JP3634569B2 - 透光性遮音板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遮音を目的として主として道路や鉄道の沿線等に沿って設置される透光性遮音板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両からの騒音の遮音を目的として、道路や鉄道の沿線等に沿って遮音板が設置されている。かかる遮音板はPCコンクリートや金属等の不透光性の遮音板から形成されたものもあるが、不透光性の遮音板から形成されたものは遮音性に優れるものの、高架道路に設置する場合は基礎部分となる土台との関係において重量的に重くなり、また不透光性により周囲の風景が遮られるため、圧迫感があり、また景観性に乏しいものとなる等の問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで近年では軽量化を図ると共に周囲の風景が遮られないように、透光性を有するポリカーボネート等の合成樹脂板からなる透光板で形成された遮音板が富に用いられるようになっている。従来、かかる透光性遮音板としては、断面L字状の金属製枠材により四角形状に枠組みされた枠体の前面に透光板をボルト止めにより取付けたものがある。また図6の如く、長さ方向に沿った開口部aを有する長尺枠材bを開口部aを内側にして四角形状に枠組みして枠体を形成し、開口部aの入口よりも大きい抜け止めピンcを取付けた透光板dの周縁部を、前記枠材bの開口部aの中に挿入することにより枠体内に透光板dを保持したものもある。
【0004】
しかしながら金属製枠体の前面に透光板をボルト止めしたものは、金属製枠体と透光板との熱膨張率が異なることから、透光板が膨張、収縮することにより透光板が波打ち、歪みやすい問題がある。
【0005】
また枠材の開口部の中に抜け止めピンを取付けた透光板の周縁部を挿入保持したものは、透光板の周縁部を挿入可能なように、枠材の開口部の幅寸法を透光板の厚みより若干広く設定しているので、車両の通過による振動や風圧等により透光板が開口部の中で振動し、周縁部が傷ついたり、騒音が発生しやすい等の問題がある。また透光板の周縁部を枠材の開口部の中に挿入するに際しても、透光板の周縁部に予め抜け止めピンを取付けているので、刀を鞘に差込むように長手方向に沿って透光板の周縁部を枠材の端部より開口部に差込んで挿入する必要があるために、組み立てに手間である等の問題もある。
【0006】
そこで本発明は、上記の如き問題点を解決し、透光板の振動を防止すると共に透光板の膨張、収縮による波打ちや歪みの発生を防止し、且つ組み立てが容易である透光性遮音板を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち本発明に係る透光性遮音板は、長さ方向に沿って開口部を有する長尺枠材が開口部を内側にして四角形状に枠組みされて枠体が形成され、弾性材からなる縁取り部材が装着されると共に抜け止め孔が穿設された透光板の周縁部が枠材の開口部の中に圧入されて透光板が枠体内に保持されており、且つ透光板の抜け止め孔に対応して枠材の側面に穿設された挿入孔より、抜け止め孔に対し相対的に小径の抜け止めピンが挿入されると共に抜け止め孔を貫通してその先端部が前記挿入孔と向かい合う開口部の内壁に支持され、前記縁取り部材は、断面が略コ字状となされ、長手方向に沿って透光板の縁部が挿入される凹溝が形成されると共に、外側面に弾性変形可能なくさび状の突条が長手方向に沿って複数本突設され、このくさび状の突条が圧縮された状態で、透光板の縁部が枠材の開口部の中に圧入されていることを特徴とするものである。
【0008】
すなわち本発明は、弾性材からなる縁取り部材が装着された透光板の周縁部が枠材の開口部の中に圧入され、すなわち縁取り部材が透光板の縁部と開口部の内壁との間に圧縮状態で介在されているので、車両の通過による振動や風圧等をよる透光板の振動が抑えられ、また例え振動しても、縁取り部材により保護されるので周縁部が傷ついたり、騒音が発生するようなことがなくなる。
【0009】
また本発明は、枠材の開口部の中に圧入されている透光板の周縁部に抜け止め孔が穿設され、この抜け止め孔に対応して枠材の側面に穿設された挿入孔より、抜け止めピンが抜け止め孔を貫通して挿入されているので、透光板は抜け止めピンにより係止されて枠体より抜け落ちることがない。なおこの抜け止めピンは先端部が前記挿入孔と向かい合う開口部の内壁に支持されて、所謂両端支持の構造となっているので、抜け止めピンの曲げ方向、すなわち透光板の抜け落ち方向の耐力が強く、透光板を確実に係止して抜け落ちを防止することができる。
【0010】
