JP3637133B2 - X線診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、手術支援等のリアルタイムでX線透視画像を表示するX線診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
整形外科手術等において、手術者( 手術担当医 )が手術を行うときに、X線等の撮像装置( 透視装置 )を使用して、被検体の手術部位を撮影し、その撮像画像をディスプレイ等の表示画面に表示して、手術者の手術を支援するX線診断装置が知られている。
【0003】
さらに、ステレオ透視という技術が知られている。これは例えば、2つの焦点を有し、この2つの焦点から交互にX線を1つの被写体の観察部位に曝射し、一方の焦点からX線を曝射したときに得られた画像を右目で観察し、他方の焦点からX線を曝射したときに得られた画像を左目で観察することにより、観察部位のX線を立体的に観察することができる。このような立体的な画像( ステレオ画像 )の観察は、特に循環器系の診断において、複雑な立体構造を持つ血管の走行を把握するために使用される。
このようなステレオ透視技術を採用したステレオ透視画像表示装置が知られている。
【0004】
具体的に、X線を使用した従来のステレオ透視システムの概略の構成の一例を図9に示す。
右目用像と左目用像とに対応して2つのX線管球101,102を所定距離だけ隔てて配置し、これらのX線管球10,102のX線曝射側には、被検体103の観察部位に曝射するX線量を適切に調節するためのコリメータ104が配置されている。被検体103は、コリメータ104とイメージインテンシファイヤ105との間に位置する。
【0005】
X線管球101,102は、後述する制御処理ユニットのタイミング信号発生部からのタイミング信号に基づく切換えにより、一定時間間隔で高速で交互にX線を放射する。このX線は、コリメータ104を介して被検体103に曝射される。
被検体103を透過したX線、すなわち透過X線画像は、イメージインテンシファイヤ105に入射され、光に変換されて可視画像となる。この可視画像をテレビカメラ106により撮影し、このテレビカメラ106から撮影により得られた撮像信号が出力される。なお、テレビカメラ106は、撮像素子として撮像管又はCCD(charge coupled device )を使用したもの一般的である。
【0006】
図10は、撮像信号を処理する制御処理ユニットの構成を示すブロック図である。
制御部111は、CPUボードとして、制御部本体を構成するCPU(central processing unit )111-1、プログラムデータ等が記憶されたROM( read only memory)111-2及び各種メモリエリアが形成されたRAM(random access memory)111-3等から構成されている。
【0007】
この制御部111は、システムバス112を介して、タイミング信号発生部113、A/D(analog/digital)変換器114、画像処理部115等と接続されている。
タイミング信号発生部113は、右画像と左画像との切換えタイミングを制御するためのタイミング信号を発生するもので、この発生したタイミング信号は、前記各X線管球101,102をそれぞれ駆動制御するX線管球駆動制御部( 図示せず )、テレビカメラ106、A/D変換器114、画像処理部115に供給されると共に、後述する各部へ供給される。
【0008】
A/D変換器114は、テレビカメラ106から出力された撮像信号を入力して、デジタルデータ( デジタル信号 )に変換する。この変換して得られたデジタルデータは画像処理部115へ出力される。
画像処理部115は、ノイズや不必要な信号成分をカットして必要な信号成分のみを抽出すると共に、空間フィルタとしてエッジ強調( 輪郭強調 )を行うフィルタ処理、濃さ等を決定する階調の調整を行う階調処理、アフィン変換等を行う。なお、このX線を使用した従来のステレオ透視システムでは、X線曝射をしていなくとも前回のX線曝射による画像をモニタ上にホールドしておくLIH( ラスト・イメージ・ホールド )機能を備えており、画像処理部115は、このLIHによるホールド画像を参照して、エッジ強調の処理や階調処理等を行うようになっている。
【0009】
このようにして処理されたデジタルデータは、タイミング信号発生部113からのタイミング信号に基づいて、右用透視画像データ又は左用透視画像データとして、1画面ずつ右用画像メモリ116又は左用画像メモリ117のいずれか一方に記憶される。
【0010】
この右用画像メモリ116及び左用画像メモリ117は、それぞれ複数画面分の透視画像データが記憶できるように記憶エリアが確保( フォーマット )されており、画像セレクタ118により、タイミング信号発生部113からのタイミング信号に基づいて、右用画像メモリ116及び左用画像メモリ117から交互に順次透視画像データが読取り、この読取った透視画像データを、モニタ駆動部119へ供給する。
