JP3635252B2 - 酸化金属の還元方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉状の鉱石から酸化金属、および、金属の精錬業および加工業において発生する金属酸化物を含むダストおよびスラジを還元する際に、中間原料としてペレットを製造して、このペレットを回転炉床式の還元炉で焼成還元する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
還元鉄や合金鉄を製造する金属還元プロセスとしては各種のものがあるが、この内で、生産性の高いプロセスとして、回転炉床法での操業が実施されている。回転炉床法は、固定した耐火物の天井および側壁の下で、中央部を欠いた円盤状の耐火物の炉床がレールの上を一定速度で回転する型式の焼成炉(以下、回転炉と称す)を主体とするプロセスであり、酸化金属の還元に用いられる。回転炉の炉床直径は10〜50メートルかつ、幅は2〜6メートルである。
【0003】
原料としては、粉状の鉱石や酸化金属ダストなどの酸化金属と還元剤としての炭素を用いる。還元鉄の製造では、ペレットフィード等の微粒の鉄鉱石等が用いられる。還元剤は炭素を用いるが、還元反応の生じる温度である1100℃程度までに、揮発しない炭素分(固定炭素)の比率が高いものが望ましい。この様な炭素源は、粉コークスや無煙炭が良い。
【0004】
酸化金属を含む粉体と炭素粉を混合した後、これを粒状に成形する。この原料成形体を回転炉の炉床上に、均一に敷きつめられるように供給する。回転炉では、炉床が回転していき、炉床上の成形体とともに炉内の各部分を移動する。原料成形体は高温ガスの輻射により加熱されて、成形体内の炭素により、酸化金属が還元される。回転炉内では、原料成形体が炉床上に静置されていることから、原料成形体が炉内で崩壊しづらいといった利点がある。その結果、耐火物上に粉化した原料が付着する問題が無く、また、塊の製品歩留が高いと言った長所がある。また、生産性が高く、安価な石炭系の還元剤や粉原料を使用できる利点もある。
【0005】
さらに、回転炉床法は、高炉、転炉、電気炉から発生する製鉄ダストや圧延工程でのシックナースラジの処理にも有効である。これらのダストやスラジは、還元されるとともに、亜鉛、鉛、アルカリ金属、塩素、等の不純物が除去される。特に、これらの不純物の多いダスト処理プロセスとしても使用され、金属資源のリサイクルに有効なプロセスである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
回転炉では、回転する炉床上に、酸化金属と炭素を含む粉体原料からなる粒状の成形体を敷き詰めて、これを加熱して、還元する。成形体は炉床上で相対的に静置されている。その結果、ハンドリング性の良い粒状の還元金属が得られる。成形体のように粉体が集合していると、酸化金属と炭素の接触が良く、還元反応が活発に起きやすい。
【0007】
回転炉床式の還元炉で、成形体が粉化すると、この酸化金属粉が炉床上に蓄積して、1200℃以上の高温で加熱され焼結する。焼結した粉は、互いに結合するとともに、炉床とも焼結結合して、炉床に固着する。固着した粉は炉床上にビルトアップしていき、炉床上の還元成形体を排出するスクリュー式排出機のブレードを磨耗させる。その結果、このブレード寿命が極端に短くなる。通常の操業では、1年以上の寿命があるブレードが、1ヶ月で交換する場合もある。また、炉床のビルトアップに伴い、成形体を正常に炉床上に敷き詰めることができなくなる。これを解消しようとするためには、炉全体を冷却して、ブレーカーなどの機械で炉床のビルトアップ部分を壊して、排出しなければならない。その結果、そのたびに、5日以上の設備休止が必要となり、稼働率が大幅に低下する問題があった。
【0008】
