JP3635422B2 - 金属分散ポリシラザン溶液の調製方法 - Google Patents

金属分散ポリシラザン溶液の調製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種特性に優れた被覆膜を形成できるコーティング用組成物として有用な金属分散ポリシラザン溶液の調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
材料に高度の耐熱性や耐摩耗性、耐食性、等を付与するためにセラミックコーティングを施す方法が知られている。中でも、本出願人が開発した金属分散ポリシラザンを含むコーティング組成物(特開平6−299118号公報)によると、低温(例えば、50℃〜350℃)で焼成することにより、又は場合によっては焼成せずに50℃未満の温度で保持することにより、耐熱性、耐摩耗性、耐食性に優れ、クラックのない緻密なセラミックコーティングが得られる。この低温焼成という特長により、従来不可能であった耐熱性の低い電子部品、プラスチック材料、等へのセラミックコーティングが可能になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平6−299118号公報に記載されている金属分散ポリシラザンには、その製造工程においていくつかの問題があった。例えば、従来の製造方法では分散すべき金属の塩がポリシラザンの溶液に直接に添加されていたが、両者の反応性が高いため、金属塩をゆっくりと添加する必要があった。このため、添加工程には速度制御が必要であり、バッチ規模にもよるが、約5〜10時間という長時間を要する場合があった。
また、このように金属塩の添加工程を制御した場合でも、コーティング組成物としての品質に悪影響を及ぼす粒径0.2μm以上の固体粒子(金属析出物及び/又はゲル化ポリシラザン)が多数生成していた。このため、得られた金属分散ポリシラザン溶液に濾過処理を施す必要があった。
【0004】
さらに、従来の添加方法では長時間の反応と濾過が必要であるため、この工程でポリシラザンの安定性が低下する場合があった。特に、高分子量化したポリシラザン又はその変性物はこの工程でゲル化しやすい傾向があった。
従って、ポリシラザンと金属塩の接触工程に特別な速度制御を行わなくても、その後の濾過工程を不要とするに十分な均一性を示す金属分散ポリシラザン溶液を短時間で調製できる方法が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、
〔1〕遷移元素から成る群より選ばれた少なくとも一種の金属の塩を、塩基性有機化合物と接触させた後、主として下記一般式(I):
【0006】
【化2】
Figure 0003635422
【0007】
(上式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表わすが、但し、R1 、R2 及びR3 のうち少なくとも1つは水素原子である)で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均分子量100〜5万のポリシラザン又はその変性物を溶媒に溶かした溶液と混合することを特徴とする、金属分散ポリシラザン溶液の調製方法を提供することによって、上記課題を解決するに至った。
【0008】
さらに、本発明の好適な実施態様として、
〔2〕前記ポリシラザン変性物が酸素含有化合物、アルコール類又はアルキルシラザン類を添加することにより変性させたポリシラザンである、〔1〕に記載の調製方法;
〔3〕前記酸素含有化合物としてジヒドロキシ化合物又は水を使用する、〔2〕に記載の調製方法;並びに
〔4〕前記アルキルシラザン類としてヘキサメチルジシラザンを使用する、〔2〕に記載の調製方法
が提供される。
【0009】
本発明の調製方法によると、特定の金属塩を塩基性有機化合物と接触させた後、添加速度を制御することなく単に特定のポリシラザン溶液と混合するだけで、粒径0.2μm以上の固体粒子が実質的に含まれない均一な金属分散ポリシラザン溶液が得られる。従って、セラミックコーティング用組成物として有用な金属分散ポリシラザン溶液の調製時間が短縮化されると共に、その際の濾過工程が不要に又は簡略化される。
以下、本発明を詳述する。
【0010】
本発明の方法によると、ポリシラザン溶液と混合する前に、遷移元素から成る群より選ばれた少なくとも一種の金属の塩を塩基性有機化合物と接触させる。遷移元素の具体例として、La、Ce、Ti、Zr、V、Cr、W、Mn、Fe、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Zn、Al、In、Sn、Bi及びPtが挙げられる。これら金属の塩としては、塩化物などのハロゲン化物、アセチルアセトン酸塩などの有機酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの無機酸塩、及び水酸化物が挙げられる。好適な金属塩の具体例として、LaCl3 、CeCl3 、TiCl4 、ZrCl4 、VCl4 、CrCl6 、WCl6 、MnCl2 、FeCl3 、CoCl3 、NiCl2 、PdCl2 、CuCl2 、AgCl、ZnCl2 、AlCl3 、InCl3 、SnCl4 、SnCl2 、BiCl3 、PtCl2 、La(CH3 COO)3 、Ce(CH3 COO)3 、Cr(CH3 COO)2 、Mn(CH3 COO)2 、Fe(CH3 COO)2 、Co(CH3 COO)2 、Ni(CH3 COO)2 、Pd(CH3 COO)2 、Pd(C2 5 COO)2 、Cu(CH3 COO)2 、Ag(CH3 COO)、Zn(CH3 COO)2 、In(CH3 COO)3 、Sn(CH3 COO)4 、Sn(CH3 COO)2 、Pb(CH3 COO)2 、La(CH3 COCHCOCH3 3 、Ce(CH3 COCHCOCH3 3 、Zr(CH3 COCHCOCH3 4 、V(CH3 COCHCOCH3 4 、Cr(CH3 COCHCOCH3 3 、Co(CH3 COCHCOCH3 2 、Co(CH3 COCHCOCH3 3 、Ni(CH3 COCHCOCH3 2 、Pd(CH3 COCHCOCH3 2 、Ag(CH3 COCHCOCH3 )、Zn(CH3 COCHCOCH3 2 及びAl(CH3 COCHCOCH3 3 が挙げられる。
【0011】
上記のような金属塩に接触させる塩基性有機化合物としては、一級、二級及び三級のアミン類、ピリジン類、その他強塩基性有機化合物が包含される。この塩基性有機化合物は金属塩との接触の際に気体であっても液体であってもよい。
