JP3637114B2 - 電解水生成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有して殺菌作用、消毒作用を有する酸性水、およびアルカリ性水等の電解水を生成するための電解水生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム等を主要成分として含有して殺菌作用、消毒作用を有する酸性水、およびアルカリ性水等の電解水を生成するための電解水生成装置の一形式として、電解槽と、同電解槽内を第1の電極室と第2の電極室に区画するイオン透過能を有する隔膜と、前記第1の電極室に配設された陽極と、前記第2の電極室に配設された陰極を備え、これら両電極室に供給される食塩水を前記両電極間で電解して、前記第1の電極室内で酸性水を生成するとともに、前記第2の電極室内でアルカリ性水を生成する電解水生成装置がある。
【0003】
また、当該電解水生成装置においては、生成される酸性水およびアルカリ性水等の電解水が使用目的に応じたpHに調整できることが望ましい。電解水のpHを調整手段としては、特開平6−63551号公報および特開平5−317857号公報に示されているように電解水のpHをフィードバックして被電解水の流量を調整する手段、特公平5−34079号公報に示されているように被電解水の流量と電解電流でpHを算出して調整する手段等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これらのpH調整手段においては、使用すべき電解水のpHを調整するのに伴い同電解水の流量が増減し、使用者に煩わしさを感じさせることになる。従って、本発明の目的は、使用すべき電解水のpH調整を非使用側の電解水のpHを制御することにより行って、使用すべき電解水の生成量を変化させることなく設定された生成量に維持することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電解槽と、同電解槽内を第1の電極室と第2の電極室に区画するイオン透過能を有する隔膜と、前記第1の電極室に配設された陽極と、前記第2の電極室に配設された陰極を備え、これら両電極室に供給される食塩水を前記両電極間で電解して、前記第1の電極室内で酸性水を生成するとともに、前記第2の電極室内でアルカリ性水を生成する電解水生成装置であって、前記両電極室の少なくとも一方の電極室内で生成される電解水のpHを変更可能なpH可変手段を備え、同pH可変手段による電解水のpHの変更に基づいて他方の電極室内で生成される電解水のpHを変更し得る電解水生成装置である。
【0006】
しかして、本発明に係る電解水生成装置においては、前記pH可変手段を、前記一方の電極室で生成される電解水を同電極室に循環供給する循環供給手段と、同電極室を循環する電解水の循環供給量を調整する調整手段にて構成したことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の作用・効果】
このように構成した電解水生成装置においては、例えば酸性水のpHを増減させたい場合には、pH可変手段によりアルカリ性水のpHを増減させる。これにより、アルカリ性水側から酸性水側へのナトリウムイオン等の陽イオンの拡散量が増減するため、結果として酸性水のpHが増減される。この間の酸性水の生成量は何等の変化もなく、設定された生成量が確保される。
【0008】
また、例えばアルカリ性水のpHを増減させたい場合には、pH可変手段により酸性水のpHを増減させる。これにより、酸性水側からアルカリ性水側への塩素イオン等の陰イオンの拡散量が減増するため、結果としてアルカリ性水のpHが増減される。この間のアルカリ性水の生成量は何等の変化もなく、設定された生成量が確保される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に基づいて説明するに、図1には本発明に係る電解水生成装置の一例が示されている。当該電解水生成装置は、電解槽11と、電解槽11内に配設されたイオン透過能を有する隔膜12と、第1,第2電極13a,13bを備え、電解槽11内部は隔膜12にて第1電極室14aと第2電極室14bとに区画されている。第1電極13aは第1電極室14aに配設され、また第2電極13bは第2電極室14bに配設されている。
【0010】
電解槽11は、第1電極室14aおよび第2電極室14bに連結された供給管路11a,11bと流出管路11c,11dを備え、各供給管路11a,11bを通して各電極室14a,14bへ希薄食塩水が供給され、かつ各流出管路を通して各電極室14a,14b内にて生成される電解水を流出し得るように構成されている。
【0011】
しかして、第2電極室14b側の供給管路11bおよび流出管路11dには、三方弁15a,15bを介して循環管路11eが連結されていて、これらの管路11b,11d,11eにより第2電極室14b内にて生成される電解水の循環供給系路を構成している。また、供給管路11bの三方弁15aの下流側には流量調整弁16aが介装されているとともに、循環管路11eにはpHセンサ16bが介装されている。各三方弁15a,15b、流量調整弁16a、pHセンサ16bは制御装置17に接続されている。
【0012】
制御装置17には、所定の電解条件下で循環する電解水のpHと、循環流量と、時間の関係が入力されていて、制御装置17はpHセンサ16bからの検出信号に基づいて三方弁15a,15bの流路切替え動作を制御し、かつ流量調整弁16aの流量調整動作を制御して、循環する電解水のpHを任意の値に変更し、かつpHを任意の値に設定することができる。
