JP3639839B2 - スペクトラム拡散方式の通信装置、及び、その高速同期確立法 - Google Patents

スペクトラム拡散方式の通信装置、及び、その高速同期確立法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、スペクトラム拡散方式の通信装置、特に、超低電力の長距離通信を実現することができる通信装置、及び、その高速同期確立法に関するものである。
背景技術
現在では、無線LANや携帯電話等の無線システムが広範に普及してきている。これらの無線システムは、より大量の情報をより高速に送受信できること目指して、日々改良が進められている。
しかしながら、現在の社会では、一つの情報源からそれほど莫大な情報を必要としない分野も多々存在する。例えば、病院内全域の無線ナースコールを含む医療系、気象系、防災系、環境系(動物の生息調査、警報等)の分野においては、1分に100ビット程度の情報量で足りることが多い。尚、崖崩れの警報では、毎秒1ビットの情報量でも良い。
このような分野においては、無線LANや携帯電話等に関する技術をそのまま適用しても、消費電力や価格コストの面から実用化は困難である。ここでは、1通信あたりの電力、価格コストが小さく、そしてかなりの距離を乗り越えることができるような無線システム(超低電力の長距離通信無線システム)が求められる。より具体的に項目を挙げれば、以下のような性能が求められる。
・50nW出力程度で実現できること
・長距離通信(例えば100m)を実現できること
・毎秒1−10ビット程度の情報を送受信できること
尚、上述の通り、送受信される情報量は少なくても構わないので、通信速度は高速である必要はない。
ところで、長距離通信において超高感度を得るには、伝送媒体(電波、音波、又は、光波)の「識別能力」が必要であり、この「識別能力」は、受信帯域幅に支配される。受信帯域幅が大きくなると、自然雑音電力もこれに比例して大きくなり、また、他通信との混信確率も、比例的に増大する。従って、受信帯域幅を極度に小さくすれば、これに比例して到達距離は延びることになる。
また、受信帯域幅を小さくした場合には、必要電力も小さくすることができる。例えば、一般の業務用FM(周波数変調)は20kHzぐらいなので、これを1Hzまで狭めると、必要電力は2万分の1になる。10mW特別小電力の2万分の1は、0.5μWとなる。10Wのアマチュア無線で世界と交信できるが、受信帯域幅を1Hzまで狭めた場合、必要電力はその2万分の1、つまり、0.5mWで可能になる。
このように、受信帯域幅を小さくする(例えば、上記のように1Hz程度まで小さくする)ことによって、上記のようなニーズに対応した「超低電力の長距離通信無線システム」を実現できる可能性がある。
しかし、150MHz水晶発振器の周波数精度は15ppmぐらいであり、周波数偏差は3kHzにも及ぶ。この「3kHz」という周波数偏差は、上記例における「1Hz」と3000倍の開きがある。従って、3つ毎に周波数を使ったとしても、1000ch分の幅を探し回らなければいけないし、また、単純に受信帯域幅を小さくしただけでは、既存通信の混信を排除することは困難である。
そこで、受信帯域幅を小さくした、つまり、「小さな占有帯域幅の長距離通信」に、スペクトラム拡散通信方法の適用を考えてみる。実用可能な範囲でスペクトラム拡散通信方法を適用することができれば、搬送波を探し回ったりする必要はなく、混信を好適に排除することができる。
ここで、スペクトラム拡散通信方法について簡単に説明する。この通信方法は、1960年代に軍事・宇宙通信の分野で開発が始まり、現在では携帯電話のCDMA(符号分割多重)、パーソナルコンピュータ周辺の近距離通信(ブルートゥース)、無線LAN(Local Area Network)等において広く用いられている。
もともと、スペクトラム拡散通信は二つの側面を持っていた。即ち、一つは、非常に微弱な電波で長距離通信する軍事、衛星通信の面であり、もう一つは、同じ周波数で複数の通信経路を維持する多重通信の面であった。現在、カーナビゲーションに使用されているGPS(Global Positioning System)は、前者の長距離通信に力点を置いて運用され、それ以外の全ては後者の多重通信に力点をおいて運用されている。
スペクトラム拡散通信においては、送信側において搬送波を変調(拡散)するために使用された拡散符号を、同期(伝送遅延時間分だけ拡散符号の位相をシフトして同期を取る。)させた上で受信信号に乗算することにより、受信側において元の搬送波を再現している。このようにして元の搬送波を再現することを、「逆拡散」又は「復調」と言う。
逆拡散を行う場合、乗算しようとする拡散符号を、伝送遅延時間分だけ位相シフトさせることが必要になるが、伝送遅延時間が受信側において判っていない状態で受信を成功させるためには、拡散符号を少しずつスライドさせながら逆拡散(復調)操作の試行を繰り返し(例えば、拡散符号を与えるべきシフト量を、試行ステップ毎に1チップ(拡散符号の最低時間単位)時間分ずつ増やしていき)、その後、再現された搬送波が有為レベルにあるかどうかによって、受信の成否が判定される。このような同期検出方法を「スライド法」と言う。(尚、この同期検出法は、搬送波の周波数が受信側において判明していることを前提としている。)
