JP3636150B2 - 走路上反射物の物体種類判定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両前方に存在する物体が道路構造物であるか、或いは走行物体であるかを判定する走路上反射物の物体種類判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャニングレーザレーダを用いて、自車両の前方に存在する物体を検出し、更に、この物体が車両であるか、或いは道路構造物であるか区別し、且つ、密集している道路構造物反射点と車両との誤判定を防止するようにした方法として、従来より、特開平11−45396号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
この方法は、スキャニングレーザレーダで検出された物体の相対速度の変化を求め、この相対速度の変化が所定の値より大きい場合には、物体が密集していることにより物体の動きの判定ができず相対速度が正しく求められないものと判定する。そして、このような速度変化の大きい物体が観測されたものについては、これが路側に設置されるセンターポールやキャッツアイ等の道路構造物による反射点密集部分であると判定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来例の方法では、相対速度変化のみを用いてキャッツアイ等の密集した反射物群の物体種類の判定を行っているため、速度を頻繁に変更する他車両を、道路構造物として誤判定する可能性がある。また、反射点を側面に多く備えつけたトラックなどは、キャッツアイ同様反射点が道路に沿う形で密集して検出されることがあり、このようなトラックを道路構造物として誤判定してしまうという問題が生じる。
【0005】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、誤判定の発生を低減することのできる走路上反射物の物体種類判定方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、車両に搭載され、該車両前方をスキャニングして前方に存在する物体までの距離、及び方向を計測する計測手段を用いて、前方物体の種類を判定する走路上反射物の物体種類判定方法であって、前記スキャニングにより計測された各計測点のうち、互いに近接して存在する測定点の集団を時系列的にグルーピングする第1の工程と、前記グルーピングされた各測定点の集団を物体と見なし、当該物体と自車両との間の時系列的な距離データに基づき、自車両と前記各物体との相対速度を求める第2の工程と、前記第2の工程により検出された各物体に対し、当該物体が過去に判定された種類やグルーピングの結果から求められる大きさに基づいて、道路構造物である可能性があるかどうかを判定する第3の工程と、前記第3の工程にて、道路構造物の可能性があると判定された物体に係る各測定点が、自車両に対する奥行き方向に密集している度合いを判定する第4の工程と、前記第4の工程にて、密集度が高いと判定された物体に対し、この物体の領域を設定する第5の工程と、前記第5の工程にて密集度が高いと判定された領域に対応する物体は、その相対速度に関係なく道路構造物であると判定する第6の工程と、前記第6の工程で道路構造物であると判定された物体以外の物体に対し、この物体の相対速度、位置、及び過去に検出された種類に基づいて、当該物体の種類を判定する第7の工程と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記第6の工程及び第7の工程により検出された物体の種類を記憶する第8の工程と、前記第8の工程にて記憶されたデータから、道路構造物であると判定された物体のデータのみを抽出し、このデータを用いて再度密集度の高い物体の領域を設定する第9の工程と、前記第9の工程にて設定された領域を記憶する第10の工程と、を有し、前記第9の工程は、今回の前記第5の工程で設定された密集度の高い領域と、前回の処理で設定された密集度の高い領域とを重ね合わせることにより、密集度の高い領域の設定を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、前記第9の工程は、前回の処理で密集度の高い領域にあり、且つ、道路構造物であると判定された物体を、今回の処理で得られたグルーピング結果に検出物体として加えた上で、密集度の高い領域を設定することを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、前記第9の工程は、過去の物体種類の判定処理により、密集度が高い領域以外の領域にて走行物体であると判定された物体は、当該物体が今回の物体種類の判定により、密集度の高い領域内にて検出された場合であっても、この物体を走行物体であると判定することを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、自車両が走行する走行レーンの、前方の形状を求め、前記第5の工程にて、道路構造物と判定された領域内に存在する物体の中から、前記走行レーンの外側に存在する所定幅以下の物体のみを抽出し、この所定幅以下の物体を、当該領域内に属する同一の道路構造物として選択する第11の工程と、前記第11の工程にて選択された物体の個数が、所定の個数以上である場合には、当該各物体から前記走行レーンまでの距離を演算し、且つ、演算された各距離の重心を求める第12の工程と、前記第9の工程における物体判定後の領域を、前記走行レーンから前記第12の工程で求められた重心となる距離分だけ外側に移動した位置に設定する第13の工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、前記第13の工程で設定された領域が、走行レーンの形状に沿って設定されている場合には、この領域における物体の密集度が所定値よりも大きい場合に、この密集した物体の集団を、路上設置型反射板の並びであると判定し、この路上設置型反射板が検出された点を結ぶ線を、自車両前方の道路形状であると判定することを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
