JP3702340B2 - 屈折率測定法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラブ光導波路を利用して、気体、液体又は固体の有効屈折率の変化及び、スラブ光導波路表面の有効屈折率変化をきわめて高分解能に測定する屈折率測定法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、気体、液体又は固体の有効屈折率の変化を測定する方法としては、プリズムを用いた方法が一般的である。その原理は測定対象と接しているプリズム面での内部全反射の臨界角を測定するものである。実際の測定では、種々の手法が知られているが、大きく分ければ、収束光を用いる方法と平行光を用いる方法がある。
【0003】
収束光を用いる方法では、プリズムの測定を行う反射面に対してレンズ等を用いて収束光を照射し、その反射光を何らかの位置検出能のある検出器を用いて検出する。一般的には、多チャンネルのCCD検出器を用いて、角度の変化を検出器上の反射光のあたっているセルのアドレスとして検出する。
収束光を利用して超薄膜の測定や界面への吸着による有効屈折率の変化を測定する方法として、表面プラズモン共鳴法(SPR法)がある。この手法は、特に抗原抗体反応を利用した界面への吸着を極めて高感度に検出する方法として知られている。
【0004】
平行光を用いる方法では、平行光をプリズムに入射して、光の入射角を変えながら反射光の強度をモニターして反射光強度が減少する角度、つまり臨界角からプリズムに接している測定対象の屈折率を求める。
【0005】
しかしながら、これらのプリズムを用いた方法では、臨界角を正確に求めるためには光源を単色化する必要があり、また、きわめて平行性の高い光源が必要であり、光源に対する要求条件が高かった。そのため、高精度測定では、ヘリウムネオンレーザーなどのレーザー光源が必要であった。
また、これらの方法では、プリズムの駆動系や角度測定手段にも高精度のものが必要とされていた。
【0006】
一方、気体、液体又は固体の有効屈折率の変化を測定する方法にはプリズムを用いない方法もあり、その例としては、光導波路内での偏光を利用する干渉法が知られている。この方法では、プリズムの駆動系や角度測定手段を高精度にしなければならないという問題は生じない。
【0007】
干渉法では、チャンネル導波路を利用して支持体の上に干渉計を構成し、干渉計の一方の光路に試料となる液体や薄膜等を接触させて、他方の光路との光路差を干渉計にて検出し、試料の屈折率の微小な変化を高感度に測定する。
干渉法では、光導波路内での偏光を利用して干渉計を構成することができる。また、偏光子を用いてスラブ光導波路コア内を通過する光をS偏光とP偏光とに分け、出口側でまた一つの偏光とすることで両者の偏光を干渉させることもできる。この際に、S偏光とP偏光とではコアに接して置かれた試料の屈折率の影響され方が違うことから、屈折率変化を検出することが可能である。
【0008】
しかしながら、干渉計の構成には高度の加工技術が必要であった。また、プリズムを用いた方法と同様に、高精度測定のためには単色性の高い光源が必要であり、レーザー光の利用が前提となっていた。さらに、分けた光を出口側でまた一つの偏光とするために偏光子が必要であるが、この偏光子は高価であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光導波路を利用して、高分解能に屈折率を測定する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
厚さ0.1mm程度のスラブ型石英コア光導波路では、数十〜数百次の非常に高次のモードの伝播光が存在することが知られている。これらの高次モードの伝播光強度は、コアに接する物質の屈折率の変化にきわめて敏感であり、僅かな屈折率変化の違いにより透過効率が大きく変化する。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、光源から発射された光を厚みが比較的大きいマルチモードのスラブ光導波路コア層に導入して、該スラブ光導波路コア層中に複数の伝播モードの光を同時に透過させるとともに、該導波路コア層と接するように試料を配置することにより、該試料の屈折率に従って透過可能な透過光のモードの次数が変化し透過光の強度が変化すること、そして、透過光の強度ないしはスペクトルを測定することにより試料の屈折率を高感度に測定できることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)マルチモードのスラブ光導波路中に同時に多数の次数のモードの光を透過させ、該導波路と接するように配置された試料の屈折率に対応して透過可能な透過光のモードの次数を変化させ、これにより得られる透過光の強度を測定することを特徴とする屈折率測定法、