モニタ駆動部119は、この供給された透視画像データに基づいて、モニタ120に透視画像を表示する。例えばモニタ120がCRT(cathode ray tube)ディスプレイであれば、モニタ駆動部119は、D/A変換器を備え、デジタルデータである透視画像データをアナログ信号のモニタ用信号に変換してモニタ120へ供給して表示させる。
さらに、モニタ駆動部119は、画像セレクタ118による画像メモリ116,117の切換えタイミングに同期して、シャッタメガネ121の右目又は左目のいずれか一方を遮蔽( シャッタを閉じる )するようになっている。
すなわち、モニタ駆動部119は、右用画像メモリ116から読取った画像データをモニタ120に表示したときには、シャッタメガネ121の左目を遮蔽し、左用画像メモリ117から読取った画像データをモニタ120に表示したときには、シャッタメガネ121の右目を遮蔽するようになっている。
【0011】
これは1モニタとシャッタメガネとを使用したステレオ表示装置であるが、2モニタと右目と左目とで偏光が直交関係になっているステレオビュアを使用したステレオ表示装置でも同様にして使用することができる。なお、この場合には、画像セレクタ118で右用画像メモリ116から読取った画像データは、観察者右目側に配置された右画像用モニタで、ステレオビュアの右目の偏光に平行に偏光して表示し、画像セレクタ118で左用画像メモリ117から読取った画像データは、観察者の左目側に配置された左画像用モニタで、ステレオビュアの左目の偏光に平行に偏光して表示する。
以上のような構成により、観察者( 手術者 )は、右目で右画像は観察し、左目で左画像を観察することになり、立体的なステレオ画像で観察部位( 手術部位 )を観察することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ステレオ画像では、画像の焦点の調整が必要で、この焦点位置を被検体の観察部位中の手術部位( 注目部位 )に設定すると、この焦点位置から奥行き方向にずれた位置にある部位( 特に注目部位とは異なる他の部位 )の画像が2重に見えるという問題があった。
すなわち、X線管球を配置した位置を上方向、イメージインテンシファイヤを下方向としたときに、図11( a )は被検体の観察部位及びその周辺の各部位の配置位置を示す上面図で、図11( b )はその正面図、図11( c )はその側面図である。
この時斜線で示す手術部位1に画像の焦点を合わせると、他の部位2,3,4は焦点が合わず2重に見える。手術者の目は、観察部位を見ているがその視界の中に2重に見える他の部位2,3,4が入ってきて手術者の疲労を増加させる要因の一つとなるという問題がある。
【0013】
そこでこの発明は、注目部位の領域又は注目部位以外の領域のいずれか一方における2重画像による観察者の疲労増加の一要因を除去することができるX線診断装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1対応の発明は、第1の方向とこの第1の方向とは異なる第2の方向から被検体に向けてX線を曝射するX線曝射手段と、被検体を透過したX線像を撮像する撮像手段と、X線像を表示する表示手段と、表示するX線像内の立体視領域を設定する設定手段と、設定手段による設定に基づいて、立体視領域に対応する部分が立体視用の像、立体視領域以外の領域に対応する部分が平面視用の像となるように、撮像手段の出力に基づいて右目用の画像データと左目用の画像データを出力する画像処理手段と、右目用の画像データと左目用の画像データに基づいて、右目用像と左目用像を表示手段により表示させる表示制御手段とを備えたものである。
【0015】
請求項2対応の発明は、請求項1対応の発明において、画像処理手段は、右目用像内及び左目用像内のそれぞれの立体視領域に対応する部分には、第1の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータ及び第2の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータを振り分けて出力し、右目用像内及び左目用像内のそれぞれの立体視領域以外の領域に対応する部分には、第1の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータ又は第2の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータのいずれか一方を共通に出力するものである。
請求項3対応の発明は、請求項1及び請求項2のいずれか1項対応の発明において、元の立体視領域を立体視領域以外の領域とし、元の立体視領域以外の領域を立体視領域とする切換スイッチを備えたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施の形態を図1乃至図4を参照して説明する。
図1は、この発明を適用したX線ステレオ透視システムの概略の構成を示す図である。
