JP3640009B2 - ウッド舗装の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小さな寸法の多数の木質チップ、バインダ、水及び防腐剤を含むウッド舗装材料によってウッド舗装を形成する方法に関し、とくにレジャー施設や運動施設に適したウッド舗装の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レジャー施設や運動施設に適したウッド舗装において、バインダとしてウレタン樹脂を使用することは公知である。たとえば、ウレタン樹脂(一液水分硬化型)をバインダとしている木質チップ舗装は、各種のものが提案されている。
【0003】
特許第2537685号公報には、整地した地盤上に砕石層と開粒度アスコン層とから成る中間層を形成し、前記中間層の表面に湿気硬化型ウレタンプレポリマーのトルエン2倍溶液を塗布し、前記塗布面上に天然木材の外皮及び/または心材を粉砕した粒状チップに湿気硬化型ウレタンプレポリマーを添加した混練材料を敷き詰めて成る木質舗装が示されている。
【0004】
特開平8−113715号公報には、ウッドチップに瀝青系結合材を添加混合した舗装が示されている。
【0005】
特開平6−17403号公報には、ウッドチップまたはウッドファイバーにエマルジョン形または溶液形の結合剤を加え、さらに中和剤を添加して練り合わせ、また衝撃負荷の高い路面の場合は、前記練り合わせた混合物に細骨材を加えた表層混合物が示されている。
【0006】
特開平4−347202号公報には、ウッドチップまたはウッドファイバーの単体もしくはウッドチップまたはウッドファイバーと、砂とを容積比で80:20、または60:40の割合で配合し、これに湿気硬化型樹脂系の接着剤を加えて混練し、これを路盤上に敷きならし転圧した舗装材が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
木質系舗装は、弾力性に富み透水性が確保されることから、これまで運動施設やジョッキング走路、散策路等に使用されてきた。
【0008】
しかし、従来の木質系舗装は施工費が高いこと、耐久性が短く、困難なメンテナンスが必要であること等から広く普及するまでに至っていない。
【0009】
本発明の目的は、経済性の向上、耐久性の向上、施工の簡略化が容易であり、かつ、表面強度の大きいウッド舗装を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段を例示すると、小さな寸法の多数の木質チップ、バインダ、水及び防腐剤を含むウッド舗装材料を使用し、バインダがウレタン反応で発生した炭酸ガスを素早く外部へ放出する添加剤を含み、その添加剤が破泡剤と溶剤からなり、さらに、バインダが、主な成分として、ウレタン反応とウレア反応が生じる一液湿気硬化型のウレタン樹脂を含み、イソシアネートとアミン(触媒)によるウレア反応で架橋反応を生起させて、不溶性の非常に硬い膜を表面に形成して表面強度を大きくすることを特徴とするウッド舗装の形成方法である。
【0011】
好ましくは、本発明の他の解決手段によれば、前述のウッド舗装の木質チップが15mm以下の寸法に加工された木片であり、ウッド舗装の厚みが20〜40mmである。また、好ましくは、破泡剤は、シリコン系樹脂(ポリシロキンサン)、アクリル系共重合物、ポリエステル系界面活性剤、ポリエーテル系界面活性剤、ポリカルボン酸陰イオン活性剤、アンモニウム塩ポリマー、ポリオキシンアルキレングリコール、多核フェノールエトキシレートを単独又は組合せで使用するのが好ましい。
【0012】
また、溶剤は、芳香族系の溶剤であるのが好ましい。さらに、触媒として金属塩が添加されているのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
一般的に一液湿気硬化型ウレタン樹脂は、水と反応して硬化する。この現象はウレタン反応硬化中連続して起こり、その間炭酸ガスが発生する。密閉に近い状態で締め固められた混合物は炭酸ガスの圧力で上部に持ち上げられ、ブリスタリング(膨れ)が発生する。したがって、一液湿気硬化型ウレタン樹脂混合物は、ブリスタリングで施工しにくいという問題点がある。
【0014】
一般的な一液湿気硬化型ウレタン樹脂の反応は、次のとおりである。
【0015】