本願請求項1の発明では、車両に搭載され前方に存在する物体までの距離と方位を計測するレーザレーダなどの位置計測装置を用い、その装置で検知・位置計測した点のうち、同じ距離にあり互いに近い位置にある点の集団を同一物体上の点としてある一定の時間間隔毎にグルーピングする。
【0013】
そして、その所定の時間間隔毎に連続的に検出された物体の位置よりグルーピングにより検出された各物体の相対速度を求め、そのグルーピングによる物体検出結果より、過去の情報や大きさに基づき、道路構造物である可能性を残している物体を選択し、その道路構造物である可能性のあるすべての物体の位置関係からそれらの物体の配置を奥行き方向または進行方向の並びとして見たときの物体の密集度合いを求める。
【0014】
その後、密集度が高いと判定された物体群が存在する場合は、この物体が検出されている領域を道路構造物が高密集度で存在する領域として設定し、その領域内で判定された物体は、相対速度を誤計測していることが高いと判定した上で相対速度とグルーピング等により得られた物体の位置・大きさなどのデータを用いて、物体の種類を判定する。そして、その物体判定の際、道路構造物である可能性を残していると判定された物体のうち、密集度が高いと判定された領域内で検出された物体は、その物体の相対速度に関係なく、道路構造物であると判定する構成としている。
【0015】
これにより、相対速度だけに頼った物体の種類判定が原因でおこる走行物体と道路構造物の誤判定を防ぐことができる。特に、反射点密集地帯では、相対速度の誤計測が発生し易く、このような場面において有効である。
【0016】
更に、グルーピングにより検出された物体の種類を毎回記憶し、物体種類判定後に道路構造物と判定された物体だけを抽出した上で、その物体の位置より再度物体の密集度とその領域を求める。そして、その領域を毎回記憶して、次の処理において、再度物体のグルーピング直後の情報を利用した密集領域の設定を行う際、グルーピング直後の情報を利用した領域設定と1回前に記憶した領域とを重ね合わせた領域を密集領域として設定する構成とした。
【0017】
これにより、排気ガスによる汚れや、道路構造物より手前に位置する走行車両との位置関係等に起因して、見え隠れや非検知が発生し、実際には物体が密集しているにもかかわらず密集度合いが正しく求められないような環境下においても、物体が密集していることを判定することができ、物体の種類の誤判定を防ぐことができる。
【0018】
請求項の発明では、グルーピング直後に行う密集度算出の際、その時点でのグルーピング結果と、その直前で密集領域にあり、かつ、道路構造物であると判定された物体の両方を用いて領域を設定する構成とした。これにより、請求項2と同様、実際には物体が密集しているが密集度合いが正しく求められないために起こる相対速度の誤計測による種類の誤判定を防ぐことができる。
【0019】
請求項の発明では、過去の物体種類判定において密集度が高い領域以外で連続して走行物体であると判定されていた物体は信頼度が高く車両であると判定し、物体判定の際はその信頼度を考慮し、信頼度の高い車両と判定される物体が密集度が高い領域で検出された場合は、車両であると判定する構成とした。
【0020】
これにより、密集度が高い領域内に、車両が近づいた場合も、道路構造物と間違えることなく、車両を正しく判定することができる。また、密集領域の設定は、車長より長いことなどの条件を加えることで、反射物を多数取り付けた車両と密集した道路構造物を誤判定することを防止することができ、大型車のように反射物を多数取り付けた車両が道路構造物脇を走行する場合でも、道路構造物判定による車両ロストなどの悪影響なく、道路構造物の中に車両があることを確実に判定することができる。
【0021】
請求項の発明では、前方の自車レーンの形状を求める手段を加え、その手段で求めた前方レーン形状と密集度が高いと判定された各領域に存在する道路構造物と判定された幅の小さな物体だけを抽出し、そのうち、一つの領域内に存在する幅の小さな道路構造物の全てについて、自車レーン中心までの距離、及び距離の重心を求める。
【0022】
そして、自車レーンの中心からその距離分だけ平行移動した領域をレーンに沿って設置されている道路構造物のための多くの物体が検出される物体密集度の高い領域として設定する構成とした。
【0023】
これにより、道路脇に道路に沿って設置されているデリニエータすべてをその間隔や求められた相対速度に関わらず、車両と間違えることなく正しく判定できるようになる。また、例えば、遠方と近傍では物体が密集して検出されているが、見え隠れやデリニエータの汚れなどにより、実際には物体があるにもかかわらず、中間距離付近では、物体が広い間隔で検出されてしまい密集度合いが正しく求められない場合でも、その領域はデリニエータの並びの列と判定することで、相対速度の誤計測に関係なく、正しく道路構造物であることを判定することができる。
【0024】
請求項の発明では、領域がレーン形状に沿う形で設定されている場合において、その密集度が所定の値より高い場合、その密集した物体群を路上設置型反射板の並びであると判定し、その反射点を結ぶ線を前方の道路形状であると判定する構成とした。これにより通常レーザレーダは画像処理より遠方までの距離が可能であることから、画像処理などによるレーン形状検出より、遠方までの情報を用いたレーン形状測定が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載され、道路面の水平方向に一次元でスキャニングするスキャニングレーザレーダ(計測手段)を用いた場合を例として説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る物体種類判別方法が適用される前方車両測定装置の構成を示すブロック図、図2は、スキャニングレーザレーダ1を搭載した車両の、検出対象物標の位置を表すための基準座表系の説明図である。以下の説明は全て、図2に示すようにスキャニングレーザレーダ1によるスキャニングの中心軸を車両の中心とし、且つ、自車両の直進方向と平行な向き、位置で取り付けた場合を前提とする。
【0027】
但し、この発明は、中心軸が車両の直進方向でない場合や、その取り付け位置が車両の中心軸からずれている場合であっても、その角度、位置を幾何学計算時に考慮すれば、全て以下の説明で成り立つ。また、自車両に対する検知物体の位置や自車両に対する自車レーンの位置は、図示の基準座標系XYZ軸(横位置はX軸、路面に対して鉛直な方向をY軸、距離をZ軸)で述べる。