この同期検出法による場合、同期検出までに要する時間は、拡散符号にM系列符号を使うとすれば、およそM(最長符号)系列周期時間×M系列チップ数となる。例えば、通信速度が11MBPS、拡散符号長が11チップの高速無線LANにおいて、試行ステップ毎に加算するシフト量を1チップ時間分に設定してスライド法を実行すると、最長でも11回のトライで同期が成立する。ここで、1チップ時間が0.1μ秒であるとすると、1回のトライに要する時間は、0.1μ秒×11(チップ)=1.1μ秒となる。これをスライドさせながら11回トライしたとすると、1.1μ秒×11=12μ秒となる。つまり、これだけの短時間で、通信のための同期が確立することになる。
また、拡散符号長が1023チップのGPSにおいて、拡散符号をスライドさせながら同期検出を試行すると、1回のトライで、最低でも1023チップ時間(拡散符号の1周期時間)を要し、1チップ時間の50%の単位でこれをスライドさせる操作を繰り返すと、2046回スライドさせていく間に(即ち、2046回のトライで)、同期検出が成功する。つまり、同期検出までの所要時間は、1023チップ時間×2046=200万チップ時間ということになる。GPSの1チップ時間が1μ秒であるとすると、最長2秒、平均1秒となる。
ここで、「小さな占有帯域幅の長距離通信」に、上記のようなスペクトラム拡散通信方法を適用した場合において、スライド法によって同期検出を試みた場合に、その所要時間がどれぐらいになるかという問題について考えてみる。
まず、受信帯域幅を1Hz程度まで狭めた場合、使用する拡散符号の1チップ時間を、ある程度長く設定する(例えば、0.1m秒=10kHz)必要がある。そして、1023チップの拡散符号を使用する場合、上記GPSの例に従うと、同期検出には最長で200万チップ時間を要することになるため、拡散符号の1チップ時間を0.1m秒=10kHzとした場合には、同期検出までの所要時間は、0.1m秒×200万(チップ時間)=200秒ということになる。つまり、受信開始後、最初の1ビットが検出されるまでには、平均で1分40秒、最長で3分20秒かかることになる。
このように、小さな占有帯域幅の長距離通信にスペクトラム拡散通信を適用し、スライド法によって同期検出を試みた場合、かなりの時間がかかってしまうことになる。従って、同期させるための余計な送信時間を必要とする。しかしながら、送信時間が長くなれば、それだけ必要電力が大きくなってしまうので、情報あたりの電力効率が劣化してしまうことになる。従って、小さな占有帯域幅の長距離通信にスペクトラム拡散通信方法を単に適用しただけでは、「超低電力の長距離通信」を実現することは困難である(第1の問題)。
また、搬送波の周波数が150MHzである場合、その波長は2mであるので、送信機が受信機に対して毎秒10mの速度で離れたり、近づいたりする運動を始めた場合、受信機においては、それが5波少ない周波数(150MHz−5Hz)、或いは、5波多い周波数(150MHz+5Hz)の搬送波に見えることになる。拡散符号のチップ時間が0.1m秒、拡散符号長が1023チップであったとすると、上記速度では、1周期時間(約0.1秒)の間に、0.5Hz(0.1m秒×1023)、つまり180度の位相変化が発生する。
この場合、受信信号を逆拡散して搬送波を検出しようとする際、最初の位相がゼロであるとすると、最後の方では位相が反転していて、同期が確認できない状態になってしまう(第2の問題)。
更に、上記の例において、毎秒(周期1秒)1ビットの低速通信とした場合、1023チップ長のスペクトラム拡散符号を使うとすると、同期確立までに最長で1023秒かかることになり、受信開始から20分待たなければデータ受信が始まらず、非常に長時間がかかり、いつまでも同期せず、これでは実用にならないという問題がある(第3の問題)。
尚、上記の改良として、周期時間の全部をデジタル処理して同期検出する方法がある。この方法によれば、同期検出時間を短縮することができると考えられる。しかし、搬送波の周波数を高精度に確定できない場合には、次のような問題が生じる。
搬送波周波数に偏差があり、例えば、150MHz±15ppm(±2.25KHz)(標準的なXtal)、拡散符号の1チップ時間を0.1m秒、拡散符号長を1023チップとした場合、搬送波周波数が5Hzずれると、同期維持が困難になり、10Hzずれると別の伝送と言える。
即ち、スペクトラム拡散通信のように、位相変調が基本になっている伝送において、拡散符号の周期時間0.1秒(0.1m秒×1023)全体に亘って、搬送波信号の位相量が、搬送波の0.5周期以内で判明していなくては、搬送波のレベル検出自体が成功しない。つまり、拡散符号の同期確立のためには、搬送波の周波数を厳密に知っている必要がある。±2.25kHzの中にある搬送波を10Hz単位で検出するには、450回の試行を必要とする。つまり、搬送波の周波数に偏差がある場合には、実用的な範囲内で拡散符号の同期を確立させることは困難である(第4の問題)。
また、周期時間の全部をデジタル処理して同期検出する方法においては、ハードウエア相関として、表面弾性波素子(SAW)などによる高速相関が行われているが(例えば、特開平9−64787号公報)、低い通信速度、小さな電力で長距離通信を実現するには、物理的に長時間の相関器が必要となる。しかし、そのような相関器を実現することは困難である(第5の問題)。
