JP3639874B2 - 人工雪種および人工雪の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は人工雪種および人工雪製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、吸水しても球状を保ち互いに非粘着性である高吸水性樹脂に吸水させずにあるいは吸水させて膨潤させた球状の人工雪種であり、吸水させていない場合は吸水させて、それを凍結すればそのまま粒状あるいは落雁状の人工雪とすることができる人工雪種およびそれを用いた人工雪の製造方法に関するものであり、製造される人工雪はスキーの滑走性に優れる上に雪質をコントロールしてスキーに適するようにすることができる。
【0002】
【従来の技術】
(天然雪)
近年、年々積雪が少なくなり、スキー場のオープンに支障を来している。しかも地上に積もった天然の雪は軟らかすぎてスキーの滑りが悪く、そのままではゲレンデとして不向きなため、圧雪車で雪を何回も圧縮しなければならない。また圧雪車による圧縮では競技には向かず、人が靴だけで踏む「つぼ足」や敷きつめた雪に散水する方法などが採用されている。このようにしてメークしたゲレンデは、外気の温度により大きく影響され、時間の経過と共に雪質が変化していく。積雪内部で昇華・凝縮が起こり、雪結晶の変化が進行するためであり、「しまり雪」から「ざらめ雪」へと進む。ざらめ雪はスキーヤーにとって非常に滑りにくい雪であり、そのため雪を砕く作業、すなわちグルーミングを頻繁に行わなければならないが、それでも充分な効果があるとはいえない。
【0003】
(人工雪)
最近我が国のスキー場においても、滑走シーズンを早めたり延ばしたりするため、人工降雪装置の導入が盛んである。人工降雪装置には大別するとガンタイプとファンタイプの2種類がある。これらの装置で雪を造る方法は、0℃以下の大気中で高圧の水を圧搾空気の断熱膨張を利用して、あるいは冷たい空気を利用して細かい氷を造る方法である。そのようにして造られた人工雪は水分を10%以上含み、密度が0.3〜0.4g/cm3 、強度が1Kg/cm2以下であり、圧雪しなければスキーに適さない。またこのような雪は天然雪に比べ、雪質の変化が急速に進行し、数日経過すると、外径が約1〜5mmのざらめ雪へ進む場合もある。ざらめ雪は前述のごとくスキーにとって厄介な雪質であり、前述と同様な対策が施される。
また水を凍結させて氷塊とし、物理的衝撃を与えて粉砕して氷粒や雪片とする人工造雪機も導入されているが、これも厄介な雪質であるかき氷状雪またはざらめ雪しか得られない欠点があり、前述と同様な対策が施される。
【0004】
また、特許出願公表昭63−500526号に開示されているような、水膨潤性材料(吸水性樹脂)と水を混合し(吸水させ)、曝気後凍結させて造る人工雪の場合、雪の密度や強度は、曝気条件や凍結条件によってばらつきやすく、密度が0.4〜0.9g/cm3 、強度が10〜数100kg/cm2となる。そのような雪は雪と言うよりも、ごつごつした細かい氷またはアイスバーンと同じ状態である。アイスバーンと同じ状態のものは上記のように物理的衝撃を与えて粉砕して氷粒や雪片としなければならず、ざらめ雪状のものしか得られない。従って、水膨潤性材料のみで人工雪を造る場合、スキーに適するようにするためには凍結した粒子同志が必要以上に結合しないように、界面活性剤を加えたり、粒子径や吸水比率を調整したり、グルーミングを頻繁に実施したりしなければならない。そのような雪はスキー場にとって非常に使いにくい雪といえる。
【0005】
また、屋外スキー場は天候に左右されるので、四季を通じて利用することができる屋内スキー場の人気が高まっている。屋内スキー場の人工ゲレンデも上記の人工雪や、人工氷粒や雪片など、あるいは水膨潤性材料(吸水性樹脂)と水から造られる人工雪等を人工のスロープに配設して造られる。しかし、これらの方法によって造られた屋内スキー場でも上記と同じ問題がある。
【0006】
また、屋内スキー場の人工ゲレンデに前記水膨潤性材料(吸水性樹脂)と水を混合(重量比、約1/80〜1/100)した糊状のものを配設し、スケート場のように一旦は全面結氷させた後、その表面のみをグルーミングして氷を削り取り人工雪とした人工ゲレンデもある。この方法によって造られた屋内スキー場でも上記の問題があるほか、人工雪の下にはアイスバーンのような氷の層があるのでストックが立たない等の問題もある。
【0007】