【0028】
図1に示すように、前方車両測定装置10は、自車両前方にレーザを照射し、前方反射物にて反射したレーザを検出することにより、前方物体までの距離、及び方向を計測するスキャニングレーザレーダ(計測手段)1と、物体検出処理部2と、物体種類判別部3と、を具備している。
【0029】
物体検出処理部2は、スキャニングレーザレーダ(以下、単に「レーザレーダ」と略す)1によるスキャン角度内に存在する物体までの距離、及び方向のデータを保存するメモリ、及びこのデータに基づいて前方に存在する物体を検出する処理部(いずれも図示省略)とを有している。
【0030】
物体種類判別部3は、前方に検出した物体の過去の検出結果、及び設定された領域(詳しい内容は後述する)の大きさに基づいて、前方物体の種類、即ち、道路構造物であるか前方走行車両であるかを判定する。
【0031】
以下、本発明の第1の実施形態について、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。第1の実施形態は、本願の請求項1に関するものである。
【0032】
まず、レーザレーダ1を用いて、前方車両を検出し、その前方車両までの距離(z座標)と横位置(x座標)を計測する。レーザレーダ1を用いた車両検出、及びその位置の算出手順は、例えば、特開2000−317815号公報や、特開2000−317821号公報等に開示されているように、スキャニングレーザレーダ1により検出された検出点をグルーピングすることによる物体検出方法を適用することができる。
【0033】
即ち、レーザレーダ1を用いて検出される各検出点のうち、近接したものどうしをグルーピングすることにより、これらを同一の物体であると判断して、前方物体の存在を検出する(図3の、ステップS101;第1の工程)。
【0034】
次に、ステップS101で検出された物体の、自車両に対する相対速度を求める(ステップS102;第2の工程)。
【0035】
相対速度の算出は、例えば、毎回のグルーピング結果を保存し、前回(時刻t−Δt)の物体の検出結果と、今回(時刻t)の検出結果を照らし合わせ、物体の大きさが同程度で、且つ検出位置が時刻tとt−Δtとの間で近いものを、同一の物体と見なし、それらの検出位置の動きに基づいて計測することができる。
【0036】
図4〜図6は、自車両と検出物体との間の、相対速度を算出する手順を示す説明図であり、図4は、前回(時刻t−Δt)のスキャニング時に検出された検出点を示し、図5は、今回(時刻t)のスキャニング時に検出された検出点を示している。また、図6は、時刻t−Δt(前回)の検出点と時刻t(今回)の検出点とを照らし合わせた様子を示しており、同図より、時刻tで検出された物体Aは、時刻t−Δtで検出された物体A′であることが理解される。そして、この物体Aの相対速度は、時間Δt当たりの距離変化から、{zA(t)−zA(t−Δt)}/Δtとして計算することができる。但し、zA(t)は、時刻tにおける物体AのZ座標、zA(t−Δt)は、時刻t−Δtにおける物体AのZ座標を示す。
【0037】
同様に、物体B′〜E′と物体B〜Eとの位置関係から各物体の相対速度を求めることができる。
【0038】
次に、グルーピングにより検出された物体より道路構造物の可能性のある物体を選択する(図3の、ステップS103;第3の工程)。
【0039】
ここでは、まず、道路構造物の可能性のある物体を抽出する処理を行う。そのため、道路構造物を選択するのではなく、確実に車両であると判定される物体を取り除くことで、道路構造物の可能性のある物体を残す処理を行う。
【0040】
ここで、グルーピングで検出された物体のうち、長い時間に亘って連続して検出され、かつ、安定して走行車両と判定されている物体、即ち、前述の処理で測定された相対速度から、明らかに車両と想定できるものは、車両と判定してよい。この判定で車両であると判定されたもの以外は、この時点では、とりあえず道路構造物の可能性を残した物体である判定する。
【0041】
次いで、この道路構造物の可能性のある物体の位置分布より、奥行き方向(車両から見た奥行き方向)、或いは車両の進行方向に沿った道路構造物の密集度を求める(ステップS104;第4の工程)。
【0042】
図7,図8は、道路構造物の密集度を求める手順の一例を示す説明図である。まず、上述の処理で、道路構造物の可能性有りと判定された各物体を基準として、奥行き方向や車両の進行方向の向きを示す線を、ある幅W(例えば、各物体より広い幅でW=1m程度)を持たせながら、所望の長さの線を引く。
【0043】
即ち、図7に示す如くの物体A〜Hのうち、道路構造物の可能性有りと判定された物体C〜Hの6個の物体に対して、それぞれ、奥行き方向に幅Wを持った線を引く。その結果、図8に示すように、物体C〜Hのそれぞれに対して、線M1〜M6が設定される。
【0044】
そして、奥行き方向に、同一となる並びに属する物体は、同一の線上(幅Wを持った線上)に乗るので、この同一の線上の物体を奥行き方向で同一方向に並ぶ物体であると判定する。つまり、物体C〜Hは、同一方向に並ぶ物体であると判定される。
【0045】
次に、同一方向に並ぶ物体を振り分けた後、それぞれの並びにおける密集度を算出する。密集度は、同一線上に存在し、且つ、連続して密集していると判定された物体のうち、最短距離の物体(自車両から最も近い物体であり図7の例では物体C)と最長距離の物体(自車両から最も遠い物体であり、図7の例では物体H)との距離差を、その間に存在する物体の個数で除することにより求めることができる。
【0046】
但し、同一線上であっても、隣り合う物体との距離差が、所定の値(例えば、大型車の車長)よりも長く、図9(a)に示す物体E、物体F間のように、間隔が空いている場合には、その物体間距離の長い物体の間で領域を区切る。そして、図9(b)に示すように、区切られた各領域を、それぞれ異なる物体として認識し、それぞれ別個に、前述と同様の手順により、物体の密集度を算出する。
【0047】
図7〜図9に示す例では、自車両が直進状態であるので、物体の奥行き方向と、車両の進行方向とが一致しているが、走行路がカーブ路の場合は、ジャイロや操舵角より車両の運動方程式に基づき、進行方向算出すれば同様の方法で密集度を計算することができる。そして、この処理により、ある所定の値以上の密集度が求められた場合、その領域を設定する(図3の、ステップS105;第5の工程)。