要するに、従来の方法では、搬送波の周波数や移動速度が判っていて、位相ずれを補正することができ、拡散符号長が短いことを利用して、適当なシフト量を持った拡散符号を用意して、逆拡散→位相検波→同期検出を繰り返しているので、同期検出のためには、拡散符号の繰り返し時間全体に亘って位相が保証されていなくてはならない。換言すれば、拡散符号の同期位置を知るためには、搬送波の周波数の厳密性が必要であり、また、拡散符号が同期していなくては、搬送波の周波数を知ることはできない。つまり、両すくみの状態にある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、超低電力の長距離通信を実現することができ、また、高速に同期を確立させることができ、更に、搬送波の周波数が厳密に確保されていない状態でも、拡散符号の同期確立を可能とするスペクトラム拡散方式の通信装置、及び、その同期確立方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明のスペクトラム拡散方式の通信装置は、トグル検出部と復調部とを有し、トグル検出部は、受信信号搬送波の中に存在するトグル点の候補を検出するように構成され、復調部は、その検出結果をもとに計算されたシフト量に従ってシフトさせた拡散符号を、受信信号に乗算することによって、受信信号を復調するように構成されていることを特徴としている。
尚、トグル検出部は、予め保持している期待信号と、受信信号搬送波との相関演算を行うことによってトグル点の候補を検出するように構成されることが好ましく、また、保持される期待信号は、受信信号搬送波の中に存在しているであろうと予想されるトグル点の波形を含む信号であって、拡散符号の2チップ時間分の長さの信号、又は、それよりも短い信号であることが好ましい。
更に、トグル検出部は、トグル点候補の検出結果としてトグル信号を出力するように構成され、このトグル信号と、拡散符号の微分値の絶対値との相互相関値をもとに、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補がシフト量計算部において計算され、復調部は、それらのシフト量の候補毎に受信信号の復調作業を行い、搬送波検査部において、復調部によって復調された受信信号の搬送波スペクトルの有効性が検査されるように構成されることが好ましい。
また、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算される際、トグル信号のフーリエ変換値と、拡散符号の微分値の絶対値のフーリエ変換値との相互相関が行われるように構成されることが好ましい。
本発明のスペクトラム拡散通信の高速同期確立法は、受信信号搬送波の中に存在するトグル点の候補を検出する第1ステップと、その検出結果をもとに、シフト量を計算する第2ステップと、計算されたシフト量に従ってシフトさせた拡散符号を受信信号に乗算することにより、受信信号を復調する第3ステップが順次実行されることを特徴としている。
この場合、受信信号搬送波の中に存在しているであろうと予想されるトグル点の波形を含む信号であって、拡散符号の2チップ時間分の長さの期待信号、又は、それよりも短い期待信号が予め用意され、第1ステップにおいて、その期待信号と、受信信号搬送波との相関演算を行うことによって、トグル点の候補が検出されることが好ましい。
また、第1ステップにおいて、トグル点候補の検出結果としてトグル信号が出力され、第2ステップにおいて、トグル信号と、拡散符号の微分値の絶対値との相互相関値をもとに、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算され、第3ステップにおいて、それらのシフト量の候補毎に、受信信号の復調が行われるとともに、それらの復調信号の搬送波スペクトルの有効性が検査されることが好ましい。
更に、第2ステップにおいては、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算される際、トグル信号のフーリエ変換値と、拡散符号の微分値の絶対値のフーリエ変換値との相互相関が行われることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の通信装置における受信機の概略構成を示すブロック図である。
第2図は、第1図に示したトグルフィルタ101に保持されている期待信号の説明図である。
第3図は、第2図の期待信号を窓関数によって変形する例の説明図である。
第4図は、第1図に示したトグルフィルタ101における「トグル点候補の検出」の説明図である。
第5図は、受信信号、トグル信号、及び、拡散符号の関係を説明する図である。
第6図は、送信側において搬送波の拡散のために使用される拡散符号の波形、及び、拡散符号によって拡散された搬送波の波形の一例であって、搬送波と拡散符号とが同期している例を示す図である。
第7図は、搬送波と拡散符号とが非同期である場合の搬送波の波形の例を示す図である。
第8図は、雑音がある場合の受信信号の一例を示す図である。
第9図は、第8図(c)の受信信号をトグルフィルタ101に入力した場合に出力されるトグル信号と、搬送波の拡散に使用された拡散符号との関係を説明する図である。
第10図は、第9図のトグル信号と拡散符号との相互相関の結果を示す図である。
第11図は、復調器105から出力された復調信号が、搬送波検査部106においてスペクトルとして検出される例を示す図である。