一級、二級及び三級のアミン類の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、ヘプチルアミン、ジヘプシルアミン、トリヘプシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ノニルアミン、ジノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン及びフェニルアミンが挙げられる。ピリジン類の具体例としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン、ピリミジン及びピリダジンが挙げられる。その他の強塩基性有機化合物の具体例として、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン(DBU)及び1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン(DBN)が挙げられる。本発明における塩基性有機化合物として特に好適なものは、一級アミン、二級アミン、DBU及びDBNである。
【0012】
本発明の方法によると、最初に、上記金属塩を上記塩基性有機化合物と接触させる。この接触比率については、塩基性有機化合物を、金属塩に対して所期の効果が得られるに十分な量で接触させればよい。一般には、金属塩1モルに対して0.01〜50モル、好ましくは1〜10モルの量の塩基性有機化合物を接触させればよい。金属塩1モルに対する塩基性有機化合物の接触量が0.01モルよりも低いと、後にポリシラザン溶液を混合した際にポリシラザンが金属塩と急激に反応し、コーティング用組成物として望ましくない大きな固体粒子が大量に生成してしまう。反対に、塩基性有機化合物の接触量が50モルよりも高いと、後に混合されるポリシラザンの安定性が低下する。この接触により、金属塩と塩基性有機化合物が反応して錯体を形成すると考えられる。
【0013】
接触に際しては、金属塩をそのまま固体として使用しても、また適当な有機溶媒に溶解させた溶液として使用してもよい。溶液を調製する場合に適当な有機溶媒は、後に混合するポリシラザンを溶解させるための溶媒と同じ溶媒であることが好ましく、その具体例については後述する。同様に、塩基性有機化合物についても、それを気体もしくは液体として使用しても、また適当な溶媒に溶解させた溶液として使用してもよい。塩基性有機化合物を溶解させる場合に好適な溶媒については、ポリシラザンを溶解させるための溶媒と同じ溶媒であることが好ましく、その具体例については後述する。
【0014】
金属塩と塩基性有機化合物の接触方法に特に制限はなく、当業者であれば必要に応じて適切な方法を適宜採用することができる。例えば、塩基性有機化合物を液体又は溶液として使用する場合、これらと(固体又は溶液状の)金属塩とを単に一度に混合(すなわち、溶解)すればよく、一方を他方に混入する際に何らかの添加速度制御を行うという必要はない。混合後、余分な塩基性有機化合物を蒸留などによって除去することが望ましい場合もある。また、塩基性有機化合物が気体である場合、閉鎖空間内でその気体(蒸気)に金属塩を暴露する方法や、適当な有機溶媒に溶解させた金属塩溶液中に該気体をバブリングさせる方法、等を採用することができる。
ポリシラザンは一般に大気中の水分と反応して高分子量化、ゲル化するので、接触させる際の雰囲気としては不活性雰囲気中又は水分を除去した雰囲気中であることが好ましい。しかしながら、短時間であれば通常の大気中雰囲気下で接触を実施しても問題はない。
【0015】
金属塩と塩基性有機化合物の接触又は溶解時の温度に特に制限はなく、周囲温度で接触させればよい。また、該接触時の圧力についても特に制限はなく、周囲圧下で接触させればよい。さらに、混合する場合には、機械的攪拌、マグネチックスターラーによる攪拌、等、常用されている一般的な攪拌方法を採用することができる。
本発明の方法によると、上記のように金属塩を塩基性有機化合物と接触させた後、ポリシラザン又はその変性物と混合し、金属を均一に分散させたポリシラザン溶液を得る。
【0016】
本発明で用いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結合又はN−H結合を有するポリシラザンであればよく、ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物との混合物でも利用できる。
用いるポリシラザンには、鎖状、環状又は架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でもあるいは混合物でも利用できる。
【0017】
用いるポリシラザンの代表例としては下記のようなものがあるが、これらに限定されるものではない。得られる膜の硬度や緻密性の点からはペルヒドロポリシラザンが好ましく、可撓性の点ではオルガノポリシラザンが好ましい。これらポリシラザンの選択は、当業者であれば用途に合わせて適宜行うことができる。
上記一般式(I)でR1 、R2 及びR3 に水素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであり、その製造法は、例えば特公昭63−16325号公報、D. Seyferth らCommunication of Am. Cer. Soc., C-13, January 1983. に報告されている。これらの方法で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を含み、
【0018】
【化3】
Figure 0003635422
【0019】
の化学式で表わすことができる。ペルヒドロポリシラザンの構造の一例を以下に示す。
【0020】
【化4】
Figure 0003635422
【0021】
一般式(I)でR1 及びR2 に水素原子、R3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D. Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem., 25, 10(1984)に報告されている。この方法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマーであり、いずれも架橋構造をもたない。
一般式(I)でR1 及びR3 に水素原子、R2 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの製造法は、D. Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Polym. Chem., 25, 10(1984)、特開昭61−89230号公報、同62−156135号公報に報告されている。これらの方法により得られるポリシラザンには、−(R2 SiHNH)−を繰り返し単位として、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや
(R3 SiHNH)X 〔(R2 SiH)1.5 N〕1-X (0.4<x<1)の化学式で示される分子内に鎖状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0022】