2R−N=C=O+H2O → R−NH−CO−NHR+CO2(炭酸ガス)
本発明のウッド舗装に使用しているバインダは、従来の一液湿気硬化型ウレタン樹脂を改良した特殊ウレタン樹脂を主な成分として使用し、それに添加剤と触媒を添加ししたもの(以下、改良型ウレタン樹脂という)である。改良型ウレタン樹脂の主な特長は、以下に示すとおりである。
【0016】
(1)ウレタン樹脂の改良により、ウレタン反応だけではなく、ウレア反応も起り、表面に不溶性の膜を形成する。そのため、表面強度が大きい。
【0017】
(2)添加剤により、ウレタン反応で発生した炭酸ガスが素早く外部へ放出される。
【0018】
(3)触媒の添加により、炭酸ガスの発泡が速められる。
【0019】
したがって、改良型ウレタン樹脂をバインダとした混合物は、施工時にブリスタリングが起こりにくい。そのため、施工しやすく、仕上げが簡単であること、表面強度が大きいことなどの特徴がある。
【0020】
炭酸ガスを素早く外部に放出するのに最も有用な添加剤は、例えば破泡剤10%と溶剤90%を混合したものである。
【0021】
この場合、破泡剤は、シリコン系樹脂(ポリシロキンサン)、アクリル系共重合物、ポリエステル系界面活性剤、ポリエーテル系界面活性剤、ポリカルボン酸陰イオン活性剤、アンモニウム塩ポリマー、ポリオキシンアルキレングリコール、及び多核フェノールエトキシレートから選ばれた少なくとも1つである。
【0022】
溶剤は、キシレン、トルエン等の芳香族系の溶剤である。
【0023】
触媒は、錫等の金属塩である。このような錫等の金属塩は、炭酸ガス抜きに有用な添加剤に対して0.1〜2.0%添加するのが好ましい。
【0024】
ウレア反応とは、置換尿素反応のことであり、イソシアネートとアミン(触媒)によるものであるため、架橋反応が起こり、不溶性の非常に硬い膜が得られる。一般的な一液湿気硬化型ウレタン樹脂では、ウレア反応は起らない。
【0025】
R−N=C=O+R´−NH2 → R−NH−CO−NH−R´
本発明による最適のウッド舗装は、長さ15mm以下に加工した木片(建築廃材、間伐材等をチップ状に加工したもの、以下木質チップという)、バインダ(改良型ウレタン樹脂)、水、特殊添加剤等の混合物をアスファルト混合物(アスコン)、コンクリート、または砕石等の施工基盤上に左官ゴテで20〜40mm程度の厚さに仕上げた歩行者専用の舗装である。
【0026】
本発明によるウッド舗装の形成方法はバインダに改良型ウレタン樹脂を使用しているので、従来の一液湿気硬化型ウレタン樹脂を使用したウッドチップタイプの木質舗装に比べて、次のような効果を持っている。
【0027】
(1)ウレタン樹脂硬化時に発生する炭酸ガスを外部に素早く放出したり、発泡が速くなるので、施工時に膨脹がなく、施工時間が短縮できる。
【0028】
(2)アスコン、コンクリート等の施工基面と接着が良いため、プライマーが不要である。
【0029】
さらに、本発明の好適な実施例によるウッド舗装の形成方法は、従来のものとバインダおよび木質チップの形状に違いがあり、以下に示すような効果をもっている。
【0030】
(1)伸縮量が大きく木質チップとの接着も強いバインダを使用しているため、柔軟性、耐久性に極めて優れている。
【0031】
(2)木質チップの大きさを15〜5mmの範囲とすることで、木質の美しさが得られ、歩行中に靴底に引っかかることがない。
【0032】
(3)衝撃吸収性が優れているため、歩行時にソフト感がある。
【0033】
(4)混合時に好みの着色剤を入れることでカラー化ができる。
【0034】
(5)特殊添加材を加えているため、腐食が起こりにくく耐久性がある。表面に特殊乳材を塗布すると、さらに耐久性の向上が可能である。
【0035】
(6)アスコン、コンクリート、砕石等のいずれの施工基盤にも適用できる。
【0036】
(7)アスコン、コンクリートとの接着性が良いため、プライマーを必要としない。
【0037】
(8)施工中、発泡による膨脹がないため、施工が速く、仕上がりも良い。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を説明する。
【0039】
適用場所
ウッド舗装はこれまでの硬く強い道路のイメージとは異なり、木の柔らかい性質を殺さずに舗装に取り入れたものである。衝撃吸収性が優れているため、歩くことを目的とした箇所やショッキングの走路に適している。