第12図は、復調器105から出力された復調信号が、搬送波検査部106においてスペクトルとして検出される他の例を示す図であり、10Hz離れた二つの搬送波を混合して数値計算した例を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面に沿って本発明の好適な実施形態について説明する。第1図は、本発明の通信装置における受信機の概略構成を示すブロック図である。図示されているように、この受信機は、トグルフィルタ(トグル検出部)101、受信信号・トグル信号蓄積部102、相互相関器(相互相関部)103、シフト量計算部104、復調器(復調部)105、搬送波検査部106、及び、制御部107等の要素によって構成されている。
本発明に係る通信装置は、スペクトラム拡散方式の通信装置であり、次のような条件にて通信を行うことができるようになっている。
・搬送波の周波数:150MHz±15ppm(2.25kHz)(標準的なXtal)
・拡散符号の周期:1秒
・拡散符号長:1023チップ
この通信装置において送受信される信号は、搬送波が予め拡散符号によって位相変調(拡散)された上で、送信機側より出力されるようになっている。本実施形態においては、この「拡散符号による搬送波の変調」は、2相位相変調(BPSK)という方式で行われる。尚、変調の方式は、必ずしもBPSKである必要はなく、例えば、4相位相変調(QPSK)とすることもできる。但し、耐妨害性能は、BPSKの方が優れている。
送信機側より出力された信号(拡散符号によって搬送波が拡散された信号)が受信されると、受信機は、その信号(受信信号)を復調(逆拡散)し、その受信信号から元の搬送波(送信機側において拡散される前の搬送波)を抽出する。
復調は、受信信号に拡散符号(送信機側において搬送波を拡散する際に使用された拡散符号と同一の符号系列)を乗算することによって行われる。このとき、元の搬送波を正しく再現するためには、搬送波の中に存在する多数のトグル点(拡散符号によって搬送波が変調された結果、位相が180度変化した点・遷移点)と、復調のために乗算しようとする拡散符号とが同期していなければならない。
送信機側より出力された信号と、受信信号との間には、伝送遅延時間等との関係で、また、周波数偏差等に起因して、位相のずれが生じているので、受信信号の搬送波の中に存在する多数のトグル点と、復調のために乗算しようとする拡散符号とを同期させるためには、拡散符号を同期推定位置までシフトさせる必要がある。(尚、シフトさせることによって拡散符号が同期するであろうと推定される受信信号中の位置を、ここでは「同期推定位置」と言い、拡散符号を同期推定位置まで移動させるために必要なシフト量を「α」とする。)
そこで、本実施形態の通信装置においては、まず最初に、受信信号の波形から同期推定位置の予備検出(受信信号中に存在するトグル点の候補の検出、及び、トグル信号の出力)を行い(トグルフィルタ101)、トグル信号と拡散符号との相互相関を取り(相互相関器103)、その相互相関値に基づいてシフト量αの候補(α1、α2…)を計算し(シフト量計算部104)、シフト量の候補毎に逆拡散を試行し(復調器105)、その都度、搬送波の抽出状況を調査して、受信(復調)が成功したか否かの判定を行う(搬送波検査部106)ようになっている。
ここで、この通信装置の受信機を構成する要素、及び、それらの要素間における関係について、それぞれ詳細に説明する。まず、第1図に示されているように、この通信装置の受信機においては、受信信号はトグルフィルタ101、及び、受信信号・トグル信号蓄積部102に入力される。これらのうちトグルフィルタ101は、FIR(Finite Impulse Response)デジタルフィルタによって構成されている。尚、このトグルフィルタ101は、IIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタや、積和演算器などによって構成することもできる。
トグルフィルタ101は、受信信号が入力されると、受信信号搬送波の中に存在しているトグル点の候補(位相変化点)を検出し、これをもとにトグル信号を形成する。より詳細に説明すると、トグルフィルタ101は、位相変化によって予想される期待信号(又は、その期待信号から計算された特徴)を予め保持しており、入力された受信信号と、予め保持している期待信号(又は、期待信号から計算された特徴)との間で相関演算を行い、搬送波中における位相変化点を検出し、検出された位相変化点の値をもとにトグル信号を形成して出力する。
トグルフィルタ101の出力側には、メモリによって構成される受信信号・トグル信号蓄積部102が接続されている。つまり、この受信信号・トグル信号蓄積部102には、前述の通り受信信号が入力されるほか、トグルフィルタ101から出力されたトグル信号が入力される。そして、入力された受信信号とトグル信号は、ペアとして蓄積され、後処理に備えられる。
受信信号・トグル信号蓄積部102のトグル信号出力側には、相互相関器103が接続されている。この相互相関器103は、DSP(Digital Signal Processor)や、ハードロジックによるフーリエ変換器を含む相互相関手段によって構成されている。
相互相関器103は、受信信号・トグル信号蓄積部102から出力されたトグル信号(トグル信号のフーリエ変換値)と、拡散符号(拡散符号の微分値の絶対値のフーリエ変換値)との相互相関を取って、その相互相関値S(f)を出力するものである。
