JP3636861B2 - 充電回路付き駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バッテリーなどの二次電池を電源とする車両などの駆動に使用され、二次電池充電回路とモータ駆動回路の両方を設けた充電回路付き駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の充電回路付き駆動装置は、例えば電気自動車の電気システムなどに使用されており、バッテリーなどの二次電池の直流電力を、回生機能を持つ順逆変換動作可能な電力変換器により交流電力に変換して車輪駆動用の交流電動機に供給し、これによって、交流電動機を回転駆動している。
【0003】
図4は、従来の充電回路付き駆動装置の構成を示すブロック図である。
【0004】
図4において、二次電池としてのバッテリー1の両端は電力変換器としてのインバータ2にそれぞれ接続され、このインバータ2の各出力端はそれぞれ車輪駆動用の交流電動機としての誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cの各一方端にそれぞれ接続されており、バッテリー1からの直流電力をインバータ2で交流電力に変換して誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cに供給可能になっている。また、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cの各他方端はそれぞれ、開閉器4の各共通接点4a,4b,4cにそれぞれ接続され、開閉器4の各切替接点のうち一方切替接点4d,4e,4fはそれぞれ交流電源5に接続され、開閉器4の各切替接点のうち他方切替接点4g,4h,4iはそれぞれ互いに接続されており、開閉器4は、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cの各他方端を、交流電源5側とスター結線側の何れかに切り替え接続可能に構成されている。
【0005】
上記構成により、誘導モータ3を駆動するに際して、開閉器4の各共通接点4a,4b,4cをそれぞれ他方切替接点4g,4h,4iにそれぞれ接続することで、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cをスター結線とする。これによって、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cは、交流電源5と切り離されると共に、バッテリー1からの直流電力がインバータ2で交流電力に変換されて入力され、誘導モータ3は、回転駆動して力行運転することになる。また。誘導モータ3の回生制動時には、インバータ2によって力行運転時とは逆の電力変換、即ち交流電力から直流電力への電力変換が行われて、電力をバッテリー1側に回生させることになる。このように、インバータ2内には、図示されていないモータ駆動回路が設けられており、それによって誘導モータ3の回転駆動が行われている。
【0006】
一方、バッテリー1への充電に際しては、開閉器4の各共通接点4a,4b,4cをそれぞれ一方切替接点4d,4e,4fとそれぞれ接続することで、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cをそれぞれ交流電源5側に接続する。これによって、交流電源5からの充電電力が誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cをそれぞれ介してインバータ2に供給され、インバータ2は上記回生制動時と同様の動作により交流電力を直流電力に変換してバッテリー1を充電することになる。このとき、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cは交流リアクトルとして作用している。また、インバータ2内には、図示されていない充電制御回路が設けられており、それによって充電動作が制御されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cをバッテリー充電時の充電電流の制限用に使用しているため、交流リアクトルを別途必要としないという利点はあるものの、誘導モータ3の各巻線3a,3b,3cをバッテリー1への充電用と、誘導モータ3の駆動用とに切り替える開閉器4のような大容量の切替手段を必要とするという問題を有していた。
【0008】
この開閉器4は、交流電源5側に接続した充電時の、比較的小さい充電電流だけではなく、スター結線側に接続したモータ回転駆動時の大きな電流も流さなければならず、大容量の切替手段となっている。