右画像用と左画像用とに対応した2つのX線管球1,2から構成されたステレオX線管である。X線管球1,2は、所定距離だけ隔てて配置すると共にそのX線の放射方向( 放射角度 )が設定された焦点に一致するように制御される。
これらのX線管球1,2のX線曝射側には、被検体3の観察部位に曝射するX線量を適切に調節するためのコリメータ4が配置されている。前記被検体3は、前記コリメータ4とイメージインテンシファイヤ5との間に位置する。
【0021】
前記X線管球1,2は、後述する制御処理ユニットのタイミング信号発生部からのタイミング信号に基づく切換えにより、一定時間間隔で高速で交互でX線を放射する。このX線は、前記コリメータ4を介して前記被検体3に曝射される。
【0022】
前記被検体3を透過したX線、すなわち透過X線画像は、前記イメージインテンシファイヤ5のX線入射面( 表面 )に入射され、光に変換されて可視画像となる。この可視画像を、前記イメージインテンシファイヤ5の光放射面( 裏面 )側に配置されたテレビカメラ6により撮影する。
このテレビカメラ6は、撮像管又はCCD(charge coupled device )等の撮像素子から構成され、その撮影により各撮像素子から出力された信号を撮像信号として出力する。
【0023】
図2は、撮像信号を処理する制御処理ユニットの構成を示すブロック図である。
制御部11は、CPUボードとして、制御部本体を構成するCPU( central processing unit)12、プログラムデータ等が記憶されたROM( read only memory )13及び各種メモリエリアが形成されたRAM(random access memory)14等から構成されている。
前記制御部11は、システムバス15を介して、タイミング信号発生部16、A/D(analog/digital)変換器17、画像処理部18、注目領域設定部19、注目部位を指定するためのマウス20とのデータの伝送制御を行うマウスインターフェイス21と、その他の図示しない周辺装置と接続されている。
【0024】
タイミング信号発生部16は、右画像と左画像との切換えタイミングを制御するためのタイミング信号を発生するもので、この発生したタイミング信号は、前記各X線管球1,2をそれぞれ駆動制御するX線管球駆動制御部( 図示せず )、前記テレビカメラ6、前記A/D変換器17、前記画像処理部18に供給されると共に、後述する各部へ供給される。
前記A/D変換器17は、前記テレビカメラ6から出力された撮像信号を入力して、デジタルデータ( デジタル信号 )に変換する。この変換して得られたデジタルデータは前記画像処理部18へ出力される。
【0025】
この画像処理部18は、図3に示すように、フィルタ処理部31、階調処理部32、AFIN変換部33、動体領域抽出部34、注目領域拡張部35、モノラル化処理部36、コントラスト低下処理部37等が備えられている。
前記フィルタ処理部31は、前記A/D変換器17からのデジタルデータ( デジタル信号 )のノイズや不必要な信号成分をカットして必要な信号成分のみを抽出すると共に、空間フィルタとしてエッジ強調( 輪郭強調 )を行う。
前記階調処理部32は、前記フィルタ処理部31により処理されたデジタルデータに対して濃さ等を決定する階調( コントラスト )の調整を行う。
前記AFIN変換部33は、前記階調処理部32により階調が調整されたデジタルデータに対してアフィン変換を行う。
以上により処理されたデジタルデータは、前記タイミング信号発生部16からのタイミング信号に基づいて、右用透視画像データ又は左用透視画像データとして収集される。
【0026】
前記動体領域抽出部34は、その収集した右用透視画像データ及び左用透視画像データから動体、例えば処置具等を検出してその動体領域を抽出する。動体の検出方法としては、右用画像メモリ22又は左用画像メモリ23に記憶されている1フレーム前の右用透視画像データ及び左用透視画像データと今回のフレームの右用透視画像データ及び左用透視画像データとを比較し、各画素のデータの変化から解析して、動体を判定する。なお、右用画像メモリ22又は左用画像メモリ23の両方について解析する必要はなく、片方のみ1フレーム前と今回のフレームの透視画像データを比較しても良い。
【0027】
前記注目領域拡張部35は、その収集した右用透視画像データ及び左用透視画像データに対して、前記注目領域設定部19により設定された注目領域に前記動体領域抽出部34により抽出された動体領域を加える。又は、注目領域を動体領域を含むように拡張する。
前記モノラル化処理部36は、その収集した右用透視画像データ及び左用透視画像データに対して、前記注目領域設定部19又は前記注目領域拡張部35により設定された注目領域以外の領域について、右用画像メモリ22及び左用画像メモリ23の両方に、その収集した右透視画像データ又は左透視画像データのいずれか一方のデータのみを書込むように制御する。
【0028】
