JP3636495B2 - テンセグリテイ構造体用のテトラヘドロン・モジュール - Google Patents

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    • E04BUILDING
    • E04BGENERAL BUILDING CONSTRUCTIONS; WALLS, e.g. PARTITIONS; ROOFS; FLOORS; CEILINGS; INSULATION OR OTHER PROTECTION OF BUILDINGS
    • E04B1/00Constructions in general; Structures which are not restricted either to walls, e.g. partitions, or floors or ceilings or roofs
    • E04B1/18Structures comprising elongated load-supporting parts, e.g. columns, girders, skeletons
    • E04B1/19Three-dimensional framework structures
    • E04B2001/1996Tensile-integrity structures, i.e. structures comprising compression struts connected through flexible tension members, e.g. cables

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  • Rod-Shaped Construction Members (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、モジュール化されたテンセグリテイ構造体に関し、特に、それ自体を構造的に強固にできるテトラヘドロン・モジュール及びそれ自体がテンセグリテイ化されたテトラヘドロン・モジュールに関する。
【0002】
【従来技術】
一般建築の構造体、例えば、建物、橋、タワー等は、地盤に対して強固に固定化することによって、この構造体を支えるとの考え方に立脚しているため、地震等の地盤の変動に対して極めて感受性が強いという本質的な問題を有している。
【0003】
これに対して、ジオデジックドームで有名な米国のR. Buckminster Fuller (以下、バックミンスター・フラーという)が提起したTensile-integrity Structures(一般的にテンセグリテイ構造体と称されている)は、自重を極限まで減少させ且つ柔軟な構造体であることを目的とし、また、地盤から独立した存在を目的とするものである。したがって、テンセグリテイ構造体は、単に軽量構造物であるというだけでなく、地震等の地盤の変動があったとしても全体的な倒壊の恐れがない点で極めて注目すべきものがある。
【0004】
テンセグリテイ構造体の具体的な構造は、これを構築する要素つまり構造材そのものが圧縮部材(compression member)と張力部材(tension member)とで構成され、典型的には、米国特許第 3,063,521号に詳細に記述されているように、張力部材を連続的にネットワーク化し、その一方で圧縮部材を非連続化する手法が採用される。
【0005】
米国特許第 4,207,715号には、モジュール化されたテンセグリテイ構造体が開示されている。この米国特許に開示の各種多面体のモジュールのうち、特にテトラヘドロン(Tetrahedron) のモジュールについて説明すると、テトラヘドロン・モジュールは、その全ての辺(6つの辺)が全て等しい長さ寸法を有する(したがって正4面体であり、以下、正テトラヘドロンという)。そして、このテトラヘドロン・モジュールは、正テトラヘドロンの中心で相互に連結された4本の圧縮部材つまり柱状部材を有し、この4本の柱状部材は、テトラヘドロンの中心から放射状に延びて、各柱状部材の自由端がテトラヘドロンの各頂点を形成し、これら柱状部材の自由端同士を張力部材つまりワイヤで連結することにより構成されている。
【0006】
上記米国特許第 4,207,715号は、また、各モジュールを相互に連結することにより形成された種々のテンセグリテイ構造体を開示しており、正テトラヘドロン・モジュールからなる構造体にあっては、隣接するモジュール間で、一方の正テトラヘドロンの1辺の中点あるいは1/3 の箇所に対して、他方の正テトラヘドロンの柱状部材の自由端を連結する構成からなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、テンセグリテイ構造体をモジュール化する場合、モジュールそれ自体を構造的に強固にすれば、結果的に、テンセグリテイ構造体が構造的に強固なものになる。また、上記米国特許第 4,207,715号に開示のものにあっては、正テトラヘドロン・モジュールを連結した構造体は、モジュール間で柱状部材が非連続的になっていることから、構造体それ自体をテンセグリテイ構造体と呼ぶことは可能であるが、各モジュールに注目すると、これを構成する4本の柱状部材が正テトラヘドロンの中心で直接的に連結されているため、このモジュールに関して言うならば、典型的なテンセグリテイ構造体であるとは言い難い。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上述した米国特許第 4,207,715号に開示のモジュールそれ自体を構造的に強固にしたテンセグリテイ構造体用のテトラヘドロン・モジュールを提供することにある。
