JP3636780B2 - パワーステアリングの入力トルク検出装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、電動機によって補助トルクを発生する電動パワーステアリングに関し、特に、ステアリングホイールから入力されるトルクを検出するための入力トルク検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の入力トルク検出装置としては、例えば特開平3−253464号公報に示すものがある。そして、この入力トルク検出装置を図8〜10で説明する。
図8に示す入力トルク検出装置101は、出力軸(ピニオンシャフト)103の上端に入力軸102の下端を相対回転自在に臨ませ、これら両軸102、103をトーションバー104によって連結している。また、両軸102、103の外周にはスライド自在にスライダー106を設けている。そして、両軸102、103とスライダー106とに次に述べるような変換機構105を設け、この変換機構105によって、両軸102、103の相対回転を軸線方向変位に変換し、上記スライダー106を軸方向にスライドさせる。
【0003】
この変換機構105は、図9、10に示すように、入力軸102に植設されたピンである入力軸突起107をスライダー106の螺旋溝108に係合させ、また、出力軸103に植設されたピンである出力軸突起109をスライダー106の軸線方向溝110に係合させて構成している。
図9、10に示すように、これら入力軸突起107と出力軸突起109とは、両軸102、103の端部が重なった部分で、ほぼ同一円周上にそれぞれ1つずつ設けられている。しかも、これら入力軸102と出力軸103とは、両軸の間に相対回転変位がない状態で、互いに90°未満の角度で配置されている。
そして、それに合わせてスライダー106に形成した螺旋溝108と軸線方向溝110も、互いに90°未満の角度で配置されている。
【0004】
いま、入力トルクによりトーションバー104が捩じれると、入力軸102と出力軸103の間に捩じれ変位が生じ、この捩じれ変位により入力軸突起107と螺旋溝108との間に斜め方向の力Fが作用する。ただし、突起109と軸線方向溝110とによってスライダー106は回転が規制されるので、結局スライダー106が軸線方向の力Fsによって軸線方向にスライドすることになる。そして、このスライド量を、スライダー106の検出溝106aに係合させた検出レバー111aを介して、トルクセンサー111で検出することになる。
【0005】
なお、図10に示すように、入力軸102の端部と出力軸103の端部とが重なる位置において、入力軸102端部の外周面には軸方向に延在させた4つの凸部112を等間隔に設けている。
また、出力軸103端部の内周面には、上記凸部112に対応する凹部113を設けている。この凹部113は凸部112よりも円周方向に大きな幅を有しており、この隙間分だけ入力軸102と出力軸103とが相対回転できる。
このように、凸部112と凹部113とによって、過大入力トルクによるトーションバー104の破損を防止するためのメカストッパ機構を構成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上の従来技術には、以下の問題点があった。
1、 入力軸突起107と出力軸突起109とはそれぞれ1つずつ設けられ、且つ入力軸102と出力軸103の相対回転変位がない状態で互いに90°未満の角度で配置されている。したがって、スライダー106に作用する力がアンバランスとなってしまう。つまり、図9に示すように、出力軸突起109における軸方向の力FsによるモーメントFs×lが矢印k方向に発生してしまい、スライダー106がこじり等の作動不良を生じてしまう恐れがある。
2、 しかも、入力軸102の一端(図8の下端)を、出力軸103の一端(図8の上端)に臨ませているだけなので、入力軸102はその内径がトーションバー104の外径のみで支持されていることになる。したがって、これら両軸102、103の端部に曲げが入り易くなってしまう。そして、上記同様に出力軸突起109における軸方向の力FsによるモーメントFs×lが発生すると、入力軸102と出力軸103とが曲がってしまいスライダー106が円滑にスライドできなくなってしまう。
【0007】
3、 また、入力軸突起107と出力軸突起109をそれぞれ1つしか設けていないので、入力軸突起107、出力軸突起109、或いはスライダー106に形成した溝108、110の作用する力が集中し、これらの磨耗が著しくなってしまう。