【0048】
領域の設定は、上述した密集度の計算時に用いた最短距離と最長距離に存在する物体でくくられる範囲とすればよい。その結果、図9(b)に示すように、物体C,D,Eが一つの領域として認識され、物体F,G,Hが一つの領域として認識されることになる。
【0049】
但し、密集度が高いと判定された領域のうち、最長位置(自車両から最も遠くの位置)に存在する物体と、最短位置(自車両に最も近くの位置)の物体との距離差が、通常の車長以下で、且つ、最短距離にある物体の幅が車幅程度の物体である場合は、それらは道路構造物ではなく、その領域内に入る物体すべてが1台の車両上の反射点である可能性もある。
【0050】
即ち、例えば図10に示す物体A、及び物体Iが検出された場合には、これらの間隔は、車長程度であり、且つ、該物体A、Iの幅は車幅程度であるので、この物体は車両である可能性がある。
【0051】
従って、過去の情報(前回、或いはそれ以前の計測により得られた情報)に基づき、その物体(図10に示す物体A,I)が過去に車両と判定されていた物体であるかどうかを確認し、過去に車両と判定されている場合には、その領域は車両であると判定する。よって、この領域については、道路構造物の密集領域の設定は行わない。
【0052】
そして、上述の処理にて道路構造物の密集領域を設定した後、領域であると検出された物体が持つ情報、及びその信頼性を考慮した上で、物体の種類判定を行う(ステップS106)。
【0053】
検出物体の種類を判定する処理は、例えば以下に示す手順にて行うことができる。まず、前述したとおり、過去に確実に車両と判定されている物体は車両であると判定する。次に、残りの物体の判定方法を説明する。
【0054】
通常の走行物体(車両)であるか、停止物体(道路構造物)であるかの判定は、その物体の自車両に対する相対速度に基づいて判定することができる。つまり、相対速度が自車両の走行速度に近い場合は、その物体は停止物体である可能性が高く、相対速度が小さい場合には、走行物体である可能性が高い(第7の工程)。
【0055】
ここで、道路構造物の可能性がある物体が密集している領域においては、その相対速度を誤計測する可能性が高い。以下、これを図11〜図13に示す説明図を参照しながら説明する。
【0056】
図11〜図13は、物体が密集している場面で、図4〜図6にて説明した相対速度判定を適用した場合における物体の相対速度を誤計測する例を示す説明図である。
【0057】
図11は、時刻t−Δtにおいて検出された物体A′〜H′を示し、図12は、時刻tにおいて検出された物体A〜Iを示している。また、図13は、図11及び図12を重ね合わせた図であり、同図から理解されるように、時間Δtの経過により、自車両を基準とした各物体の位置が変化している。なお、図12において、物体Cは、レーザレーダ1によるスキャニング領域外となっている。
【0058】
そして、物体D〜I(図12)と、物体C′〜H′(図11)は、両者を重ね合わせた際に(図13)、物体D,E間に物体D′が入り込む、といったように、密集した状態となっている。従って、時刻tで検出された物体が、時刻t−Δtで検出された物体の、どの物体が動いたものであるかの対応がとれなくなる。つまり、本来物体Dは、物体D′が移動したものであるが、各物体が密集していることや、検知角外となってしまう物体があることにより、この関係が分からなくなってしまう。
【0059】
このため、相対速度の誤計測が生じる。従って、このような問題を回避するためには、密集領域以外では従来と同様の相対速度に基づいた物体判定を行い、物体が密集していると判定された領域では、信頼性高く車両であると判定されている物体を除き、その相対速度に関係なく道路構造物であると判定すればよい(第6の工程)。
【0060】
本実施形態では、図7〜図9にて示した如くの、密集領域を設定する処理を行うことにより、相対速度の誤計測が起こりやすい道路構造物が密集している地帯であっても、これを車両と間違えることなく、道路構造物として判定することができる。
【0061】
このようにして、本実施形態にかかる走路上反射物の物体種類判定方法では、レーザレーダ1にて検出される物体のうち、密集して存在するものを一つの領域として設定し、この領域の動き(相対速度の変化)に基づいて、該領域に対応する物体が道路構造物であるか、或いは車両であるかを判断するので、高精度な物体種別の判定が可能となる。
【0062】
即ち、相対速度のみを用いて物体の種類を判定したことに起因して生じる、走行物体と道路構造物の誤判定を防ぐことができる。特に、誤判定が発生し易い、反射点密集地帯において、効果的な物体判定が可能となる。
【0063】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、本発明の請求項2に係るものである。
【0064】
図14は、第2の実施形態に係る走路上反射物の物体種類判定方法の処理手順を示すフローチャートである。システム構成は、図1と同一であるので、その説明を省略する。以下、第2の実施形態の効果が現れる状況について説明する。
【0065】
道路構造物は、前方車両より放出される排気ガスや、構造物手前の車両との位置関係等により、検知・非検知が繰り返される場合がある。図15は、このような状況を示す説明図であり、時刻t−Δtにおいては、同図(a)に示すように、物体A〜物体Gの7個の物体が検出されているのに対し、時間Δtが経過した時刻tでは、物体C、及び物体Fの2つのみが検出されている。
【0066】
従って、時刻tにおいて検出された物体Fと時刻t−Δtにおいてもっとも近い位置となるのは、物体Eということになる。そのため、物体Fは相対速度が誤計測され(即ち、物体Eの位置から物体Fの位置へ移動したものと判断され)、あたかも等速で動く物体があるかのように検出される。
【0067】
また、物体Fは、時刻tにおいてその前後の物体が検出されていないため(即ち、物体D,E,Gが検出されていないため)、該物体Fは密集度が低いと判定されてしまい、高精度な領域設定ができなくなってしまう。第2の実施形態(請求項2)は、このような状況に対応するために行われるものである。
【0068】
本実施形態では、まず、見え隠れが起こるために密集度が安定して求められなくなる状況を回避するため、一旦物体密集度が高いと判定された領域は、その直後も密集度が高いはずであるので、1回前(時間Δt前)に設定された道路構造物の密集領域を、今回においても利用できるようにする。
