JP3640898B2 - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録用の薄膜磁気ヘッドに係り、特にギャップ層の下部磁極層(あるいは下部コア層)側の界面付近での耐食性及び平滑性を向上させることができ、また非磁性化を促進できる薄膜磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は、従来における薄膜磁気ヘッド(薄膜磁気ヘッド)の構造を示す部分正面図である。
【0003】
図15に示す符号1は、パーマロイなどの磁性材料で形成された下部コア層であり、この下部コア層1の上に、絶縁層9が形成されている。
【0004】
前記絶縁層9には、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にかけて、内幅寸法がトラック幅Twで形成された溝部9aが形成されている。
【0005】
この溝部9a内には、下から順に、下部コア層1に磁気的に接続する下部磁極層2、ギャップ層4、及び上部コア層6に磁気的に接続する上部磁極層5がメッキ形成されている。さらに、前記上部磁極層5上に上部コア層6がメッキ形成されている。
【0006】
また、絶縁層9に形成された溝部9aよりもハイト方向(図示Y方向)における前記絶縁層9の上には、螺旋状にパターン形成されたコイル層(図示せず)が設けられている。
【0007】
図15に示すインダクティブヘッドでは、前記コイル層に記録電流が与えられると、下部コア層1及び上部コア層6に記録磁界が誘導され、下部コア層1と磁気的に接続する下部磁極層2及び上部コア層6と磁気的に接続する上部磁極層5間からの洩れ磁界により、ハードディスクなどの記録媒体に磁気信号が記録される。
【0008】
ところで前記ギャップ層4は、メッキ形成可能な例えばNiPで形成される。従来では前記NiP膜を直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら直流電流を用いた電気メッキ法により前記NiP膜を前記下部磁極層2との界面からメッキ成長させると、特に前記界面付近での元素Pの含有量は非常に小さくなることがわかった。例えば前記界面から2.5nm程度の膜厚内では前記元素Pの含有量は8質量%よりも小さくなることが後述の実験結果でわかった。
【0010】
直流電流を用いて電気メッキすると、メッキ形成時のNi−P膜に対する電流密度の分布に偏りが発生し、あるメッキ面に電流が集中的に且つ継続して流れる。そして、このような電流分布の偏りは、結晶性の下部磁極層2と格子整合性を図りやすい元素Niがエピタキシャル的に成長していき、結晶化することで、前記界面付近での元素Pの含有量は極端に小さくなるものと考えられる。また上記したNiのエピタキシャル成長により、前記界面での面粗れがひどくなる。
【0011】
上記のように前記界面付近での元素Pの含有量が極端に小さく、また面粗れが発生したNiP膜は耐食性が低下し、中性からアルカリ領域の水溶液に弱いため、スライダ製造の洗浄工程などで使用される洗浄液に侵食されやすく、図16(模式図)に示すように前記NiP膜に亀裂が入るなどの不具合が発生した。これによってオーバーライト特性などの記録特性が低下する。
【0012】
また前記界面付近での元素Pの含有量が低下することで、前記界面付近は磁性を帯びやすく、これによって前記ギャップ層4の膜厚で決定されるギャップ長Glの大きさが変動するため、所定の記録特性を有する薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造できない。
【0013】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に非磁性のシード層上にギャップ層を形成することで前記ギャップ層に非磁性元素を所定量含有させることができ、ギャップ層の耐食性及び平滑性を向上させることができ、また前記ギャップ層の非磁性化を促進できる薄膜磁気ヘッド及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下部コア層と、上部コア層との間にギャップ層を有する薄膜磁気ヘッド、あるいは下部コア層と、前記下部コア層上に下部磁極層、ギャップ層、上部磁極層の順で形成された磁極部、または前記下部コア層上にギャップ層、上部磁極層の順で形成された磁極部と、前記上部磁極層の上に形成された上部コア層とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、
前記ギャップ層は、前記下部コア層あるいは下部磁極層上に形成された非磁性のシード層上に形成されており、前記ギャップ層は、Niを主成分とした非磁性金属材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、ギャップ層と前記下部コア層間、あるいは前記ギャップ層と前記下部磁極層間に非磁性のシード層を形成することで、前記ギャップ層と前記下部磁極層(あるいは下部コア層)とが直接、接しないようにしている。
【0016】
これによって前記ギャップ層は、前記下部磁極層(あるいは下部コア層)との間で格子整合し難くなり、従来のようにギャップ層に含まれるNiがエピタキシャル成長することなく、従来問題とされていた前記ギャップ層の界面付近における非磁性元素の含有量を従来に比べて多くすることができ、前記界面付近での膜構造をアモルファス状態にすることができる。
【0017】
このため前記ギャップ層の耐食性及び平滑性が向上し、前記ギャップ層がスライダ製造の洗浄工程の洗浄液等に侵食されず、従来のように前記ギャップ層に亀裂が入るなどの不具合を防止できる。
【0018】
また、前記ギャップ層には所定量の非磁性元素を含有させることができ、適切に前記ギャップ層を非磁性化することができる。したがって前記ギャップ層と非磁性のシード層との総合膜厚で所定のギャップ長を容易に形成することができ、記録特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0019】
また本発明では、前記シード層の膜厚は3nm以上で50nm以下であることが好ましい。より好ましくは5nm以上で30nm以下であり、さらに好ましくは10nm以上で20nm以下である。前記シード層の膜厚が3nmよりも小さくなると、前記下部磁極層(あるいは下部コア層)上を前記シード層で完全に覆うことができず、前記ギャップ層の一部が、前記下部磁極層(あるいは下部コア層)上に直接形成されてしまい、その部分では前記ギャップ層のNi含有量が多くなる一方、非磁性元素の含有量が従来と同様に小さくなって前記ギャップ層の界面付近が結晶化してしまい、よって前記ギャップ層の耐食性や平滑性が低下し、また非磁性化を適切に促進できず好ましくない。
【0020】
また前記シード層の膜厚が50nmよりも大きくなると、前記シード層の記録媒体対向面から露出する面積が大きくなる。前記シード層がCuなどさほど耐食性に優れていない材質で形成されると、前記シード層の記録媒体対向面から露出する面積が大きくなることで前記シード層が腐食しやすくなり好ましくない。また。
【0021】
なお本発明では、前記シード層は、磁性元素を含有しない非磁性金属材料で形成されることが好ましい。これによって前記シード層の格子定数を、磁性材料で形成される下部磁極層及び下部コア層の格子定数と大きく異ならせることができ、前記シード層を、前記下部磁極層や下部コア層上でエピタキシャル成長させることなく形成できる。したがって前記シード層上に形成されるギャップ層を、前記シード層上でエピタキシャル成長させずに、界面付近での前記ギャップ層に非磁性元素を従来よりも多く取り込むことができ、前記界面付近を適切にアモルファス化できて好ましい。
【0022】
また前記シード層を非磁性金属材料で形成することで、前記シード層をメッキ形成でき、これにより、前記シード層及びギャップ層を連続メッキにて形成することが可能になる。
【0023】
本発明では、具体的には前記シード層は、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料で形成されることが好ましい。
【0024】