4、 更に、突起107、109と溝108、110との間にわずかでも隙間があった場合、振動が加わるとスライダー106ががたついてしまう。そして、スライダー106ががたつくと、トルクセンサー111の検出レバー111aが変位してしまい、入力トルクの検出値が安定しないという問題点があった。
5、 更に、凸部112と凹部113とが相まって、トーションバー104の破損防止のためのメカストッパ機構を構成しているが、もし、大きな入力トルクによって凸部112が強く凹部113に当接すると、入力軸102あるいは出力軸103が変形してしまう恐れがある。そして、これら軸102、103が変形してしまうと、スライダー106が軸102、103の変形部分に係止してしまい、スライドできなくなってしまう。
この発明は、上記の問題点を解決できるパワーステアリングの入力トルク検出装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の問題点を解決するために、この発明は、ステアリングホイールからのトルクを伝える入力軸が、トーションバーを介して出力軸に連結される一方、入力軸および出力軸の外周に可動体を軸方向にスライド可能に設け、これら入出力両軸および可動体に設けた螺旋溝と軸線方向溝とこれら溝に係合する突起とで回転を軸方向の動きに変換する変換機構を構成し、トルクによりトーションバーが捩じれると、入力軸と出力軸との間に捩じれ変位が生じ、この捩じれ変位により前記変換機構の働きで前記可動体が軸方向にスライドし、このスライド量をセンサーで検出し補助トルクを発生させるパワーステアリングの入力トルク検出装置を前提とする。
【0009】
第1の発明は、上記の装置を前提にしつつ、変換機構が、入力軸の円周上で互いに180度ずれた位置に設けた一対の入力軸突起と、出力軸に円周上で互いに180度ずれた位置に設けた一対の出力軸突起と、可動体に形成するとともに、これら突起のうち一方の突起が係合する螺旋溝と、可動体に形成するとともに、他方の突起が係合する軸線方向溝とから構成される一方、この可動体にセンサーの検出レバーを係合させる検出溝を形成し、この検出溝を挟んで上記入力軸突起と出力軸突起と配置し、しかも、これら突起をほぼ直角だけずらした点に特徴を有する。
第2の発明は、第1の発明において、出力軸の一端に入力軸の一端を臨ませ、しかも両軸を相対回転自在に保ってこれら端部を密着嵌合させた点に特徴を有する。
第3の発明は、第1あるいは第2の発明において、可動体を常に軸線方向に付勢する弾性体を設けた点に特徴を有する。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか一の発明において、可動体は円管形状とするとともに、その内径と内径に位置する軸の外径との間に隙間を持たせた点に特徴を有する。
【0010】
【作用】
第1の発明では、入力軸の円周上で互いに180度ずれた位置に一対の入力軸突起を設け、出力軸に円周上で互いに180度ずれた位置に一対の出力軸突起を設けている。そして、これら入力軸突起と出力軸突起とを検出溝を挟んで配置し、しかも、これら突起をほぼ直角だけずらしている。したがって、可動体の全長を短くできるとともに、一対の入力軸突起が各螺旋溝に及ぼす力Fのうち、軸方向の成分Fsによる軸線方向溝に係合させる突起におけるモーメントは互いに打ち消されることになる。
しかも、円周方向の成分Frは、螺旋溝に係合させる一対の突起においてそれぞれ同一量で方向が逆に発生する。また、この円周方向の成分Frの反力Fr’が軸線方向溝に係合させた一対の突起において同一量で方向が逆に発生する。このように、可動体に作用する円周方向の力もバランスさせることができる。
【0011】
第2の発明では、入力軸と出力軸とを回転自在にしたままこれら軸の端部同士を密着嵌合させたので、これら端部に曲げが入りにくくなる。
第3の発明では、可動体を弾性体によって常に軸線方向に付勢しているので、可動体ががたついてしまうことがない。
第4の発明では、入力軸と出力軸とが大きく相対回転し、これら軸が変形してしまったとしても、これら軸と可動体の内周面との間に隙間を持たせているので、可動体が軸の変形部分に係止してしまうのを防止できる。
【0012】
【実施例】
この発明の一実施例に係る入力トルク検出装置を図1乃至図7に示す。
まず、この入力トルク検出装置を備えた電動パワーステアリングの全体図を図1に示す。
車輪1はナックルアーム2を介して操舵リンク3に連結されており、この操舵リンク3に連続するラック軸4にラックギヤ5が形成されている。このラックギヤ5は入力側のピニオンギヤ6と噛合っている。このピニオンギヤ6は、図2の出力軸であるピニオン軸9、トーションバー10及び入力軸11、中間シャフト12を介してステアリングホイール13に連結している。そして、これらラックギヤ5、ピニオンギヤ6、ピニオン軸9、トーションバー10などはギヤボックス7に収納される。また、ギヤボックス7の側部にはトルクセンサー8が設けられており、ステアリングホイール13によって入力されるトルクを検出する。