(2)マルチモードのスラブ光導波路中に同時に多数の次数のモードの光を透過させ、該導波路と接するように配置された試料の屈折率に対応して透過可能な透過光のモードの次数を変化させ、これにより得られる透過光のスペクトルを測定することを特徴とする屈折率測定法、
(3)特定の高次光を角度依存性の違いから特定して検出し、その強度変化を測定することを特徴とする(1)項に記載の屈折率測定法、
(4)透過光の波長依存性の違いを色味の違いとして目視で測定することを特徴とする(2)項に記載の屈折率測定法、および
(5)試料が液体又は気体であることを特徴とする(1)又は(2)項に記載の屈折率測定法
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、厚みの比較的大きい、好ましくは厚さ1μm〜1mmのスラブ光導波路コア層中に伝播する高次モードの伝播光をプローブとして用い、導波路を透過してくる高次モード光の波長依存性を測定することにより、スラブ光導波路コア層に接する気体、液体又は固体の屈折率の変化及び、スラブ光導波路コア層表面の有効屈折率変化を高感度に測定する。
本発明によれば、10-6程度の屈折率変化を検出することができる。
【0013】
本発明では、スラブ光導波路を使用する。図1に本発明の好ましい一実施態様を示す。図1は、スラブ光導波路を使用した屈折率測定装置の一実施例を示す模式図である。この装置は、流体試料を測定するフローセル型装置の一例である。装置は、スラブ光導波路コア層1、試料セル2、光源から発射された光をスラブ光導波路コア層1内に導入する光導入部(入射光側カップリングプリズム3)、およびスラブ光導波路コア層1内で全反射を繰り返した光を出射する光出射部(出射光側カップリングプリズム4)からなる試料測定部を有する。
【0014】
スラブ光導波路コア層1は試料セル2中のチャンバー5内の試料と接するように配置され、スラブ光導波路コア層1の試料と接する面の反対側には、光源から発射された光をスラブ光導波路コア層内に導入する光導入部およびスラブ光導波路コア層の内部で全反射を繰り返した光を出射する光出射部が設けられる。光導入部および光出射部は、装置に照射された光が光導入部からスラブ光導波路コア層1内へ入り該コア層1内を透過して光出射部から出るように、所定の間隔で設けられる。図1では、入射光側カップリングプリズム3が光導入部であり、出射光側カップリングプリズム4が光出射部である。試料セル2の両端には試料入口6および試料出口7が設けられ、試料セル2内には測定試料が導入される前記チャンバー5が設けられている。チャンバー5はスラブ光導波路コア層1の表面に接する。
【0015】
本発明で使用される屈折率測定装置11は、試料セル2中の試料に接するように透明な光導波路コア層1を配置したものである。図1では試料セル2の上に光導波路コア層1が蓋をするように配置されている。
光導波路コア層1の厚さは1μm〜1mmが好ましく、2μm〜0.5mmがより好ましく、10μm〜0.2mmがさらに好ましい。光導波路コア層1の材質は、ソーダガラス、石英、プラスチック、サファイヤなど透明で光学的に安定なものであればよい。光導波路コア層1内に導入された光は光導波路コア層1内を全反射しながら進む。
【0016】
試料セル2はガラス、石英、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などを使用することができる。厚さは特に制限はないが例えば1mm〜5mm程度である。試料セルの大きさは、小さいほど試料が少なくて済むので好ましいが、小さすぎるとセルの作製が困難になる。したがって大きさに特に制限はないが例えば、外形が長さ約5cm、幅約3cm、高さ約1.5cmで、内法が長さ約4cm、幅約2cm、深さ約1cmのものを使用することができる。ただし、内法の深さについては0.1mm以上が好ましい。
【0017】
本発明において、光源は白熱灯、発光ダイオード、レーザー、ダイオードレーザーなどが用いられる。スペクトルを測定する場合や色調の変化を見る場合には、白色光を使用することが好ましい。この場合、白色光とはある波長幅をもつ光ということであり、白い色の光という意味ではない。白色光を用いることにより高価なレーザーを使用する必要がなくなり、装置が簡便かつ安価になる。
【0018】
