JP3636714B2 - 化粧料 - Google Patents
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Description
肌の乾燥を防止する目的で、化粧料には肌の潤いを保つ保湿成分が配合される場合がある。保湿成分としては、天然保湿因子の主成分でありかつ皮膚に対して刺激の少ないアミノ酸またはその誘導体などが用いられる。
アラニルグルタミンが輸液用原末(特許文献1参照)または育毛促進剤(特許文献2参照)として、プロリルフェニルアラニンが血圧降下剤(特許文献3参照)として、およびN−アセチルアラニルグルタミンが栄養組成物(特許文献4参照)として用いられることはそれぞれ知られているが、化粧料としての利用は知られていない。
化合物(I)および化合物(II)の定義において、低級アルキルとしては、直鎖または分岐状の炭素数1〜6の、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec −ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどがあげられる。
アラニルグルタミンの製造方法としては、たとえばブレティン・ザ・ケミカル・ソシエティー・オブ・ジャパン(Bull. Chem. Soc. Jpn.), 34, 739(1961)、35, 1966(1962)、37, 200(1964)、欧州特許第311057号、ドイツ特許第3206784号、特開平6−234715号に記載された方法が、プロリルフェニルアラニンの製造方法としては、たとえばジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Organ. Chem.), 32, 3415(1967) 、バイオテクノロジー・レターズ(Biotech. Lett.), 8, 873(1986)、特開平3−133391号に記載された方法があげられる。
本発明のジペプチドおよびN−アシルジペプチドは、化粧料全量中にそれぞれ0.01〜10.0重量%および0.05〜2.0重量%の割合で配合される。
本発明の化粧料は、化粧料一般に用いられる各種成分、すなわち、油脂類、炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、合成エステル類、アルコール類、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、防腐剤、香料、顔料、薬剤、水などの基剤を配合することができる。
炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワランなどがあげられる。
ロウ類としては、ミツロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウなどがあげられる。
合成エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルデシル、モノステアリン酸プロピレングリコール、乳酸ミリスチル、リンゴ酸イソステアリル、モノステアリン酸グリセリン、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどがあげられる。
アルコール類としては、エタノール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどがあげられる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラウリル硫酸ナトリウム、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ジアルキルスルホコハク酸、セチルピリジニウムブロマイド、n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、モノアルキルリン酸、N−アシルグルタミン酸、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン還元ラノリンなどがあげられる。
増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、メチルポリシロキサン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、ヒドロキシメチルセルロースなどがあげられる。
保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ピロリドンカルボン酸、乳酸、ヒアルロン酸などがあげられる。
保湿剤は、0.01〜30重量%の割合で配合される。
防腐剤としては、安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸あるいはそれらの塩類、パラオキシ安息香酸エステルなどのフェノール類、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3−トリフルオロメチル−4,4’−ジクロロカルバニリドなどがあげられる。
香料は、通常化粧料に使うものならどのような香料を用いてもよい。
