JP3637423B2 - 開削工法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はボックス方式の土留装置を用いた開削工法に関し、特に作業性を大幅に改善した工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、下水道工事において下水管を埋設する場合、開削工法が広く採用されているが、下水管を地下4〜4.5mといった深いところに埋設する場合には開削溝土壁面の崩れが懸念されることから、土留を行って作業性及び安全性を確保するが一般的である。
【0003】
かかる土留装置には、図6(a)(c)に示すように、一対の土留プレート90を相互に対向させてその両側内面にジョイント92を設け、両土留プレート90を相互に切梁91で連結してなるボックス方式が知られている(実公昭58−47101号公報、等参照)。
【0004】
上述の装置で土留を行う場合、バックホー等を用いて地盤に必要な幅の土壁面の切り立った溝を所望の深さまで開削し、土留装置をクレーン等で吊り上げて開削した溝内に設置し、切梁の長さを調整して土留プレート90を外方の土壁面に押し付けて土留するという工法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般に土留プレートは重量物であるため、取り扱いが難しく、特に道幅の狭い所で溝を開削するとともに土留を行うのは非常に煩雑である。
そこで、本発明は道幅の狭い場所でも容易に土留を行うとともに開削できるようにした開削工法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る開削工法は、地盤に溝を開削し、対向する一対の土留プレートを切梁で連結したボックス方式の土留装置にて開削溝の土壁面を土留するにあたり、上記土留プレートを高さ方向に分割した各単位プレートの両側近傍に係合凹部を設け、該係合凹部に切梁の各端部を遊嵌状態で連結して切梁の一方の端部を支点として他端を上下に揺動可能となした単位プレート組立体を用い、単位プレート組立体を開削した溝内にその一対の単位プレートで平行四辺形の2つの対向する2辺を形成させつつ単位プレートを交互に押し込み、複数の単位プレート組立体を順次連結して開削した溝内に押し込んで土留装置を組立つつ土留を行うようにしたことを特徴とする。
【0007】
溝の開削と土留めとは所望の深さまで一度に溝を開削し、単位プレート組立体を順次押し込みながら連結していって土留めを行ってもよく、又溝の開削と単位プレート組立体の押し込みとを交互に繰り返し、土留めを行いつつ所望の深さまで溝を開削してもよい。
【0008】
本発明に係る開削工法では、土留プレートを高さ方向に分割した単位プレートを一対相互に対向させかつ両者が平行四辺形の2つの対向する2辺を形成しつつ交互に下降しうるように切梁で連結してなる複数の単位プレート組立体を用い、これを上下に連結するボックス方式の土留装置を使用すればよい。具体的には、土留プレートが高さ方向に分割した単位プレートを上下に連結してなり、各単位プレートはその両側近傍に係合凹部を有し、切梁の各端部が遊嵌状態で連結され、対向する単位プレートとの間で切梁の一方の端部を支点として他端を上下に揺動可能に連結し、各単位プレートを対向する単位プレートと平行四辺形の2つの対向する2辺を形成させつつ交互に下降可能とした土留装置を使用する。
【0009】
単位プレートは1枚のプレートでもよいが、薄い外板の左右両側に縦桟を溶着する一方、両縦桟の間に断面コ字形状の複数の横桟を上下に間隔をおいて溶着し、下方の横桟の下端に下窄まりのテーパ面を形成して構成するのが好ましい。これにより、上記単位プレートが高さ方向中間部に水平方向に延びる1つ又は複数の凹部が形成され、幅狭い溝の場合は、図5に示すように作業者の昇降用足掛け部となるので、別途昇降用梯子を用意する必要がない。
【0010】
また、係合凹部と切梁の端部とが遊嵌され、係合凹部外周から切梁端部へ連結ボルトが挿入されて連結されるが、その挿入穴を連結ボルト直径より大きくすることにより、切梁は図3に示すような、一方の端部を支点として他端を上下に揺動する動作を確保しつつ連結させることができる。係合凹部と切梁との間には環状弾性スペーサを介在させると、切梁の上下揺動をより円滑にできる。
【0011】
さらに、単位プレートの連結が連結プレートと一対の吊下ボルトによって行われることにより、図4に示すように、単位プレート毎に吊下げが可能となり、開削機を用いての狭い道幅の所での作業が可能となる。
【0012】
【作用及び発明の効果】
本発明によれば、土留プレートを高さ方向に単位プレートとして分割したので、軽量化が可能であるとともに、切梁による連結を簡略化し、取り扱いを容易にすることができる。
【0013】
