JP3637182B2 - 醸造用α化米の製造方法 - Google Patents
醸造用α化米の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3637182B2 JP3637182B2 JP17252697A JP17252697A JP3637182B2 JP 3637182 B2 JP3637182 B2 JP 3637182B2 JP 17252697 A JP17252697 A JP 17252697A JP 17252697 A JP17252697 A JP 17252697A JP 3637182 B2 JP3637182 B2 JP 3637182B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rice
- water
- brewing
- sake
- brewed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Cereal-Derived Products (AREA)
- Alcoholic Beverages (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、日本酒の原料である醸造用α化米の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、日本酒の酒質は水質、麹の酵素力価、蒸し米の硬軟、発酵温度等種々の要素が絡み合って形成されるが、最終的には、杜氏の勘に頼っているのが実状である。
【0003】
日本酒の醸造に使用する水質に関しては、その硬度が酒質に大きく影響することが知られている。例えば、日本酒の醸造に硬度が高い硬水を使用する場合には、酵素が活性化されて澱粉の液化、および糖化が促進され、歩留まりが向上するとともに、蛋白質の加水分解が促進されてアミノ酸が生成されて、濃くのある酒質となる。また、硬度が低い軟水を使用する場合には、澱粉および蛋白質の分解が抑制されて、軽快な酒質となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、日本酒の醸造には水質が大きく影響することから、好みに応じた酒質の日本酒を醸造するには、その酒質に応じた水を産出地から取寄せる必要があるが、好適な水質の醸造用水を産出地から醸造地まで輸送にはコストがかかり、醸造酒のコストを増大させることになる。
【0005】
従って、本発明の目的は、かかる問題に対処するもので、軽快な酒質の日本酒を、その醸造に適した水を産出地から取寄せることなく、醸造可能にすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、日本酒の原料である醸造用α化米の製造方法に関するもので、当該製造方法は、精米を洗米して水に浸漬し、浸漬された浸漬米を蒸した後に乾燥して日本酒の原料である醸造用α化米を製造する醸造用α化米の製造方法において、洗米用水、および浸漬用水として、水を有隔膜電解して生成されるアルカリ性水を採用したことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の作用・効果】
本発明の製造方法によって製造される醸造用α化米においては、酵素反応による液化が抑制されて蛋白質の分解も抑制されるため、当該醸造用α化米を原料として日本酒を醸造すれば、アミノ酸の含有量が少ない軽快な酒質の日本酒を醸造することができる。酵素反応による液化が抑制されて蛋白質の分解が抑制される現象は、洗米用水、および浸漬用水として採用したアルカリ性水が米に含まれる蛋白質を、酵素が反応し難い形に変性するためと考えられる。
【0008】
このように、当該醸造用α化米を原料として日本酒を醸造すれば、アミノ酸の含有量が少ない軽快な酒質の日本酒を醸造することができるが、当該醸造用α化米を製造する際に使用するアルカリ性水は、水を有隔膜電解して生成されるものであることから、水の有隔膜電解装置を醸造地に設置すれば、軽快な酒質に応じた水を産出地から取寄せることは全く必要としない。
【0009】
また、水の有隔膜電解装置は、すでに多くの形式のものが市販されていて、容易にかつ安価に入手することができ、日本酒の醸造コストに大きな影響を及ぼすものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】
(α化米の製造実験)
本製造実験は、図1に示す醸造用α化米の製造工程に基づいて行った。当該製造工程は、(1)原料米を精米する工程、(2)精米された米を洗米する工程、(3)洗米された米を浸漬する工程、(4)浸漬された米を蒸す工程、(5)蒸し米を乾燥する工程、(6)乾燥された蒸し米を篩分けする工程からなるもので、精米工程では原料米を50%精米とし、洗米工程では精米された米を1回当たり米と同量の水で3回洗米し、浸漬工程では米の2倍の水に1時間浸漬し、蒸し工程では水蒸気で1時間蒸し、乾燥工程では蒸し米を温風乾燥して水分を12%ととし、篩分け工程では5メッシュ〜10メッシュの範囲のものを採取した。
【0011】
本製造実験においては、洗米工程と浸漬工程に使用する洗米用水および浸漬用水として、水道水を有隔膜電解して生成されたアルカリ性水(pH9.5)、有隔膜電解に使用した水道水と同一の水道水、地下水、蒸留水をそれぞれ採用した。
【0012】
本製造実験で採用した各水の金属イオン濃度を測定して、得られた結果を表1に示しており、また各α化米の分析結果(糊化度、金属イオン含有量)を表2に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
(α化米の消化実験)
本消化実験は、α化米の製造実験で得られた各α化米について、図2に示すα化米の消化実験法に基づいて行った。但し、図2に示すα化米の消化実験法は、堀江修二、他(日本醸造協会誌、90,p51〜56,1995)にて提案されているものである。当該消化実験法は、(1)α化米を乳酸溶液に溶解する工程、(2)溶解されたα化米を消化する工程、(3)消化工程を経た溶液を遠心分離する工程、(4)上澄み液を採取する工程からなるもので、溶解工程では約200ユニットのα−アミラーゼを含む25mMの乳酸溶液15mLにα化米10gを溶解するとともに、トルエン1mLを添加し、消化工程ではα化米の溶解溶液を12℃で12日間靜置し、遠心分離工程では10,000rpmで30分間遠心分離して、その上澄み液を採取する。
【0016】
本消化実験で得られた上澄み液の重量を測定して、α化米に対する酵素反応の目安とした。得られた結果を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】
表3を参照すると、上澄み液の重量はα化米の製造の際に採用した洗米用水および浸漬用水によって異なり、上澄み液の重量が大きいほどα化米に対する酵素反応が促進されていて、蛋白質の分解物であるアミノ酸の含有量が多くて濃くのある酒質が得られ、これとは逆に、上澄み液の重量が小さいほどα化米に対する酵素反応が抑制されていて、蛋白質の分解物であるアミノ酸の含有量が少なくて軽快な酒質が得られる。従って、洗米用水および浸漬用水として、アルカリ性水を採用して製造したα化米は、軽快な酒質の日本酒の醸造用原料として適していることが表3から明らかである。
【0019】