【0013】
かかる構成の電解水生成装置は、第1電極13aおよび第2電極13bの極性を適宜変更することにより、第1電極室14aを陽極室および陰極室に設定することができるとともに、第2電極室14bを第1電極室14aと関連して陰極室および陽極室に設定することができる。但し、図1に示す電解水生成装置においては、第1電極13aを直流電源18の正極にかつ第2電極13bを直流電源18の負極に接続して、第1電極室14aを陽極室にかつ第2電極室14bを陰極室に構成している。
【0014】
当該電解水生成装置において、循環系路および制御装置17は、第2電極室14b内で生成されるアルカリ性水のpH可変手段として機能し、また第1電極室14aが陰極室に第2電極室14bが陽極室に構成された場合には、第2電極室14b内で生成される酸性水のpH可変手段として機能する。
【0015】
このように構成した電解水生成装置においては、例えば酸性水のpHを増減させたい場合には、pH可変手段によりアルカリ性水のpHを増減させる。これにより、アルカリ性水側から酸性水側へのナトリウムイオン等の陽イオンの拡散量が増減するため、結果として酸性水のpHが増減される。
【0016】
なお、例えばアルカリ性水のpHを増減させたい場合には、第1電極室14aを陰極室に構成するとともに、第2電極室14bを陽極室に構成する。これにより、pH可変手段は第2電極室14b内で生成される酸性水のpH可変手段として機能し、pH可変手段により酸性水のpHを増減させれば、酸性水側からアルカリ水側への塩素イオン等の陰イオンの拡散量が減増するため、結果としてアルカリ水のpHが増減される。
【0017】
当該電解水生成装置において、第1電極室14aを陽極室にかつ第2電極室14bを陰極室に構成した場合の例について具体的に説明すれば、各電極室14a,14bへ希薄食塩水を供給して運転を開始する。これにより、第1電極室14a内では酸性水が生成されるとともに、第2電極室14b内ではアルカリ性水が生成され、生成された各電解水は各流出管路11c,11dを通して流出される。その後、制御装置17を動作させて、pHセンサ16bからの検出信号に基づいて三方弁15a,15b、および流量調整弁16aの動作を制御し、所望のpHの酸性水を得るように、第2電極室14b内で生成されるアルカリ性水のpHを任意の値に調整する。
【0018】
例えば、酸性水のpHを高くしたい場合には、アルカリ性水のpHを設定された高い値に調整する。これにより、第2電極室14b内のアルカリ性水中のナトリウムイオンが増大して、ナトリウムイオンは隔膜12を透過して第1電極室14aへ拡散して、酸性水のpHを高める。また、酸性水のpHを低くしたい場合には、第2電極室14b内のアルカリ性水のpHを低下させればよい。この間の酸性水の生成量は何等の変化もなく、設定された生成量が確保される。
【0019】
当該電解水生成装置を使用して運転中、第1電極室14a側で生成される酸性水を流出しつつ、第2電極室14b側のアルカリ性水を単純に循環させた場合の、アルカリ性水のpHの経時的変化、およびこの経時的変化に伴う第1電極室14a側から流出する酸性水のpHの経時的変化を測定する実験を試みた。得られた結果を表1に示す。但し、実験には被電解水として0.10重量%の希薄食塩水を採用して、第1電極室14aに対する希薄食塩水の流速を2.5l/min、第2電極室14bに対する電解水の循環流速を2.5l/min、電流を15Aで電解した。
【0020】
【表1】
Figure 0003637114
【0021】
表1を参照すると、電解中に第2電極室14bに生成されるアルカリ性水を循環させると、時間の経過に伴ってpHが漸次増大し、これに伴い第1電極室14aから流出する酸性水のpHが漸次増大することがわかる。すなわち、第1電極室14a内で生成される酸性水のpHは、第2電極室14b内のアルカリ性水のpHに依存し、アルカリ性水のpHを変化させると、これに応じて酸性水のpHが変化することが理解される。この実験結果から、第2電極室14b側のアルカリ性水のpHを制御することにより、第1電極室14aにて生成される酸性水の流出量を変化させることなく、同酸性水のpHを増減できることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電解水生成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
11…電解槽、11a,11b…供給管路、11c,11d…流出管路、11e…循環管路、12…隔膜、13a…第1電極、13b…第2電極、14a…第1電極室、14b…第2電極室、17…制御装置。

Claims (1)

  1. 電解槽と、同電解槽内を第1の電極室と第2の電極室に区画するイオン透過能を有する隔膜と、前記第1の電極室に配設された陽極と、前記第2の電極室に配設された陰極を備え、これら両電極室に供給される食塩水を前記両電極間で電解して、前記第1の電極室内で酸性水を生成するとともに、前記第2の電極室内でアルカリ性水を生成する電解水生成装置であって、前記両電極室の少なくとも一方の電極室内で生成される電解水のpHを変更可能なpH可変手段を備え、同pH可変手段による電解水のpHの変更に基づいて他方の電極室内で生成される電解水のpHを変更し得る電解水生成装置であり、前記pH可変手段を、前記一方の電極室で生成される電解水を同電極室に循環供給する循環供給手段と、同電極室を循環する電解水の循環供給量を調整する調整手段にて構成したことを特徴とする電解水生成装置。
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