また、本発明者等によって開発された、高吸水性樹脂粒状体を使用して吸水させ、凍結して造られた人工雪(特開平4−43274号公報、特開平4−43275号公報など)を用いれば上記の問題は解決されるが、この方法で造った人工雪は吸水した高吸水性樹脂粒状体自体が凍結しているか、あるいは冷却時に高吸水性樹脂粒状体から吸水した水が放出されて顕微鏡写真(図2)に見られるように針状または霜柱状の氷結晶を形成しているので、人工ゲレンデにしてスキー滑走に供した場合、スキー滑走面と高吸水性樹脂とが接触してしまい、自然の粉雪の動摩擦係数(μk)が約0.02〜0.05であるのに対し、約0.04〜0.10と動摩擦係数(μk)がアップしてしまう問題があった。
動摩擦係数(μk)が0.06以上になると、スピードが低下し、ターンなどのスキーの操作性が悪くなり、その結果、自然のゲレンデと違和感があり、滑走の快適さが損なわれてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の天然雪や人工雪などは、(1)スキーヤーのレベルや好みに応じた任意の密度や強度の雪が得られない、(2)雪質の経時変化が大きく、ゲレンデのコンディションを保つのが難しい、(3)ゲレンデの建設費や維持費が高い、(4)水膨潤性材料(吸水性樹脂)と水から凍結して造られる人工雪は、氷塊になるので、それを一旦粉砕しなければならない、(5)動摩擦係数(μk)が高いなどの問題があった。
本発明は、これらの問題を解決し、自然の粉雪の動摩擦係数(μk)とほぼ同等の値を有し、スキーの滑走性に優れる人工雪を製造する方法およびそのような人工雪を作ることができる人工雪種を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはスキーの滑走性に優れる人工雪種および人工雪を開発すべく研究を重ねた結果、吸水した後も球状を保ち互いに非粘着性である高吸水性樹脂の表面が含フッ素化合物でコーティングされている人工雪種を用いることにより上記の課題を解決することができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の請求項1の発明は、フッ素を含有する材料で表面がコーティングされており、かつ吸水した後も球状を保ち互いに非粘着性である高吸水性樹脂からなる人工雪種であって、フッ素を含有する材料が、前記高吸水性樹脂を逆相懸濁重合により製造する際に用いる分散剤であることを特徴とする人工雪種である。
【0011
本発明の請求項2の発明は、フッ素を含有する材料がアクリル系共重合体である請求項1に記載の人工雪種である。
【0012
本発明の請求項3の発明は、フッ素を含有する材料がフッ素を3個以上有するアクリル又はメタクリルエステルを10重量%〜90重量%含有するアクリル系共重合体である請求項2に記載の人工雪種である。
【0013】
本発明の請求項4の発明は、次の(イ)および(ロ)の工程を含む人工雪の製造方法である。
(イ)吸水した後も球状を保ち互いに非粘着性である脱イオン水に対する吸水能が30〜500倍、吸水前の球径が20〜500μmであり、かつ高吸水性樹脂を逆相懸濁重合により製造する際に用いる分散剤であるフッ素を含有する材料で表面がコーティングされている高吸水性樹脂に吸水させて、0.05〜2mmの球径となるまで膨潤させる工程。
(ロ)下記A、BおよびCから選択される少なくとも一つの工程で凍結させる工程。
A:膨潤した球状の高吸水性樹脂を、冷凍パイプを敷きつめた床面から凍結させる工程。
B:膨潤した球状の高吸水性樹脂を、ドライアイス、液化炭酸、液体窒素から選択される少なくとも一つと混合して凍結させる工程。
C:膨潤した球状の高吸水性樹脂を、天然雪、人工降雪装置により造った人工雪あるいは氷塊を粉砕した氷雪と混合した後、冷凍パイプを敷きつめた床面から凍結させる工程、あるいはドライアイス、液化炭酸、液体窒素から選択される少なくとも一つと混合して凍結させる工程。
【0014
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる高吸水性樹脂しては、デンプン系、セルロース系あるいはアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸塩、メタアクリル酸塩、スチレン、ビニルエーテル等のポリマー、コポリマー、ターポリマー等の合成樹脂系などがあげられるが、とりわけ球状を示す、有機溶剤中で逆相懸濁重合して得られるポリアクリル酸塩、ビニルアルコールとアクリル酸塩共重合体またはイソブチレンと無水マレイン酸との共重合体ケン化物が好適である。
【0015
