JP3640450B2 - レーザ加工機のアシストガス発生装置及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アシストガスとして窒素ガスを用いるレーザ加工機の、アシストガス発生装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ加工機は、ステンレス鋼などの鉄板をシャープに切断でき、かつ、複雑な形状のワークを精度良く加工できる加工機として、様々な分野で多く使用されている。レーザ加工機による金属板等の切断の方法は、その加工対象の金属板に予め設定された所定の図形の軌跡に沿って加工ヘッド先端のノズルからレーザ光を照射して加工対象金属を溶融する。それと同時に、酸素ガスや窒素ガス等のいわゆるアシストガスを同じくノズルから噴出して上記溶融した金属を吹き飛ばし、切断加工しているのが一般的になっている。
【0003】
ステンレス鋼等を切断する場合のアシストガスとしては、酸素ガス、圧縮空気または窒素ガスの三種類のガスを切断目的や加工ワークの用途等に応じて選択しながら使用している。例えば、特開平7−16783号公報には図3に示されるようなレーザ加工機が提案されており、以下、図3に基づいて説明する。
加工ヘッド8の先端には、ノズル9が設けられる。加工ヘッド8の内部からノズル9の先端に貫通する図示していない貫通孔を設け、図示していない外部のレーザ発振器からレーザ加工機内の所定の光路及び上記貫通孔を介してレーザビームを照射するようにしている。また、加工ヘッド8の内部にはアシストガス供給用の通路が設けられており、この通路には加工ヘッド8に接続されたガス管44を経由してガスが供給される。そして、供給されたアシストガスはノズル9の先端からレーザビームの照射と共に噴射される。
【0004】
ガス管44には、低圧用ガス管47及び高圧用ガス管50がそれぞれ低圧用圧力調整器48及び高圧用圧力調整器49を介して接続されている。高圧用ガス管50には、酸素ガスボンベ45a、窒素ガスボンベ45b及びエアコンプレッサ45cからのガス供給路がそれぞれ切換弁46a、46b、46cを介して接続されている。また、低圧用ガス管47には酸素ガスボンベ45aからのガス供給路が切換弁46dを介して接続されている。さらに、上記各切換弁46a、46b、46c、46dの操作ソレノイド、及び低圧用圧力調整器48、高圧用圧力調整器49の操作ソレノイドは図示していない制御装置に接続されている。この制御装置は、切換弁46a、46b、46c、46dの切り換えを行い、また低圧用圧力調整器48、高圧用圧力調整器49の圧力値を設定するものである。
【0005】
次に、このような構成のレーザ加工機の作用を説明する。作業者は、加工開始前に、使用するアシストガスの種類及び加工対象ワーク41の板厚等を上記制御装置に入力する。上記制御装置は、加工開始すると、加工対象ワーク41の所定の開始位置に加工ヘッド8を移動し、この位置でノズル9からレーザビームを照射すると同時に、アシストガスとして酸素ガスをノズル9から噴射する。ここで、ピアッシング時のガス圧を低圧に設定してあると仮定すると、上記制御装置は切換弁46dの操作ソレノイドに切換指令を出力して低圧用ガス管47に酸素ガスを供給する。また、制御装置は上記設定された圧力値に応じた指令信号を低圧用圧力調整器48に出力し、低圧用ガス管47からガス管44に供給されるアシストガスの圧力を上記圧力値に調整する。これによって、所定の圧力値でピアッシングが行われる。
【0006】
ピアッシングが完了した後、制御装置は上記入力したアシストガスの種類に対応して切換弁46a、46b、46cを切り換えることにより、必要なアシストガスを高圧用ガス管50に送給する。このとき、制御装置は、上記入力された加工対象ワーク41の板厚に対応して予め設定されている圧力値に応じた指令信号を高圧用圧力調整器49に出力する。これによって、高圧用ガス管50からガス管44に供給されるアシストガスの圧力を上記圧力値に調整する。こうして、選択されたアシストガスを所定の圧力値でノズル9から噴射して加工が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなレーザ加工において、各アシストガスの切断方法は以下のような特徴を持っている。
1)酸素ガスを用いる方法では、加工対象金属を酸素で燃やして吹き飛ばすことになるので、必然的に切断面が酸化して黒くなり、加工上面に焼けが発生する。また、アシストガスの使用流量が多いので、ランニングコストが高くなる。