光導波路へ光の導入する方法としては、例えば、カップリングプリズムを用いる方法、光導波路表面にカップリング用の回折格子状の規則的な凹凸を設ける方法、光導波路表面にカップリング用の回折格子状の規則的なコーティングによる縞模様を設ける方法、光導波路端面を研磨して光の入出射を可能にする方法などが挙げられる。
【0019】
本発明において測定される試料は、気体、液体又は固体のいかなる状態でもよい。ただし、測定試料は後述するようにスラブ光導波路コア層に接していることが必要である。
すなわち本発明では、スラブ光導波路コア層に接した溶液やガスなどの流体の屈折率を測定することにより試料の特性、例えば物質濃度を測定することができる。
また、スラブ光導波路コア層表面に特定の物質と結合しやすい物質を物理吸着又は化学結合によりコーティングさせて、特定の物質がその表面に結合したことによる微少な有効屈折率変化を検知することにより表面薄膜や吸着物質等の特性、例えば厚みや物質濃度を測定することもできる。
【0020】
図2は、有効屈折率と吸着層の厚さとの関係を示すグラフである。縦軸は有効屈折率を、横軸は吸着層の厚さを示す。
図2から明らかなように、吸着層の厚さが1nm変化すると有効屈折率が0.000003変化することがわかる。後述する実施例2の場合よりも1ケタ高精度に屈折率変化が検出可能と仮定すると、計算上0.3nm程度の数分子からなる非常に薄い吸着層を検出することができる。
したがって、スラブ光導波路コアの表面にある物質と結合しやすい物質をコーティングさせ、ある物質がその表面に結合したことによる微少な有効屈折率変化を測定することにより特定の物質濃度を測定することが可能である。
【0021】
図1を参照しながら本発明の屈折率測定法を説明する。
まず、ポンプ14を用いて試料入口6から試料液13をチャンバー5に導入する。なお、測定試料が固体の場合は直接チャンバー5に設置する。ただし、いずれの場合でも測定試料はスラブ光導波路コア層1の表面と接している。
【0022】
次に、白色光源10から発射された光を入射光側レンズ8で集光し、入射光側カップリングプリズム3に導入する。入射光側カップリングプリズム3を通じて光導波路コア層1内に光を透過させ、出射光側カップリングプリズム4から出射した光を出射光側レンズ9を通じて検出器12へ送り、光の強度を測定する。検出器12により出射光の強度を測定し、レコーダ15により記録する。光の強度の測定方法は常法により行うことができ、例えば、フォトダイオードを使った光パワーメーターを用いて測定することができる。
なお、白色光源と入射光側レンズとの間および出射光側レンズ9と検出器12との間には、光ファイバーを使用することが好ましい。この光ファイバーの使用により、レンズとプリズムの距離や角度を容易かつ微妙に調整することができる。
【0023】
出射光の強度から、光導波路コア層1に接する試料の屈折率変化を高感度に測定することができる。
図3に光導波路コア中を伝播することができる伝播光のモード次数の最高次数の計算値を図示する。図3は、厚さ0.1mmのスラブ型石英光導波路コア中を伝播することができる伝播光のモード次数の最高次数の計算値を示すグラフである。縦軸はTEモードの透過光のモード次数の最大値を、横軸は溶液の屈折率を示す。
図1に示したような装置において光導波路の厚さと屈折率、プリズムの屈折率と辺の角度、光源波長を一定と仮定すると、透過可能な透過光の最大の次数は、図3に示されるように光導波路に接する試料の屈折率に依存する。水の屈折率は約1.333であるが、図3から、試料の屈折率が1.333から0.1程度増加するだけで、透過可能な透過光の最大次数が180から80程度まで大きく減少することがわかる。これは、透過光全体の強度が減少ないしは色味が変化することを示す。
すなわち、出射光の強度又はスペクトルを測定することにより、光導波路コア層1に接する試料の屈折率変化を高感度に測定することができる。
なお、図3に示すように、コアに接する液体の屈折率が増加するのに従い、透過可能なモードが減少していき、コアと同じ屈折率まで増加すると、モードがゼロになり光が伝播しなくなる。
【0024】
また、上記の方法において、特定の高次光を検出し、その強度変化を測定することもできる。特定の高次光の検出は、角度依存性の違いを利用する。
図3は試料の屈折率が1.333から0.1程度増加するだけで、透過可能な透過光の最大次数が180から80程度まで大きく減少することがわかる。これは、透過光全体の強度が減少することを示すと同時に、屈折率が1.333〜1.433の範囲で適当な次数の透過光の強度又はスペクトルをモニターすることにより屈折率変化を高感度に測定することができることを示すものである。