より詳細に説明すると、相互相関器103には、搬送波の変調に使用された拡散符号に関する情報が、相互相関のために便宜上加工された状態で、予め保存されている。拡散符号に関する情報の加工は、次のような手順で行われる。
まず、拡散符号k(t)を微分して、その絶対値を取る。
d/dtk(t)
|d/dtk(t)|=ka(t)
この絶対値系列ka(t)をフーリエ変換し、これを相互相関の共役とする。
FFT(ka(t))→FKA(f)
一方、受信信号・トグル信号蓄積部102から相互相関器103に入力されたトグル信号をg(t)とすると、相互相関器103は、このトグル信号系列g(t)をフーリエ変換する。
FFT(g(t))→G(f)
次に、これらの値(拡散符号の微分値の絶対値のフーリエ変換値FKA(f)と、トグル信号系列のフーリエ変換値G(f))の相互相関を行う。
S(f)=FKA(f)*G(f)
そして、得られた結果(相互相関値S(f))を出力する。
相互相関器103の出力側には、シフト量計算部104が接続されている。このシフト量計算部104は、相互相関器103から出力された相互相関の値S(f)を逆フーリエ変換してs(t)とする。このs(f)の最大値を、拡散符号に与えるべきシフト量α(拡散符号を同期推定位置まで移動させるために必要なシフト量)とみなし、s(t)の値から、値の大きい順に、シフト量αの候補を複数(α1、α2…)出力する。
このように、従来の表面弾性波素子(SAW)等に代わり、フーリエ変換を利用することによって、長時間にわたる信号処理が可能になる。
受信信号・トグル信号蓄積部102の受信信号出力側には、復調器105が設けられている。この復調器105は、受信信号・トグル信号蓄積部102から出力された受信信号に対し、拡散符号をシフトさせて乗算することによって受信信号の復調を行う。
拡散符号のシフトは、シフト量計算部104から出力されたシフト量の候補(α1、α2…)を拡散符号に与えることによって行う。より具体的には、まず、シフト量の第1の候補α1の値に従って拡散符号をシフトさせ、試行的に逆拡散を行い、続いて、シフト量の第2の候補α2、第3の候補α3、というように、拡散符号にシフト量候補を順番に与えていき、その都度、逆拡散の試行を繰り返していく。そして、このような試行的な逆拡散が行われる度に、復調された受信信号(復調信号)が復調器105から出力される。
復調器105の出力側には、搬送波検査部106が接続されている。この搬送波検査部106は、フーリエ変換ユニット、又は、フィルタによって構成されている。搬送波検査部106は、シフト量の候補(α1、α2…)毎に復調器105から出力された複数の復調信号のそれぞれについてスペクトルの検出を行い、搬送波スペクトルの有効性を検査し、同期成功の判定を行う。
尚、搬送波検査部106の出力側には制御部107が接続されている。この制御部107は、搬送波検査部106から出力される結果をもとに、上述したような動作に関して、トグルフィルタ101、相互相関器103、及び、シフト量計算部104を制御する。尚、上述したような動作には限られず、トグルフィルタ101における期待信号の形成や、相互相関器103に対して複数の異なる拡散符号を適用して行う多重通信の制御等も、この制御部107によって行われる。
次に、第1図に示した受信機の具体的な動作を説明する。第2図は、第1図に示したトグルフィルタ101に保持されている期待信号を説明する図である。トグルフィルタ101は、前述の通り、入力された受信信号の搬送波中に存在するトグル点の候補を検出して、トグル信号を出力するものであり、図示されている期待信号は、トグル点の候補を検出するために比較参照(相関演算)される信号パターンである。
図示されているように、トグルフィルタ101に保持されている期待信号は、位相が180度変化するトグル点を挟んで、両側に拡散符号の1チップ時間分ずつ(即ち、2チップ時間分)の長さを有する信号であって、拡散符号によって搬送波が拡散された結果、受信信号の搬送波中に含まれているであろうと予想されるトグル点の波形、及び、その前後の部分的な波形をモデルとして形成されたものである。
このように、期待信号を拡散符号の2チップ時間分の長さとしたのは、中心に位置するトグル点の前後に、他のトグル点を含まないような信号とするためである。つまり、このような構成とした場合(或いは、期待信号の長さを、拡散符号の2チップ時間分よりも短く構成した場合)、受信信号の搬送波中に、ノイズによる短い位相変化点が含まれていたとしても、これがトグル点の候補として検出されてしまうような事態を回避することができ、1チップ時間の整数倍で出現する位相変化点のみをトグル点の候補として検出することができる。尚、第2図に示す実線、及び、点線は、それぞれ期待信号の実数部(cos波)、虚数部(sin波)であり、位相が90度ずれたものである。これらの実数部、虚数部は、信号処理の数学的手法として複素計算するために便利な表現として用いられる。
第3図は、第2図の期待信号を窓関数によって変形する例を説明する図である。尚、この図中、第3図(a)は第2図に対応する図であり、第3図(b)、(c)は、第3図(a)のトグル点を0(ゼロ)の場所に移動させ、全体に窓関数をかけて変形加工した期待信号の波形を示す図である。このように、期待信号の全体に窓関数をかけるのは、その後に実施されるフーリエ処理に備えるためである。尚、ここでは説明の便宜上、変形した期待信号の前段部と後段部を分割して、第3図(b)、(c)にそれぞれ示したが、この変形した期待信号は、時系列的には、第3図(b)の波形から第3図(c)の波形へと続く、連続波形である。