本発明における高吸水性樹脂を逆相懸濁重合により製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば具体的にはアクリル酸とそのアルカリ塩水溶液を逆相懸濁重合することにより製造することができる。アクリル酸とそのアルカリ塩水溶液は、アクリル酸単量体をアルカリ金属塩である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、あるいは水酸化アンモニムなどの水溶液で部分中和することにより調整される。中和度は吸水能、安全性を考慮して60〜85%が好ましい。また水溶液中の単量体濃度は35〜75重量%、好ましくは40〜70重量%がよい。
高吸水性樹脂を製造する範囲内で、アクリル酸とそのアクリル酸アルカリ塩単量体と共重合し得る不飽和単量体を共重合させてもよい。
【0016
アクリル酸とそのアルカリ塩水溶液を逆相懸濁重合させる際、重合開始剤としては、架橋剤単量体を用いない自己架橋型であるため、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き水溶性過硫酸塩や、過酸化水素が好ましい。重合開始剤の使用量は単量体に対し0.1〜2.0重量%、好ましくは0.2〜1.0重量%がよい。
【0017
逆相懸濁重合の脂肪族炭化水素溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、ノチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素などがあげられるが、好ましくはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサンが適当である。
【0018
高吸水性樹脂を製造する際、特に重要なもう一つの要件は、逆相懸濁重合終了後、無機物質存在または不存在下架橋剤で架橋反応させることである。
【0019
架橋剤としては、カルボキシル基(又はカルボキシレート基)と反応しうる官能基を2個以上有する化合物であればよい。かかる架橋剤としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド類などがあげられるが、好ましくはエチレングリコールグリシジルエーテルが適当である。
【0020
架橋剤の添加量は架橋剤の種類及び分散剤の種類によっても異なるが、通常アクリル酸とそのアルカリ金属塩単量体に対して0.05〜2重量%が適切な範囲である。前記架橋剤使用量が0.05重量%未満では吸水時の粒子独立性、粒子の強度が悪く、2重量%より多くすると架橋密度が高くなりすぎ、吸水性の著しい低下をきたす。
【0021
架橋反応させる際、無機物質を加えると、いっそう吸水時の粒子独立性が増す。無機物質としてはホワイトカーボン、タルク、ハイドロタルサイト、微粉シリカ(アエロジル)などがある。また、この時、界面活性剤を添加してもよく、従来公知のノニオン系界面活性剤などが用いられる。
架橋反応の方法は、従来から知られている共沸脱水や減圧加熱乾燥時に架橋剤を加えればよく、共沸脱水時の添加が容易である。
【0022
本発明においては、フッ素を含有する材料を高吸水性樹脂の表面にコーティングする方法は特に限定されるものではなく、上記のようにして製造された高吸水性樹脂にフッ素を含有する材料を公知の方法により添加、攪拌するなどして表面にコーティングしても差し支えなく、また、高吸水性樹脂を逆相懸濁重合により製造する際にフッ素を含有する材料を分散剤として脂肪族炭化水素溶媒に分散溶解して使用して、表面にコーティングしてもよい。
分散剤として用いる場合の分散剤の量は、アクリル酸とそのアルカリ塩単量体に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%の範囲で用いられる。分散剤の量が0.1重量%未満ではスキーの滑走性の改良効果が少なく、また重合のコロイド分散性が不安定となり、10重量%を越える場合、それ以上のスキーの滑走性の改良効果がない上、粒径が細かくなりすぎ、経済的にデメリットとなる。
【0023
本発明において用いるフッ素を含有する材料としては、例えば具体的には、含フッ素系モノマーを懸濁重合法、溶液重合法などにより(共)重合して得られる重合体や共重合体を挙げることができる。含フッ素系モノマーには、フルオロアルキル含有アクリレートあるいはメタクリレートのように、直接重合に関与しない部位に弗素原子をもつ含フッ素アルキル(メタ)アクリレートと、重合性基に弗素原子をもつものとがある。