【0040】
具体的な使用場所としては、歩道、公園や広場の散策通路、ジョッキング走路、河川の堤防を利用した自転車道等がある。
【0041】
舗装構造
ウッド舗装は主として人間の歩行や自転車の走行を目的としているため、歩道舗装程度の舗装構造で良い。図1、2は、代表的な舗装構造を示す。
【0042】
図1に置いて、上から順に2.5cm厚のウッド舗装1、3cm厚のアスコン層2及び10cm厚の砕石層3が配置されている。一番下は路床である。アスコン層2の代りに5〜7cm厚のコンクリート層を設けてもよい。
【0043】
図2において、上から順に2.5cm厚のウッド舗装1、10cm厚の砕石層3が設けられている。一番下は路床である。
【0044】
なお、ウッド舗装1の施工厚さは2cmを最小としているが、より衝撃吸収性を求める場合は3〜4cm程度の厚さが望ましい。
【0045】
ウッド舗装1は同じ施工厚さであれば、砕石層3を基盤としたほうがアスコン層2を基盤としたものより衝撃吸収性がある。しかし、砕石層3を基盤とした場合は、地中から蒸発する水分で腐食の進行が速くなる。したがって、耐久性を重視すると、アスコン層2又はコンクリート層(5〜7cm厚)を施工基盤としたほうが良い。また、施工基盤を透水性のアスファルト混合物、セメントコンクリートを使用することによって透水性舗装も可能である。
【0046】
使用材料
ウッド舗装1の材料は、木質チップ、バインダ、水、特殊添加材を使用する。以下にその概要を示す。
【0047】
バインダ
バインダには、一液湿気硬化型の改良型ウレタン樹脂使用する。改良型ウレタン樹脂は他のウレタン樹脂に比べて、プライマー塗布が不要であること、木質チップとの接着が強いこと、長期にわたり弾力性が保持できること、ウレタン反応で発生する炭酸ガスが速く放出されるので施工が速くなることなどが特長としてあげられる。
【0048】
表1、2は、バインダの性状およびバインダ硬化後の物性を示す。
【0049】
【表1】
【表2】
木質チップ
木質チップは建築廃材または間伐材を加工したものが利用できる。たとえば、間伐材等を所定の大きさに加工したものを使用する。
【0050】
チップのサイズは、種々のサイズのチップを作り、見た感じ、歩いた時に靴底に引っ掛かりにくさ、引張強度等の比較試験を行って決定する。
【0051】
たとえば、図3に示すように、長さ15mm以下、幅10mm以下、厚さ3mm以下の直方体で、角に丸味を付けたものが好ましい。
【0052】
特殊添加材
木質チップは、施工後、半年程度で表面が灰色に変色する。水分があると、その変化が速く灰色から黒褐色に変わり、腐食しやすくなる。ウッド舗装1は、腐食防止を遅らすために特殊添加材を使用する。特殊添加材の典型例は、三酸化アンチモンを主成分とした防腐剤である。
【0053】
水
水道水を使用する。
【0054】
ウッド混合物の配合と特性
配合
ウッド混合物は、好ましくは、木質チップ、バインダ、水、特殊添加材の4種類の材料を使用する。配合は木質チップの重量が含水比によって異なるため、容積配合で行う。その標準配合率を表3に示す。
【0055】
性状
ウッド舗装は、高強度、高たわみ性、耐久性、すべり抵抗性、衝撃吸収性等に優れた混合物である。
【0056】
以下、これらの特性値について確認した結果を示す。
【0057】
(1)強度試験
強度、たわみ性については、半たわみ性混合物の曲げ強度試験を適用した。供試体寸法は160×50×50mm、荷重速度は1mm/minで行った。
【0058】
結果は、弾力性があるために全荷重1,176N(120kgf)付近で一定となり、最終的には供試体の下面が載荷板に接触し破壊するまでに至らなかった。この時の最大変位量は25mmあり、混合物のたわみ性が大きいことが分かる。全荷重を1,176Nの曲げ強度を求めると、1.41MPa(14.4kgf/cm2)となり、高強度が得られていることが分かる。
【0059】
(2)耐久性試験
耐久性については、排水性アスファルト混合物の骨材飛散抵抗性(バインダの 把握力)を評価するカンタブロ試験を行った。
【0060】
試験方法はロサンゼルスすり減り試験機を用い、供試体を入れて300回転後の供試体のすりへり減量から求められる。
【0061】
試験結果は、300回転ではすり減り減量が0%であった。また、1500回転まで増やしたが、すり減り減量がほとんどなく、バインダの把握力が大きいことが分かる。