これらの問題を解決するためには、粉の発生が少ない成形体を供給することが重要である。粉の少ない成形体としては、パン式造粒装置で球状のペレットを製造する方法、押し型で成形他するブリケット成形方法、および、穴型のあるプレートから成形体を押し出す型式の押し出し成形方法などがある。これらの中で、パン式造粒装置のペレットは、緻密で強度の高い原料ペレットを安価に製造できるメリットがある。したがって、パン式造粒法が多く採用されている。しかしながら、従来の造粒方法では、ただ単に、粉の酸化金属と粉の炭素源を混合して、造粒する考えしかなく、必ずしも、回転炉床法に向いたペレットを製造できているわけではなかった。
【0009】
例えば、特開平11-241125の特許に示されているように、造粒装置からペレット乾燥装置を経由して、乾燥ペレットを回転炉に供給する装置が示されている。これは原料ペレットを事前乾燥して、原料ペレットが高温の炉床上での水分起因の爆裂を防止するための装置であり、重要な技術である。しかし、以上に説明した各工程を通過する際に崩壊しない、高強度の原料ペレットの製造方法と設備構成については未解明であった。
【0010】
例えば、特開平11-193423には、有機系バインダーを使用することにより、原料ペレットの強度を高める方法が記載されている。しかしながら、この方法でも、単にバインダーを入れれば良いとの発想で、粒径分布などの原料物性を適切にコントロールすることによる、原料ペレットの強度アップと安定的な造粒条件を解明できていなかった。
【0011】
また、例え、原料ペレットの強度が高くとも、ペレットのハンドリングが不適切であれば、分級や乾燥の操作中や搬送中に原料ペレットが壊れて、粉が発生する。したがって、原料ペレットを崩壊しないように、ハンドリングすることも重要な技術である。しかしながら、従来方法では、この事実に十分な認識がなく、ひどい場合は、搬送中や乾燥時に原料ペレットの20〜30%もが崩壊して粉になっていた。
【0012】
また、炉床への供給時の原料ペレット乾燥時の崩壊も問題である。パン式造粒装置で製造したペレットは緻密で、含水状態では強度が高いものの、乾燥すると強度が低下する。したがって、乾燥された原料ペレットを炉床上に落とす際には、崩壊を防止することが重要であるが、この点についても十分な技術対応がなされてきていなかった。
【0013】
以上に説明したように、回転炉床法においては、湿状態でも、また、乾燥状態でも、強度が高いペレットを製造する必要があり、他の目的に使用するペレットよりも、いっそう強度が高いペレットを製造する必要がある。したがって、従来の技術では、強度の高いペレットを製造して、これを崩壊しないようにハンドリングする方法を実現するための新しい技術が望まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その要旨とするところは、
(1)10μm以下の粒子の比率が20〜80質量%となるように粒径分布を調整した酸化金属と炭素を含む粉体を原料として、パン式造粒装置でペレットを製造して、当該ペレットを連続式分級装置にてアンダーサイズのペレットを除去した後に、連続式ペレット乾燥機にて含有水分を低下させ、当該乾燥ペレットを回転炉床式還元炉にて、焼成還元する酸化金属の還元方法であり、かつ、これらの単位操作の間、当該ペレットを連続的に搬送することを特徴とする酸化金属の還元方法、
(2)10μm以下の粒子の比率が20〜80質量%である、酸化金属と炭素を含む粉体を原料として、パン式造粒装置で気孔率が32%以下のペレットを製造する前記(1)記載の酸化金属の還元方法。
(3)パン式造粒装置から連続式ペレット乾燥機までの搬送でのペレットの落下距離の合計が7m以下で、かつ、連続式ペレット乾燥機から回転炉床式還元炉の炉床までの搬送でのペレットの落下距離の合計が4m以下である前記(1)又は(2)記載の酸化金属の還元方法。
(4)連続式分級装置にて、2mm以上の幅の篩目にてアンダーサイズのペレットを除去するとともに、30mm以下の幅の篩目にて、オーバーサイズのペレットを除去することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸化金属の還元方法、および、