また本発明では、前記ギャップ層はNi−P、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種で形成されることが好ましい。
【0025】
また本発明では、前記ギャップ層は、NiPで形成されており、前記シード層との界面から10nmまでのPの含有量が8質量%以上で15質量%以下であることが好ましい。
【0026】
本発明では、前記シード層を形成し、下部磁極層(あるいは下部コア層)とギャップ層とが直接接しないようにすることで、前記ギャップ層の界面付近での元素Pを従来よりも多く含有したアモルファス状態にできる。これによって前記ギャップ層の耐食性及び平滑性を向上させることができる。また前記界面から10nmの膜厚内に元素Pが8質量%以上で15質量%以下含有されることで、この部分を非磁性にでき、ギャップ長Glが所定値となる薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造できる。
【0027】
また本発明では、前記界面から40nmまでの膜厚内の元素Pの含有量が、8質量%以上で15質量%以下であることが好ましい。
【0028】
また本発明では、前記元素Pの含有量は、10質量%以上で15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、前記元素Pの含有量は、11質量%以上で15質量%以下である。
【0029】
上記組成範囲であれば、前記ギャップ層の耐食性をさらに向上させることができると共に、前記ギャップ層の界面付近での非磁性化をより促進でき、良好な記録特性を有する薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0030】
また本発明では、前記ギャップ層の膜厚全体の平均した元素Pの含有量は、11質量%以上で15質量%以下であることが好ましい。
【0031】
前記界面から少なくとも10nm、好ましくは40nmの膜厚内のみでなく前記ギャップ層の膜厚全体の元素Pの平均含有量を上記の範囲内に規制することで、前記ギャップ層全体の耐食性の向上を図ることができ、また前記ギャップ層全体の非磁性化を促進できる。
【0032】
なお上記した元素Pの含有量の測定は、X線分析装置を用いて行った。X線分析装置のみでは元素Pの含有量は相対的な値しか得られないので、湿式分析で前記X線分析装置から得られた元素Pの含有量を補正し絶対値を得た。なお面積の広い膜試料を用いて補正した。それが上記した本発明の元素Pの含有量である。
【0033】
また下部磁極層あるいは下部コア層との界面からの距離については、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した。
【0034】
また本発明は、磁性材料製の下部コア層と、記録媒体との対向面で前記下部コア層の上にギャップ層を介して対向する磁性材料製の上部コア層とを有する、薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
(a)前記下部コア層をメッキ形成する工程と、
(b)前記下部コア層上に直接、または前記下部コア層上に下部磁極層をメッキ形成した後、この下部磁極層上に、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料で形成されるシード層をメッキ形成する工程と、
(c)前記シード層上にNiを主成分とした非磁性のギャップ層をメッキ形成する工程と、
(d)前記ギャップ層上に直接に、あるいは上部磁極層を介して上部コア層をメッキ形成する工程と、
を有することを特徴とするものである。
【0035】
上記製造方法のように下部磁極層あるいは下部コア層上にシード層を形成した後、前記シード層上にギャップ層を形成することで、前記ギャップ層と下部磁極層(あるいは下部コア層)とが直接、接するのを防止でき、これによって前記ギャップ層の界面付近に非磁性元素を多く取り込むことができ、前記界面付近をアモルファス状態でメッキ形成することができる。
【0036】
また本発明では、前記(b)工程において、前記シード層を3nm以上で50nm以下の膜厚でメッキ形成することが好ましい。より好ましくは前記シード層を5nm以上で30nm以下でメッキ形成することであり、さらに好ましくは前記シード層を10nm以上で20nm以下でメッキ形成することである。これによって下部磁極層(下部コア層)上を前記シード層で確実に覆うことができるとともに、前記シード層の記録媒体対向面から露出する面積を小さくでき、前記シード層の腐食を適切に防止することができる。
【0037】
なお本発明では、前記ギャップ層をNi−P、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種でメッキ形成することが好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分正面図、図2は磁極部を拡大した部分拡大図、図3は図1に示す薄膜磁気ヘッドを3−3線から切断し矢印方向から見た部分断面図である。
【0039】
図1に示す薄膜磁気ヘッドは、記録用のインダクティブヘッドであるが、本発明では、このインダクティブヘッドの下に、磁気抵抗効果を利用した再生用ヘッド(いわゆるAMR、GMR、TMRなどを用いたMRヘッド)が積層されていてもよい。
【0040】
図1に示す符号20は、例えばNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金あるいはCoなどの磁性材料で形成された下部コア層である。なお、前記下部コア層20の下側に再生用ヘッドが積層される場合、前記下部コア層20とは別個に、磁気抵抗効果素子をノイズから保護するシールド層を設けてもよいし、あるいは、前記シールド層を設けず、前記下部コア層20を、前記再生用ヘッドの上部シールド層として機能させてもよい。
【0041】
図1に示すように前記下部コア層20の両側には、絶縁層23が形成される。また図1に示すように、下部磁極層21の基端から延びる下部コア層20の上面20aはトラック幅方向(図示X方向)と平行な方向に延びて形成されていてもよく、あるいは上部コア層26から離れる方向に傾斜する傾斜面20b,20bが形成されていてもよい。前記下部コア層20の上面に傾斜面20b,20bが形成されることで、サイドフリンジングの発生をより適切に低減させることができる。
【0042】
図1に示すように、前記下部コア層20上には、磁極部24が形成され、前記磁極部24は記録媒体との対向面に露出形成されている。この実施例において前記磁極部24はトラック幅Twで形成された、いわばトラック幅規制部である。前記トラック幅Twは、0.7μm以下で形成されることが好ましく、より好ましくは0.5μm以下である。
【0043】
図1に示す実施例では、前記磁極部24は、下部磁極層21、シード層31、ギャップ層22、および上部磁極層35の積層構造で構成されている。
【0044】
図1に示すように、前記下部コア層20上には、メッキ下地層25(図3を参照のこと)を介して、磁極部24の最下層となる下部磁極層21がメッキ形成されている。前記下部磁極層21は、下部コア層20と磁気的に接続されており、前記下部磁極層21は、前記下部コア層20と同じ材質でも異なる材質で形成されていてもどちらでもよい。前記下部磁極層21はNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性材料を用いて形成される。また前記下部磁極層21は、単層膜でも多層膜で形成されていてもどちらでもよい。なお前記下部磁極層21の高さ寸法は、例えば0.3μm程度で形成される。
【0045】
前記下部磁極層21上には、非磁性のシード層31が形成され、前記シード層31の上にNiを主成分とした非磁性のギャップ層22が積層されている。本発明では、前記シード層31及びギャップ層22は、非磁性金属材料で形成されて、下部磁極層21上にメッキ形成される。なお前記シード層31の膜厚は例えば30nm(0.03μm)、ギャップ層22の高さ寸法は、例えば0.2μm程度で形成される。
【0046】