【0025】
図4に図3の一部を拡大して図示する。図4は、図3のグラフの一部拡大図である。図4に示すように、計算値では液体の屈折率の増加に従って階段状にモードが減少している。
すなわち、前述のとおり、光導波路の厚さと屈折率、プリズムの屈折率と辺の角度、光源波長を一定と仮定すると、透過可能な透過光の最大次数は導波路に接する試料の屈折率に依存する。図4を参照しながら説明すると、例えば次数185の透過光は試料の屈折率が1.335以下でないと透過することができない。そのため、試料の屈折率が1.335付近でわずかに変化するだけで光の強度が大きく変化する。
【0026】
したがって、透過可能ななるべく高い次数の光を検出できるような角度に合わせておいて、そのときの光強度を測定することにより、光導波路コア層に接する試料の屈折率変化を高感度に測定することができる。
具体的には、まず試料のない状態(例えば、イオン交換水)で入射角を少しずつ直角に近づけていき、より高次の光を選択する。光が検出可能である最も直角に近い角度にすることで、その状態における透過可能な最も高次の透過光を選択したことになる。その状態で角度を固定しておき、次に試料を導入して光強度を測定する。
【0027】
また、検出器12に分光器を用いて出射光の波長スペクトルを測定し、その波長スペクトルから光導波路コア層1に接する試料の屈折率変化を高感度に測定することもできる。波長スペクトルの測定は常法により行うことができ、例えば、CCD付き分光器を用いて測定することができる。
測定した波長スペクトルの判定には様々な方法があるが、例えば、短波長側の立ち上がりの波長の変化に注目し、あらかじめ立ち上がりの波長を屈折率に対して測定しておくことにより、試料について測定した立ち上がりの波長から屈折率を知ることができる。
【0028】
また、透過光の波長依存性の違いを色味の違いとして目視で測定することもできる。
光導波路に光を導入した後に出射光側カップリングプリズム、出射光側レンズまたはその後の光ファイバの出口を目視すると、光導波路からの出射光が光って見える。屈折率の変化により、透過光のスペクトルが変化し、それが色調の変化として感じることができる。屈折率が大きくなるにしたがって色調がより赤みがかって見えるので、あらかじめ標準の色調を示す色見本を作成しておき、それと比較することにより半定量的に屈折率を測定することができる。
屈折率の変化は濃度の変化に依存するので、出射光の色から濃度を測定することができる。具体的には、例えば食塩水や砂糖水について測定した場合に、色味の変化から簡便に屈折率を測定でき、塩分や糖分を簡便に知ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
図1に示した装置を用いて、透過光の波長スペクトルを測定した。光源に白色光源を用い、検出器にCCD分光器を用いた。使用したスラブ光導波路は厚さ0.1mmで石英製である。また、試料セルは、長さ約5cm、幅約3cm、高さ約1.5cmでPMMA製のものを用いた。測定試料は屈折率が1.333、1.363または1.377である所定の濃度の砂糖水溶液を用いた。
測定結果を図5に示す。図5は、波長スペクトルと出力強度との関係を示すグラフである。縦軸は出力強度を、横軸は波長スペクトルを示す。
【0030】
図5から明らかなように、光導波路コアに接する液体の屈折率の変化に応じてスペクトルが変化していることがわかる。また、屈折率1.333の試料(立ち上がり波長=約500nm)と、屈折率1.377の試料(立ち上がり波長=約530nm)とを比較すると、屈折率の変化0.044に対してスペクトルは、短波長側のカットオフ波長の変化として約30nm変化していた。したがって、簡便な分光器を使用しても1nm程度の分解能があることから、本発明によれば約0.001〜0.002の屈折率変化が検出可能であることがわかる。
【0031】
実施例2
図1に示した装置を用いて、透過光の光強度を測定した。装置は、光源にヘリウムネオンレーザーを用い、検出器にフォトダイオードを使った小型の光パワーメーターを用いたこと以外は、実施例1と同様である。また、測定試料には砂糖水溶液を用い、濃度を変えて屈折率の異なる液体を調製して用いた。
測定結果を図6に示す。図6は、測定試料の屈折率と信号強度との関係を示すグラフである。縦軸は信号強度を、横軸は測定試料の屈折率を示す。
【0032】
