は、温度決定部33に出力される。
【0025】
温度決定部33は、例えば容器2aに密閉した被検液について予め変化させた際の温度で得られた屈折率(臨界屈折率)情報をアドレスとして用い、このアドレスに変化させた際の温度をアドレスデータとするルックアップ・テーブルのようにメモリで構成されている。このように温度決定部33は、予め温度と屈折率とを関係付ける情報が記憶されていることから、供給される演算部32からの測定した屈折率をアドレス情報とし予め記憶されているアドレスのデータを出力すると、屈折率と温度とを対応付けることができる。この対応が付いた際に温度決定部33は、メモリに格納されているデータを温度情報として出力する。こうして被検体Mの温度を被検液の屈折率情報から求めることができる。
【0026】
〔実施例1〕
次に、本発明に係る液体温度計のより具体的な構造を以下に例示する。
図2に示した3回反射型の全反射型屈折率センサ20を、以下に示すような材料及び寸法の光センサを用いる。下部基板21として厚さ1mmのシリコン基板を用いた全反射型屈折率センサ20の導波層においてクラッド層22a,22cは厚さ20μmのSiO2 ・GeO2 (屈折率:1.495)とし、コア層22bは厚さ8μmのSiO2 ・GeO2 (屈折率:1.500)とした。これらの層はSiO2 にGeO2 を種々の量でドーピングすることによってCVDにより成膜した。
【0027】
上部基板24として厚さ0.3mmのシリコンを用い、導波層22とエポキシ樹脂で互いに接着させた。この全反射型屈折率センサ20に入射光を供給する光ファイバ4としてシングルモード型ファイバを用い、その端面を研磨して出射光が8゜の広がりを持つように成形した。この全反射型屈折率センサ20は、光ファイバ4からの出射光(中心光として)が検出面26に対して69゜の入射角となり、出射光光路長が、32mmになるように光路が構成されている。図示しないが光ファイバ4を介して供給される光源としては、波長850nmのLEDを使用している。
【0028】
屈折率センサの検出面26上に被検液を封入する容器2aは、シリコン製であり、容器2aの寸法としてa=1mm,b=4mm,c=1.5mmとした。容器2a内に封入する被検液には、CCl4 を用いた。
【0029】
また、温度算出部3の温度決定部33には、予め測定したCCl4 の温度変化に応じた屈折率を記憶させている。予め測定した温度−屈折率の関係を図6に示す。温度−屈折率の関係は、CCl4 の場合、温度1℃あたり0.0053/℃という関係にあることがわかった。上記構成の温度計を用いることにより、0.05〜0.1℃以下の精度で温度測定ができることが確認された。上記実施例のように温度計を構成することにより、測温部が小型で高精度の安全な温度計を提供することができる。
【0030】
〔実施例2〕
また、本発明に係る温度計の他の実施例について図7及び図8を用いて説明する。ここで、前述した構成と共通する部分には同じ参照番号を付して説明を省略する。全反射型屈折率センサ40は、図2の屈折率センサ20と同様の3回反射型の光センサを用いる。但し、この実施例の液体温度計は、例えば図7に示すように、屈折率検出用の光センサ部40aと温度測定用の光センサ部40bとを一体化させた全反射型屈折率センサ40と、光センサ部40bからの出力に基づいて温度を決定する温度算出部3で構成されている。
【0031】
このような光センサ部40a、40bを一体構成にするため、基板を挟んでその両面にそれぞれ導波層を成膜形成し、いずれか一方の導波層の検出面に容器2aを配設する。すなわち、図8に示す全反射型屈折率センサ40は、中央基板41の上面41Aにクラッド層42a/コア層42b/クラッド層42cからなる導波層42を成膜形成し、接着剤43で導波層42と上部基板44を接着して光センサ部40aを構成し、中央基板41の下面41Bにもクラッド層45a/コア層45b/クラッド層45cからなる導波層45を成膜形成し、接着剤46で導波層46と下部基板47と接着させている。光センサ部40bの検出面48b(図示せず)は、容器2aで覆っている。この容器2aには、被検液が密封されている。
【0032】
この全反射型屈折率センサ40の各光センサ部40a、40bに光源6からの光が光ファイバ4により入射する。検出面48a、48bと隣接する全反射面で反射して入射光は、各光センサ部40a、40bの検出面48a,48b(図示せず)に実施例1と同様の入射角で入射する。光センサ部40a、40bの検出面48a,48bに到達した入射光は、それぞれ被検体M及び被検液で全反射されて検出面48a、48bと隣接するもう一方の全反射面で全反射して出射面49に向かう。この出射面49には、CCDセンサアレイ28a,28bを配設している。CCDセンサアレイ28aは、被検体で全反射した光を反射角に応じた各画素位置で電気信号に変換して信号線29aを介して計測処理部31a(図示せず)に供給する。一方、CCDセンサアレイ28bは、被検液で全反射した光を反射角に応じた各画素位置で電気信号に変換して信号線29bを介して計測処理部31b(図示しない)に供給する。