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、交流リアクトルを別途必要とせず、かつ大容量の切替手段を必要としない充電回路付き駆動装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の充電回路付き駆動装置は、交流電源及び二次電池と、この二次電池に接続されてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記交流電源の交流電力を直流電力に変換し前記二次電池を充電可能な充電回路とを有する充電回路付き駆動装置であって、充電回路の両端間に、二次電池、モータ駆動回路内の駆動用素子さらにモータ巻線からなる直列回路が接続され、前記充電回路は、前記モータ駆動回路を介することなく前記モータ巻線と前記二次電池とに接続されていると共に、当該充電回路の導通を開閉する開閉手段を備え、前記モータ巻線は、前記二次電池に接続されると共に、前記充電回路に接続されている、ことを特徴とするものである。この場合、モータが、誘導モータや同期モータなどの交流モータに適応可能である他、ブラシ付きDCモータやブラシレスDCモータなどの直流モータに適応可能である。特に、ブラシ付きDCモータの場合には、本発明の充電回路付き駆動装置は、交流電源及び二次電池と、この二次電池に接続されてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記交流電源の交流電力を直流電力に変換し前記二次電池を充電可能な充電回路とを有する充電回路付き駆動装置であって、前記充電回路の両端間に、前記二次電池、前記モータ駆動回路内の駆動用素子、駆動用ブラシ、モータ巻線さらに充電用ブラシからなる直列回路が接続され、前記充電回路は、前記モータ駆動回路を介することなく前記充電ブラシと前記二次電池とに接続され、当該充電回路の導通を開閉する開閉手段を備え、前記モータ巻線は、前記駆動用ブラシを介して前記二次電池に接続されると共に、前記充電ブラシを介して前記充電回路に接続されている、ことを特徴とするものである。
【0011】
この構成により、充電回路の両端間に、二次電池、モータ駆動回路内の駆動用素子さらにモータ巻線からなる直列回路が接続され、充電回路は、モータ駆動回路を介することなくモータ巻線と二次電池とに接続され、当該充電回路の導通を開閉する開閉手段を備え、モータ巻線は、二次電池に接続されると共に、前記充電回路に接続されているので、充電時に、充電回路の+側端から出力される充電電流は、二次電池、モータ駆動回路内の駆動用素子さらにモータ巻線を経て充電回路の一側端に戻るように閉ループを形成して流れることになる。このとき、モータ巻線は、バッテリー充電時の充電電流の制限用として作用し、リアクトルを別途必要とせず、また、モータ駆動時と充電時との切り替えは、モータ巻線に駆動電力を供給する経路外の充電回路内で行っており、例えばモータ駆動時には、充電回路がオフで充電回路とモータ巻線とが切り離され、モータ巻線には、二次電池から駆動電力が供給可能であり、また例えば充電時には、充電回路がオンで充電回路とモータ巻線とが接続され、充電回路から二次電池に充電電流が供給された後にモータ巻線を介して流れるようになっており、モータ巻線に駆動電力を供給する経路中に、従来のような大容量の切替手段を必要としない。
【0012】
また、好ましくは、本発明の充電回路付き駆動装置における充電回路の一方端にモータ巻線の中間部が接続されていることを特徴とする。このモータ巻線の中間部は、好ましくは、モータ巻線がスター結線の場合はその中性点、モータ巻線がデルタ結線の場合はデルタ結線を構成する各モータ巻線のうちの何れかのモータ巻線の中間点であることを特徴とする。
【0013】
この構成により、巻線の中間点としてスター結線の場合はその中性点、デルタ結線の場合は各巻線のうちの何れかの巻線の中間点であればよいが、スター結線の中性点から接続線が取り出し易いのに対して、何れかの巻線の中間点から接続線を取り出す場合には、巻線に対して加工するなどして接続部を設ける必要があり、若干の加工工数が必要となる。
【0014】
また、スター結線されているモータの、リアクトルとしての巻線の方が、デルタ結線されているモータの、リアクトルとしての巻線よりも、インダクタンスの値が約1.3倍大きいので、スイッチング素子のスイッチング周波数を下げることが可能で、スイッチング素子の発熱を小さくすることが可能である。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の充電回路付き駆動装置における駆動用素子はフライホイールダイオード(以下、フライホイール・ダイオードともいう)およびスイッチング素子の何れかであることを特徴とする。
【0016】
この構成により、モータ駆動回路内の駆動用素子としてフライホイール・ダイオードやスイッチング素子を用いることで、別に充電電流用経路を設ける必要はなく、簡単な構成で充電電流をモータ巻線に容易に流すことが可能となって、モータ巻線を充電電流制限用に用いることが可能となる。