(5)パン式造粒装置で製造したペレットを貯留することなく、パン式造粒装置から回転炉床炉まで搬送することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の酸化金属の還元方法、である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の操業方法を行う回転炉床式の還元プロセス全体略図を図1に示す。この設備は、主として、複数の原料備蓄ビン1、混練装置5、パン式造粒装置7、ペレット篩装置9、ペレット乾燥装置11、および、回転炉13からなるものである。なお、本明細書では、ボールミル式の混練装置と廃熱回収の熱風式のペレット乾燥装置を設置した例を示す。
【0016】
原料である酸化金属や炭素を含む粉体は、造粒性能、還元のための化学成分、その他要求される特性をコントロールするために、2種類以上のものを用いる。本設備で行った例でいえば、比較的粗い酸化鉄、細かい酸化鉄、および、粗いコークス粉の3種類の粉体を用いた。ペレットフィードと呼ばれる粉鉄鉱石は、回転炉床式還元炉には、やや粗い粒子で酸化鉄を多く含む。また、転炉ダストは、細かい粒子で酸化鉄を多く含む。粉コークスは、粗い粒子で、炭素を多く含む。この3種類を原料として、各々を単独で備蓄ビン1に入れる。
【0017】
複数の原料備蓄ビン1から、原料混合比率を決めて、複数の原料を原料コンベア2上に切り出す。そのためには、原料備蓄ビン1の粉体切出し装置は可変の定量切り出し機能を有することが必要である。粒径、化学成分、および、含有水分を主な調整項目として、混合比率を決める。原料ペレットの強度を高めるためには、適切な粒径分布が必要であることから、粗い粉体と細かい粉体を所定の比率で混合する。また、還元反応を適切に行うために、酸化金属と炭素の比率を適切にする。以上の2項目を適正にすることを主体に、原料コンベア2上に、決められた比率で粉体を払い出す。なお、水分は、混練装置5やパン式造粒装置7での適正な水分よりも低めになるように設定する。したがって、各原料の化学成分、粒径分布、含有水分等については、予め測定しておく。
【0018】
原料コンベア2上に乗せられた原料の水分比率が、混練装置5での適正水分比率以下である場合には、水分添加装置3にて水分を加え、調湿原料コンベア4で、混練装置5に送られる。原料の混合比率は、粒径と化学成分を第一優先条件として行うため、必ずしも、混合物の水分が混練装置5に適正な範囲とは限らない。また、原料の水分は、天候やその他の条件により変動する。したがって、この位置での水分調整は非常に重要である。
【0019】
混練装置5で、原料を均一に混合する。この時に、粉体を軽度に破砕すると、造粒工程でのペレットの生産が安定し、ペレット強度が向上することから、ボールミルなどの破砕機能を持つ混練装置が望ましい。混練装置5は、その機種とサイズにおいて適正な粉体水分がある。ボールミルの場合は、水分が約6〜9%の範囲であることが望ましい。
【0020】
混練を終わった原料粉体は、混練原料コンベア6で、パン式造粒装置7に送られる。ここでは、直径が2〜6mの約45度の傾斜した中華鍋型のパンで、粉体を転動して、生成核の周りに、粉をまぶして数mm〜30mm程度のペレットを製造する。パン式造粒装置で、高強度のペレットを安定した生産性で製造するためには、原料粉体の粒径分布と含有水分が適正である必要がある。なお、一般的に、回転炉床法で要求されるペレット強度は、圧潰強度で2×105N/m2以上である。また、このようなペレットは、50cmを落下させた際の割れるまでの回数で定義される50cm落下強度は、含水状態で10〜15回程度、乾燥状態で4〜8回である。この条件を満たす原料ペレットの製造方法を以下に述べる。
【0021】
適正な粒度分布の原料を用いると、ペレット内部で粉体が緻密になり、ペレットの強度が高まる。また、パン式造粒装置でのペレット径が均一になり、また、排出速度も一定になる。本発明者らは、そのための適正な粒径分布を調査した。その結果、細かい粒子と粗い粒子がある比率で混合されている場合に、高強度のペレットが製造できることを解明した。
【0022】
