JP3636242B2 - 化学増幅ポジ型レジスト材料 - Google Patents

化学増幅ポジ型レジスト材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遠紫外線、電子線、X線等の高エネルギー線に対して高い感度を有し、アルカリ水溶液で現像することによりレジストパターンを形成することができる、微細加工技術に適した化学増幅ポジ型レジスト材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められているなか、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィが有望視されている。遠紫外線リソグラフィは、0.3〜0.4μmの加工も可能であり、光吸収の小さいレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有するパターンの形成が可能となる。また、一括にパターンを転写することができるために、電子線リソグラフィよりもスループットの点で有利である。近年、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用する技術が注目されており、これが量産技術として用いられるためには、光吸収が低く、高感度なレジスト材料が要望されている。
【0003】
このような点から近年開発された酸を触媒として化学増幅(chemicalamplification)を行うレジスト材料〔例えば、リュー(Liu)ら、ジャーナル オブ バキューム サイエンス アンド テクノロジー(J.Vac.Sci.Technol.)、第B6巻、第379頁(1988)〕は、従来の高感度レジスト材料と同等以上の感度を有し、しかも解像性、ドライエッチング耐性も高く、優れた特徴を有した遠紫外線リソグラフィに特に有望なレジスト材料である。
【0004】
この場合、ネガ型レジスト材料としてはシプリー(Shipley)社が、ノボラック樹脂とメラミン化合物と酸発生剤とからなる3成分化学増幅レジスト材料(商品名:SAL601ER7)を既に商品化しているが、化学増幅系のポジ型レジスト材料は未だ商品化されたものはない。ここで、LSIの製造工程上、配線やゲート形成などはネガ型レジスト材料で対応できるが、コンタクトホール形成は、ネガ型レジスト材料を用いたのではカブリやすいために微細な加工は難しく、ポジ型レジスト材料の方がはるかに適している。
【0005】
そのため、高性能なポジ型レジスト材料が強く要望されている。従来より、イトー(Ito)らは、ポリヒドロキシスチレンの水酸基をtert−ブトキシカルボニル基(tert−BOC基)で保護したPBOCSTという樹脂にオニウム塩を加えたポジ型の化学増幅レジスト材料を開発している。
【0006】
しかし、ここで用いているオニウム塩は、金属成分としてアンチモンを含む〔参考文献:ポリマース イン エレクトロニクス、ACS シンポジウム シリーズ(Polymers in Electronics,ACS Symposium Series)第242回(アメリカ化学会、ワシントンDC.1984)、第11頁〕が、一般的に、レジスト材料中の金属成分は、基板への汚染を避けるという観点により嫌われているものであり、その点において上記PBOCSTレジスト材料はプロセス上好ましいものではない。
【0007】
一方、上野らはポリ(p−スチレンオキシテトラヒドロピラニル)を主成分とし、酸発生剤を加えた遠紫外線ポジ型レジスト材料を発表しており(参考;第36回応用物理学会関連連合講演会、1989年、1p−k−7)、この化学増幅レジスト材料は高感度で高解像性であることが知られているが、微細な高アスペクト比のパターンを高精度に形成することはパターンの機械的強度から困難であった。
【0008】
このように、ノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレンをベースポリマーとし、遠紫外線、電子線及びX線に感度を有する化学増幅型レジスト材料は、従来より数多く発表されているが、いずれも単層であり、未だ基板段差の問題、基板からの光反射による定在波の問題、高アスペクト比のパターン形成が困難であるという問題があり、実用に供することが難しいというのが現状である。
【0009】
ところで、段差基板上に高アスペクト比のパターン形成をするには2層レジスト法が一般に優れている。2層レジスト法においてポリシロキサンを用いたアルカリ現像を行うためには水酸基やカルボキシル基などの親水性基を有するポリシロキサンが必要になるが、このポリシロキサン中にはケイ素原子に直接結合した水酸基(シラノール基)が残存し、このシラノール基は酸により架橋反応を生ずるため、化学増幅ポジ型レジスト材料への適用は困難であった。
【0010】
また、安定なアルカリ可溶性ポリシロキサンとしてはポリヒドロキシベンジルシルセスキオキサンがあり、その水酸基の一部をtert−BOC基で保護した材料は、酸発生剤との組み合わせで化学増幅型のシリコーン系ポジ型レジスト材料になることが知られており(SPIE Vol.1925(1993)377)、アルカリ可溶性ポリシロキサンをベースポリマーとして用いる例、及びアルカリ可溶性ポリシロキサンの合成方法は、特開平6−118651号、特開平6−184311号、特公平5−58446号公報に挙げられている。
【0011】
即ち、ベースポリマーとなる主骨格のポリシロキサンの合成は、フェノール性水酸基を保護したクロロシランの溶液を水中へ添加するという一般的な加水分解方法によって行うことができる。上記公報には、ポリシロキサンの合成方法として、フェノール性水酸基の保護にメチル基を用い、例えばp−メトキシベンジルジクロロシランの加水分解を行ってp−メトキシベンジルシルセスキオキサンを得た後に、メチル基を脱離させる方法が示されている。