このトルク情報と車速センサー14からの情報により、コントローラ15から電気信号が電動機16に送られ、操舵力を最適な力に低減する為の補助トルクが発生される。この補助トルクを伝える電動機16の出力側のピニオンギヤ17は出力側のラックギヤ18に噛合っている。なお、この出力側のラックギヤ18は前記入力側のラックギヤ5に直列に配置されている。
【0013】
図2に前記入力側のギヤボックス7の断面図を示す。中空の入力軸11は軸受20を介してギヤボックス7に回転可能に取付けられ、中間ジョイント12に連結されたステアリングホイール13の回転操作に伴い回転される。入力軸11の中空孔にはトーションバー10が挿入され、トーションバー10の一端(図中上端)は上記入力軸11に密着嵌合し、ピン19で固定されており、他端(図中下端)はピニオン軸9の一端(図中上端)に密着嵌合されて回転不能に固定されている。
ピニオン軸9は軸受24及び25によりギヤボックス7に回転可能に取付けられ、軸方向中間部にはピニオンギヤ6が形成されている。軸受25はナット26によりピニオン軸9に対して軸方向変位不能に固定され、プラグ27によりギヤボックス7に対して軸方向変位不能に固定されている。
【0014】
この実施例でも入力軸11の下端部をピニオン軸9の上端部に臨ませるとともに、次にようにしてメカストッパ機構を構成している。
まず、図3、4に示すように、入力軸11の下端部に縮径部11cを形成している。そして、この縮径部11cをピニオン軸9の上端部の円筒部9cに臨ませるが、この円筒部9cの内径を縮径部11cの外径とほぼ同じにしている。したがって、両軸9、11を相対回転自在に保ったこれら軸9、11の端部を密着嵌合させている。
このように、入力軸11とピニオン軸9とは相対回転自在のまま、その端部同士を互いに密着嵌合させている。つまり、これら両軸9、11が互いに支持し合っていることになる。
【0015】
そして、入力軸11にはブロック部11aを設けるとともに、このブロック部11aの側面に二面幅加工を施している。また、ピニオン軸9の上端部には2つの壁部9aを設け、上記ブロック部11aを挟みこませている。そして、ブロック部11aを挟みこむ側における壁部9aの面にも二面幅加工を施している。
これら二面幅加工によって形成された面9b、11bは相対することになるが、傾斜を有しているのでその間に隙間が形成される。したがって、隙間の分だけピニオン軸9と入力軸11とは相対回転移動可能になっている。そして、もし入力軸11に過大な入力トルクが負荷された時は、面9b、11bがぶつかりあって相対回転を規制するので、トーションバー10が破損するのを防止できる。
【0016】
このようにした入力軸11およびピニオン軸9の外周には、軸方向にスライド可能にスリーブ21を設けている。
このスリーブ21の詳細図を図5乃至図7に示す。スリーブ21は円管形状をしており、その外周に、トルクセンサー8の検出レバー8aが係合する検出溝21aを設けている。そして、検出溝21aを挟んで入力軸11側に螺旋溝21bを、また、ピニオン軸9側に軸線方向溝21cをそれぞれ一対ずつ形成している。これら一対の螺旋溝21b、及び一対の軸線方向溝21cはそれぞれ対称に位置している。つまり、2つの螺旋溝21bを互いに対向させ、かつ、2つの軸線方向溝21cを螺旋溝21bとほぼ直角だけずらした位置で互いに対向させている。
この実施例ではトルクセンサー8として、内部に回転軸を有し、この回転軸の先端に該回転軸に対し半径方向に延在する検出レバー8aを設けた回転式ポテンショメータを使用している。そして、検出レバー8aの移動量を回転移動量に変換して検出を行ない、検出された移動量を電気信号に変換してコントローラ15に送信する。
【0017】
入力軸11には入力軸突起である一対の駆動ピン22を植設するとともに、この駆動ピン22をスリーブ21に形成した螺旋溝21bに係合させている。また、出力軸であるピニオン軸9には、出力軸突起である一対の固定ピン23を植設するとともに、この固定ピン23を軸線方向溝21cに係合させている。
したがって、これら駆動ピン22及び固定ピン23も、それぞれ対向した位置に設けられ、しかも、駆動ピン22と固定ピン23とはほぼ直角にずれた位置に設けられている。
なお、ピニオン軸9とスリーブ21とは、半径方向に隙間を持たせている。これは、入力軸11に過大な入力トルクが付加され、入力軸11のブロック部11aがピニオン軸9の壁部9aに強く当接し、これらブロック部11aや壁部9aが半径方向に拡大変形したとしても、この拡大変形した部分によってスリーブ21が係止されないようにするためである。