【0017】
また、二次電池の電圧が高い場合には、定格電圧の高いスイッチング素子を使用する必要があり、スイッチング素子が特にFET(電解効果トランジスタ)の場合、スイッチング素子のオン抵抗が大きいので、充電電流はフライホイール・ダイオードを通した方が損失がより少なくなり、また、二次電池の電圧が低い場合には、定格電圧の低いスイッチング素子を使用でき、スイッチング素子が特にFETの場合、スイッチング素子のオン抵抗が小さいので、充電電流はスイッチング素子を通した方が損失がより少なくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る充電回路付き駆動装置の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は以下に示す各実施形態に限定されるものではない。
【0019】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図である。
【0020】
図1において、充電回路11は、モータ駆動回路13を介することなく多相巻線(所謂、本発明におけるモータ巻線である。)14a、14b、14cとバッテリー(所謂、本発明における二次電池である。)12とに接続され、充電を制御する充電回路11の+側端は、二次電池としてのバッテリー12の+側端子とモータ駆動回路13との接続点に接続され、バッテリー12の−側端子もモータ駆動回路13に接続されており、バッテリー12からモータ駆動回路13に直流電力を供給可能で、かつ充電回路11からバッテリー12に充電電力を供給可能である。この構成により、充電回路11は、モータ駆動回路13を介して二次電池に接続されると共に、充電回路11に接続されている。また、このモータ駆動回路13の各出力端にはそれぞれ誘導モータ14の多相巻線14a、14b、14cの一方端がそれぞれ接続されており、モータ駆動回路13は、バッテリー12からの直流電力を交流駆動電力に電力変換して各相巻線14a、14b、14cにそれぞれ出力するように構成されている。さらに、これらの各相巻線14a、14b、14cの他方端は中性点15で一括して接続されてスター結線を構成しており、そのスター結線の中性点15は充電回路11の一側端に接続されている。
【0021】
この充電回路11は、交流電源16と充電スイッチ17との直列回路の両端が整流器18の交流入力端に接続されており、この整流器18の+側の直流出力端にはスイッチング素子としての定電流充電用トランジスタ19が接続されて構成されており、交流電源16からの交流電力が整流器18を介して直流電力に変換された後、さらに定電流充電用トランジスタ19を介して一定の直流電流としてバッテリー12に供給可能に構成されている。このように、充電回路11は、充電時には、充電スイッチ17がオンで、かつ定電流充電用トランジスタ19の制御端子に所定電圧が印加されて所定電流が通電可能であり、また、モータ駆動時には、充電スイッチ17がオフで、かつ定電流充電用トランジスタ19の制御端子に電圧印加が為されず通電不能の状態となっている。本発明の開閉手段は、充電スイッチ17によってその機能が発現される。
【0022】
この場合、充電スイッチ17のオン・オフ制御時には、比較的小さい充電電流を流せばよいので大容量とする必要はなく、さらに、定電流充電用トランジスタ19の通電不能時に充電スイッチ17のオン・オフ制御を行うようにすれば、オン・オフ制御時に電流は流れないことになり、接点容量の小さいスイッチを用いることができる。さらに、定電流充電用トランジスタ19の開閉だけで充電制御をするようにすれば、充電スイッチ17は省略することも可能である。さらに、本発明は、バッテリー12を電源とする電気車両などに使用され、電気車両の走行中はバッテリー12を電源として誘導モータ14が回転駆動するため、交流電源16に接続することはできず、電気車両の停車時に交流電源16と接続して充電を行うようになっている。
【0023】
また、モータ駆動回路13は、スイッチング素子としての駆動用トランジスタ20,21の直列回路とフライホイール・ダイオード22,23の直列回路とが並列接続されており、これらのフライホイール・ダイオード22,23の接続点は駆動用トランジスタ20,21の接続点に接続されると共に誘導モータ14の巻線14aの一方端に接続され、また、スイッチング素子としての駆動用トランジスタ24,25の直列回路とフライホイール・ダイオード26,27の直列回路とが並列接続されており、これらのフライホイール・ダイオード26,27の接続点は駆動用トランジスタ24,25の接続点に接続されると共に誘導モータ14の巻線14bの一方端に接続され、さらに、スイッチング素子としての駆動用トランジスタ28,29の直列回路とフライホイール・ダイオード30,31の直列回路とが並列接続されており、これらのフライホイール・ダイオード30,31の接続点は駆動用トランジスタ28,29の接続点に接続されると共に誘導モータ14の巻線14cの一方端に接続されて構成されている。