【0069】
従って、前回検出時における検出精度が、今回検出時の検出精度に影響することになり、本実施形態では、以下に示す手順を用いることにより、検出精度の向上を図っている。
【0070】
即ち、本実施形態では、第1の実施形態で示した物体種類判定(図3のステップS106)に基づき(第8の工程)、最終結果として道路構造物と判定された物体のみを用いて、再度、道路構造物密集領域を設定する(図14のステップS107)。この設定は、最終段階で道路構造物と判定された物体だけを用いて、前述した、図8,図9にて示した方法と同様の方法を用いることで、物体の密集度と領域の設定を行えばよい(第9の工程)。
【0071】
最終段(図14のステップS108)では、この方法によって設定された道路構造物密集領域を保存し(第10の工程)、次回に利用できるようにする。
【0072】
保存するデータは、例えば、図16に示すように、各物体名(A〜K)と、これらに対応する距離、横位置、相対速度、密集領域、種類、といったデータとすることができる。
【0073】
次いで、上記の操作にて保存された領域の前回データを用いた、今回の領域設定方法について説明する。図17は、その方法を説明する図である。まず、前述した図8,図9にて示した方法と同様の方法で、道路構造物の可能性のある物体をもとに、時刻tでの領域を設定する(領域Q2)。
【0074】
次いで、ステップS105の処理における領域設定の際、時刻tで検出した物体に基づき図8,図9に示した方法で設定した領域と、前回設定された領域(領域Q1)を重ね合わせた領域を、ステップS106の処理で用いる道路構造物密集領域として設定する。
【0075】
これにより、時刻t−Δtでは物体が密集されて検出されたが、時刻tでは実際には存在するにもかかわらず、物体が検出されなかった場合でも、実際に物体が存在する道路構造物密集領域として維持することができる。
【0076】
つまり、図15(a)に示したように、実際には道路構造物が密集しており、時刻t−Δtでは、これらの道路構造物が検出されているにも関わらず、レーザレーダ1による検出が安定しないことに起因して、同図(b)に示すように、密集領域であると検出されないような場合であっても、確実にこれらの道路構造物の相対速度を求めることができる。
【0077】
また、ステップS108の処理で保存される道路構造物領域のデータは、最終段階のステップS107の処理で、時刻tで検出され、最終的に道路構造物と判定された物体に基づき、その密集領域を設定し直すので、実際に物体が検知角外(レーザレーダ1によるスキャニングの範囲外)となった場合は、その次の処理ではこの物体の領域は無いものと判定される。
【0078】
つまり、図15(a)に示す時刻t−Δtにおいて検出された物体Aは、図15(b)に示す時刻tでは、レーザレーダ1の検知角外となっているが、時刻tでは、この物体Aは存在しないものとして判断される。従って、道路構造物領域のデータを保持することにより、実際に物体がない領域に密集領域が設定されるといった問題は発生せず、前述した第1の実施形態に示した効果を維持することができる。
【0079】
このようにして、第2の実施形態に係る走路上反射物の物体種別判定方法では、排気ガスによる汚れや、道路脇の道路構造物の手前側に存在する走行車両との位置関係等により、道路構造物の見え隠れ、或いは非検知が発生する環境下であっても、過去の判定結果(時刻t−Δt以前に判定された結果)に基づいて、物体の密集状況を検出することができる。従って、道路構造物の検知、非検知が発生した場合であっても、確実に物体の道路構造物領域の相対速度を求めることができ、検出精度を向上させることができる。
【0080】
次に、本発明の第3の実施形態に係る走路上反射物の物体種類判定方法について説明する。該第3の実施形態は、本発明の請求項3に関するものである。
【0081】
第3の実施形態についても、前述した第2の実施形態と同様に、図15に示したのように、安定して検出されない道路構造物の密集領域の側方を自車両が走行する場合において第1の実施形態の効果と同様の効果を維持するためのものである。
【0082】
前述した第2の実施形態では、物体種類判定直前に利用するための密集領域の設定を、前回の(時間Δt前の)密集領域を考慮することで求める構成とした。しかし、例えば、図15(a)に示すように、時刻t−Δtにて多数の道路構造物A〜Gが検出され、同図(b)に示すように、時刻tでは道路構造物が1つ、或いは2つといったように、まばらにしか検出されない場合には、時刻tの検出結果を利用しての物体密集領域を設定することができない。このような状況下では、時刻tの検出結果を活かすことができず、物体密集領域が1回前の領域と同一のものとなってしまう。
【0083】
そこで、本実施形態では、図14に示したステップS103における道路構造物密集領域設定の際に、時刻tでの検出結果のみならず、時刻t−Δtの時点での道路構造物密集領域の中に存在する物体(道路構造物であると判定された物体)をも用いるようにする。
【0084】
即ち、図18に示すように、時刻t−Δtにて、物体A′〜G′が検出され、図19に示すように、時刻tにて、物体C、物体Fの2つのみが検出された場合には、時刻t−Δtにおける検出データと、時刻tにおける検出データの双方を用いて、次回の物体密集領域の検出に用いるデータを作成する。
【0085】
従って、図20に示すように、物体A′〜物体G′のデータが得られることになり(但し、時刻tと時刻t−Δtで重複する物体については、時刻tで検出された物体を用いる)、このデータに基づいて、図16に示した如くの対応データを作成する。
【0086】
このように、本実施形態では、レーザレーダ1にて検出された物体をグルーピングした直後に行う密集度算出の際に、その時点でのグルーピングにより検出された物体と、その直前(時間Δt前)で密集領域にあり、かつ、道路構造物であると判定された物体と、の双方用いて、次回以降の処理で用いる密集領域(図16に示した対応データ)を設定する構成とした。その結果、前述した第2の実施形態と同様に、道路構造物の検知、非検知が発生した場合であっても、確実に物体の道路構造物領域の相対速度を求めることができ、検出精度を向上させることができる。