【0024
重合性基に弗素原子をもつものとしては、例えば弗化ビニル、弗化ビニリデン、1−クロロ−1−フルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(n−プロピルビニルエーテル)などを挙げることができる。
【0025
含フッ素アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘプタフルオロブチルアクリレート、ヘプタデカフルオロオクチルエチルアクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフルオロイソプロピル−α−シアノアクリレート、トリフルオロエチル−α−クロロアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0026
本発明においては、フッ素を含有する材料が含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いたアクリル系(共)重合体であることが好ましく、さらにフッ素を含有する材料がフッ素を3個以上有する含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを10重量%〜90重量%含有するアクリル系(共)重合体であることがより好ましい。含フッ素アルキル(メタ)アクリレートが10重量%未満ではスキー滑走性の改善がなされず、90重量%を越えると高吸水性樹脂製造時にブロッキングが起こることがある。
【0027
含フッ素アルキル(メタ)アクリレートと共重合する単量体としては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基などの官能基を有する(メタ)アクリレートや(メタ)アクリルアミドおよび/または炭素数1以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのような共重合可能な他の不飽和単量体を挙げることができる。
上記アクリル系(共)重合体中の官能基を有する(メタ)アクリレートや(メタ)アクリルアミドの含有量は5重量%〜40重量%であることが好ましい。10重量%未満では高吸水性樹脂製造時にブロッキングが起こることがあり、40重量%を越えると上記アクリル系(共)重合体を分散剤として使用する時、前記脂肪族系炭化水素溶媒に溶けなくなる。
共重合可能な他の不飽和単量体の含有量は0〜85重量%であることが好ましい。
【0028
本発明に用いられる高吸水性樹脂の形態は粒状であり、好ましくは球状であり、粒径が吸水させる前で約20〜500μm、吸水後で約0.05mm〜2mm程度になるものが好ましい。粒径が吸水させる前で約20μm 以下では細か過ぎて人工雪が硬くなり過ぎ、500μm 以上では人工雪がざらめ状になり好ましくない。
球状の高吸水性樹脂が好ましい理由として、取り扱い易い、凍結して得られる人工雪も球状となり、球状であるためスキーの滑りを悪くしない、天然の雪などと混ぜ易いことなどが挙げられる。
本発明に用いられる高吸水性樹脂が吸水した後も球状で流動性を保持し、互いに非粘着性とするためには、多価エポキシや多価アミンで架橋度を高めてやればよいが、架橋し過ぎると吸水能が低下するので、適当な吸水能になるよう架橋剤量を調節する。
本発明に用いられる高吸水性樹脂が吸水した後も球状で流動性を保持するのは、吸水した粒子間の付着水が少なく、粒子が互いに滑り合い空隙が生じることで起こると思われる。
高吸水性樹脂の中には吸水した時、糊状になるものがあるが、糊状になると凍結したとき一つの大きな氷塊になり、細かく砕かない限りスキー用の人工雪としては使えないし、またこの人工雪は前記のようにスキーに適するように維持するのが困難であるので好ましくない。
【0029
本発明の吸水した人工雪種を凍結して得られる人工雪は凍結方法、粒径、吸水倍率、吸水能などにより、細かく均一に分散している「さらさらしたもの」から、粒子相互が軽く接着しているような例えばお菓子の「落雁状のもの」ができる。
本発明の方法により製造される人工雪は、吸水した球状の人工雪種が冷却される時、人工雪種から水が放出され、顕微鏡写真(図1)に見られるような高吸水性樹脂を氷結晶が殻状に包んだ構造を有する人工雪となる。
従って、本発明の方法により製造される人工雪を用いて人工ゲレンデを作り、スキー滑走に供した場合、スキー滑走面と高吸水性樹脂とが接触しづらくなると共に、高吸水性樹脂の表面がフッ素を含有する材料でコーテイングされているため、潤滑性が改善され、自然の粉雪の動摩擦係数(μk)約0.02〜0.05とほぼ同等の動摩擦係数(μk)の人工雪となる。