【0012】
更に詳述すると、特公平5−58446号公報に記載された方法は、クロロシランを加水分解した後に、アルカリ存在下、縮合を行うものであるが、この場合、活性なシラノール基がポリシロキサン中に多く残存するため、反応終了後も、更に縮合反応が進み、合成における再現性を得ることができない。
【0013】
特開平6−184311号公報では、フェノール性水酸基の保護を行ったメチル基の脱離を行う方法としてメチル基を三臭化ホウ素と反応させた後、加水分解する方法が採用されているが、この方法は、試薬である三臭化ホウ素の取扱いが困難であること及び反応温度を極低温にしなければならないこと等により、反応操作が複雑である。また、この方法により得られたポリシロキサンは、本発明者らの検討によると、レジスト材料として調製したとき、そのレジスト溶液を保存中にパーティクルが多量に発生し、レジスト材料としての使用が不可能となり、保存安定性が極めて悪いという問題点を有している。
【0014】
特開平6−118651号公報には、ポリシロキサンの縮合反応は、中性条件下、減圧、熱縮合を行うことが適しており、これにより再現性良く得られること及びフェノール性水酸基を保護したメチル基をトリメチルシリルアイオダイドと反応させた後、加水分解を行うことにより、容易にメチル基を脱離することができる旨記載されている。具体的には、例えばフェノール性水酸基をメチル基で保護したp−メトキシベンジルクロロシランの加水分解を行い、得られたポリシロキサンを減圧下、熱縮合を行った後、トリメチルシリルアイオダイドと反応させ、次いで加水分解することによりアルカリ可溶性ポリシロキサンが得られる。しかし、この方法により得られたポリシロキサンであっても、レジスト材料として調製したときに十分な保存安定性を得ることができない。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高感度、高解像性であり、プロセス適用性に優れるのみならず、保存安定性にも優れ、特に2層レジスト材料として好適に使用される化学増幅型シリコーン系ポジ型レジスト材料を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは上記目的を達成するため種々検討を行った結果、下記組成式(1)で示されるポリシロキサン(A)をレジスト材料のベースポリマーとして使用することにより保存安定性に優れたレジスト材料が得られること、特に照射される放射線の作用により分解して酸を発生する酸発生剤(B)として下記一般式(6)で示されるオニウム塩を使用することにより、アルカリ水溶液で現像可能で、高感度、高解像性であり、プロセス適用性に優れるのみならず保存安定性にも優れ、特に2層レジスト法の上層材料として好適に使用される化学増幅型シリコーン系ポジ型レジスト材料が得られることを見い出した。
【0017】
【化5】
Figure 0003636242
(R)mJM …(6)
(但し、式中Rは同一又は異種の芳香族基又は置換芳香族基を示し、Jはスルフォニウム又はヨードニウムを示す。Mはトルエンスルフォネート基又はトリフルオロメタンスルフォネート基を示す。mは2又は3である。)
【0018】
即ち、上述したように、従来の合成方法により得られたアルカリ可溶性ポリシロキサンをレジスト材料のベースポリマーとして用いる場合、そのレジスト溶液の保存中にパーティクルが多量に発生し、レジスト材料として使用できなくなるという問題がある。そこで、本発明者らは、その原因を究明したところ、上述の方法で得られたポリシロキサン中には、シラノール基が多く残存することが、29Si−NMRの分析によって判明し、この残存するシラノール基が、レジスト材料の保存中に縮合し、ゲルを生じてパーティクルとして発現することを見い出した。例えば、上記特開平6−118651号公報に記載された合成方法により得られたアルカリ可溶性ポリシロキサンは、レジスト材料として調製したときの保存安定性は他の合成方法によるものと比較すれば比較的良好であったが、そのポリシロキサン中には、シラノール基が残存することが29Si−NMRにより確認された。即ち、ポリシロキサン中の残存シラノール基はトリメチルシリルアイオダイドによってトリメチルシリル化されるが、その反応は十分ではなく、アルカリ可溶性ポリシロキサン中に未だかなりのシラノール基が残存するため、レジスト材料としての保存安定性が十分ではない。
【0019】
そこで、本発明者らは、アルカリ可溶性ポリシロキサンをレジスト材料として調製したときの保存安定性を劣化させるポリシロキサン末端の残存シラノール基を低減する合成方法を種々検討すると共に、保存安定性に優れたアルカリ可溶性ポリシロキサンについて更に鋭意検討した結果、残存シラノール基が上記従来法に比べて顕著に低減されたアルカリ可溶性ポリシロキサンが得られることを見い出した。
【0020】
即ち、まず、例えばp−メトキシベンジルトリクロロシラン等の加水分解を行い、その加水分解縮合物を更に熱縮合して得られる下記一般式(2)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンにトリメチルシリルアイオダイドを反応させることにより、ポリシロキサン主鎖の末端シラノール基をトリメチルシリル基で保護すると共に、フェノール性水酸基の保護を行ったメチル基もトリメチルシリル基へ置換させた一般式(3)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンを得た後、加水分解してフェノール性水酸基を生じさせることにより得られる下記一般式(4)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンを下記反応式に示すようにヘキサメチルジシラザン又はトリメチルシリルクロライドにて再トリメチルシリル化して、残存シラノール基及び加水分解により生じたフェノール性水酸基の一部をトリメチルシリル基に置換することにより、下記一般式(5a)及び(5b)で示される繰り返し単位からなり、残存シラノール基が上記従来法により得られるアルカリ可溶性ポリシロキサンと比べて顕著に低減されたアルカリ可溶性ポリシロキサンが得られることを見い出した。