2)圧縮空気を用いる方法では、ランニングコストは低減できるが、上記と同様の理由によって、圧縮空気中の酸素で切断面の酸化と加工上面の焼けが発生する。また、溶融金属が下に落ちず、ドロスが発生することがある。
【0008】
3)窒素ガスを用いる方法では、切断面の酸化は見られず、加工上面の焼けも発生しないので、加工後の外観品質が非常に良い。また、表面の酸化皮膜が無いので、加工後のワークを溶接し易い。一方、アシストガスの使用流量が多く、窒素ガスボンベの費用が高いためランニングコストが高くなる。
このように、上記の三つの方法では加工後の外観品質及び溶接の容易性等から考慮すると、窒素ガスによる切断方法が最も望ましく、従来からこの方法は広く用いられている。
【0009】
しかしながら、窒素ガスを用いる方法は、上述のようにランニングコストが高いために、そのコストに見合うような付加価値の高いワークに対してのみ使用されることが多い。このため、その他の一般のワークに対しても使用可能な安いコストで窒素ガスによる切断ができるようなレーザ加工機が強く望まれている。
また、従来の窒素ガスによる方法ではアシストガスの使用流量が多いため、窒素ガスボンベを使用している方法では一日の内に窒素ガスボンベを交換する頻度が非常に多くなる。ガスボンベの容量の大きさ及び使用頻度によるが、例えば数十分毎に50リットルボンベ一本を使用する場合がある。このために、窒素ガスボンベの交換に要する時間が多くなるという問題がある。
【0010】
さらに、従来の窒素ガスを使用した切断では、窒素純度が好ましくは99.98%以上のものを使用する方が切断後の外観品質が良いが、窒素ガスボンベは規格上では99.5%以上、実用上では99.95%〜99.99%の間にばらついている。したがって、実際に窒素ガスボンベを使用して切断した場合には、品質上にバラツキが発生して品質不良となることもある。このため、窒素純度を安定させて切断できるようなレーザ加工機が要望されている。
【0011】
一方、上記の問題を解決するために、空気から窒素をつくり出す図示していない窒素ガス発生装置を用いる方法も採用されている。この窒素ガス発生装置は活性炭の一種である吸着剤を有しており、この吸着剤の表面には孔が開いている。この孔は、窒素ガス分子の大きさより大きく、かつ、酸素ガス分子の大きさより小さいものである。この吸着剤に圧縮空気を押しつけると、上記孔の中に酸素ガス分子が押し込まれ、残された空気中の窒素ガスの濃度が高くなる。この窒素ガスを外部に取り出して窒素ガス槽に溜めておき、切断時にこの窒素ガス槽から供給するようにしている。
【0012】
レーザ加工機での切断時に要求される窒素ガスの純度は前述のように好ましくは99.98%以上が必要なので、上記のような窒素ガス発生装置を稼働開始してから所定の純度まで高めるまでには時間を要している。このため、その間切断作業ができないという問題がある。
また、上記窒素ガスの純度は酸素濃度計により測定しているが、実際の作業時には作業者が目視により判断しながら窒素ガスを吐出させており、純度の精度及び目視確認の作業効率に問題があった。
【0013】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、窒素ガスでの無酸化切断によって外観品質を向上し、窒素ガスの純度を安定させて品質を安定させると共に、ランニングコストを安くでき、かつ、レーザ加工機を稼働開始後直ちに切断加工が可能となるレーザ加工機のアシストガス発生装置およびその制御方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記の目的を達成するために、本発明に係るレーザ加工機のアシストガス発生装置は、
空気中から窒素ガスを分離し、窒素ガスを発生させ蓄積させる窒素ガス発生装置20と、窒素ガス発生装置20の出口側に配設されたガス濃度検出手段2及びガス供給ライン開閉手段3とを備え、加工時にノズル9からレーザ光を照射すると共に、ガス供給ライン開閉手段3を開いて窒素ガス発生装置20が発生した窒素ガスをアシストガスとしてノズル9から噴射するレーザ加工機のアシストガス発生装置において、
ガス濃度検出手段2からの濃度信号に基づいて、ガス供給ライン開閉手段3を開閉し、かつ、レーザ加工機の稼働を制御する制御装置12
を備えた構成としている。
【0015】