これらのフライホイール・ダイオード22,23、フライホイール・ダイオード26,27およびフライホイール・ダイオード30,31は全て、バッテリー12の+側から電流が流れ込んでくる方向に対して阻止する方向に接続(ダイオードのカソード側がバッテリー12の+側に接続)されていると共に、駆動用トランジスタ20,21、駆動用トランジスタ24,25および駆動用トランジスタ28,29のうちのオンしている素子がオフしたときに、駆動用トランジスタを保護すべく、誘導モータ14の多相巻線14a,14b,14cに流れる電流を循環させて逃がすように構成されている。
【0024】
また、これらの駆動用トランジスタ20,21、駆動用トランジスタ24,25および駆動用トランジスタ28,29は、図示しないモータ駆動制御回路によって、順次、オン・オフ制御されて、スター結線の多相巻線14a,14b,14cに位相の異なる交流電力を供給可能に構成されている。これらの駆動用トランジスタ20,21、駆動用トランジスタ24,25および駆動用トランジスタ28,29のオン・オフ制御は、例えば、まず第1に、駆動用トランジスタ20,25,28がオンし、駆動用トランジスタ21,24,29がオフすると、電流は、巻線14aおよび巻線14cから巻線14bに流れることになる。第2に、駆動用トランジスタ20,25,29がオンし、駆動用トランジスタ21,24,28がオフすると、電流は、巻線14aから巻線14cおよび巻線14bに流れることになる。第3に、駆動用トランジスタ20,24,29がオンし、駆動用トランジスタ21,25,28がオフすると、電流は、巻線14aおよび巻線14bから巻線14cに流れることになる。第4に、駆動用トランジスタ21,24,29がオンし、駆動用トランジスタ20,25,28がオフすると、電流は、巻線14bから巻線14aおよび巻線14cに流れることになる。第5に、駆動用トランジスタ21,24,28がオンし、駆動用トランジスタ20,25,29がオフすると、電流は、巻線14bおよび巻線14cから巻線14aに流れることになる。第6に、駆動用トランジスタ21,25,28がオンし、駆動用トランジスタ20,24,29がオフすると、電流は、巻線14cから巻線14aおよび巻線14bに流れることになる。以上で移動子が1回転し、これが繰り返されることになって移動子が回転駆動する。
【0025】
また、誘導モータ14の回生制動時にも同様に、図示しないモータ駆動制御回路によって、順次、駆動用トランジスタ20,21、駆動用トランジスタ24,25および駆動用トランジスタ28,29がオン・オフ制御されて、スター結線の多相巻線14a,14b,14cからの交流電力の+側がバッテリー12の+端子側に印加され、その交流電力の−側がバッテリー12の−端子側に印加されるようになっている。
【0026】
上記構成により、誘導モータ14を回転駆動するに際して、充電スイッチ17と定電流充電用トランジスタ19がオフの状態で、充電回路11は誘導モータ14の多相巻線14a,14b,14cからは切り離されており、多相巻線14a,14b,14cはスター結線となっている。さらに、図示しないモータ駆動制御回路によって、駆動用トランジスタ20,21、駆動用トランジスタ24,25および駆動用トランジスタ28,29を誘導モータ14が駆動可能なようにスイッチング制御することで、バッテリー12からの直流電力が交流電力に変換されて、位相の異なる交流電力が、スター結線された多相巻線14a,14b,14cに順次供給され、誘導モータ14として回転駆動して力行運転することになる。また、誘導モータ14の回生制動時には、上記力行運転時とは逆の電力変換、即ち交流電力から直流電力への電力変換が行われて、直流電力をバッテリー12側に回生させることになる。
【0027】
また、バッテリー12への充電に際しては、交流電源16を接続すると共に充電スイッチ17と定電流充電用トランジスタ19がオンの状態で、交流電源16からの交流電力が整流器18を介して直流電力に変換され、この直流電力は定電流充電用トランジスタ19によって制御され、一定の直流電力としてバッテリー12の+側端子に供給されて定電流充電される。このとき、整流器18の+側端子から出力された充電電流Iは、バッテリー12の+側端子から−側端子を通ってフライホイール・ダイオード23,27,31で電流I1,I2,I3に分流されて流れる。さらに、この分流した電流I1,I2,I3はそれぞれ、スター結線された多相巻線14a,14b,14cからその中性点15を介して整流器18の−側端子側に戻ることになる。この場合、誘導モータ14の多相巻線14a,14b,14cは交流リアクトルとして作用している。