次に前記ギャップ層22上には、後述する上部コア層26と磁気的に接続する上部磁極層35がメッキ形成されている。なお前記上部磁極層35は、上部コア層26と同じ材質で形成されていてもよいし、異なる材質で形成されていてもよい。前記上部磁極層35はNiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性材料を用いて形成される。また前記上部磁極層35は、単層膜でも多層膜で形成されていてもどちらでもよい。なお前記上部磁極層35の高さ寸法は、例えば2.4μm〜2.7μm程度で形成されている。
【0047】
上記したようにシード層31及びギャップ層22が、非磁性金属材料で形成されていれば、下部磁極層21、シード層31、ギャップ層22および上部磁極層35を連続してメッキ形成することが可能になる。
【0048】
なお本発明では前記磁極部24は、シード層31、ギャップ層22及び上部磁極層35からなる積層膜で形成されていてもよい。
【0049】
また上記したように、磁極部24を構成する下部磁極層21および上部磁極層35は、それぞれの磁極層が磁気的に接続されるコア層と同じ材質でも異なる材質で形成されてもどちらでもよいが、記録密度を向上させるためには、ギャップ層22に対向する下部磁極層21および上部磁極層35は、それぞれの磁極層が磁気的に接続されるコア層の飽和磁束密度よりも高い飽和磁束密度を有していることが好ましい。このように下部磁極層21および上部磁極層35が高い飽和磁束密度を有していることにより、ギャップ近傍に記録磁界を集中させ、記録密度を向上させることが可能になる。
【0050】
ところで本発明は、図2の部分拡大図で示すように、下部磁極層21とギャップ層22との間には非磁性のシード層31が形成されている。これによって前記下部磁極層21とギャップ層22とが直接、接して形成されるのを防止することができる。
【0051】
従って前記ギャップ層22は、下部磁極層21との間で格子整合しにくくなり、従来のように前記ギャップ層22を構成する元素Niが下部磁極層21側の界面でエピタキシャル成長して結晶化することを適切に抑制することができる。
【0052】
すなわち本発明では、従来問題となっていた前記ギャップ層22の下部磁極層21側の界面(下面)付近での非磁性元素の含有量を従来よりも多くでき、この界面付近での膜構造をアモルファス化することが可能である。
【0053】
従って本発明では、前記ギャップ層22の耐食性及び平滑性を向上させることが可能であり、スライダ加工の洗浄工程などで使用される中性やアルカリ性の洗浄剤に曝されても、前記ギャップ層22は侵食されず、前記ギャップ層22に従来のような亀裂(図15を参照のこと)が入ることはない。
【0054】
また前記ギャップ層22の前記界面付近に適量の非磁性元素が含まれることで、この部分での非磁性化を促進できる。
【0055】
ギャップ長Glは、前記ギャップ層22と非磁性のシード層31との総合膜厚で決定されるが、前記ギャップ層22の界面付近が適切に非磁性化されることで、前記ギャップ長Glを所定値に収めることが可能である。
【0056】
よって本発明では、薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性などの記録特性を良好に保ち、しかも所定の記録特性を有する薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することが可能である。
【0057】
次に前記シード層31に必要な条件について説明する。前記シード層31は、下部磁極層21と異なる格子定数を有している必要がある。これによって前記シード層31は、下部磁極層21上でエピタキシャル成長することなく形成される。従って、前記下部磁極層21とほぼ同じ格子定数を有するNiを含有した前記ギャップ層22を、前記シード層31上でエピタキシャル成長させることなく、界面付近での非磁性元素を従来よりも多く含んだアモルファス状態で形成することができる。
【0058】
上記したシード層31の格子定数を下部磁極層21の格子定数と異なるものにするには、前記シード層31を磁性元素を含まない非磁性金属材料で形成することが好ましい。ここでいう磁性元素とは特にCo、Fe及びNiを指している。
【0059】
Co、Fe、Niの磁性元素を含むシード層31であると、前記磁性元素の格子定数は、磁性材料の下部磁極層21の格子定数とほぼ同じであるから、前記シード層31の磁性元素が前記下部磁極層21上でエピタキシャル成長しやすくなり、よって前記シード層31上に形成されるギャップ層22のNiも、シード層31上でエピタキシャル成長しやすくなるので、従来の課題を適切に解決することができなくなる。よって本発明では、前記シード層31を磁性元素を含まない非磁性金属材料で形成することが好ましい。なお具体的な前記シード層31の材質については後述することとする。
【0060】
次に前記シード層31はメッキ形成可能であることが好ましい。前記シード層31がメッキ可能な非磁性金属材料で形成されることで、下部磁極層21、シード層31、ギャップ層22及び上部磁極層35を連続メッキ形成することが可能になり、製造工程を簡略化することができる。
【0061】
また前記シード層31は、下部磁極層21及びギャップ層22との密着性が良好であることが好ましい。
【0062】
また前記シード層31は、結晶相で形成されてもアモルファス相で形成されてもどちらでも良い。
【0063】
次に前記シード層31の膜厚H1について以下に説明する。本発明では前記シード層31の膜厚H1は、3nm以上で50nm以下であることが好ましい。前記シード層31の膜厚H1が3nmよりも小さくなると、前記下部磁極層21上を完全に前記シード層31で覆うことができない可能性があり、この結果、前記ギャップ層22が前記下部磁極層21上の一部に直接形成されて、その部分では前記ギャップ層22を構成するNiがエピタキシャル成長して非磁性元素の含有量が従来程度にまで低下し、前記ギャップ層22の耐食性や平滑性の向上、および前記ギャップ層22の非磁性化を適切に促進させることができなくなる。
【0064】
前記下部磁極層21は、NiFe合金、CoFe合金、CoFeNi合金、Coなどの磁性材料で形成されるが、これら磁性材料で形成された下部磁極層21の平均結晶粒径は、概ね10nm〜50nmの範囲内である。
【0065】
また前記下部磁極層21の上面での中心線平均粗さRaは、概ね2nm〜5nmの範囲内である。
【0066】
上記の平均結晶粒径や中心線平均粗さを有する下部磁極層21の上面21aを、完全にシード層31で覆うには、前記シード層31の膜厚H1を3nm以上とすることが好ましく、これにより前記ギャップ層22の一部が前記下部磁極層21上に直接形成されるのを適切に防止することができる。
【0067】
また前記シード層31の膜厚H1が、50nmよりも大きくなると、記録媒体との対向面から露出する前記シード層31の前端面31aの面積は大きくなる。前記シード層31は例えばCuで形成されるが、Cuは耐食性がさほど良くなく、従って前記シード層31の膜厚H1が大きくなることで前記シード層31の部分での腐食が問題となる。また前記シード層31の膜厚H1が最大で50nm形成されれば、上記した結晶粒径及び中心線平均粗さを有する前記下部磁極層21の上面21aは前記シード層31によって確実に覆われるので、これ以上前記シード層31の膜厚H1を厚くする必要性も無い。したがって本発明では前記シード層31の膜厚H1の上限値を50nmとすることとした。
【0068】
また本発明では前記シード層31の膜厚H1を5nm以上で30nm以下とすることがより好ましく、前記膜厚H1を10nm以上で20nm以下にすることがさらに好ましい。これによって、より適切に前記シード層31で前記下部磁極層21上を覆うことができると共に、前記シード層31の記録媒体対向面から露出する面積を小さくでき、耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0069】
次に前記シード層31の材質について以下に説明する。前記シード層31は、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料で形成されることが好ましい。これら非磁性金属材料を使用することで、前記シード層31をメッキ形成することが可能になる。
【0070】