本発明者らが行った実験では、以下のことが解明された。細かい粒子として、10μm以下の粒子が20%以上あれば、ペレットの粉体充填率が上がり、強度も要求される値よりも高かった。一方、全てが10μm以下の粒子の原料を造粒したところ、パン式造粒装置7の中で、うまく核が形成されずに、安定したサイズのペレットを製造することをできなかった。また、ペレットの強度も高くなかった。粒子が細かすぎて、パン式造粒方法に適正でなかったためである。そこで、同様の原料であるが、10μm以上の粒子が20%以上ある粉体を造粒したところ、安定した粒径で、高強度のペレットを製造することができた。つまり、10μm以下の粒子が20〜80%の範囲であることが、パン式造粒装置7で、回転炉床法での還元に適した高強度のペレットを製造するための重要な操業条件である。
【0023】
また、パン式造粒装置7では原料水分をきめ細かく制御する必要がある。水分が低すぎると、ペレットの成長が遅く、また、緻密で強度の高いペレットを製造できない。また、水分が多すぎると、成長を始めた小径のペレット同士がくっ付いて、異常な形状のペレットができる。この状態では、ペレットの強度が極端に低い。また、ペレットが造粒装置から安定して出てこなくなり、間欠的なペレット排出が行われるようになる。この結果、下流工程であるペレット乾燥装置11や回転炉13の処理時間当たりの量が短時間で変動して、プロセス全体の操業が不安定となる。
【0024】
そこで、本発明者らは、パン式造粒方法に適正な水分値を求めたところ、粉体の種類や粒径により異なるが、8〜13%の間に適正な値があることを見出した。ただし、粉体の種類と粒径が同一な場合は、操業中の水分の変動幅を2%以下としないと、前述した問題が生じて、造粒が不安定となる。したがって、混練工程で造粒に適切な水分に調整することは重要である。混練工程の水分が造粒工程の適正水分値よりも低い場合は、図1には記載がないが、水分添加装置で、混練工程と造粒工程の間に、水分を添加する。
【0025】
また、原料の構成によっては、粒度分布が適正であっても、ペレット強度が低い場合がある。このような場合にはバインダーを混合することが有効な方法である。本発明者らは、高温の炉内でペレットを還元する際に障害となるガスや水分を出さないバインダーは、ベントナイトとコーンスターチであることを見出した。これらの適正混合率は、ベントナイトで0.5〜4%、コーンスターチで1%以下であった。この比率以上のバインダーを混合すると、水分が多い場合と同じで、成長過程の小径ペレット同士がくっ付く現象が起き、造粒操作の安定性とペレット強度に問題が生ずる。
【0026】
以上の方法で、適正にペレットを製造すれば、気孔率が32%以下の緻密なペレットを製造することができる。この結果、圧潰強度2×105N/m2以上で、かつ、50cm落下強度が、含水状態で50cm落下強度10〜15回、乾燥状態で5〜8回のペレットを製造できる。
【0027】
パン式造粒装置7で製造されたペレットには、小径のペレットと粉も含まれている。小径ペレットと粉は、ペレット乾燥装置11でペレット間の気流の流れを阻害する問題や、回転炉の炉床上にビルトアップするなどの問題を起こす。そこで、生ペレットコンベア8で、ペレット篩装置9に送り、ここで小径ペレットと粉を排除する。篩目が細すぎると、目詰まりを起こしやすいので、篩目は2mm以上の間隔とする。
【0028】
このペレット篩装置9で、オーバーサイズのペレットを排除することも、有効な方法である。ペレットは大きいほど強度が低い。また、大きすぎるペレットは内部の熱伝導に時間がかかり、回転炉内での還元時間が長くなる問題がある。特に、ペレット強度を確保する観点からは、30mm以上のペレットを排除することが有効な方法である。
【0029】
ペレット篩装置9をペレット乾燥装置11の前に設置することが本発明の重要な条件である。なぜならば、一般的に、篩装置で分級する際には、振動等の機械的な操作を行う。含水ペレットは比較的強度が高いため、このような機械的な揺動に耐えられる。つまり、含水ペレットを篩装置にかけて分級すれば、崩壊するペレットが少ない。しかし、乾燥ペレットは強度が低く、崩壊するものが多い。そこで、図1に記載されているように、含水状態でペレットを分級することが有効な方法である。