【0021】
【化6】
Figure 0003636242
(式中、Me,a,nは上記と同様の意味を示す。)
【0022】
ここで、上記に挙げた可溶性ポリシロキサンの合成方法において、
▲1▼フェノール性水酸基の保護を行ったメチル基を三臭化ホウ素と反応させた後、加水分解をして得たアルカリ可溶性ポリシロキサン(特開平6−184311号公報)
▲2▼フェノール性水酸基の保護を行ったメチル基をトリメチルシリルアイオダイドと反応させた後、加水分解をして得たアルカリ可溶性ポリシロキサン(特開平6−118651号公報)
▲3▼p−メトキシベンジルトリクロロシラン等を加水分解し、熱縮合を行った後、残存シラノール基を保護する目的でトリメチルシリル化すると共にフェノール性水酸基の保護を行ったメチル基をトリメチルシリル化するためにトリメチルシリルアイオダイドと反応させ、次いで加水分解した後、残存シラノール基及びフェノール性水酸基の一部をヘキサメチルジシラザン又はMe3SiClで再トリメチルシリル化して得たアルカリ可溶性ポリシロキサン(上記反応式)
29Si−NMRにより分析したところ、残存シラノール基は▲3▼が最も少なく、次に▲2▼となり、▲1▼が最も多いことが判明した。また、上記3種のアルカリ可溶性ポリシロキサンをtert−ブトキシカルボニル基等の酸不安定基で保護し、レジスト材料のベースポリマーとして用いた場合、▲3▼のポリマーが最も保存安定性に優れていることが判明した。つまり、本発明に係る上記方法によって得られる上記組成式(1)で示されるポリシロキサン(A)をレジスト材料のベースポリマーとして用いることにより、その保存安定性が非常に優れたものとなることを知見し、本発明をなすに至った。
【0023】
従って、本発明は、ポリシロキサンの末端シラノール基がトリメチルシリル基で保護された上記組成式(1)で示されるポリシロキサン(A)と酸発生剤(B)とを含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料、特にポリシロキサン(A)の重量平均分子量が5,000〜50,000であり、上記一般式(2)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンのシラノール基をトリメチルシリルアイオダイドにてトリメチルシリル化すると共に、メトキシ基のメチル基をトリメチルシリル基に置換し、次いで加水分解してフェノール性水酸基を生じさせた後、ヘキサメチルジシラザン又はトリメチルシリルクロライドにてこのフェノール性水酸基の水素原子の一部をトリメチルシリル化すると共に、残存するシラノール基の水素原子をトリメチルシリル化して得られる上記一般式(5a)及び(5b)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンの残存するフェノール性水酸基の一部を更にトリメチルシリル基以外の酸不安定基で置換する
【化13】
Figure 0003636242
(但し、Qはトリメチルシリル基以外の酸不安定基を示す)ように置換する]ことによって得られるものであり、酸発生剤(B)が上記一般式(6)で示されるオニウム塩であり、必要に応じて溶解阻害剤(C)を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料を提供する。
【0024】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、アルカリ可溶性樹脂としてポリシロキサン(A)を含有し、このポリシロキサン(A)と酸発生剤(B)とからなる2成分系レジスト材料として使用できるばかりでなく、必要に応じて溶解阻害剤(C)を添加した3成分系レジスト材料としても使用できるものである。ここで、本発明のポリシロキサン(A)は下記組成式(1)で示されるもので、末端シラノール基がトリメチルシリル基で封鎖されているものである。
【0025】
【化7】
Figure 0003636242
【0026】
ここで、Qで示される酸不安定基としてはトリメチルシリル基以外の酸不安定基で、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等が挙げられ、特にtert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
【0027】
aは0.001≦a≦0.05であり、このOSiMe3はポリシロキサン(A)の末端を封鎖する。
【0028】
【化8】
Figure 0003636242
【0029】
即ち、ポリシロキサン(A)は、下記式(1’)で表すことができる。
【0030】
【化9】
Figure 0003636242
この式(1’)においてp,q,rはp≧0,q>0,r>0であるが、q/(p+q+r)は0.05〜0.5、特に0.1〜0.3が好ましい。上記ポリシロキサン(A)はKrFエキシマレーザーに対する吸収が小さいものであるが、q/(p+q+r)が0.05未満の場合、溶解阻害効果が小さいため、阻害剤を添加することが必要不可欠となる。一方、q/(p+q+r)が0.5を超える場合、アルカリ水溶液への溶解性が極度に低下するため、阻害剤は不要となるが、一般に使用されている現像液では感度が極度に低下する場合がある。
【0031】