またこれら非磁性金属材料からなるシード層31の格子定数は、下部磁極層21の格子定数、およびギャップ層22を構成する元素Niの格子定数とも大きく異なるものであり、前記シード層31が前記下部磁極層21上でエピタキシャル成長することを適切に防止することができる。
【0071】
次に、ギャップ層22の材質について説明する。本発明では、前記ギャップ層22はNi−P、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種で形成されることが好ましい。
【0072】
これら非磁性金属材料を使用することで前記ギャップ層22をメッキ形成することが可能になる。またこれら非磁性金属材料の組成比を適切に調整することで、前記ギャップ層22を非磁性化することができ、さらに耐食性や平滑性を良好にすることが可能である。
【0073】
次に、前記ギャップ層22の好ましい組成範囲について以下に説明する。本発明では前記ギャップ層22は、NiPで形成されており、前記シード層31との界面から10nmまでのPの含有量が8質量%以上で15質量%以下であることが好ましい。さらに好ましくは40nmまでの膜厚内の元素Pの含有量が、8質量%以上で15質量%以下に設定されている。この組成範囲で形成されたギャップ層22はアモルファス状態になっている。
【0074】
本発明では、元素Pの含有量は界面付近で従来よりも多くなり、適正量の元素Pを含んだアモルファス状態でメッキ形成されることで、前記界面付近でのギャップ層22の耐食性及び平滑性を向上させることが可能である。従って本発明では、スライダ加工の洗浄工程などで使用される中性やアルカリ性の洗浄剤に曝されても、前記ギャップ層22は侵食されず、前記ギャップ層22に従来のような亀裂(図15を参照のこと)が入ることはない。
【0075】
また前記ギャップ層22の前記界面付近で適量の元素Pが含まれることで、この部分での非磁性化を促進できる。ギャップ長Glは前記ギャップ層22の膜厚と非磁性のシード層31の膜厚H1との総合膜厚で決定されるが、前記ギャップ層22の界面付近が適切に非磁性化されることで、前記ギャップ長Glを所定値に収めることが可能である。
【0076】
よって本発明では、薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性などの記録特性を良好に保ち、しかも所定の記録特性を有する薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することが可能である。
【0077】
なお、上記した元素Pの含有量の測定は、X線分析装置によって行った。ただしX線分析装置による元素Pの含有量は相対値として測定されるので、これを絶対値に補正するため、前記X線分析装置による測定後、湿式分析を行った。なお面積の広い膜試料を用いて補正した。これにより測定された元素Pの含有量が上記した値である。
【0078】
また前記界面からの距離については、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した。
【0079】
また本発明では、前記界面から10nmまで、好ましくは40nmの膜厚までの元素Pの含有量が、10質量%以上で15質量%以下であることが好ましい。また前記元素Pの含有量は11質量%以上で15質量%以下であることがより好ましい。
【0080】
上記の範囲内であれば、前記NiP膜で形成されたギャップ層22のアモルファス化をより促進でき、耐食性及び平滑性の向上、さらには非磁性化をより促進させることができる。よって前記ギャップ層22の界面付近に亀裂等の不具合が発生することはなく、記録特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0081】
また本発明では、前記ギャップ層22の膜厚全体の平均した元素Pの含有量は、11質量%以上で15質量%以下であることが好ましい。このようにギャップ層22の膜厚全体で上記した元素Pを含有することにより、前記ギャップ層22の膜厚全体の耐食性を向上させることができ、しかも非磁性化を促進できる。よって前記ギャップ層22全体を洗浄液などによる侵食から適切に保護できると共に、前記ギャップ近傍において漏れ磁界を確実に発生させることができる。
【0082】
次に、図2に示す磁極部以外の部分について説明する。図3のように、前記磁極部24は、記録媒体との対向面(ABS面)からハイト方向(図示Y方向)にかけて長さ寸法L1で形成されている。前記磁極部24と下部コア層20間には例えば有機絶縁材料などで形成されたGd決め層27が形成されている。なお前記Gd決め層27の先端から記録媒体との対向面までの距離はL2で形成され、この距離L2はギャップデプス(Gd)である。
【0083】
また図3に示すように、前記磁極部24のハイト方向(図示Y方向)の後方であって下部コア層20上には絶縁下地層28を介してコイル層29が螺旋状に巻回形成されている。前記絶縁下地層28は、例えば、AlO、Al23、SiO2、Ta25、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si34、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種からなる絶縁材料で形成されていることが好ましい。
【0084】
さらに前記コイル層29の各導体部のピッチ間は、絶縁層30によって埋められている。前記絶縁層30は、AlO、Al23、SiO2、Ta25、TiO、AlN、AlSiN、TiN、SiN、Si34、NiO、WO、WO3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種から選択されることが好ましい。
【0085】
前記絶縁層30は、図1に示すように、前記磁極部24のトラック幅方向(図示X方向)の両側に形成され、前記絶縁層30は記録媒体との対向面に露出形成されている。
【0086】
図3に示すように、前記絶縁層30上には、第2のコイル層33が螺旋状に巻回形成されている。
【0087】
図3に示すように、前記第2のコイル層33は、レジストやポリイミド等の有機材料で形成された絶縁層32によって覆われ、前記絶縁層32上には、NiFe合金等で形成された上部コア層26が例えばフレームメッキ法等によりパターン形成されている。
【0088】
また図3に示すように、前記上部コア層26の先端部26aは、前記上部磁極層35上に磁気的に接続されて形成され、前記上部コア層26の基端部26bは、下部コア層20上にNiFe合金等の磁性材料で形成された持上げ層36上に磁気的に接続されて形成されている。なお前記持上げ層36は形成されていなくても良く、この場合、前記上部コア層26の基端部26bは、下部コア層20上に直接接続されることになる。前記上部コア層26上はAl23等の保護層34によって覆われている。
【0089】
また図1に示すように、前記上部磁極層35上に接合されている端部での上部コア層26の幅寸法は、前記上部磁極層35のトラック幅方向の幅寸法よりも大きくなっていることがわかる。これにより、前記上部コア層26からの磁束を、効率よく前記上部磁極層35に流すことができ、記録特性の向上を図ることができる。
【0090】
図4は、本発明の別の実施の形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。なお図4に示す薄膜磁気ヘッドの図示左側の端面が記録媒体との対向面となっている。
【0091】
本実施の形態では、下部コア層40の上に、非磁性のシード層37が形成されている。そしてNiを主成分とした非磁性のギャップ層41が前記シード層37上に形成されている。
【0092】
このように本発明では、前記下部コア層40とギャップ層41と間にシード層37が介在することで、前記ギャップ層41が、下部コア層40に直接、接して形成されるのを適切に防止することができる。
【0093】
従って前記ギャップ層41は、下部コア層40との間で格子整合しにくくなり、従来のように前記ギャップ層41を構成する元素Niが下部コア層40側の界面(下面)からエピタキシャル成長することを適切に抑制することができる。
【0094】