顔料としては、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セシウム、タルク、セリサイト、マイカ、雲母チタン、モンモリロナイト、カオリン、アルミナ、シリカ、カオリン、白雲母、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、ナイロン6、ナイロン6.6、ナイロンパウダー、セルロース、結晶セルロース、シルクパウダー、軽石粉末などがあげられる。
薬剤としては、ビタミンA、ビタミンB2 、ビタミンC、ビタミンEおよびそれらの誘導体、D−パントテールアルコール、甘草エキス、グリチルリチン酸ジカリウム、プラセンタリキッド、小麦胚芽油、グルタチオンなどがあげられる。
薬剤は、0.01〜5重量%の割合で配合される。
本発明の化粧料製品としては、化粧水、乳液、クリーム、石鹸、パック、美容液などの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、アイシャドウ、アイライナー、マニキュアなどのメーキャップ化粧料、シャンプー、リンス、ヘアトニック、オーデコロンなどのヘアー化粧料などがあげられる。アラニルグルタミンおよびプロリルフェニルアラニンについては、化粧水、乳液、クリーム、石鹸、パック、シャンプーなどの親水性の化粧料に好適に用いられるが、化合物(I)および化合物(II)については、上記化粧料の他にヘアトニック、オーデコロン、マニキュアなどの親油性の化粧料にも好適に用いられる。
以下の処方からなる化粧水(1)を製造した。
第1表に示される成分のうち1 〜3 および7 を均一に混合した液に、4 〜6 を均一に混合した液を添加して撹拌混合し、製品とした。
第1表に示される成分のうち2 のかわりにアラニルグルタミンを用いる以外は実施例1と同様の処方からなる化粧水(2)を製造した。
以下の処方からなる乳液を製造した。
第2表に示される成分のうち1 〜5 を80℃で加熱溶解した液に、6 〜8 と半量の11を80℃で加熱溶解した液を添加して撹拌混合し、さらに均一にした9 、10および残量の11を添加して撹拌混合した後、室温まで冷却して製品とした。
第2表に示される成分のうち6 のかわりにプロリルフェニルアラニンを用いる以外は実施例3と同様の処方からなる乳液(2)を製造した。
以下の処方からなるクリームを製造した。
第3表に示される成分のうち1 〜7 を80℃で加熱溶解した液に、8 〜11および13を80℃で加熱溶解した液を添加して撹拌混合し、さらに12を添加して撹拌混合した後、室温まで冷却して製品とした。
以下の処方からなるヘアトニック(1)を製造した。
第4表に示される成分のうち1 〜5 および10を混合した液に、6 〜9 を80℃で加熱溶解した液を添加して撹拌混合し、製品とした。
以下の処方からなるオーデコロン(1)を製造した。
第5表に示される成分のうち2 および3 を均一に混合した液に、4 に1 を溶解した液を添加して撹拌混合し、製品とした。
比較例1
第1表に示される成分のうち2 のかわりにグリシルグリシンを用いる以外は実施例1と同様の処方からなる化粧水(3)を製造した。
比較例2
第2表に示される成分のうち6 のかわりにグリシルグリシンを用いる以外は実施例3と同様の処方からなる乳液(3)を製造した。
比較例3
第4表に示される成分のうち5 のかわりにグリシルグリシンを用いる以外は実施例6と同様の処方からなるヘアトニックを製造したところ、グリシルグリシンが析出した。このため、第4表に示される成分のうち5 を除いた以外は実施例6と同様の処方からなるヘアトニック(2)を製造した。
比較例4
第5表に示される成分のうち1 のかわりにグリシルグリシンを用いる以外は実施例7と同様の処方からなるオーデコロンを製造したところ、グリシルグリシンが析出した。このため、第5表に示される成分のうち1 を除いた以外は実施例7と同様の処方からなるオーデコロン(2)を製造した。
試験例1
第6表に示す溶媒19.9gのいずれか1つに、アラニルグルタミン、N−アセチルアラニルグルタミン、プロリルフェニルアラニン、N−アセチルプロリルフェニルアラニンおよびグリシルグリシンをそれぞれ0.1gずつ加え、ホットスターラー上で徐々に加熱撹拌して溶解させ、溶解性を評価した。
試験例2
実施例1、2および比較例1で得られた化粧水(1)、(2)および(3)をそれぞれ専門のパネラー25人を用いて(イ)保湿性、(ロ)肌へのなじみ、(ハ)肌への浸透感の3項目を下記の採点表に従って評価した。
試験化粧水を1日につき朝夕の2回、1ヵ月間連続して顔面に塗布した結果を第7表に示す。
試験例3
実施例3、4および比較例2で得られた乳液(1)、(2)および(3)をそれぞれ専門のパネラー25人を用いて(イ)保湿性、(ロ)肌へのなじみ、(ハ)のびのよさの3項目を下記の採点表に従って評価した。
試験例4
実施例6および比較例3で得られたヘアトニック(1)および(2)をそれぞれ専門のパネラー25人を用いて(イ)地肌の保湿性、(ロ)地肌へのなじみ、(ハ)地肌への広がりの3項目を下記の採点表に従って評価した。試験ヘアトニックを1日につき朝夕の2回、1ヵ月間連続して頭皮に塗布した結果を第9表に示す。
試験例5
実施例7および比較例4で得られたオーデコロン(1)および(2)をそれぞれ専門のパネラー25人を用いて(イ)肌のしなやかさ、(ロ)肌のさらさら感の2項目を下記の採点表に従って評価した。