また、切梁と単位プレートとは単位プレート側の係合凹部に切梁端部を遊嵌して連結したので、各単位プレートを対向する単位プレートと平行四辺形の2つの対向する2辺を形成させつつ交互に下降させることができる。
【0014】
その結果、必要最少幅の溝を開削し、一対の単位プレートの対向間隔及び姿勢を維持しつつ単位プレート組立体を開削溝内に押し込み、その上に次の単位プレート組立体を連結して押し込む、という非常に簡単で効率のよい開削工法を採用でき、土留装置の取扱いの容易さと相まって作業性を大幅に向上できる。
【0015】
さらに必要に応じ、必要最少幅で浅い溝を開削し、単位プレート組立体を押し込んで土留を行い、その状態から開削溝を深く掘削し、押し込んだ単位プレート組立体に次の単位プレート組立体を連結し、これを開削溝内に押し込んで土留するという工法、即ち土留を行いつつ開削する工法を採用でき、作業安全性を向上できる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1は本発明のに係る開削工法に使用する土留装置の埋設状態を示す斜視図である。図において、上記土留プレートは高さ方向に分割した単位プレート(高さ1.5m2枚、1m1枚)1を上下に連結部材3により連結してなり、対向する単位プレート1、1を切梁2で一方の端部を支点として他端を上下に揺動可能に連結し、各単位プレート1を対向する単位プレート1と平行四辺形の2つの対向する2辺を形成させつつ交互に下降可能となっている。
【0017】
各単位プレート1は薄い外板11の左右両側に縦桟12、12を溶着する一方、両縦桟12、12の間に断面コ字形状の一対の幅広横桟13、14を中央に間隔をおいて上記外板11に溶着し、下方の横桟の下端に下窄まりのテーパ面14aを形成する。これにより上記高さ方向中間部には水平方向に延びる凹部15が形成され、作業者の昇降用足掛け部となる。
【0018】
上記縦桟12、12の中央には環状ジョンイト16を溶着し、図2に示すように、内面に環状弾性スペーサ17を介挿して係合凹部を形成し、その外周から連結ボルト22を貫通できるように挿入穴16a、17aを穿設する。他方、上記切梁2の端部には連結ボルト直径より大きい挿入穴21を穿設し、連結ボルト22で連結した状態で上記切梁2の一方の端部を支点として他端を上下に揺動可能に連結させる。
【0019】
上記連結部材3は水平断面がL字形状をなし、その単位プレート1、1の内面側に沿う部分の上下端部近傍に一対の挿入穴32、32を有する当て金部材31と、挿入穴32を介して単位プレート1、1の対応する穴に挿入される一対の吊下用メガネボルト33とから構成される。
【0020】
上記土留装置は図3に示すように、一対の単位プレート1、1を切梁2、2で平行四辺形の2つの対向する2辺を形成しているので、予め開削した溝内に交互に下降させることができる(図3(a) 参照)。1枚目が侵入すると、連結部材3により次の単位プレート1、1を下方の単位プレート1、1の上端に連結し、1枚目と同様に交互に下降させる(図3(b) 参照)。このようにして図3(c) に示すように、単位プレート1を連結した土留装置が開削した溝内に設置されることになる。溝の開削と土留は必要最少幅で所望深さの溝を一度に開削し、単位プレート組立体を順次押し込んで連結し、土留装置を組立てつつ土留を行ってもよく、又必要最少幅の浅い溝を開削し、単位プレート組立体を押し込んで土留し、その状態で開削溝を深く掘削し、次の単位プレート組立体を連結して押し込み、溝の開削と土留装置の組立てとを交互に行うようにしてもよい。
【0021】
かかる状態では図5に示すように、単位プレート1の中央凹部15および上方の単位プレート1の下端横桟14と下方の単位プレート1の上端横桟13のスペースは階段状に形成され、ここを足掛け部として作業者が溝内に侵入できるようになる。
【0022】
所定の管埋設が終了すると、土留装置は引き上げられるが、図4に示すように、単位プレート1を連結するメガネボルト33を介して吊り上げる。したがって、単位プレート1毎に吊下位置を変更して吊り上げられるので、吊り上げ作業が容易となる。
【0023】
図7ないし図9は本発明に係る開削工法に使用される他の土留装置を示し、図1及び図2と同一符号は同一又は相当部分を示す。本例では高さの大きな単位プレート1、1については上下に所定の間隔をあけた2本の切梁2、2で連結し、最初の1枚目を開削溝内に下降させる際の単位プレート1、1の平行性を保持できるようにしている。また、高さの大きな単位プレート1については上下の横桟13、14間に断面コ字状の中間横桟17を上下に所定の間隔をあけて固着し、作業者が開削溝で昇降する際に容易に足掛けをできるようにしている。
【0024】
