JP3634463B2 - 吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は吊上電磁石にて検出した被吸引吊垂物に適合させて、電磁石主コイルの励磁電流を変えてクレーンを自動運転する吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
鋼材等の被吊垂物をクレーン等を用いて搬送するとき、鋼材等の励磁性物体を吊る装置としてフックの代わりに吊上電磁石が広く使われている。このクレーンの吊上電磁石は鉄磁極に所望のコイルを巻回し、このコイルに電流を流すことにより、電磁石と被吊垂物の鋼材とを通る磁束を発生し、この磁束による磁場の作用で電磁石と鋼材との間に電磁吸引力を生ぜしめ、鋼材を電磁石磁極に吸着するようにした装置である。従ってこの吊上電磁石は鎖等によりクレーン等の吊り金具に吊られており、吊上電磁石に吸着した鋼材はクレーンにより搬送している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
鋼材搬送を対象とした自動クレーンシステムの完全自動化を図るには、吊上電磁石の効率的な自動運転が必要となる。そのためには被吊垂物で励磁にて吸引可能な鋼材の板厚、枚数等または吊り上げ物の物量、質がセンシングできることが必須である。
従来、被吸引鋼材の板厚、枚数等または吊り上げ物の物量、質のセンシングには、γ線、レーザ光等が利用されている。
しかし、この種の装置では大がかりとなり高価となるほか、吊り上げ物が存在する位置が変わるとセンシング装置を移動・調整するのに多大の手間と費用がかかり、吊上電磁石を用いたクレーンの自動化に問題があった。
【０００４】
本発明は吊り上げ物の物理的な情報をクレーンに備えた吊上電磁石側でセンシングできるようにし、吊荷に応じて効率よく電磁石主コイルに流す励磁電流の大きさを変えて、クレーンの自動運転を行えるようにすることを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになしたもので、電磁石に探りコイルを巻回し、励磁コイルに流す電流の変化に伴い、探りコイルに誘起される電圧を積分回路を介して電磁石と被吸引鋼材とを貫流する磁束量に相当する物理量の大きさを検知し、被吸引鋼材の板厚、枚数を自動的にセンシングすると共に、それに適合させて電磁石主コイルの励磁電流を変えるようにした吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法において、電磁石の主コイルとは別に励磁コイルを設け、該励磁コイルに流す電流を変化させて探りコイルに誘起される電圧を時間積分して得た磁束量に等価な量から、被吸引鋼材の板厚、枚数を自動的にセンシングをすることを要旨とする。
【０００６】
【作 用】
吊り上げ物の物理的な情報をクレーンに備えた吊上電磁石側でセンシングできるようにし、吊荷に応じて効率よく電磁石主コイルに流す励磁電流の大きさを変えて、クレーンの自動運転を行える。
【０００７】
【実施例】
以下本発明の吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法を図面に示す実施例にもとづいて説明する。
図１は本発明クレーンの自動運転を可能とする吊上電磁石の断面図を示し、この吊上電磁石Ｍは所要の形状をした鉄芯１に主コイル３を巻回すると共に、この電磁石Ｍの磁極またはその一部に探りコイル４を巻回して構成する。またこの吊上電磁石Ｍの探りコイル４には積分器を接続し、この探りコイルに誘起される電圧を積分するようにする。
従ってこのように構成する吊上電磁石の鉄芯（鉄磁極）１の中央に巻回した主コイル３に電流を流すと、鉄磁極１、被吸引吊垂物である鋼材２からなる磁路を介して磁束が貫流する。この主コイルが作る全磁束量をΦとすると、被吸引鋼材を流れる磁束の量は磁束の漏れを無視すれば１／２Φとなる。
【０００８】
磁束量１／２Φの磁束に対して、鉄磁極の磁路の磁気抵抗と被吸引鋼材の磁路の磁気抵抗とが直列に接続されている。従って被吸引鋼材の磁路の磁気抵抗が小さくなると、磁束の量Φは単調に増加するものとなり、被吸引鋼材側の磁気抵抗は、例えば鉄材の板厚を増やすと小さくなるから、図２に示すようにコイル起磁力に対する磁束の量Φが鉄材の板厚が厚くなると単調に増加する。また鉄材の枚数が増えることは、鉄材の板厚を増やすことと等価である。これにより、磁束の量Φに等価な量が分かれば、被吸引鋼材の板厚、枚数等または吊り上げ物の物量、質がセンシングできることになる。
【０００９】
電磁石の励磁コイル起磁力を変えると磁束量が変わり、図１に示す電磁石側磁路の有効断面全体に巻回した探りコイル４には、電磁誘導の原理により磁束量の時間変化に比例した電圧が誘起される。従って図３に示すように、この誘起電圧ｅを積分回路により時間積分すると、被吸引鋼材の板厚、枚数等にリンクした磁束量に等価な量を電磁石側で検知でき、クレーンの自動運転に有効な情報を得ることができることになる。