上記のように、窒素ガス発生装置により発生させた窒素ガスの濃度が所定値以上になるまで待ち、所定値以上になったときにガス供給ライン開閉手段を開いて窒素ガス発生装置の窒素ガスをアシストガスとして使用する。よって、安いランニングコストで、かつ、純度の高い窒素ガスによるレーザ加工が可能となり、これにより切断面が酸化せずに安定した外観品質が得られる。また、窒素ガスボンベを使用しないのでボンベの交換が不要となり、よって作業性を向上できる。さらに、窒素ガスの純度を常時監視し、所定値以上になったら自動的にその窒素ガスをアシストガスとして使用するので、作業性を向上できる。
【0016】
また、上記レーザ加工機のアシストガス発生装置は、
空気中から窒素ガスを分離し、窒素ガスを発生させ蓄積させる窒素ガス発生装置20と、窒素ガス発生装置20の出口側に配設されたガス濃度検出手段2及びガス供給ライン開閉手段3とを備え、加工時にノズル9からレーザ光を照射すると共に、ガス供給ライン開閉手段3を開いて窒素ガス発生装置20が発生した窒素ガスをアシストガスとしてノズル9から噴射するレーザ加工機のアシストガス発生装置において、
ガス供給ライン開閉手段3を介して窒素ガス発生装置20からの窒素ガスをノズル9に供給するガス発生装置用供給ラインと、ガス供給ライン開閉手段3とノズル9の間で合流し、かつ、ボンベ用ガス供給ライン開閉手段31を介して窒素ガスボンベ30からの窒素ガスをノズル9に供給するボンベ用供給ラインと、
ガス濃度検出手段2からの濃度信号に基づいて窒素ガス発生装置20で発生させた窒素ガスの濃度が下限設定値以上になったか否かを判定し、下限設定値より小さいときはガス供給ライン開閉手段3を閉じてボンベ用ガス供給ライン開閉手段31を開き、前記窒素ガス濃度が下限設定値以上になったときはガス供給ライン開閉手段3を開いてボンベ用ガス供給ライン開閉手段31を閉じる制御装置12とを備えている。
【0017】
上記構成にすると、レーザ加工機を始動し、窒素ガス発生装置が発生させる窒素ガスの濃度が所定の下限設定値より小さい場合には、制御装置は窒素ガスボンベに連通するボンベ用ガス供給ライン開閉手段を開き、窒素ガスボンベからの窒素ガスをアシストガスとして使用して切断加工を行う。また、窒素ガス発生装置が発生させる窒素ガス濃度が所定の下限設定値以上になった場合は、制御装置は前記ボンベ用ガス供給ライン開閉手段を閉じ、かつ、窒素ガス発生装置に連通するガス供給ライン開閉手段を開き、窒素ガス発生装置からの窒素ガスをアシストガスとして使用して切断加工を行う。
この結果、前述の請求項と同様に、安いランニングコストで、かつ、純度の高い窒素ガスによるレーザ加工が可能となり、これにより切断面が酸化せずに安定した外観品質が得られる。また、窒素ガスボンベのガス使用量が少なくなるのでボンベの交換頻度が少なくなり、よって作業性を向上できる。そして、窒素ガスの純度を常時監視し、所定値以上になったら自動的にその窒素ガスをアシストガスとして使用するので、作業性を向上できる。さらに、窒素ガス発生装置からの窒素ガス濃度が所定値になるまでの間切断開始を待つ必要がなく、稼働開始後直ちに切断作業を開始できるので、作業性及び機械稼働率を向上できる。
【0018】
上記レーザ加工機のアシストガス発生装置において、前記アシストガス発生装置20の入口側には空気圧縮手段1および空気圧力検出手段11を配設し、出口側には排気手段4を配設した構成としている。
【0019】
上記構成にしたので、制御装置は、空気圧縮手段により圧縮した空気の圧力値を空気圧力検出手段から入力し、窒素ガス発生装置が正常に窒素ガスを発生できるような所定の圧力値以上になったか否を判断する。所定の圧力値以上になったら、窒素ガス発生装置は圧縮空気を入力して窒素ガスを発生させる。この窒素ガスの濃度を前記ガス濃度検出手段によって検出し、窒素ガス濃度が所定の下限設定値以上にないときは、制御装置は窒素ガス発生装置の出口側の排気手段を開いて窒素ガス発生装置内のガスを排気する。このようにして、純度の高い窒素ガスのみをアシストガスとして使用する。この結果、切断面の外観品質のバラツキが無くなり、安定した品質が得られる。
【0020】
また、上記レーザ加工機のアシストガス発生装置において、前記ガス濃度検出手段2は、窒素ガス濃度を検出する窒素ガス濃度検出手段とすると共に、