【0028】
以上のように、誘導モータ14の回転駆動時には、充電回路11をオフ状態にすることで、誘導モータ14の多相巻線14a,14b,14cのスター結線と充電回路11とが切り離され、モータ駆動回路13により誘導モータ14は回転駆動制御され、また、誘導モータ14の回生制動時には、多相巻線14a,14b,14cからの交流電力が直流電力に変換されてバッテリー12側に回生し、さらに、充電時には、充電回路11をオン状態にすることで、多相巻線14a,14b,14cのスター結線と充電回路11とが接続された状態となって、充電回路11からの充電電流がバッテリー12側に供給され、モータ駆動回路13内のダイオード23,27,31で分流された後に多相巻線14a,14b,14cに供給され、そのスター結線の中性点15を介して充電回路11に戻るようになっている。このため、充電時には多相巻線14a,14b,14cが交流リアクトルとして作用し、これによって交流リアクトルを別途必要とせず、かつ、誘導モータ14の駆動電力供給経路には、従来のようなスター結線と交流電源とを切り替える大容量の切替手段を必要としない充電回路付き駆動装置を得ることができる。
【0029】
(実施形態2)
上記実施形態1では、誘導モータ14の多相巻線14a,14b,14cがスター結線の場合について説明したが、本実施形態2では、誘導モータの多相巻線がデルタ結線の場合である。
【0030】
図2は本発明の実施形態2の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図であり、図1の充電回路付き駆動装置と同様の作用効果を有する部材には同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0031】
図2において、誘導モータ34の多相巻線34a,34b,34cはデルタ結線であり、巻線34aと巻線34bの接続点がフライホイール・ダイオード26,27の接続点と駆動用トランジスタ24,25の接続点とに接続され、巻線34aと巻線34cの接続点がフライホイール・ダイオード22,23の接続点と駆動用トランジスタ20,21の接続点とに接続され、巻線34bと巻線34cの接続点がフライホイール・ダイオード30,31の接続点と駆動用トランジスタ28,29の接続点とに接続されている。ここでは、巻線34cの中間点35は充電回路11の整流器18の直流側端子の−側に接続されているが、多相巻線34a,34b,34cのうち何れかの巻線の中間点であればよい。また、この巻線34cの中間点35は、接続線を取り出すべく巻線34cに対して加工するなどして設ける必要がある。これに比べると、上記実施形態1のスター結線されている中性点15からの方が接続線を取り出し易い。
【0032】
上記構成により、誘導モータ34を回転駆動するに際して、充電スイッチ17と定電流充電用トランジスタ19がオフの状態で、充電回路11は誘導モータ34の多相巻線34a,34b,34cからは切り離されており、多相巻線34a,34b,34cはデルタ結線となっている。さらに、図示しないモータ駆動制御回路によって、駆動用トランジスタ20,21、駆動用トランジスタ24,25および駆動用トランジスタ28,29を誘導モータ34が駆動可能なようにスイッチング制御することで、バッテリー12からの直流電力が交流電力に変換されて、位相の異なる交流電力が、デルタ結線された多相巻線34a,34b,34cに順次供給され、誘導モータ34を回転駆動して力行運転することになる。また、誘導モータ34の回生制動時には、上記力行運転時とは逆の電力変換、即ち交流電力から直流電力への電力変換が行われて、直流電力をバッテリー12側に回生させることになる。
【0033】
また、バッテリー12への充電に際しては、交流電源16を接続すると共に充電スイッチ17と定電流充電用トランジスタ19がオンの状態で、交流電源16からの交流電力が整流器18を介して直流電力に変換され、この直流電力は定電流充電用トランジスタ19によって制御され、一定の直流電力としてバッテリー12の+側端子に供給されて定電流充電される。このとき、整流器18の+側端子から出力された充電電流Iは、バッテリー12の+側端子から−側端子を通ってフライホイール・ダイオード23,27,31で電流I1,I2,I3に分流して流れる。さらに、この分流した電流I1,I2,I3はそれぞれ、デルタ結線された多相巻線34a,34b,34cから巻線34cの中間点35を介して整流器18の−側端子側に戻ることになる。この場合、誘導モータ34の多相巻線34a,34b,34cは交流リアクトルとして作用している。
【0034】