図6から明らかなように、屈折率の変化に応じて透過光の強度が変化する。図では、屈折率に対応した信号強度が得られており、屈折率変化0.001に対して、信号強度の変化はおよそ14dBであり十分に大きい。したがって、信号強度変化測定の分解能が0.1dBとすると、およそ0.00001以下という非常に小さい屈折率変化が測定可能であることがわかる。
【0033】
実施例3
実施例2と同様の試験を行い、信号強度と時間との関係を調べた。
測定結果を図7に示す。図7は、信号強度と時間との関係を示すグラフである。縦軸は信号強度を、横軸は時間を示す。はじめは水を導入しており、途中から試料液(所定濃度の砂糖水)を導入して、所定時間経過後資料液の導入を終了して元の水に戻した。
図7中、(a)は屈折率1.33303に相当する濃度の砂糖水の測定データを示し、(b)は屈折率1.33417に相当する濃度の砂糖水の測定データを示す。
図7から明らかなように、(a)では、試料の入出による信号強度の変化は小さく、また応答速度も遅いのに対し、(b)では、試料の入出による信号強度の変化が大きく、また応答速度もきわめて速かった。このことから、(b)では屈折率の時間変化を容易かつ極めて速く見ることができることがわかる。
このように試料の濃度が変化するとそれに対応して信号強度が変化する。すなわち、連続測定が可能であることから、液体クロマトグラフィのような検出器として本発明を利用できることがわかる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の屈折率測定法によれば、スラブ光導波路を利用して、気体、液体又は固体の有効屈折率の変化及び、スラブ光導波路表面の有効屈折率変化を、簡便かつ高分解能に測定することができる。
本発明は、溶液中の溶質濃度の簡易なその場での測定、ガス濃度の測定、蒸着膜の膜厚測定、生体物質等の抗原抗体反応などによる表面吸着物質の測定による検出などに利用することができる。
特に、きわめて簡便な装置により高分解能の測定が可能になるため、利用の形態としては、一般的な測定装置の他、種々の装置に組み込まれたセンサーとしての利用、ポータブルの測定装置としてなどに利用可能である。
また、分光器を用いない目視による測定では、色味の変化から簡便に屈折率を測定でき、濃度を簡便に知ることができる。
また、抗原抗体反応を利用し、更にこれにより引き起こされる表面有効屈折率のごく僅かな変化を高感度に検出することにより、生体物質を測定する手法での簡便で極めて高感度な検出法として利用することができ、医学、衛生、バイオ関連技術開発等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スラブ光導波路を使用した屈折率測定装置の一実施例を示す模式図である。
【図2】図2は、有効屈折率と吸着層の厚さとの関係を示すグラフである。
【図3】図3は、厚さ0.1mmのスラブ型石英光導波路コア中を伝播することができる伝播光のモード次数の計算値を示すグラフである。
【図4】図4は、図3のグラフの一部拡大図である。
【図5】図5は、波長スペクトルと出力強度との関係を示すグラフである。
【図6】図6は、測定試料の屈折率と信号強度との関係を示すグラフである。
【図7】図7は、信号強度と時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 スラブ光導波路コア層
2 試料セル
3 入射光側カップリングプリズム
4 出射光側カップリングプリズム
5 チャンバー
6 試料入口
7 試料出口
8 入射光側レンズ
9 出射光側レンズ
10 白色光源
11 屈折率測定装置
12 検出器
13 試料液
14 ポンプ
15 レコーダ
Claims (5)
- マルチモードのスラブ光導波路中に同時に多数の次数のモードの光を透過させ、該導波路と接するように配置された試料の屈折率に対応して透過可能な透過光のモードの次数を変化させ、これにより得られる透過光の強度を測定することを特徴とする屈折率測定法。
- マルチモードのスラブ光導波路中に同時に多数の次数のモードの光を透過させ、該導波路と接するように配置された試料の屈折率に対応して透過可能な透過光のモードの次数を変化させ、これにより得られる透過光のスペクトルを測定することを特徴とする屈折率測定法。
- 特定の高次光を角度依存性の違いから特定して検出し、その強度変化を測定することを特徴とする請求項1に記載の屈折率測定法。
- 透過光の波長依存性の違いを色味の違いとして目視で測定することを特徴とする請求項2に記載の屈折率測定法。
- 試料が液体又は気体である請求項1又は2に記載の屈折率測定法。
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