JP3634462B2 - クレーンによる鋼材の所定数吊上自動運転方法 - Google Patents
クレーンによる鋼材の所定数吊上自動運転方法 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はクレーンによる鋼材の所定数吊上自動運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼板等の鋼材をクレーン等の搬送装置を用いて吊垂搬送するとき、鋼材を吊る装置として吊上電磁石が広く使われている。吊上電磁石は鉄磁極に巻回したコイルに電流を流すことにより、電磁石と鋼材とを通る磁束を発生させ、この磁束による磁場の作用で電磁石と鋼材との間に電磁吸引力を生ぜしめ、鋼材を電磁石磁極に吸着させる装置で、吊上鋼材の重量等により電磁石に通電する電流を制御して磁束による電磁吸着力を調整している。また吊上電磁石は鎖等によりクレーン等の吊り金具に吊られており、吊上電磁石に吸着された鋼材はクレーン等により搬送可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鋼材に働く磁気吸引力は電磁石に近い鋼材から順次遠い鋼材へと段階的に逓減していくが、その鋼材間の逓減差が小さい場合がある。このため、熟達したオペレータでも予め定めた所定の枚数のみを選択的に確実に吊り上げようとしても、この鋼材間における磁気吸引力の差が小さいので、時には所定枚数以上の鋼材が吊り上げられたり、また少なかったりして電磁石による発生磁気吸着力の調整は困難をきわめている。
従って吊上電磁石を用いたクレーンにより複数枚数無結束の状態で重ねられた鋼材から、任意枚数の鋼材を選択的に吊り上げる場合、オペレータが吊上電磁石の励磁電流の大きさを試行錯誤的に変えて、吊り上げ得る枚数を目視により確認をしながら鋼材を吸着して吊り上げを行っている現状で、オペレータに熟練を要し、かつクレーンの自動化が行えない欠点がある。
【0004】
本発明は吊上電磁石の中央磁極部を管状とし、これによって電磁石に発生する磁気吸着力の調整を鋼材間の逓減差を大きくして、無結束に重ねられた鋼材から確実に、任意枚数の鋼材を選択的に確実に吊り上げるクレーンの自動運転を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになしたもので、吊上電磁石の中央鉄磁極を内径部面積/外径部面積が0.33〜0.51の管状とし、この外周にコイルを巻回することにより励磁電流にて発生する電磁吸着力を吊上電磁石に近い鋼材から順次遠い鋼材へと段階的に逓減させて吊上電磁石に近い位置にある鋼材に磁気吸引力を集中させるようにするとともに、制御回路により励磁電流を調整して、この電磁吸着力差を利用して無結束の状態で積み重ねられている複数枚の鋼材から、1枚または複数枚の鋼材を確実に選択的に吊り上げるようにしたことを要旨とする。
【0006】
【作 用】
吊上電磁石の中央鉄磁極を内径部面積/外径部面積が0.33〜0.51の管状とし、この外周にコイルを巻回し、これに励磁電流を流すことにより発生する電磁吸着力を吊上電磁石に近い鋼材から順次遠い鋼材へと段階的に逓減させて吊上電磁石に近い位置にある鋼材に磁気吸引力を集中させるようにするとともに、制御回路により励磁電流を調整して、この電磁吸着力差を利用して無結束の状態で積み重ねられている複数枚の鋼材から、1枚または複数枚の鋼材を確実に選択的に吊り上げるようにしているので、無結束の状態で積み重ねられている複数枚の鋼材から所要枚数の鋼材を確実に吸着吊り上げられるため、クレーンの自動化が図れる。
【0007】
【実施例】
以下本発明のクレーンによる鋼材の所定数吊上自動運転方法を図面に示す実施例にもとづいて説明する。
図において1は吊上電磁石の本体で、この本体1は図1に詳示する如く、本体中央部に配設する管状の中央鉄磁極11と、この中央鉄磁極11の外周部に配設する側部継鉄12及び側部継鉄12の中央に中央鉄磁極11を配した上部に配した上部継鉄13とより一体に構成すると共に、この管状をした中央鉄磁極11と側部継鉄12との間の隙間14で、かつ中央鉄磁極11の外周部分に巻回してコイル15を一体に設ける。
【0008】
このコイル15には図示省略したが、可調整的に励磁電流を流す制御回路が接続される。コイル15を巻回した中央鉄磁極11は前述した通り管状で、その中央には空間を持つが、この管状中央鉄磁極11の形状としては図1、図2に示すように所要径の直管状とする場合と、図3に示すように鋼材等の吸着面側を太径として中央鉄磁極の吸着面積を大とし、かつ内部にリブ16を設ける場合、その他の形状とすることができる。
【0009】
また中央鉄磁極11と側部継鉄12との吸着面は面一となし、鋼材表面を同時に平坦面とし、吸着可能とするものである。
【0010】
2は鋼材で、上記吊上電磁石1の励磁にて電磁吸着して吊り上げられるが、一般に図示のように複数枚21,22,23・・・を積み重ねられる。この各鋼材21,22・・・は、一般には同じもしくはほぼ同じ板厚を有するが、本発明の方法では鋼材厚やサイズが異なっても吊上作業は可能である。
【0011】
従って上述の如く構成した吊上電磁石を備えたクレーンを用い、図1に示す如く複数枚積み重ねられた鋼板の吊上作業について説明する。
今クレーンの吊上電磁石の、中央鉄磁極11に巻回したコイル14に電流を流すことにより中央鉄磁極11、上部継鉄13、側部継鉄12からなる電磁石磁路と、複数枚数重ねられた鋼材2とを通る磁束が発生し、この磁束による磁場の作用で電磁石と鋼材との間に電磁吸引力が生じ、鋼材2は電磁石磁極に吸着される。