以上のように、誘導モータ34の回転駆動時には、充電回路11をオフ状態にすることで、多相巻線34a,34b,34cのデルタ結線と充電回路11とが切り離されて、モータ駆動回路13により誘導モータ34は回転駆動制御され、また、誘導モータ34の回生制動時には、多相巻線34a,34b,34cからの交流電力が直流電力に変換されてバッテリー12側に回生し、さらに、充電時には、充電回路11をオン状態にすることで、多相巻線34a,34b,34cのデルタ結線と充電回路11とが接続された状態となって、充電回路11からの充電電力がバッテリー12側に供給され、モータ駆動回路13内のダイオード23,27,31で分流された後に多相巻線34a,34b,34cに供給され、巻線34cの中間点35を介して充電回路11に戻るようになっている。このため、充電時には多相巻線34a,34b,34cが交流リアクトルとして作用し、これによって交流リアクトルを別途必要とせず、かつ、誘導モータ34の駆動電力供給経路には、従来のようなスター結線と交流電源とを切り替える大容量の切替手段を必要としない充電回路付き駆動装置を得ることができる。
【0035】
(実施形態3)
上記実施形態1では、誘導モータ34の各巻線34a,34b,34cがスター結線の場合について説明し、また、上記実施形態2では、誘導モータの各巻線がデルタ結線の場合について説明したが、本実施形態3ではブラシ付きDCモータの場合について説明する。
【0036】
図3は本発明の実施形態3の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図であり、図1および図2の充電回路付き駆動装置と同様の作用効果を有する部材には同一の符号を付けてその説明を省略する。
【0037】
図3において、充電回路11は、モータ駆動回路43を介することなく充電ブラシ47と二次電池12とに接続され、モータ駆動回路43の両出力端は、ブラシ付きDCモータ44の両駆動ブラシ45a、45bに接続されており、これらの両駆動ブラシ45a、45bは電機子46に接続可能になっていると共に、この電機子46には充電ブラシ47が接続可能になっている。つまり、この電機子46にはモータ巻線(図示せず)の両端にそれぞれ接続された各整流子(図示せず)が回転軸外周側に配設されており、これらの各整流子(図示せず)に駆動ブラシ45a、45bが接続可能となっている。また、モータ巻線(図示せず)の中間部から取り出された接続線を介して、回転軸外周側に配設された別の整流子(図示せず)に充電ブラシ47が接続可能になっている。そして、モータ巻線は、駆動用ブラシ45a、45bを介して二次電池12に接続されると共に、充電ブラシ47を介して充電回路11に接続されている。
【0038】
この充電ブラシ47が充電回路11の整流器18の直流側端子の−側に接続されている。このように、ブラシ付きDCモータ44から整流器18の−側端子への接続線を取り出すためには、充電用ブラシ47としてブラシやブラシ・ホルダーを駆動用ブラシ45a,45bとしてのブラシやブラシ・ホルダーに追加して別途配設しなければならないために、適当な加工工数が新たに必要となる。ブラシ付きモータ44をスイッチング素子を用いて可変速駆動する方が、ブラシレスDCモータをスイッチング素子を用いて可変速駆動するよりもスイッチング素子の数が少なくてすみ、その制御もより簡単である。
【0039】
このモータ駆動回路43は、スイッチング素子としての駆動用トランジスタ50,51の直列回路とフライホイール・ダイオード52,53の直列回路とが並列接続されており、これらのフライホイール・ダイオード52,53の接続点は駆動用トランジスタ50,51の接続点に接続されていると共に駆動ブラシ45aに接続され、また、スイッチング素子としての駆動用トランジスタ54,55の直列回路とフライホイール・ダイオード56,57の直列回路とが並列接続されており、これらのフライホイール・ダイオード56,57の接続点は駆動用トランジスタ54,55の接続点に接続されていると共に駆動ブラシ45bに接続されて構成されている。これらのフライホイール・ダイオード52,53およびフライホイール・ダイオード56,57は全て、バッテリー12の+側から電流が流れ込んでくる方向に対して阻止する方向に接続(ダイオードのカソード側がバッテリー12の+側に接続)されていると共に、駆動用トランジスタ50,51および駆動用トランジスタ54,55のうちのオンしている素子がオフしたときに、ブラシ付きDCモータ44の電機子46の巻線に流れる電流を循環させて逃がすように構成されている。
【0040】