【0030】
分級が終わったペレットを、篩後コンベア10でペレット乾燥装置11に送り、ここで乾燥する。機種としては、熱風式の乾燥機が望ましい。また、省エネルギーの意味合いからは、回転炉の排ガスの顕熱を回収する熱交換器18で熱風を作り、これを乾燥に用いることが経済的である。水分の蒸発に伴うペレットのクラック発生を防止するために、乾燥は250℃以下の低温で行う。
【0031】
ペレットを、パン式造粒装置7で製造してから、回転炉13の炉床26上に供給するまでの間には、ペレットを連続的に処理・搬送して、備蓄しないことが重要である。また、ペレット篩装置9とペレット乾燥装置11では、ペレットを連続的に処理する必要がある。バッチ処理を行う場合では、間欠的な処理の前後に、ペレット貯留槽や払い出す装置などが必要となる。ペレットをヤードやビンに備蓄すると、上に乗ったペレット加重により、下のペレットが崩壊することや、払出しの際にショベル車や切出し装置が機械的な衝撃を与えることがあり、ペレットが容易に崩壊する。
【0032】
また、この理由から、パン式造粒装置7から回転炉13の間は、ペレットを備蓄せずに、連続搬送装置により、搬送することが重要な方法である。連続式搬送装置としては、ベルトコンベアとパイプコンベアが有効である。これらは、搬送中にペレットに無理な力がかからないからである。また、短距離であれば、振動式コンベアの搬送も可能である。これらの機器の特徴を活かして、各搬送装置を適正な場所に用いることが望ましい。
【0033】
また、前述の処理と搬送方法で適切に操業を行った場合でも、パン式造粒装置7で製造したペレット強度では、搬送中の合計落下距離が長い場合は、落下衝撃でペレットが破壊する。本発明者らは、ペレット強度は、乾燥前で50cm落下を最大15回、乾燥状態で50cm落下を最大8回であり、このペレット強度から考慮して、ペレットが含水状態の範囲のパン式造粒装置7からペレット乾燥装置11までの合計落下距離が7m以下、また、ペレットが乾燥状態の範囲のペレット乾燥装置11から回転炉13の炉床25までの合計落下距離が4m以下であることが必要であることを解明した。
【0034】
乾燥後のペレットは乾燥ペレットコンベア12で、回転炉13に送られて、ここで焼成還元される。還元されたペレットは、炉内から排出されて、還元ペレット冷却装置14で冷却されて、還元ペレットコンベア15経由で、還元ペレット備蓄槽16に蓄えられる。燃焼排ガスは、排気ダクト17から、熱交換器18に送られて、ここで空気を加熱する。この空気はペレットの乾燥の熱源として用いられる。その後、燃焼排ガスは集塵機19で除塵されて、煙突20から大気に放散される。
【0035】
また、図2に示されるように、回転炉13は、天井22と炉壁23の下に、車輪27上を移動する回転式の炉床25がある構造である。ペレット28は炉床25上に静置されて、炉内を一周する。炉内では、バーナー24から燃料ガスを炊き、火炎26の熱により、ガスの最高温度を1200〜1400℃の間の適正な温度とする。ペレット28は、当初、ガスの酸化度が高く、900〜1200℃の炉内部分(加熱帯)に入り、加熱される。その後、ガス酸化度が低く、高温の部分(還元帯)で、ペレットは還元される。
【0036】
通常の操業では、加熱帯の雰囲気温度の900〜1200℃で、炉床の温度は1000〜1150℃である。この温度条件で、気孔率が32%以下の緻密なペレットが水分起因の爆裂を起こさないためには、ペレットの水分が低いことが重要である。本発明者は、本発明の方法で製造したペレットが、この条件で爆裂しない水分を調査した結果、水分が2%以下であれば、問題がなかった。したがってペレットの乾燥後の水分は2%以下とすることが有効な方法である。
【0037】
還元帯では、ペレットは1200℃以上に加熱され、酸化金属と炭素が反応して、還元金属と一酸化炭素が生成する。また、亜鉛や鉛などの約1200℃で、蒸気圧が高い金属はペレットから蒸発除去される。6〜20分間の還元の後に、ペレットの鉄やニッケルなどの比較的還元されやすい金属は還元される。その後、ペレットは排出装置により、炉内から排出される。