前記制御装置12は、前記窒素ガス濃度検出手段からの濃度信号に基づいて窒素ガスの濃度が所定の下限設定値以上になったか否かを判定し、下限設定値以上になったときはガス供給ライン開閉手段3を開き、窒素ガス発生装置20により発生させた窒素ガスによるレーザ加工を開始する構成としている。
【0021】
また、上記レーザ加工機のアシストガス発生装置において、前記ガス濃度検出手段2は、酸素ガス濃度を検出する酸素ガス濃度検出手段とすると共に、
前記制御装置12は、前記酸素ガス濃度検出手段からの濃度信号に基づいて酸素ガスの濃度が所定の上限設定値以上になったか否かを判定し、上限設定値以上になったときはガス供給ライン開閉手段3を開き、窒素ガス発生装置20により発生させた窒素ガスによるレーザ加工を開始する構成としている。
【0022】
上記構成にしたので、窒素ガスの濃度を直接検出したり、または酸素ガスの濃度から窒素ガスの濃度が推定される。この窒素ガス濃度が所定の上限設定値以上になったときにアシストガスとして使用するので、純度の高い窒素ガスが得られ、この結果、切断面の外観品質のバラツキが無くなり、安定した品質が得られる。
【0023】
また、本発明に係わるレーザ加工機のアシストガス制御方法は、
空気中から窒素ガスを分離して窒素ガスを発生させると共に、加工時にはノズル9からレーザ光を照射し、かつ、発生した窒素ガスをアシストガスとしてノズル9から噴射するレーザ加工機のアシストガス制御方法において、
前記発生させた窒素ガスの濃度が下限設定値以上になったときに、空気中から分離した窒素ガスによりレーザ加工する制御方法としている。
【0024】
また、上記レーザ加工機のアシストガス制御方法は、
窒素ガス発生装置20により空気中から窒素ガスを分離して窒素ガスを発生させると共に、加工時にはノズル9からレーザ光を照射し、かつ、発生した窒素ガスあるいは窒素ボンベよりの窒素ガスをアシストガスとしてノズル9から噴射するレーザ加工機のアシストガス制御方法において、
窒素ガス発生装置20により発生させた窒素ガスの濃度が所定の下限設定値より小さいときは、窒素ガスボンベ30からの窒素ガスを供給し、また、前記発生させた窒素ガスの濃度が所定の下限設定値以上のときは、窒素ガス発生装置20からの窒素ガスを供給し、アシストガスを選択的に使用してレーザ加工する制御方法としてもよい。
【0025】
また、上記レーザ加工機のアシストガス制御方法において、
前記窒素ガス発生装置20により発生させた窒素ガスの濃度が所定の下限設定値より小さいときは、この所定下限設定値に到達するまで窒素ガス発生装置20からの窒素ガスを外部に排気する制御方法としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るレーザ加工機のアシストガス発生装置およびその制御方法について、図1及び図2を参照して詳述する。ここで、従来技術の図3で説明した構成と同じものには同一の番号を付けて説明を省く。
【0027】
図1は、アシストガス発生装置の概略構成図である。
窒素ガスの原料である空気を圧縮する手段(以後、空気圧縮手段と言う)の一例であるエアコンプレッサ1は、窒素ガス発生装置20の入口側に接続されている。その窒素ガス発生装置20の出口側には、ガス濃度を検出するガス濃度検出手段2、ガス供給ライン開閉手段の一例である第1のソレノイドバルブ3及び排気手段の一例である第2のソレノイドバルブ4が並列して接続されている。なお、窒素ガス発生装置20は所定の圧力範囲以内で機能するようになっているので、エアコンプレッサ1の圧縮空気の圧力が所定値以上にならないように、エアコンプレッサ1はアンロードバルブ等を内蔵している。
【0028】
ガス濃度検出手段2は、窒素ガス発生装置20の出力ガス中の窒素ガス濃度が所定値以上になったか否かを検出するものである。よって、例えば窒素ガス濃度を直接検出する窒素ガス濃度検出手段を使用したり、あるいは酸素ガス濃度を検出する酸素ガス濃度検出手段を使用することができる。
前述のようにレーザ加工機のアシストガスとしては、品質上好ましい窒素ガス濃度は一般には99.98%以上の純度が必要とされているため、下限設定値は99.98%である。したがって、酸素ガス濃度検出手段で酸素ガス濃度を検出する場合には0.02%以下であることが要求される。
【0029】