また、上記ポリシロキサン(A)におけるフェノール性水酸基へのトリメチルシリル基の導入比を示すrは、r/(p+q+r)が0.05〜0.5、特に0.1〜0.2であることが好ましい。トリメチルシリル基の導入量は、下記一般式(4)の繰り返し単位からなるポリシロキサンに対するトリメチルシリル化剤の反応量により調整することができるが、r/(p+q+r)が0.05未満の場合、残存するシラノール基の十分な保護を行うことができず、調製したレジスト材料の保存安定性を良くすることができない場合があり、r/(p+q+r)が0.5を超える場合、レジスト材料の感度を低下させる場合がある。
【0032】
上記ポリシロキサン(A)の重量平均分子量は、5,000〜50,000、特に5,000〜10,000であることが好ましい。5,000未満では所望のプラズマ耐性が得られなかったりアルカリ水溶液に対する溶解阻害効果が低い場合があり、50,000を超えると汎用なレジスト溶剤に溶け難くなる場合がある。
【0033】
上記ポリシロキサン(A)は、以下の合成方法により得ることができる。
まず、p−メトキシベンジルシロキサン等を加水分解し、その加水分解縮合物を更に熱縮合して得られる下記一般式(2)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンを、その主鎖末端のシラノール基保護及びフェノール性水酸基の保護を行ったメチル基のトリメチルシリル化のためにトリシリルアイオダイドと反応させて下記一般式(3)で示される繰り返し単位からなるオルガノポリシロキサンを製造する。このトリメチルシリル化反応は、上記ポリシロキサンをアセトニトリル等の有機溶剤に溶解し、この有機溶剤中にトリメチルシリルアイオダイドを滴下し、反応温度を20〜30℃とし、反応時間を8〜10時間とすることが好ましい。
【0034】
次いで、加水分解を行い、フェノール性水酸基を保護しているトリメチルシリル基を脱離し、フェノール性水酸基を生じさせ、下記一般式(4)で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンを得る。ここで、加水分解条件は脱シリル化の公知の条件を採用することができ、例えば水冷下、発熱に注意しながら30〜45℃の温度で水を添加する。
【0035】
更に、下記一般式(4)の繰り返し単位からなるポリシロキサンを再トリメチルシリル化して下記一般式(5a)及び(5b)の繰り返し単位からなるポリシロキサンを得る。この場合、トリメチルシリル化は下記一般式(4)の繰り返し単位からなるポリシロキサンをトルエンなどの有機溶剤に溶解し、シリル化剤としてヘキサメチルジシラザンを用いることが好ましく、反応温度は0℃〜室温、反応時間は2〜5時間とすることが好ましい。この方法では、トリメチルシリル化した後に、副生するアンモニアが反応系に残存しないことから、反応後、反応溶媒を減圧下ストリップすることで精製を行うことができ、容易に目的のトリメチルシリル化が行える利点がある。なお、有機溶剤に溶解した後、塩基存在下、トリメチルシリルクロライドと反応させることによってトリメチルシリル化することも可能であるが、生じる塩酸塩の除去が困難である場合があり、特に、塩酸塩を水中に溶解分離する方法は、トリメチルシリル基の加水分解が生じ、再度、ポリマー中にシラノール基が生成する場合があるので、上述したヘキサメチルジシラザンを用いる方法を採用することが推奨される。この再トリメチルシリル化によるフェノール性水酸基へのトリメチルシリル基の導入量は、反応条件の選定、及びヘキサメチルジシラザンなどのシリル化剤の仕込量によってコントロールすることができる。
【0036】
更に、上記ポリシロキサンのフェノール性水酸基を酸不安定基で置換するには以下の方法により行うことができる。
【0037】
例えば、tert−ブトキシカルボニル化するには、ピリジン溶液中で二炭酸ジ−tert−ブチルと反応させることにより簡単に行うことができ、また、tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ化するにはtert−ブチルブロモ酢酸エステルと塩基存在下反応させ、tert−ブトキシ化するには無水トリフルオロ酢酸存在下、tert−ブチルアルコールと反応させることにより行う。
【0038】
【化10】
Figure 0003636242
(式中、R,Me,Q,a,p,q,r,nは上記と同様の意味を示す。)
【0039】
なお、この反応式において、上記式(2)のポリシロキサンとトリメチルシリルアイオダイドとの反応においては、式(2)のポリシロキサンの末端シラノール基の全部がトリメチルシリル基で保護されず、また、それに加えて式(4)のポリシロキサンの加水分解において、非常にわずかではあるが、ポリシロキサン鎖末端のトリメチルシリル基が脱保護されて、下記式(4a)の単位からなる化合物が化合物(4)中に残存する。
【0040】
【化11】
Figure 0003636242
(式中、a,nは上記と同様の意味を示す。)
【0041】
上記反応式によれば、ヘキサメチルジシラザン又はトリメチルシリルクロライドによりトリメチルシリル化でかかる残存シラノール基をトリメチルシリル基で確実に保護するので、式(5a)及び(5b)の単位からなる化合物中には残存シラノール基を実質的に含まず、従ってこれから得られる式(1)のポリシロキサン(A)も残存シラノール基を実質的に含まないものである。
【0042】
ここで、上記式(4a)の単位からなるポリマーの残存シラノール基量の定量は非常に困難であると共に、残存シラノール基のみを定量的にトリメチルシリル基によって保護することは困難である。
【0043】