【0030
本発明に用いられる高吸水性樹脂はイオン交換水に対する吸水能が30〜500倍、好ましくは50〜200倍がよい。30倍より吸水能が小さい場合は得られる人工雪の吸水能力が低いため人工雪が溶けて発生する液体の水を吸収して、目的条件の雪質に維持することが難しくなる。一方、500倍より大きい場合は吸水した時のゲル強度が弱く、圧力が加わると破壊され易くなり好ましくない。
【0031
本発明の人工雪種はあらかじめ吸水させていなくても、あらかじめ吸水させてあってもよい。
【0032
高吸水性樹脂に吸水させる方法はどんな方法でもよく、例えば攪拌した水の中に粒子を投入し、吸水倍率にもよるが数分間放置するだけでよい。水温により吸水速度は影響を受け、低温であると吸水速度は遅く、高温になるほど早くなる傾向があるので、例えば水温が10℃以下などの場合は適宜加熱して吸水させることが望ましい。
【0033
本発明の人工雪種を凍結させる方法は特に限定されるものではない。ドライアイス、液体窒素、液体空気、液化炭酸等を用い、公知の方法で攪拌するなどして凍結する方法、冷媒により冷却された金属製パイプやシート等の上に置いて冷却する方法、前記の人工降雪機や人工造雪機等を用いる方法などいずれでもよい。凍結方法により人工雪質が変わるので望ましい雪質が得られる凍結方法を選択するのが好ましい。
【0034
液体窒素、液体空気、液化炭酸等を用いて凍結させる方法は、これらが液体であるので、吸水させて膨潤した高吸水性樹脂粒状体と混合し易く、これらの気化潜熱作用を利用して短時間に効率よく人工雪種を凍結させることができるので好ましい方法である。液体窒素、液体空気、液化炭酸等以外でも同効物質であれば使用することができる。しかしこれらのなかでも液化炭酸の使用は、冷凍効果、経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ等の点で好ましい。
【0035
本発明の方法で人工雪を作るために先ず、吸水しても粒状を保ち互いに非粘着性であり、イオン交換水に対する吸水能が約30〜500倍、吸水前の粒径が約20〜500μm である高吸水性樹脂粒状体に吸水させて、その粒径が約0.05〜5mmとなるまで膨潤させ、次いで、膨潤した高吸水性樹脂粒状体をそのまま用いるか、あるいは天然の雪、人工降雪装置により造った人工雪あるいは氷塊を粉砕した氷雪と混合して、それを液化炭酸と混合して凍結させる。
【0036
液化炭酸としては市販のものを用いることができる。液化炭酸の気化潜熱は30℃で15.1Kcal/Kg 、10℃で48.1Kcal/Kg 、0℃で56.1Kcal/Kgなどであり、冷却、凍結に有効に用いることができる。
液化炭酸は炭酸ガスを約40気圧に圧縮し冷却して製造されるものであり、炭酸ガスの発生源としては、天然ガスやアンモニアプラントからのオフガス、石油精製やエチレン分解からのオフガス、その他化学メーカーや鉄鋼メーカーの余剰ガスや副生ガスなどがあり、いずれでも使用することができる。
【0037
吸水して膨潤した高吸水性樹脂粒状体などと液化炭酸とを混合して凍結させたり、得られたさらさらした人工雪を人工スキー場のスロープなどに配設する方法は手動でも、機械を用いて自動的に行なう方法でもよい。前記の人工降雪機や人工造雪機等を用いてもよいが、好ましくは液化炭酸と直接接触下に攪拌混合しながら急速に凍結する方法を用いる。液化炭酸の量や混合時間などは特に限定されない。凍結した人工雪の温度は約0〜−30℃となるようにするのがよいが、各種の条件によって異なるで、適宜選択するのがよい。
【0038
吸水して膨潤した高吸水性樹脂粒状体を天然の雪などと混合する方法も公知の方法を用いることができる。両者の混合比率は重量比で99/1〜1/99、好ましくは99/2〜20/80であり、使用目的によって適宜選択する。
【0039
本発明の人工雪種から造られる人工雪はそのままゲレンデに使用することができる。単独で直接使用することにより人工スキー場を手軽に造ることができる上、維持も容易となる。しかし、天然雪、本発明以外の方法で造られた人工雪や氷雪などと適宜配合して用いてもよい。配合割合は任意でよい。
ゲレンデを造るとき、例えば、「落雁状のもの」を下に敷き、その上に「さらさらしたもの」を置いてそれぞれ適当な厚さで構成すれば、前記のような問題のないスキーに適したゲレンデを造ることができ、ストックが立たないなどの問題もなくなる。