さらに本発明は、抜け止めピンはその直径を抜け止め孔に対し相対的に小径としているので、透光板は抜け止め孔の孔径と抜け止めピンの直径の差の分だけ抜け止めピンに対して遊動可能であり、透光板の膨張、収縮が生じても透光板がそれにつれて遊動することにより、波打ちや歪みの発生が防止される。
【0011】
さらにまた本発明は、まず透光板の周縁部を枠材の開口部の中に圧入し、次いで枠材の側面の挿入孔より抜け止めピンを挿入すると共に抜け止め孔を貫通させてその先端部を前記挿入孔と向かい合う開口部の内壁に支持させることにより組み立てることができるので、従来の如く長手方向に沿って透光板の周縁部を枠材の端部より開口部に差込んで挿入する必要がなく、開口部に沿って透光板の周縁部を当接させた状態で圧入すればよいので、組み立てに手間がかからず容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態につき図面に基づき具体的に説明する。
まず図1は本発明の実施の一形態を示す正面図、図2は透光板部分の分解組立断面図、図3は全体の分解組立断面図、図4は主要部の断面図である。
【0013】
図1〜4において、1は枠体であり、2はこの枠体1を構成する枠材である。枠材2は、好適には軽量且つ強度、耐食性に優れるアルミニウム合金や、その他、鉄等の金属やFRP樹脂等を用いた、断面円形、方形、多角形等の適宜形状の中空長尺型材から形成され、一側面には長さ方向に沿って開口部21が形成されているものである。そしてこの長さ方向に沿って開口部21が形成された長尺枠材2がその開口部21を内側にして溶接、ビス止め等に適宜接合手段により四角形状に枠組みされて枠体1が形成されている。
【0014】
3は透光性を有する透光板であって、耐衝撃性にすぐれたポリカーボネート板が好適に用いられるが、アクリル樹脂や硬質のポリ塩化ビニル等、またはこれら等の複合体からなる適宜材質の合成樹脂板やガラス等が用いられていてもよい。この透光板3は前記枠体1に対応する四角形状となされている。
【0015】
4は前記透光板3の周縁部に沿って装着されたゴムや軟質合成樹脂等の弾性材からなる縁取り部材である。この縁取り部材4は、断面が略コ字状となされて長手方向に沿って凹溝41が形成されると共に、外側面には容易に弾性変形可能であるくさび状の突条42が長手方向に沿って複数本突設されている。そして前記凹溝41に透光板3の縁部を挿入させることにより、透光板3の縁部に沿って装着されるようになされている。
【0016】
また縁取り部材4が装着された透光板3の縁部には、抜け止め孔5が穿設されている。具体的には透光板3と縁取り部材4とにそれぞれ予め抜け止め孔5が穿設され、縁取り部材4が装着された状態でこの両抜け止め孔5が合致して貫通するようになされている。
【0017】
かようにして縁取り部材4が装着されると共に抜け止め孔5が穿設された透光板3の周縁部は、前記縁取り部材4のくさび状の突条42を圧縮した状態で枠材2の開口部21の中に圧入されて、透光板3は枠体1内に保持されている。さらに透光板3の抜け止め孔5に対応して枠材2の側面に穿設された挿入孔22より、抜け止め孔5に対し相対的に小径の丸棒状の抜け止めピン6が挿入されると共にこの透光板3の抜け止め孔5を貫通し、その先端部は挿入孔22に向かい合う開口部21の他方の内壁に形成された凹所23に挿入支持されている。
【0018】
なお抜け止め孔5の孔径に対して抜け止めピン6の直径をどの程度小径にするかについては、透光板3の熱による膨張及び収縮を妨げることなく遊動できる程度の径差にするのが好ましい。従って抜け止め孔5は丸孔でもよいが、抜け止めピン6に対して膨張及び収縮方向に長孔としてもよい。
【0019】
なお縁取り部材4の上部を、枠材2の開口部21の上方より突出させ、その突出部分を幅方向に広げて開口部21を覆う庇部43を形成することにより、開口部21内に雨水やゴミ等が侵入しないようにするのが好ましい。また開口部21の内壁には、縁取り部材4のくさび状の突条42に係合して縁取り部材4が開口部21内を不必要に游動しないようにする係止条24を設けておくのが好ましい。さらに抜け止めピン6が抜けないように、抜け止めピン6が挿入された枠材2の挿入孔22の上から、その挿入孔22を塞ぐカバー7を取付けておくのが好ましい。
【0020】
次に上記形態に係る透光性遮音板の組立方法を説明する。
まず、予め抜け止め孔5が穿設された透孔板3の周縁部に、同じく前記抜け止め孔5に対応した位置に抜け止め孔5が穿設された縁取り部材4を、両抜け止め孔5を合致させて装着する。また前記透孔板3の四辺に対応した長さの枠材2を用意する。
【0021】
