JP3317389B2 - 屈折計 - Google Patents

屈折計

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定流体の屈折率
測定の効率化が図れ、安価で、小型化が図れ、測定時に
測定流体中の散乱物質による影響が受け難くて精度が向
上された屈折計に関するものである。
【0002】更に、詳述すれば、狭帯域干渉フィルタの
スペーサ層を屈折率測定室とし、アレイ検出素子と、単
一波長光源とを組み合わせた屈折計に関するものであ
る。
【0003】
【従来の技術】図3は従来より一般に使用されているア
ッベ屈折計の従来例の構成説明図で、例えば、書名;岩
波理化学辞典 第3版、発行日;1971年5月20
日、編集者;玉虫文一等、発行所;岩波書店に示されて
いる。
【0004】図3において、同じ屈折率を持つ2つのプ
リズム1の間に、測定流体2を入れる。プリズム1の屈
折率をn0、頂角をα、臨界角に相当する出射角をβと
すると、求める測定流体の屈折率nは次式で与えられ
る。 n=sinα(n0 2−sin2β±cosαsinβ)1/2
【0005】式中において、+は出射面における放線か
ら頂角αよりに光が出射する場合であり、−はその反対
の場合である。出射角βを測定して、既知のパラメータ
である頂角αとプリズムの屈折率n0で演算を行えば、
測定流体の屈折率nが求められる。このような方法によ
る屈折率の精度は10-4程度である。
【0006】問題点としては、 (1)高い屈折率を持つプリズムなどを用いるために光
学部品が高価である。 (2)プリズムの面に精密な研磨仕上げが要求される。 (4)臨界角などの角度測定の分解能を高めるために光
路長(出射点から観察点までの距離)を確保する必要が
あるために、測定器のサイズが大きくなる。
【0007】(5)屈折率が変化する測定流体の、連続
した屈折率測定に不適当である。 (6)液体中に微小なゴミなどの散乱物質が介在する場
合に、出射する光が散乱して臨界角測定の誤差要因とな
る。本発明は、この問題点を解決するものである。
【0008】本発明の目的は、干渉フィルタのスペーサ
層にあたる部分を測定室とし、複数の干渉条件の光を同
時に検出するアレイ素子と、単一波長光源とを組み合わ
せて、測定流体の屈折率測定の効率化が図れ、安価で、
小型化が図れ、測定時に測定流体中の散乱物質による影
響が受け難くて精度が向上された屈折計を提供するにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明は、物質の屈折率を測定する屈折計におい
て、平行な単一波長の光が出射される光源と、該光源の
単一波長の4分の1の光学薄膜を有する第1のλ/4型
多層膜干渉層と、該第1のλ/4型多層膜干渉層の一面
に一面が接して設けられ該第1のλ/4型多層膜干渉層
の面方向に異なる厚さを有し測定流体が流入される測定
室と、該測定室の他面に一面が接して設けられた第2の
λ/4型多層膜干渉層と、該第2のλ/4型多層膜干渉
層の他面側に設けられ前記光源から前記第1,第2のλ
/4型多層膜干渉層と前記測定室を透過した光の該測定
室での透過厚さに対応して検知するアレイ光検出素子
と、該アレイ光検出素子からの測定信号により測定室の
測定物の屈折率を演算する演算回路とを具備したことを
特徴とする屈折計を構成したものである。
【0010】
【作用】以上の構成において、光源から出射された単一
波長の光λは、ガラス基板とλ/4多層膜干渉層を通過
して測定室に達する。
【0011】測定流体の屈折率をnとすると、下式で与
えられる条件を満たす光のみがλ/4多層膜干渉層とガ
ラス基板を通過してアレイ光検出素子に到達する。 nd=λ/2
【0012】従って、理想的な状態では、測定室の間隔
d以外の場所では透過する光がないので、間隔dの位置
の光検出素子のみの出力信号が得られる。間隔dはアレ
イ光検出素子の検出位置によって求まる値であり、波長
λも光源によって決まる値であるため、測定物質の屈折
率nを求めることが可能になる。
【0013】アレイ光検出素子の信号出力のピーク位置
を求めて、間隔dから屈折率nを演算する動作を演算回
路にさせることによって、屈折率nが短時間で求められ
る。以下、実施例に基づき詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例の要部
構成説明図である。図において、11は、単一波長λの
光を平行に出射する光源である。12は、光源11を透
過するガラス基板である。
【0015】13は、ガラス基板12の一面に一面が接