一般式(I)でR1 に水素原子、R2 及びR3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2 に有機基、R3 に水素原子を有するものは、−(R1 2 SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が3〜5の環状構造を有している。
用いるポリシラザンは、上記一般式(I)で表わされる単位からなる主骨格を有するが、一般式(I)で表わされる単位は、上記にも明らかなように環状化することがあり、その場合にはその環状部分が末端基となり、このような環状化がされない場合には、主骨格の末端はR1 、R2 、R3 と同様の基又は水素であることができる。
【0023】
ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中には、D. Seyferth らCommunication of Am. Cer. Soc., C-132, July 1984. が報告されている様な分子内に架橋構造を有するものもある。一例を下記に示す。
【0024】
【化5】
Figure 0003635422
【0025】
また、特開昭49−69717号公報に報告されている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアンモニア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザン(R1 Si(NH)X )、あるいはR1 SiX3 及びR2 2SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下記の構造を有するポリシラザンも出発材料として用いることができる。
【0026】
【化6】
Figure 0003635422
【0027】
また、ポリシラザン変性物として、例えば下記の構造(式中、側鎖の金属原子であるMは架橋をなしていてもよい)のように金属原子を含むポリメタロシラザンも出発材料として用いることができる。
【0028】
【化7】
Figure 0003635422
【0029】
その他、特開昭62−195024号公報に報告されているような繰り返し単位が〔(SiH2 n (NH)m 〕及び〔(SiH2 r O〕(これら式中、n、m、rはそれぞれ1、2又は3である)で表されるポリシロキサザン、特開平2−84437号公報に報告されているようなポリシラザンにボロン化合物を反応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特開昭63−81122号、同63−191832号、特開平2−77427号公報に報告されているようなポリシラザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポリメタロシラザン、特開平1−138108号、同1−138107号、同1−203429号、同1−203430号、同4−63833号、同3−320167号公報に報告されているような分子量を増加させたり(上記公報の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後2者)、無機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特開平2−175726号、同5−86200号、同5−331293号、同3−31326号公報に報告されているようなポリシラザンに有機成分を導入した厚膜化に有利な共重合ポリシラザンなども同様に使用できる。
【0030】
本発明では、さらに以下のような低温セラミックス化ポリシラザンを使用することができる。例えば、本願出願人による特開平5−238827号公報に記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(II):
Si(OR4 4 (II)
(式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはアリール基を表し、少なくとも1個のR4 は上記アルキル基またはアリール基である)で表されるケイ素アルコキシドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来ケイ素/ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001〜3の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のケイ素アルコキシド付加ポリシラザンである。ケイ素アルコキシド付加ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平5−238827号公報を参照されたい。
【0031】
低温セラミックス化ポリシラザンの別の例として、本出願人による特開平6−122852号公報に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得られる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のグリシドール付加ポリシラザンである。グリシドール付加ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平6−122852号公報を参照されたい。
【0032】
低温セラミックス化ポリシラザンの別の例として、本願出願人による特開平6−240208号公報に記載されているアルコール付加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンとアルコールを反応させて得られる、アルコール/ポリシラザン重量比が0.001〜2の範囲内かつ数平均分子量が約100〜50万のアルコール付加ポリシラザンである。アルコール付加ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平6−240208号公報を参照されたい。
【0033】
その他の低温セラミックス化ポリシラザンの例として、本願出願人による特開平7−196986号公報に記載されている金属微粒子添加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティング溶液に、Au、Ag、Pd、Niをはじめとする金属の微粒子を添加して得られる変性ポリシラザンである。金属微粒子の粒径は0.5μmより小さいことが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、さらには0.05μmより小さいことが好ましい。金属微粒子添加ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平7−196986号公報を参照されたい。
【0034】