第1のソレノイドバルブ3からのガス供給管路は、加工ヘッド8に供給するガス圧を調整する空電レギュレータ7を介してレーザ加工機の加工ヘッド8内部のアシストガス供給用通路(図示せず)に接続されている。加工ヘッド8の先端には、レーザビームの照射と共に上記アシストガスが噴射されるノズル9を有している。第1のソレノイドバルブ3の弁は、その操作ソレノイド部に指令信号が入力されてないときは、バネ力によって(ロ)位置にあるように付勢されている。この(ロ)位置には、窒素ガス発生装置20から空電レギュレータ7側へ窒素ガスが流入しないように、逆止弁が内蔵されている。
【0030】
第2のソレノイドバルブ4からのガス供給管路は、減圧弁5及びサイレンサ6を介して大気に導かれている。これは、窒素ガス発生装置20から出力されるガスの窒素ガス濃度が所定値に達していない場合に、このガスを減圧し、かつ、防音しながら大気中に排気するためである。第2のソレノイドバルブ4の弁は、上記と同様にその操作ソレノイド部に指令信号が入力されてないときは、バネ力によって(ロ)位置にあるように付勢されている。また、この(ロ)位置には、窒素ガス発生装置20から上記大気中への排気ラインへ窒素ガスが流出しないように、逆止弁が内蔵されている。
【0031】
エアコンプレッサ1と窒素ガス発生装置20との間には、圧縮空気の圧力を検出する手段の一例として圧力計10及び圧力スイッチ11が接続されている。圧力スイッチ11は圧縮空気の圧力が予め設定された所定の圧力値以上になったとき出力接点信号を例えばオンするものであり、この出力接点信号は圧力信号として制御装置12に入力される。なお、圧力検出手段としては、例えば検出した圧力値を圧力値データとして出力するような圧力センサ等を使用してもよい。
【0032】
窒素ガス発生装置20は、第3のソレノイドバルブ21と、活性炭槽22と、吸着槽23と、製品槽24と、フィルタ25とからなっている。エアコンプレッサ1からの圧縮空気の管路は第3のソレノイドバルブ21を経由して活性炭槽22の入力側に接続され、活性炭槽22の出力側は第1のフィルタ25を介して吸着槽23に接続される。この吸着槽23の出力は、製品槽24及び第2のフィルタ26を介して窒素ガス発生装置20の出力管路に導かれている。
第3のソレノイドバルブ21の弁は、その操作ソレノイド部に指令信号が入力されてないときは、バネ力によって(ロ)位置にあるように付勢されている。また、この(ロ)位置には、エアコンプレッサ1から窒素ガス発生装置20へ空気が入らないように、逆止弁が内蔵されている。
【0033】
窒素ガス発生装置20の稼働開始当初の純度は低いので、使用可能な所定の純度に達するまでに時間を要する。よって、その待ち時間の間に切断作業を実施できるように、窒素ガス発生装置20による窒素ガス供給ラインに並行して、窒素ガスボンベ30による窒素ガス供給ラインを設けている。すなわち、窒素ガスボンベ30から第3のフィルタ27を介してボンベ用ガス供給ライン開閉手段の一例である第4のソレノイドバルブ31が接続されている。そして、第4のソレノイドバルブ31からのガス供給管路は、前記第1のソレノイドバルブ3のガス供給管路と並列に空電レギュレータ7の入力ポート側に接続されている。第4のソレノイドバルブ31の弁は、その操作ソレノイド部に指令信号が入力されてないときは、バネ力によって(ロ)位置にあるように付勢されている。この(ロ)位置には、窒素ガスボンベ30から空電レギュレータ7側へ窒素ガスが流入しないように、逆止弁が内蔵されている。
【0034】
アシストガス発生装置を制御する制御装置12には、圧力スイッチ11からの圧力信号及びガス濃度検出手段2からのガス濃度信号が入力されている。また、制御装置12は、第1のソレノイドバルブ3、第2のソレノイドバルブ4、第3のソレノイドバルブ21及び第4のソレノイドバルブ31の各操作ソレノイド部に接続されており、切換信号をこの各操作ソレノイド部に出力して対応するソレノイドを切り換える。さらに、空電レギュレータ7のソレノイド部には従来技術で説明した切断時のアシストガスの圧力設定値に応じた指令信号が制御装置12から出力されるようになっている。また、制御装置12はコンプレッサ1に起動指令を出力する。
制御装置12は、例えば一般的なマイクロコンピュータを主体に構成したコンピュータシステム等によって構成されたものでもよい。
【0035】
なお、図1には窒素ガスの供給ラインのみを記載しているが、その他の酸素ガス及び圧縮空気の供給ラインを有していてもよい。ここでは、本発明に係わるアシストガス発生装置を説明するのに必要な構成だけを記述している。
【0036】
次に、アシストガス発生装置の制御方法について、図2に示すフローチャートの一例を参照して説明する。