【0038】
回転炉から排出された還元ペレットは、高温のままで、溶解工程に送られるか、冷却されて、高炉、電炉、転炉などの利用工程に送られる。図1では、還元されたペレットを冷却する設備を示している。この際に、高炉で還元ペレットを使用する際には、これが粒状であることが必要である。つまり、高炉では、炉内ガス流速が速いため、粉は吹き飛ばされる問題などがあり、粒径が3〜5mm以上の粒状の原料を用いる。本発明によって製造された還元ペレットは、粒状の比率が高いことから、高炉使用の還元ペレット製造には、特に、適した方法である。
【0039】
【実施例】
図1に示される回転炉床式還元炉の設備を用いて操業した結果を示す。この設備は、毎時15トンの高炉向け還元鉄ペレットを製造するものである。原料備蓄ビンは3基あり、ペレットフィードの粉鉱石、転炉ガスダスト、コークス乾式冷却装置の集塵コークス粉をこれらの中に入れた。
【0040】
ペレットフィード粉鉱石は、酸化第二鉄(Fe23)が89%で、平均粒径が68μm、10μm以下の粒子の比率が13%のものであった。また、転炉ガスダストは、酸化第一鉄(FeO)が34%、金属鉄が43%で、平均粒径が6μm、10μm以下の粒子の比率が81%のものであった。集塵コークス粉は、炭素が83%で、平均粒径が89μm、10μm以下の粒子の比率が8%のものであった。
【0041】
実施例では、ペレットフィード粉鉱石を40%、転炉ガスダストを37%、および、集塵コークス粉を23%の比率で混合して、原料搬送コンベア2の上に切り出した。この混合物の平均粒径は50μmで、10μm以下の粒子の比率は36%であった。また、炭素と酸化鉄と結合している酸素との原子モル比率は0.86であった。この混合物の10μm以下の粉体比率は、20〜80%の範囲に入っており、本発明に従った配合方法であった。
【0042】
この混合粉体の水分は5.7%であった。一方、図1でのボールミル式の混練装置5で適正に混練できる水分値は、7〜9%であることから、水分添加装置3で、8.2%の水分となるように、散水して加水した。なお、ボールミルでは、水分が低すぎると混合が悪く、水分が高すぎると円筒内壁に粉体が付着するため、この範囲の水分に制御することは重要である。ここで、混合粉体を十分に混合して、次の造粒工程に送る。
【0043】
パン式造粒装置7にて、この混合粉体を造粒した。この実施例での造粒に適正な水分値は、9.5〜11%である。また、パン式造粒装置7では、1〜1.5%の水分をここで散水することにより、造粒を安定化させる。この実施例では,パン式造粒装置7に入る前の混合粉体の水分は適正範囲であったことから、パン式造粒装置7の前では加水しなかった。ただし、混合粉体の水分が低い場合は、これに加水する。なお、本実施例では、バインダーとして、ベントナイトを粉体質量の1.4%添加した。
【0044】
造粒されたペレットは、平均径が13.4mmで、平均圧潰強度が2.9×105N/m2であり、強度の強いペレットであった。また、このペレットの50cm落下強度は、水分を含んだ状態で9回、乾燥した状態で4回であった。
【0045】
このペレットを連続式ペレット篩装置9で、5mm以下と25mm以上のものを除去した後に、ペレット乾燥装置11で、これを乾燥し、回転炉13に供給した。この間に、還元前に壊れたペレットは全体の7.5%であった。12分間、最高1320℃の温度で、還元された炉内から排出された還元ペレットの4mmオーバーの粒比率は92%で、金属化率は92%と良好であった。
【0046】
次に、比較例として、従来法に基づく操業を行った結果を示す。設備は図1のものを用いたが、操業方法は、従来のままのものである。原料としては、前出のペレットフィード粉鉱石74%と集塵コークス粉26%の混合物を用いた。この時の10μm以下の粒子比率は12%で、また、炭素と酸化鉄と結合している酸素との原子モル比率は0.86であった。
【0047】