前記コントラスト低下処理部37は、その収集した右用透視画像データ及び左用透視画像データに対して、前記注目領域設定部19又は前記注目領域拡張部35により設定された注目領域以外の領域について、階調( コントラスト )を予め設定された数値低下させて、右用画像メモリ22及び左用画像メモリ23に書込むように制御する。
前記注目領域設定部19は、前記マウス20により注目領域が指定入力されたときに、その入力データに基づいて、前記画像処理部18で収集された右用透視画像データ及び左用透視画像データにおける注目領域を設定する。
【0029】
以上に説明したように、前記画像処理部18は、前記A/D変換器17からのデジタルデータを前記タイミング信号発生部16からのタイミング信号に基づいて、右用透視画像データあるいは左用透視画像データとして、右用透視画像データを前記右用画像メモリ22に、左用透視画像データを前記左用画像メモリ23に書込む。
前記右用画像メモリ22及び前記左用画像メモリ23には、それぞれ複数画面分の透視画像データが記憶できるように記憶エリアが確保されている。
【0030】
画像セレクタ24は、前記タイミング信号発生部16からのタイミング信号に基づいて、前記右用画像メモリ22及び前記左用画像メモリ23から交互に順次透視画像データを読取り、この読取った透視画像データをモニタ駆動部25へ供給する。
モニタ駆動部25は、この供給された透視画像データに基づいて、モニタ26に透視画像を表示する。例えばモニタ26がCRT( cathode ray tube )ディスプレイであれば、モニタ駆動部25は、D/A変換器を備え、デジタルデータである透視画像データをアナログ信号のモニタ用信号に変換してモニタ26へ供給して表示させる。
さらに、前記モニタ駆動部25は、前記画像セレクタ24による画像メモリ22,23の切換えタイミングに同期して、シャッタメガネ27の右目又は左目のいずれか一方を遮蔽( シャッタを閉じる )するようになっている。
すなわち、前記モニタ駆動部25は、前記右用画像メモリ22から読取った透視画像データを前記モニタ26に表示したときには、前記シャッタメガネ27の左目を遮蔽し、前記左用画像メモリ23から読取った透視画像データを前記モニタ26に表示したときには、前記シャッタメガネ27の右目を遮蔽するようになっている。
【0031】
なお、前記マウス20は、前記モニタ26上に表示したカーソルの移動操作を行い、このモニタ26上の位置又は領域を指定入力する。
このような構成のこの第1の実施の形態においては、動体モード、モノラルモード、コントラストモード及び反転モードの4モードが用意されている。
動体モードについては、動体を無視するOFFモードと、動体領域を注目領域に加えるONモードと、注目領域を動体モードを含むように拡張する拡張モードとが備えられている。
【0032】
モノラルモードについては、なにもしないOFFモードと、注目領域以外の領域を右画像又は左画像のいずれか一方のみの非ステレオ( 非立体 )の画像とするONモードとが備えられている。
コントラストモードについては、なにもしないOFFモードと、注目領域以外の領域のコントラストを低下させるONモードとが備えられている。
反転モードは、なにもしないOFFモードと、注目領域と注目領域以外の領域とで表示状態を反転させるONモードとが備えられている。
【0033】
例えば、図4に示すように、注目部位Aの周囲をマウスにより破線で示すように注目領域Bを指定入力すると、注目領域設定部19により注目領域Bが設定される。
このとき、モノラルモードをONモードにすると、注目領域B以外の領域Fすなわち非注目部位C、D、Eを含む領域は、右画像又は左画像のいずれか一方のみが表示されて非ステレオ化され、非注目部位C、D、Eは2重になっていない平面的な画像として表示されるとなる。また、コントラストモードをONモードにすると、領域Fのコントラストが低下され、非注目部位C、D、Eのコントラストが低いぼやけた( 薄い )画像として表示される。
もちろん、モノラルモード及びコントラストモードを両方ともONモードにすると、非注目部位C、D、Eは2重になっていない平面的な画像で、しかもコントラストが低いぼやけた( 薄い )画像として表示される。
なお、以上のいずれの場合でも、注目領域Bすなわち注目部位Aは、コントラストが高い( 鮮明で )立体的なステレオ画像として表示される。
【0034】
さらに、動体モードをONモードにすると、動体( 処置具、例えばドリル等 )Gが動体領域抽出部34により検出され、動体領域Hが設定される。
この動体領域Hすなわち動体Gは、モノラルモード及びコントラストモードがどのように設定されていても、注目領域Bの注目部位Aと同じように、コントラストが高い( 鮮明で )立体的なステレオ画像として表示される。
また、動体モードを拡張モードにすると、動体Gが動体領域抽出部34により検出され、動体領域Hが設定される。さらに、この動体領域Hを含むように、注目部位Aを拡張して拡張領域Jが設定される。