(ステップ102)まず、アシストガスとして窒素ガスが選択される。
(ステップ103)次に、加工対象金属の板厚や材質、ピアッシング及び切断等の加工種類に合わせてアシストガスの圧力値が選択される。この圧力値に基づいて、制御装置12は空電レギュレータ7に設定圧力指令を与える。
(ステップ104)エアコンプレッサ1を起動する。
(ステップ105)エアコンプレッサ1から吐出される圧縮空気の圧力が所定の圧力値以上か否かを判定する。すなわち、圧力スイッチ11から出力接点信号を入力し、この信号がオンか否かを判定する。そして、吐出圧力空気の圧力が所定値以上(上記接点信号がオン)のときはステップ110に進み、そうでない(上記接点信号がオフ)のときはステップ106に進む。
なお、このステップ5の処理は、窒素ガス発生装置20の入力圧縮空気の圧力が所定値より小さいときは、窒素ガス発生装置20が正常に機能しないためである。本発明者らの使用する窒素ガス発生装置20においては、9kg/cm2以上にする必要がある。
【0037】
(ステップ106)コントローラ12は指令信号を出力し、第4のソレノイドバルブ31を(イ)位置にして窒素ボンベ30のガス供給ラインを開き、ノズル9から窒素ガスを噴射する。同時に、第1のソレノイドバルブ3を(ロ)位置にして窒素ガス発生装置20のガス供給ラインを閉じ、第2のソレノイドバルブ4を(イ)位置にして排気ラインを開いて製品槽24内の窒素ガスを大気中に排気する。このとき、上記のノズル9から噴射される窒素ガスは空電レギュレータ7によって設定された圧力値に調整される。
また、第3のソレノイドバルブ21を(ロ)位置にして、エアコンプレッサ1の吐出空気が窒素ガス発生装置20に入らないようにする。
(ステップ107)レーザ発振器から発振されたレーザ光をノズル9から加工対象金属に照射し、切断作業を開始する。
【0038】
(ステップ108)制御装置12はガス濃度検出手段2から窒素ガス濃度又は酸素ガス濃度のデータを入力し、窒素ガス発生装置20から供給されるガスの窒素濃度が所定値以上か否かを判定する。本フローチャートでは、ガス濃度検出手段2として酸素濃度計を使用した場合を表しており、酸素濃度が0.02%以下か否かを判定している。酸素濃度が0.02%以下でないときはそのまま切断作業を続行してステップ114へ進み、0.02%以下のときはステップ109へ進む。
(ステップ109)コントローラ12は指令信号を出力し、第4のソレノイドバルブ31を(ロ)位置に切り換えて窒素ボンベ30のガス供給ラインを閉じる。と同時に、第2のソレノイドバルブ4を(ロ)位置に切り換えて大気中への排出ラインを閉じると共に、第1のソレノイドバルブ3を(イ)位置に切り換えて窒素ガス発生装置20のガス供給ラインを開く。これによって、アシストガスの供給は窒素ガスボンベ30から窒素ガス発生装置20に切り換えられる。このとき、ノズル9から噴射される窒素ガスは空電レギュレータ7によって設定された圧力値に調整される。この後、作業を終了するまで切断作業を進め、ステップ114へ進む。
【0039】
(ステップ110)エアコンプレッサ1の吐出空気圧が所定値以上になったので、コントローラ12は指令信号を出力して第3のソレノイドバルブ21を(イ)位置に切り換え、窒素発生装置20の稼働を開始する。また、第1のソレノイドバルブ3を(ロ)位置にして窒素ガス発生装置20のガス供給ラインを閉じ、、第2のソレノイドバルブ4を(イ)位置にして排気ラインを開いて製品槽24内の窒素ガスを大気中に排気する。
(ステップ111)制御装置12はガス濃度検出手段2から窒素ガス濃度又は酸素ガス濃度のデータを入力し、窒素ガス発生装置20から供給されるガスの窒素濃度が所定値以上か否かを判定する。前述の通りガス濃度検出手段2として酸素濃度計を使用しているので、本フローチャートでは酸素濃度が0.02%以下かどうかを判定している。酸素濃度が0.02%以下でないときはステップ106へ進み、0.02%以下のときはステップ112へ進む。
【0040】
(ステップ112)コントローラ12は指令信号を出力し、第4のソレノイドバルブ31を(ロ)位置に切り換え、窒素ボンベ30のガス供給ラインを閉じる。と同時に、第2のソレノイドバルブ4を(ロ)位置に切り換えて大気中への排出ラインを閉じると共に、第1のソレノイドバルブ3を(イ)位置に切り換えて窒素ガス発生装置20のガス供給ラインを開く。これによって、窒素ガス発生装置20が加工ヘッド8へ窒素ガスを供給することになる。このとき、ノズル9から噴射される窒素ガスは空電レギュレータ7によって設定された圧力値に調整される。
(ステップ113)レーザ発振器から発振されたレーザ光をノズルから加工対象金属に照射し、切断作業を開始する。
【0041】
(ステップ114)レーザ発振器から発振されたレーザ光をノズルから加工対象金属に照射し、切断作業を終了する。
(ステップ115)窒素ボンベ30による切断のときは、コントローラ12は指令信号を出力して第4のソレノイドバルブ31を(ロ)位置に切り換え、窒素ボンベ30のガス供給ラインを閉じる。また、窒素ガス発生装置20による切断のときは、第1のソレノイドバルブ3を(ロ)位置に切り換えて窒素ガス発生装置20のガス供給ラインを閉じる。
【0042】
このようにして、コンプレッサ1から吐出された圧縮空気圧が所定値以下のとき、または窒素ガス発生装置20から供給されるガスの窒素ガス濃度が所定値以上になっていないときは、窒素ガスボンベ30による切断を行う。したがって、窒素ガス発生装置20が所定値以上の純度の窒素ガスを供給できるようになるまでの間でも切断が可能となる。よって、機械稼働率が上がり、生産性が向上する。
そして、窒素ガス発生装置20の窒素ガスが所定値以上の純度になったら、窒素ガスボンベ30から窒素ガス発生装置20に切り換えてアシストガスを供給する。したがって、切断に必要な窒素ガスの大部分は窒素ガス発生装置20から供給することができる。窒素ガス発生装置20は空気中から窒素ガスを分離して供給するので、非常に安いランニングコストで純度の高く安定した窒素ガスをアシストガスとして使用できる。この結果、レーザ加工機の無酸化切断により表面の黒色化や焼けがなく、安定した外観品質が得られる。また、窒素ボンベを交換する頻度が非常に少なくなる。
【0043】
窒素ガス発生装置20の窒素ガスの純度が所定値以上になったか否かをコントローラ12が判断し、所定値以上になったら自動的に窒素ガスボンベ30から窒素ガス発生装置20に切り換えてアシストガスを供給する。これによって、作業時に作業者が確認作業をする必要がなくなる。
【0044】
なお、上記実施例では、窒素ガス発生装置20と窒素ガスボンベ30とを並列に配設しているが、窒素ガス発生装置20だけを使用する場合は、窒素ガス濃度が所定値以上になるまで待ち、所定値以上になったらレーザ加工を開始してもよい。これにより、窒素ガス発生装置20による窒素ガスを使用してランニングコストが安く、切断面品質が良いレーザ加工機を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアシストガス発生装置の概略構成図である。
【図2】本発明のアシストガス発生装置の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】従来のレーザ加工機におけるアシストガス発生装置のブロック図である。
【符号の説明】
1…エアコンプレッサ、2…ガス濃度検出手段、3…第1のソレノイドバルブ、4…第2のソレノイドバルブ、5…減圧弁、6…サイレンサ、7…空電レギュレータ、8…加工ヘッド、9…ノズル、10…圧力計、11…圧力スイッチ、12…制御装置、20…窒素ガス発生装置、21…第3のソレノイドバルブ、22…活性炭槽、23…吸着槽、24…製品槽、25…第1のフィルタ、26…第2のフィルタ、27…第3のフィルタ、30…窒素ガスボンベ、31…第4のソレノイドバルブ、41…加工対象ワーク、44…ガス管、45a…酸素ガスボンベ、45b…窒素ガスボンベ、45c…エアコンプレッサ、46a、46b、46c、46d…切換弁、47…低圧用ガス管、48…低圧用圧力調整器、49…高圧用圧力調整器、50…高圧用ガス管。
Claims (8)
- 空気中から窒素ガスを分離し、窒素ガスを発生させ蓄積させる窒素ガス発生装置(20)と、窒素ガス発生装置(20)の出口側に配設されたガス濃度検出手段(2) 及びガス供給ライン開閉手段(3) とを備え、加工時にノズル(9) からレーザ光を照射すると共に、ガス供給ライン開閉手段(3) を開いて窒素ガス発生装置(20)が発生した窒素ガスをアシストガスとしてノズル(9) から噴射するレーザ加工機のアシストガス発生装置において、
ガス濃度検出手段(2) からの濃度信号に基づいて、ガス供給ライン開閉手段(3) を開閉し、かつ、レーザ加工機の稼働を制御する制御装置(12)