【００１０】
図４は参考例である。探りコイル４は鉄磁極１の中央磁極に巻回してあるが、側部磁極または鉄磁極の一部分に隈取りコイルのように巻回してもよい。この参考例においては、電磁石の主コイルの励磁電流を変えて、電磁石側に設置した探りコイルを使って被吸引鋼材側の板厚、枚数等をセンシングする。主コイルを流用するので、構造が簡素化される。
【００１１】
図５は本発明の実施例である。探りコイル４については参考例と同様の構成である。本実施例では、電磁石の主コイル３とは別に電磁石側に励磁コイル５を設け、このコイルに流す電流を変化させて探りコイルに誘起される電圧を時間積分して得た磁束量に等価な量から、被吸引鋼材側の板厚、枚数等をセンシングする。主コイルとは独立した励磁コイルを設けることで、主コイルにより鋼材を吸引した状態において、被吸引鋼材の板厚、枚数等がセンシングできる。
【００１２】
【発明の効果】
本発明の吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法によれば、吊り上げ物の物理的な情報が吊上電磁石で自動的にセンシングできるので、吊り上げ物の置かれている位置が変わる度にセンシング装置を移動・調整することが不要となり、また吊り上げ物の物量が自動的に検知でき、その量に見合って電磁石の励磁電流の大きさを適正に変えることができて、吊上電磁石を備えたクレーンの効率的な自動運転を行える利点がある。特に、主コイルとは独立した励磁コイルを設けることで、主コイルにより鋼材を吸引した状態において、被吸引鋼材の板厚、枚数等がセンシングできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法の参考例を示す断面図である。
【図２】本発明クレーンの自動運転方法に用いる吊上電磁石の特性概念図であり、被吸引鋼材側の板厚をパラメータとして、電磁石、コイル起磁力に対する電磁石磁極内の磁束量Φの特性を示す。
【図３】探りコイルの誘起電圧から探りコイルと鎖交する磁束量を得るための回路ブロック図である。
【図４】クレーンの自動運転方法に用いる吊上電磁石の参考例の断面図である。
【図５】クレーンの自動運転方法に用いる吊上電磁石の実施例の断面図である。
【符号の説明】
１ 鉄磁極
２ 被吸引鋼材
３ 主コイル
４ 探りコイル
５ センシング用励磁コイル
Claims (1)
- 電磁石に探りコイルを巻回し、励磁コイルに流す電流の変化に伴い、探りコイルに誘起される電圧を積分回路を介して電磁石と被吸引鋼材とを貫流する磁束量に相当する物理量の大きさを検知し、被吸引鋼材の板厚、枚数を自動的にセンシングすると共に、それに適合させて電磁石主コイルの励磁電流を変えるようにした吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法において、電磁石の主コイルとは別に励磁コイルを設け、該励磁コイルに流す電流を変化させて探りコイルに誘起される電圧を時間積分して得た磁束量に等価な量から、被吸引鋼材の板厚、枚数を自動的にセンシングをすることを特徴とする吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法。
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| JP25923895A JP3634463B2 (ja) | 1995-09-11 | 1995-09-11 | 吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25923895A JP3634463B2 (ja) | 1995-09-11 | 1995-09-11 | 吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
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| JPH0977452A JPH0977452A (ja) | 1997-03-25 |
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP25923895A Expired - Fee Related JP3634463B2 (ja) | 1995-09-11 | 1995-09-11 | 吊上電磁石を用いたクレーンの自動運転方法 |
Country Status (1)
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-
1995
- 1995-09-11 JP JP25923895A patent/JP3634463B2/ja not_active Expired - Fee Related
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