本発明の更なる目的は、モジュールそれ自体を典型的なテンセグリテイ化したテンセグリテイ構造体用のテトラヘドロン・モジュールを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる技術的課題を達成するために、本発明にあっては、
互いに交差して配置された柱状部材であって、各々がその一端から交差する箇所までの長尺部分と、他端から交差する箇所までの短尺部分とを有する4本の柱状部材と、
該4本の柱状部材の前記一端同士を相互に連結して、これら柱状部材の一端を頂点とする外側テトラヘドロンを形成する第1の線材と、
前記4本の柱状部材の前記他端同士を相互に連結して、これら柱状部材の他端を頂点とする内側テトラヘドロンを形成する第2の線材と、
前記柱状部材の各々の前記他端と、他の3本の柱状部材の前記一端とを夫々連結して前記外側テトラヘドロンと前記内側テロラヘドロンとをネットワーク化する第3の線材とからなる構成を採用してある。
【0010】
【作用】
上記の構成によれば、柱状部材の長尺部分の端を線材で連結することにより形成されるテトラヘドロンの中に、柱状部材の短尺部分の端を線材で連結して内側テトラヘドロンが形成されているため、内外二重のテトラヘドロンによってモジュールそれ自体が構造上強固なものになる。
【0011】
4本の柱状部材は、相互に連結していてもよく、或いは、これら4本の柱状部材を連結することなく、個々独立したものであってもよい。4本の柱状部材を相互に連結しないときには、モジュールそれ自体が、第1ないし第3の線材によって連続的にネットワーク化された中に、非連続的に配置された柱状部材を有することになり、従って、モジュールそれ自体、典型的なテンセグリテイ構造体となる。
【0012】
【実施例】
以下に、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、実施例の正テトラヘドロンからなるモジュールの斜視図である。実施例の正テトラヘドロン・モジュール100は、外側に位置する外部テトラヘドロン1と、モジュール100の内部に位置する内部テトラヘドロン2とを有する。
【0013】
モジュール100は、その構成要素として、4本の柱状部材3を有し、4本の柱状部材3は、夫々、外部テトラヘドロン1の4つの各頂点Aから中心Oの近傍を通過して外部テトラヘドロン1の他の3つの頂点Aで形成される三角形の面Sの近傍まで延びている。ここに、柱状部材3において、外部テトラヘドロン1の頂点Aを形成する一端から中心Oまでの部分を長尺部分3aと呼び、中心0から外部テトラヘドロン1の三角形の面Sの中点の近傍に位置する他端までの部分を短尺部分3bと呼ぶことにする。
【0014】
4本の柱状部材3は、中心Oで、相互に連結してもよいが、モジュール100それ自体を典型的なテンセグリテイ構造体にするのであれば、4本の柱状部材3を連結する必要はない。この柱状部材3は、テンセグリテイ構造体の圧縮部材を構成するものであり、圧縮部材として必要な剛性を有していれば特にその素材は限定されるものではないが、例えば、鉄、ステンレス合金、合成樹脂、木材であってもよく、また軽量化を考慮するのであれば、アルミニウム合金、チタン合金、強化プラスチックであるのが好ましい。また、柱状部材3は、中実あるいは中空の棒材又は板材であってもよく、中実あるいは中空の棒材で構成するのであれば、その断面形状は、任意であり、矩形、円形等であってもよい。また、柱状部材3を板材で構成するのであれば、断面U字状、断面L字状の部材であってもよい。また、柱状部材3の端部だけ中空あるいは中実もしくは異形にしてもよい。
【0015】
モジュール100の外部テトラヘドロン1は、4本の柱状部材3の長尺部分3aの4つの端を第1の線材4で連結することによって構成されている。すなわち、外部テトラヘドロン1の6つの辺は、長尺部分3aの4つの端同士を相互に連結する6本の等しい長さの線材4で構成されている。また、モジュール100の内部テトラヘドロン2は、4本の柱状部材3の短尺部分3bの4つの端を第2の線材5で連結することによって構成されている。すなわち、内部テトラヘドロン2の6つの辺は、短尺部分3bの4つの端同士を相互に連結する6本の等しい長さの線材5で構成されている。
【0016】
また、各柱状部材3の短尺部分3bの端は、その近傍に位置する外部テトラヘドロン1の各面Sを形成する3つの頂点A、つまり他の3本の柱状部材3の長尺部分3aの端に対して第3の線材6で連結されている。すなわち、一つの柱状部材の短尺部分3bの端は、他の3本の柱状部材の長尺部分3aの端と、夫々、3本の線材6で連結され、これにより、外部テトラヘドロン1と内部テトラヘドロン2とがネットワーク化されている。なお、上記第1、第2、第3の線材4、5、6を図面上明らかにするために、外部テトラヘドロン1の6つの辺を構成する第1の線材4を実線で表し、内部テトラヘドロン2の6つの辺を構成する第2の線材5を破線で表し、ネットワーク化のための第3の線材6を仮想線で表してある。
【0017】