また、スリーブ21の一端側にスプリング28を設けている。そして、このスプリング28はその一端をスリーブ21の上端に、他端をプレート29を介して軸受20の下端にそれぞれ押圧している。
【0018】
次に、この実施例の動作を説明する。
車輪1からの負荷がラックギヤ5に伝わった状態でステアリングホイール13を操作すると、その回転が中間ジョイント12を介して入力軸11に伝えられる。しかし、ピニオン軸9は車輪1からの負荷によりその回転が妨げられているため、入力軸11の回転によりトーションバー10は捩じられる。よって、入力軸11とピニオン軸9の間に捩れ変位が生じ、駆動ピン22と固定ピン23とは該捩れ変位に応じて円周方向に互いに相対回転する。
この相対回転により、駆動ピン22は螺旋溝21bを押しスリーブ21に斜め方向の力Fをくわえる。したがって、スリーブ21には、スリーブ21の接線方向の力Frと、軸線方向の力Fsが作用することになる。ただし、スリーブ21は固定ピン23によってその回転が規制されるので、結局は軸線方向の力Fsによって軸線方向溝21cに沿ってスライドすることになる。
このようにして、捩じれ変位によって生じた相対回転を軸線方向の変位に変換する変換機構が構成される。
【0019】
そして、このスリーブ21の軸線方向移動量がトルクセンサー8で検出されるとともに、この検出量に応じて、コントローラ15を介して電動機16に補助トルクが発生される。電動機16に補助トルクが発生すると、電動機16の出力側のピニオンギヤ17とこれに噛合う出力側のラックギヤ18を介してラック軸4が軸方向に移動して、操舵リンク3とナックルアーム2を介して車輪1の転舵を補助する様になっている。
【0020】
以下、この実施例の効果を説明する。
スリーブ21の螺旋溝21bに係合させた入力軸突起である一対の駆動ピン22は、同一円周上で180度ずらして配置されている。しかも、これら一対の駆動ピン22から等距離の位置に軸線方向溝に係合させた出力軸突起である固定ピン23を設けている。したがって、軸方向の力Fsの固定ピン23におけるモーメントを互いに打ち消すことができ、スリーブ21がこじれることなくスムーズに作動できる。
【0021】
さらに、出力軸突起である固定ピン23も2個設けられ、同一円周上で180度ずらして配置されている。そして、これら駆動ピン22と固定ピン23とはほぼ直角ずらして配置されている。
このように、すべてのピン22、23の相互間隔は円周方向に等間隔を保つので、駆動ピン22において回転方向に発生する力Frは同一量で方向が逆になっており、また、この回転方向の力Frの反力Fr’が出力軸突起である固定ピン23に発生する。このように、スリーブ21に作用する回転方向の力をバランスさせることができ、さらにスリーブのこじれを防止できる。
しかも、駆動ピン22および固定ピン23はそれぞれ2個が設けられるので、力を及ぼす螺旋溝21bおよび軸線方向溝21cの面圧を小さくでき、駆動ピン22および固定ピン23、螺旋溝21b、および軸線方向溝21cの磨耗を抑えることができる。
【0022】
さらに、入力軸11の縮径部11cとピニオン軸9の円筒部9cとを密着嵌合させているので、これら軸9、11が互いに支持しあい曲げが入りにくくなる。したがって、スリーブ21のこじり等の作動不良をさらに抑えることができ、しかも、入力軸11の下端部と出力軸の上端部を同軸上に位置させることができ、駆動ピン22および固定ピン23の精度を出しやすくできる。
さらにまた、スリーブ21をスプリング28により常に軸線方向に付勢しているので、振動などの外力に対しスリーブ21のがたつきを抑えられ、これら溝の加工精度を補正できるとともに、入力トルクの検出を安定させられる。
また、さらにピニオン軸9の壁部9aが半径方向に拡大変形される様な過大な相対回転力が入力軸11とピニオン軸9の間に発生したとしても、ピニオン軸9の外径とスリーブ21の内径間に半径方向の隙間を持たせているので、変形部分によってスリーブ21が係止されてしまうことを防止できる。
【0023】
なお、以上の実施例では、螺旋溝21bはスリーブ21に設け、螺旋溝21bに係合する突起は入力軸突起である駆動ピン22であり、軸線方向溝21cはスリーブ21に設け、軸線方向溝21cに係合する突起は出力軸突起である固定ピン23であったが、他の実施例では、これらの溝と突起の組み合わせは多々考えられる。例えば、螺旋溝はスリーブに設け、螺旋溝に係合する突起は出力軸に設け、軸線方向溝はスリーブに設け、軸線方向溝に係合する突起は入力軸に設けることもできる。また、螺旋溝は入力軸に設けられ、螺旋溝に係合する突起はスリーブに設け、軸線方向溝はスリーブに設け、軸線方向溝に係合する突起は出力軸に設けることもできる。さらに、突起はピンではなく、回転自在に設けられた球であっても良い。