その他の低温セラミックス化ポリシラザンの例として、本願出願人による特開平7−196987号公報に記載されているフッ素含有化合物添加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティング溶液に、フッ素樹脂粉末を添加して得られる変性ポリシラザンである。フッ素含有化合物添加ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平7−196987号公報を参照されたい。
【0035】
その他の低温セラミックス化ポリシラザンの例として、本願出願人による特開平7−252453号公報に記載されている金属酸化物微粒子添加ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、前記一般式(I)で表されるポリシラザンを主成分とするコーティング溶液に、平均粒径0.005〜0.1μmのZnO及び/又はTiO2 超微粒子を添加して得られる変性ポリシラザンである。金属酸化物微粒子添加ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平7−252453号公報を参照されたい。
【0036】
さらに、本発明が特に有効であるポリシラザンとして、本願出願人による特開平4−63833号公報に記載されている改質ポリシラザンがある。この改質ポリシラザンは、数平均分子量約100〜100,000の無機ポリシラザンを、一般式R(R)NH〔式中、Rはそれぞれ独立してアルキル基又はR’R’R’Si−である。但し、R’はそれぞれ独立してアルキル基又水素であるが、少なくとも1個は水素ではない。〕で表されるアルキルアミン、アルキルシラザン又はアルキルアミノシランと反応させて得られる改質ポリシラザンである。この改質ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平4−63833号公報を参照されたい。
【0037】
本発明が特に有効であるさらに別のポリシラザンとして、本願出願人による特開平5−345826号公報に記載されている改質ポリシラザンがある。この改質ポリシラザンは、数平均分子量約100〜100,000の無機ポリシラザンを、アルコール、有機酸、エステル、ケトン、アルデヒド、イソシアネート、アミド又はメルカプタンと反応させて得られる改質ポリシラザンである。この改質ポリシラザンの調製等の詳細については、上記特開平5−345826号公報を参照されたい。
【0038】
本発明の方法によると、上記のようなポリシラザン又はその変性物を適当な溶媒に溶かした溶液を調製する。この溶媒は、得られる金属分散ポリシラザン溶液に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定はされないが、好適なものとしてベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、等の芳香族化合物、シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−ノナン、i−ノナン、n−デカン、i−デカン、等の飽和炭化水素化合物、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、p−メンタン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、等のエーテル類、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類が挙げられる。
これらの溶媒におけるポリシラザン又はその変性物の濃度は、最終的に得られる金属分散ポリシラザン溶液のコーティング用組成物として望ましい濃度にもよるが、一般に0.1〜80重量%、好ましくは1〜40重量%である。
【0039】
本発明の方法によると、塩基性有機化合物と接触させた後の金属塩を、上記のようなポリシラザン又はその変性物の溶液と混合する。混合方法に特に制限はなく、最終的に金属塩とポリシラザン又はその変性物とが十分に混合されればよい。例えば、金属塩と塩基性有機化合物の混合物を単にポリシラザンもしくはその変性物又はその溶液に単に添加してもよいし、前者に後者を徐々に添加してもよい。金属塩とポリシラザン又はその変性物との混合時の温度に特に制限はなく、周囲温度で混合すればよい。また、該混合時の圧力についても特に制限はなく、周囲圧下で混合すればよい。さらに、十分な混合を促進するために機械的攪拌、マグネチックスターラーによる攪拌、等、常用されている一般的な攪拌方法を採用することが好ましい。
【0040】
ポリシラザン又はその変性物と金属塩は、金属塩/ポリシラザン重量比が一般に0.0001〜0.5、好ましくは0.001〜0.2、になるように混合する。金属塩の混合量をこれより増やすとポリシラザンの分子量が上がり過ぎてゲル化し、また、少ないと十分な効果、例えばセラミック化温度の低温化、が達成されない。
混合に際しては、不活性な雰囲気、例えば、窒素、アルゴン等の雰囲気中で混合を行なうことが好ましいが、空気中のような酸化性雰囲気中で混合することも可能である。
このようにして得られた混合物は、粒径0.2μm未満の金属微粒子が均一に分散しているポリシラザン溶液である。この金属分散ポリシラザン溶液はそのまま各種コーティング用組成物として使用することができるため、濾過工程が不要である。
【0041】
本発明の方法によって調製された金属分散ポリシラザン溶液は、セラミックコーティング用組成物として有用である。具体的には、各種基材表面にこの金属分散ポリシラザン溶液を塗布し、そのポリシラザン成分をシリカ、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素に転化(セラミック化)することができる。このセラミック化は、低温(例えば、50℃〜350℃)で焼成することにより、又は場合によっては50℃未満の温度で保持するだけで起こるので、耐熱性の高い基材はもちろん、一般に耐熱性の低い基材、例えば電子部品やプラスチック材、の表面にもセラミックコーティングを施すことができる。金属分散ポリシラザン溶液を用いたセラミック化に関する詳細については前記特開平6−299118号公報を参照されたい。
【0042】
この金属分散ポリシラザン溶液を用いたセラミックコーティングの具体的用途として、半導体、液晶、等の絶縁平坦膜、酸素、水蒸気、ナトリウム、等に対するバリア膜、プラスチックなどの軟質基板の保護膜、金属表面の酸化防止膜、等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0043】
【実施例】
参考例1〔ペルヒドロポリシラザンの合成〕
内容積1Lの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコに脱気した乾燥ピリジンを490ml入れ、これを氷冷した。次にジクロロシラン51.9gを加えると白色固体状のアダクト(SiH2 Cl2 ・2C5 5 N)が生成した。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら水酸化ナトリウム管及び活性炭管を通して生成したアンモニア51.0gを吹き込んだ後、100℃で加熱した。