尚、窓関数のマスクはかけなくてもよい。第3図(a)においては、トグル点を期待信号の中心においているため、計算後にオフセットが出てくることになるが、このオフセットを0にするためである。
第4図は、第1図に示したトグルフィルタ101における「トグル点候補の検出」を説明する図である。第4図(a)に示すように、期待信号は0位置を挟んで位相が180度変化するような波形となっている。これに対し、受信信号中において期待信号と同様の特徴(即ち、180度の位相変化点)を有する波形部分が、第4図(b)に示すように、0位置からδだけずれた位置に存在していた場合、第4図(a)の期待信号と、(b)の受信信号との相関演算を行うと、第4図(c)に示すような相関結果(相関関数)が得られる。この相関結果を示す波形(第4図(c))においては、図示されているように、最も一致するらしい位置δにピークが出現している。トグルフィルタ101は、この相関結果を示す波形を、トグル信号として出力する。
第5図は、受信信号、トグル信号、及び、拡散符号の関係を説明する図である。第5図(a)に示す受信信号は、送信機側において拡散符号により2相位相変調された搬送波(150MHz±15ppm)である。尚、ここでは説明の便宜上、受信信号には、伝送路を経由する際の雑音は混入していないものとする。
第5図(a)に示した受信信号と、期待信号との相関演算を行うと、第5図(b)において実線で示されているような波形の相関結果が得られる。トグルフィルタ101は、この実線で示される波形をトグル信号として出力する。
第5図(b)に示されているトグル信号の波形の中で、ピークとなっている部分は、受信信号の中で、期待信号の波形と最も一致するらしい部分的な波形が存在している位置(つまり、トグル点と考えられる位置)を表している。実際に、送信側において搬送波を拡散するために使用された拡散符号(第5図(b)において破線で示す波形)と、トグル信号とを重ねてみると、トグル信号におけるピーク位置が、拡散符号の位相変化点と一致していることが判る。このように、本実施形態に係る通信装置の受信機においては、受信信号が入力されると、まず、受信信号と期待信号との相関演算が行われ、これにより、受信信号に含まれているトグル点の候補が検出されるようになっている。
第6図は、送信側において搬送波の拡散のために使用される拡散符号の波形、及び、拡散符号によって拡散された搬送波の波形の一例であって、搬送波と拡散符号とが同期している例を示す図である。また、第7図は、搬送波と拡散符号とが同期である場合の搬送波の波形の例を示す図である。
まず、第6図(a)に示す拡散符号によって拡散されると、搬送波は、第6図(b)に示すような波形となる。尚、第6図(c)は、第6図(b)の搬送波の一部Pに対応する拡散符号の一部(第6図(a)においてQの部分)の拡大図であり、第6図(d)は、第6図(b)の搬送波の一部Pの拡大図である。
第6図(d)に示されているように、この搬送波の一部Pにおいては、第6図(c)に示す拡散符号により、搬送波がゼロになった位置で位相が180度変化している。即ち、この例においては、搬送波がゼロを横切る瞬間に拡散符号が同期している。
但し、送信側において搬送波が拡散符号によって拡散される場合、拡散符号が反転するタイミングと、搬送波がゼロの位置を横切る瞬間とは、必ずしも一致しない。即ち、搬送波と、送信側において搬送波を拡散するために使用される拡散符号とは、必ずしも第6図(d)に示したように同期しているとは限らない。
例えば、搬送波がゼロを通過し、下限に達する直前の位置等に、搬送波を拡散する拡散符号(第7図(a)参照)の反転位置が対応しているような場合には、第7図(b)に示すようなトグル点を含む波形となる。つまり、送信側において搬送波を拡散する場合、搬送波と拡散符号とを同期させなくても、トグル点は形成されることになる。
本実施形態においては、搬送波とこれを拡散する拡散符号とが同期している場合(第6図(d)参照)だけでなく、第7図(b)に示すように、非同期である場合であっても、受信信号搬送波中に含まれるトグル点を安定して検出(予備検出)できるようになっている。
これは、トグルフィルタ101において複素計算することによって可能となる。つまり、搬送波に周波数偏差が生じていたとしても、搬送波の位相が少なくとも1チップ時間分(期待信号の半分の長さ)保証されていれば、トグルフィルタ101は、搬送波の波形そのものには捕らわれず、搬送波中において位相が180度変化している点(トグル点と考えられる点)を検出することができる。
このように、搬送波の位相が最低1チップ時間分保証されていれば、トグル点を検出することができるので、従来法(スライド法等)に比べて、拡散符号長の比率だけ、位相許容度が大きくなる。周期:1秒、符号長:1023チップの拡散符号を使用する場合、2チップ時間(約2m秒間)に搬送波位相の180度変化まで許容度がある。従って、搬送波周波数が150MHzである場合には、250Hzの許容度となる。
また、周期:0.1秒、符号長:1023チップの拡散符号を使用する場合、約0.2m秒間に搬送波位相の180度変化まで許容度があり、搬送波周波数が150MHzであれば、2.5KHzの許容度となる。この場合、±16ppmの偏差まで許せるので、通常の水晶発振子の利用が可能になり、非常に低価格な送信システムを実現することができる。