を備えたことを特徴とするレーザ加工機のアシストガス発生装置。 - 空気中から窒素ガスを分離し、窒素ガスを発生させ蓄積させる窒素ガス発生装置(20)と、窒素ガス発生装置(20)の出口側に配設されたガス濃度検出手段(2) 及びガス供給ライン開閉手段(3) とを備え、加工時にノズル(9) からレーザ光を照射すると共に、ガス供給ライン開閉手段(3) を開いて窒素ガス発生装置(20)が発生した窒素ガスをアシストガスとしてノズル(9) から噴射するレーザ加工機のアシストガス発生装置において、
ガス供給ライン開閉手段(3) を介して窒素ガス発生装置(20)からの窒素ガスをノズル(9) に供給するガス発生装置用供給ラインと、ガス供給ライン開閉手段(3) とノズル(9) の間で合流し、かつ、ボンベ用ガス供給ライン開閉手段(31)を介して窒素ガスボンベ(30)からの窒素ガスをノズル(9) に供給するボンベ用供給ラインと、
ガス濃度検出手段(2) からの濃度信号に基づいて窒素ガス発生装置(20)で発生させた窒素ガスの濃度が下限設定値以上になったか否かを判定し、下限設定値より小さいときはガス供給ライン開閉手段(3) を閉じてボンベ用ガス供給ライン開閉手段(31)を開き、前記窒素ガス濃度が下限設定値以上になったときはガス供給ライン開閉手段(3) を開いてボンベ用ガス供給ライン開閉手段(31)を閉じる制御装置(12)と
を備えたことを特徴とするレーザ加工機のアシストガス発生装置。 - 前記アシストガス発生装置(20)の入口側には空気圧縮手段(1) および空気圧力検出手段(11)を配設し、出口側には排気手段(4) を配設したことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工機のアシストガス発生装置。
- 前記ガス濃度検出手段(2) は、窒素ガス濃度を検出する窒素ガス濃度検出手段とすると共に、
前記制御装置(12)は、前記窒素ガス濃度検出手段からの濃度信号に基づいて窒素ガスの濃度が所定の下限設定値以上になったか否かを判定し、下限設定値以上になったときはガス供給ライン開閉手段(3) を開き、窒素ガス発生装置(20)により発生させた窒素ガスによるレーザ加工を開始する
ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工機のアシストガス発生装置。 - 前記ガス濃度検出手段(2) は、酸素ガス濃度を検出する酸素ガス濃度検出手段とすると共に、
前記制御装置(12)は、前記酸素ガス濃度検出手段からの濃度信号に基づいて酸素ガスの濃度が所定の上限設定値以上になったか否かを判定し、上限設定値以上になったときはガス供給ライン開閉手段(3) を開き、窒素ガス発生装置(20)により発生させた窒素ガスによるレーザ加工を開始する
ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工機のアシストガス発生装置。 - 空気中から窒素ガスを分離して窒素ガスを発生させると共に、加工時にはノズル(9) からレーザ光を照射し、かつ、発生した窒素ガスをアシストガスとしてノズル(9) から噴射するレーザ加工機のアシストガス制御方法において、
前記発生させた窒素ガスの濃度が下限設定値以上になったときに、空気中から分離した窒素ガスによりレーザ加工する
ことを特徴とするレーザ加工機のアシストガス制御方法。 - 窒素ガス発生装置(20)により空気中から窒素ガスを分離して窒素ガスを発生させると共に、加工時にはノズル(9) からレーザ光を照射し、かつ、発生した窒素ガスあるいは窒素ボンベよりの窒素ガスをアシストガスとしてノズル(9) から噴射するレーザ加工機のアシストガス制御方法において、
窒素ガス発生装置(20)により発生させた窒素ガスの濃度が所定の下限設定値より小さいときは、窒素ガスボンベ(30)からの窒素ガスを供給し、また、前記発生させた窒素ガスの濃度が所定の下限設定値以上のときは、窒素ガス発生装置(20)からの窒素ガスを供給し、アシストガスを選択的に使用してレーザ加工する
ことを特徴とするレーザ加工機のアシストガス制御方法。 - 前記窒素ガス発生装置(20)により発生させた窒素ガスの濃度が所定の下限設定値より小さいときは、この所定下限設定値に到達するまで窒素ガス発生装置(20)からの窒素ガスを外部に排気する
ことを特徴とする請求項7記載のレーザ加工機のアシストガス制御方法。
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