すなわち本発明では、従来問題となっていた前記ギャップ層41の界面付近での非磁性元素の含有量を従来よりも多くでき、前記界面付近でのギャップ層41をアモルファス化することができる。従って本発明では、前記ギャップ層41の耐食性及び平滑性を向上させることが可能であり、スライダ加工の洗浄工程などで使用される中性やアルカリ性の洗浄剤に曝されても、前記ギャップ層41は侵食されず、前記ギャップ層41に従来のような亀裂(図15を参照のこと)が入ることはない。
【0095】
また前記ギャップ層41の前記界面付近で適量の非磁性元素が含まれることで、この部分での非磁性化を促進できる。
【0096】
ギャップ長Glは、前記ギャップ層41と非磁性のシード層37との総合膜厚で決定されるが、前記ギャップ層41の界面付近が適切に非磁性化されることで、前記ギャップ長Glを所定値に収めることが可能である。
【0097】
よって本発明では、薄膜磁気ヘッドのオーバーライト特性などの記録特性を良好に保ち、しかも所定の記録特性を有する薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することが可能である。
【0098】
次に前記シード層37の膜厚は、3nm以上で50nm以下であることが好ましい。前記シード層37の膜厚が3nmよりも小さくなると、前記下部コア層40上を完全に前記シード層37で覆うことができない可能性があり、この結果、前記ギャップ層41が前記下部コア層40上の一部に直接形成されて、この部分では、前記ギャップ層41を構成するNiがエピタキシャル成長してしまい、従来と同様に前記ギャップ層41の耐食性や平滑性を適切に向上させることができず、また非磁性化を適切に促進させることができないため、本発明では、前記シード層37の膜厚を3nm以上に設定した。
【0099】
また前記シード層37の膜厚が50nmよりも大きくなると、記録媒体との対向面から露出する前記シード層37の前端面37aの面積は大きくなる。前記シード層37は例えばCuで形成されるが、Cuは耐食性がさほど良くなく、従って前記シード層37の膜厚が大きくなることで前記シード層37の部分での腐食が問題となる。また前記シード層37の膜厚H1が最大で50nm形成されれば、前記下部コア層40の上面は前記シード層37によって確実に覆われるので、これ以上前記シード層37の膜厚を厚くする必要性も無い。したがって本発明では前記シード層37の膜厚の上限値を30nmとすることとした。なお前記シード層37の膜厚は5nm以上で30nm以下であることがより好ましく、10nm以上で20nm以下であることがさらに好ましい。
【0100】
また前記シード層37は、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料で形成されることが好ましい。これら非磁性金属材料を使用することで、前記シード層37をメッキ形成することが可能になる。
【0101】
またこれら非磁性金属材料からなるシード層37の格子定数は、下部コア層40の格子定数、およびギャップ層41を構成する元素Niの格子定数とも大きく異なるものであり、前記シード層37が前記下部コア層40上でエピタキシャル成長することを適切に防止することができ、したがって前記シード層37上に形成される前記ギャップ層41のエピタキシャル成長を適切に抑制でき、従来問題とされた界面付近での非磁性元素の含有量を従来よりも多く取り込んでアモルファス状態にすることができ、耐食性及び平滑性に優れ、また非磁性化を適切に促進させることができる前記ギャップ層41を形成することが可能である。
【0102】
また本発明では、前記ギャップ層41はNi−P、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種で形成されることが好ましい。
【0103】
これら非磁性金属材料を使用することで前記ギャップ層41をメッキ形成することが可能になる。またこれら非磁性金属材料の組成比を適切に調整することで、前記ギャップ層41を非磁性化することができ、さらに耐食性や平滑性を良好にすることが可能である。
【0104】
また本発明では、非磁性金属材料として、NiPが選択され、前記シード層37との界面から10nmの膜厚内で、好ましくは40nmの膜厚内での元素Pの含有量は8質量%以上で15質量%以下に設定されることが好ましい。より好ましくは10質量%以上で15質量%以下であり、さらに好ましくは11質量%以上で15質量%以下である。
【0105】
これにより前記シード層37との界面から10nmの膜厚内での前記ギャップ層41は、上記数値範囲内の元素Pを含有したアモルファス状態となっている。このため前記界面での耐食性及び平滑性を向上させることができ、スライダ製造工程での洗浄液等による侵食を回避でき、従来のように前記ギャップ層41の界面付近での亀裂等の発生を抑制することができる。また上記の元素Pを含むギャップ層41であれば前記界面付近での非磁性化を適切に促進させることができるため、ギャップ長Glが一定の大きさである薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することが可能である。
【0106】
また前記ギャップ層41の膜厚全体の平均した元素Pの含有量は11質量%以上で15質量%以下であることが好ましく、これによりギャップ層41の膜厚全体を適量の元素Pを含んだアモルファス状態にでき、耐食性を向上させることができると共に、ギャップ近傍において漏れ磁界を確実に発生させることができる。
【0107】
なお前記元素Pの含有量の測定方法に関しては図1で説明した通りであり、X線分析装置を用い、さらに湿式分析で前記X線分析装置で測定された含有量を補正して絶対値にし、なおこのとき面積の広い膜試料を用いて補正した。また前記界面からの距離については透過電子顕微鏡を用いて測定した。
【0108】
図4では前記ギャップ層41の上にはポリイミドまたはレジスト材料製の絶縁層42を介して平面的に螺旋状となるようにパターン形成されたコイル層43が設けられている。なお、前記コイル層43はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材料で形成されている。
【0109】
さらに、前記コイル層43はポリイミドまたはレジスト材料で形成された絶縁層44に囲まれ、絶縁層44の上に軟磁性材料製の上部コア層45が形成されている。
【0110】
図4に示すように、上部コア層45の先端部45aは、記録媒体との対向面において、下部コア層40の上にギャップ層41を介して対向し、ギャップ長Gl1の磁気ギャップが形成されており、上部コア層45の基端部45bは、下部コア層40と磁気的に接続されている。
【0111】
また下部コア層40の飽和磁束密度Msは高いことが好ましいが、上部コア層45の飽和磁束密度Msよりも低くすることにより、下部コア層40と上部コア層45との間における洩れ磁界を磁化反転しやすくすると、より記録媒体への信号の書込み密度を高くできる。
【0112】
次に図1ないし3と同じ形状の薄膜磁気ヘッドの製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0113】
図5では下部コア層20上に、レジスト層51を塗布形成している。前記レジスト層51の厚さ寸法H3は、少なくとも図1に示す完成した薄膜磁気ヘッドにおける磁極部24の厚さ寸法よりも厚く形成されていなければならない。
【0114】
次にレジスト層51に、露光現像によって、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)に所定の長さ寸法であって、且つトラック幅方向(図示X方向)に所定の幅寸法で形成される溝51aを形成し、溝51a内に、磁極部24を形成する。
【0115】
図5に示すように磁極部24を、下から下部磁極層21、非磁性のシード層31、ギャップ層22、および上部磁極層35で構成し、これら各層を、メッキ下地層25を下地として連続してメッキ形成する。これにより製造工程の簡略化を図ることが可能である。
【0116】