【0024】
【発明の効果】
第1の発明では、軸線方向溝における成分Fsによるモーメントを打ち消すことができ、さらに、可動体の回転方向の力をバランスさせることができる。したがって、可動体のこじり等の作動不良をさらに防止でき、より円滑に可動体をスライドさせることができる。
また、螺旋溝および軸線方向溝に係合させた突起を複数にしたので、これら突起が力を及ぼす螺旋溝および軸線方向溝の面圧を小さくでき、突起、螺旋溝、および軸線方向溝の摩耗を低減できる。
さらに、入力軸突起と出力軸突起とを、センサーの検出レバーを係合させる検出溝を挟んで配置したので、可動体の全長を短くできる。
【0025】
第2の発明では、さらに、入力軸と出力軸とを回転自在に保ってその端面同士を密着嵌合させたので、入力軸と出力軸とは互いに支持しあっていることになる。したがって、これら端部に曲げが入りにくく、可動体のこじり等の作動不良を防止出来るとともに、入力軸の端部と出力軸の端部の同軸を出しやすく、これにより入力軸突起および出力軸突起の精度を出しやすくなる。
第3の発明では、さらに、可動体を弾性体により常に軸線方向に付勢させているので、可動体のがたつきを抑えることができる。したがって、溝等の加工誤差を吸収でき、また、正確な入力トルクを検出できる。
第4の発明では、隙間を持たせているので可動体の内周面が入力軸または/および出力軸の外周面の変形部分に係止してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係るパワーステアリングの全体概略図である。
【図2】図1のパワーステアリングに備えられる入力トルク検出装置の全体縦断面図である。
【図3】入力軸の端部とピニオン軸の端部とを密着嵌合させている図である。
【図4】図2のIV−IV線の水平断面図である。なお、便宜上、駆動ピン23を二点鎖線で示している。
【図5】図2のスリーブの正面図である。
【図6】図5のVI−VI線の断面図である。なお、便宜上、駆動ピン23を二点鎖線で示している。
【図7】スリーブの斜視図である。
【図8】従来の入力トルク検出装置の全体縦断面図である。
【図9】スライダーの正面図である。
【図10】図8のX−X水平断面図である。
【符号の説明】
4 ラック軸
5 ラックギヤ
6 ピニオンギヤ
8 トルクセンサー(センサー)
9 ピニオン軸(出力軸)
10 トーションバー
11 入力軸
13 ステアリングホイール
21 スリーブ(可動体)
21b 螺旋溝
21c 軸線方向溝
22 駆動ピン(入力軸突起)
23 固定ピン(出力軸突起)
Claims (4)
- ステアリングホイールからのトルクを伝える入力軸が、トーションバーを介して出力軸に連結される一方、入力軸および出力軸の外周に可動体を軸方向にスライド可能に設け、これら入出力両軸および可動体に設けた螺旋溝と軸線方向溝とこれら溝に係合する突起とで回転を軸方向の動きに変換する変換機構を構成し、トルクによりトーションバーが捩じれると、入力軸と出力軸との間に捩じれ変位が生じ、この捩じれ変位により前記変換機構の働きで前記可動体が軸方向にスライドし、このスライド量をセンサーで検出し補助トルクを発生させるパワーステアリングの入力トルク検出装置において、上記変換機構は、入力軸の円周上で互いに180度ずれた位置に設けた一対の入力軸突起と、出力軸に円周上で互いに180度ずれた位置に設けた一対の出力軸突起と、可動体に形成するとともに、これら突起のうち一方の突起が係合する螺旋溝と、可動体に形成するとともに、他方の突起が係合する軸線方向溝とから構成される一方、この可動体にセンサーの検出レバーを係合させる検出溝を形成し、この検出溝を挟んで上記入力軸突起と出力軸突起と配置し、しかも、これら突起をほぼ直角だけずらしたことを特徴とするパワーステアリングの入力トルク検出装置。
- 出力軸の一端に入力軸の一端を臨ませ、しかも両軸を相対回転自在に保ってこれら端部を密着嵌合させたことを特徴とする請求項1記載のパワーステアリングの入力トルク検出装置。
- 可動体を常に軸線方向に付勢する弾性体を設けたことを特徴とする請求項1または2記載のパワーステアリングの入力トルク検出装置。
- 可動体は円管形状とするとともに、その内径と内径に位置する軸の外径との間に隙間を持たせたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載のパワーステアリングの入力トルク検出装置。
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