また、これらの駆動用トランジスタ50,51および駆動用トランジスタ54,55は、図示しないモータ駆動制御回路によってスイッチング制御されて速度制御が為されている。図示しないモータ駆動制御回路による速度制御は、例えば駆動用トランジスタ50および駆動用トランジスタ55のオン時間を制御するパルス幅制御で行われている。このとき、駆動用トランジスタ51および駆動用トランジスタ54はオフ状態である。また、逆回転制御時には、駆動用トランジスタ51および駆動用トランジスタ54のオン時間を制御するパルス幅制御で行われ、駆動用トランジスタ50および駆動用トランジスタ55はオフ状態である。一方、ブラシ付きDCモータ44の回生制動時にも同様に、図示しないモータ駆動制御回路によって制御される駆動用トランジスタ50,51および駆動用トランジスタ54,55のうち何れかを介して電機子46からの電力がバッテリー12に印加されるようになっている。
【0041】
上記構成により、ブラシ付きDCモータ44を回転駆動するに際して、充電スイッチ17と定電流充電用トランジスタ19がオフの状態で、充電回路11はブラシ付きDCモータ44からは切り離されている。さらに、図示しないモータ駆動制御回路によって、駆動用トランジスタ50および駆動用トランジスタ55のオン時間をスイッチング制御することで、バッテリー12からの直流電力が駆動ブラシ45a,45bの間の電機子46に供給され、ブラシ付きDCモータ44は回転速度が制御されて力行運転することになる。一方、ブラシ付きDCモータ44の回生制動時には、上記力行運転時とは逆に電力をバッテリー12側に回生させることになる。
【0042】
また、バッテリー12への充電に際しては、交流電源16を接続すると共に充電スイッチ17と定電流充電用トランジスタ19がオンの状態で、交流電源16からの交流電力が整流器18を介して直流電力に変換され、この変換された直流電力は定電流充電用トランジスタ19によって制御され、一定の直流電力としてバッテリー12の+側端子に供給されて定電流充電される。このとき、整流器18の+側端子に出力された充電電流Iは、バッテリー12の+側端子から−側端子を通ってフライホイール・ダイオード53,57で電流I4,I5に分かれて流れる。さらに、これらの分流した電流I4,I5はそれぞれ駆動ブラシ45a,45bから電機子46に供給され、さらに電機子46から充電ブラシ47を介して出力された後に整流器18の−側端子側に戻ることになる。この場合、ブラシ付きDCモータ44の電機子46内の巻線(図示せず)はリアクトルとして作用している。
【0043】
以上のように、ブラシ付きDCモータ44の回転駆動時には、ブラシ付きDCモータ44の駆動ブラシ45a,45bの間から電機子46に、パルス幅制御された駆動電力が供給されて回転速度制御が為され、また、ブラシ付きDCモータ44の回生制動時には、電機子46からの電力がバッテリー12側に回生し、さらに、充電時には、充電回路11からの充電電力はバッテリー12側に供給された後に、モータ駆動回路43内のフライホイール・ダイオード53,57さらに駆動ブラシ45a,45bを介して電機子46に供給され、さらに電機子46から充電ブラシ47を介して充電回路11に戻るようになっているため、充電時には電機子46の巻線がリアクトルとして作用し、かつ、駆動電力供給経路に、従来のようなスター結線と交流電源とを切り替える大容量の切替手段を必要としない充電回路付き駆動装置を得ることができる。
【0044】
なお、上記実施形態1ではモータが誘導モータで各巻線がスター結線の場合について説明し、また、上記実施形態2ではモータが誘導モータで巻線がデルタ結線の場合について説明し、さらに、上記実施形態3ではモータがブラシ付きDCモータの場合について説明したが、本発明が適応されるモータは、誘導モータの他に同期モータなどの交流モータであってもよく、ブラシ付きDCモータの他にブラシレスDCモータなどの直流モータであってもよい。
【0045】
また、上記実施形態1〜3では、モータ駆動回路13,43内の駆動用素子としてフライホイール・ダイオードに充電電流を流すように構成したが、フライホイール・ダイオードの代りにスイッチング素子としての駆動用トランジスタであってもよい。この駆動用トランジスタが特にFETの場合、FETのドレイン・ソース間電圧もバッテリーの電圧の高低に応じて選定され、FETのドレイン・ソース間電圧が高い場合にFETのドレイン・ソース間オン抵抗も大きくなる傾向にある。また、FETのドレイン・ソース間電圧が低い場合にFETのドレイン・ソース間オン抵抗も小さくなる傾向にある。したがって、バッテリーの電圧が高い場合に、FETのドレイン・ソース間オン抵抗も大きいので、充電電流はフライホイール・ダイオードを通した方がその損失がより少なくなる。また、バッテリーの電圧が低い場合には、FETのドレイン・ソース間オン抵抗も小さいので、充電電流はスイッチング素子としての駆動用トランジスタを通した方がその損失がより少なくなる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、充電回路から、二次電池、モータ駆動回路内の駆動用素子さらにモータ巻線が直列接続された充電可能な状態で、モータを回転駆動させることができるため、モータ巻線を充電電流の制限用として用いることができると共に、駆動電力供給経路に、従来のような大容量の切替手段を必要としない充電回路付き駆動装置を得ることができる。