このように、本発明の製造方法により製造したα化米を原料として日本酒を醸造すれば、アミノ酸が少ない軽快な酒質の日本酒を醸造することができるが、当該醸造用α化米を製造する際に使用するアルカリ性水は、水を有隔膜電解して生成されるものであることから、水の有隔膜電解装置を醸造地に設置することにより、軽快な酒質に応じた水を産出地から取寄せる必要は全くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】日本酒の原料である醸造用α化米の製造工程を示す工程図である。
【図2】α化米の消化実験法を示す工程図である。
Claims (1)
- 精米を洗米して水に浸漬し、浸漬された浸漬米を蒸した後に乾燥して日本酒の原料である醸造用α化米を製造する醸造用α化米の製造方法において、洗米用水、および浸漬用水として、水を有隔膜電解して生成されるアルカリ性水を採用することを特徴とする醸造用α化米の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17252697A JP3637182B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 醸造用α化米の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17252697A JP3637182B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 醸造用α化米の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH119254A JPH119254A (ja) | 1999-01-19 |
JP3637182B2 true JP3637182B2 (ja) | 2005-04-13 |
Family
ID=15943571
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17252697A Expired - Fee Related JP3637182B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 醸造用α化米の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3637182B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1106080B1 (en) * | 1999-12-10 | 2004-09-22 | Hoshizaki Denki Kabushiki Kaisha | Process for activating enzymes in food products by means of electrolysed water |
JP2002345450A (ja) * | 2001-05-30 | 2002-12-03 | Denen Kurimoto Shuzo Kk | 焼酎及びその製造法 |
-
1997
- 1997-06-27 JP JP17252697A patent/JP3637182B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH119254A (ja) | 1999-01-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH11503902A (ja) | アルカリセルラーゼおよびその製造方法 | |
Varavinit et al. | Covalent immobilization of a glucoamylase to bagasse dialdehyde cellulose | |
JP3637182B2 (ja) | 醸造用α化米の製造方法 | |
JPH06303925A (ja) | 低蛋白質、低カリウム、低リン米の製造方法 | |
JP4957512B2 (ja) | 発泡性アルコール飲料及びその製造方法 | |
JP2663101B2 (ja) | 大豆の軟化法 | |
JPH119255A (ja) | 日本酒の醸造方法 | |
JP3205528B2 (ja) | 日本酒の醸造方法 | |
CN105795355B (zh) | 一种提高黑豆皮中可溶性膳食纤维含量的方法 | |
JP4063416B2 (ja) | 日本酒の醸造方法 | |
JP4628318B2 (ja) | 清酒の製造方法 | |
JP3642501B2 (ja) | 酒類、調味料の製造方法 | |
JPH0923873A (ja) | 清酒の処理方法 | |
JPH1094368A (ja) | 食感の優れた玄米飯の製造法 | |
JP2018130047A (ja) | タンパク質低減米飯の製造方法 | |
JP4953414B2 (ja) | 液体麹を用いたみりんの製造方法 | |
JPH0438385B2 (ja) | ||
JPH0134022B2 (ja) | ||
CN111172233B (zh) | 一种以含蛋白多糖复合物皮粉为底物的糖苷酶活力测定和性能评价方法 | |
JPH07274946A (ja) | 米麹の製造方法 | |
JP3982757B2 (ja) | おり下げ剤 | |
US20030185936A1 (en) | Efficient process of obtaining high contents of bound-phenolic acid rich dietary fibre by activating in situ amylases through step-wise increase in temperature | |
JP2000300193A (ja) | 米の改質方法 | |
JP2004350604A (ja) | 醸造酢用原料及びその製造法 | |
JPH11313665A (ja) | 日本酒の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040406 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040827 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040831 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050107 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090114 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090114 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100114 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110114 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110114 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120114 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130114 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |