JP3635941B2 - 分割スルーホールプリント配線板用金型 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電気機器に数多く使用されているプリント配線板の外形打抜き金型に関するものであり、特に表裏の電気的導通の目的と同時に半田付け部として機能する分割スルーホールプリント配線板用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年プリント配線板は電子機器の小型化、多機能化や電子部品の自動挿入化あるいは表面実装化などに伴い高密度・高精度化などの厳しい要求がなされている。ことに電子機器の小型化はプリント配線板の高密度化への要求も高まりプリント配線板の外形端面にまで導通目的のスルーホールを配置し半田付け部として実装に利用するなど更なる高密度配線が要求され、プリント配線板加工メーカに於いては加工方法や打抜き金型などについて種々の検討がなされている。
【0003】
以下に従来のプリント配線板の打抜き金型を用いたプリント配線板の打抜き加工方法について説明する。
【0004】
図5〜図8は従来のプリント配線板の打抜き金型を用いた分割スルーホール配線板の加工方法を示すものである。図5〜図8に於いて11はプリント配線板、11aは絶縁基板、11bは導体パターン、11cは分割スルーホール、11dは矩形打抜きポンチによる打抜き端面、11eは外形打抜き端面、11fはスルーホール、11gは半田付けランド、12は上金型、13は下金型、12aは矩形穴用打抜きポンチ、12bは外形打抜きダイ、12cは上型パンチプレート、12dは上型ストリッパプレート、12eは上型バッキングプレート、13aは下型ダイ、13bは下型ストリッパプレート、13cは下型ダイホルダーである。
【0005】
以上のように構成されたプリント配線板の打抜き用金型を用いた打抜き加工方法について以下に説明をする。
【0006】
まず、絶縁基板11aとなるガラス布もしくはガラス布織布基材エポキシ樹脂積層板の両面に銅箔をラミネートした銅張積層板(図示せず)を所定寸法に切断し、複数枚重ね合わせてバックアップボードやエントリーボードを所定位置にセットする。セットされた銅張積層板、バックアップボードやエントリーボードは加工位置の原点に基準穴が加工され基準穴へスタックピンを挿入した後NCボール盤にセットされ、超硬ドリルなどにより穴加工され、銅張積層板にスルーホール11fが形成され、プリント配線板11を得る。
【0007】
次にスルーホール11fが形成されたプリント配線板11には、スルーホール11fを含む銅張積層板表面に無電解あるいは電解銅めっき層が形成され、ついで銅めっき層の表面にスクリーン印刷法や写真現像法などによりエッチングレジストが形成される。エッチングレジストが形成されたプリント配線板11は、塩化第2銅などの溶液を用いて露出した銅めっき層や銅箔がエッチングされ、エッチングレジストの剥離後、図5に示すように絶縁基板11aに導体パターン11bが形成される。
【0008】
次にプリント配線板11には、はんだレジストとなるソルダレジストや電子部品の挿入及び装着位置などを明示するロードマップなどがスクリーン印刷等の方法で絶縁基板11a上や導体パターン11b上に形成され、打抜きの目安となる位置決め穴(図示せず)が加工される。ついで、ガイド穴が加工されたプリント配線板11は、プレス装置(図示せず)にセットされた図7に示すような金型の下型13の位置決めピン(図示せず)に位置決め穴が挿入され、金型の上型の上下運動に伴い、プリント配線板11の矩形穴用ポンチ12aや外形打抜き用ダイ12bなどにより、図6に示すようなスルーホールを縦方向に分割した分割スルーホール11cや外形11eなどが加工された後、導体パターン11bの導通チェックや表面処理などが施される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の方法では、分割スルーホール部11cの内壁めっき部が打抜き加工の際、図8に示すように内側に剥離やひび割れもしくは破壊されてしまう。この破壊された内壁めっきはプリント配線板を機器に装着する際、表裏の銅箔パターンの電気的な導通信頼性を阻害するだけでなく半田付け実装処理の際、半田が吸い上がらず実装上の致命的な欠陥となってしまう問題点を有していた。
【0010】
この問題点の解決のため、V形の鋸刃状片刃を用い押し切り方式でスルーホール部の切断をすることで内壁部の剥離やひび割れ対策などを採用した。しかしながらこの場合プリント配線板の他の穴加工を同時に形成させることが困難で複数工程となり工数が増えるなどの問題点があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明は、分割スルーホールプリント配線板用金型に於いて、打抜きポンチまたは外形ダイの側面にガイドピンの保持溝が設けられ、前記ガイドピンは前記保持溝に摺動可能に装着されている構成を有している。
【0012】
これにより矩形状の打抜きポンチ又は外形ダイがプリント配線板のスルーホール部を打抜き加工するときスルーホール部にガイドピンが挿入されスルーホール部の内壁めっきが内側に剥離しようとする側力を押し込むことでスルーホールの剥離やひび割れを防止した信頼性の高い分割スルーホールが得られる。これは通常のプリント配線板の打抜き金型に組み込むためスルーホールの分割部以外の一般の丸穴、角穴、外形の打抜きと同時に加工を終了させることが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、上金型、下金型、打抜きポンチ、外形ダイ、上型パンチプレート、上型ストリッパープレート、上型バッキングプレート、ガイドピン、下型ダイ、下型ストリッパープレート、下型ダイホルダーを備え、打抜きポンチまたは外形ダイの側面にガイドピンの保持溝が設けられ、前記ガイドピンは前記保持溝に摺動可能に装着されていることを特徴とする分割スルーホールプリント配線板用金型としたものであり、貫通スルーホール部に挿入されたガイドピンによってスルーホール部の内壁の導体部めっきを保護しながら打抜き加工される為、内壁の剥離やひび割れ、破れを発生させることなくスルーホールを縦方向に分割するという作用を有する。
【0014】
また、保持溝を加工しその溝にガイドピンを装着することでガイドピン形状の加工が容易になり、摺動可能にすることによりガイドピンの交換が容易でかつ打抜きポンチ又は外形ダイとガイドピンとの相対長さを容易に変えられるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は、ガイドピンの断面形状が半円形もしくは円弧形である請求項1に記載の分割スルーホールプリント配線板用金型としたものであり、貫通スルーホールに挿入するガイドピンの断面形状を上記半円形もしくは円弧形に加工し、矩形ポンチもしくは外形ダイの直線部に接触配置した構造であるため金型の製作が容易であるという作用を有する。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、ガイドピンの長さは、打抜きポンチ又は外形ダイの長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の分割スルーホールプリント配線板用金型としたものであり、ガイドピンの長さを長くすることにより、打抜きポンチもしくは外形ダイがプリント配線板の打抜き加工の始まる一瞬前にスルーホールの内壁の導体部めっきを保護するという作用を有する。
【0017】
なお、ガイドピンの先端形状が滑らかな形状であることが望ましい。滑らかにすることによりプリント配線板の該当する貫通スルーホールの位置とガイドピンとの相対位置にわずかなズレがあってもスルーホールの内壁にガイドピンによる接触傷を発生させないためである。
【0018】
また、ガイドピンの円又は円弧形の半径をプリント配線板の該当するスルーホール径より0.01〜0.03mm小とすることが望ましい。プリント配線板の該当する貫通スルーホールの位置とガイドピンとの相対位置にわずかなズレがあってもスルーホールの内壁にガイドピンによる接触傷を発生させないからである。
【0019】
本発明の請求項4に記載の発明は、上金型、下金型、打抜きポンチ、外形ダイ、上型パンチプレート、上型ストリッパープレート、上型バッキングプレート、ガイドピン、下型ダイ、下型ストリッパープレート、下型ダイホルダーを備え、下型ダイの打抜きダイ穴側面または下型ダイの外形側面にガイドピンの保持溝が設けられ、前記ガイドピンは前記保持溝に保持されていることを特徴とする分割スルーホールプリント配線板用金型としたものであり、請求項1に記載の発明が上金型にガイドピンを接触配置するのに対して下金型にガイドピンを接触配置した構成であり、プリント配線板を金型にセットする際に、静止状態で確実に貫通スルーホール部に挿入されたガイドピンによってスルーホール部の内壁の導体部めっきを保護しながら打抜き加工される為、内壁の剥離やひび割れ、破れを発生させることなくスルーホールを縦方向に分割するという作用を有する。
【0020】
また、打抜きダイ穴又は下型ダイ外形側面部にガイドピンの保持溝を設けることで、下型ダイに対してガイドピンの保持が完全にできるという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項5に記載の発明は、打抜きダイ穴側面に保持されたガイドピンの断面形状は、半円形もしくは円弧形であることを特徴とする請求項4に記載の分割スルーホールプリント配線板用金型としたものであり、請求項2の発明が上金型に半円形もしくは円弧形ガイドピンを接触配置するのに対して下金型に接触配置した構成であり、金型の製作が容易であるともに静止状態で確実に貫通スルーホール部にガイドピンを挿入することができるという作用を有する。
【0022】
なお、ガイドピンの長さが打抜き下型ダイ穴の表面より1〜4mm長く設定することが望ましい。プリント配線板を打抜き金型にセット(位置決め)することが容易でまた貫通スルーホールの内壁も完全に保護出来るからである。
【0023】
(実施の形態)
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施の形態を示すプリント配線板の打抜き金型を用いた分割スルーホール配線板の加工方法を説明する上下金型の斜視図であり、図2はその上金型の断面図と平面図であり、図3は下金型の平面図と断面図である。図1〜図3に於いて2は上金型、3は下金型、2aは矩形穴用打抜きポンチ、2bは外形打抜きダイ、2cは上型パンチプレート、2dは上型ストリッパープレート、2eは上型バッキングプレート、2fは断面形状が円形のガイドピン、2gは断面形状が半円形もしくは円弧形のガイドピン、3aは下型ダイ、3bは下型ストリッパープレート、3cは下型ダイホルダーである。