反応終了後、反応混合物を遠心分離し、乾燥ピリジンを用いて洗浄した後、更に乾燥窒素雰囲気下で濾過して濾液850mlを得た。炉液5mlから溶媒を減圧除去すると樹脂状固体ペルヒドロポリシラザン0.102gが得られた。
【0044】
得られたポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1120であった。
参考例2〔ポリメチル(ヒドロ)シラザンの合成〕
内容積500mlの四つ口フラスコにガス吹き込み管、メカニカルスターラー、ジュワーコンデンサーを装着した。反応器内部を脱酸素した乾燥窒素で置換した後、四つ口フラスコにメチルジクロロシラン(CH3 SiHCl2 ,24.3g,0.221mol )と乾燥ジクロロメタン300mlを入れた。反応混合物を氷冷し、攪拌しながら乾燥アンモニア20.5g(1.20mol )を窒素ガスと共に吹き込んでアンモニア分解を行った。
【0045】
反応終了後、反応混合物を遠心分離した後、濾過した。炉液から溶媒を減圧除去し、ポリメチル(ヒドロ)シラザンを無色の液体として8.79g得た。生成物の数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、400であった。
内容積100mlの四つ口フラスコにガス導入管、温度計、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し、反応系内をアルゴンガスで置換した。四つ口フラスコにテトラヒドロフラン12mlおよび水酸化カリウム0.189g(4.71mol )を入れ、磁気攪拌を開始した。滴下ロートに上述のポリメチル(ヒドロ)シラザン5.00gおよび乾燥テトラヒドロフラン50mlを入れ、これを水酸化カリウムに滴下した。室温で1時間反応させた後、滴下ロートにヨウ化メタン1.60g(11.3mmol) 、および乾燥テトラヒドロフラン1mlを入れ、これを反応溶液に滴下した。室温で3時間反応させた後、反応混合物の溶媒を減圧除去し、乾燥n−ヘキサン40mlを加えて遠心分離し、濾過した。炉液の溶媒を減圧除去すると、ポリメチル(ヒドロ)シラザンが白色粉末として4.85g得られた。得られたポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1060であった。
【0046】
比較例1
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mgとキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を10分間かけて徐々に滴下した。この時、ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン溶液が得られた。
【0047】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、2.0ccでフィルターが閉塞した。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1300であった。
比較例2
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mgとキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
【0048】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を一気に混合した。この時、ポリシラザン溶液は黒色に変化し、同時にゲル化を起こした。
比較例3
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mgとキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
【0049】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を10分間かけて徐々に滴下した。この時、ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン溶液が得られた。これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、2.0ccでフィルターが閉塞した。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1450であった。
【0050】
比較例4
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mgとキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を一気に混合した。この時、ポリシラザン溶液は黒色に変化し、同時にゲル化を起こした。
【0051】
実施例1
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を一気に混合した。ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
【0052】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1140であった。
実施例2
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したポリメチル(ヒドロ)シラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
【0053】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を一気に混合した。ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1060であった。
【0054】
実施例3
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mg、ジエチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を一気に混合した。ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
【0055】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1150であった。
実施例4
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにプロピオン酸パラジウム200mg、DBU(ジアザビシクロウンデセン)0.3g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、プロピオン酸パラジウム溶液を調製した。