第8図は、雑音がある場合の受信信号の一例を示す図である。第8図(a)は、送信側において使用される拡散符号であり、第8図(b)は、第8図(a)の拡散符号によって搬送波が2相位相変調された送信信号(150MHz±15ppm)である。そして、第8図(c)は、送信側より伝送路を経由して送信され、受信機によって受信された受信信号である。
第8図(c)の受信信号は、第8図(b)の送信信号の信号電力に、大量の雑音電力を加え、S/N比(受信機において帯域制限した段階でのS/N比)が−17.4dBとなるように数値計算したものである。
第9図は、第8図(c)の受信信号をトグルフィルタ101に入力した場合に出力されるトグル信号と、搬送波の拡散に使用された拡散符号との関係を説明する図である。尚、この図において、実線で示されている波形はトグル信号であり、破線で示されている波形は拡散符号である。
図示されているように、受信信号に雑音が混入している場合、トグルフィルタ101から出力されるトグル信号は、雑音が混入していない場合(第5図(b)参照)と比べると、歪んでいる。尚、このトグル信号の中で、ピークとなっている部分が、受信信号に含まれるトグル点と考えられる位置を表している。
実際に、送信側において搬送波を拡散するために使用された拡散符号と、このトグル信号とを重ねてみると、トグル信号におけるピーク位置は、拡散符号の位相変化点と概ね一致しているが、雑音の影響による歪成分が混在しているので、多少判りにくくなっている。
但し、この「トグルフィルタ101によるトグル信号の出力」というステップは、あくまでもトグル点の予備検出に止まるので、この時点で(つまり、トグル信号の波形から)、受信信号搬送波中におけるトグル点の位置が確定的に判明している必要はない。トグル点、同期推定位置、及び、シフト量αの厳密な調査は、ここで出力されるトグル信号に基づいて実行される各ステップ(相互相関器103による相互相関、シフト量計算部104によるシフト量αの計算、復調器105による復調、及び、搬送波検査部106によるスペクトル検出)によって行われる。
第10図は、第9図のトグル信号(第8図(c)の受信信号が入力された結果、トグルフィルタ101から出力された信号)と、拡散符号との、相互相関器103による相互相関の結果(相互相関関数)を示す図である。図示されている相互相関値の中で、最大値が、拡散符号に与えるべきシフト量αの候補(α1、α2…)となる。
本実施形態においては、トグル点候補の検出のための短時間相関により、周波数偏差を乗り越えて、拡散符号シーケンス全体に亘ってトグル信号を得るための前処理を施し、その後、拡散符号の微分値の絶対値とトグル信号を、拡散符号シーケンス全体に渡って相互相関し、その結果を分析することにより、障害となる目的外の信号(大電力の不規則雑音を含む。)を最終的に除去し、高速に同期を確立することが可能になる。
第11図は、復調器105から出力された復調信号(シフト量αを与えてシフトさせた拡散符号によって復調された受信信号)が、搬送波検査部106においてスペクトルとして検出される例を示す図である。この例では、図示されているように、150MHzの1つのスペクトルを確認することができる。
このように本発明によれば、搬送波の周波数偏差を許容し、搬送波と拡散符号とが同期していないトグル点であっても安定して検出することができるため、高速に同期を確立させることができる。このため、送信時間、及び、送信のための電力を非常に小さくすることができる。更に、同期捕捉の短さは、秘話性、電池駆動時間の問題をはじめとして、各方面で有益な効果をもたらすことになる。
尚、ここに言う「高速」とは、具体的には、「拡散符号の1シーケンス分の時間」を意味する。つまり、受信開始から、使用される拡散符号の1シーケンス分の時間内に、同期を確立させることができる。例えば、1チップ時間が0.1m秒、符号長が1023チップの拡散符号を使用した場合、1シーケンスは0.1秒である。
従って、8シーケンスを送信するとしても、0.8秒で送信を終えることができ、8ビットの情報を送ることができる。例えば、10秒に1度のバースト送信であれば、12分の1の時間しか利用していないので、その他の時間を、別の通信に利用することが可能になる。また、通常は長い時間が必要とされるスペクトラム拡散通信が、断続的な通信で可能になる。
更に、搬送波周波数150MHz、拡散符号長を1秒程度とした場合、周波数偏差0.5Hzを分解できることになり、受信局からの毎秒1mの視線速度を検出することができるので、通信品質が向上し、その結果、動物(鳥、人間など)や低速移動体に取り付けた低品質の送信機との間でも通信が可能になる。また、低速移動体の速度検出、位置推定への利用が可能になる。
第12図は、復調器105から出力された復調信号が、搬送波検査部106においてスペクトルとして検出される別の例を示す図であり、10Hz離れた二つの搬送波を混合して数値計算した例を示すものである。
図示されているように、この例では、150MHzと、150MHz+10Hzの、二つのスペクトルを確認することができる。本発明においては、搬送波の周波数は同期が確立してから復調され、検出されるため、同一の拡散符号を持つ異なる搬送波の周波数によって情報の伝送が可能になる。即ち、搬送波の周波数(150MHz±15ppm(2.25kHz))の偏差を、5Hzで分離することができる。従って、多重通信が可能になる。