従って、残存シラノール基を十分保護するためには、過剰のトリメチルシリル化剤により反応を行う必要があり、そのためフェノール性水酸基の一部も必然的にトリメチルシリル化される。ところで、フェノール性水酸基を上記式(1)のようにトリメチルシリル基で置換した場合、これをベースポリマーとするレジスト材料は極めて高い保存安定性を示すことが認められた。そして、このようにポリシロキサンのフェノール性水酸基をトリメチルシリル基で保護したものをレジスト材料のベースポリマーとした場合、このトリメチルシリル基はレジスト膜中ではtert−ブトキシカルボニル基等の酸不安定基と同様に露光によって酸発生剤から生じる酸によって脱保護されるので、レジスト膜の解像性に問題が生じることもない。ここで、仮にフェノール性水酸基をトリメチルシリル基で保護しないで、例えば酸不安定基等のみで保護した場合、トリメチルシリル基との組み合わせによる場合と同様な保存安定性効果を発揮させるためには、保護するフェノール性水酸基の割合を大きくする必要があり、レジスト材料として調製したときに感度低下、解像力低下が生じてしまう。また、トリメチルシリル基に代えてテトラヒドロピラニル基を用いた場合、レジスト露光部での脱保護基が困難なため、レジスト材料の感度、解像力の低下が生じる。一方、フェノール性水酸基の一部をトリメチルシリル基のみで保護した場合、そのレジスト材料の解像力を向上させることは困難であり、酸不安定基の導入も必要であった。従って、製造が非常に容易で、レジスト材料としての保存安定性が極めて高く、その感度、解像力に優れるベースポリマーとしては、上記式(1)で示されるフェノール性水酸基の一部をトリメチルシリル基及び酸不安定基で保護した可溶性ポリシロキサンが有効であることを見い出したものである。
【0044】
本発明のレジスト材料におけるポリシロキサン(A)の配合量は、3成分系、2成分系のいずれの場合であっても、溶剤を除く材料全体量に対して55%以上(重量%、以下同様)、特に80%以上が好適である。配合量が55%未満では、レジスト溶液としたときの塗布性が悪かったり、レジスト膜の強度が悪かったりする場合がある。
【0045】
本発明のレジスト材料は、酸発生剤(B)として下記一般式(6)で示されるオニウム塩を使用すると好適である。
(R)mJM …(6)
(但し、式中Rは同一又は異種の芳香族基又は置換芳香族基を示し、Jはスルフォニウム又はヨードニウムを示す。Mはトルエンスルフォネート基又はトリフルオロメタンスルフォネート基を示す。mは2又は3である。)
【0046】
即ち、遠紫外線、電子線、X線等の照射される高エネルギー線に対し分解して酸を発生する酸発生剤として、オキシムスルホン酸誘導体、2,6−ジニトロベンジルスルホン酸誘導体、ナフトキノン−4−スルホン酸誘導体、2,4−ビストリクロロメチル−6−アリル−1,3,5−トリアジン誘導体、α,α’−ビスアリルスルホニルジアゾメタン等が挙げられる。しかしながら、本発明の上記ポリシロキサン(A)をベースポリマーとする場合、これらの酸発生剤(B)では高感度なレジスト材料を得ることができない場合があり、上記一般式(6)で表されるオニウム塩が好ましく用いられる。
【0047】
上記式(6)において、Rとして具体的には、tert−ブトキシフェニル基、tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル基、tert−ブトキシカルボニルメトキシフェニル基、テトラヒドロピラニルオキシフェニル基、トリメチルシロキシフェニル基等が挙げられ、これらの中でもtert−ブトキシフェニル基、tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル基又はtert−ブトキシカルボニルメトキシフェニル基が好適であり、本発明におけるオニウム塩としては上記式(6)のRの少なくとも一つがこれらの基であることが望ましい。
【0048】
ここで、上記一般式(6)で表されるオニウム塩の例として、一般的には(C652+-3SCF3、(C653+-3SCF3、(C65SC64)(C652+-3SCF3、(C652+-3S(C64)CH3、(tert−ブチル−C642+-3SCF3、(C65)(MeOC65)I+-3S(C64)CH3等が知られている。しかしながら、これらの酸発生剤は、レジスト溶液として塗布する際の好適な溶媒として汎用されているエチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、エトキシ−2−プロパノール等に対して溶解性が低いという欠点を有する。このため、レジスト材料中に適量を混合することが困難である場合がある。また、溶媒に対する溶解性が高いものであっても本発明のポリシロキサン(A)との相溶性が悪いため、良好なレジスト膜を形成することが困難であったり、光照射後の熱処理を行うまでの間に経時的な感度変化やパターン形状の変化が生じやすいという欠点を有する酸発生剤もある。特にポリシロキサン(A)との相溶性が悪い酸発生剤の場合、レジスト膜中での分布を生じ、パターン表面においてオーバーハングが観察されることがある。化学増幅レジスト材料においては、レジスト膜表面において酸が失活するあるいは表面に酸発生剤がなくなることにより、このような現象を良く生じる。
【0049】
そこで、上記一般式(6)においてRの少なくとも一つがtert−ブトキシフェニル基等で置換された上記オニウム塩を使用することにより、汎用されている上記レジスト溶剤に容易に溶解し、且つポリシロキサン(A)との相溶性が良いのみならず、露光後の溶解性が優れるという特徴を有し、レジストパターンが基板に対し垂直に形成できる。つまり、上記オニウム塩は、そのtert−ブトキシフェニル基等により、露光及び熱処理時にフェノール性水酸基又はカルボン酸を生じるため、露光後の溶解性が改善される。そのため、一般的にはオニウム塩は溶解阻害効果を示すが、これらのオニウム塩は露光後溶解促進効果を有する。従って、露光前後の溶解速度差を大きくすることができ、好適に使用される。なお、酸不安定基で置換されたRの数が多いほどそのオニウム塩の溶解性は優れる傾向にある。