【0056】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにプロピオン酸パラジウム溶液を一気に混合した。ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1220であった。
【0057】
実施例5
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーに酢酸パラジウム200mg、n−ペンチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、酢酸パラジウム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これに酢酸パラジウム溶液を一気に混合した。ポリシラザン溶液は徐々に黒色に変化し、金属パラジウムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
【0058】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1120であった。
実施例6
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにアセチルアセトネートニッケル200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、アセチルアセトネートニッケル溶液を調製した。
【0059】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにアセチルアセトネートニッケル溶液を一気に混合し、ニッケルが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1200であった。
【0060】
実施例7
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーにアセチルアセトネートクロム200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、アセチルアセトネートクロム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これにアセチルアセトネートクロム溶液を一気に混合し、クロムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
【0061】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1120であった。
実施例8
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーに酢酸インジウム200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、酢酸インジウム溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これに酢酸インジウム溶液を一気に混合し、インジウムが分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
【0062】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1170であった。
実施例9
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーに酢酸スズ(IV)200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、酢酸スズ(IV)溶液を調製した。
【0063】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これに酢酸スズ (IV) 溶液を一気に混合し、スズ (IV) が分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1120であった。
【0064】
実施例10
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーに酢酸スズ(II)200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、酢酸スズ(II)溶液を調製した。
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これに酢酸スズ (IV) 溶液を一気に混合し、スズ (II) が分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
【0065】
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1130であった。
実施例11
容量300mlのガラス製ビーカーに参考例1で合成したペルヒドロポリシラザン20gとキシレン80gを導入して撹拌し、ポリシラザン溶液を調製した。次に、容量100mlのガラス製ビーカーに塩化白金200mg、n−ブチルアミン1.0g、およびキシレン40gを導入して撹拌した後、これを濾紙(5A)で濾過し、塩化白金溶液を調製した。
【0066】
調製したポリシラザン溶液をスターラーで撹拌しながら、これに塩化白金溶液を一気に混合し、白金が分散したポリシラザン・キシレン溶液が得られた。
これをPTFE製フィルター(直径20mmφ、濾過精度0.2μm)で濾過したところ、50cc通液してもフィルターは閉塞しなかった。濾液のポリマーの数平均分子量をポリスチレンを基準とするGPC法により測定したところ、1130であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明の方法によると、ポリシラザンと金属塩の接触工程に特別な速度制御を行わなくても、その後の濾過工程を不要とするに十分な均一性を示す金属分散ポリシラザン溶液を短時間で調製できる。

Claims (1)

  1. 遷移元素から成る群より選ばれた少なくとも一種の金属の塩を、塩基性有機化合物と接触させた後、主として下記一般式(I):
    Figure 0003635422
    (上式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を表わすが、但し、R1 、R2 及びR3 のうち少なくとも1つは水素原子である)で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均分子量100〜5万のポリシラザン又はその変性物を溶媒に溶かした溶液と混合することを特徴とする、金属分散ポリシラザン溶液の調製方法。
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