【0087】
次に、本発明の第4の実施形態に係る走路上反射物の物体種類判定方法について説明する。該第4の実施形態は、本発明の請求項4に関するものである。
【0088】
まず、第4の実施形態の効果が現れる状況について、図21を参照して説明する。図21は、道路構造物密集領域が設定されている場所を、トラック等の大型車両が通過する場面を示している。同図において、符号A,B,Cに示す物体がトラックである。
【0089】
このような場合、グルーピングの結果のみを用いて領域設定を行うと、トラックの反射点を含む部分(A,B,C)が道路構造物密集領域として設定される場合が生じる。本実施形態では、このような場合においても高精度な道路構造物の検出ができるように、過去の処理にて、物体の密集度が高い領域以外で、連続して走行物体であると判定されていた物体には、信頼度が高く車両であると判定する。
【0090】
その後、この物体が密集度の高い領域で検出された場合には、この物体は車両であるものと判断することにより、道路構造物として誤検出することを防止する。この際、図10にて説明したように、同一の車両で反射物が複数あり、図3に示したステップS101の、物体検出及びグルーピング処理の段階で、同一車両上に存在する点が複数の物体として検出される場合もある。
【0091】
このような場合は、図10を用いて既に説明したように、検出された物体の自車両からの最長位置、及び最短位置までの距離差と、密集度とに基づいて、この物体が車両であることを判定することができる。そして、車両上で検出されるすべての点を、車両として再グルーピングしておく。
【0092】
グルーピングされた結果のうち、どの結果がどの種類に属するかは、図16に示した如くの、対応データにより確認することができる。従って、この情報をも用いた上で、車両上の検出点が道路構造物領域内に存在する場合であっても(即ち、図21に示す如くの状況下であっても)、これを確実に車両であると判定することができる。これにより、道路構造物と車両を高精度に区別することが可能となる。
【0093】
このようにして、第4の実施形態に係る走路上反射物の物体種類判定方法では、過去の物体種類判定において密集度が高い領域以外で連続して走行物体であると判定されていた物体は、信頼度が高く車両であると判定し、物体判定の際はその信頼度を考慮するようにした。即ち、この物体が密集度が高い領域で検出された場合は、車両であると判定するようにした。
【0094】
従って、物体の密集度が高い領域内に、トラック等の大型車両が接近した場合であっても、これを道路構造物と間違えることなく、車両の存在を正確に判定することができる。また、密集領域の設定は、車長より長いことなどの条件を加えることで、反射物を多く取り付けた車両が密集した道路構造物である、といった誤判定を引き起こすことを防止することができる。これにより、車両であることを正確に判定することができるので、大型車のように反射物を多く取り付けた車両が道路構造物の側方を走行する場合であっても、道路構造物判定による車両ロストなどの悪影響なく、道路構造物の中に車両が存在することを確実に認識することができる。
【0095】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。該第5の実施形態は、本発明の請求項5に関するものである。
【0096】
図22は、第5の実施形態に係る走路上反射物の物体判定方法が適用される前方車両測定装置の構成図である。
【0097】
同図に示すように、この前方車両測定装置20は、自車両前方にレーザを照射し、前方反射物にて反射したレーザを検出することにより、前方物体までの距離、及び方向を計測するスキャニングレーザレーダ(計測手段)1と、物体検出処理部2と、物体種類判別部3と、を具備している。更に、自車両の周囲の映像を撮影するカメラ4と、該カメラ4にて撮影された画像データを画像処理する画像処理部5と、を具備している。
【0098】
物体検出処理部2は、スキャニングレーザレーダ(以下、「レーザレーダ」と略す)1によるスキャン角度内に存在する物体までの距離、及び方向のデータを保存するメモリ、及びこのデータに基づいて前方に存在する物体を検出する処理部とを有している。
【0099】
物体種類判別部3は、前方に検出した物体の過去の検出結果、及び設定された領域の大きさに基づいて、前方物体の種類、即ち、道路構造物であるか前方走行車両であるかを判定する。
【0100】
図23は、第5の実施形態に係る方法が適用される状況を示す説明図である。
【0101】
同図に示す符号L1〜L5は、同一の領域に属する道路構造物(物体A〜E)から、自車レーンの中心線までの距離を示している。通常、デリニエータやセンターポール、側壁等の道路設置型反射物は、走路の形状に沿うようにして配置されている。この道路構造物の領域設定は、前述した図8、図9に示した方法で行うことができる(第11の工程)。
【0102】
そして、道路構造物がこの自車レーンに沿うように設置されているかどうかについては、図23の符号L1〜L5に示したように、道路構造物と判定された各物体A〜Eから、自車レーン中心を描く線に引いた垂線、つまり自車レーンまでの距離を求め、この距離の分散に基づいて判定することができる。即ち、分散が小さい場合には、これらの道路構造物は、自車レーンに沿っていると判定することができる。
【0103】
また、分散が小さいと判定された場合には、そのときの距離の重心を、この道路構造物群と自車レーン中心との間の距離とすればよい(第12の工程)。重心とする理由は、この中に、走路に沿うものではない看板等の反射物が含まれている場合に、その個数の少ない物体の影響を受けて、位置がずれないようにするためである。また、予め大きさの小さい物体のみを抽出した上で(即ち、看板等の大きな物体を除去した上で)自車レーン中心までの距離を求めても良い。
【0104】
そのため、まず、道路構造物密集領域が設定された場合には、上記の方法により、この領域が自車レーンに沿っているかどうかを判定し、走路に沿っていると判定された場合は、この密集領域を走路に沿うよう延長することで、第2,第3の実施形態と同様に、検知が安定しない道路構造物の側方を自車両が走行中の場合でも、道路構造物が存在する領域を設定することができる。
【0105】
こうして、自車両がカーブ路を走行している場合でも、確実に道路構造物の存在を検知することができるのである。
