JP3637375B2 - コネクティングロッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、非調質鋼を鍛造して製作され、鍛造後に二個以上の部品に破断によって容易に分離できるコネクティングロッドの製造方法に関する。
【0002】
従来、コネクティングロッドは、最終形状に一体鍛造し、必要によっては仕上げの機械加工を施した後、機械加工によって二個に分離して製作されていた。この種の加工方法は、切断部分に切り代として余分な材料を要すると共に、切断後分離面を切削加工または研磨などにより仕上げる必要があり、多大な時間と価格の上昇をもたらしていた。
【0003】
また、これらの問題を解決する手段の一つとして粉末焼結鍛造化を図って容易ににすることが提案されているが、粉末焼結鍛造プロセス自体が複雑なプロセスであり、生産性を阻害し、コストアップの原因となっている。
【0004】
一般の溶製材を熱間鍛造して得られる部品は、機械構造部品として用いられる25〜35HRCの硬さ範囲では十分な靭性を有しているため、破断による分離を行うと破断面の一部が衝撃試験時に見られるシアーリップのように大きな塑性変形が生じ、破断分離のままで破面を正確にあわせることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、作業時間の短縮および材料歩留まり向上のため、容易に破断分離し得る非調質鋼からなる溶製材を熱間鍛造により一体品に成形し、得られた鍛造品を機械加工による切断を行わずに破断分離した後、互いに密着させるコネクティングロッドの製造方法を提供する、ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるコネクティングロッドの製造方法(請求項1)は、重量基準で、C:0.40〜0.60%、Si:0.50〜5.00%、Mn:0.10〜0.80%、P:0.01〜0.20%、Cr:0.10〜0.50%、V:0.10〜0.50%、残部Feおよび不純物よりなる非調質鋼の溶製材を熱間鍛造し、熱間鍛造後に得られる鍛造部品を破断によって2個以上の部品に分離した後、係る2個以上の部品を破断分離面で密着させる、ことを特徴とする。
また、前記非調質鋼が、更にPb:0.30%以下、S:0.20%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.01%以下、Bi:0.30%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含む、コネクティングロッドの製造方法(請求項2)も含まれる。
【0007】
次に、本発明に用いる非調質鋼の成分範囲(重量基準)について説明する。
C:0.40〜0.60%
Cは、鍛造品の強度を確保するのに有効な元素であり、このような効果を得るためには0.40%以上含有させることが必要である。しかし、多すぎると高さが高くなりすぎ被削性が低下するので0.60%以下とする必要がある。
【0008】
Si:0.50〜5.00%
Siは、鋼溶製時において脱酸作用および脱硫作用を有しているとともに、フェライト中に固溶して破断分離時における塑性変形の主な原因の軟質相であるフェライトの強度を向上させることによる脆性破面率を高め、破断面の密着性を向上させる。このような効果を得るためには0.50%以上含有させることが必要である。しかし、含有量が多すぎると熱間加工性を劣化させるので5.00%以下とすることが必要である。なお、Siの好ましい範囲は1.00〜5.00%である。
【0009】
Mn:0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.50%
Mn、Crは、パーライト部の靭性を高める働きを有する元素である。しかし、破断分離を行う場合、パーライトの靭性は低い方がより破断面の塑性変形が少なく、密着性が向上するため、それぞれ0.10〜0.80%、Cr:0.10〜0.50%とした。
【0010】
P:0.01〜0.20%
Pは、粒界への偏析により靭性を低下させる元素として低く抑えられるのが一般的であるが、破断分離を行う本発明の製造方法においては脆性破面率を高め、破断面の密着性を向上させる元素として非常に有効に作用するため、積極的な添加を行っている。しかし、多量に添加してもその効果が飽和するため、0.01〜0.20%の範囲とした。なお、Pの好ましい範囲は0.05〜0.20%である。
【0011】
V:0.10〜0.50%
Vは、Siと同様にフェライトを強化する元素であり、分離破断面の密着性を向上させる。また、Vは、疲労強度を大きく向上させる元素でもあり、このような効果を得るために、0.10%以上の添加が必要である。しかし、多量の添加は経済的に不利となるため、0.50%以下とする必要がある。
【0012】
Pb:0.30%以下、S:0.20%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.01%以下、Bi:0.30%以下のうちから選ばれる1種または2種以上
Pb、S、Te、Ca、Biは、いずれも被削性を向上させるのに有効な元素であるので、鍛造品において被削性が更に良好であることが要求される場合には、これらのうちから選ばれる1種または2種以上を適量添加するのがよい。
【0013】
しかしながら、添加量が多すぎると熱間加工性や疲れ限度を低下させるので、添加するとしても、Pbは0.30%以下、Sは0.20%以下、Teは0.30%以下、Caは0.01%以下、Biは0.30%以下とする必要がある。
【0014】
【発明の作用】
本発明に係わるコネクティングロッドの製造方法は、前記のような非調質鋼の溶製材を 所要の形状に熱間鍛造し、機械加工を用いることなく二個以上の部品に容易に分離できると共に、破断分離面の塑性変形が少なく密着性のよいコネクティングロッドが得られる。