【0040
本発明の人工雪種は適当な方法により分離回収し、乾燥するなどして再使用することができる。
本発明の人工雪種はそれ自体光崩壊性、生分解性を有するので、使用後、廃棄しても問題がないが、特に早期の光崩壊や生分解を望む場合は、本発明の人工雪種に光崩壊、生分解用の公知促進剤、触媒、添加剤等を配合、添加、含浸、塗布などしてもよい。本発明の人工雪種自体は人体に対して安全なものであるから、これらの添加剤も安全性に配慮して選択するのが好ましい。
【0041
本発明の人工雪種を顔料、染料などを用いる公知の方法で着色してもよい。着色された人工雪種から造られる人工雪は美しく着色するので、新しい商業的価値を付加することができる。例えば、上級者用ゲレンデ、初心者用ゲレンデ等を色で区別することなどにも使用することができスキーをより楽しいものとする。
本発明の人工雪種に公知の香水、芳香剤、香料などを用いて賦香するとまた新しい商業的価値を付加することができる。
【0042
本発明の人工雪種に酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、核剤、増量剤、低摩擦係数を持つ物質、その他添加剤などを本発明の主旨をを損なわない範囲で添加、配合、塗布、含浸などしてもよい。
【0043
【実施例】
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例における吸水能、吸水後の流動性、吸水後のかさ比重、凍結後の人工雪の密度および強度は次の操作により求められる。
【0044
(イオン交換水に対する吸水能)
乾燥ポリマー0.5g を1リットルのイオン交換水に分散し、24時間静置後、60メッシュの金網で濾過し得られた水膨潤体重量(W)を測定し、この値を初めの乾燥ポリマー(W0 )で割って得られた値である。
【0045
(吸水後の流動性)
乾燥ポリマー1.0g にイオン交換水50cc加えて吸水し切った後、動かしながら水膨潤体を観察し、流動性を○、×、△で示した。
安息角を測定した。
【0046
(吸水後のかさ比重)
100ccビーカーに吸水後の高吸水性樹脂を約20gづつ加えながら、上面より押さえて、100ccの目盛りまで充填する。充填した吸水後の高吸水性樹脂重量を測定し、容積で除してかさ密度を求めた。
【0047
(凍結後の人工雪の密度)
体積のわかった雪を取りだし、秤量し、重量を体積で割って求める。単位はg/cm3 。雪が軟らかいときは、薄いステンレス製の内容積のわかった箱を積雪に差し込めば、体積のわかった雪が取れる。硬い雪の場合は、鋸で四角に雪を切りだし、寸法を物差しで計って体積を計算する。
【0048
(凍結後の人工雪の強度)
木下式硬度計で、人工雪におもりを落下させ、落下強度を測定する。単位はkg/cm2。円板の人工雪への沈みが7〜30mmに入るようアダプターを交換し、換算表から強度を求める。さらさらした雪などの場合は感触で表した。
【0049
(凍結後の人工雪の動摩擦係数μk)
−20℃のブラインを循環可能の内径約5mmの軟質合成樹脂の冷却パイプを設置してある人工雪ゲレンデの基盤の斜面(10°)に厚さ約5cmの含水吸水性樹脂層を形成し、次に−20℃のブラインを循環して、約20時間で水膨潤体を凍結させて人工雪をつくり、この人工雪を踏み固めてゲレンデ(長さ13m)を作る。ベースワックスのみの実物スキーで滑走し、所要時間(t)から次式により動摩擦係数μkを計算した。
μk=(gsinθ−2x/t2 )/gcosθ
但し:
g:動加速度(9.80m/sec2
θ:斜面の角度(100
x:斜面の距離(13m)
t:所要時間(sec)
【0050
(高吸水性樹脂球状体の合成例1〜8および人工雪種、人工雪の性状)
攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度計および窒素ガス導入管を付した500mlセパラブルフラスコにイオン交換水150gを仕込み、分散剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製GH−23)0.2gを添加し、加熱溶融させた後、窒素置換した。
一方、あらかじめ、三角フラスコ中でヘプタデカフルオロデシルメタクリレート(大坂有機化学株式会社製ビスコートV−#17FM)25.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)5.0g、メタクリル酸(MAA)5.0g、メチルメタクリレート(MMA)15.0gにアゾビスジメチルバレロニトリル1.0gを加えて溶解し、上記のセパラブルフラスコに窒素気流バブリング下に1時間かけて滴下した。65℃で5時間保持し、反応を終了させ、冷却後固形物を濾過し、水洗した後、減圧乾燥してビーズ状の分散剤(含フッ素アクリル系共重合体)を得た。