し高屈折率物質層と低屈折率物質層とが交互に積層して
構成された光源波長λに対してλ/4の光学膜厚を持っ
た第1のλ/4型多層膜干渉層である。
【0016】14は、第1のλ/4型多層膜干渉層13
の一面に一面が接して設けられ、第1のλ/4型多層膜
干渉層13の面方向に異なる厚さを有し、測定流体が流
入される測定室である。この場合は、間隔d0からdm
で連続的に変化している。15は、測定室14の他面に
一面が接して設けられた第2のλ/4型多層膜干渉層で
ある。
【0017】16は、第2のλ/4型多層膜干渉層の他
面に一面が接して設けられたガラス基板である。しかし
て、測定流体を入れる測定室14は、狭帯域干渉フィル
タのスペーサ層に相当する。
【0018】17は、ガラス基板16の他面側に設けら
れ、光源1から第1,第2のλ/4型多層膜干渉層1
3,15と測定室14を透過した光の、測定室14での
透過厚さに対応して検知するアレイ光検出素子で、分割
数mに分割されている。18は、アレイ光検出素子17
からの測定信号により、測定室14の測定流体の屈折率
を演算する演算回路である。
【0019】ここで、光源1の波長λに対して、λ/4
の光学膜厚を持った多層膜13,15に挟まれた測定室
14の組み合わせでSHW(Single Half
Wave System)型狭帯域干渉フィルタを形成
している。λ/4多層膜干渉層13,15の層数は、透
過域から不透過域への傾斜の程度などの光学設計条件に
より決定される。
【0020】また、測定室14に接する層は、測定対象
の屈折率によって高屈折率物質または低屈折率物質で構
成するかを決定するが、ガスや液体と接する層になるた
め、屈折率などの光学特性が安定した物質を選択する。
ガラス基板12,16は、使用する波長帯域で吸収の少
ないものを選択する。
【0021】上記構成例の作製方法の一例としては、ま
ず、ガラス基板(12,16)上に、λ/4多層膜干渉
層(13、15)を形成する。このガラス基板(12,
16)をダイシング(切断)して2つの基板12,16
を向かい合わせて、測定室14が所定の間隔d0からdm
を保つ位置で固定する。
【0022】以上の構成において、光源(LEDやLD
など)11から出射された単一波長λの光は、ガラス基
板12とλ/4多層膜干渉層13を通過して測定室14
に達する。
【0023】測定流体の屈折率をnとすると、下式で与
えられる条件を満たす光のみがλ/4多層膜干渉層15
とガラス基板16を通過してアレイ光検出素子17に到
達する。 nd=λ/2
【0024】従って、理想的な状態では、測定室14の
間隔d以外の場所では透過する光がないので、間隔dの
位置の光検出素子17のみの出力信号が得られる。間隔
dはアレイ光検出素子17の検出位置によって求まる値
であり、波長λも光源によって決まる値であるため、測
定物質の屈折率nを求めることが可能になる。
【0025】アレイ光検出素子17の信号出力のピーク
位置を求めて、間隔dから屈折率nを演算する動作を演
算回路18にさせることによって、屈折率nが短時間で
求められる。屈折率nの精度は、アレイ検出素子の1ピ
クセルの大きさと分割数によって決定される。
【0026】図2に、屈折計の具体的一例を示すと共
に、屈折率の求め方と測定誤差を求める。いま、光源1
の波長λ=540nm、測定対象の屈折率の中心値(平
均値)n=2.3、屈折率の変化率Δnが±20%とす
ると、測定室14の間隔はd0=97.8261nmから
m=146.7391nmであるが、計算を簡単にする
ため間隔を100nmから150nmと仮定する。
【0027】測定室14の長さを10mm、アレイ光検
出素子17の分割数m=256と仮定する。アレイ光検
出素子17の1ピクセルの大きさは39nmとなる。
【0028】アレイ光検出素子17からの信号出力にお
いて、100ピクセルのところにピークが出たとする
と、100ピクセルの中心位置は測定室14の左端から
の距離は3.8869mmが得られる。
【0029】これを間隔dに換算すると119.531
25nmとなる。従って測定対象の屈折率nは、nd=
λ/2からn=2.2588が求められる。1ピクセル
は有限の大きさを持つので、測定誤差はΔn=±0.0
019(±0.8%)。
【0030】なお、分析する測定対象の屈折率や屈折率
変動に対応した測定室の間隔を設定することによって、
測定の分解能を向上することが可能であり、屈折率の測
定誤差を小さくできる。
【0031】また、測定室内に、測定流体を連続的に流
すことによって、屈折率変化を連続的に測定することが
できる。また、本発明では、3図従来例に比して、設計