参考例1
L−アラニル−L−グルタミン(協和発酵工業社製、以下、アラニルグルタミンと略記する)31.9g(146.7mmol)を水40mlに懸濁し、10℃以下で8N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH8.0〜8.5に保ちながら無水酢酸16.4g(161.4mmol)を滴下して反応させた。反応終了後、反応液に濃塩酸を加えてpH2.0に調整し、これを濃縮した。濃縮液にトルエン200mlを加えて、共沸蒸留によって残りの水分を除去した。水分を除いた後、トルエンを留去して残査を得て、これにエタノールを200ml加え、加温して溶解した。溶解液を加温した状態でろ過して、ろ液と溶解しなかった残渣とを分離した後、残渣をエタノールで十分に洗浄した。ろ液と洗液とを合わせて、約80mlまで濃縮した。濃縮液を冷却して析出した結晶をろ取し、これを減圧乾燥することにより、N−アセチルアラニルグルタミンが結晶として19.7g得られた。
性状:白色粉末
融点:182 〜184 ℃
比旋光度:[α]D 25=−38.0゜(c=1.02,CH3OH)
紫外線吸収スペクトル(CH3OH 溶液):λmax nm(ε)
205.0 (2680)
赤外線吸収スペクトル(KBr,錠剤):νmax cm-1
3485,3363,3325,3292,1720,1668,1612,1550,1232
1H-NMRスペクトル(400MHz ,CD3OD溶液) :δppm(多重度,結合定数)
1.35(d,J=7.3),1.88〜1.96(m),1.98(s),2.18〜2.37(m),4.33(q,J=7.3),4.40(m)
13C-NMR スペクトル(400MHZ ,CD3OD溶液) :δppm(多重度)
17.79(q),22.39(q),28.59(t),32.57(t),50.54(d),53.04(d),173.24(s),174.71(s),175.33(s),177.76(s)
FAB-MSスペクトル(マトリックス:グリセロール):m/z 260(M+H) +
HR-FAB-MS :C10H18N3O5
実測値:260.1243
計算値:260.1247
元素分析
実測値:(100℃1晩減圧乾燥) C:44.92,H:6.58,N:15.87
計算値:C10H17N3O5・1/2H2O C:44.76,H:6.77,N:15.67
参考例2
L−プロリル−L−フェニルアラニン(協和発酵工業社製、以下、プロリルフェニルアラニンと略記する)314.8g(1.2mol)を水3140mlに懸濁し、15℃以下で4N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.0〜8.5に保ちながら無水酢酸134.6g(1.3mol)を滴下して反応させた。
N−アセチルプロリルフェニルアラニンの理化学的性質は以下のとおりである。
性状:白色粉末
融点:208 〜210 ℃
比旋光度:[α]D 25=−27.8゜(c=1.01,CH3OH)
紫外線吸収スペクトル(CH3OH溶液) :λmax nm(ε)
263.0(143),257.5(188),252.0(161),246.5(135),212.5(6490)
赤外線吸収スペクトル(KBr, 錠剤) :νmax cm-1
3325,2987,2956,1736,1657,1595,1550,1263,1223,702
1H-NMRスペクトル( 400NHZ ,CD3OD溶液) :δppm(多重度)
1.67(s),1.67〜1.83(m),1.86〜2.06(m),2.06(s),2.06〜2.27(m),2.92〜3.06(m),3.19(m),3.33〜3.60(m),4.28(m),4.45(m),4.67(m),4.78(m),7.17〜7.30(m)
13C-NMR スペクトル(400MHZ ,CD3OD溶液) :δppm(多重度)
22.05(q),22.18(q),23.62(t),25.49(t),30.41(t),32.90(t),38.05(t),38.26(t),47.91(t),49.32(t),54.58(d),54.93(d),61.02(d),62.58(d),127.78(d),127.82(d),129.39(d),129.51(d),130.16(d),130.44(d),138.21(s),138.71(s),172.60(s),172.80(s),174.14(s),174.22(s),174.37(s)
FAB-MSスペクトル(マトリックス:グリセロール):m/z 305(M+H)+
HR-FAB-MS :C16H21N2O4
実測値:305.1494
計算値:305.1502
元素分析
実測値: C:62.92,H:6.71,N:9.09
計算値:C16H20N2O4 C:63.14,H:6.62,N:9.20
Claims (1)
- プロリルフェニルアラニン、一般式(II)
(式中、R2 は水素原子または低級アルキルを示す)で表されるN−アシルプロリルフェニルアラニンおよびそれらの塩から選ばれる化合物を1つ以上配合してなる化粧料。
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