上記のように下部磁極層21の上に直接、ギャップ層22をメッキ形成しないで、まず非磁性のシード層31をメッキ形成し、その上に前記ギャップ層22をメッキ形成することで、前記下部磁極層21と格子整合性を図りやすいギャップ層22のNiのエピタキシャル成長を抑制することができ、従来問題とされていた前記ギャップ層22の界面付近での非磁性元素の含有量を従来よりも多くでき、前記界面付近をアモルファス状態で形成することができる。
【0117】
ここで本発明では、前記シード層31を、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料でメッキ形成する。これら非磁性金属材料の格子定数は、下部磁極層21及びギャップ層22を構成するNiの格子定数と大きく異なるため、前記前記シード層31を下部磁極層21上にメッキ形成した際に、前記シード層31が前記下部磁極層21上でエピタキシャルに成長するのを防止でき、したがって前記シード層31上に形成されるギャップ層22もエピタキシャル成長しないで、適量の非磁性元素を含有したアモルファス状態としてメッキ形成することが可能になる。
【0118】
また本発明では、前記ギャップ層22のメッキ方法には、従来と同じ直流電流を用いた電気メッキ法を用いることができる。
【0119】
本発明では、ギャップ層22下に前記シード層31が形成されているから、直流電流を用いた電気メッキ法によっても、前記シード層31上では、前記ギャップ層22のNiのエピタキシャル成長は適切に抑制され、従来問題とされていた前記ギャップ層22の界面付近での非磁性元素の含有量を、従来よりも多くすることができる。
【0120】
ただし本発明では前記直流電流を用いた電気メッキ法に代えて、前記ギャップ層22をパルス電流を用いた電気メッキ法によってメッキ形成することもできる。
【0121】
本発明では数秒サイクルでON/OFFを繰返し、そのときのデューティ比を、0.1から0.5程度に設定することが好ましい。例えば0.5秒サイクルでON/OFFを繰返す。
【0122】
上記のようにパルス電流を用いた電気メッキ法によれば、ギャップ層22のメッキ形成時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を設けることができる。このように電流を流さない時間を設けることで、直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっている。そして前記ギャップ層22を少しずつメッキ形成することができる。
【0123】
このようにパルス電流を用いた電気メッキ法によって、メッキ形成時における電流密度の分布の偏りを低減させることで、前記シード層31を設けたことと合わせて、より確実に界面付近でのギャップ層22の非磁性元素の含有量を従来よりも多くすることができ、前記ギャップ層22をアモルファス状態で形成することができる。
【0124】
また本発明では、前記ギャップ層22を、最初に所定の電流密度を有するパルス電流を用いて所定の膜厚までメッキ形成した後、残りのギャップ層22を前記所定の電流密度よりも高い電流密度を有するパルス電流を用いてメッキ形成してもよい。
【0125】
これにより前記シード層31を設けたことと合わせて、さらに確実に界面付近でのギャップ層22の非磁性元素の含有量を従来よりも多くすることができ、前記ギャップ層22をアモルファス状態で形成することができる。
【0126】
また前記ギャップ層22を所定の電流密度を有するパルス電流を用いて所定膜厚までメッキ形成した後、残りのギャップ層22を前記所定の電流密度よりも高い電流密度を有するパルス電流によってメッキ形成することで、前記残りのギャップ層22を速くメッキ形成することができ、前記ギャップ層22のメッキ形成を短時間で形成することが可能になる。
【0127】
また本発明では、前記所定の電流密度を、例えば1.5mA/cm2以上で3.0mA/cm2以下とし、この電流密度を有するパルス電流を用いて前記ギャップ層22を最初の10nmの膜厚までメッキ形成し、あるいは前記ギャップ層22を最初の40nmの膜厚までメッキ形成する。このときメッキ形成時間は、7〜15分程度である。またON/OFFのデューティー比は、例えば0.5秒サイクルである。
【0128】
また本発明では、前記電流密度を有するパルス電流により、前記ギャップ層22を10nm、あるいは40nmまでメッキ成長させた後、前記残りのギャップ層22を、例えば8.5mA/cm2以上で11.0mA/cm2以下の電流密度を有するパルス電流を用いてメッキ形成する。これにより前記残りのギャップ層22を速くメッキ形成でき、前記ギャップ層22のメッキ形成時間の短縮化を図ることができる。なおメッキ形成時間は、最終的に得たい膜厚の大きさによって異なるが、例えば7分から8分程度である。またON/OFFのデューティー比は、例えば0.5秒サイクルである。
【0129】
上記した直流電流による電気メッキ法、あるいはパルス電流を用いた電気メッキ法によって、シード層の上にNiPからなるギャップ層を形成した場合、前記シード層との界面から10nmまでのPの含有量を8質量%以上で15質量%以下にでき、また前記界面から40nmまでの膜厚内の元素Pの含有量を、8質量%以上で15質量%以下にでき、より好ましくは、前記元素Pの含有量を、10質量%以上で15質量%以下に、さらに好ましくは、前記元素Pの含有量を、11質量%以上で15質量%以下にすることができる。
【0130】
また本発明では、前記ギャップ層の膜厚全体の平均した元素Pの含有量を、11質量%以上で15質量%以下にすることができる。
【0131】
なお本発明では、前記ギャップ層22をNi−Pで形成することに限定されない。前記ギャップ層22をNi−P以外に、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種でメッキ形成することが可能である。かかる場合でも、下部磁極層21上にシード層31をメッキ形成した後、前記シード層31上にギャップ層22を形成することで、前記ギャップ層22の界面付近での元素W、元素PとMoあるいは元素PとWを適量含ませ、前記ギャップ層22をアモルファス状態にすることができ、前記ギャップ層22の耐食性及び平滑性を向上させることができ、また非磁性化を促進することができる。
【0132】
なお上記したパルス電流を用いた電気メッキ法は、下部コア層20、下部磁極層21、上部磁極層35、上部コア層26などの各磁性層をメッキ形成する際に使用しても良い。これにより結晶粒の粗大化が抑制されるとともに、前記各磁性層の上面はより平滑面とされる。したがって前記各磁性層の飽和磁束密度を向上させることができる。また前記下部磁極層21上を適切にシード層31で覆うことができ、前記シード層31上にギャップ層22をNiがエピタキシャル成長することなく非磁性元素を所定量含んだアモルファス状態で容易にメッキ形成することができる。
【0133】
なお好ましい製造方法としては、下部コア層20、下部磁極層21、シード層31、ギャップ層22、上部磁極層35、及び上部コア層26をすべてパルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成することである。
【0134】
なお図5に示す溝51a内に形成される磁極部24の膜構成は、上記した積層構造に限られない。すなわち、磁極部24は、シード層31、ギャップ層22及び上部磁極層35の積層構造であってもよい。
【0135】
次に図5では、前記レジスト層51を除去し、新たなレジスト層を形成し、このレジスト層に持上げ層36形成のための抜きパターンを形成する。そして前記抜きパターン内に持上げ層36を形成する(図6を参照のこと)。
【0136】
次に図7に示す工程では、磁極部24上から下部コア層20上、さらには持上げ層36上からハイト方向にかけて、絶縁材料で形成された絶縁下地層28をスパッタ形成する。
【0137】
そして図7に示すように、絶縁下地層28上に、コイル層29を螺旋状にパターン形成する。
【0138】
次に図8に示す工程では、コイル層29上を絶縁層30により覆う。このとき、磁極部24上および持上げ層36上も絶縁層30によって覆われる。
【0139】
なお本実施の形態では絶縁層30を無機材料によってスパッタ形成する。前記無機材料には、Al23、SiN、SiO2のうちから1種または2種以上を選択することが好ましい。
【0140】