【0015】
【発明の実施の形態および実施例】
本発明の製造方法は、前記合金組成の非調質鋼からなる溶製材を熱間鍛造して一体のコネクティングロッド(鍛造品)とし、これを冷却し、2個以上の部品に破断分離した後、これらの部品を破断分離面で互いに密着するものである。
上記鍛造および破断分離で得られた上記ロッド部品同士の分離破断面は、塑性変形が少ないので、その後で密着性が高いものとなる。
表1に示す本発明に用いる発明鋼および比較鋼を溶製したのち造塊し、熱間鍛造を行って50mm角の鍛造素材とした。これらの素材を1200℃で60分加熱・保持したあと、直径22mmの丸棒に熱間鍛造を行い、適当な間隔を置いて室温まで放冷した。この直径22mmの丸棒材より試験片を切り出し、試験に供した。また、一部の供試材についてドリル加工能率を測定し、非削性の評価を行った。
【0016】
これらのうち、硬さは、各試験片の中心部の硬さをロックウェル硬度計で測定した結果を示し、衝撃値は、JIS3号衝撃試験片を切り出して25℃でシャルピー衝撃試験を行って測定した結果であり、密着性の指標として脆性破面率も測定している。また、疲れ限度は、平行部直径8mmの平滑回転曲げ試験片を用いて測定した。これらの結果を表1に示す。
さらに、工具寿命は、表2に示すドリル試験を行って測定した。これらの結果を発明鋼No.2を100とした場合の相対的な値をドリル加工能率として表したものを同じく表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
上記表1より以下のことがわかる。
まず、発明鋼No.1,2と比較鋼No.BよりもC含有量が低い比較鋼No.Aは、発明鋼No.1,2にくらべ硬さが低く、絶性破面率が低下している。このため、破断分離後の破面密着性が低下する。また、比較鋼No.BではC含有量が高すぎるために硬さが高くなりすぎている。このため、本発明に用いる非調質鋼におけるCの含有量は、0.40〜0.60%に入っている必要があることがわかる。
【0020】
比較鋼No.Cは、発明鋼No.2よりもSiが低いため、硬さが低く、絶性破面率が低下している。また、比較鋼No.Dは、Siが高すぎており、本発明に用いる非調質鋼におけるSiの含有量は、0.50〜5.00%にする必要があることがわかる。
【0021】
比較鋼No.Eも同様に発明鋼No.2よりもPが低いため、また比較鋼No.FはPが高すぎるために目標とする硬さが得られていない。このため、本発明に用いる非調質鋼におけるP含有量は、0.05〜0.20%に入っている必要がある。
【0022】
比較鋼No.G、H、Iは、Mn、Crを多量に含むため、硬さが高いにもかかわらずパーライトの靭性が向上し、脆性破面率が低下している。このため、本発明に用いる非調質鋼におけるMn、Cr含有量は、それぞれ0.10〜0.80%、0.10〜0.50%にした。
【0023】
比較鋼No.Jは、V以外は発明鋼No.2とほぼ同様であるが、V含有量が少ないために、脆性破面率および疲れ限度が発明鋼No.2よりもが低下している。このため、本発明に用いる非調質鋼におけるV含有量は、0.10%以上とした。また、多量に添加しても経済的に不利となるため、0.50%以下とした。
【0024】
Pbを過剰に添加した比較鋼No.Kは、ほぼ同一レベルの合金元素を含む発明鋼No.2に比べて、疲れ限度が著しく低下したおり、Pb、S、Te、Ca、Biのような被削性を改善する元素の過剰添加は、好ましくないことがわかる。
このため、本発明に用いる非調質鋼におけるそれぞれの含有量をPbは0.30%以下、Sは0.20%以下、Teは0.30%以下、Caは0.01%以下、Biは0.30%以下とした。
【0025】
発明鋼No.1〜8は実用的な硬さ範囲、つまり25HRC以上で35HRC以下、疲れ限度、脆性破面率とも比較鋼No.A〜Kに比べて優れていることがわかる。また、発明鋼No.6〜8により、Pb、S、Te、Ca、Biの適度な添加は、疲れ限度を大きく低下させることなく、被削性わ改善していることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係わるコネクティングロッドの製造方法は、前記のような非調質鋼の溶製材を用いるため、これを所要の形状に熱間鍛造し、機械加工を用いることなく二個以上の部品に容易に分離できると共に、破断分離面の塑性変形が少なく密着性のよいコネクティングロッドが得られる。
Claims (2)
- 重量基準で、C:0.40〜0.60%、Si:0.50〜5.00%、Mn:0.10〜0.80%、P:0.01〜0.20%、Cr:0.10〜0.50%、V:0.10〜0.50%、残部Feおよび不純物よりなる非調質鋼の溶製材を熱間鍛造し、
熱間鍛造後に得られる鍛造品を破断によって2個以上の部品に分離した後、
上記2個以上の部品を破断分離面で密着させる、
ことを特徴とするコネクティングロッドの製造方法。 - 重量基準で、C:0.40〜0.60%、Si:0.50〜5.00%、Mn:0.10〜0.80%、P:0.01〜0.20%、Cr:0.10〜0.50%、V:0.10〜0.50%を含むと共に、更にPb:0.30%以下、S:0.20%以下、Te:0.30%以下、Ca:0.01%以下、Bi:0.30%以下のうちから選ばれる1種または2種以上を含み、残部Feおよび不純物よりなる非調質鋼の溶製材を熱間鍛造し、
熱間鍛造後に得られる鍛造品を破断によって2個以上の部品に分離した後、
上記2個以上の部品を破断分離面で密着させる、
ことを特徴とするコネクティングロッドの製造方法。
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