【0050】
上記一般式(6)のRの少なくとも一つが酸不安定基で置換されたオニウム塩としては下記構造式で示されるオニウム塩を例示することができる。なお、下記構造式において、t−BuOはtert−ブトキシ基、THPOはテトラヒドロピラニルオキシフェニル基、Tfはトリフルオロメタンスルフォネート基、Tsはトルエンスルフォネート基を示す。
【0051】
【化12】
Figure 0003636242
【0052】
本発明のレジスト材料における上記オニウム塩の配合量は、溶剤を除く材料全体量に対して0.5〜15%、特に1〜10%が好適である。0.5%未満であってもポジ型のレジスト特性を示すが、感度が低くなる。酸発生剤の含量が増加すると、レジスト感度は高感度化する傾向を示し、コントラスト(γ)は向上するが、15%を超えるとポジ型のレジスト特性を示すものの、それ以上の含量の増加による更なる高感度化が期待できないこと、オニウム塩は高価な試薬であること、レジスト材料中の低分子成分の増加はレジスト膜の機械的強度を低下させること、また酸素プラズマ耐性も低下すること等により、オニウム塩(B)の配合量は15%以下が好適である。
【0053】
本発明のレジスト材料は、溶解阻害剤(C)を配合した3成分系のものとしても好適であり、この溶解阻害剤(C)としては、分子内に一つ以上の酸不安定基を有するものであれば、低分子量の化合物や高分子化合物のいずれであっても良く、公知のポジ型レジスト用溶解阻害剤を使用することができる。ここで、酸不安定基としては上記一般式(6)のRと同様のものが挙げられる。このような溶解阻害剤(C)として、例えばビスフェノールAの水酸基をtert−BOC化した化合物や、フロログルシンやテトラヒドロキシベンゾフェノン等をtert−BOC化した化合物等を挙げることができる。
【0054】
本発明のレジスト材料における上記溶解阻害剤(C)の配合量は、溶剤を除く材料全体量に対して40%以下、特に10〜30%とすることが好ましい。40%を超えるとレジスト膜の酸素プラズマ耐性が著しく低下するため、2層レジスト法の材料として使用できなくなる。
【0055】
本発明のレジスト材料は、上記ポリシロキサン(A)及び酸発生剤(B)、もしくは(A)、(B)及び溶解阻害剤(C)の各成分を有機溶剤に溶解して使用するものである。このときの有機溶剤としては、それぞれの成分が十分に溶解され、且つレジスト膜が均一に広がるものが好ましく、具体的には酢酸ブチル、キシレン、アセトン、セロソルブアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等を挙げることができ、これらの中でも特に乳酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが好適に使用される。また、これらの有機溶剤は、その1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、この有機溶剤の配合量は、(A)、(B)、もしくは(A)〜(C)成分の総重量の数倍量とすることが好適である。
【0056】
なお、本発明のレジスト材料には、本発明の効果を妨げない範囲で、適宜その他の添加剤を添加することもできる。
【0057】
本発明のレジスト材料を用いてパターン形成する方法としては、通常の方法を採用することができ、例えば以下のようにして行うことができる。
【0058】
まず、シリコン基板上に下層レジスト膜として厚い有機ポリマー層を形成する。ここで、下層レジスト膜の材料としてはノボラック樹脂系ポジ型フォトレジスト材料を使用でき、これを基板上に塗布したのち、200℃で1時間ハードベークする。これにより、本発明のレジスト材料とのインターミキシングを防ぐことができる。下層レジスト膜を形成した後、本発明のレジスト材料の溶液をその上にスピン塗布し、プリベークを行い、高エネルギー線を照射する。この際、酸発生剤(B)が分解して酸を生成する。PEB(Post Exposure Bake)を行うことにより、酸を触媒としてtert−BOC基等の酸不安定基が分解し、溶解阻害効果が消失する。その後、アルカリ水溶液で現像し、水でリンスすることによりポジ型レジストパターンを下層レジスト膜上に形成することができる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例の説明に先立ち、ベースポリマーとして使用するポリシロキサンの合成例を示す。
【0060】
[合成例1]
p−メトキシベンジルシルセスキオキサンの合成
反応器に600mlの水を仕込み30℃で撹拌しながらp−メトキシベンジルトリクロロシラン283.5g(1モル)及びトルエン300mlの混合液を2時間かけて滴下し、加水分解を行った。その後、分液操作により水層を除去し、有機層をエバポレータにより溶媒留去した。その濃縮液を減圧下200℃で2時間加熱し、重合反応を行った。得られた重合物にアセトニトリル200gを加えて溶解し、p−メトキシベンジルシルセスキオキサンの溶液を得た。
【0061】
[合成例2]
p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサンの合成−1
合成例1で得られた溶液中に60℃以下でトリメチルシリルアイオダイド240gを滴下し、60℃で10時間反応させた。反応終了後、水200gを加えて加水分解を行い、次いでデカントによりポリマー層を得た。そのポリマー層を真空乾燥することにより、p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン165gを得た。このポリマーの分子量をGPC(ゲルパーミエィションクロマトグラフィー)を用いて測定したところ、ポリスチレン換算でMw=3,000であった。また、29Si−NMRの分析において、−62ppmにSiOH基に起因するピークが観測された。