そして図8に示すように、絶縁層30の表面をCMP技術などを利用して研磨し、磁極部24の表面が露出するB−B線上まで削っていく。その状態を示すのが、図9である。
【0141】
また上記のCMP法によって、絶縁層30の表面は、磁極部24の接合面24aと同一平面上で平坦化されて形成されている。
【0142】
次に、図10に示されるように、絶縁層30上に、第2のコイル層33を螺旋状にパターン形成する。第1層目のコイル層29と第2のコイル層33とは、それぞれの巻き中心部を介して電気的に接続される。さらに、第2のコイル層33を、レジストやポリイミドなどの有機絶縁材料で形成された絶縁層32によって覆い、絶縁層32上に上部コア層26を、フレームメッキ法などの既存の方法でパターン形成する。
【0143】
図10に示すように上部コア層26は、その先端部26aにて磁極部24上に接して形成され、また基端部26bにて下部コア層20上に形成された持上げ層36上に磁気的に接して形成される。
【0144】
【実施例】
本発明では、実施例として、下部磁極層上にCuで形成されたシード層を形成した後、前記シード層の上にギャップ層をメッキ形成し、比較例として、下部磁極層上に直接、ギャップ層をメッキ形成し、それぞれのギャップ層の表面状態を透過電子顕微鏡(TEM)で調べた。
【0145】
実施例では、最下層として下部磁極層21となるNiFe合金をパルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成した。前記NiFeの組成比は、Feが70質量%で、残りがNi質量%であった。なお前記下部磁極層を、4000mAのパルス電流を用いてメッキ形成した。
【0146】
次に、前記下部磁極層21に、Cuからなるシード層を70mAの直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成した。また前記シード層を概ね20nm〜30nmの範囲内で形成した。
【0147】
そして、前記シード層上にNiPからなるギャップ層を70mAの直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成した。なおメッキ浴組成は、硫酸ニッケルが100g/l、塩化ニッケルが30g/l、亜リン酸水素ナトリウムが30g/lであった。
【0148】
次に前記ギャップ層上にNiFeからなる上部磁極層を4000mAのパルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成した。前記上部磁極層のNiFe組成はFeが70質量%で、残りがNiの質量%であった。
【0149】
次に比較例では、最下層となるNiFeの下部磁極層を4000mAのパルス電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成した。前記下部磁極層のNiFe組成はFeが70質量%で、残りがNiの質量%であった。
【0150】
次に前記下部磁極層に、NiPからなるギャップ層を70mAの直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成した。なおこのときのメッキ浴組成は、上記の実施例のときと同じである。さらに前記ギャップ層の上にNiFeからなる上部磁極層を4000mAパルス流電流を用いて電気メッキ法によりメッキ形成した。
【0151】
実施例の透過電子顕微鏡で撮影した写真を図11に、その模式図を図12に、また比較例の透過電子顕微鏡で撮影した写真を図13に示す。
【0152】
図11及び図12に示す実施例では、前記ギャップ層の下部磁極層側の界面(下面)は平滑化され、また前記ギャップ層には、上部磁極層や下部磁極層に見られる黒ずみの斑点が無いことがわかる。前記上部磁極層及び下部磁極層に見られる黒ずみの斑点は結晶である。すなわち実施例では、前記ギャップ層には結晶化された部分はなく全体的にアモルファス状態になっていると認めることができる。
【0153】
また図11及び図12を見てわかるように、前記ギャップ層の下に形成されたCuからなるシード層は、下部磁極層と同じように結晶相である。ただし前記シード層と下部磁極層の界面は、割合にはっきりと見て取ることができる。これは前記シード層が前記下部磁極層と格子整合しておらず、前記シード層が前記下部磁極層上でエピタキシャル成長していないことを意味する。
【0154】
実施例では、比較例と同じように前記ギャップ層を直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成しているが、前記下部磁極層と格子整合を図らないシード層を設け、その上にギャップ層をメッキ形成することで、前記ギャップ層と下部磁極層間の格子整合性を断ち切ることができ、前記ギャップ層を適切なアモルファス相として形成することが可能になるのである。
【0155】
一方、比較例の場合、前記下部磁極層とギャップ層との界面は、面粗れがひどく、また前記界面付近での前記ギャップ層には黒ずみの斑点が見られる。これは前記ギャップ層を構成する元素Niがエピタキシャル的に成長し結晶化した部分であると認められる。
【0156】
以上のように、シード層の上にギャップ層をメッキ形成した場合、従来のように下部磁極層上に直接、ギャップ層をメッキ形成した場合に比べて、ギャップ層の下部磁極層側の界面付近を適切にアモルファス状態に形成でき、Ni結晶化を抑制できることがわかる。
【0157】
次に、本発明では上記したシード層上にギャップ層を直流電流によってメッキ形成した実施例の膜構成、および、下部磁極層上に直接、ギャップ層を直流電流によってメッキ形成した比較例の膜構成を用いて、前記ギャップ層の下部磁極層側の界面(下面)からの距離と、元素Pの含有量との関係について調べた。前記界面からの距離については透過電子顕微鏡を用いて測定し、元素Pの含有量については、X線分析装置(湿式分析で補正)を用いて行った。その実験結果を図14に示す。なお前記透過電子顕微鏡には、日本電子(株)製JEM2010Fを使用し、X線分析装置には、ノーラン社製VANTAGEを使用した。
【0158】
図14に示すように比較例では、界面から2.5nm程度まで元素Pの含有量が非常に低く8質量%以下であることがわかる。一方、実施例では、前記界面から10nmのいずれにおいても元素Pの含有量は12質量%以上であり、また前記界面から40nmの膜厚内でも同様である。このように実施例では比較例に比べて特に界面での元素Pの含有量を多くできることがわかる。
【0159】
また比較例の場合、界面から約2.5nmを越えると、元素Pの含有量は8質量%を上回るが、グラフに示すように、その上限はせいぜい12質量%であり、また前記元素Pの含有量は、界面から深くなるほど一定に保たれるわけでなく、前記含有量の変動が激しいことがわかる。
【0160】
それに対し実施例の場合、界面からの深さに関係なく、前記元素Pの含有量は、ほぼ一定に保たれることがわかる。なおこの実施例では、膜厚全体での平均した元素Pの含有量は約13質量%であり、本発明では前記元素Pの含有量は平均して11質量%以上で15質量%以内に収まることが好ましい。この範囲内であれば、前記ギャップ層全体の耐食性を向上させることができるとともに、非磁性化を促進させることが可能である。
【0161】
ところで比較例のように、特に界面付近で元素Pが極端に小さくなっていると、この部分では図13に見たように元素Niの結晶化が促進し、耐食性が低下しており中性やアルカリ溶液の洗浄液などによって侵食されやくなっている。また前記界面付近では元素Niの含有量が極端に多いことで磁性を帯び、前記界面付近は実質的にギャップ層として機能していないと考えられる。
【0162】
一方、実施例の場合、前記界面から10nmの膜厚内、好ましくは40nmの膜厚のいずれでも元素Pは8質量%以上を確保でき、図12に見たように前記界面付近でのアモルファス化を促進でき耐食性を向上させることができる。また元素Pを8質量%以上確保することで前記界面での非磁性化を適切に促進できる。ここで上限であるが、本発明では15質量%以下と設定した。これはメッキ浴中の元素P量を増やしても、メッキ形成されたNiP中の含有量は15質量%を越えることはないことに起因する。また好ましい範囲としては10質量%以上で15質量%以下であり、より好ましい範囲としては11質量%以上で15質量%以下とした。これによってより適切にギャップ層の界面付近での耐食性及び非磁性化を促進することができる。なお図14に示す実施例では、上記した好ましい範囲、およびより好ましい範囲を満たしていることがわかる。