【0025】
まず、図1および図2に示すように矩形穴用打抜きポンチ2aの側面に接触配置するように組み込まれた半円形もしくは円弧形のガイドピン2gや外形打抜きダイ2bに接触配置するように組み込まれた円形のガイドピン2fの先端部をいずれも砲弾形状に滑らかにとがらせ、長さは外形ダイ2bより2mm長く(上型ストリッパープレート2d同等)する。これはプリント配線板の打抜き加工の始まる一瞬前にスルーホールの内壁の導体部めっきを保護する為に重要である。
【0026】
金型にガイドピンを加工する位置はプリント配線板の該当する貫通スルーホール位置と同座標で、ガイドピンの円形又は円弧形の半径を該当する貫通スルーホールの半径より0.025mm小とする。これはプリント配線板の該当する貫通スルーホールの位置とガイドピンとの相対位置にわずかなズレがあってもスルーホールの内壁にガイドピンによる接触傷を発生させない為に重要である。ガイドピン2g,2fの半径に対して金型の各プレートに加工する半径の大きさはガイドピンの半径より0.01mm大きくする。
【0027】
さらに、矩形穴用打抜きポンチ2aにより分割スルーホールを加工する場合は円弧形のガイドピンとする。円弧形のガイドピンの加工方法は円形のガイドピンを一方向から研磨加工により仕上げる。この場合円弧形のガイドピン2gの組み込み方法として、矩形穴用打抜きポンチ2aに接触配置させる為に打抜きポンチ2aの段付き部を削除する。また、外形打抜きダイ2bにより分割スルーホールを加工する場合は円形のガイドピン2fとする。ガイドピンを外形打抜きダイ2bに接触配置する場合はガイドピンの組み込み方法としてパンチプレート2cに丸穴加工を行ない固定する方法を採る。
【0028】
上記の実施の形態においては、下金型の構造は図3に示すようなものであるが、他の実施の形態として、図4に示すように、下金型にガイドピン2f,2gを配置することも可能である。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明は、スルーホールの剥離やひび割れを防止した信頼性の高い分割スルーホールを得る分割スルーホール配線板用金型が提供できる。これは通常のプリント配線板の打抜き金型に組み込むためスルーホールの分割部以外の一般の丸穴、角穴、外形の打抜きと同時に加工を終了させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す分割スルーホール配線板の打抜き金型の組み立て構造を示す斜視図
【図2】 本発明の一実施の形態を示す分割スルーホール配線板の打抜き金型の上型断面図と平面図
【図3】 本発明の一実施の形態を示す分割スルーホール配線板の打抜き金型の下型平面図と断面図
【図4】 本発明の他の実施の形態を示す分割スルーホール配線板の打抜き金型の下型と上型の断面図
【図5】 プリント配線板の斜視図であり、打抜き金型により分割スルーホール加工が施される前工程のプリント配線板を示す図
【図6】 分割スルーホール配線板の斜視図
【図7】 プリント配線板の打抜き金型の断面図
【図8】 従来方法の分割スルーホール配線板の打抜き金型で加工した場合の分割スルーホール配線板の斜視図
【符号の説明】
2 上金型
2a 矩形穴用打抜きポンチ
2b 外形打抜きダイ
2c 上型パンチプレート
2d 上型ストリッパープレート
2e 上型バッキングプレート
2f 断面形状が円形のガイドピン
2g 断面形状が半円形もしくは円弧形のガイドピン
3 下金型
3a 下型ダイ
3b 下型ストリッパープレート
3c 下型ダイホルダー
11 プリント配線板
11a 絶縁基板
11b 導体パターン
11c 分割スルーホール
11d 矩形打抜きポンチによる打抜き端面
11e 外形打抜き端面
11f スルーホール
11g 半田付けランド

Claims (5)

  1. 上金型、下金型、打抜きポンチ、外形ダイ、上型パンチプレート、上型ストリッパープレート、上型バッキングプレート、ガイドピン、下型ダイ、下型ストリッパープレート、下型ダイホルダーを備え、打抜きポンチまたは外形ダイの側面にガイドピンの保持溝が設けられ、前記ガイドピンは前記保持溝に摺動可能に装着されていることを特徴とする分割スルーホールプリント配線板用金型。
  2. ガイドピンの断面形状が半円形もしくは円弧形である請求項1に記載の分割スルーホールプリント配線板用金型。
  3. ガイドピンの長さは、打抜きポンチ又は外形ダイの長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の分割スルーホールプリント配線板用金型。
  4. 上金型、下金型、打抜きポンチ、外形ダイ、上型パンチプレート、上型ストリッパープレート、上型バッキングプレート、ガイドピン、下型ダイ、下型ストリッパープレート、下型ダイホルダーを備え、下型ダイの打抜きダイ穴側面または下型ダイの外形側面にガイドピンの保持溝が設けられ、前記ガイドピンは前記保持溝に保持されていることを特徴とする分割スルーホールプリント配線板用金型。
  5. 打抜きダイ穴側面に保持されたガイドピンの断面形状は、半円形もしくは円弧形であることを特徴とする請求項4に記載の分割スルーホールプリント配線板用金型。
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