【0062】
[合成例3](比較例)
p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサンの合成−2
合成例1で得られた重合物を、アセトニトリルに代えて塩化メチレン200gを加えて溶解した。この溶液を−80℃まで冷却し、三臭化ホウ素250g(1モル)の塩化メチレン600ml溶液を徐々に撹拌しながら10時間かけて滴下した。滴下終了後、−80℃で2時間熟成を行った後、徐々に室温へ戻し、更に熟成を1昼夜行った。反応終了後、水1リットルを撹拌しながら添加し、有機層と分離した。有機層の水洗を洗浄水が中性になるまで行い、溶媒を除去した後、メタノールに溶解し、次いで水中へ添加して白色の沈澱物を得た。この沈澱物を真空乾燥することにより、p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン134gを得た。このポリマーの分子量をGPC(ゲルパーミエィションクロマトグラフィー)を用いて測定したところ、ポリスチレン換算でMw=2,900であった。また、29Si−NMRの分析において、−62ppmにSiOH基に起因するピークが観測され、このSiOH基のピークを−70ppmのシルセスキオキサンのピークの大きさと比較したところ、合成例2で得られたp−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサンより多く存在することが判明した。
【0063】
[合成例4]
p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサンのトリメチルシリル化
合成例2で得られたp−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン159.2gをトルエン400mlに溶解し、ヘキサメチルジシラザン22.3g(0.17モル)を添加し、3時間還流した。その後、トルエンを減圧下ストリップして除去し、残査を真空乾燥したところ、p−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサンのトリメチルシリル化したポリマー22.4gが得られた。1H−NMRの分析において、6〜7ppmのフェニル基のピークと0ppmのトリメチルシリル基のピークとにより、トリメチルシリル基の導入率を求めたところ、約10%であった。また、29Si−NMRの分析では−62ppmのSiOH基に起因するピークは観測されず、−70ppmのシルセスキオキサンのピークのみ観測された。
【0064】
[合成例5]
合成例4で得られたポリマーのtert−ブトキシカルボニル(tert−BOC)化
合成例4で得られたポリマー25gをピリジン250gに溶解し、45℃で撹拌しながら二炭酸ジ−tert−ブチルを6.85g(0.031モル、水酸基に対して約20モル%に相当)を添加した。添加と同時にガスが発生したが、N2気流中で1.5時間反応させた。反応液のピリジンをストリップした後、メタノール100mlに溶解して水5リットル中に滴下し、白色の沈澱物を得た。この沈澱物の水洗を5回繰り返した後、濾過し、40℃以下で真空乾燥したところ、tert−ブトキシカルボニル化されたp−ヒドロキシベンジルシルセスキオキサン25gが得られた。1H−NMRの分析において、6〜7ppmのフェニル基のピークと1〜2ppmのtert−ブチル基及びメチレンのピークとにより、tert−BOC化率を求めたところ、19.6%であった。
【0065】
[合成例6](比較例)
合成例2で得られたポリマーのtert−ブトキシカルボニル(tert−BOC)化
合成例5と同様の方法で、合成例2で得られたポリマーのtert−ブトキシカルボニル化を行った。
【0066】
[合成例7](比較例)
合成例3で得られたポリマーのtert−ブトキシカルボニル(tert−BOC)化
合成例5と同様の方法で、合成例3で得られたポリマーのtert−ブトキシカルボニル化を行った。
【0067】
Figure 0003636242
からなるレジスト溶液を調製し、0.1μmのフィルターを用いて濾過を行った。
【0068】
次に、このレジスト溶液をシリコン基板に2,000rpmでスピン塗布し、ホットプレート上にて85℃で1分間プリベークした。このとき、膜厚は0.4μmであった。KrFエキシマレーザー又は加速電圧30kVの電子線で描画したのち、85℃で2分間PEBを行った。2.4%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液で1分間現像を行い、水で30秒間リンスした。
【0069】
得られたレジスト膜はポジ型の特性を示し、D0感度は4.5μC/cm2であった。電子線に代えて、遠紫外線であるKrFエキシマレーザー(波長248nm)で評価した場合のEth感度は10mJ/cm2であった。ここで用いたベース樹脂は、現像液に対して35nm/sの溶解速度を示した。本レジスト膜は未露光部は約1.5nm/sの溶解速度を有し、露光部はPEB後、40nm/sの溶解速度を有した。
【0070】
KrFエキシマレーザー露光では、0.25μmライン&スペースパターンやホールパターンが解像し、基板に対し垂直な側壁を持つパターンが形成できた。また、電子線描画では0.1μmが解像した。
【0071】
また、上記レジスト溶液の保存安定性を調べたところ、レジスト溶液として調製し、濾過した直後の溶液中の0.3μm以上のパーティクル数は、10個/mlであったのに対し、室温下、1カ月、2カ月保存した後の各溶液中のパーティクル数は、それぞれ20個/ml、24個/mlであり、レジスト溶液中のパーティクル数は、ほとんど変化しないことが認められた。また、保存後のレジスト溶液を使用した場合のレジスト膜の感度、解像性等のレジスト特性も変わらなかった。