【0062】
(3)透水性試験
透水性については、アスファルト混合物の透水係数を求める方法で行った。供試体は、マーシャル試験用と同じ寸法のものを使用した。
【0063】
透水係数は5.5×10-2であった。これは、きれいな砂と礫との混合物と同等であり、かなり透水性のあることが分かる。
【0064】
(4)すべり抵抗試験
すべり抵抗試験は、ボータブル・スキッドレジスタン・ステスタ(BPN)で行った。
【0065】
BPNすべり抵抗値は63(湿潤状態)となり、アスコン層とほぼ同程度となっている。なお、歩道舗装のすべり抵抗の基準値(東京都)はBPNで40以上となっており、ウッド舗装1は基準を十分満足している。
【0066】
(5)衝撃吸収性、反発弾性
衝撃吸収性、反発弾性については、GB係数試験、SB係数試験で評価した。試験は100cmの高さからゴルフボール(GB)およびスチールボール(SB)を落下させた時のバウンド高(cm)を測定し、その値を百分率で表わしたものである。GB係数は衝撃吸収性、SB係数は反発弾性を評価するものである。そして、歩道舗装はGB、SB係数とも低いほうが良いとされている。
【0067】
試験は、ウッド舗装1の厚さ2cm、施工基盤をアスコン層2、砕石層3を2種類として実施した。
【0068】
図4は、上記の試験結果と他の表層材料とを比較して示したものである。
【0069】
これによると、ウッド舗装1は、クレー舗装に近い舗装材料として評価され、歩道舗装材料として優れていることが分かる。また、施工基面を砕石にしたほうが、SB係数、GB係数とも小さく、よりクレイ舗装に近いことが分かる。
【0070】
次は、施工について説明する。
【0071】
施工手順
図5は、ウッド舗装1の標準的な作業のフロー図である。
【0072】
下地の準備
施工基面がアスコン層やコンクリート層の場合は、表面の異物を取り除く。特に、泥や砂などが表面に残っている場合は、下地との接着不良になりやすいので完全に取り除く。砕石層3上では浮き石が出やすいので、事前に取り除く等平滑になるように処理する。
【0073】
コンクリート層の目地やひび割れ、アスコン層のひび割れ等は、事前に溝を瀝青材でシールしておくと良い。また、10mm以上の段差がある場合には、樹脂モルタル等で不陸整正を行う。なお、ウッド舗装1は、水を使って混合するため雨上がりで施工基面が濡れた状態でも、接着は問題ない。
【0074】
型枠の設置
型枠は、施工継目になる箇所(広い面積のときは施工幅最大3m程度とする)、仕上り線形と角の乱れ防止、および厚さの確認等を目的に設置するものである。
【0075】
舗装端部については型枠を設置しないで、丸味をつけて仕上げる。型枠材は施工厚さに合致したものを用意し、敷均した混合物と接触する面にはクラフトテープを貼り、型枠へ混合物が付着するのを防止する。
【0076】
混合物の製造
(1)材料の荷姿
木質チップの荷姿は、1袋40l(約13.5Kg乾燥品)のビニール袋入り である。
【0077】
バインダの荷姿は、18l缶入りである。
【0078】
(2)製造方法
混合物の製造は、モルタルミキサで行う。図6は、混合物製造のフロー図である。
【0079】
モルタルミキサに木質チップを投入し撹拌した状態で、事前に混合しておいた特殊添加剤入り水、さらに残りの水を少しずつ投入する。木質チップの色、濡れた状態が均一になるまで撹拌を続ける。
【0080】
チップ全体に水が馴染んだ頃(約1分程度)を見定め、バインダを投入して、さらに1分程度混合する。チップ全体に樹脂が被覆していれば混合を終了する。
【0081】
混合時の留意点を以下に示す。
【0082】
○バインダは1度蓋を開け外気にふれると、空気中の水分でも硬化するので、残さず使いきる。
【0083】
○冬場など気温が低いと、バインダの粘度も高くなり扱いずらくなる。このような時は、缶をバーナーやガスコンロで加温すると良い。ただし、この時のバインダ温度は30〜40℃の範囲とし、暖め過ぎないように注意する。
【0084】
○表3の標準配合は容積配合率で表わしているが、チップ以外の計量は重量計量(密度=1.0kg/lでよい)で行う。
【0085】
【表3】
○大型のミキサで多く混合する場合には表3の標準配合を基本とし、各々の材料の配合率を乗じて使用量を求める。
【0086】