図10ないし図13は本発明に係る開削工法に使用されるさらに他の土留装置を示し、図7ないし図9と同一符号は同一又は相当部分を示す。本実施例では切梁4の中間にターンバックルを形成し、土留プレート間の間隔を調整可能としている。即ち、切梁4は一対のロッド40、41とパイプ42とから構成し、ロッド40、41の先端には連結ボルト22よりも大径の挿入穴21を形成し、ロッド40、41の後端には相互に逆ねじとなる雄ねじ400、410を刻設する。パイプ42の内周面にはロッド40、41の雄ねじ400、410が螺合しうる雌ねじ420、421を刻設し、ロッド40、41の雄ねじ400、410を螺挿し、パイプ42を回転させることによってロッド40、41を進退させて対向する土留プレートの間隔を調整できるようにしている。また、ロッド40、41とパイプ42との間にはOリングを介在させてキャップで保持し、切梁4内への泥水の侵入を阻止している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例による開削工法に使用される土留装置の埋設状態を示す概略斜視図である。
【図2】 上記土留装置における切梁の連結部を示す拡大斜視図である。
【図3】 上記開削工法を説明するための工程図である。
【図4】 上記土留装置の引き上げ動作説明のための工程図である。
【図5】 設置状態の土留装置の昇降動作説明のための図である。
【図6】 従来の土留装置を示す図である。
【図7】 本発明に係る開削工法に使用される他の土留装置を示す概略斜視図である。
【図8】 上記土留装置における高さの低い単位プレート組立体を示す斜視図である。
【図9】 上記土留装置における高さの大きい単位プレート組立体を示す斜視図である。
【図10】 本発明に係る開削工法に使用されるさらに他の土留装置を示す概略斜視図である。
【図11】 上記土留装置における高さの低い単位プレート組立体を示す斜視図である。
【図12】 上記土留装置における高さの大きい単位プレート組立体を示す斜視図である。。
【図13】 上記土留装置における切梁と環状ジョイントの関係を示す断面図である。
【符号の説明】
1 単位プレート
16 環状ジョンイト(係合凹部)
2 切梁
4 切梁
Claims (2)
- 地盤に溝を開削し、対向する一対の土留プレートを切梁で連結したボックス方式の土留装置にて開削溝の土壁面を土留するにあたり、
上記土留プレートを高さ方向に分割した単位プレートを一対相互に対向させかつ両者が2つの対向する平行な2辺を形成しつつ交互に下降しうるように切梁で連結してなる単位プレート組立体を複数用い、
地盤に必要最小幅でかつ必要深さの溝を開削し、
上記単位プレート組立体を吊り下げて開削溝上端開口に設置し、その一対の対向する単位プレートを2つの対向する平行な2辺を形成させつつ開削溝内に交互に押し込み、
次の単位プレート組立体を吊り下げ、その下端を開削溝内に押し込んだ単位プレート組立体の上端に連結し、上下に連結した単位プレートを全体として2つの対向する平行な2辺を形成させつつ開削溝内に交互に押し込み、土留装置を組立てつつ土留を行うようにしたことを特徴とする開削工法。 - 地盤に溝を開削し、対向する一対の土留プレートを切梁で連結したボックス方式の土留装置にて開削溝の土壁面を土留するにあたり、
上記土留プレートを高さ方向に分割した単位プレートを一対相互に対向させかつ両者が2つの対向する平行な2辺を形成しつつ交互に下降しうるように切梁で連結してなる単位プレート組立体を複数用い、
地盤に必要最小幅でかつ所定深さの溝を開削し、上記単位プレート組立体を吊り下げて開削溝上端開口に設置し、その一対の対向する単位プレートを2つの対向する平行な2辺を形成させつつ開削溝内に交互に押し込み、
押し込んだ単位プレートで土留を行いつつ開削溝を深く開削し、次の単位プレート組立体を吊り下げ、その下端を開削溝内に押し込んだ単位プレート組立体の上端に連結し、上下に連結した単位プレートを全体として2つの対向する平行な2辺を形成させつつ開削溝内に交互に押し込み、土留装置を組立てつつ土留を行うようにしたことを特徴とする開削工法。
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JP32152194A JP3637423B2 (ja) | 1993-12-06 | 1994-11-29 | 開削工法 |
Publications (2)
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JPH07216890A JPH07216890A (ja) | 1995-08-15 |
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1994
- 1994-11-29 JP JP32152194A patent/JP3637423B2/ja not_active Expired - Fee Related
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