【0072】
[比較例1]
実施例1において、ポリマーを合成例6で得られたポリマーに代えた以外は実施例1と同様にしてレジスト溶液を調製した。
【0073】
レジスト溶液として調製した直後は、実施例1のレジスト膜と同様のレジスト特性を示したが、室温下で1カ月保存した後は、溶液中の0.3μm以上のパーティクル数が3,000個/mlを超えた。このレジスト溶液によるレジスト膜のKrFエキシマレーザーによる露光においては、Eth感度は13mJ/cm2と低下し、0.35μmのパターンまでしか解像できなかった。更に、2カ月保存したものは、パーティクルの測定が不可能なくらいにパーティクル数が増大した。
【0074】
[比較例2]
実施例1において、ポリマーを合成例7で得られたポリマーに代えた以外は実施例1と同様にしてレジスト溶液を調製した。
【0075】
レジスト溶液として調製した直後は、実施例1のレジスト膜と同様のレジスト特性を示したが、室温下で1カ月保存した時点で、パーティクルの測定が不可能なくらいにパーティクル数が増大した。
【0076】
[実施例2]
シリコンウエハーに下層レジスト膜としてOFPR800(東京応化社製)を2μmの厚さに塗布し、200℃で1時間加熱し、硬化させた。この下層レジスト膜の上に実施例1のレジスト溶液を上記と同様の方法で約0.4μm厚さで塗布し、プリベークした。実施例1と同様に電子線又はKrFエキシマレーザーで露光および現像し、パターンを下層レジスト膜上に形成した。
【0077】
その後、平行平板型スパッタエッチング装置で酸素ガスをエッチァントガスとしてエッチングを行った。下層レジスト膜のエッチング速度が150nm/minであるのに対し実施例1の組成のレジスト膜は2.5nm/min以下であった。15分間エッチングすることにより、実施例1のレジスト膜に覆われていない部分の下層レジスト膜は完全に消失し、2μm以上の厚さの2層レジストパターンが形成された。KrFエキシマレーザー露光では0.25μm、電子線露光では0.1μmのパターンが高アスペクト比で形成できた。このエッチング条件を以下に示す。
ガス流量:50SCCM, ガス圧:1.3Pa
rfパワー:50W, dcバイアス:450V
【0078】
【発明の効果】
本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、高エネルギー線に感応し、感度、解像性、PEBディレー安定性、酸素プラズマエッチング耐性に優れている。このため、下層レジスト膜上に本発明のレジスト材料を塗布した2層レジスト膜は微細なパターンを高アスペクト比で形成できる特徴を有する。従って、特に電子線や遠紫外線による微細加工に有用である。また、本発明の化学増幅ポジ型レジスト材料は、特にKrFエキシマレーザーの露光波長での吸収が小さいため、微細でしかも基板に対し垂直なレジストパターンを容易に形成できる特徴がある。

Claims (5)

  1. ポリシロキサンの末端シラノール基がトリメチルシリル基で保護された下記組成式(1)で示されるポリシロキサン(A)と酸発生剤(B)とを含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
    R(OSiMe3aSiO(3-a)/2 …(1)
    Figure 0003636242
  2. 上記ポリシロキサン(A)の重量平均分子量が5,000〜50,000である請求項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
  3. 上記ポリシロキサン(A)が、下記一般式(2)
    Figure 0003636242
    (式中、上記組成式(1)で定義したMe,a,nと同様の意味を示す。)
    で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンのシラノール基をトリメチルシリルアイオダイドにてトリメチルシリル化すると共に、メトキシ基のメチル基をトリメチルシリル基に置換し、次いで加水分解してフェノール性水酸基を生じさせた後、ヘキサメチルジシラザン又はトリメチルシリルクロライドにてこのフェノール性水酸基の水素原子の一部をトリメチルシリル化すると共に、残存するシラノール基の水素原子をトリメチルシリル化して得られる下記一般式(5a)及び(5b)
    Figure 0003636242
    (式中、Me,a,nは上記と同様の意味を示す。)
    で示される繰り返し単位からなるポリシロキサンの残存するフェノール性水酸基の一部又は全部を更にトリメチルシリル基以外の酸不安定基で、
    Figure 0003636242
    (但し、Qはトリメチルシリル基以外の酸不安定基を示す)ように置換することによって得られるものである請求項1又は2記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
  4. 酸発生剤(B)が下記一般式(6)で示されるオニウム塩である請求項1乃至のいずれか1項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
    (R)mJM …(6)
    (但し、式中Rは同一又は異種の芳香族基又は置換芳香族基を示し、Jはスルフォニウム又はヨードニウムを示す。Mはトルエンスルフォネート基又はトリフルオロメタンスルフォネート基を示す。mは2又は3である。)
  5. 溶解阻害剤(C)を含有する請求項1乃至のいずれか1項記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
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