モルタルミキサは、200リットル以上の大きさが望ましい。これは木質チップが混合時に水を含んで1.5倍以上の容積に膨らみ混合量が多くなること、施工厚さが厚くとなると、1バッチ当りの施工面積が小さくなること等の理由によるものである。
【0087】
ミキサの容量と混合物の仕上がり容量との関係を図7に示す。
【0088】
混合物の運搬・敷き均し
混合物の運搬は、一輪車で施工位置まで運ぶか、または施工位置にミキサを設置して直接排出する。どちらの方法で施工するかは、現場の状況をみて判断する。
【0089】
敷き均しは熊手型レーキを使用し、前もって区割りした1バッチ当りの施工面積に全体に均一の厚さになるよう敷き広げる。
【0090】
図8は、施工厚さと木質チップ1m2当り使用量との関係を示したものである 。
【0091】
この図8より明らかなように、仕上げ厚3cmとすると、1m2当りの木質チ ップ使用量は30リットルとなる。
【0092】
実際にはミキサの混合量から逆算し、施工厚さに相当する1バッチ当りの区割り面積を求めておくと、所定敷き均し厚となる。
【0093】
表面仕上げ
熊手型レーキであらかた均一に均した後、表面仕上げに入る。熊手型レーキで均した後の混合物は、ウレタン樹脂の強い粘着性で図9に示すように方向性のないバラバラの状態になる。
【0094】
仕上げは、金ゴテで混合物を押さえつけながら平坦かつ均一になるように行う。
【0095】
一般的な一液湿気硬化型ウレタン樹脂をバインダに使用する場合は、混合後5〜90分程度の間に炭酸ガスが発生し、敷き均らした混合物が膨張する。しかし、ウッド舗装1に使用している改良型ウレタン樹脂は、混合物の膨脹がほとんど見られない。
【0096】
養生、開放
養生はシート等で覆う必要がなく、そのまま放置するだけで良い。ただし、バインダ硬化中は、跡が付くので人、動物等が入らないような処置が必要である。また、養生中の小雨は、特に問題はない。
【0097】
図10は、硬化時間と気温との関係を示したものである。
【0098】
これによると、硬化時間は気温に左右され、気温が高いと短く、低いと長くかかる。
【0099】
開放は、混合物の表面を手で触れてべとつきがなくなった状態で行う。概略の時間は、図10の「硬化時間と気温との関係」を利用する。
【0100】
出来形管理、品質管理
表4は、出来形管理、品質管理を示す。
【0101】
【表4】
施工に必要な機器
施工に必要な機器は施工規模や場所によっても異なるが、通常は表5に示すような機器を準備する。
【0102】
【表5】
本発明によるウッド舗装の特長に関する追加試験結果を以下に示す。
【0103】
ウッド舗装はバインダに改良型ウレタン樹脂を使用しているので、従来の一液湿気硬化型ウレタン樹脂を使用したウッドチップタイプの木質舗装に比べて、次のような特長を持っている。
【0104】
○ウレタン樹脂硬化時に発生する炭酸ガスを外部に素早く放出したり、発泡が速くなるので、施工時に膨張がなく施工時間が短縮できる。
【0105】
○アスコン、コンクリート等の施工基面と接着が良いため、プライマーが不要である。今回の追加試験はこれらの特長を確認するために行ったもので、結果は改良前のウレタン樹脂を使用した混合物(以下、従来型樹脂混合物)と改良後のウレタン樹脂を使用した混合物(以下、改良型樹脂混合物)との比較試験で示している。
【0106】
改良型樹脂混合物の膨張量低減について
改良型樹脂混合物の膨張量確認試験は、以下に示す方法で実施した。
【0107】
○混合物は、従来型樹脂混合物、改良型樹脂混合物とも同じ配合とした。配合は、含水比15%のウッドチップにウレタン樹脂16%添加した混合物(標準配合、重量配合)を使用した。
【0108】
○膨張量は、混合物を直径15cm、高さ5cmの鉄製の容器に入れ、現場で施工したものと同じ密度(0.5ton/m3)になるように締め固めたもので測 定した。また、膨張量の測定時間は、容器に詰めて締固めた時をゼロ時間とした。
【0109】
○膨張量は、下式で求めた。
【0110】
膨張量(%)={経過時間後の膨張高さ(cm)−ゼロ時間経過後の高さ(5cm)}/ゼロ時間経過後の高さ(5cm)×100
図11は、従来型樹脂混合物と改良型樹脂混合物の膨張率と経過時間との関係を示す。
【0111】
これによると、次のようなことが分かる。
【0112】