そして縁取り部材4が装着された透光板3の四辺の縁部を、順次枠材2の開口部21上に当接させ、縁取り部材4のくさび状の突条42を圧縮させつつ開口部21内に圧入し、透光板3の各縁部に枠材2を装着する。その後、各枠材2の端部を溶接、ビス止め等に適宜接合手段により四角形状に枠組みして枠体1を形成することにより、透光板3を枠体内に保持させる。
【0022】
次に枠材2の挿入孔22より抜け止めピン6を挿入すると共に透光板3の抜け止め孔5を貫通させ、さらにその先端部を前記挿入孔22に向かい合う開口部21の他方の内壁に形成された凹所23に支持させ、最後に挿入孔22を塞ぐカバー7を上から取付けることにより、組み立ては完了する。
【0023】
なお、抜け止めピン6を抜けないようにするには、前記の如き丸棒状のピンを用いる代わりに、それ自体で枠材2に固着されるブラインドリベット、ボルト、ビス等が用いられていてもよい。図5にブラインドリベットによる抜け止めピン6を用いた例を示した。すなわち挿入孔22に向かい合う開口部21の他方の内壁に予め取付孔25を貫通しておき、挿入孔22よりブラインドリベットによる抜け止めピン6を抜け止め孔5を貫通して取付孔25に挿入し、その先端をかしめて抜けないようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は、縁取り部材が透光板の縁部と開口部の内壁との間に圧縮状態で介在されているので、車両の通過による振動や風圧等をよる透光板の振動が抑えられ、また例え振動しても、縁取り部材により保護されるので周縁部が傷ついたり、騒音が発生するようなことがなくなる。
【0025】
また本発明は、枠材の側面に穿設された挿入孔より、抜け止めピンが透光板の抜け止め孔を貫通して挿入されているので、透光板は抜け止めピンにより係止されて枠体より抜け落ちることがない。なおこの抜け止めピンは両端支持の構造となっているので、抜け止めピンの曲げ方向、すなわち透光板の抜け落ち方向の耐力が強く、透光板を確実に係止して抜け落ちを防止することができる。
【0026】
さらに本発明は、抜け止めピンはその直径を抜け止め孔に対し相対的に小径としているので、透光板は抜け止め孔の孔径と抜け止めピンの直径の差の分だけ抜け止めピンに対して遊動可能であり、透光板の膨張、収縮が生じても透光板がそれにつれて遊動することにより、波打ちや歪みの発生が防止される。
【0027】
さらにまた本発明は、まず透光板の周縁部を枠材の開口部の中に圧入し、次いで枠材の側面の挿入孔より抜け止めピンを挿入すると共に抜け止め孔を貫通させてその先端部を前記挿入孔と向かい合う開口部の内壁に支持させることにより組み立てることができるので、従来の如く長手方向に沿って透光板の周縁部を枠材の端部より開口部に差込んで挿入する必要がなく、開口部に沿って透光板の周縁部を当接させた状態で圧入すればよいので、組み立てに手間がかからず容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】透光板部分の分解組立断面図である。
【図3】全体の分解組立断面図である。
【図4】主要部の断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態を示す主要部の断面図である。
【図6】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 枠体
2 枠材
21 開口部
22 挿入孔
23 凹所
24 係止条
25 取付孔
3 透光板
4 縁取り部材
41 凹溝
42 突条
43 庇部
5 抜け止め孔
6 抜け止めピン
7 カバー
Claims (3)
- 長さ方向に沿って開口部を有する長尺枠材が開口部を内側にして四角形状に枠組みされて枠体が形成され、弾性材からなる縁取り部材が装着されると共に抜け止め孔が穿設された透光板の周縁部が枠材の開口部の中に圧入されて透光板が枠体内に保持されており、且つ透光板の抜け止め孔に対応して枠材の側面に穿設された挿入孔より、抜け止め孔に対し相対的に小径の抜け止めピンが挿入されると共に抜け止め孔を貫通してその先端部が前記挿入孔と向かい合う開口部の内壁に支持され、前記縁取り部材は、断面が略コ字状となされ、長手方向に沿って透光板の縁部が挿入される凹溝が形成されると共に、外側面に弾性変形可能なくさび状の突条が長手方向に沿って複数本突設され、このくさび状の突条が圧縮された状態で、透光板の縁部が枠材の開口部の中に圧入されていることを特徴とする透光性遮音板。
- 抜け止めピンが挿入された枠材の挿入孔に、その挿入孔を塞ぐカバーが取付けられていることを特徴とする請求項1記載の透光性遮音板。
- 透光板は透光性を有するポリカーボネート板であることを特徴とする請求項1または2記載の透光性遮音板。
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