【0047】
また、巻線の中間点としてスター結線の場合はその中性点から接続線を取り出す方が、デルタ結線の巻線の中間点から接続線を取り出すよりも、接続線が取り出し易く、デルタ結線の巻線の中間点から接続線を取り出す場合には、巻線に対して加工するなどして接続部を設ける必要があり、若干の加工工数を必要とする。また、スター結線の巻線の方が、デルタ結線の巻線よりも、インダクタンスの値が約1.3倍大きいため、スイッチング素子のスイッチング周波数を下げることができて、スイッチング素子の発熱を小さく抑えることができる。
【0048】
さらに、モータ駆動回路内の駆動用素子としてフライホイール・ダイオードやスイッチング素子を用いることで、充電電流用に経路を別に設ける必要はなく、簡単な構成で充電電流をモータ巻線に容易に流すことができて、モータ巻線を充電電流制限用に容易に用いることができる。また、二次電池の電圧が高い場合には、スイッチング素子のオン抵抗も大きいため、充電電流はフライホイール・ダイオードを通した方が損失をより少なくすることができ、また、二次電池の電圧が低い場合には、スイッチング素子のオン抵抗も小さいため、充電電流はスイッチング素子を通した方が損失をより少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態2の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態3の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図である。
【図4】従来の充電回路付き駆動装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
11 充電回路
12 バッテリー(二次電池)
13,43 モータ駆動回路
14,34 誘導モータ
14a,14b,14c,34a,34b,34c 巻線
15 中性点
16 交流電源
17 充電スイッチ
18 整流器
19 定電流用トランジスタ(スイッチング素子)
20,21,24,25,28,29,50,51,54,55 駆動用トランジスタ
22,23,26,27,30,31,52,53,56,57 フライホイール・ダイオード
35 中間点
44 ブラシ付きDCモータ
45a,45b 駆動ブラシ
46 電機子
47 充電ブラシ
Claims (5)
- 交流電源及び二次電池と、この二次電池に接続されてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記交流電源の交流電力を直流電力に変換し前記二次電池を充電可能な充電回路とを有する充電回路付き駆動装置であって、
前記充電回路の両端間に、前記二次電池、前記モータ駆動回路内の駆動用素子さらにモータ巻線からなる直列回路が接続され、
前記充電回路は、前記モータ駆動回路を介することなく前記モータ巻線と前記二次電池とに接続されていると共に、当該充電回路の導通を開閉する開閉手段を備え、
前記モータ巻線は、前記二次電池に接続されていると共に、前記充電回路に接続されている、
ことを特徴とする充電回路付き駆動装置。 - 前記充電回路の一方端に前記モータ巻線の中間部が接続されていることを特徴とする請求項1記載の充電回路付き駆動装置。
- 前記モータ巻線の中間部は、前記モータ巻線がスター結線の場合はその中性点、前記モータ巻線がデルタ結線の場合は、デルタ結線の各モータ巻線のうちの何れかのモータ巻線の中間点であることを特徴とする請求項2記載の充電回路付き駆動装置。
- 交流電源及び二次電池と、この二次電池に接続されてモータを駆動するモータ駆動回路と、前記交流電源の交流電力を直流電力に変換し前記二次電池を充電可能な充電回路とを有する充電回路付き駆動装置であって、
前記充電回路の両端間に、前記二次電池、前記モータ駆動回路内の駆動用素子、駆動用ブラシ、モータ巻線さらに充電用ブラシからなる直列回路が接続され、
前記充電回路は、前記モータ駆動回路を介することなく前記充電ブラシと前記二次電池とに接続され、当該充電回路の導通を開閉する開閉手段を備え、
前記モータ巻線は、前記駆動用ブラシを介して前記二次電池に接続されると共に、前記充電ブラシを介して前記充電回路に接続されている、
ことを特徴とする充電回路付き駆動装置。 - 前記駆動用素子はフライホイールダイオード及びスイッチング素子のうち何れかであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の充電回路付き駆動装置。
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