【0033】
計測処理部31aは統計処理した出力を演算部32a(図示しない)に供給する。演算部32aは、被検体Mの屈折率を求めて出力する。また、計測処理部31bからの供給されたデータに基づいて演算する演算部32b(図示しない)は、求めた被検液の屈折率を温度算出部3に出力する。温度算出部3は、供給された屈折率と対応する温度情報を引き出して出力する。従って、被検体Mの屈折率のみならず温度を同時に精度良く測定することができるため、被検体Mの屈折率の温度依存性を高精度に測定することができる。上記実施例2のように構成することにより、小型で高精度の安全な温度計を提供することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の温度計によれば、光センサ部からの出力に基づいて温度算出手段で温度情報を求めることにより、小型の構成でありながら、安全且つ高精度に液体の温度を検出することができる。
【0035】
また、本発明の温度測定方法によれば、被検体と接触する容器に封入した液体の屈折率から温度情報を算出することにより、安全且つ容易に被検体の温度を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体温度計の概略的な構成を示す図である。
【図2】上記液体温度計に用いる全反射型屈折率センサの斜視図である。
【図3】全反射型屈折率センサの動作を説明する模式的な平面図である。
【図4】液体温度計において屈折率の算出及び温度決定を実行する部分を示す図である。
【図5】上記温度決定部の計測処理方法を説明する図である。
【図6】上記温度決定部に予め記憶させたCCl4 における屈折率−温度の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例2に係る液体温度計の概略的な構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例2の液体温度計に用いる全反射型屈折率センサの斜視図である。
【符号の説明】
1 液体温度計
2,40a,40b 光センサ部
2a 容器
3 温度算出部
20,40 全反射型屈折率センサ
22,42,45 導波層
31 計測処理部
32 演算部
33 温度決定部
Claims (5)
- 屈折率が測定される液体との接触面を有し、該接触面に光を入射する光入射路及び該接触面からの反射光を出射する出射路が形成された第1導波層と、
第1導波層に接続されて該入射路に光を供給する第1光供給手段と、
第1導波層に接続されて該出射路からの全反射光を検出することによって該液体の屈折率を求める第1光検出器と、
上記液体を上記第1導波層の接触面上に封入し且つ温度が測定される被検体との接触面を構成する容器と、
上記求められた液体の屈折率から、予め求めておいた上記液体の温度−屈折率の関係に基づいて該液体の温度を算出する手段と、
前記被検体と接触する接触面を有し、該接触面に光を入射する光入射路及び該接触面からの反射光を出射する出射路が形成された第2導波層と、
第2導波層に接続されて第2導波層の入射路に光を供給する第2光供給手段と、
第2導波層に接続されて第2導波層の出射路からの全反射光を検出することによって前記被検体の屈折率を求める第2光検出器と、
基板とを備え、
第1導波層が該基板の一方の面上に設けられ、第2導波層が該基板の他方の面上に設けられており、
前記算出された液体の温度から被検体の温度を測定する温度計。 - 上記容器が、熱伝導性材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の温度計。
- 上記容器は、入射光の波長の2倍以上の高さを有し且つ該接触面における光の照射領域を覆う縦横寸法を有することを特徴とする請求項1または2に記載の温度計。
- 被検体の屈折率と温度を同時に測定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の温度計。
- 第1及び第2光検出器は、全反射光による明暗境界を求める計測手段と該計測手段からの出力を基に屈折率を算出する演算手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の温度計。
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