の自由度が高く、また、測定時間の短縮が可能である。
【0032】この結果、本発明によれば、 (1)狭帯域干渉フィルタの特徴を利用した、ガラス基
板12,16、λ/4型多層膜干渉層13,15、測定
室14は、薄膜技術などの応用で作製することにより大
量生産が可能で安価なために、たとえば使い捨てのよう
な使い方ができるため、プリズムに比べて取り扱いが簡
単で、小型化が図れ、安価な屈折計が得られる。
【0033】(2)プリズムは、光学材料の屈折率選定
が必要であるが、本発明では臨界角のような入射角や反
射角や出射角によって屈折率を測定しているわけではな
いので、狭帯域干渉フィルタを形成する薄膜の材料選択
の自由度が高い屈折計が得られる。
【0034】(3)アレイ光検出素子17によって、同
時に複数の干渉条件における光出力が得られるため、従
来方式のような設定の不便さ(たとえば光軸調整や臨界
角の測定など)の改善が期待できる屈折計が得られる。
【0035】(4)このため、測定時間が短縮できるた
め、測定室14内の測定流体を連続的に交換して、屈折
率の経時変化が測定できる屈折計が得られる。 (5)測定流体中に散乱物質が混入した場合も、測定光
の散乱現象が原理的に影響を受けにくいため、測定精度
の向上が期待できる屈折計が得られる。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
出射角が小さく単一波長の光が得られる光源と、干渉フ
ィルタと、狭帯域干渉フィルタのスペーサ層に相当する
部分の厚みを変化させた測定室と、干渉フィルタと測定
室とを透過した光を検出するためのアレイ光検出素子
と、測定室中の液体の屈折率をアレイ光検出素子の出力
信号パターンから求める演算回路から構成される様にし
た。
【0037】この結果、 (1)狭帯域干渉フィルタの特徴を利用した、ガラス基
板、λ/4型多層膜干渉層、測定室は、薄膜技術などの
応用で作製することにより大量生産が可能で安価なため
に、たとえば使い捨てのような使い方ができるため、プ
リズムに比べて取り扱いが簡単で、小型化が図れ、安価
な屈折計が得られる。
【0038】(2)プリズムは、光学材料の屈折率選定
が必要であるが、本発明では臨界角のような入射角や反
射角や出射角によって屈折率を測定しているわけではな
いので、狭帯域干渉フィルタを形成する薄膜の材料選択
の自由度が高い屈折計が得られる。
【0039】(3)アレイ光検出素子によって、同時に
複数の干渉条件における光出力が得られるため、従来方
式のような設定の不便さ(たとえば光軸調整や臨界角の
測定など)の改善が期待できる屈折計が得られる。
【0040】(4)このため、測定時間が短縮できるた
め、測定室内の測定流体を連続的に交換して、屈折率の
経時変化が測定できる屈折計が得られる。 (5)測定流体中に散乱物質が混入した場合も、測定光
の散乱現象が原理的に影響を受けにくいため、測定精度
の向上が期待できる屈折計が得られる。
【0041】従って、本発明によれば、測定流体の屈折
率測定の効率化が図れ、安価で、小型化が図れ、精度が
向上された屈折計を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の具体的構成説明図である。
【図3】従来より一般に使用されている従来例の様部構
成説明図である。
【符号の説明】
11 光源 12 ガラス基板 13 第1のλ/4型多層膜干渉層 14 測定室 15 第2のλ/4型多層膜干渉層 16 ガラス基板 17 アレイ光検出素子 18 演算回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物質の屈折率を測定する屈折計において、 平行な単一波長の光が出射される光源と、 該光源の単一波長の4分の1の光学薄膜を有する第1の
    λ/4型多層膜干渉層と、 該第1のλ/4型多層膜干渉層の一面に一面が接して設
    けられ該第1のλ/4型多層膜干渉層の面方向に異なる
    厚さを有し測定流体が流入される測定室と、 該測定室の他面に一面が接して設けられた第2のλ/4
    型多層膜干渉層と、 該第2のλ/4型多層膜干渉層の他面側に設けられ前記
    光源から前記第1,第2のλ/4型多層膜干渉層と前記
    測定室を透過した光の該測定室での透過厚さに対応して
    検知するアレイ光検出素子と、 該アレイ光検出素子からの測定信号により測定室の測定
    物の屈折率を演算する演算回路とを具備したことを特徴
    とする屈折計。
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