【0012】
図4は図1において中央鉄磁極11の外半径r2を70mmとして、内半径r1を0(内径部面積/外径部面積:0),40(内径部面積/外径部面積:0.33),50mm(内径部面積/外径部面積:0.51)と夫々変えたとき、5枚重ねられた鋼材の各板に働く磁気吸引力を数値解析した結果である。この吊上電磁石1に最も近い1枚目の鋼材21に働く吸引力を1として、それに対する比率として2枚目以降の各鋼材22,23に働く吸引力を図4に示している。
【0013】
なおr1=0は中央鉄磁極が中実の場合である。従って図4より中央鉄磁極が中実である場合に比べて中央鉄磁極が管状である場合の方が、電磁石から遠い位置にある鋼材に働く吸引力が格段に小さくなっていることが明らかである。
【0014】
従って、中央鉄磁極を管状とすることにより吊上電磁石に近い位置にある鋼材21に磁気吸引力を集中させることができ、次位の鋼材に作用する磁気吸着力は鋼材重量の吊上力より小となり所要の枚数のみを選択的に確実に吊り上げることが容易になる。また中央鉄磁極を管状とすることは、中央鉄磁極が中実の場合に比べて吊上電磁石の重量が少なくて済む。なお中央鉄磁極は図示の実施例では円筒形であるが、これは必ずしも円筒状である必然はなく、管状であればその形状は限定されることなく同様の作用をする。
【0015】
図2は本発明実施例の断面図を示す。吊上電磁石の中央鉄磁極11は管状空間1aを持つ管状磁極となっており、吊り上げられる鋼材2が1枚の場合である。1枚の鋼材を吊る場合にも、本発明である管状中央鉄磁極を持つ吊上電磁石が適用できる。実施例1の主たる効果は電磁石の軽量化である。
【0016】
図3は本発明の第2実施例の断面図を示す。中央鉄磁極11に巻回したコイル15に電流を流すことにより中央鉄磁極11、上部継鉄13、側部継鉄12からなる電磁石磁路と、複数枚数重ねられた鋼材2とを通る磁束を発生し、この磁束による磁場の作用で電磁石と鋼材との間に電磁吸引力を生ぜしめ、鋼材を電磁石磁極に吸着する。
【0017】
中央鉄磁極11に補強用のリブ16、あるいは吸引鉄材との接触等による磁極の摩耗を軽減するために設けた磁極先端部の補強材(太径部)があっても、本発明第1実施例と同じ効果が得られる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、吊上電磁石の中央鉄磁極を内径部面積/外径部面積が0.33〜0.51の管状とし、この外周にコイルを巻回しているので、軽量な電磁石となり、また励磁電流にて発生する電磁吸着力が電磁石に近い鋼材から順次遠い鋼材へと段階的に逓減させて吊上電磁石に近い位置にある鋼材に磁気吸引力を集中させるようにするとともに、制御回路により励磁電流を調整して、この電磁吸着力差を利用して無結束の状態で積み重ねられている複数枚の鋼材から、1枚または複数枚の鋼材を確実に選択的に吊り上げるようにしているので、無結束の状態で積み重ねられた鋼材から、確実に所要枚数の鋼材を選択的に自動的に吊り上げることができ、クレーンの自動運転化を図れる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による吊上電磁石の断面図である。
【図2】中央鉄磁極を中実である場合と管状である場合で、5枚重ねられた鋼材に働く磁気吸引力を数値解析した結果のグラフである。
【図3】本発明の第1実施例の断面図である。
【図4】本発明の第2実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 吊上電磁石の本体
11 中央鉄磁極
11a 中央管状磁極の空間
13 上部継鉄
12 側部継鉄
14 隙間
15 コイル
16 リブ
2 鋼材
Claims (1)
- 吊上電磁石の中央鉄磁極を内径部面積/外径部面積が0.33〜0.51の管状とし、この外周にコイルを巻回することにより励磁電流にて発生する電磁吸着力を吊上電磁石に近い鋼材から順次遠い鋼材へと段階的に逓減させて吊上電磁石に近い位置にある鋼材に磁気吸引力を集中させるようにするとともに、制御回路により励磁電流を調整して、この電磁吸着力差を利用して無結束の状態で積み重ねられている複数枚の鋼材から、1枚または複数枚の鋼材を確実に選択的に吊り上げるようにしたことを特徴とするクレーンによる鋼材の所定数吊上自動運転方法。
Priority Applications (1)
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JP25923795A JP3634462B2 (ja) | 1995-09-11 | 1995-09-11 | クレーンによる鋼材の所定数吊上自動運転方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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JPH0977451A JPH0977451A (ja) | 1997-03-25 |
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1995
- 1995-09-11 JP JP25923795A patent/JP3634462B2/ja not_active Expired - Fee Related
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