この混合粉体を水分調整した後に、パン式造粒装置7で、ペレットにした。操業方法は、実施例と同じであった。この結果、平均径が12.8mmのペレットを得たが、平均圧潰強度が1.3×105N/m2であり、強度が低かった。また、このペレットの50cm落下強度は、水分を含んだ状態で5回、乾燥した状態で1回であった。
【0048】
このペレットを実施例と同様に、分級、乾燥、還元した。その結果、還元前に壊れたペレットは全体の19.8%と多かった。また、還元ペレットの4mmオーバーの粒比率は78%と少なく、かつ、金属化率は78%と低かった。このように、操作や搬送中に壊れるペレットの比率が多く、また、炉床25上で粉になったものの比率が多かったため、粉が炉内や排出後に再酸化されて、金属化率も大幅に低下していた。
【0049】
このように、本発明を用いた操業である実施例では、処理途中で壊れるペレットが少なく、かつ、製品の還元ペレットの粒比率と金属化率が高い操業が行えた。一方、比較例では、これらの成績が悪かった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の回転炉床法による還元炉の操業方法と設備を用いれば、強度の高い原料ペレットを製造して、このペレットを壊すことなく、還元炉で焼成還元することができる。その結果、回転炉床法での原料ペレットの粒の比率が高く、かつ、還元製品も還元率が高い、安定した操業を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する回転炉床式還元設備の全体フロー図であり、原料準備工程から還元工程を示すものである。
【図2】回転炉の断面を示す図である。
【符号の説明】
1 原料備蓄槽
2 原料コンベア
3 水分添加装置
4 調湿原料コンベア
5 混練装置
6 混練原料コンベア
7 パン式造粒装置
8 生ペレットコンベア
9 ペレット篩装置
10 篩後コンベア
11 ペレット乾燥装置
12 乾燥ペレットコンベア
13 回転炉
14 還元ペレット冷却装置
15 還元ペレットコンベア
16 還元ペレット備蓄槽
17 排気ダクト
18 熱交換器
19 集塵機
20 煙突
21 予熱空気ダクト
22 天井
23 炉壁
24 バーナー
25 炉床
26 火炎
27 車輪
28 ペレット

Claims (5)

  1. 10μm以下の粒子の比率が20〜80質量%となるように粒径分布を調整した酸化金属と炭素を含む粉体を原料として、パン式造粒装置でペレットを製造して、当該ペレットを連続式分級装置にてアンダーサイズのペレットを除去した後に、連続式ペレット乾燥機にて含有水分を低下させ、当該乾燥ペレットを回転炉床式還元炉にて、焼成還元する酸化金属の還元方法であり、かつ、これらの単位操作の間、当該ペレットを連続的に搬送することを特徴とする酸化金属の還元方法。
  2. 10μm以下の粒子の比率が20〜80質量%である、酸化金属と炭素を含む粉体を原料として、パン式造粒装置で気孔率が32%以下のペレットを製造することを特徴とする請求項1記載の酸化金属の還元方法。
  3. パン式造粒装置から連続式ペレット乾燥機までの搬送でのペレットの落下距離の合計が7m以下で、かつ、連続式ペレット乾燥機から回転炉床式還元炉の炉床までの搬送でのペレットの落下距離の合計が4m以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の酸化金属の還元方法。
  4. 連続式分級装置にて、2mm以上の幅の篩目にてアンダーサイズのペレットを除去するとともに、30mm以下の幅の篩目にて、オーバーサイズのペレットを除去することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の酸化金属の還元方法。
  5. パン式造粒装置で製造したペレットを貯留することなく、パン式造粒装置から回転炉床炉まで搬送することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の酸化金属の還元方法。
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