上記の線材4、5、6は、テンセグリテイ構造体の張力部材を構成するものであり、張力部材として必要な強度を有していれば特にその素材は限定されるものではないが、例えば、合金を含む金属、強化プラスチック、炭素繊維、合成繊維等、適宜の材料からなるワイヤ、ストランド等で構成することができる。
【0018】
第1ないし第3の線材4〜6は、各々、独立した別の線材で構成してもよいが、これら線材4〜6を一本の連続した線材で構成してもよく、この連続した線材を採用した場合に各柱状部材3と線材4〜6の連結方法の一例を図2および図3に示す。図2は、柱状部材3として中実の棒材を採用した場合に、この柱状部材3の長尺部分3aの端と、各柱状部材3の長尺部分3aの端に連結されることになる合計6本の線材との連結構造を示すものである。また、図3は、柱状部材3として中空の棒材を採用した場合に、この柱状部材3の長尺部分3aの端と線材との連結構造を示すものである。この図2、図3の例は、柱状部材3の長尺部分3aを代表して示すものであり、短尺部分3bについても、図2あるいは図3と同様に構成すればよい。
【0019】
図2において、中実の棒材からなる柱状部材3にあっては、その両端面に十文字に交差する2本のスリット7、8と、各スリット7、8の深部で各々延びる合計2つの孔9、10が形成されている。モジュール100を構成する線材4〜6と柱状部材3と連結するときには、一本の線材を一筆書きの要領で柱状部材3の各端の一つのスリット7を利用して一つ孔9を通過させながら張り渡すことによりモジュール100を作り、その後、各線材4〜6部分の張力を調整した後に、図2に代表的に示すピン11を孔9の開口に差し込むことによって線材を固定させる。
【0020】
図3に示す中空の棒材からなる柱状部材3にあっては、両端に所望の数の孔12を形成して、この孔12を利用してモジュール100を作ると共に、複数のスリット13を形成して、適当なスリット13を利用してモジュール100間の連結を行うようにしてもよい。
【0021】
上述したモジュール100は、このモジュール100を従来と同様に連結することによって所望のテンセグリテイ構造体を構築することができる。但し、モジュール100は、従来と異なり、各柱状部材3の両端を隣接するモジュール100の線材に連結することができる。この連結は、図2に示す例に従うのであれば、柱状部材3の各端の余ったスリット8を利用して孔10に隣接するモジュール100の線材を収容して、これを上述したピン11で固定するようにしてもよい。このような孔10あるいは孔9、12は、その開口部を外方に向けて拡開したテーパ形状にするのが、この開口から出る複数の線材4、5、6と孔9、10、12の開口縁との局部的な摩擦を回避する上で好ましい。
【0022】
以上、モジュール100を複数連結することにより構成されるテンセグリテイ構造体は、オブジェとして利用してもよく、あるいは、ドーム、あるいは建物の壁、床、梁として利用してもよい。このような適用例において、必要ならば、モジュール100の面Sを被覆材で覆ってもよい。また、モジュール100を多層化して配置するようにしてもよい。
【0023】
以上、正テトラヘドロンからなるモジュール100を説明したが、これによって構築されるテンセグリテイ構造体の厚みの調整は、モジュール100に含まれる4本の柱状部材3の長さ寸法を異ならせることによって行うことができる。この場合モジュール100は、正テトラヘドロンでなくなるのは言うまでもない。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、モジュールが内外二重構造のテトラヘドロンによって構成されるため、モジュールそれ自体を構造上強固なものにすることができる。また、モジュールを構成する4本の柱状部材を相互に連結しない構成をとったときには、モジュールそれ自体もテンセグリテイ構造にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のモジュールの斜視図。
【図2】中実の柱状部材の端部と線材との連結方法の一例を示す部分斜視図。
【図3】中空の柱状部材の端部と線材との連結方法の一例を示す部分斜視図。
【符号の説明】
100 テトラヘドロン・モジュール
1 外側テトラヘドロン
2 内側テトラヘドロン
3 柱状部材
3a 柱状部材の長尺部分
3b 柱状部材の短尺部分
4 第1の線材
5 第2の線材
6 第3の線材

Claims (3)

  1. 互いに交差して配置された柱状部材であって、各々がその一端から交差する箇所までの長尺部分と、他端から交差する箇所までの短尺部分とを有する4本の柱状部材と、
    該4本の柱状部材の前記一端同士を相互に連結して、これら柱状部材の一端を頂点とする外側テトラヘドロンを形成する第1の線材と、
    前記4本の柱状部材の前記他端同士を相互に連結して、これら柱状部材の他端を頂点とする内側テトラヘドロンを形成する第2の線材と、
    前記柱状部材の各々の前記他端と、他の3本の柱状部材の前記一端とを夫々連結して前記外側テトラヘドロンと前記内側テトラヘドロンとをネットワーク化する第3の線材とからなるテンセグリテイ構造体用のテトラヘドロン・モジュール。
  2. 前記4本の柱状部材が、前記交差する箇所で相互に連結されている、請求項1に記載のテトラヘドロン・モジュール。
  3. 前記4本の柱状部材が、個々独立して配置されている、請求項1に記載のテトラヘドロン・モジュール。
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