この拡張領域J( 注目領域B及び動体領域Hが含まれる領域 )は、モノラルモード及びコントラストモードがどのように設定されていても、コントラストが高い( 鮮明で )立体的なステレオ画像として表示される。
【0035】
反転モードをONモードにすると、上述した表示状態が、注目領域Bと、それ以外の領域とで反転することになる。すなわち、注目領域Bだけが非ステレオ化され、2重にならない平面的な画像、あるいはコントラストが低下され、ぼやけた( 薄い )画像として表示され、それ以外の領域は、コントラストが高い( 鮮明で )立体的なステレオ画像として表示される。
【0036】
このようにこの第1の実施の形態によれば、マウス20により注目部位Aの周囲を囲んで入力すれば、注目領域Bとして設定することができ、この注目領域B以外の領域又はこの注目領域Bだけ、非ステレオ化あるいはコントラスト低下することができ、2重画像による観察者の疲労増加の一要因を除去することができる。
また、この第1の実施の形態によれば、動体Gを自動的に検出して動体領域Hが設定され、この動体領域Hについては、非ステレオ化及びコントラスト低下がなされないので、動体Gを注目領域として設定しなくとも、コントラストが高く鮮明で立体的なステレオ画像として観察することができる。
【0037】
この発明の第2の実施の形態を図5及び図6を参照して説明する。
この第2の実施の形態では、前述の第1の実施の形態において前記コリメータ4と前記被検体3との間に、図5に示すようにX線量を減少させる半透過フィルタ7を介挿可能に設置したものである。従って、他の構成については同一であるので、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0038】
前記半透過フィルタ7は、観察する部位の種類( 部位の大きさ )に応じて適切な形状( 円形状、四角形状等 )・広さ( 観察する部位及びその近傍が十分に収まる広さ )の開口7-1が形成されている。
図6に示すように、前記マウス20により前記モニタ26上で注目部位の中心が指定入力されると、注目領域設定部19により注目領域が設定され、この設定された注目領域に基づいて、前記CPU12と前記システムバス15を介して接続された半透過フィルタ移動制御部28により、前記コリメータ4と前記被検体3との間に前記半透過フィルタ7を介挿し、その開口7-1を注目領域上に位置するように移動制御する。
【0039】
このような構成のこの第2の実施の形態においては、マウス20によりモニタ26上で注目部位( 中心点 )を指定入力すると、半透過フィルタ7がコリメータ4と被検体3との間に介挿され、その開口7-1が注目領域上に位置する。
従って、注目部位を中心とする注目領域以外の領域は、半透過フィルタ7がかかって、被検体3に曝射するX線量が減少され、コントラストが低下したのと同じ効果が得られて、ぼやけた( 薄い )画像として表示される。一方、開口7-1が位置する注目領域は、通常のX線量が曝射され、コントラストの低下がなく、鮮明で立体的なステレオ画像として表示される。
【0040】
このようにこの第2の実施の形態によれば、前述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができ、さらに、注目領域以外の領域へのX線曝射量を半透過フィルタ7により減少させるので、注目領域以外の領域の不必要なX線曝射量を減少させることができ、被検体の負担を軽減することができる。
【0041】
この発明の第3の実施の形態を図7及び図8を参照して説明する。
この第3の実施の形態では、前述の第1の実施の形態において前記コリメータ4と前記被検体3との間に、図7に示すように、X線の曝射範囲を制限するためのX線絞り8を介挿可能に設置したものである。従って、他の構成については同一であるので、同一部材には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0042】
図8に示すように、前記マウス20により前記モニタ26上で注目部位の周囲を囲む注目領域が指定入力されると、注目領域設定部19により注目領域が設定され、この設定された注目領域の位置及び広さに基づいて、前記CPU12と前記システムバス15を介して接続されたX線絞り駆動制御部29により、前記コリメータ4と前記被写体3との間に前記X線絞り8を介挿して、このX線絞り8の絞りを制御する。すなわち、前記X線絞り8により絞られるX線の曝射範囲を、注目領域が収まるように制御する。
【0043】
このような構成のこの第3の実施の形態においては、マウス20によりモニタ26上で注目部位を囲む注目領域を指定入力すると、X線絞り8がコリメータ4と被検体3との間に介挿され、そのX線絞り8により絞られるX線の曝射範囲が、注目領域が収まるように制御される。
従って、注目領域以外の領域はX線絞り8によりX線が遮蔽されて、被検体3は注目領域のみが曝射され、それ以外の領域は曝射されない。その結果、モニタ26上には、注目領域のみがコントラストの低下がなく、鮮明で立体的なステレオ画像として表示される。注目領域以外の領域はX線が遮蔽されているので、画像は表示されない。