【0163】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明によれば、下部磁極層(あるいは下部コア層)上に、非磁性のシード層が形成され、このシード層上にNiを主成分としたギャップ層を形成することで、前記ギャップ層が前記下部磁極層上に直接、接するのを回避でき、したがって、従来問題とされていた前記ギャップ層の界面(下面)付近での元素Niのエピタキシャル成長による結晶化を抑制できるので、従来よりも界面付近での非磁性元素を多く取り込み、アモルファス状態にすることができる。従って界面付近での前記ギャップ層の耐食性を向上させることができ、中性やアルカリ溶液に曝されても前記ギャップ層の侵食を適切に防止できる。
【0164】
また前記元素Pの含有量を適量確保できることで、界面付近での非磁性化を促進できる。
【0165】
よって本発明では、記録特性に優れ、しかも一定の記録特性を有する薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の薄膜磁気ヘッドを示す正面図、
【図2】磁極部を拡大した部分拡大図、
【図3】図1の薄膜磁気ヘッドの3−3線における部分断面図、
【図4】本発明の第2の実施の形態の薄膜磁気ヘッドを示す部分断面図、
【図5】本発明の図1ないし図3に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す一工程図、
【図6】図5に示す工程の次に行なわれる一工程図、
【図7】図6に示す工程の次に行なわれる一工程図、
【図8】図7に示す工程の次に行なわれる一工程図、
【図9】図8に示す工程の次に行なわれる一工程図、
【図10】図9に示す工程の次に行なわれる一工程図、
【図11】シード層上にギャップ層をパルス電流による電気メッキ法によりメッキ形成した本発明(実施例)の磁極部の透過電子顕微鏡写真、
【図12】図11の模式図、
【図13】下部磁極層上にギャップ層を直流電流による電気メッキ法によりメッキ形成した従来(比較例)の磁極部の透過電子顕微鏡写真、
【図14】従来例及び比較例におけるNiPの界面からの距離と元素Pの含有量との関係を示すグラフ、
【図15】従来における薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分正面図、
【図16】従来における薄膜磁気ヘッドの不具合を説明するための磁極部の拡大図、
【符号の説明】
20 下部コア層
21 下部磁極層
22 ギャップ層
26 上部コア層
29、33、43 コイル層
31、41 シード層
35 上部磁極層
51 レジスト層

Claims (17)

  1. 下部コア層と、上部コア層との間にギャップ層を有する薄膜磁気ヘッド、あるいは下部コア層と、前記下部コア層上に下部磁極層、ギャップ層、上部磁極層の順で形成された磁極部、または前記下部コア層上にギャップ層、上部磁極層の順で形成された磁極部と、前記上部磁極層の上に形成された上部コア層とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、
    前記ギャップ層は、前記下部コア層あるいは下部磁極層上に形成された非磁性のシード層上に形成されており、前記ギャップ層は、Niを主成分とした非磁性金属材料で形成されていることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 前記シード層の膜厚は3nm以上で50nm以下である請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 前記シード層の膜厚は5nm以上で30nm以下である請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記シード層の膜厚は10nm以上で20nm以下である請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記シード層は、磁性元素を含有しない非磁性金属材料で形成される請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記シード層は、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料で形成される請求項5記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 前記ギャップ層はNi−P、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種で形成される請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  8. 前記ギャップ層は、NiPで形成されており、前記シード層との界面から10nmまでのPの含有量が8質量%以上で15質量%以下である請求項7記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 前記界面から40nmまでの膜厚内の元素Pの含有量が、8質量%以上で15質量%以下である請求項8記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 前記元素Pの含有量は、10質量%以上で15質量%以下である請求項8または9に記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 前記元素Pの含有量は、11質量%以上で15質量%以下である請求項8または9に記載の薄膜磁気ヘッド。
  12. 前記ギャップ層の膜厚全体の平均した元素Pの含有量は、11質量%以上で15質量%以下である請求項8ないし11のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  13. 磁性材料製の下部コア層と、記録媒体との対向面で前記下部コア層の上にギャップ層を介して対向する磁性材料製の上部コア層とを有する、薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
    (a)前記下部コア層をメッキ形成する工程と、
    (b)前記下部コア層上に直接、または前記下部コア層上に下部磁極層をメッキ形成した後、この下部磁極層上に、Cu、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Osから選ばれた1種または2種以上の非磁性金属材料で形成されるシード層をメッキ形成する工程と、
    (c)前記シード層上にNiを主成分とした非磁性のギャップ層をメッキ形成する工程と、
    (d)前記ギャップ層上に直接に、あるいは上部磁極層を介して上部コア層をメッキ形成する工程と、
    を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  14. 前記(b)工程において、前記シード層を3nm以上で50nm以下の膜厚でメッキ形成する請求項13記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  15. 前記シード層を5nm以上で30nm以下でメッキ形成する請求項14記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  16. 前記シード層を10nm以上で20nm以下でメッキ形成する請求項15記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  17. 前記ギャップ層をNi−P、Ni−Mo、Ni−W、Ni−P−Mo、およびNi−P−Wのいずれか一種でメッキ形成する請求項13ないし16のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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