【0106】
また、ある距離の範囲内で密集領域が設定されていない場合でも、その手前や奥行き側で、走路に沿う形状で密集領域が設定されている場合には、その領域を走路に沿って延長した領域に、デリニエータやセンターポール等、走路形状を描くための反射物が設置されている場合が多い。
【0107】
これを図24に示す説明図を用いて説明する。同図に示すように、カーブ路にて道路構造物A〜Iが検出された場合で、且つ、構造物EとFとの間に間隔がある場合には、2つの密集領域P1、P2が検出される。従って、このままでは、密集領域P1,P2は、それぞれ異なる物体であると判定されてしまう。そこで、本実施形態では、以下に示す処理を行うことにより、これらが同一の物体であると判定する。
【0108】
まず、構造物A〜Eと自車レーンの中心線までの距離L1〜L5から、この密集領域P1と自車レーン中心線までの距離Lを算出し、同様に、構造物F〜Iと自車レーンの中心線までの距離L6〜L9から、この密集領域P2と自車レーンの中心線までの距離L′を求める。そして、距離LとL′の大きさを比較し、略同一である場合には、これらは同一構造物であると見なし(即ち、領域P1と領域P2は同一の構造物であると見なし)、各領域P1、P2間を結ぶように領域を補間する(領域P12)。そして、この補間領域、及び領域P1,P2で、一つの領域として設定する。
【0109】
従って、走行路がカーブにさしかかった場合であっても、確実に道路構造物として判定することができる。
【0110】
また、上記の処理において、自車レーンの形状(カーブの度合い)は、ジャイロや操舵角の値を用いることによる自動車の運動方程式にあてはめることで求めることができる。また、カメラ搭載型の車両であれば、画像処理による白線検出により求めることもできる。
【0111】
そして、このような方法でレーン中心からデリニエータや側壁等の、走行路に沿って配設された道路構造物の並びまでの距離を求める。この値に基づいた距離の設定は、手前方向と奥行き方向で同じ距離が求められた場合には、その間を補間する等の手法により、領域を設定しなおすことで、反射点の検出が不安定な場合でも確実に道路構造物の並びの領域を設定できるようになる。
【0112】
また、図25に示すように、自車レーンに沿った密集領域が検出された場合には、この自車レーンに沿った方向に延長した領域を密集領域として設定し直すことにより、より高精度な構造物の検出が可能となる。
【0113】
即ち、同図の符号P3に示す如くの、自車レーンに沿った領域P3が得られた際には、この自車レーンに沿うように、領域P3を延長することにより、例えば、図26に示すように、自車レーン中心から、距離Lだけ平行移動した地点に、道路構造物の密集領域P4を設定することができる(第13の工程)。
【0114】
このようにして、第5の実施形態に係る走路上反射物の物体判定方法では、走行路の側方に沿って配設されたデリニエータ等の構造物の全てを、その間隔や求められた相対速度に関わらず、車両と間違えることなく正しく判定することができるようになる。
【0115】
また、例えば、自車両の遠方と近傍では物体が密集して存在することが検出されているが、中間距離の近傍にて検出されない場合、即ち、デリニエータの汚れや、障害物による見え隠れ等に起因して中間距離の近傍にて密集した物体が検出されない場合であっても、その領域はデリニエータ等の構造物の並びの列として判定することができるので、前述と同様に、相対速度の誤計測に関係なく、正しく道路構造物であることを判定することができる。
【0116】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。該第6の実施形態は、本発明の請求項6に関するものである。
【0117】
ここでは、前述したように、走行路の形状に沿うようにして設置された道路構造物が存在すると判定された場合に、その構造物の密集度が予め設定した所定の値(密集度値)より高い場合に限り、その道路構造物と判定された物体を結ぶ線を、前方の道路形状であると判定する。密集度値は、例えば、それらの値を用いることで残差の小さい形状を示す線が描ける程度の個数を基準とすればよい。
【0118】
物体がレーンに沿う形であるかどうかの判定は、前述した第5の実施形態までに説明した方法を適用すればよい。これにより、通常、レーダなどの距離計測装置は、画像処理より遠方までの物体が検出できるため、精度よく遠方までの道路形状を求めることができる。
【0119】
このようにして、第6の実施形態では、画像処理等におけるレーン形状より遠方までの形状がわかるレーン形状測定が可能となるという効果がある。また、レーンの形状をレーザレーダ1で計測することができることから、この点の位置関係を求めることで、他の物体のレーン内外が判定できるようになる。例えば、遠方において走路形状がわからないカーブ路などで、デリニエータより外側の物体をレーン上の物体と誤判定することを防ぐことにも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1〜第4の実施形態に係る走路上反射物の物体種類判定方法が適用される前方車両測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】スキャニングレーザレーダの車両への搭載位置と座標系を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態に係る物体種別判定方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】時刻t−Δtにてグルーピングされた物体を示す説明図である。
【図5】時刻tにてグルーピングされた物体を示す説明図である。
【図6】時刻t−Δtの時点で検出された物体と、時刻tの時点で検出された物体から、各物体の相対速度を求める様子を示す説明図である。
【図7】スキャニングレーザレーダにより、グルーピングされた物体を示す説明図である。
【図8】奥行き方向に並ぶ物体を、同一の物体であると判定する処理を示す説明図である。
【図9】物体の密集度に基づいて、領域設定する様子を示す説明図である。
【図10】奥行き方向の並ぶ物体のうち、車両であると判断される物体を除去する様子を示す説明図である。
【図11】時刻t−Δtにおいてグルーピングされる密集した物体の様子を示す説明図である。