また、本実施形態においては、最初にトグル点の候補を検出し、その後に、拡散符号を適用するように構成されているので、複数の拡散符号を同時に検出することが可能になる。即ち、複数の拡散符号、搬送波の複数の周波数によって情報の伝送が可能になる。従って、より広い手法で多重通信が可能になり、これにより、大量の通信が可能になる。また、混信を好適に抑制することができる。
尚、本実施形態においては、トグル検出部としてトグルフィルタ101が用いられ、このトグルフィルタ101によって受信信号の位相変化点を検出するように構成されているが、ノイズが少ない環境では、トグルフィルタを用いずに、ヒルベルト変換によって、或いは、位相検波(位相遅延やPLL(Phase Locked Loop)による位相検波)によって、受信信号の位相変化点を検出するようにしてもよい。また、トグル検出部を、表面弾性波素子(SAW)フィルタ、DSP、或いは、その他の回路によって構成することもできる。
また、本発明は、適用される伝送媒体が限定されるものではなく、電波による通信、音波による通信、光波による通信のいずれにも、好適に適用することができる。更に、超低電力の長距離通信だけでなく、高出力のスペクトラム拡散通信に適用することもできる。
産業上の利用可能性
本発明のスペクトラム拡散方式の通信装置は、まず、受信信号搬送波の中に存在するトグル点の候補を検出してトグル信号を出力し、出力されたトグル信号と、拡散符号の微分値の絶対値との相互相関を取り、相互相関の最大値の位置から、拡散符号のシフト量を計算し、その計算されたシフト量に従ってシフトさせた拡散符号を乗算することによって受信信号を復調するようにしたので、搬送波の周波数が厳密に判っていない状態でも、拡散符号の同期確立が可能になる。
従って、搬送波の周波数偏差を許容し、搬送波と拡散符号とが同期していないトグル点が受信信号に含まれている場合であっても、安定してトグル点を検出することができ、高速同期の実現が可能になる。

Claims (6)

  1. トグル検出部と復調部とを有するスペクトラム拡散方式の通信装置であって、前記トグル検出部は、予め保持している期待信号と、受信信号搬送波との相関演算を行うことによって受信信号搬送波の中に存在するトグル点の候補を検出するように構成され、前記期待信号は、受信信号搬送波の中に存在しているであろうと予想されるトグル点の波形を含む信号であって、拡散符号の2チップ時間分の長さの信号、又は、それよりも短い信号であることを特徴とし、前記復調部は、その検出結果をもとに計算されたシフト量に従ってシフトさせた拡散符号を、受信信号に乗算することによって、受信信号を復調するように構成されていることを特徴とする通信装置。
  2. 前記トグル検出部は、トグル点候補の検出結果としてトグル信号を出力するように構成され、このトグル信号と、拡散符号の微分値の絶対値との相互相関値をもとに、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算され、前記復調部は、それらのシフト量の候補毎に拡散符号をシフトさせて受信信号を復調するように構成され、復調部によって復調された受信信号の搬送波スペクトルの有効性が検査されるように構成されていることを特徴とする、請求の範囲第2項に記載の通信装置。
  3. 拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算される際、トグル信号のフーリエ変換値と、拡散符号の微分値の絶対値のフーリエ変換値との相互相関が行われるように構成されていることを特徴とする、請求の範囲第3項に記載の通信装置。
  4. 受信信号搬送波の中に存在するトグル点の候補を検出する第1ステップと、その検出結果をもとに、シフト量を計算する第2ステップと、計算されたシフト量に従ってシフトさせた拡散符号を受信信号に乗算することにより、受信信号を復調する第3ステップが順次実行されることを特徴とし、受信信号搬送波の中に存在しているであろうと予想されるトグル点の波形を含む信号であって、拡散符号の2チップ時間分の長さの期待信号、又は、それよりも短い期待信号が予め用意され、前記第1ステップにおいて、前記期待信号と、受信信号搬送波との相関演算を行うことによって、トグル点の候補が検出されることを特徴とするスペクトラム拡散通信の高速同期確立法。
  5. 前記第1ステップにおいて、トグル点候補の検出結果としてトグル信号が出力され、前記第2ステップにおいて、トグル信号と、拡散符号の微分値の絶対値との相互相関値をもとに、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算され、前記第3ステップにおいて、それらのシフト量の候補毎に受信信号の復調が行われるとともに、それらの復調された受信信号の搬送波スペクトルの有効性が検査されることを特徴とする、請求の範囲第6項に記載のスペクトラム拡散通信の高速同期確立法。
  6. 前記第2ステップにおいて、拡散符号に与えられるべきシフト量の候補が計算される際、トグル信号のフーリエ変換値と、拡散符号の微分値の絶対値のフーリエ変換値との相互相関が行われることを特徴とする、請求の範囲第7項に記載のスペクトラム拡散通信の高速同期確立法。
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