○従来型樹脂混合物は、混合後直ぐ膨張が始まり100分程度で、最大で170%の膨張率(膨張量で2.7倍)となったが、改良型樹脂混合物はほとんど膨張しなかった。これは、改良後樹脂の炭酸ガスが速めに外部に放出されたためと考えられる。
【0113】
○混合物の硬化状態は、従来型樹脂混合物、改良型樹脂混合物とも同じであった。すなわち、混合物は、混合から40分程度から硬くなり、160分後程度では仕上げができなくなった。また、200分程度で樹脂のべとつきがなくなった。
【0114】
下面との接着について
前述の配合の混合物で施工基面との接着試験を図12に示すように実施した。試験条件は、以下のとおりである。
【0115】
○施工基面はアスファルト混合物である。
【0116】
○プライマーは、有(従来樹脂、改良樹脂)と、無の両方とした。
【0117】
○引張り試験は、アスコン舗装上にセットしたモールド中に混合物を所定の密度荷なるように締め固め、その状態で6日間養生したものについて実施した。
【0118】
試験結果を図13に示す。
【0119】
これによると、改良型樹脂混合物はプライマー無で0.20MPa(2.0kgf/cm2)となっており、必要な接着強度を十分に満足していることが分か る。
【0120】
改良型樹脂混合物を使用した場合の効果
(1)施工時間の短縮、施工工程の簡略化
改良型樹脂混合物は、膨張がほとんどないため施工工程の簡略化と施工時間の短縮が可能である。図14は、従来型樹脂混合物と改良型樹脂混合物の施工概要を示す。
【0121】
これによると、改良型樹脂混合物は従来型樹脂混合物に比べて、粗仕上げ、ガス抜き工程がなくなること、施工時間が1.5時間から2時間程度短縮できること等の効果がある。
【0122】
(2)プライマーが不要
改良型樹脂混合物は、混合物の樹脂が施工基面に付着する。その接着強度は0.2MPaとなっており、必要な接着強度0.1〜0.15MPa(1.0〜1.5kgf/cm2)を十分に満足している。したがって、改良型樹脂を使用すると、施工基面にプライマーを塗布する必要がない。
【0123】
なお、改良型ウレタン樹脂の配合例を表6に示す。
【0124】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のウッド舗装を有する舗装構造の一例を示す。
【図2】 本発明のウッド舗装を有する舗装構造の他の例を示す。
【図3】 本発明のウッド舗装に使用する木質チップの形状の一例を示す。
【図4】 各種表層のGB係数とSB係数の関係を示す。
【図5】 本発明のウッド舗装の標準的な作業のフローの一例を示す。
【図6】 本発明のウッド舗装の標準的な作業における混合物製のフロー図である。
【図7】 ミキサ容量と混合物仕上がり容量との関係を示す。
【図8】 1m2当りのチップ使用量と施工厚との関係を示す。
【図9】 混合物を均した2つの状態を示す。
【図10】 硬化時間と気温との関係を示す。
【図11】 膨脹率と経過時間との関係を示す。
【図12】 ウッド舗装の接着試験の一例を示す。
【図13】 接着強度の試験結果を示す。
【図14】 使用樹脂による施工工程と施工時間の比較例を示す。
【符号の説明】
1 ウッド舗装
2 アスコン層又はコンクリート層
3 砕石層
Claims (2)
- 小さな寸法の多数の木質チップ、バインダ、水及び防腐剤を含むウッド舗装材料を使用し、バインダがウレタン反応で発生した炭酸ガスを素早く外部へ放出する添加剤を含み、その添加剤が破泡剤と溶剤からなり、さらに、バインダが、主な成分として、ウレタン反応とウレア反応が生じる一液湿気硬化型のウレタン樹脂を含み、イソシアネートとアミン(触媒)によるウレア反応で架橋反応を生起させて、不溶性の非常に硬い膜を表面に形成して表面強度を大きくすることを特徴とするウッド舗装の形成方法。
- 表面に乳材を塗布することを特徴とする請求項1に記載のウッド舗装の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05248199A JP3640009B2 (ja) | 1999-03-01 | 1999-03-01 | ウッド舗装の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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