【0044】
このようにこの第3の実施の形態によれば、前述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができ、さらに、注目領域以外の領域へのX線曝射をX線絞り8による遮蔽により防止することができる。
すなわち、被検体の部位で、注目領域以外の領域の不必要なX線曝射を防止することができ、被検体の負担を軽減することができる。
なお、このX線絞り8を前述の第2の実施の形態において説明した半透過フィルタにより形成して、半透過フィルタの開口の広さをマウス20により設定された注目領域の広さに応じて調節することができるようにしても良いものである。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、注目部位の領域又は注目部位以外の領域のいずれか一方における2重画像による観察者の疲労増加の一要因を除去することができるX線診断装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態のX線ステレオ透視システムの概略の構成を示す図。
【図2】同実施の形態のX線ステレオ透視システムの撮像信号を処理する制御処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態のX線ステレオ透視システムの制御処理ユニットの画像処理部の要部構成を示すブロック図。
【図4】同実施の形態のX線ステレオ透視システムにおけるモニタの画面表示の一例を示す図。
【図5】この発明の第2の実施の形態のX線ステレオ透視システムの概略の構成を示す図。
【図6】同実施の形態のX線ステレオ透視システムの撮像信号を処理する制御処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図7】この発明の第3の実施の形態のX線ステレオ透視システムの概略の構成を示す図。
【図8】同実施の形態のX線ステレオ透視システムの撮像信号を処理する制御処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】従来のX線を使用したステレオ透視システムの概略の構成の一例を示す図。
【図10】同従来例のステレオ透視システムの撮像信号を処理する制御処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図11】被検体の観察部位及びその周辺の各部位の配置位置を示す上面図、正面図、側面図。
【符号の説明】
1,2…X線管球( ステレオX線管 )、
7…半透過フィルタ、
8…X線絞り、
11…CPU、
18…画像処理部、
19…注目領域設定部、
20…マウス、
34…動体領域抽出部、
35…注目領域拡張部、
36…モノラル化処理部、
37…コントラスト低下処理部。

Claims (3)

  1. 第1の方向とこの第1の方向とは異なる第2の方向から被検体に向けてX線を曝射するX線曝射手段と、
    前記被検体を透過したX線像を撮像する撮像手段と、
    X線像を表示する表示手段と、
    表示するX線像内の立体視領域を設定する設定手段と、
    前記設定手段による設定に基づいて、前記立体視領域に対応する部分が立体視用の像、前記立体視領域以外の領域に対応する部分が平面視用の像となるように、前記撮像手段の出力に基づいて右目用の画像データと左目用の画像データを出力する画像処理手段と、前記右目用の画像データと前記左目用の画像データに基づいて、右目用像と左目用像を前記表示手段により表示させる表示制御手段とを備えたことを特徴とするX線診断装置。
  2. 前記画像処理手段は、
    前記右目用像内及び前記左目用像内のそれぞれの前記立体視領域に対応する部分には、前記第1の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータ及び前記第2の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータを振り分けて出力し、
    前記右目用像内及び前記左目用像内のそれぞれの前記立体視領域以外の領域に対応する部分には、前記第1の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータ又は前記第2の方向からX線を曝射した時に得られるX線像のデータのいずれか一方を共通に出力するものであることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
  3. 元の立体視領域を立体視領域以外の領域とし、元の立体視領域以外の領域を立体視領域とする切換スイッチを備えたことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか1項記載のX線線診断装置。
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