【図12】時刻tにおいてグルーピングされる密集した物体の様子を示す説明図である。
【図13】時刻t−Δt、及び時刻tのそれぞれにおいてグルーピングされる密集した物体を重ね合わせた様子を示す説明図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る物体種別判定方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】時刻t−Δtで検出され、時刻tで検出されない物体が存在するときの様子を示す説明図である。
【図16】グルーピングされた物体と、該物体の種類との対応データを示す説明図である。
【図17】時刻t−Δtの時点で得られた物体と、時刻tの時点で得られた物体とに基づいて領域を設定する様子を示す説明図である。
【図18】時刻tにおいてグルーピングされる物体の様子を示す説明図である。
【図19】時刻t−Δtにおいてグルーピングされる物体の様子を示す説明図である。
【図20】時刻t−Δtの時点で構造物と判定された物体と、時刻tの時点で構造物と判定された物体とに基づいて、密集度の高い領域を設定する様子を示す説明図である。
【図21】密集度の高い領域の近傍を大型車両が通過したときの、グルーピングされる物体を示す説明図である。
【図22】本発明の第5、第6の実施形態に係る走路上反射物の物体種類判定方法が適用される前方車両測定装置の構成を示すブロック図である。
【図23】グルーピングにより、カーブ路に沿って検出された物体と、自車レーンの中心線との位置関係を示す説明図である。
【図24】カーブ路に沿って検出された密集度の高い2つの領域の間を補間する様子を示す説明図である。
【図25】カーブ路に沿って検出された密集度の高い領域を延長することにより、路側に存在する構造物の領域を設定する様子を示す説明図である。
【図26】カーブ路に沿って検出された密集度の高い領域を延長することによって設定される領域を示す説明図である。
【符号の説明】
1 スキャニングレーザレーダ(計測手段)
2 物体検出処理部
3 物体種類判別部
4 カメラ
5 画像処理部

Claims (5)

  1. 車両に搭載され、該車両前方をスキャニングして前方に存在する物体までの距離、及び方向を計測する計測手段を用いて、前方物体の種類を判定する走路上反射物の物体種類判定方法であって、
    前記スキャニングにより計測された各計測点のうち、互いに近接して存在する測定点の集団を時系列的にグルーピングする第1の工程と、
    前記グルーピングされた各測定点の集団を物体と見なし、当該物体と自車両との間の時系列的な距離データに基づき、自車両と前記各物体との相対速度を求める第2の工程と、
    前記第2の工程により検出された各物体に対し、当該物体が過去に判定された種類やグルーピングの結果から求められる大きさに基づいて、道路構造物である可能性があるかどうかを判定する第3の工程と、
    前記第3の工程にて、道路構造物の可能性があると判定された物体に係る各測定点が、自車両に対する奥行き方向に密集している度合いを判定する第4の工程と、
    前記第4の工程にて、密集度が高いと判定された物体に対し、この物体の領域を設定する第5の工程と、
    前記第5の工程にて密集度が高いと判定された領域に対応する物体は、その相対速度に関係なく道路構造物であると判定する第6の工程と、
    前記第6の工程で道路構造物であると判定された物体以外の物体に対し、この物体の相対速度、位置、及び過去に検出された種類に基づいて、当該物体の種類を判定する第7の工程と、
    前記第6の工程及び第7の工程により検出された物体の種類を記憶する第8の工程と、
    前記第8の工程にて記憶されたデータから、道路構造物であると判定された物体のデータのみを抽出し、このデータを用いて再度密集度の高い物体の領域を設定する第9の工程と、
    前記第9の工程にて設定された領域を記憶する第10の工程と、を有し、
    前記第9の工程は、今回の前記第5の工程で設定された密集度の高い領域と、前回の処理で設定された密集度の高い領域とを重ね合わせることにより、密集度の高い領域の設定を行うことを特徴とする走路上反射物の物体種類判定方法。
  2. 前記第9の工程は、前回の処理で密集度の高い領域にあり、且つ、道路構造物であると判定された物体を、今回の処理で得られたグルーピング結果に検出物体として加えた上で、密集度の高い領域を設定することを特徴とする請求項1に記載の走路上反射物の物体種類判定方法。
  3. 前記第9の工程は、過去の物体種類の判定処理により、密集度が高い領域以外の領域にて走行物体であると判定された物体は、当該物体が今回の物体種類の判定により、密集度の高い領域内にて検出された場合であっても、この物体を走行物体であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の走路上反射物の物体種類判定方法。
  4. 自車両が走行する走行レーンの、前方の形状を求め、前記第5の工程にて、道路構造物と判定された領域内に存在する物体の中から、前記走行レーンの外側に存在する所定幅以下の物体のみを抽出し、この所定幅以下の物体を、当該領域内に属する同一の道路構造物として選択する第11の工程と、
    前記第11の工程にて選択された物体の個数が、所定の個数以上である場合には、当該各物体から前記走行レーンまでの距離を演算し、且つ、演算された各距離の重心を求める第12の工程と、
    前記第9の工程における物体判定後の領域を、前記走行レーンから前記第12の工程で求められた重心となる距離分だけ外側に移動した位置に設定する第13の工程と、
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の走路上反射物の物体種類判定方法。
  5. 前記第13の工程で設定された領域が、走行レーンの形状に沿って設定されている場合には、この領域における物体の密集度が所定値よりも大きい場合に、この密集した物体の集団を、路上設置型反射板の並びであると判定し、この路上設置型反射板が検出された点を結ぶ線を、自車両前方の道路形状であると判定することを特徴とする請求項4に記載の走路上反射物の物体種類判定方法。
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