【0051
攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度計および窒素ガス導入管を付した1000mlセパラブルフラスコにn−ヘキサン360.7g、上記分散剤4.32gを仕込み、50℃まで昇温し分散溶解した後、窒素置換した。
一方、あらかじめ、三角フラスコ中でアクリル酸72.0gをイオン交換水103.6gに溶解した水酸化ナトリウム32.2gで部分中和し、さらに室温下で過硫酸カリウム0.24gを溶解した。この単量体水溶液を上記のセパラブルフラスコに300rpmの攪拌速度で窒素気流バブリング下に1時間かけて滴下し、2時間還流後、30%過酸化水素水0.1gを添加し、さらに還流を1時間続け重合を完結させた。その後、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.73gを添加し、共沸脱水を行い濾過後、減圧乾燥して含フッ素アクリル系共重合体で表面をコーテイングされた白色のビーズ状高吸水性樹脂を得た(合成例1)。
【0052
同様にして表1に示す組成の分散剤(含フッ素アクリル系共重合体)を作り、同様にして含フッ素アクリル系共重合体で表面をコーテイングされた白色のビーズ状高吸水性樹脂を得た(合成例2〜8)。
【0053
合成例1〜8で得られた含フッ素アクリル系共重合体で表面をコーテイングされた白色のビーズ状高吸水性樹脂の吸水能、平均粒径、吸水後の流動性、吸水後のかさ比重、凍結後の人工雪の密度および雪構造(殻状氷結晶の有無)を調べた結果を表1に合わせて示す。但し、凍結方法は、下部にブラインチューブを取り付けた厚さ2mmの銅板上に50倍に吸水した高吸水性樹脂を厚さ50mm載せ、−25℃のブラインを循環させて冷却し、約20時間で凍結させて人工雪を作った。
【0054
(高吸水性樹脂球状体の比較合成例1〜4および人工雪種、人工雪の性状)
(比較合成例1)
同様にして表1に示す組成の分散剤(フッ素を含まないアクリル系共重合体)を作り、同様にして白色のビーズ状高吸水性樹脂を得た。
得られた白色のビーズ状高吸水性樹脂の吸水能、平均粒径、吸水後の流動性、吸水後のかさ比重、凍結後の人工雪の密度および雪構造(殻状氷結晶の有無)を調べた結果を表1に合わせて示す。
【0055
(比較合成例2)
同様にして表1に示す本発明の範囲外の組成の分散剤(含フッ素アクリル系共重合体)を作り、同様にして含フッ素アクリル系共重合体で表面をコーテイングされた白色のビーズ状高吸水性樹脂を得た。
得られた含フッ素アクリル系共重合体で表面をコーテイングされた白色のビーズ状高吸水性樹脂の吸水能、平均粒径、吸水後の流動性、吸水後のかさ比重、凍結後の人工雪の密度および雪構造(殻状氷結晶の有無)を調べた結果を表1に合わせて示す。
【0056
(比較合成例3)
同様にして表1に示す本発明の範囲外の組成の分散剤(含フッ素アクリル系共重合体)を作り、同様にして高吸水性樹脂を合成しようとしたが、合成不能であった。
【0057
(比較合成例4)
市販の分散剤[アクアリックCAW、日本触媒(株)製]を用いて同様にして破砕状の高吸水性樹脂を得た。
得られた破砕状の高吸水性樹脂の吸水能、吸水後のかさ比重、凍結後の人工雪の密度および雪構造(殻状氷結晶の有無)を調べた結果を表1に合わせて示す。
【0058
【表1】
Figure 0003639874
【0059
(人工雪ゲレンデの製造および評価)
(実施例1)
−20℃のブラインを循環可能の内径約5mmの軟質合成樹脂の冷却パイプを設置してある人工雪ゲレンデの基盤の斜面(10°)に合成例−1で製造した高吸水性樹脂に50倍吸水させ厚さ約5cmの含水吸水性樹脂層を形成させた。
次に−20℃のブラインを循環したところ、約20時間後凍結し、粉雪状の人工雪が得られた。この人工雪を踏み固めた結果、スキーの滑走性に適するゲレンデが得られた。人工雪の形態、ゲレンデ雪密度、ゲレンデ硬度、動摩擦係数を測定した結果を表2に示す。
【0060
(実施例2)
実施例1と同様にして合成例−1で製造した高吸水性樹脂に120倍吸水させ厚さ約5cmの含水吸水性樹脂層を形成させた。
次に−20℃のブラインを循環したところ、約20時間後凍結し、下部に氷床があり、上部に粉雪状の人工雪がある構造の人工雪が得られた。この人工雪を踏み固めた結果、スキーの滑走性に適するゲレンデが得られた。人工雪の形態、ゲレンデ雪密度、ゲレンデ硬度、動摩擦係数を測定した結果を表2に示す。
【0061
(比較例1)
実施例1と同様にして比較合成例−1で製造した高吸水性樹脂に50倍吸水させ約5cmの含水吸水性樹脂層を形成させた。
次に−20℃のブラインを循環したところ、約20時間後凍結し、粉雪状の人工雪が得られた。この人工雪を踏み固めてゲレンデとした。人工雪の形態、ゲレンデ雪密度、ゲレンデ硬度、動摩擦係数を測定した結果を合わせて表2に示す。
【0062
(比較例2)
実施例1と同様にして比較合成例−1で製造した高吸水性樹脂に120倍吸水させ約5cmの含水吸水性樹脂層を形成させた。
次に−20℃のブラインを循環したところ、約20時間後凍結し、下部に氷床があり、上部に粉雪状の人工雪がある構造の人工雪が得られた。この人工雪を踏み固めてゲレンデとした。人工雪の形態、ゲレンデ雪密度、ゲレンデ硬度、動摩擦係数を測定した結果を合わせて表2に示す。
【0063
(比較例3)
実施例1と同様にして比較合成例−4の高吸水性樹脂に吸水させゲレンデを形成しようとしたが、雪状にならなかった。結果を合わせて表2に示す。
【0064
【表2】
Figure 0003639874
【0065
【発明の効果】
本発明は、フッ素を含有する材料で表面がコーティングされており、かつ吸水した後も球状を保ち互いに非粘着性である高吸水性樹脂からなる人工雪種および人工雪種に吸水させて凍結して作られる人工雪の製造方法に関するものであり、従来の天然雪や人工雪が、(1)スキーヤーのレベルや好みに応じた任意の密度や強度の雪が得られない、(2)雪質の経時変化が大きく、ゲレンデのコンディションを保つのが難しい、(3)ゲレンデの建設費や維持費が高い、(4)水膨潤性材料(吸水性樹脂)と水から凍結して造られる人工雪は、氷塊になるので、それを一旦粉砕しなければならない、(5)動摩擦係数(μk)が高いなどの問題があったのに対し、本発明は、これらの問題を解決し、自然の粉雪の動摩擦係数(μk)とほぼ同等の値を有し、スキーの滑走性に優れる、特に屋内スキー場のゲレンデに適した人工雪を提供することができる。
吸水させた人工雪種をドライアイスあるいは液化炭酸等で凍結させ、そのまま人工雪とすることができ、雪質の経時変化が少ないのでゲレンデのコンディションを保ち易くすることができ、しかも安価で取り扱い易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法による人工雪の顕微鏡写真である。
【図2】 従来の方法による人工雪の顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. フッ素を含有する材料で表面がコーティングされており、かつ吸水した後も球状を保ち互いに非粘着性である高吸水性樹脂からなる人工雪種であって、フッ素を含有する材料が、前記高吸水性樹脂を逆相懸濁重合により製造する際に用いる分散剤であることを特徴とする人工雪種。
  2. フッ素を含有する材料がアクリル系共重合体である請求項1に記載の人工雪種。
  3. フッ素を含有する材料がフッ素を3個以上有するアクリル又はメタクリルエステルを10重量%〜90重量%含有するアクリル系共重合体である請求項2に記載の人工雪種。
  4. 次の(イ)および(ロ)の工程を含む人工雪の製造方法。
    (イ)吸水した後も球状を保ち互いに非粘着性である脱イオン水に対する吸水能が30〜500倍、吸水前の球径が20〜500μmであり、かつ高吸水性樹脂を逆相懸濁重合により製造する際に用いる分散剤であるフッ素を含有する材料で表面がコーティングされている高吸水性樹脂に吸水させて、0.05〜2mmの球径となるまで膨潤させる工程。
    (ロ)下記A、BおよびCから選択される少なくとも一つの工程で凍結させる工程。
    A:膨潤した球状の高吸水性樹脂を、冷凍パイプを敷きつめた床面から凍結させる工程。
    B:膨潤した球状の高吸水性樹脂を、ドライアイス、液化炭酸、液体窒素から選択される少なくとも一つと混合して凍結させる工程。
    C:膨潤した球状の高吸水性樹脂を、天然雪、人工降雪装置により造った人工雪あるいは氷塊を粉砕した氷雪と混合した後、冷凍パイプを敷きつめた床面から凍結させる工程、あるいはドライアイス、液化炭酸、液体窒素から選択される少なくとも一つと混合して凍結させる工程。
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